JP2022180934A - ストレートアスファルト用アスファルト改質剤 - Google Patents

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宏樹 垣内
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Abstract

【課題】優れた耐わだち掘れ性及び表面美観を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物、及び該アスファルト混合物を得るためのストレートアスファルト用アスファルト改質剤の提供。【解決手段】ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を含み、ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)の構成単位及びカルボン酸成分(a2)の構成単位を含み、前記成分の合計100モル%中の特定構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、前記成分の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、且つ、特定構造のアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満であるストレートアスファルト用アスファルト改質剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ストレートアスファルト用アスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。
自動車道や駐車場、貨物ヤード、歩道等の舗装には、敷設が比較的容易であり、舗装作業開始から交通開始までの時間が短くてすむことから、アスファルト混合物を用いるアスファルト舗装が行われている。このアスファルト舗装は、骨材をアスファルトで結合したアスファルト混合物によって路面が形成されているので、舗装道路は良好な硬度や耐久性を有している。
しかしながら、アスファルト舗装面は、長期使用によって劣化し、舗装の補修を行う必要が生じる。舗装の補修を行うことにより、維持費用が増大するとともに、自動車の交通に大きな影響を与える結果となっていた。
特許文献1には、アスファルト、熱可塑性エラストマー及び特定量のポリエステルを含有してなり、前記ポリエステルが、特定の軟化点及びガラス転移点を有する、アスファルト組成物が開示されている。
特許文献2には、アスファルト及びポリエステル系重合体を含有してなるアスファルト組成物が開示されている。
特開2019-19325号公報 特開平04-8766号公報
ビスフェノールA骨格を含むポリエステルによりアスファルトを改質する場合、施工後の舗装面の轍掘が抑制され、優れたわだち掘れに対する耐久性(耐わだち掘れ性)及び表面美観を有する舗装面が形成されていた。しかし、より一層優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が得られるアスファルト混合物が求められる。特に、熱養生が不十分となる傾向がある排水性舗装や薄層舗装などの特殊配合のアスファルト舗装において、耐わだち掘れ性が不十分となる場合があった。
本発明は、より一層優れた耐わだち掘れ性及び表面美観を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物を得るためのストレートアスファルト用アスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。
本発明は、以下の〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるストレートアスファルト用アスファルト改質剤であって、
該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である、ストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
Figure 2022180934000001
〔2〕ストレートアスファルト、骨材、上記〔1〕に記載のポリエステル(A)及び上記〔1〕に記載のポリエステル(B)を含む、アスファルト混合物。
〔3〕ストレートアスファルト、骨材、上記〔1〕に記載のポリエステル(A)及び上記〔1〕に記載のポリエステル(B)を配合してなる、アスファルト混合物。
〔4〕ストレートアスファルト、加熱した骨材、ポリエステル(A)及ポリエステル(B)を混合する工程を含む、上記〔2〕又は〔3〕に記載のアスファルト混合物の製造方法。
〔5〕上記〔2〕又は〔3〕に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を含む、道路舗装方法。
本発明によれば、より一層優れた耐わだち掘れ性及び表面美観を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物を得るためのストレートアスファルト用アスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法を提供することができる。
[ストレートアスファルト用アスファルト改質剤]
本発明のストレートアスファルト用アスファルト改質剤は、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなり、
該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である。
Figure 2022180934000002
本発明者らは、所定のポリエステル(A)及びポリエステル(B)を併用してストレートアスファルトを含むアスファルト混合物に含有させることで、より一層優れた耐わだち掘れ性及び表面美観を有する舗装面が形成されることを見出した。
本発明の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
アスファルトの成分は、大別してアスファルテンおよびマルテンに分類される。本発明において、所定の構造を有するポリエステル(A)がアスファルテンを効果的に改質し舗装の硬度を向上させ、所定の構造を有するポリエステル(B)がマルテンを効果的に改質し骨材に対する接着性を付与すると推定される。
さらに、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)がそれぞれ所定の構造を有し、ポリエステル同士及びその他の各成分との相溶性を高めた構造であるため、各々の効果が相乗的に発揮され、ポリエステルの相溶性が低くなる傾向があるストレートアスファルトを用いるアスファルト混合物において優れた耐わだち掘れ性を発現し、高い耐久性を発現するため優れた表面美観を提供できると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「バインダ混合物」とは、アスファルトと熱可塑性エラストマーとを含む混合物を意味し、例えば、後述の熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルト(以下、「改質アスファルト」ともいう)を含む概念である。
ポリエステル中、「アルコール成分由来の構成単位」とは、アルコール成分のヒドロキシ基から水素原子を除いた構造を意味し、「カルボン酸成分由来の構成単位」とは、カルボン酸成分のカルボキシ基からヒドロキシ基を除いた構造を意味する。
「カルボン酸成分」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。カルボン酸成分がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
<ポリエステル(A)>
ポリエステル(A)は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中、式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、好ましくは60モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。
Figure 2022180934000003
(式(1)で表される構造)
式(1)で表される構造は4,4’-イソプロピリデンジフェニル構造である。
本発明の好ましい態様の1つは、式(1)で表される構造が、下記式(1’)で表されるビスフェノールA骨格を含む構造である。
Figure 2022180934000004
式(1)で表される構造はアルコール成分(a1)及びカルボン酸成分(a2)の両方、又は、アルコール成分(a1)若しくはカルボン酸成分(a2)のいずれか一方が有することができ、好ましくはアルコール成分(a1)のみが有する。
(アルコール成分(a1))
アルコール成分(a1)としては、ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。ジオールとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(a1)は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含み、より好ましくは下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含む。
Figure 2022180934000005

〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分(a1)100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールは、3価アルコール等が挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン等が挙げられる。
(カルボン酸成分(a2))
カルボン酸成分(a2)としては、脂肪族ジカルボン酸化合物、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、炭素数1以上20以下のアルキル基若しくは炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。置換されたコハク酸としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。以上の脂肪族ジカルボン酸化合物の中でも、アジピン酸及び炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。以上の芳香族ジカルボン酸化合物の中でも、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。なお、多価カルボン酸化合物を含む場合、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分には1価のアルコールが適宜含有されていてもよく、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分(a2)中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは25モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分100モル%中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは75モル%であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
本発明の好ましい態様の1つにおいて、カルボン酸成分(a2)は、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群から選ばれる1種以上を合計50モル%以上含み、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
(アルコール成分(a1)に対するカルボン酸成分(a2)のモル比)
アルコール成分(a1)に対するカルボン酸成分(a2)のモル比〔カルボン酸成分(a2)/アルコール成分(a1)〕は、酸価を調整する観点及びアスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
(ポリエチレンテレフタレート由来の構成単位)
ポリエステル(A)は、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位及びテレフタル酸由来の構成単位を含むことができる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール由来及びテレフタル酸由来の構成単位の他にブタンジオールやイソフタル酸等の成分を少量含有してもよい。ポリエチレンテレフタレートは、回収されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル(A)がポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール及びテレフタル酸からなる構成単位を含む場合、「アルコール成分(a1)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位を含み、「カルボン酸成分(a2)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸由来の構成単位を含む。
(ポリエステル(A)の物性)
ポリエステル(A)の軟化点は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
ポリエステル(A)の水酸基価は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル(A)の重量平均分子量Mwは、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは8000以上であり、そして、好ましくは70000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは25000以下である。
ポリエステル(A)の軟化点、水酸基価及び重量平均分子量Mwは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、軟化点、水酸基価及び重量平均分子量Mwは、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
〔ポリエステル(B)〕
ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、前述した式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である。
(脂肪族飽和炭化水素骨格)
脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量は、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、20モル%以上であり、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは25モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは85モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
脂肪族飽和炭化水素骨格は、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の両方、又は、アルコール成分(b1)若しくはカルボン酸成分(b2)のいずれかが有することができ、好ましくはアルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)、又は、アルコール成分(b1)のみが脂肪族飽和炭化水素骨格を有する。
脂肪族飽和炭化水素骨格の炭素数は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは5以上であり、そして好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
(式(1)で表される構造)
式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量は、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、5モル%未満であり、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは1モル%未満、より好ましくは0.1モル%未満であり、更に好ましくは式(1)で表される構造を実質的に含まない。
Figure 2022180934000006
ポリエステル(B)の好ましい態様において、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、芳香環骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。
芳香環骨格は、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の両方、又は、アルコール成分(b1)若しくはカルボン酸成分(b2)のいずれかに由来することができ、好ましくはカルボン酸成分(b2)に由来する。
芳香環骨格は、例えば、上記芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸に由来し、好ましくは芳香族ジカルボン酸、より好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸に由来する。
ポリエステル(B)の好ましい態様において、炭素数5以上100以下の脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が、アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、30モル%以上85モル%以下であり、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは40モル%以上、より好ましくは45モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、そして好ましくは82モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは78モル%以下であり、かつ、芳香環骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が15モル%以上であり、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは45モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。
(アルコール成分(b1))
アルコール成分(b1)としては、ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。ジオールとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオールが挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールは、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは飽和脂肪族ジオール、より好ましくはα,ω-直鎖飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
飽和脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、その他炭素数100以下の飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオールが好ましい。これらの飽和脂肪族ジオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
飽和脂肪族ジオールの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分(b1)100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
アルコール成分(b1)は、飽和脂肪族ジオールとは異なる他のアルコール成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(b1)の好ましい態様において、炭素数5以上100以下の飽和脂肪族ジオールの含有量が、アルコール成分(b1)100モル%中、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上である。
(カルボン酸成分(b2))
カルボン酸成分(b2)としては、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。カルボン酸成分は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸、より好ましくは芳香族ジカルボン酸である。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸が好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは8以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分(b2)中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
カルボン酸成分(b2)は、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の脂肪族モノカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸成分(b2)の好ましい態様において、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上の合計含有量が、カルボン酸成分(b2)中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上である。
(アルコール成分(b1)に対するカルボン酸成分(b2)のモル比)
アルコール成分(b1)に対するカルボン酸成分(b2)のモル比〔カルボン酸成分(b2)/アルコール成分(b1)〕は、酸価を調整する観点及びアスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
(ポリエステル(B)の物性)
ポリエステル(B)の水酸基価は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル(B)の重量平均分子量Mwは、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは7000以上であり、そして、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは20000以下である。
ポリエステル(B)の水酸基価及び重量平均分子量Mwは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、水酸基価及び重量平均分子量Mwは、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
ポリエステル(A)及びポリエステル(B)は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルは、具体的には、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられる。好ましい変性されたポリエステルは、ポリエステルをポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステルが挙げられる。
ストレートアスファルト用アスファルト改質剤中のポリエステル(A)の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
アスファルト改質剤中のポリエステル(B)の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
ストレートアスファルト用アスファルト改質剤中のポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、質量比で、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下、更に好ましくは90/10以下、更に好ましくは80/20以下である。
すなわち、ポリエステル(A)はポリエステルの基剤であり、ポリエステル(B)はポリエステルの助剤である。
(ポリエステルの製造方法)
本発明のストレートアスファルト用アスファルト改質剤を構成するポリエステル(A)及びポリエステル(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述したアルコール成分(a1)及びカルボン酸成分(a2)、並びに、上述したアルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)を重縮合することにより製造することができる。
重縮合反応の温度は、特に限定されるものではないが、反応性を調整し、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは160℃以上260℃以下である。
本発明に用いられるポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコールに由来する構成単位及びポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸に由来する構成単位を含む場合、その原料におけるポリエチレンテレフタレートの存在量は、ポリエチレンテレフタレート、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、好ましくは5~80質量%、より好ましくは15~70質量%、更に好ましくは25~60質量%である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応の際にポリエチレンテレフタレートを添加することで、エステル交換反応が起こり、ポリエチレンテレフタレートの構成単位がアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位中に取り込まれたポリエステルを得ることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、重縮合反応開始時から存在させていても、重縮合反応途中で反応系に添加してもよい。ポリエチレンテレフタレートの添加時期は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との反応率が10%以下の段階が好ましく、5%以下の段階がより好ましい。なお、反応率とは、生成反応水量(モル)/理論生成水量(モル)×100の値をいう。
重縮合反応には、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)等のSn-C結合を有していない錫(II)化合物をエステル化触媒として、反応速度の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下用いてもよい。
重縮合反応には、エステル化触媒に加えて、反応速度の観点から、没食子酸等のピロガロール化合物を助触媒として、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下用いてもよい。
重縮合反応には、触媒に加えて、反応速度の観点から、ターシャルブチルカテコール等の重合禁止剤を、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、用いてもよい。
本発明のストレートアスファルト用アスファルト改質剤は、例えばストレートアスファルトと混合し、アスファルト組成物を得るために使用することができる。得られたアスファルト組成物に、加熱した骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用することができる。本発明のストレートアスファルト用アスファルト改質剤は、ストレートアスファルト及び骨材を含むアスファルト混合物に配合するためのアスファルト改質剤として好適に使用することができる。
[アスファルト混合物]
本発明のアスファルト混合物は、ストレートアスファルト、骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を含む。また、本発明のアスファルト混合物は、ストレートアスファルト、骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなる。本発明のアスファルト混合物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
<ストレートアスファルト>
本発明のアスファルト混合物は、アスファルトとして、舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトを含む。ストレートアスファルトとは、原油を常圧蒸留装置、減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質のことである。
<骨材>
骨材としては、砕石、玉石、砂利、砂、再生骨材、セラミックス等を任意に選択して用いることができる。また、骨材としては、粒径2.36mm以上の粗骨材、粒径2.36mm未満の細骨材のいずれも使用することができる。
粗骨材としては、例えば、粒径範囲2.36mm以上4.75mm未満の砕石、粒径範囲4.75mm以上12.5mm未満の砕石、粒径範囲12.5mm以上19mm未満の砕石、粒径範囲19mm以上31.5mm未満の砕石が挙げられる。
細骨材は、好ましくは粒径0.075mm以上2.36mm未満の細骨材である。細骨材としては、川砂、丘砂、山砂、海砂、砕砂、細砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
上記の粒径はJIS A5001:2008に規定される値である。
これらの中でも、粗骨材と細骨材との組合せが好ましい。
なお、細骨材には、粒径0.075mm未満のフィラーが含まれていてもよい。フィラーとしては、砂、フライアッシュ、石灰石粉末などの炭酸カルシウム、消石灰等が挙げられる。このうち、アスファルト舗装の強度向上の観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
フィラーの平均粒径は、乾燥強度向上の観点から、好ましくは0.001mm以上であり、そして、好ましくは0.06mm以下、より好ましくは0.04mm以下、更に好ましくは0.03mm以下である。フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。ここで、平均粒径とは、体積累積50%の平均粒径を意味する。
粗骨材と細骨材との質量比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
アスファルト混合物における好適な配合例として、以下の(1)~(3)が挙げられる。
(1)例えば、30容量%以上45容量%未満の粗骨材と、30容量%以上50容量%以下の細骨材と、5容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む細粒度アスファルト。
(2)例えば、45容量%以上70容量%未満の粗骨材と、20容量%以45容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む密粒度アスファルト。
(3)例えば、70容量%以上80容量%以下の粗骨材と、10容量%以上20容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含むポーラスアスファルト。
上記ポーラスアスファルトは、排水性舗装に好適に使用することができる。
アスファルト混合物中の骨材の含有量は、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。
なお、従来の骨材とアスファルトを含むアスファルト混合物におけるアスファルトの配合割合については、通常、公益社団法人日本道路協会発行の「舗装設計施工指針」に記載されている「アスファルト組成物の配合設計」から求められる最適アスファルト量に従って用いられている。
本発明においては、上記の最適アスファルト量が、アスファルト、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計量に相当する。ただし、「舗装設計施工指針」に記載の方法に限定する必要はなく、他の方法によって決定してもよい。
アスファルト混合物中のアスファルトの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
(ポリエステルの含有量)
本発明のアスファルト混合物におけるポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
アスファルト混合物中のポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、質量比で、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下、更に好ましくは90/10以下、更に好ましくは80/20以下である。
アスファルト混合物は、更に必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
[アスファルト混合物の製造方法]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、加熱した骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合して得ることができる。本発明のアスファルト混合物の製造方法は、アスファルト、加熱した骨材、ポリエステル(A)、及びポリエステル(B)を同時に又は順不同で混合する工程を含む。
アスファルト混合物の具体的な製造方法としては、従来のプラントミックス方式、プレミックス方式等といわれるアスファルト混合物の製造方法が挙げられる。いずれも加熱した骨材にアスファルト及びポリエステルを添加する方法である。
上記混合する工程は、好ましくは以下の(i)~(iii)のいずれかである。
(i)加熱した骨材に、アスファルトを添加及び混合した後、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を添加及び混合する、
(ii)加熱した骨材に、アスファルト、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を同時に添加及び混合する、又は
(iii)加熱した骨材に、事前に加熱混合したアスファルト、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の混合物を添加及び混合する。
ポリエステル(A)とポリエステル(B)の添加は、同時でも前後して別々でもよい。前後して別々に添加する場合、ポリエステル(A)の後にポリエステル(B)を添加しても、ポリエステル(B)の後にポリエステル(A)を添加してもよい。
(i)~(iii)の方法における加熱した骨材の温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合時間は、特に限定されず、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上であり、時間の上限は、特に限定されず、好ましくは約30分程度である。
アスファルト混合物の製造方法は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合する工程後、得られた混合物を上記の混合温度で保持する工程を有することが好ましい。
アスファルト混合物を保持する工程においては、混合物を更に混合してもよい。
保持時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間の上限は、特に限定されないが、例えば5時間程度である。
[道路舗装方法]
本発明のアスファルト混合物は、道路舗装用として好適であり、道路舗装に使用される。
道路舗装方法は、前述のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する。具体的には、道路舗装方法は、アスファルトと、前述のポリエステル(A)及びポリエステル(B)と、骨材とを混合する、アスファルト混合物を得る工程(工程1)、及び前記工程1で得られたアスファルト混合物を道路に施工してアスファルト舗装材層を形成する工程(工程2)を含む。アスファルト舗装材層は、通常は基層又は表層であり、耐わだち掘れ性及び表面美観の効果を発揮する観点から、好ましくは表層である。
アスファルト舗装材層の厚さは、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3cm以上、より好ましくは4cm以上、更に好ましくは4.5cm以上であり、そして、好ましくは7cm以下、より好ましくは6cm以下、更に好ましくは5.5cm以下である。本発明の別の態様において、アスファルト舗装材層を薄層舗装とすることができ、表層の厚さは、好ましくは1cm以上、より好ましくは1.5cm以上、更に好ましくは2cm以上であり、そして、好ましくは4cm以下、より好ましくは3.5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。
アスファルト混合物は、公知の施工機械編成で、同様の方法によって締固め施工すればよい。加熱アスファルト混合物として使用する場合の締固め温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
各種物性については、以下の方法により、測定及び評価を行った。
なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
(1)ポリエステルの水酸基価
ポリエステルの水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992に規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
(2)ポリエステルの軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(3)ポリエステルの重量平均分子量(Mw)
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により重量平均分子量を求めた。
(i)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をクロロホルムに、40℃で溶解させた。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(ii)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液200μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いた。括弧内は分子量を示す。
測定装置:「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「TSKgel Super HZM」+「TSKgel Super H-RC」×2本(東ソー株式会社製)
製造例1 (ポリエステルA-1)
表1に示すポリエステルのアルコール成分及びテレフタル酸を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃到達後5時間保持した後、180℃まで冷却した。180℃まで冷却後、アルケニル無水コハク酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温後210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、目的のポリエステルA-1を得た。
なお、用いたアルケニル無水コハク酸は、平均付加モル数12、分子量256(GC-MS、けん化価より算出)であった。
製造例2 (ポリエステルB-1)
表1に示すポリエステルのアルコール成分及びテレフタル酸を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃到達後5時間保持し、反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却した。次にアジピン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、10kPaにて表1に示す軟化点まで反応を行い、ポリエステルB-1を得た。
製造例3 (ポリエステルC-1)
表1に示す原料モノマー組成に変更し、没食子酸を添加しない以外は製造例1と同様にして、目的のポリエステルC-1を得た。
製造例4及び5 (ポリエステルD-1及びE-1)
表1に示すポリエステルのアルコール成分及びテレフタル酸を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃到達後5時間保持し、反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却した。180℃まで冷却後、アルケニル無水コハク酸を投入し、210℃まで2時間かけて昇温後210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、目的のポリエステルD-1及びE-1を得た。
製造例6 (ポリエステルF-1)
表1に示すポリエステルのアルコール成分及びテレフタルを、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃到達後5時間保持し、反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却した。次にアジピン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、10kPaにて表1に示す軟化点まで反応を行い、ポリエステル樹脂F-1を得た。
Figure 2022180934000007
製造例7、9及び10 (ポリエステルA-2、C-2及びD-2)
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、180℃で2時間保持し、さらに210℃まで3時間かけて昇温後、210℃にて4時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA-2、C-2及びD-2を得た。
製造例8 (ポリエステルB-2)
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を加え、窒素雰囲気下にて180℃で2時間保持、さらに210℃まで3時間かけて昇温後、210℃にて4時間反応させた。その後、150℃まで冷却後、セバシン酸を添加し、200℃まで5時間かけて昇温後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルB-2を得た。
製造例11 (ポリエステルE-2)
表2に示すステアリン酸以外の原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にステアリン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルE-2を得た。
Figure 2022180934000008
用いたアルコール成分及びカルボン酸成分の略称は以下の通りである。
EG:エチレングリコール(ethylene glycol)
1,5-PD:1,5-ペンタンジオール(1,5-pentanediol)
1,6-HD:1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)
1,9-ND:1,9-ノナンジオール(1,9-nonanediol)
BPA-EO:ビスフェノールAのポリオキシエチレン(2.2モル)付加物
BPA-PO:ビスフェノールAのポリオキシプロピレン(2.2モル)付加物
SA:セバシン酸(sebacic acid)
TPA:テレフタル酸(terephthalic acid)
ADA:アジピン酸(adipic acid)
ASAN:アルケニルコハク酸(alkenyl succinic anhydride)(アルケニル基を有するコハク酸の混合物、アルケニル基の平均炭素数:12)
実施例1
バインダ混合物として、180℃に加熱したストレートアスファルト(出光興産株式会社製、60-80グレード)1,000gを3Lのステンレス容器に入れて100rpmで撹拌した。ついで、ポリエステルA-1を170g(アスファルト100質量部に対して17質量部)を徐々に添加した後、すぐにポリエステルA-2を30g(アスファルト100質量部に対して3質量部)を徐々に添加した。前記混合物を300rpmにて2時間撹拌し、アスファルト組成物(AS-1)を作製した。
次に180℃に加熱した骨材(骨材の組成は以下を参照)15kgをアスファルト用混合機に入れ、180℃にて60秒間混合した。次いで前記アスファルト組成物(AS-1)986gを加え、アスファルト用混合機にて2分間混合した。
得られたアスファルト混合物を速やかに300×300×50mmの型枠に充填した。ローラーコンパクター(株式会社岩田工業所製)を用い、温度150℃、荷重0.44kPaにて25回転圧処理を行い、熱養生なしの条件下でアスファルト供試体(M-1a)を作製した。
これとは別に、アスファルト混合物を180℃で2時間保管後に型枠に充填する以外は、前述した方法と同じ手順に従い、通常養生の条件下でアスファルト供試体(M-1b)を作製した。
<骨材の組成>
6号砕石 50.9質量部
砕砂1 10.4質量部
砕砂2 22.1質量部
細砂 10.4質量部
石粉(炭酸カルシウム)6.2質量部
通過質量%:
ふるい目 15 mm: 100 質量%
ふるい目 10 mm: 85.6質量%
ふるい目 5 mm: 49.7質量%
ふるい目 2.5 mm: 44.6質量%
ふるい目 1.2 mm: 31.6質量%
ふるい目 0.6 mm: 21.3質量%
ふるい目 0.3 mm: 12.7質量%
ふるい目 0.15mm: 7.1質量%
[評価]
前述のアスファルト供試体(M-1a)及びアスファルト供試体(M-1b)をそれぞれ下記の評価試験に供した。アスファルト供試体(M-1a)及びアスファルト供試体(M-1b)の評価結果を比較することで、熱養生の影響を評価した。
<わだち掘れ量>
60℃恒温室にて60℃に設定した温水にアスファルト供試体を浸漬し、ホイールトラッキング試験機(株式会社岩田工業所製、荷重1,370N、鉄輪幅47mm、線圧291.5N/cm)を用いて、速度15回/分にて供試体上に車輪を往復させ、通過回数2,500回時の変位量を測定した。その他の測定条件は、公益社団法人日本道路協会出版の「舗装調査・試験法便覧」に記載される「B003ホイールトラッキング試験」に従った。結果を表3に示す。
<充填度>
(充填度)
アスファルト供試体の充填度を、次式に従い算出した。結果を表3に示す。
充填度=(ポリエステル未添加時の空隙率)/(ポリエステル添加時の空隙率)
(空隙率)
充填度の算出に用いる空隙率は、次式に従い算出した。
空隙率=100×{1-(供試体かさ密度)/(理論密度)}
(各物性値)
空隙率の算出に用いる各物性は、以下の計算式に従い算出した。
供試体のかさ密度=(気中質量)/(表乾質量-水中質量)
理論密度=1/[{(1-アスファルト添加率)/100/骨材比重(表乾)}+(アスファルト添加率)/100/1.04]
なお、表乾重量とは、供試体を水中に3分間浸したのち、表面を拭ったあとの質量である。
骨材比重(表乾)は、アスファルト吸収を加味した比重であり、定数「2.618」とした。結果を表3に示す。
実施例2~10、比較例1~3
表3に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調製した。アスファルト組成物を、実施例2では945g、比較例1では822g、それ以外では986g用いた。強度発現量の評価試験を行い、その結果を表3に示す。
Figure 2022180934000009
表3の結果から、所定のポリエステル(A)及び所定のポリエステル(B)を併用して含む本発明のアスファルト混合物は、通常養生の条件下において製造したアスファルト供試体のわだち発生量が少なく、優れた接着強度を発現し、耐わだち掘れ性に優れることが分かる。特に特定のポリエステル(B)を含む場合には、熱養生なしの条件下において製造したアスファルト供試体でも、耐わだち掘れ性に優れる。
また、所定のポリエステル(A)及び所定のポリエステル(B)を併用して含む本発明のアスファルト混合物は、表3の結果から、充填度を高くすることができることが分かる。そして、表3の結果から、充填度が高いと耐わだち掘れ性に優れることが分かる。
また、本発明のアスファルト混合物は、充填度が高いことにより、表面の僅かな平坦性ずれ、微小ひび割の抑制ができるため、優れた表面美観を有し、排水性舗装や薄層舗装などの特殊配合のアスファルト舗装において、耐わだち掘れ性に優れる舗装面を形成することが期待される。

Claims (13)

  1. ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるストレートアスファルト用アスファルト改質剤であって、
    該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である、ストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
    Figure 2022180934000010
  2. 前記アルコール成分(a1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、請求項1に記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  3. 前記ポリエステル(A)の水酸基価が10mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  4. 前記アルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、炭素数5以上100以下の脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が30モル%以上85モル%以下であり、かつ、芳香環骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が15モル%以上である、請求項1~3のいずれかに記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  5. 前記アルコール成分(b1)中の炭素数5以上100以下の飽和脂肪族ジオールの含有量が60モル%以上である、請求項1~4のいずれかに記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  6. 前記カルボン酸成分(b2)中のテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上の含有量が30モル%以上である、請求項1~5のいずれかに記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  7. 前記ポリエステル(B)の水酸基価が10mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である、請求項1~6のいずれかに記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  8. ポリエステル(A)とポリエステル(B)との質量比が、60/40以上99/1以下である、請求項1~7のいずれかに記載のストレートアスファルト用アスファルト改質剤。
  9. ストレートアスファルト、骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を含む、アスファルト混合物であって、
    該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である、アスファルト混合物。
    Figure 2022180934000011
  10. ストレートアスファルト、骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなる、アスファルト混合物であって、
    該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である、アスファルト混合物。
    Figure 2022180934000012
  11. ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計含有量が、ストレートアスファルト100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、請求項9又は10に記載のアスファルト混合物。
  12. ストレートアスファルト、加熱した骨材、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を混合する工程を含むアスファルト混合物の製造方法であって、
    該ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(a1)及び該カルボン酸成分(a2)の合計100モル%中の下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が10モル%以上であり、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)及び該カルボン酸成分(b2)の合計100モル%中、脂肪族飽和炭化水素骨格を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が20モル%以上であり、かつ、下記式(1)で表される構造を有するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計含有量が5モル%未満である、アスファルト混合物の製造方法。
    Figure 2022180934000013
  13. 請求項9~11のいずれかに記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を含む、道路舗装方法。
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