JP2023079026A - アスファルト改質剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】アスファルト合材の充填効率およびアスファルト舗装の強度が両立できるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物、及び道路舗装方法の提供。【解決手段】結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであるアスファルト改質剤。(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む【選択図】なし
Description
本発明は、アスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物、及び道路舗装方法に関する。
自動車道や駐車場、貨物ヤード、歩道等の舗装には、敷設が比較的容易であり、舗装作業開始から交通開始までの時間が短くてすむことから、アスファルト混合物を用いるアスファルト舗装が行われている。このアスファルト舗装は、骨材をアスファルトで結合したアスファルト混合物によって路面が形成されているので、舗装道路は良好な硬度や耐久性を有している。
しかしながら、アスファルト舗装面は、長期使用によって劣化し、舗装の補修を行う必要が生じる。舗装の補修を行うことにより、維持費用が増大するとともに、自動車の交通に大きな影響を与える結果となっていた。
しかしながら、アスファルト舗装面は、長期使用によって劣化し、舗装の補修を行う必要が生じる。舗装の補修を行うことにより、維持費用が増大するとともに、自動車の交通に大きな影響を与える結果となっていた。
特許文献1には、施工後の舗装面の耐久性に優れるアスファルト組成物として、アスファルト、熱可塑性エラストマー及び特定量のポリエステルを含有してなり、前記ポリエステルが、特定の軟化点及びガラス転移点を有する、アスファルト組成物が開示されている。
特許文献2には、低温でも施工可能であり、更に高温下でも安定性を保持した路面に走行車による轍の跡のつきにくい道路舗装用に適したアスファルト組成物として、アスファルト及びポリエステル系重合体を含有してなるアスファルト組成物が開示されている。
特許文献2には、低温でも施工可能であり、更に高温下でも安定性を保持した路面に走行車による轍の跡のつきにくい道路舗装用に適したアスファルト組成物として、アスファルト及びポリエステル系重合体を含有してなるアスファルト組成物が開示されている。
ポリエステルによりアスファルトを改質することで、優れた強度を有し、耐久性に優れるアスファルト舗装を得ることができる。
一方で、耐久性に優れるアスファルトは同時に粘弾性が高く、アスファルト舗装を施工する際のローラーによる転圧時におけるアスファルト合材の充填が不十分になる場合があった。転圧回数が不足すると耐久性の低下、表面美観の悪化等の問題が生じる可能性があり、十分な充填を達成するために転圧回数を増加する必要がある。しかし、転圧作業は施工工程の多くを占め、転圧回数を増加させることは、施工効率の低下や交通規制時間の増加による渋滞につながる。
すなわち、少ない転圧回数で強度の高いアスファルト舗装を達成できる技術が求められている。
本発明は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度が両立できるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物、及び道路舗装方法に関する。
一方で、耐久性に優れるアスファルトは同時に粘弾性が高く、アスファルト舗装を施工する際のローラーによる転圧時におけるアスファルト合材の充填が不十分になる場合があった。転圧回数が不足すると耐久性の低下、表面美観の悪化等の問題が生じる可能性があり、十分な充填を達成するために転圧回数を増加する必要がある。しかし、転圧作業は施工工程の多くを占め、転圧回数を増加させることは、施工効率の低下や交通規制時間の増加による渋滞につながる。
すなわち、少ない転圧回数で強度の高いアスファルト舗装を達成できる技術が求められている。
本発明は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度が両立できるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物、及び道路舗装方法に関する。
本発明は、以下の〔1〕~〔4〕に関する。
〔1〕 結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであるアスファルト改質剤。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
〔2〕 アスファルト及び上記〔1〕に記載のアスファルト改質剤を含有するアスファルト組成物。
〔3〕 アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるアスファルト混合物であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであり、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸(b2)由来の構成単位を含み、前記アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である、アスファルト混合物。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
〔4〕 上記〔3〕に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する、道路舗装方法。
〔1〕 結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであるアスファルト改質剤。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
〔2〕 アスファルト及び上記〔1〕に記載のアスファルト改質剤を含有するアスファルト組成物。
〔3〕 アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるアスファルト混合物であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであり、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸(b2)由来の構成単位を含み、前記アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である、アスファルト混合物。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
〔4〕 上記〔3〕に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する、道路舗装方法。
本発明によれば、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度が両立できるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物、及び道路舗装方法を提供することができる。
[アスファルト改質剤]
本発明のアスファルト改質剤は、結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルである。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
本発明のアスファルト改質剤は、結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルである。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
本発明者らは、所定のポリエステル(A)アスファルトを含むアスファルト混合物に含有させることで、アスファルト合材の充填効率およびアスファルト舗装の強度が両立できることを見出した。
本発明の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
従前技術において、ポリエステル主鎖末端の極性基、すなわちカルボキシ基及びヒドロキシ基の存在により、ポリエステル分子間に相互作用が生じ、その結果バインダにおいて粘度が増加し流動性が低下する傾向があったと考えらえる。
これに対して本発明では、1価の脂肪族カルボン酸及び/又は1価の脂肪族アルコールがポリエステルの分子末端に結合し疎水化することで、分子間相互作用による増粘を抑制できると考えられる。更に、1価の脂肪族カルボン酸及び/又は1価の脂肪族アルコールの脂肪族部分は、疎水性のアスファルトと親和性が高く、アスファルトを可塑化できると考えられる。このような効果が相乗的に寄与してバインダの流動性が高くなり、アスファルト合材の充填効率の向上が達成されると考えられる。
また、ポリエステルとアスファルトとの親和性が更に高まる結果、ポリエステルが介在する骨材とアスファルトとの接着もより強固になることで、アスファルト舗装の強度が向上すると考えられる。
本発明の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
従前技術において、ポリエステル主鎖末端の極性基、すなわちカルボキシ基及びヒドロキシ基の存在により、ポリエステル分子間に相互作用が生じ、その結果バインダにおいて粘度が増加し流動性が低下する傾向があったと考えらえる。
これに対して本発明では、1価の脂肪族カルボン酸及び/又は1価の脂肪族アルコールがポリエステルの分子末端に結合し疎水化することで、分子間相互作用による増粘を抑制できると考えられる。更に、1価の脂肪族カルボン酸及び/又は1価の脂肪族アルコールの脂肪族部分は、疎水性のアスファルトと親和性が高く、アスファルトを可塑化できると考えられる。このような効果が相乗的に寄与してバインダの流動性が高くなり、アスファルト合材の充填効率の向上が達成されると考えられる。
また、ポリエステルとアスファルトとの親和性が更に高まる結果、ポリエステルが介在する骨材とアスファルトとの接着もより強固になることで、アスファルト舗装の強度が向上すると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「バインダ混合物」とは、アスファルトと熱可塑性エラストマーとを含む混合物を意味し、例えば、後述の熱可塑性エラストマー等で改質されたアスファルト(以下、「改質アスファルト」ともいう)を含む概念である。
ポリエステル中、「アルコール成分由来の構成単位」とは、アルコール成分のヒドロキシ基から水素原子を除いた構造を意味し、「カルボン酸成分由来の構成単位」とは、カルボン酸成分のカルボキシ基からヒドロキシ基を除いた構造を意味する。
「カルボン酸成分」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。カルボン酸成分がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピークの温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.3以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観察されないか、観察される場合は、結晶性指数が0.3未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
「バインダ混合物」とは、アスファルトと熱可塑性エラストマーとを含む混合物を意味し、例えば、後述の熱可塑性エラストマー等で改質されたアスファルト(以下、「改質アスファルト」ともいう)を含む概念である。
ポリエステル中、「アルコール成分由来の構成単位」とは、アルコール成分のヒドロキシ基から水素原子を除いた構造を意味し、「カルボン酸成分由来の構成単位」とは、カルボン酸成分のカルボキシ基からヒドロキシ基を除いた構造を意味する。
「カルボン酸成分」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。カルボン酸成分がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピークの温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.3以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観察されないか、観察される場合は、結晶性指数が0.3未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
〔結晶性ポリエステル(A)〕
結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方を満たす。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
以下、アルコール成分(a1)、カルボン酸成分(a2)、ポリエステルの物性等について説明する。
結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方を満たす。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む
以下、アルコール成分(a1)、カルボン酸成分(a2)、ポリエステルの物性等について説明する。
(アルコール成分(a1))
アルコール成分(a1)は、上記(ii)の場合、1価の脂肪族アルコールを含む。
1価の脂肪族アルコールは、主鎖が直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、1価の脂肪族アルコールは、好ましくは1価の飽和脂肪族アルコールである。
1価の脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
1価の脂肪族アルコールとしては、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ドコサノール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(a1)は、上記(ii)の場合、1価の脂肪族アルコールを含む。
1価の脂肪族アルコールは、主鎖が直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、1価の脂肪族アルコールは、好ましくは1価の飽和脂肪族アルコールである。
1価の脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
1価の脂肪族アルコールとしては、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ドコサノール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む場合、その含有量は、アルコール成分(a1)100モル%中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは6モル%以上、更に好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
1価の脂肪族アルコール中の炭素数6以上100以下の脂肪族アルコールの含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
1価の脂肪族アルコール中の炭素数6以上100以下の脂肪族アルコールの含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
アルコール成分(a1)は、更に2価以上のアルコール成分を含む。このようなアルコール成分として、ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。これらの2価以上のアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールは、好ましくは飽和脂肪族ジオール、より好ましくはα,ω-直鎖飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは12以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、その他炭素数100以下の飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。中でも、好ましくはエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオールである。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
脂肪族ジオールは、好ましくは飽和脂肪族ジオール、より好ましくはα,ω-直鎖飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、更に好ましくは12以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、その他炭素数100以下の飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。中でも、好ましくはエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオールである。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、好ましくは3価アルコールである。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
アルコール成分(a1)は、好ましくは脂肪族ジオール、より好ましくは飽和脂肪族ジオールを含む。
脂肪族ジオールの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アルコール成分100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
中でも、アルコール成分(a1)は、更に好ましくは6以上20以下の飽和脂肪族ジオールを含む。
6以上20以下の飽和脂肪族ジオールの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アルコール成分100モル%中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
脂肪族ジオールの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アルコール成分100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
中でも、アルコール成分(a1)は、更に好ましくは6以上20以下の飽和脂肪族ジオールを含む。
6以上20以下の飽和脂肪族ジオールの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アルコール成分100モル%中、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
(カルボン酸成分(a2))
カルボン酸成分(a2)は、上記条件(i)を満たす場合、1価の脂肪族カルボン酸を含む。
1価の脂肪族カルボン酸は、主鎖が直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、1価の脂肪族カルボン酸は、好ましくは1価の飽和脂肪族カルボン酸である。
1価の脂肪族カルボン酸は、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
1価の脂肪族カルボン酸として、1価の飽和脂肪族カルボン酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられ、1価の不飽和脂肪族カルボン酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
カルボン酸成分(a2)は、上記条件(i)を満たす場合、1価の脂肪族カルボン酸を含む。
1価の脂肪族カルボン酸は、主鎖が直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、1価の脂肪族カルボン酸は、好ましくは1価の飽和脂肪族カルボン酸である。
1価の脂肪族カルボン酸は、好ましくは6以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下である。
1価の脂肪族カルボン酸として、1価の飽和脂肪族カルボン酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられ、1価の不飽和脂肪族カルボン酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む場合、その含有量は、カルボン酸成分(a2)100モル%中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは6モル%以上、更に好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
1価の脂肪族カルボン酸中の炭素数6以上100以下の脂肪族カルボン酸の含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
1価の脂肪族カルボン酸中の炭素数6以上100以下の脂肪族カルボン酸の含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
カルボン酸成分(a2)は、更に2価以上のカルボン酸成分を含む。2価以上のカルボン酸成分として、ジカルボン酸及び3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸としては、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。
脂肪族ジカルボン酸として、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられ、不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、好ましくは8以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下である。
脂肪族ジカルボン酸として、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられ、不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の炭素数は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、好ましくは8以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。
カルボン酸成分(a2)は、好ましくは不飽和脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸から選択される少なくとも1つを含む。
不飽和脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、カルボン酸成分100モル%中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、更に好ましくは85モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
不飽和脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率及び舗装強度の観点から、カルボン酸成分100モル%中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、更に好ましくは85モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
(アルコール成分(a1)に対するカルボン酸成分(a2)のモル比)
アルコール成分(a1)に対するカルボン酸成分(a2)のモル比〔カルボン酸成分(a1)/アルコール成分(a2)〕は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
アルコール成分(a1)に対するカルボン酸成分(a2)のモル比〔カルボン酸成分(a1)/アルコール成分(a2)〕は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
(結晶性ポリエステル(A)の物性)
結晶性ポリエステル(A)の軟化点は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)の融点は、同様の観点から、好ましくは50℃以上であり、好ましくは60℃以上、そして、150℃以下であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)がカルボン酸成分(a2)として1価の脂肪族カルボン酸を含む場合、結晶性ポリエステル(A)の水酸基価は、同様の観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは4.5mgKOH/g以下、更に好ましくは4mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル(A)がアルコール成分(a1)として1価の脂肪族アルコールを含む場合、結晶性ポリエステル(A)の酸価は、同様の観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは4.5mgKOH/g以下、更に好ましくは4mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル(A)の重量平均分子量Mwは、同様の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上であり、そして、好ましくは80000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは20000以下である。
結晶性ポリエステル(A)の軟化点は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)の融点は、同様の観点から、好ましくは50℃以上であり、好ましくは60℃以上、そして、150℃以下であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)がカルボン酸成分(a2)として1価の脂肪族カルボン酸を含む場合、結晶性ポリエステル(A)の水酸基価は、同様の観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは4.5mgKOH/g以下、更に好ましくは4mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル(A)がアルコール成分(a1)として1価の脂肪族アルコールを含む場合、結晶性ポリエステル(A)の酸価は、同様の観点から、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以下、より好ましくは4.5mgKOH/g以下、更に好ましくは4mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル(A)の重量平均分子量Mwは、同様の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上であり、そして、好ましくは80000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは20000以下である。
〔ポリエステル(B)〕
本発明のアスファルト改質剤は、ポリエステル樹脂(B)を更に含むことができる。
ポリエステル(B)は、アルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である。
ポリエステル(B)としては、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルが挙げられ、好ましくは非晶性ポリエステルである。
以下、アルコール成分(b1)、カルボン酸成分(b2)、ポリエステル(B)の物性等について説明する。
本発明のアスファルト改質剤は、ポリエステル樹脂(B)を更に含むことができる。
ポリエステル(B)は、アルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である。
ポリエステル(B)としては、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルが挙げられ、好ましくは非晶性ポリエステルである。
以下、アルコール成分(b1)、カルボン酸成分(b2)、ポリエステル(B)の物性等について説明する。
(アルコール成分(b1))
アルコール成分(b1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは下記式(I)で表される。
アルコール成分(b1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは下記式(I)で表される。
〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分(b1)100モル%中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分(b1)100モル%中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
アルコール成分(b1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外のアルコール成分を含むことができる。このようなアルコール成分として、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外の芳香族ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
3価以上の多価アルコールは、3価アルコール等が挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
3価以上の多価アルコールは、3価アルコール等が挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン等が挙げられる。
(カルボン酸成分(b2))
カルボン酸成分(b2)としては、脂肪族ジカルボン酸化合物、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸成分(b2)としては、脂肪族ジカルボン酸化合物、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸の主鎖の炭素数は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、炭素数1以上20以下のアルキル基若しくは炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。置換されたコハク酸としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。以上の脂肪族ジカルボン酸化合物の中でも、炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、炭素数1以上20以下のアルキル基若しくは炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。置換されたコハク酸としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。以上の脂肪族ジカルボン酸化合物の中でも、炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。以上の芳香族ジカルボン酸化合物の中でも、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。なお、多価カルボン酸化合物を含む場合、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分には1価のアルコールが適宜含有されていてもよく、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。なお、多価カルボン酸化合物を含む場合、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分には1価のアルコールが適宜含有されていてもよく、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分(a2)中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは25モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分100モル%中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは75モル%であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、カルボン酸成分100モル%中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは75モル%であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
本発明の好ましい態様の1つにおいて、カルボン酸成分(a2)は、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群から選ばれる1種以上を合計40モル%以上含み、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
(アルコール成分(b1)に対するカルボン酸成分(b2)のモル比)
アルコール成分(b1)に対するカルボン酸成分(b2)のモル比〔カルボン酸成分(b2)/アルコール成分(b1)〕は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
アルコール成分(b1)に対するカルボン酸成分(b2)のモル比〔カルボン酸成分(b2)/アルコール成分(b1)〕は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
(ポリエチレンテレフタレート由来の構成単位)
ポリエステル(B)は、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位及びテレフタル酸由来の構成単位を含むことができる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール由来及びテレフタル酸由来の構成単位の他にブタンジオールやイソフタル酸等の成分を少量含有してもよい。ポリエチレンテレフタレートは、回収されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル(A)がポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール及びテレフタル酸由来の構成単位を含む場合、「アルコール成分(a1)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位を含み、「カルボン酸成分(a2)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸由来の構成単位を含む。
ポリエステル(B)は、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位及びテレフタル酸由来の構成単位を含むことができる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール由来及びテレフタル酸由来の構成単位の他にブタンジオールやイソフタル酸等の成分を少量含有してもよい。ポリエチレンテレフタレートは、回収されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル(A)がポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール及びテレフタル酸由来の構成単位を含む場合、「アルコール成分(a1)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位を含み、「カルボン酸成分(a2)由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸由来の構成単位を含む。
(ポリエステル(B)の物性)
ポリエステル(B)の軟化点は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
ポリエステル(B)の水酸基価は、同様の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
ポリエステル(B)の重量平均分子量Mwは、同様の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは8000以上であり、そして、好ましくは70000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは25000以下である。
ポリエステル(B)の軟化点は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
ポリエステル(B)の水酸基価は、同様の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
ポリエステル(B)の重量平均分子量Mwは、同様の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは8000以上であり、そして、好ましくは70000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは25000以下である。
ポリエステル(B)の軟化点、水酸基価及び重量平均分子量Mwは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、軟化点、水酸基価及び重量平均分子量Mwは、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
ポリエステル(B)は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルは、具体的には、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられる。好ましい変性されたポリエステルは、ポリエステルをポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステルが挙げられる。
アスファルト改質剤中の結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、質量比で、ポリエステル(B)/結晶性ポリエステル(A)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以下であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下、更に好ましくは90/10以下である。
(ポリエステルの製造方法)
本発明のアスファルト改質剤を構成する結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述したアルコール成分(a1)及びカルボン酸成分(a2)、並びに、上述したアルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)を重縮合することにより製造することができる。
重縮合反応の温度は、特に限定されるものではないが、反応性を調整し、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは160℃以上260℃以下である。
本発明のアスファルト改質剤を構成する結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述したアルコール成分(a1)及びカルボン酸成分(a2)、並びに、上述したアルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)を重縮合することにより製造することができる。
重縮合反応の温度は、特に限定されるものではないが、反応性を調整し、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは160℃以上260℃以下である。
本発明に用いられるポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコールに由来する構成単位及びポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸に由来する構成単位を含む場合、その原料におけるポリエチレンテレフタレートの存在量は、ポリエチレンテレフタレート、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、好ましくは5~80質量%、より好ましくは15~70質量%、更に好ましくは25~60質量%である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応の際にポリエチレンテレフタレートを添加することで、エステル交換反応が起こり、ポリエチレンテレフタレートの構成単位がアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位中に取り込まれたポリエステルを得ることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、重縮合反応開始時から存在させていても、重縮合反応途中で反応系に添加してもよい。ポリエチレンテレフタレートの添加時期は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との反応率が10%以下の段階が好ましく、5%以下の段階がより好ましい。なお、反応率とは、生成反応水量(モル)/理論生成水量(モル)×100の値をいう。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応の際にポリエチレンテレフタレートを添加することで、エステル交換反応が起こり、ポリエチレンテレフタレートの構成単位がアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位中に取り込まれたポリエステルを得ることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、重縮合反応開始時から存在させていても、重縮合反応途中で反応系に添加してもよい。ポリエチレンテレフタレートの添加時期は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との反応率が10%以下の段階が好ましく、5%以下の段階がより好ましい。なお、反応率とは、生成反応水量(モル)/理論生成水量(モル)×100の値をいう。
重縮合反応には、反応速度の観点から、エステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒としては、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)等のSn-C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、反応速度の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。
重縮合反応には、エステル化触媒に加えて、助触媒を使用することができる。助触媒としては、没食子酸等のピロガロール化合物が挙げられる。助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下である。
重縮合反応には、触媒に加えて、反応速度の観点から、ターシャルブチルカテコール等の重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。
重縮合反応には、エステル化触媒に加えて、助触媒を使用することができる。助触媒としては、没食子酸等のピロガロール化合物が挙げられる。助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下である。
重縮合反応には、触媒に加えて、反応速度の観点から、ターシャルブチルカテコール等の重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。
本発明のアスファルト改質剤は、例えばアスファルトと混合し、アスファルト組成物を得るために使用することができる。
得られたアスファルト組成物に、加熱した骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用することができる。本発明のアスファルト改質剤は、骨材を含むアスファルト混合物に配合するためのアスファルト改質剤として好適に使用することができる。
得られたアスファルト組成物に、加熱した骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用することができる。本発明のアスファルト改質剤は、骨材を含むアスファルト混合物に配合するためのアスファルト改質剤として好適に使用することができる。
[アスファルト組成物]
本発明のアスファルト組成物は、アスファルト並びに上記アスファルト改質剤、すなわち上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含有する。
<アスファルト>
アスファルトとしては、種々のアスファルトが使用できる。例えば舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトの他、改質アスファルトが挙げられる。改質アスファルトとしては、ブローンアスファルト;熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等の高分子材料で改質したポリマー改質アスファルト等が挙げられる。ストレートアスファルトとは、原油を常圧蒸留装置、減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質のことである。また、ブローンアスファルトとは、ストレートアスファルトと重質油との混合物を加熱し、その後空気を吹き込んで酸化させることによって得られるアスファルトを意味する。アスファルトは、ストレートアスファルト及びポリマー改質アスファルトから選択されることが好ましく、アスファルト舗装の耐久性の観点からはポリマー改質アスファルトがより好ましく、汎用性の観点からはストレートアスファルトがより好ましい。ポリマー改質アスファルトとしては、熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルトがより好ましい。
改質アスファルトは、好ましくはポリマー改質アスファルトであり、より好ましくは熱可塑性エラストマーで改質したポリマー改質アスファルトである。
本発明のアスファルト組成物は、アスファルト並びに上記アスファルト改質剤、すなわち上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含有する。
<アスファルト>
アスファルトとしては、種々のアスファルトが使用できる。例えば舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトの他、改質アスファルトが挙げられる。改質アスファルトとしては、ブローンアスファルト;熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等の高分子材料で改質したポリマー改質アスファルト等が挙げられる。ストレートアスファルトとは、原油を常圧蒸留装置、減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質のことである。また、ブローンアスファルトとは、ストレートアスファルトと重質油との混合物を加熱し、その後空気を吹き込んで酸化させることによって得られるアスファルトを意味する。アスファルトは、ストレートアスファルト及びポリマー改質アスファルトから選択されることが好ましく、アスファルト舗装の耐久性の観点からはポリマー改質アスファルトがより好ましく、汎用性の観点からはストレートアスファルトがより好ましい。ポリマー改質アスファルトとしては、熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルトがより好ましい。
改質アスファルトは、好ましくはポリマー改質アスファルトであり、より好ましくは熱可塑性エラストマーで改質したポリマー改質アスファルトである。
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーで改質したポリマー改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(以下、「SB」ともいう)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう)、スチレン/ブタジエンランダム共重合体(以下、「SBR」ともいう)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(以下、「SI」ともいう)、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)、スチレン/イソプレンランダム共重合体(以下、「SIR」ともいう)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン/イソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、上記以外の合成ゴム、及び天然ゴムから選択される少なくとも1種が挙げられる。改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、好ましくは、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレンランダム共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種である。
これらの中でも、熱可塑性エラストマーとしては、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、SIR、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種、より好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、及びSIRから選択される少なくとも1種、更に好ましくはSBR及びSBSから選択される少なくとも1種である。
ポリマー改質アスファルト中の熱可塑性エラストマーの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
熱可塑性エラストマーで改質したポリマー改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(以下、「SB」ともいう)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう)、スチレン/ブタジエンランダム共重合体(以下、「SBR」ともいう)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(以下、「SI」ともいう)、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)、スチレン/イソプレンランダム共重合体(以下、「SIR」ともいう)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン/イソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、上記以外の合成ゴム、及び天然ゴムから選択される少なくとも1種が挙げられる。改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、好ましくは、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレンランダム共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種である。
これらの中でも、熱可塑性エラストマーとしては、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、SIR、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種、より好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、及びSIRから選択される少なくとも1種、更に好ましくはSBR及びSBSから選択される少なくとも1種である。
ポリマー改質アスファルト中の熱可塑性エラストマーの含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
<結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量>
本発明のアスファルト組成物において、上記結晶性ポリエステル(A)の含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物における上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物において、上記結晶性ポリエステル(A)の含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは2質量部、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物における上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物は、バインダ組成物であり、例えば、該アスファルト組成物に、骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用できる。すなわち、本発明のアスファルト組成物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
<アスファルト組成物の製造方法>
本発明のアスファルト組成物を製造する方法は、アスファルトと、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて上記ポリエステル(B)とを混合する工程を有することが好ましい。
本発明のアスファルト組成物を製造する方法は、アスファルトと、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて上記ポリエステル(B)とを混合する工程を有することが好ましい。
アスファルト組成物は、アスファルトを加熱溶融し、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加し、通常用いられている混合機にて、各成分が均一に分散するまで撹拌混合することにより得られる。通常用いられている混合機としては、ホモミキサー、ディゾルバー、パドルミキサー、リボンミキサー、スクリューミキサー、プラネタリーミキサー、真空逆流ミキサー、ロールミル、二軸押出機等が挙げられる。
アスファルトと、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)との混合温度は、アスファルト中に結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を均一に分散させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは160℃以上、より更に好ましくは170℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下、より更に好ましくは190℃以下である。
また、アスファルトと、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)との混合時間は、効率的にアスファルト中に結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を均一に分散させる観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1.0時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは7時間以下、更に好ましくは5時間以下、より更に好ましくは3時間以下である。
[アスファルト混合物]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含む。また、本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を配合してなる。本発明のアスファルト混合物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含む。また、本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を配合してなる。本発明のアスファルト混合物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
<骨材>
骨材としては、砕石、玉石、砂利、砂、再生骨材、セラミックス等を任意に選択して用いることができる。また、骨材としては、粒径2.36mm以上の粗骨材、粒径2.36mm未満の細骨材のいずれも使用することができる。
粗骨材としては、例えば、粒径範囲2.36mm以上4.75mm未満の砕石、粒径範囲4.75mm以上12.5mm未満の砕石、粒径範囲12.5mm以上19mm未満の砕石、粒径範囲19mm以上31.5mm未満の砕石が挙げられる。
細骨材は、好ましくは粒径0.075mm以上2.36mm未満の細骨材である。細骨材としては、川砂、丘砂、山砂、海砂、砕砂、細砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
上記の粒径はJIS A5001:2008に規定される値である。
これらの中でも、粗骨材と細骨材との組合せが好ましい。
骨材としては、砕石、玉石、砂利、砂、再生骨材、セラミックス等を任意に選択して用いることができる。また、骨材としては、粒径2.36mm以上の粗骨材、粒径2.36mm未満の細骨材のいずれも使用することができる。
粗骨材としては、例えば、粒径範囲2.36mm以上4.75mm未満の砕石、粒径範囲4.75mm以上12.5mm未満の砕石、粒径範囲12.5mm以上19mm未満の砕石、粒径範囲19mm以上31.5mm未満の砕石が挙げられる。
細骨材は、好ましくは粒径0.075mm以上2.36mm未満の細骨材である。細骨材としては、川砂、丘砂、山砂、海砂、砕砂、細砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
上記の粒径はJIS A5001:2008に規定される値である。
これらの中でも、粗骨材と細骨材との組合せが好ましい。
なお、細骨材には、粒径0.075mm未満のフィラーが含まれていてもよい。フィラーとしては、砂、フライアッシュ、石灰石粉末などの炭酸カルシウム、消石灰等が挙げられる。このうち、アスファルト舗装の強度向上の観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
フィラーの平均粒径は、乾燥強度向上の観点から、好ましくは0.001mm以上であり、そして、好ましくは0.06mm以下、より好ましくは0.04mm以下、更に好ましくは0.03mm以下である。フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。ここで、平均粒径とは、体積累積50%の平均粒径を意味する。
フィラーの平均粒径は、乾燥強度向上の観点から、好ましくは0.001mm以上であり、そして、好ましくは0.06mm以下、より好ましくは0.04mm以下、更に好ましくは0.03mm以下である。フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。ここで、平均粒径とは、体積累積50%の平均粒径を意味する。
粗骨材と細骨材との質量比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
アスファルト混合物における好適な配合例として、以下の(1)~(3)が挙げられる。
(1)例えば、30容量%以上45容量%未満の粗骨材と、30容量%以上50容量%以下の細骨材と、5容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む細粒度アスファルト。
(2)例えば、45容量%以上70容量%未満の粗骨材と、20容量%以45容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む密粒度アスファルト。
(3)例えば、70容量%以上80容量%以下の粗骨材と、10容量%以上20容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含むポーラスアスファルト。
(1)例えば、30容量%以上45容量%未満の粗骨材と、30容量%以上50容量%以下の細骨材と、5容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む細粒度アスファルト。
(2)例えば、45容量%以上70容量%未満の粗骨材と、20容量%以45容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む密粒度アスファルト。
(3)例えば、70容量%以上80容量%以下の粗骨材と、10容量%以上20容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含むポーラスアスファルト。
上記ポーラスアスファルトは、排水性舗装に好適に使用することができる。
アスファルト混合物中の骨材の含有量は、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。
なお、従来の骨材とアスファルトを含むアスファルト混合物におけるアスファルトの配合割合については、通常、公益社団法人日本道路協会発行の「舗装設計施工指針」に記載されている「アスファルト組成物の配合設計」から求められる最適アスファルト量に従って用いられている。
本発明においては、上記の最適アスファルト量が、アスファルト、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計量に相当する。ただし、「舗装設計施工指針」に記載の方法に限定する必要はなく、他の方法によって決定してもよい。
本発明においては、上記の最適アスファルト量が、アスファルト、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計量に相当する。ただし、「舗装設計施工指針」に記載の方法に限定する必要はなく、他の方法によって決定してもよい。
アスファルト混合物中のアスファルトの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
(ポリエステルの含有量)
本発明のアスファルト混合物における上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
アスファルト混合物中の上記結晶性ポリエステル(A)及び上記ポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、質量比で、ポリエステル(B)/ポリエステル(A)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下である。
本発明のアスファルト混合物における上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有する上記ポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
アスファルト混合物中の上記結晶性ポリエステル(A)及び上記ポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト合材の充填効率および舗装強度の観点から、質量比で、ポリエステル(B)/ポリエステル(A)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下である。
アスファルト混合物は、更に必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
[アスファルト混合物の製造方法]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、加熱した骨材、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて上記ポリエステル(B)を配合して得ることができる。本発明のアスファルト混合物の製造方法は、アスファルト、加熱した骨材、上記結晶性ポリエステル(A)、及び必要に応じて上記ポリエステル(B)を同時に又は順不同で混合する工程を含む。
アスファルト混合物の具体的な製造方法としては、従来のプラントミックス方式、プレミックス方式等といわれるアスファルト混合物の製造方法が挙げられる。いずれも加熱した骨材にアスファルト及びポリエステルを添加する方法である。
上記混合する工程は、好ましくは以下の(i)~(iii)のいずれかである。
(i)加熱した骨材に、アスファルトを添加及び混合した後、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加及び混合する、
(ii)加熱した骨材に、アスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を同時に添加及び混合する、又は
(iii)加熱した骨材に、事前に加熱混合したアスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)の混合物を添加及び混合する。
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、加熱した骨材、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて上記ポリエステル(B)を配合して得ることができる。本発明のアスファルト混合物の製造方法は、アスファルト、加熱した骨材、上記結晶性ポリエステル(A)、及び必要に応じて上記ポリエステル(B)を同時に又は順不同で混合する工程を含む。
アスファルト混合物の具体的な製造方法としては、従来のプラントミックス方式、プレミックス方式等といわれるアスファルト混合物の製造方法が挙げられる。いずれも加熱した骨材にアスファルト及びポリエステルを添加する方法である。
上記混合する工程は、好ましくは以下の(i)~(iii)のいずれかである。
(i)加熱した骨材に、アスファルトを添加及び混合した後、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加及び混合する、
(ii)加熱した骨材に、アスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を同時に添加及び混合する、又は
(iii)加熱した骨材に、事前に加熱混合したアスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)の混合物を添加及び混合する。
ポリエステル(B)を使用する場合、結晶性ポリエステル(A)とポリエステル(B)の添加は、同時でも前後して別々でもよい。前後して別々に添加する場合、結晶性ポリエステル(A)の後にポリエステル(B)を添加しても、ポリエステル(B)の後に結晶性ポリエステル(A)を添加してもよい。
(i)~(iii)の方法における加熱した骨材の温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合時間は、特に限定されず、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上であり、時間の上限は、特に限定されず、好ましくは約30分程度である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合時間は、特に限定されず、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上であり、時間の上限は、特に限定されず、好ましくは約30分程度である。
アスファルト混合物の製造方法は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合する工程後、得られた混合物を上記の混合温度で保持する工程を有することが好ましい。
アスファルト混合物を保持する工程においては、混合物を更に混合してもよい。
保持時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間の上限は、特に限定されないが、例えば5時間程度である。
アスファルト混合物を保持する工程においては、混合物を更に混合してもよい。
保持時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間の上限は、特に限定されないが、例えば5時間程度である。
[道路舗装方法]
本発明のアスファルト混合物は、道路舗装用として好適であり、道路舗装に使用される。
道路舗装方法は、前述のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する。具体的には、道路舗装方法は、アスファルトと、前述の結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)と、骨材とを混合する、アスファルト混合物を得る工程(工程1)、及び前記工程1で得られたアスファルト混合物を道路に施工してアスファルト舗装材層を形成する工程(工程2)を含む。アスファルト舗装材層は、通常は基層又は表層であり、耐わだち掘れ性及び表面美観の効果を発揮する観点から、好ましくは表層である。
本発明のアスファルト混合物は、道路舗装用として好適であり、道路舗装に使用される。
道路舗装方法は、前述のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する。具体的には、道路舗装方法は、アスファルトと、前述の結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)と、骨材とを混合する、アスファルト混合物を得る工程(工程1)、及び前記工程1で得られたアスファルト混合物を道路に施工してアスファルト舗装材層を形成する工程(工程2)を含む。アスファルト舗装材層は、通常は基層又は表層であり、耐わだち掘れ性及び表面美観の効果を発揮する観点から、好ましくは表層である。
アスファルト舗装材層の厚さは、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3cm以上、より好ましくは4cm以上、更に好ましくは4.5cm以上であり、そして、好ましくは7cm以下、より好ましくは6cm以下、更に好ましくは5.5cm以下である。本発明の別の態様において、アスファルト舗装材層を薄層舗装とすることができ、表層の厚さは、好ましくは1cm以上、より好ましくは1.5cm以上、更に好ましくは2cm以上であり、そして、好ましくは4cm以下、より好ましくは3.5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。
アスファルト混合物は、公知の施工機械編成で、同様の方法によって締固め施工すればよい。加熱アスファルト混合物として使用する場合の締固め温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
アスファルト混合物は、公知の施工機械編成で、同様の方法によって締固め施工すればよい。加熱アスファルト混合物として使用する場合の締固め温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
各種物性については、以下の方法により、測定及び評価を行った。
なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
〔ポリエステルの軟化点(Ts)〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を
昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直
径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジ
ャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を
昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直
径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジ
ャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔結晶性指数〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社
製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10
℃/分で0℃まで冷却した。次いで試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温
速度10℃/分で180℃まで昇温しながら熱量を測定した。観測される吸熱ピークのう
ち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(Tmax)とした。
Ts/Tmaxにより、結晶性指数を求めた。
結晶性ポリエステルとは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社
製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10
℃/分で0℃まで冷却した。次いで試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温
速度10℃/分で180℃まで昇温しながら熱量を測定した。観測される吸熱ピークのう
ち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(Tmax)とした。
Ts/Tmaxにより、結晶性指数を求めた。
結晶性ポリエステルとは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。
〔ポリエステルの融点(Tm)及びガラス転移点(Tg)〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社
製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、
その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次いで昇温速度10℃/分で15
0℃まで昇温しながら測定した。ピーク面積が最大のピークの温度が、軟化点との差が2
0℃以内であれば融点とした。
吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピー
クの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社
製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、
その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次いで昇温速度10℃/分で15
0℃まで昇温しながら測定した。ピーク面積が最大のピークの温度が、軟化点との差が2
0℃以内であれば融点とした。
吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピー
クの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
〔ポリエステルの酸価及び水酸基価〕
ポリエステルの酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992に規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
ポリエステルの酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992に規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
製造例1及び4~6(ポリエステルA1及びA4~A6)
表1に示すステアリン酸以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にステアリン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA1、A4~A6を得た。結果を表1に示す。
表1に示すステアリン酸以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にステアリン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA1、A4~A6を得た。結果を表1に示す。
製造例2 (ポリエステルA2)
表1に示すステアリルアルコール以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にステアリルアルコールを添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA2を得た。結果を表1に示す。
表1に示すステアリルアルコール以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にステアリルアルコールを添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA2を得た。結果を表1に示す。
製造例3(ポリエステルA3)
表1に示すラウリン酸以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にラウリン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA3を得た。結果を表1に示す。
表1に示すラウリン酸以外の原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、140℃で6時間保持し、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、200℃にて1時間反応させた後、180℃まで冷却した。次にラウリン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA3を得た。結果を表1に示す。
製造例7(ポリエステルB1)
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、235℃まで昇温した。その後235℃で8時間反応させ、更に235℃、8.3kPaの減圧条件にて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB1を得た。結果を表2に示す。
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、235℃まで昇温した。その後235℃で8時間反応させ、更に235℃、8.3kPaの減圧条件にて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB1を得た。結果を表2に示す。
製造例8(ポリエステルB2)
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分、テレフタル酸及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却し、アルケニルコハク酸無水物を投入した。210℃まで2時間かけて昇温後、210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB2を得た。結果を表2に示す。
なお、用いたアルケニル無水コハク酸は、ドデセニル無水コハク酸(平均分子量256)であった。
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分、テレフタル酸及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却し、アルケニルコハク酸無水物を投入した。210℃まで2時間かけて昇温後、210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB2を得た。結果を表2に示す。
なお、用いたアルケニル無水コハク酸は、ドデセニル無水コハク酸(平均分子量256)であった。
製造例9(ポリエステルB3)
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分、テレフタル酸及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却した。次にアジピン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、10kPaにて表2に示す軟化点まで反応を行い、ポリエステルB3を得た。結果を表2に示す。
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分、テレフタル酸及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却した。次にアジピン酸を添加し、180℃から210℃まで3時間かけて昇温し、210℃到達後、10kPaにて表2に示す軟化点まで反応を行い、ポリエステルB3を得た。結果を表2に示す。
製造例10(ポリエステルC1)
表2に示す原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にて140℃で6時間保持、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルC1を得た。結果を表2に示す。
表2に示す原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にて140℃で6時間保持、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルC1を得た。結果を表2に示す。
製造例11(ポリエステルC2)
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸錫)(II)及び没食子酸を添加し、180℃で2時間保持し、さらに210℃まで3時間かけて昇温後、210℃にて4時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルC2を得た。結果を表2に示す。
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸錫)(II)及び没食子酸を添加し、180℃で2時間保持し、さらに210℃まで3時間かけて昇温後、210℃にて4時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルC2を得た。結果を表2に示す。
実施例1
180℃に加熱した骨材(骨材の組成は以下を参照)15kgをアスファルト用混合機に入れ、180℃にて60秒間混合した。次いで180℃に加熱した改質II型アスファルト(日進化成株式会社製 エポックファルトD)0.82kgを加え、アスファルト用混合機にて1分間混合した。その後、製造例1で得たポリエステルA1 152.2g及び製造例4で得たポリエステルB1 12.3gを同時に添加し更に1分間混合し、アスファルト混合物AS-1を得た。
得られたアスファルト混合物AS-1 1180gを型枠に充填し、株式会社ナカジマ技販製アスファルト自動突き固め装置(NA-507)を用いて片面20回両面突き固めにて成型した後、室温まで15時間かけて放冷し、アスファルト供試体M-1を得た。この供試体の空隙率を測定することによりアスファルト合材の充填効率の評価を、マーシャル安定度を測定することにより舗装強度の評価をした。その結果を表3に示す。なお、空隙率測定は「B008ー1密粒度アスファルト混合物等の密度試験方法」に、マーシャル安定度試験は「B001マーシャル安定度試験方法」にそれぞれ従った。
180℃に加熱した骨材(骨材の組成は以下を参照)15kgをアスファルト用混合機に入れ、180℃にて60秒間混合した。次いで180℃に加熱した改質II型アスファルト(日進化成株式会社製 エポックファルトD)0.82kgを加え、アスファルト用混合機にて1分間混合した。その後、製造例1で得たポリエステルA1 152.2g及び製造例4で得たポリエステルB1 12.3gを同時に添加し更に1分間混合し、アスファルト混合物AS-1を得た。
得られたアスファルト混合物AS-1 1180gを型枠に充填し、株式会社ナカジマ技販製アスファルト自動突き固め装置(NA-507)を用いて片面20回両面突き固めにて成型した後、室温まで15時間かけて放冷し、アスファルト供試体M-1を得た。この供試体の空隙率を測定することによりアスファルト合材の充填効率の評価を、マーシャル安定度を測定することにより舗装強度の評価をした。その結果を表3に示す。なお、空隙率測定は「B008ー1密粒度アスファルト混合物等の密度試験方法」に、マーシャル安定度試験は「B001マーシャル安定度試験方法」にそれぞれ従った。
<骨材の組成>
6号砕石 40.0質量部
7号砕石 13.0質量部
砕砂 10.0質量部
川砂 22.0質量部
山砂 10.0質量部
石粉(炭酸カルシウム)5.0質量部
通過質量%:
ふるい目 19.0mm:100質量%
ふるい目 9.50mm:80.1質量%
ふるい目 4.75mm:59.4質量%
ふるい目 2.36mm:43.4質量%
ふるい目 1.18mm:29.1質量%
ふるい目 600μm :18.9質量%
ふるい目 300μm :11.7質量%
ふるい目 150μm :7.6質量%
6号砕石 40.0質量部
7号砕石 13.0質量部
砕砂 10.0質量部
川砂 22.0質量部
山砂 10.0質量部
石粉(炭酸カルシウム)5.0質量部
通過質量%:
ふるい目 19.0mm:100質量%
ふるい目 9.50mm:80.1質量%
ふるい目 4.75mm:59.4質量%
ふるい目 2.36mm:43.4質量%
ふるい目 1.18mm:29.1質量%
ふるい目 600μm :18.9質量%
ふるい目 300μm :11.7質量%
ふるい目 150μm :7.6質量%
実施例2~10、比較例1~5
表3に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調製した。
表3に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調製した。
表3の結果から、特定のアスファルト改質剤を添加した実施例1~10は、良好なアスファルト合材の充填効率が得られ、アスファルト舗装の強度も向上する。このような効果は、ポリエステル(B)を使用しない実施例9及び10においても発揮される。そして、ポリエステル(B)を併用する実施例1~8では、極めて高い相乗的効果が発揮される。
ポリエステルを添加しない比較例1は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度のいずれもが不十分である。比較例2~5は、いずれもアスファルト合材の充填効率が比較例1に劣る。比較例2及び3より、本発明以外のポリエステルの添加量を増加させると、アスファルト合材の充填効率が低下することが分かる。
ポリエステルを添加しない比較例1は、アスファルト合材の充填効率及びアスファルト舗装の強度のいずれもが不十分である。比較例2~5は、いずれもアスファルト合材の充填効率が比較例1に劣る。比較例2及び3より、本発明以外のポリエステルの添加量を増加させると、アスファルト合材の充填効率が低下することが分かる。
Claims (16)
- 結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであるアスファルト改質剤。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む - 前記カルボン酸成分(a2)中、1価の脂肪族カルボン酸の含有量が5モル%以上25モル%以下である、請求項1に記載のアスファルト改質剤。
- 前記一価の脂肪族カルボン酸中、炭素数6以上100以下の1価脂肪酸の含有量が60モル%以上である、請求項1又は2に記載のアスファルト改質剤。
- 前記アルコール成分(a1)中、1価の脂肪族アルコールの含有量が5モル%以上25モル%以下である、請求項1~3のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
- 前記1価の脂肪族アルコール中、炭素数6以上100以下の1価脂肪族アルコールの含有量が60モル%以上である、請求項1~4のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
- 前記アルコール成分(a1)中の炭素数6以上20以下の飽和脂肪族ジオールの含有量が60モル%以上である、請求項1~5のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
- 前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含み、前記結晶性ポリエステル(A)の水酸基価が0.1mgKOH/g以上5mgKOH/g以下である、請求項1~6のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
- 前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含み、前記結晶性ポリエステル(A)の酸価が0.1mgKOH/g以上5mgKOH/g以下である、請求項1~6のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
- ポリエステル(B)を更に含むアスファルト改質剤であって、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸(b2)由来の構成単位を含み、前記アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載のアスファルト改質剤。 - カルボン酸成分(b2)中のテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上の合計含有量が40モル%以上である、請求項9に記載のアスファルト改質剤。
- 前記ポリエステル(A)に対する前記ポリエステル(B)の質量比(B)/(A)が、60/40以上99/1以下である、請求項9または10に記載のアスファルト改質剤。
- アスファルト及び請求項1~11のいずれかに記載のアスファルト改質剤を含有するアスファルト組成物。
- 前記結晶性ポリエステル(A)の含有量が、前記アスファルト100質量部に対し0.1質量部以上2質量部以下である、請求項11に記載のアスファルト組成物。
- アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるアスファルト混合物であって、
該結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
下記条件(i)及び条件(ii)の少なくとも一方の条件を満たす結晶性ポリエステルであり、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸(b2)由来の構成単位を含み、前記アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が40モル%以上である、アスファルト混合物。
(i)前記カルボン酸成分(a2)が1価の脂肪族カルボン酸を含む
(ii)前記アルコール成分(a1)が1価の脂肪族アルコールを含む - 結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計含有量が、アスファルト100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、請求項10又は11に記載のアスファルト混合物。
- 請求項14又は15に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する、道路舗装方法。
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