JP2023076246A - 基板保持部材及び基板保持部材の製造方法 - Google Patents

基板保持部材及び基板保持部材の製造方法 Download PDF

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Hiromasa Shimojima
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Abstract

【課題】基板の外周部の変形を抑制できるとともに、基板との接触面積を容易に調整することができる基板保持部材を提供する。【解決手段】基板保持部材100は、セラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置された環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置された複数の凸部156とが設けられている。環状凸部152の内周面152bは、下方に向かうにつれて内側に傾いた傾斜面である。【選択図】 図2

Description

本発明は、シリコンウェハ等の基板を保持する基板保持部材及び基板保持部材の製造方法に関する。
特許文献1には、ウェハなどの基板を保持する静電チャックが開示されている。特許文献1に記載の静電チャックは、基板が載置される基体と、基体の上面から突出して基板を支持する複数の凸部(突起)と、基体の外周縁部の上面から環状に突出して基板を支持する環状凸部(シールリング)とを備える。
特開2009-111243号公報
特許文献1に記載の静電チャックにおいては、シールリングの内側において分散配置されている複数の突起の高さと、シールリングの高さとが同じである。基板とシールリングとが接触することにより、基板の外周部の変形を抑制することができる。しかしながら、シールリングの幅によっては基板との接触面積が大きくなりすぎたり、小さくなりすぎたりすることがあり、基板とシールリングとの接触面における熱の伝わりが一様でない場合がありうる。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、基板の外周部の変形を抑制できるとともに、基板との接触面積を容易に調整することができ、その結果、基板に伝熱する熱量を基板の外周部とその内側領域で容易に調整して基板を均熱化することができる基板保持部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、上面、前記上面と上下方向において対向する下面を有するセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備える基板保持部材であって、
前記セラミックス基材は、
前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
前記環状の凸部の、前記セラミックス基材の中心を通り且つ前記上下方向に平行な垂直面の断面を縦断面としたとき、
前記縦断面における前記環状の凸部の、前記上下方向の少なくとも上半分の範囲において、前記環状の凸部の前記上下方向に垂直な方向の長さは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に小さくなる、あるいは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に大きくなることを特徴とする、基板保持部材が提供される。
上記態様においては、セラミックス基材の外周部に環状凸部が設けられており、基板を保持する際に基板の外周部と当接する。これにより、基板をセラミックス基材の上面に保持したとき、基板の外周部が変形することを抑制することができる。また、縦断面における環状の凸部の、上下方向の少なくとも上半分の範囲において、環状の凸部の上下方向に垂直な方向の長さが、環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に小さくなっている。あるいは、縦断面における環状の凸部の、上下方向の少なくとも上半分の範囲において、環状の凸部の上下方向に垂直な方向の長さが、環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に大きくなっている。これらの場合には、環状の凸部と複数の凸部の、上下方向に垂直な方向の長さが短くなるように削除加工を行うことにより、容易に、環状の凸部の上面と基板との接触面積を調整することができる。これにより、基板保持部材から基板に伝わる熱量が、環状の凸部の上面に当接する円環状の領域において局所的に小さくなったり大きくなったりすることを抑制することができ、基板保持部材から基板に伝わる熱量を均熱化することができる。
図1は、基板保持部材100の斜視図である。 図2は、基板保持部材100の概略説明図である。 図3は、電極120の概略説明図である。 (a)~(e)は、セラミックス基材110の製造方法の流れを示す図である。 (a)~(d)は、セラミックス基材110の別の製造方法の流れを示す図である。 図6は、実施例2の基板保持部材100の、環状凸部152の外周面152cを説明するための説明図である。 図7は、実施例3の基板保持部材100の、環状凸部152の内周面152bを説明するための説明図である。 図8は、実施例4の基板保持部材100の、環状凸部152の内周面152bを説明するための説明図である。 図9は、実施例4の基板保持部材100の、静電吸着用電極124を説明するための説明図である。 図10は、実施例5の基板保持部材100の、接合用凸部114を説明するための説明図である。 図11は、実施例1~5の結果をまとめた表である。 図12は、環状凸部152の内周面152bの、別の形状を説明するための説明図である。 図13は、基板保持部材100の製造方法を示すフローチャートである。 図14は、変形例にかかる基板保持部材100の、環状凸部152の外周面152c及びセラミックス基材110の外周面110cを説明するための説明図である。 図15は、変形例にかかる基板保持部材100の、環状凸部152の内周面152b及び外周面152cを説明するための説明図である。
<基板保持部材100>
本発明の実施形態に係る基板保持部材100について、図1、2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る基板保持部材100は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ(以下、単にウェハ10という)の加熱に用いられるセラミックスヒータである。なお、以下の説明においては、基板保持部材100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係る基板保持部材100は、セラミックス基材110と、電極120と、シャフト130と、給電線140と
を備える。
セラミックス基材110は、直径12インチ(約300mm)の円形の板状の形状を有する部材であり、セラミックス基材110の上には加熱対象であるウェハ10が載置される。なお、図1では図面を見やすくするためにウェハ10とセラミックス基材110とを離して図示している。図1に示されるように、セラミックス基材110の上面111には、環状の凸部152(以下、単に環状凸部152という)と、複数の凸部156とが設けられている。なお、図1においては、図面を見やすくするために、図2と比べて複数の凸部156の数を減らして図示している。また、図2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、後述の第1ガス流路164が形成されている。セラミックス基材110は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成することができる。
図1、2に示されるように、環状凸部152は、セラミックス基材110の上面111の外周部(外縁部)に配置された円環状の凸部であり、上面111から上方に突出している。図2に示されるように、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたとき、環状凸部152の上面152aはウェハ10の下面と当接する。つまり、環状凸部152は、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたときに、上下方向5においてウェハ10と重なる位置に配置されている。環状凸部152の径方向の内側の側面152b(以下、内周面152bという)は、下方にいくにつれて環状凸部152の幅が大きくなるように傾いた傾斜面になっている。なお、環状凸部152の径方向の外側の側面152c(以下、外周面152cという)は傾斜面ではなく、上面111に対して垂直な面である。セラミックス基材110の上面111の、環状凸部152の内側には、複数の凸部156が設けられている。複数の凸部156はいずれも円柱形状を有している。複数の凸部156のうちの1つは、上面111の略中心に配置されている。残りの凸部156は、等間隔に並んだ4重の同心円の円周上に並んでいる。また、各同心円の円周上において、凸部156は等間隔で並んでいる。なお、凸部156が配置される位置及び/又は数は、用途、作用、機能に応じて適宜設定される。
環状凸部152の高さは、5μm~2mmの範囲にすることができる。同様に、複数の凸部156の高さも、5μm~2mmの範囲にすることができる。本実施形態において、環状凸部152の高さと、複数の凸部156の高さとは同じである。言い換えると、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとは面一である。なお、本明細書において、環状凸部152の高さ及び複数の凸部156の高さは、セラミックス基板110の上面111からの上下方向の長さとして定義される。なお、セラミックス基板110の上面111が平坦でなく、例えば段差を有している場合には、セラミックス基板110の上面111のうち、最も高い位置を基準にして、そこからの上下方向の長さとして定義される。
環状凸部152の上面152aの幅は、一定の幅であることが望ましく、0.1mm~10mmにすることができる。環状凸部152の上面152aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。同様に、複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。なお、環状凸部152の上面152a、及び、複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。
複数の凸部156の上面156aは、直径0.1mm~5mmの円形であることが好ましい。また、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にすることができる。
上述のように、セラミックス基板110の上面111において、複数の凸部156は4つの同心円の円周上に並んでいる。図2に示されるように、上面111の、複数の凸部156が配置された最も内側の同心円と内側から2番目の同心円との間には、第1ガス流路164の開口164aが開口している。第1ガス流路164は、開口164aを備えるガス流路であり、セラミックス基材110の内部に形成されている。第1ガス流路164は、開口164aから下方に延びている。後述のように、第1ガス流路164の下端は、シャフト130の内部に形成された第2ガス流路168の上端に接合されている。
第1ガス流路164は、セラミックス基材110の上面111とウェハ10の下面とによって画定される空間(間隙)にガスを供給するための流路として用いることができる。例えば、ウェハ10とセラミックス基材110との間の伝熱のための伝熱ガスを供給することができる。伝熱ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガスや、窒素ガスなどを用いることができる。伝熱ガスは、第1ガス流路164を通じて、100Pa~40000Paの範囲内で設定された圧力で供給される。また、環状凸部152の上面152aとウェハ10の下面との隙間から、環状凸部152の内側の間隙にプロセスガスが侵入してくる場合には、第1ガス流路164を介して、ガスを排気することができる。この際、排気圧を調整することによって間隙の外側の圧力と、間隙の内側の圧力の差圧を調節することができる。これにより、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向けて吸着させることができる。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、電極120(本発明の発熱体の一例)が埋設されている。図3に示されるように、電極120は帯状に裁断された金属製のメッシュや箔である。電極120の外径は298mmである。電極120はセラミックス基材110の側面から露出しない。電極120の略中央には、給電線140(図1参照)と接続される端子部121が設けられている。電極120はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金のワイヤーを織ったメッシュや箔等の耐熱金属(高融点金属)により形成されている。タングステン、モリブデンの純度は99%以上であることが好ましい。電極120の厚さは0.15mm以下である。なお、電極120の抵抗値を高くして、基板保持部材100の消費電流を低減させるという観点からは、ワイヤーの線径を0.1mm以下、電極120の厚さを0.1mm以下にすることが好ましい。また、帯状に裁断された電極120の幅は2.5mm~20mmであることが好ましく、5mm~15mmであることがさらに好ましい。本実施形態においては、電極120は、図3に示される形状に裁断されているが電極120の形状はこれには限られず、適宜変更しうる。なお、セラミックス基材110の内部には電極120に加えて、あるいは、電極120に代えて、ウェハ10をクーロン力により上面111に引き付けるための静電チャック電極及びセラミックス基材110の上方にプラズマを発生させるためのプラズマ電極のうち少なくとも一方が埋設されていてもよい。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の下面113には、シャフト130が接続されている。シャフト130は中空の略円筒形状の円筒部131と、円筒部131の下方に設けられた大径部132(図1参照)を有する。大径部132は、円筒部131の径よりも大きな径を有している。以下の説明において、円筒部131の長手方向をシャフト130の長手方向6として定義する。図1に示されるように、基板保持部材100の使用状態において、シャフト130の長手方向6は上下方向5と平行である。
なお、セラミックス基材110の下面113に、シャフト130との接合のための凸部114(以下、接合用凸部114と呼ぶ)を設けることができる(図10参照)。接合用凸部114の形状は、接合されるシャフト130の上面の形状と同じであることが好ましく、接合用凸部114の直径は100mm以下であることが好ましい。接合用凸部114
の高さ(下面113からの高さ)は、2mm以上であればよく、5mm以上であることが好ましい。特に高さの上限に制限はないが、製作上の容易さを勘案すると、接合用凸部114の高さは20mm以下であることが好ましい。また、接合用凸部114の下面は、セラミックス基材100の下面113に平行であることが好ましい。接合用凸部114の下面の表面粗さRaは1.6μm以下であればよい。なお、接合用凸部114の下面の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
円筒部131の上面は、セラミックス基材110の下面113(接合用凸部114が設けられている場合には、接合用凸部114の下面)に固定されている。なお、シャフト130は、セラミックス基材110と同じように、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成されてもよい。あるいは、断熱性を高めるために、セラミックス基材110より熱伝導率の低い材料で形成されてもよい。また、円筒部131の上面に、円筒部131の下方に設けられた大径部132と同様な拡径部が設けられてもよい。
図2に示されるように、シャフト130は中空の円筒形状を有しており、その内部(内径より内側の領域)には長手方向6(図1参照)に延びる貫通孔が形成されている。シャフト130の中空の部分(貫通孔)には、電極120に電力を供給するための給電線140が配置されている。給電線140の上端は、電極120の中央に配置された端子部121(図3参照)に電気的に接続されている。給電線140は、不図示のヒータ用電源に接続される。これにより、給電線140を介して電極120に電力が供給される。
また、図2に示されるように、シャフト130の円筒部131には、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されている。上述のように、第2ガス流路168の上端は第1ガス流路164の下端に接続されている。
次に、基板保持部材100の製造方法について説明する。以下では、セラミックス基材110及びシャフト130が窒化アルミニウムで形成される場合を例に挙げて説明する。
まず、セラミックス基材110の製造方法について説明する。図4(a)に示されるように、窒化アルミニウム(AlN)粉末を主成分とする造粒粉Pをカーボン製の有床型501に投入し、パンチ502で仮プレスする。なお、造粒粉Pには、5wt%以下の焼結助剤(例えば、Y)が含まれることが好ましい。次に、図4(b)に示されるように、仮プレスされた造粒粉Pの上に、所定形状に裁断された電極120を配置する。なお、電極120は、加圧方向に垂直な面(有床型501の底面)に平行になるように配置される。このとき、Wのペレット又はMoのペレットを電極120の端子121(図3参照)の位置に埋設してもよい。
図4(c)に示されるように、電極120を覆うようにさらに造粒粉Pを有床型501に投入し、パンチ502でプレスして成形する。次に、図4(d)に示されるように、電極120が埋設された造粒粉Pをプレスした状態で焼成する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。次に、図4(e)に示されるように、端子121を形成するために、電極120までの止まり穴加工を行う。なお、ペレットを埋設した場合には、ペレットまでの止まり穴加工を行えばよい。さらに、第1ガス流路164の一部となる貫通孔を形成する。これにより、内部に第1ガス流路164が形成されたセラミックス基材110を作製することができる。この場合、電極120が第1ガス流路164から露出しないように、予め電極120に所定の開口部を設けることが好ましい。
なお、セラミックス基材110は以下の方法によっても製造することができる。図5(a)に示されるように、窒化アルミニウムの造粒粉Pにバインダーを加えてCIP成型し、円板状に加工して、窒化アルミニウムの成形体510を作製する。次に、図5(b)に示されるように、成形体510の脱脂処理を行い、バインダーを除去する。
図5(c)に示されるように、脱脂された成形体510に、電極120を埋設するための凹部511を形成する。成形体510の凹部511に電極120を配置し、別の成形体510を積層する。なお、凹部511は予め成形体510に形成しておいてもよい。次に、図5(d)に示されるように、電極120を挟むように積層された成形体510をプレスした状態で焼成し、焼成体を作製する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。焼成体を作製した後の工程は、上述の工程と同様であるので、説明を省略する。
このようにして形成されたセラミックス基材110の上面111に対して研削を行い、ラップ加工(鏡面研磨加工)を行う。さらに、上面111に対してサンドブラスト加工を行うことにより、上面111に複数の凸部156及び環状凸部152を形成する。環状凸部152及び複数の凸部156の高さ(上面111からの上下方向の長さ)は、後述のように、基板保持部材の温度評価に応じて調整される。このとき、環状凸部152及び複数の凸部156の高さは同じになるように加工される。なお、複数の凸部156、環状凸部152を形成するための加工方法は、サンドブラスト加工が好適であるが、他の加工方法を用いることもできる。セラミックス基材110の下面113には、下面113から突出した接合用の凸部114(図10参照)が設けられてもよい。
次に、シャフト130の製造方法及びシャフト130とセラミックス基材110との接合方法について説明する。まず、バインダーを数wt%添加した窒化アルミニウムの造粒粉Pを静水圧(1MPa程度)で成形し、成形体を所定形状に加工する。このとき、成形体に第2ガス流路168となる貫通孔を形成する。なお、シャフト130の外径は、30mm~100mm程度である。シャフト130の円筒部131の端面には円筒部131の外径より大きい径を有するフランジ部133が設けられてもよい(図10参照)。円筒部131の長さは例えば、50mm~500mmにすることができる。成形体を所定形状に加工した後、成形体を窒素雰囲気中で焼成する。例えば、1900℃の温度で2時間焼成する。そして、焼成後に焼結体を所定形状に加工することによりシャフト130が形成される。円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、1600℃以上、1MPa以上の一軸圧力下で、拡散接合により固定することができる。この場合には、セラミックス基材110の下面113の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。また、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、接合剤を用いて接合することもできる。接合剤として、例えば、10wt%のYを添加したAlN接合材ペーストを用いることができる。例えば、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113との界面に上記のAlN接合剤ペーストを15μmの厚さで塗布し、上面111に垂直な方向(シャフト130の長手方向6)に5kPaの力を加えつつ、1700℃の温度で1時間加熱することにより、接合することができる。あるいは、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、ねじ止め、ろう付け等によって固定することもできる。
以下、本発明について実施例1~5を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。なお、図11には、実施例1~5の結果をまとめた表が示されている。
[実施例1]
実施例1の基板保持部材100(図2参照)について説明する。実施例1においては、5wt%の焼結助剤(Y)を添加した窒化アルミニウム(AlN)を原料として、上述の作製方法により直径310mm、厚さ25mmのセラミックス基材110を作製した。なお、電極120として、モリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50、平織り)を図3の形状に裁断したものを作製し、このような電極120をセラミックス基材110に埋設した。
セラミックス基材110の上面111に、内径278mm、外径298mm、幅10mm、上面111からの高さ200μmの環状凸部152を形成した。環状凸部152の上面152aの幅は1mmである。環状凸部152の内周面152bの、縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)は、直線形状である。さらに、セラミックス基材110の上面111に、直径1mm、上面111からの高さ200μmの円柱形状の複数の凸部156を1096個形成した。上述のように、複数の凸部156は同心円状に配置されており、各凸部間の距離は10mm~20mmの範囲とした。なお、本明細書において、環状凸部152の上面152aの面積Sと、複数の凸部156の上面156の面積の総和Spとの面積比S/Spをリブ・ピン面積比と呼ぶ。実施例1の基板保持部材100のリブ・ピン面積比S/Spは1.08であった。
実施例1の基板保持部材100において、環状凸部152の高さが200μmであり、複数の凸部156の高さが200μmである。つまり、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは同じである。言い換えると、環状凸部152の上面152aの上下方向5の位置(高さ位置)と、凸部156の上面156aの上下方向5の高さ位置とが同じである。なお、環状凸部152の上面152a及び凸部156の上面156aの表面粗さRaは、いずれも0.4μmとした。
第1ガス流路164の開口164aの直径は3mmである。開口164aの中心は、セラミックス基材110の中心から30mmの位置にある。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置した。プロセスチャンバ内に、プロセスガスとしてアルゴンガスを26600Pa(200Torr)の圧力で供給した。さらに、第1ガス流路164を通じて、アルゴンガスを6650Pa(50Torr)の圧力に調節した。
そして、以下の手順で基板保持部材100の温度評価を行った。まず、セラミックス基材110の上に温度評価用のシリコンウェハを載せ、基板保持部材100の電極120に不図示の外部電源を接続した。上記の圧力でプロセスガスと伝熱ガスを導入して、定常状態でシリコンウェハの上面の温度が約400℃となるように外部電源の出力電力を調整した。その後、温度評価用のシリコンウェハの、外縁から1mmの領域を除く直径298mmの領域の温度分布を赤外線カメラで計測した。温度評価用のシリコンウェハの、直径298mmの領域における、最高温度と最低温度の差を温度差Δとした。また、温度評価用のシリコンウェハの、環状凸部152と上下方向に重なる位置に、局所的な高温部(ヒートスポット)又は局所的な低温部(コールドスポット)が発生するかどうかを評価した。なお、温度評価用のシリコンウェハの平均温度に対して、3.0℃以上高温になる領域があった場合に、ヒートスポットが発生したと判断した。同様に、温度評価用のシリコンウェハの平均温度に対して、3.0℃以上低温になる領域があった場合に、コールドスポットが発生したと判断した。なお、温度評価用のシリコンウェハは、直径300mmのシリコンウェハの上面に厚さ30μmの黒体膜をコーティングしたものである。黒体膜とは、放射率(輻射率)が90%以上である膜であり、例えば、カーボンナノチューブを主原料とする黒体塗料をコーティングすることにより成膜することができる。
温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは-6.5℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポットが発生した。なお、温度差Δが負である場合には、外周側の温度が内周側の温度よりも低いことを表している。逆に、温度差Δが正である場合には、外周側の温度が内周側の温度よりも高いことを表している。
次に、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、30μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも170μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは2.54であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは-3.5℃であり、削除加工を施す前に比べて温度差Δの絶対値を小さくすることができた。
さらに、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、10μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも160μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは3.02であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは-2.5℃であり、温度差Δの絶対値を3℃以下にすることができた。このとき、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポット及びヒートスポットは発生しなかった。
[実施例2]
実施例2の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。図6に示されるように、実施例2の基板保持部材100の環状凸部152の外周面152cは、下方にいくにつれて環状凸部152の幅が小さくなるように傾いた傾斜面になっている。環状凸部152の外周面152cの、縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)は、直線形状である。環状凸部152の寸法は、上面152aにおいて、内径294mm、外径308mm、幅7mmであり、上面111からの高さは200μmである。なお、セラミックス基板110の外径は298mmであるため、環状凸部152の上面152aは、セラミックス基板110よりも、径方向の外側に5mm張り出している。複数の凸部156の高さは200μmであるので、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは同じである。実施例2の基板保持部材100のリブ・ピン面積比S/Spは、8.43であった。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、実施例1と同様の圧力になるようにプロセスガスの圧力及びアルゴンガスの流量を調節した。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度差Δは+4.2℃であり、温度評価用シリコンウェハの温度分布は、外周側の温度が内周側の温度よりも高いことが分かった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、ヒートスポットが発生した。
次に、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、30μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも170μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは7.51であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは+2.7℃であり、温度差Δの絶対値を3℃以下にすることができ、削除加工を施す前に比べて温度差Δの絶対値を小さくすることができた。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポット及びヒートスポットは発生しなかった。
[実施例3]
実施例3の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。図7に示されるように、実施例3の基板保持部材100の環状凸部152の内周面152bは、下方にいくにつれて環状凸部152の幅が大きくなるように傾いた傾斜面になっている。環状凸部152の内周面152bの、縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)は、下に凸の二次曲線形状である。環状凸部152の寸法は、上面152aにおいて、内径278mm、外径298mm、幅1mmであり、上面111からの高さは200μmである。複数の凸部156の高さは200μmであるので、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは同じである。実施例3の基板保持部材100のリブ・ピン面積比S/Spは、実施例1の基板保持部材100と同様に1.08であった。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、実施例1と同様の圧力になるようにプロセスガスの圧力及びアルゴンガスの流量を調節した。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度差Δは-4.5℃であり、温度評価用シリコンウェハの温度分布は、外周側の温度が内周側の温度よりも低いことが分かった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポットが発生した。
次に、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、24μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも176μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは1.68であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは-1.8℃であり、温度差Δの絶対値を3℃以下にすることができ、削除加工を施す前に比べて温度差Δの絶対値を小さくすることができた。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポット及びヒートスポットは発生しなかった。
[実施例4]
実施例4の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることと、環状凸部152及び複数の凸部156の高さが30μmであることと、図3に示される電極120に代えて、図9に示される静電吸着用電極124をセラミックス基材110に埋設したこととを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。図9に示されるように、静電吸着用電極124は2つの半円形状の電極124a、124bが所定の間隔を隔てて向かい合うように配置されており、全体として略円形の形状を有している。静電吸着用電極124の外径は292mmである。実施例4においては、電極124aに+500V、電極124bに-500Vの電圧を印加し、ウェハ10を静電吸着した。
図8に示されるように、実施例4の基板保持部材100の環状凸部152の内周面152bは、下方にいくにつれて環状凸部152の幅が大きくなるように傾いた傾斜面になっている。環状凸部152の内周面152bの、縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)は、上に凸の二次曲線形状である。環状凸部152の寸法は、上面152aにおいて、内径296mm、外径298mm、幅1mmであり、上面111からの高さは30μmである。複数の凸部156の高さは30μmであるので、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは同じである。実施例4の基板保持部材100のリブ・ピン面積比S/Spは、実施例1の基板保持部材100と同様に1.08であった。
実施例4の基板保持部材100においては、不図示の高周波電源により基板保持部材100の上空に形成されるプラズマから約500Wの熱量が供給され、基板保持部材100
の裏面113に設置した冷却盤に吸熱された。また、実施例8において、プロセスチャンバ内の圧力を1Pa以下に排気し、第1ガス流路164にヘリウムガスを流した。第1ガス流路164を流れるヘリウムガスの圧力が1330Pa(10Torr)となるように、ヘリウムガスのガス流量を調節した。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度差Δは-3.8℃であり、温度評価用シリコンウェハの温度分布は、外周側の温度が内周側の温度よりも低いことが分かった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポットが発生した。
次に、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、3μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも27μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは4.13であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは-0.9℃であり、温度差Δの絶対値を3℃以下にすることができ、削除加工を施す前に比べて温度差Δの絶対値を小さくすることができた。温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポット及びヒートスポットは発生しなかった。また、環状凸部152の内周面152bの、縦断面形状を、上に凸の二次曲線形状としていたため、実施例1~3と比較して、少ない削り量でリブ・ピン面積比S/Spを大きく変化させることができ、温度調整のための基板保持部材100の外形寸法の変化を小さくとどめることができた。
[実施例5]
図10に示されるように、実施例5の基板保持部材100は、セラミックス基材110の下面113の中央に、直径80mm、高さ3mmの接合用凸部114が設けられていることを除いて、実施例2の基板保持部材100と同様である。シャフト130の円筒部131の外径は70mm、内径50mmであり、円筒部131の長手方向の長さは170mmである。円筒部131の上方の端面に直径80mm、厚み15mmのフランジ部133を設けた。そして接合用凸部114とフランジ部133を拡散接合した。
上述のように、実施例5において、基板保持部材100の環状凸部152及び複数の凸部156の形状は実施例2と同様である。そのため、実施例2と同様に、実施例5の基板保持部材100のリブ・ピン面積比S/Spは8.43であった。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、実施例2と同様の圧力になるようにプロセスガスの圧力及びアルゴンガスの流量を調節した。そして、実施例2と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度差Δは+7.5℃であり、温度評価用シリコンウェハの温度分布は、外周側の温度が内周側の温度よりも高いことが分かった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、ヒートスポットが発生した。
次に、環状凸部152の上面152aと、複数の凸部156の上面156aとを、50μm削除する加工を行った。これにより、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは、いずれも150μmとなった。このときのリブ・ピン面積比S/Spは6.89であった。この場合において、上述と同様にして温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは+2.7℃であり、温度差Δの絶対値を3℃以下にすることができ、削除加工を施す前に比べて温度差Δの絶対値を小さくすることができた。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、コールドスポット及びヒートスポットは発生しなかった。
<実施形態の作用効果>
上記実施形態及び実施例1~5において、基板保持部材100は、セラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した複数の凸部156とが設けられている。また、セラミックス基材110に埋設された電極120(又は静電吸着用電極124)を備えている。
セラミックス基材110の外周部に環状凸部152が設けられているので、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向かって吸着させたとき、ウェハ10の外周部が変形することを抑制することができる。さらに、基板保持部材110の上面111と、環状凸部152と、ウェハ10とに囲まれた空隙に、環状凸部152の外側からガスが進入することを抑制することができる。あるいは、環状凸部152の内側から外側にガスが流出することを抑制することができる。このように、環状凸部152がガスの流出、流入を抑制するためのバリアとして機能する場合においては、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きい方が有効である。しかしながら、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きくなると、上述のように、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域に局所的に集中することがある。逆に、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が小さくなりすぎると、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に小さくなることがある。
実施例1、3、4の基板保持部材100においては、環状凸部152の縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)における、上下方向に垂直な方向の長さが、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に大きくなっている。環状凸部152がこのような形状を有しているため、環状凸部152の上面152aを削除する削除加工を行って、環状凸部152の高さを低くすることにより、削除加工を行う前に比べて、環状凸部152の上面152aの面積を大きくすることができる。このとき、環状凸部152と同じ高さになるように、複数の凸部156にも削除加工を行う。このような削除加工を行うことにより、複数の凸部156の上面156aと基板保持部材100に保持されるウェハ10の下面との総接触面積Spに対する、環状凸部152の上面152aと基板保持部材100に保持されるウェハ10の下面との接触面積Sの比S/Sp(リブ・ピン面積比S/Sp)を、削除加工を行う前よりも大きくすることができる。このように、環状凸部152及び複数の凸部156の削除加工を行うことにより、容易にリブ・ピン面積比S/Spを大きくするように調整できる。上述のように、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が小さくなりすぎて、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に小さくなっている場合がある。リブ・ピン面積比S/Spを大きくするように調整することにより、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱量が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に小さくなることを抑制することができる。これにより、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱量を均熱化することができる。
なお、図12に示されるように、環状凸部152の縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)における、上下方向に垂直な方向の長さが、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて段階的に大きくなっていてもよい。この場合にも、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に大きくなっている場合と同様の効果を奏することができる。また、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の全域にわたって、環状凸部152の上面152aから下
方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に大きくなっていなくてもよい。図12に示されるように、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の少なくとも上半分において、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に大きくなっていればよい。この場合にも、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の全域にわたって、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に大きくなっている場合と同様の効果を奏することができる。
実施例2、5の基板保持部材100においては、環状凸部152の縦断面形状(セラミックス基材110の中心を通る垂直面の断面形状)における、上下方向に垂直な方向の長さが、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に小さくなっている。環状凸部152がこのような形状を有しているため、環状凸部152の上面152aを削除する削除加工を行って、環状凸部152の高さを低くすることにより、削除加工を行う前に比べて、環状凸部152の上面152aの面積を小さくすることができる。このとき、環状凸部152の同じ高さになるように、複数の凸部156にも削除加工を行う。これにより、複数の凸部156の上面156aと基板保持部材100に保持されるウェハ10の下面との接触面積の総和Spに対する、環状凸部152の上面152aと基板保持部材100に保持されるウェハ10の下面との接触面積Sの比S/Sp(リブ・ピン面積比S/Sp)を、削除加工を行う前よりも小さくすることができる。このように、環状凸部152及び複数の凸部156の削除加工を行うことにより、容易にリブ・ピン面積比S/Spを小さくするように調整できる。上述のように、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きくなりすぎて、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱量が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に大きくなっている場合がある。リブ・ピン面積比S/Spを小さくするように調整することにより、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱量が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に大きくなることを抑制することができる。これにより、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱量を均熱化することができる。
なお、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて段階的に小さくなっていてもよい。また、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の少なくとも上半分において、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に小さくなっていればよい。
実施例4のように、静電吸着用電極124を用いる場合には、環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さは、30μm以下であることが好ましい。環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さを30μm以下にすることにより、効率よく静電吸着を行うことができる。また、この場合において、リブ・ピン面積比S/Spは、0.3以上25以下であることが好ましい。リブ・ピン面積比S/Spが、0.3より小さいときには、環状凸部152の上面152aの幅が細くなりすぎてヘリウムガスがプロセスチャンバにリークし、プロセスチャンバ内の圧力を1Paに維持できなくなる恐れがある。また、リブ・ピン面積比S/Spが25より大きいときには、環状凸部152の上面152aの幅が広くなりすぎることにより、プロセス終了後も静電吸着力が長時間残留し基板が搬送できなくなるリスクが高くなる。
実施例1~3、5のように、ヒータ電極としての電極120を用いる場合には、環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さは、500μm以下であることが好ましい。環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111
からの上下方向の高さの最大高さを500μm以下にすることにより、電極120で発生する熱を効率よくウェハ10に伝えることができる。また、この場合において、リブ・ピン面積比S/Spは、5.0以上60以下であることが好ましい。リブ・ピン面積比S/Spが、5.0より小さいときには、環状凸部152の上面152aの幅が細くなりすぎてプロセスチャンバの圧力と基板と上面の間の空間の圧力との圧力差が小さくなり、真空吸着ができなくなるリスクが高くなる。また、リブ・ピン面積比S/Spが60より大きいときには、環状凸部152の上面152aの幅が広くなりすぎることにより、環状凸部152の直上の基板温度が高くなりヒートスポットのリスクが高くなる。
次に、基板保持部材100を製造する際における、環状凸部152の高さ及び複数の凸部156の高さの調整について、図13を参照しつつ説明する。
まず、基板保持部材100を用意する(S10)。上述のように、基板保持部材100は、セラミックス基材110と、セラミックス基材110に埋設された電極120(又は静電吸着用電極124)とを備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した複数の凸部156とが設けられている。実施例1、3、4のように、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の少なくとも上半分において、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に大きくなっている。あるいは、実施例2、5のように、環状凸部152の縦断面形状における、上下方向に垂直な方向の長さが、上下方向の少なくとも上半分において、環状凸部152の上面152aから下方に向かうにつれて単調に、又は、段階的に小さくなっている。
次に、基板保持部材100Aに温度評価用のシリコンウェハを保持した状態で温度評価用のシリコンウェハの温度分布を測定する(図13:S20)。そして、測定した温度分布に応じて、環状凸部152の上面152aの全体にわたって、環状凸部152の高さを低くするように削除加工を行う(S30)。また、測定した温度分布に応じて、全ての複数の凸部156の高さを低くするように削除加工を行う(S40)。なお、環状凸部152の上面152aの削除加工(S30)と、複数の凸部156の上面156aの削除加工(S40)とは、どちらを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。いずれの場合においても、環状凸部152の高さと、全ての複数の凸部156の高さが、同じになるように削除加工を行う。このように、温度評価用のシリコンウェハの温度分布測定の結果に基づいて、環状凸部152及び複数の凸部156の高さを低くする削除加工を行うことにより、リブ・ピン面積比S/Spを調整することができる。これにより、上述のように、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域において局所的に大きくなったり、小さくなったりすることを抑制し、均熱化することができる。
<変更形態>
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、セラミックス基材110、シャフト130の形状、寸法は上記実施形態のものには限られず、適宜変更しうる。環状凸部152の高さ、幅等の寸法、縦断面形状、上面の表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。例えば、図14に示されるように、セラミックス基材110の外周面110cが、環状凸部152の外周面152cと連続する傾斜面であってもよい。また、図15に示されるように、環状凸部152の内周面152bと外周面152cとが、両方とも傾斜面であってもよい。
複数の凸部156の高さ、上面156aの形状、上面156aの表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。例えば、複数の凸部156の上面156aの形状は必ずしも円形でな
くてもよく、任意の形状にすることができる。なお、その場合においても、直径0.1mm~5mmの円と同程度の面積を有することが好ましい。また、上記説明において、複数の凸部156は同心円状に分布するように配置されていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、複数の凸部156が、正三角形、正四角形の各頂点の位置に分布するように、格子状に連続的に配列されてもよく、複数の凸部156がランダムな位置に分布するように配置されていてもよい。その場合であっても、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にあることが好ましい。
上記実施形態においては、電極120として、モリブデン、タングステン、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金を用いていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、モリブデン、タングステン以外の金属又は合金を用いることもできる。また、電極120は発熱体としてのヒータ電極であったが、電極120は必ずしも発熱体としてのヒータ電極である必要は無く、例えば、静電吸着用電極又は高周波電極であってもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100はセラミックス基材110に埋設された電極(電極120又は静電吸着用電極124)を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、電極は基板保持部材100のセラミックス基材110に埋設されていなくてもよい。例えば、電極120がセラミックス基材110の裏面113に貼付されていてもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100はシャフト130を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、基板保持部材100は必ずしもシャフト130を備えていなくてもよい。また、基板保持部材100がシャフト130を備えている場合であっても、シャフト130の円筒部131に、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されていなくてもよい。例えば、第2ガス流路168に代えて、円筒部131の中空の領域(給電線140が設けられている領域)に、別途ガスの配管を設けることもできる。
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
明細書、及び図面中において示した製造方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
100 基板保持部材
110 セラミックス基材
120 電極
130 シャフト
140 給電線
152 環状凸部
156 複数の凸部

Claims (5)

  1. 上面、前記上面と上下方向において対向する下面を有するセラミックス基材と、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備える基板保持部材であって、
    前記セラミックス基材は、
    前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
    前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
    前記環状の凸部の、前記セラミックス基材の中心を通り且つ前記上下方向に平行な垂直面の断面を縦断面としたとき、
    前記縦断面における前記環状の凸部の、前記上下方向の少なくとも上半分の範囲において、前記環状の凸部の前記上下方向に垂直な方向の長さは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に小さくなる、あるいは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に大きくなることを特徴とする、基板保持部材。
  2. 前記電極は基板を前記セラミックス基材に静電吸着させるための静電電極であり、
    前記環状の凸部の上面の面積をSとし、前記複数の凸部の上面の面積の合計をSpとし、前記環状の凸部及び前記複数の凸部の、前記セラミックス基材の前記上面からの前記上下方向の高さの最大高さをH(μm)としたとき、
    0.3≦S/Sp≦25
    且つ、
    H≦30
    である請求項1に記載の基板保持部材。
  3. 前記電極は前記セラミックス基材に保持される基板を加熱するための発熱体であり、
    前記環状の凸部の上面の面積をSとし、前記複数の凸部の上面の面積の合計をSpとし、前記環状の凸部及び前記複数の凸部の、前記セラミックス基材の前記上面からの前記上下方向の高さの最大高さをH(μm)としたとき、
    5.0≦S/Sp≦60
    且つ、
    H≦500
    である請求項1に記載の基板保持部材。
  4. さらに、前記セラミックス基材の前記下面に接合された筒状のシャフトを備え、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された前記電極は発熱体である、請求項1又は3に記載の基板保持部材。
  5. 基板保持部材の製造方法であって、
    基板保持部材であって、
    上面、前記上面と上下方向において対向する下面を有するセラミックス基材と、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備え
    前記セラミックス基材は、
    前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
    前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
    前記環状の凸部の、前記セラミックス基材の中心を通り且つ前記上下方向に平行な垂直面の断面を縦断面としたとき、
    前記縦断面における前記環状の凸部の、前記上下方向の少なくとも上半分の範囲において、前記環状の凸部の前記上下方向に垂直な方向の長さは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に小さくなる、あるいは、前記環状の凸部の上面から下方に向かうにつれて単調に又は段階的に大きくなる基板保持部材を用意することと、
    前記基板保持部材に基板を保持して、前記基板の温度分布を測定することと、
    前記温度分布に応じて、前記環状の凸部の上面全体にわたって、前記環状の凸部の、前記セラミックス基材の前記上面からの前記上下方向の高さを低くすることと、
    前記温度分布に応じて、全ての前記複数の凸部の、前記セラミックス基材の前記上面からの前記上下方向の高さを低くすることと、
    を備える基板保持部材の製造方法。
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