JP2024038621A - セラミックスヒータ - Google Patents

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Tetsuo Kitabayashi
浩正 下嶋
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【課題】ウェハの温度を局所的に調整することができるセラミックスヒータを提供する。【解決手段】セラミックスヒータ100は、円板状のセラミックス基材110と、セラミックス基材110に埋設されたヒータ電極122とを備えている。セラミックス基材110の上面111には、複数の第1凸部156と、第2凸部157が設けられている。第2凸部157の上面157aは、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面よりも下方に位置している。【選択図】 図2

Description

本発明は、シリコンウェハ等の基板を保持して加熱するセラミックスヒータに関する。
特許文献1には、ウェハなどの基板を保持して加熱するセラミックスヒータが開示されている。特許文献1に記載のセラミックスヒータは、基板が載置されるセラミックス基材(セラミックス基体)と、セラミックス基材内に埋設されている発熱体と、セラミックス基材の上面(加熱面)から上方に突出してウェハに接触する複数の凸部(エンボス部)とを備える。特許文献1のセラミックスヒータにおいては、ヒートスポットの発生を抑制することを目的としている。
特開2002-124367号公報
特許文献1に記載のセラミックヒータにおいては、ヒートスポットが発生した領域において、エンボス部の単位面積当たりの突起の個数を、ヒートスポットが発生していない領域よりも少なくしている。しかしながら、発明者らの知見によれば、単位面積当たりの突起の個数を減らすだけでは、ウェハの温度を局所的に微調整することが難しいことが分かった。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、単位面積当たりの突起の個数を減らす場合と比べて、ウェハの局所的な温度をより細かく調整することができるセラミックスヒータを提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、上面、前記上面と上下方向において対向する下面、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する複数の第1凸部を有する円板状のセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された、又は前記セラミックス基材の前記下面に配置された発熱体と、を備え、
前記セラミックス基材は、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出し、前記複数の第1凸部の上面の包絡面よりも下方に位置する上面を有する第2凸部を備えることを特徴とするセラミックスヒータが提供される。
複数の第1凸部の上面と、シリコンウェハ等の基板は、主に接触により伝熱する。これに対して、基板とセラミックス基材の上面との間、及び、基板と第2凸部の上面との間においては、対流及び輻射によって伝熱する。上記の構成においては、第2凸部の上面は、複数の第1凸部の上面の包絡面よりも下方に位置している。これにより、第2凸部が設けられている領域における基板への伝熱量(対流熱伝達、セラミックス基材の上面からの輻射熱伝達、及び、第2凸部の上面からの輻射熱伝達)を、第1凸部が設けられている領域における基板への伝熱量(固体熱伝導、対流熱伝達およびセラミックス基材の上面からの輻射熱伝達)を小さくすることができる。これにより、基板の温度を局所的に調節することができる。また、第2凸部の上面と、複数の第1凸部の上面の包絡面との離間距離を調節することができる。これにより、第2凸部が設けられている領域における基板への伝熱量(対流熱伝達、及び、第2凸部の上面からの輻射熱伝達)を調節することができる。そのため、第2凸部を設けることに代えて、単に第1凸部の数を減らした場合と比べて、第2凸部が設けられている領域における基板への伝熱量をより細かく調節することができる。
図1は、セラミックスヒータ100の斜視図である。 図2は、セラミックスヒータ100の概略説明図である。 図3は、電極120の概略説明図である。 図4は、ヒータ電極122の概略説明図である。 図5は、セラミックスヒータ100の一部拡大図である。 (a)~(e)は、セラミックス基材110の製造方法の流れを示す図である。 (a)~(d)は、セラミックス基材110の別の製造方法の流れを示す図である。 (a)は円形状に配置された第2凸部157を説明するための説明図であり、(b)は円環状に配置された第2凸部157を説明するための説明図であり、(c)は円形状及び円環状に配置された第2凸部157を説明するための説明図である。 図9は上に凸の包絡面S2に配置された第2凸部157を説明するための説明図である。 図10は下に凸の包絡面S3と円環状に配置された第2凸部157を説明するための説明図である。 図11は、実施例1~7の結果をまとめた表である。
<セラミックスヒータ100>
本発明の実施形態に係るセラミックスヒータ100について、図1、2を参照しつつ説明する。本実施形態に係るセラミックスヒータ100は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ(以下、単にウェハ10という)の加熱に用いられるセラミックスヒータである。なお、以下の説明においては、セラミックスヒータ100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係るセラミックスヒータ100は、セラミックス基材110と、電極120(図2参照)と、シャフト130と、給電線140、141(図2参照)とを備える。
セラミックス基材110は、直径12インチ(約300mm)の円形の板状の形状を有する部材であり、セラミックス基材110の上には加熱対象であるウェハ10が載置される。なお、図1では図面を見やすくするためにウェハ10とセラミックス基材110とを離して図示している。図1に示されるように、セラミックス基材110の上面111には、環状の凸部152(以下、単に環状凸部152という)と、複数の第1凸部156と、複数の第2凸部157とが設けられている。なお、図1においては、図面を見やすくするために、図2と比べて第1凸部156及び第2凸部157の数を減らして図示している。また、図2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、後述の第1ガス流路164が形成されている。セラミックス基材110は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成することができる。
図1、2に示されるように、環状凸部152は、セラミックス基材110の上面111の外周部(外縁部)に配置された円環状の凸部であり、上面111から上方に突出している。図2に示されるように、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたとき、環状凸部152の上面152aはウェハ10の下面と当接する。つまり、環状凸部152は、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたときに、上下方向5においてウェハ10と重なる位置に配置されている。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、環状凸部152の内側には、複数の第1凸部156及び複数の第2凸部157が設けられている。後述のように、第1凸部156の高さ(上面111から第1凸部156の上面156aまでの上下方向5の距離)は、第2凸部157の高さ(上面111から第2凸部157の上面157aまでの上下方向5の距離)よりも高い。第1凸部156及び第2凸部157は円柱形状又は円錐台形状であることが好ましい。本実施形態においては、第1凸部156及び第2凸部157はいずれも円柱形状を有している。なお、第1凸部156及び第2凸部157の径は適宜の大きさにすることができるが、0.1mm~5mmであることが好ましい。第1凸部156及び第2凸部157の径が0.1mm未満である場合には、第1凸部156及び第2凸部157の作製が困難になる。また、第1凸部156及び第2凸部157の径が5mmより大きい場合には、第1凸部156及び第2凸部157以外の領域の面積が大きくなるため、その領域で行われるガスによる対流熱伝達の効果が小さくなる。これにより、ウェハ10全体の平均温度をガスの圧力によって調節することが難しくなる。
本実施形態において、第1凸部156のうちの1つは、上面111の略中心に配置されている。残りの第1凸部156及び第2凸部157は、等間隔に並んだ4重の同心円の円周上に並んでいる。詳細には、第2凸部157は、最も内側の同心円の円周上に並んでおり、残りの第1凸部156は、第2凸部157の外側で3重の同心円の円周上に並んでいる。また、各同心円の円周上において、第1凸部156及び第2凸部157は等間隔で並んでいる。なお、第1凸部156及び第2凸部157が配置される位置及び/又は数は、用途、作用、機能に応じて適宜設定される。例えば、連続して配置された正三角形や正四角形の各頂点の位置に第1凸部156及び第2凸部157を配置することもできる。
本実施形態において、第1凸部156の個数N1と第2凸部157の個数N2との総和(N1+N2)に対する、第2凸部157の個数N2の比を、0.001≦N2/(N1+N2)≦0.5とすることができる。なお、好適には、0.01≦N2/(N1+N2)≦0.2であり、さらに好適には、0.01≦N2/(N1+N2)≦0.1である。
図2に示されるように、第1凸部156の高さをHとしたとき、第2凸部157の高さは、(H-G)である。つまり、第2凸部157の高さは、第1凸部156の高さよりも長さGだけ低くなっている。また、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S1は、上面111と平行な平面である。セラミックス基材110の上面111と包絡面S1との、上下方向5の距離はHである。第2凸部157の上面157aは、包絡面S1よりも距離Gだけ低い位置にある。
環状凸部152の高さは、5μm~2mmの範囲にすることができる。同様に、第1凸部156及び第2凸部157の高さも、5μm~2mmの範囲にすることができる。なお、環状凸部152の高さ及び複数の第1凸部156(第2凸部157)の高さは、10μm~2mmの範囲であることが好ましく、50μm~200μmの範囲であることがさらに好ましい。後述のように静電吸着電極124(図2参照)が埋設されている場合において、環状凸部152の高さ及び第1凸部156(第2凸部157)の高さが5μm未満である場合には、ウェハ10がセラミックス基板110の上面111と接触し、吸着不具合が生じる可能性がある。また、環状凸部152の高さ及び第1凸部156(第2凸部157)の高さが2mmより大きい場合には、環状凸部152及び第1凸部156(第2凸部157)の形成が困難になる。本実施形態において、環状凸部152の高さ及び複数の第1凸部156の高さはいずれも150μmである。複数の第2凸部157の高さは140μmである。なお、本明細書において、環状凸部152の高さ、複数の第1凸部156の高さ、及び複数の第2凸部157の高さは、セラミックス基板110の上面111からの上下方向の長さとして定義される。なお、セラミックス基板110の上面111が平坦でなく、段差が形成されている場合には、セラミックス基板110の上面111のうち、段差が形成されていない領域を基準にして、そこからの上下方向の長さとして定義される。
環状凸部152の上面152aの幅は、一定の幅であることが望ましく、0.1mm~10mmにすることができる。複数の第1凸部156の上面156aは、直径0.1mm~5mmの円形であることが好ましい。また、複数の第1凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にすることができる。
環状凸部152の上面152aの中心線平均粗さRa1は0.001μm以上1.6μm以下にすることができる。なお、中心線平均粗さは、表面の凹凸を、その中心線からの偏差の絶対値の平均で表したものである。同様に、複数の第1凸部156の上面156aの中心線平均粗さRa2は0.001μm以上1.6μm以下にすることができる。なお、ガスの気密性の観点から、環状凸部152の上面152aの中心線平均粗さRa1は0.4μm以下であることが好ましい。また、ウェハ10にパーティクルが付着することを抑制する観点から、第1凸部156の上面156a及び第2凸部157の上面157aの中心線平均粗さRa2は0.4μm以下であることが好ましい。なお、中心線平均粗さRa1及びRa2は、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。なお、中心線平均粗さRa1及びRa2を0.0001μm未満とすることは製造上困難であるため、通常は中心線平均粗さRa1及びRa2を0.0001μm以上としている。
上述のように、セラミックス基板110の上面111において、第1凸部156及び第2凸部157は4つの同心円の円周上に並んでいる。図2に示されるように、上面111の、第2凸部157が配置された最も内側の同心円と、第1凸部156が配置された内側から2番目の同心円との間には、第1ガス流路164の開口164aが開口している。第1ガス流路164は、開口164aを備えるガス流路であり、セラミックス基材110の内部に形成されている。第1ガス流路164は、開口164aから下方に延びている。後述のように、第1ガス流路164の下端は、シャフト130の内部に形成された第2ガス流路168の上端に接合されている。
第1ガス流路164は、セラミックス基材110の上面111とウェハ10の下面とによって画定される空間(間隙)にガスを供給するための流路として用いることができる。例えば、ウェハ10とセラミックス基材110との間の伝熱のための伝熱ガスを供給することができる。伝熱ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガスや、窒素ガスなどを用いることができる。伝熱ガスは、第1ガス流路164を通じて、100Pa~40000Paの範囲内で設定された圧力で供給される。また、環状凸部152の上面152aとウェハ10の下面との隙間から、環状凸部152の内側の間隙にプロセスガスが侵入してくる場合には、第1ガス流路164を介して、ガスを排気することができる。この際、排気圧を調整することによって間隙の外側の圧力と、間隙の内側の圧力の差圧を調節することができる。これにより、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向けて吸着させることができる。
図2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、電極120が埋設されている。電極120は、ヒータ電極122と、静電吸着用電極124とを含んでいる。静電吸着用電極124はヒータ電極122の上方に埋設されている。
図3に示されるように、静電吸着用電極124は2つの半円形状の電極124a、124bが所定の間隔を隔てて向かい合うように配置されており、全体として略円形の形状を有している。本実施形態において、静電吸着用電極124の外径は292mmである。電極124a及び電極124bにそれぞれ所定の電圧(例えば、±500V)を印加することにより、ウェハ10を静電吸着することができる。
図4に示されるように、ヒータ電極122は帯状に裁断された金属製のメッシュや箔である。ヒータ電極122の外径は298mmである。ヒータ電極120はセラミックス基材110の側面から露出しない。ヒータ電極120の略中央には、給電線140(図2参照)と接続される端子部121が設けられている。ヒータ電極122はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金のワイヤーを織ったメッシュや箔等の耐熱金属(高融点金属)により形成されている。タングステン、モリブデンの純度は99%以上であることが好ましい。ヒータ電極122の厚さは0.15mm以下である。なお、ヒータ電極122の抵抗値を高くして、セラミックスヒータ100の消費電流を低減させるという観点からは、ワイヤーの線径を0.1mm以下、ヒータ電極122の厚さを0.1mm以下にすることが好ましい。また、帯状に裁断されたヒータ電極122の幅は2.5mm~20mmであることが好ましく、5mm~15mmであることがさらに好ましい。本実施形態においては、ヒータ電極122は、図4に示される形状に裁断されているがヒータ電極122の形状はこれには限られず、適宜変更しうる。なお、セラミックス基材110の内部にはヒータ電極122に加えて、あるいは、ヒータ電極122に代えて、セラミックス基材110の上方にプラズマを発生させるためのプラズマ電極が埋設されていてもよい。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の下面113には、シャフト130が接続されている。シャフト130は中空の略円筒形状の円筒部131と、2つの大径部132、133とを有する。大径部132は円筒部131の上方に設けられており(図2参照)、大径部133は円筒部131の下方に設けられている(図1参照)。大径部132、133は、円筒部131の径よりも大きな径を有している。以下の説明において、円筒部131の長手方向をシャフト130の長手方向6として定義する。図1に示されるように、セラミックスヒータ100の使用状態において、シャフト130の長手方向6は上下方向5と平行である。
図2に示されるように、セラミックス基材110の下面113に、シャフト130との接合のための凸部114(以下、接合用凸部114と呼ぶ。)が設けられている。接合用凸部114の形状は、接合されるシャフト130の上面の形状と同じであることが好ましく、接合用凸部114の直径は100mm以下であることが好ましい。接合用凸部114の高さ(下面113からの高さ)は、0.2mm以上であればよく、5mm以上であることが好ましい。特に高さの上限に制限はないが、製作上の容易さを勘案すると、接合用凸部114の高さは20mm以下であることが好ましい。また、接合用凸部114の下面114Bは、セラミックス基材100の下面113に平行であることが好ましい。接合用凸部114の下面114Bの中心線平均粗さRaは1.6μm以下であればよい。なお、接合用凸部114の下面114Bの中心線平均粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
円筒部131の上面は、セラミックス基材110の接合用凸部114の下面114Bに固定されている。なお、シャフト130は、セラミックス基材110と同じように、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成されてもよい。あるいは、断熱性を高めるために、セラミックス基材110より熱伝導率の低い材料で形成されてもよい。
図2に示されるように、シャフト130は中空の円筒形状を有しており、その内部(内径より内側の領域)には長手方向6(図1参照)に延びる貫通孔が形成されている。シャフト130の中空の部分(貫通孔)には、ヒータ電極122に電力を供給するための給電線140と、静電吸着用電極124に電力を供給するための給電線141とが配置されている。なお、図2においては、給電線140、141はそれぞれ1つずつしか図示されていないが、実際には複数の給電線140及び複数の給電線141が配置されている。給電線140の上端は、ヒータ電極122の中央に配置された端子部121(図3参照)に電気的に接続されている。給電線140は、不図示のヒータ用電源に接続される。これにより、給電線140を介してヒータ電極122に電力が供給される。同様に、給電線141を介して、静電吸着用電極124に電力が供給される。
また、図2に示されるように、シャフト130の円筒部131には、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されている。上述のように、第2ガス流路168の上端は第1ガス流路164の下端に接続されている。
次に、セラミックスヒータ100の製造方法について説明する。以下では、セラミックス基材110及びシャフト130が窒化アルミニウムで形成される場合を例に挙げて説明する。
まず、セラミックス基材110の製造方法について説明する。なお、説明を簡略化するために、セラミックス基材110の内部には、電極120としてヒータ電極122のみが埋設されているものとする。図6(a)に示されるように、窒化アルミニウム(AlN)粉末を主成分とする造粒粉Pをカーボン製の有床型601に投入し、パンチ602で仮プレスする。なお、造粒粉Pには、5wt%以下の焼結助剤(例えば、Y)が含まれることが好ましい。次に、図6(b)に示されるように、仮プレスされた造粒粉Pの上に、所定形状に裁断されたヒータ電極122を配置する。なお、ヒータ電極122は、加圧方向に垂直な面(有床型501の底面)に平行になるように配置される。このとき、Wのペレット又はMoのペレットをヒータ電極122の端子121(図4参照)の位置に埋設してもよい。
図6(c)に示されるように、ヒータ電極122を覆うようにさらに造粒粉Pを有床型601に投入し、パンチ602でプレスして成形する。次に、図6(d)に示されるように、ヒータ電極122が埋設された造粒粉Pをプレスした状態で焼成する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。次に、図6(e)に示されるように、端子121を形成するために、ヒータ電極122までの止まり穴加工を行う。なお、ペレットを埋設した場合には、ペレットまでの止まり穴加工を行えばよい。さらに、第1ガス流路164の一部となる貫通孔を形成する。これにより、内部に第1ガス流路164が形成されたセラミックス基材110を作製することができる。この場合、ヒータ電極122が第1ガス流路164から露出しないように、予めヒータ電極122に所定の開口部を設けることが好ましい。
なお、セラミックス基材110は以下の方法によっても製造することができる。図7(a)に示されるように、窒化アルミニウムの造粒粉Pにバインダーを加えてCIP成型し、円板状に加工して、窒化アルミニウムの成形体610を作製する。次に、図7(b)に示されるように、成形体610の脱脂処理を行い、バインダーを除去する。
図7(c)に示されるように、脱脂された成形体610に、ヒータ電極122を埋設するための凹部611を形成する。成形体610の凹部611にヒータ電極122を配置し、別の成形体610を積層する。なお、凹部611は予め成形体610に形成しておいてもよい。次に、図7(d)に示されるように、ヒータ電極122を挟むように積層された成形体610をプレスした状態で焼成し、焼成体を作製する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。焼成体を作製した後の工程は、上述の工程と同様であるので、説明を省略する。
このようにして形成されたセラミックス基材110の上面111に対して研削を行い、ラップ加工を行う。さらに、上面111に対してサンドブラスト加工を行うことにより、上面111に複数の第1凸部156、複数の第2凸部157及び環状凸部152を形成する。なお、複数の第1凸部156の高さは同じになるように加工される。また、環状凸部152の上面152aも所定の形状に加工される。このとき、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S1と比べて、第2凸部157の上面157aが距離Gだけ低くなるように加工される。なお、複数の第1凸部156、複数の第2凸部157、環状凸部152を形成するための加工方法は、サンドブラスト加工が好適であるが、他の公知の加工方法を用いることもできる。さらに、セラミックス基材110の下面113に円筒加工を行い、下面113から突出した接合用の凸部114を形成する。
次に、シャフト130の製造方法及びシャフト130とセラミックス基材110との接合方法について説明する。まず、バインダーを数wt%添加した窒化アルミニウムの造粒粉Pを静水圧(1MPa程度)で成形し、成形体を所定形状に加工する。このとき、成形体に第2ガス流路168となる貫通孔を形成する。なお、シャフト130の外径は、30mm~100mm程度である。シャフト130の円筒部131の端面にはフランジ部133がなくてもよい(図5参照)。円筒部131の長さは例えば、50mm~500mmにすることができる。成形体を所定形状に加工した後、成形体を窒素雰囲気中で焼成する。例えば、1900℃の温度で2時間焼成する。そして、焼成後に焼結体を所定形状に加工することによりシャフト130が形成される。円筒部131の上面とセラミックス基材110の接合用凸部114とを、1600℃以上、1MPa以上の一軸圧力下で、拡散接合により固定することができる。この場合には、セラミックス基材110の接合用凸部114の下面114Bの中心線平均粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。また、フランジ部133の上面と接合用凸部114の下面114Bとを、接合剤を用いて接合することもできる。接合剤として、例えば、10wt%のYを添加したAlN接合材ペーストを用いることができる。例えば、フランジ部133の上面と接合用凸部114の下面114Bとの界面に上記のAlN接合剤ペーストを15μmの厚さで塗布し、上面111に垂直な方向(シャフト130の長手方向6)に5kPaの力を加えつつ、1700℃の温度で1時間加熱することにより、接合することができる。あるいは、円筒部131の上面と接合用凸部114の下面114Bとを、ねじ止め、ろう付け等によって固定することもできる。
以下、本発明について実施例1~7を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。なお、図11には、実施例1~7の結果をまとめた表が示されている。
[実施例1]
実施例1のセラミックスヒータ100(図8(a)参照)について説明する。実施例1においては、5wt%の焼結助剤(Y)を添加した窒化アルミニウム(AlN)を原料として、上述の作製方法により直径300mm、厚さ25mmのセラミックス基材110を作製した。なお、ヒータ電極122として、モリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50、平織り)を図4の形状に裁断したものを作製し、このようなヒータ電極122をセラミックス基材110に埋設した。同様に、図3に示される形状の静電吸着用電極124をセラミックス基材110に埋設した。
セラミックス基材110の上面111に、内径292mm、外径298mm、幅3mmの環状凸部152を形成した。環状凸部152の上面152aとセラミックス基材110の上面111との間の、上下方向5の長さ(以下、環状凸部152の高さ)は150μmである。さらに、セラミックス基材110の上面111に、直径2mmの円柱形状の複数の第1凸部156及び複数の第2凸部157を形成した。図8(a)に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、中心から半径30mm(Φ60mm)の円形の領域に複数の第2凸部157を同心円状に配置し、その外側に複数の第1凸部156を同心円状に配置した。各凸部間の距離は10mm~20mmの範囲とした。複数の第1凸部156の高さは150μmであり、複数の第2凸部157の高さは140μmである。複数の第1凸部156の包絡面S1と、第2凸部157の上面157aとの間の、上下方向5の距離(以下、単に離間距離Gという)は10μmである。
複数の第1凸部156のうち第2凸部157と隣り合い、かつ、セラミックス基材110の中心から最も遠い位置にある第1凸部156を通る、セラミックス基材110と同心の同心円(第1の同心円と呼ぶ)を画定する。図8(a)に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、円形の領域に複数の第2凸部157が配置されている場合には、第1の同心円の直径を距離Lとする。なお、後述のように、セラミックス基材110の上面111の、円環状の領域に複数の第2凸部157が配置されている場合(例えば、図8(b)参照)には、さらに、第2凸部157と隣り合い、かつ、セラミックス基材110の中心から最も近い位置にある第1凸部156を通る、セラミックス基材110と同心の同心円(第2の同心円と呼ぶ)を画定する。そして、第1の同心円と第2の同心円の半径の差を距離Lとする。なお、以下の説明においては、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLと称する。実施例1において、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLは60mmである。このとき、長さLに対する離間距離Gの比G/Lは1.7×10-4である。また、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S1は、水平な平面であり、その平面度は2μmである。なお、ある面の平面度は、ある面を平行な二つの平面で挟んだ場合の、2つの平面の最小間隔として定義される。実施例1において、セラミックス基材110の上面111と包絡面S1とは、互いに平行な平面である。
第1ガス流路164の開口164aの直径は3mmである。開口164aの中心は、セラミックス基材110の中心から30mmの位置にある第1凸部156に隣接する位置にある。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、以下の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。セラミックスヒータ100に直径300mmの温度評価用のシリコンウェハを載置し、セラミックスヒータ100のヒータ電極122に不図示の外部電源を接続した。プロセスチャンバ内の圧力を1Pa以下に減圧した後、プロセスチャンバ内に、プロセスガスとして窒素ガスを10Paの圧力で供給した。第1ガス流路164にヘリウムガスを流した。第1ガス流路164を流れるヘリウムガスの圧力を1333Pa(10Torr)に調節した。実施例1において、第1ガス流路164を流れるヘリウムガスのガス流量は0.1sccm未満であった。そして、定常状態でシリコンウェハの上面の温度が400℃となるように外部電源の出力電力を調整した。その後、温度評価用のシリコンウェハの温度分布を赤外線カメラで計測し、段差部159と重なる領域の平均温度T1を計測した。なお、温度評価用のシリコンウェハは、直径300mmのシリコンウェハの上面に厚さ30μmの黒体膜をコーティングしたものである。黒体膜とは、放射率(輻射率)が90%以上である膜であり、例えば、カーボンナノチューブを主原料とする黒体塗料をコーティングすることにより成膜することができる。
なお、比較例として、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられていることを除いて実施例1と同様の形状のセラミックスヒータを用意して、上記と同様の手順で温度評価用のシリコンウェハの温度分布を赤外線カメラで計測した。そして、比較例における、温度評価用のシリコンウェハの、実施例1の第2凸部157が設けられていた領域に相当する部分と重なる領域の平均温度T0と、実施例1における、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157が設けられている領域と重なる領域の平均温度T1との温度差ΔT(=T0-T1)を評価した。
実施例1においては、温度差ΔTは2.8℃であった。つまり、実施例1においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.8℃下げることができた。
[実施例2]
実施例2のセラミックスヒータ100は、第2凸部157の高さを100μmとしたことを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。実施例2において、複数の第1凸部156の包絡面S1と、第2凸部157の上面157aとの間の離間距離Gは50μmである。また、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLに対する離間距離Gの比G/Lは8.3×10-4である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例2において、温度差ΔTは2.4℃であった。つまり、実施例2においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.4℃下げることができた。
[実施例3]
実施例3のセラミックスヒータ100は、第2凸部157の高さを50μmとしたことを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。実施例3において、複数の第1凸部156の包絡面S1と、第2凸部157の上面157aとの間の離間距離Gは100μmである。また、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLに対する離間距離Gの比G/Lは1.7×10-3である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例3において、温度差ΔTは2.0℃であった。つまり、実施例3においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.0℃下げることができた。
[実施例4]
実施例4のセラミックスヒータ100は、図8(b)に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、半径50mm~65mm(Φ100mm~130mm)の円環状の領域に第2凸部157を形成したことと、第2凸部157の高さを120μmとしたことを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。実施例4において、複数の第1凸部156の包絡面S1と、第2凸部157の上面157aとの間の離間距離Gは30μmである。また、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLは15mmであり、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLに対する離間距離Gの比G/Lは2.0×10-3である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例4において、温度差ΔTは1.8℃であった。つまり、つまり、実施例4においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて1.8℃下げることができた。
[実施例5]
実施例5のセラミックスヒータ100は、図8(c)に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、半径30mm(Φ60mm)の円形の領域と、半径50mm~65mm(Φ100mm~130mm)の円環状の領域とに第2凸部157を形成したことと、第2凸部157の高さを120μmとしたことを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。実施例5において、複数の第1凸部156の包絡面S1と、第2凸部157の上面157aとの間の離間距離Gは30μmである。なお、実施例5においては、セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLは60mmと15mmである。第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLとして、60mmを採用したとき、長さLに対する離間距離Gの比G/Lは5.0×10-4である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例5において、半径30mm(Φ60mm)の円形の領域における温度差ΔTは2.5℃であり、半径50mm~65mm(Φ100mm~130mm)の円環状の領域における温度差ΔTは1.8℃であった。つまり、実施例5においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.5℃及び1.8℃下げることができた。
[実施例6]
実施例6のセラミックスヒータ100は、図9に示されるように、第2凸部157の高さを100μmとしたことと、セラミックス基材110の上面111が上に凸の曲面であり、且つ、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S2が上に凸の曲面であることとを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。詳細には、セラミックス基材110の上面111と、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S2とは互いに平行であり、包絡面S2の、セラミックス基材110の中心を通る垂直面での断面線(以下、単に複数の第1凸部156の上面156aの包絡線という)は、上に凸の二次曲線である。また、包絡面S2の平面度は20μmである。複数の第2凸部157の上面157aと包絡面S2との離間距離Gは50μmである。セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLは60mmである。長さLに対する離間距離Gの比G/Lは8.3×10-4である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例6において、温度差ΔTは2.4℃であった。つまり、実施例6においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.4℃下げることができた。
[実施例7]
実施例7のセラミックスヒータ100は、図10に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、半径50mm~65mm(Φ100mm~130mm)の円環状の領域に第2凸部157を形成したことと、第2凸部157の高さを100μmとしたことと、セラミックス基材110の上面111が下に凸の曲面であり、且つ、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S3が下に凸の曲面であることとを除いて、実施例1のセラミックスヒータ100と同様である。詳細には、セラミックス基材110の上面111と、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S3とは平行であり、複数の第1凸部156の上面156aの包絡線は、下に凸の二次曲線である。また、包絡面S3の平面度は20μmである。複数の第2凸部157の上面157aと包絡面S3との離間距離Gは50μmである。複数の第2凸部157の上面157aと包絡面S3との離間距離Gは50μmである。セラミックス基材110の上面111の、第2凸部157が形成されている領域の径方向の長さLは15mmである。長さLに対する離間距離Gの比G/Lは3.3×10-3である。
このような形状のセラミックスヒータ100をプロセスチャンバに設置し、セラミックスヒータ100に実施例1と同様の温度評価用シリコンウェハを載置した。そして、実施例1と同様の手順でセラミックスヒータ100の温度評価を行った。実施例7において、温度差ΔTは2.5℃であった。実施例7においては、温度評価用のシリコンウェハの、第2凸部157と重なる領域の平均温度T1を、第2凸部157に代えて第1凸部156が設けられている場合と比べて2.5℃下げることができた。
<実施形態の作用効果>
上記実施形態及び実施例1~7において、セラミックスヒータ100は、円板状のセラミックス基材110と、セラミックス基材110に埋設されたヒータ電極122とを備えている。セラミックス基材110の外周部には、セラミックス基材110の上面111よりも上方に突出する環状凸部152が設けられ、セラミックス基材110の、環状凸部152の内側には、セラミックス基材110の上面111よりも上方に突出する複数の第1凸部156及び複数の第2凸部157が設けられている。上記実施形態及び実施例1~7においては、第2凸部157の高さは第1凸部156の高さよりも低い。つまり、複数の第2凸部157の上面157aは、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面よりも下方に位置している。
複数の第1凸部156の上面156aとウェハ10は、主に接触により伝熱する。これに対して、ウェハ10とセラミックス基体110の上面111とは接触していない。同様に、ウェハ10と複数の第2凸部157の上面157aとは接触していない。しかしながら、ウェハ10とセラミックス基体110の上面111との間、及び、ウェハ10と複数の第2凸部157の上面157aとの間においては、対流及び輻射によって伝熱する。本実施形態及び実施例1~7においては、複数の第2凸部157の上面157aは、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面よりも下方に位置している。これにより、第2凸部157が設けられている領域におけるウェハ10への伝熱量(対流熱伝達、上面111からの輻射熱伝達、及び、第2凸部157の上面157aからの輻射熱伝達)を、第1凸部156が設けられている領域におけるウェハ10への伝熱量(固体熱伝導、対流熱伝達および上面111からの輻射熱伝達)を小さくすることができる。これにより、ウェハ10の温度を局所的に調節することができる。また、第2凸部157の上面157aと、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面との離間距離Gを調節することができる。これにより、第2凸部157が設けられている領域におけるウェハ10への伝熱量(対流熱伝達、及び、第2凸部157の上面157aからの輻射熱伝達)を調節することができる。そのため、第2凸部157を設けることに代えて、単に第1凸部156の数を減らした場合と比べて、第2凸部157が設けられている領域におけるウェハ10への伝熱量をより細かく調節することができる。
実施例1~3、5、6において、第2凸部157はセラミックス基材110と同心の円形状の領域に形成されている。また、実施例4、5、7において、第2凸部157はセラミックス基材110と同心の円環状の領域に形成されている。このように、第2凸部157をセラミックス基材110と同心の円形状の領域、及び/又は、セラミックス基材110と同心の円環状の領域に形成することにより、セラミックス基材110の径方向の温度分布を調節することができる。
上記実施例6において、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S2は、セラミックス基材110の中心側が外縁側よりも上方に位置する凸面形状である。また、上記実施例7において、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S3は、セラミックス基材110の中心側が外縁側よりも下方に位置する凹面形状である。
ウェハ10は、必ずしも平坦な平面形状であるとは限られず、上に凸又は下に凸の曲面形状である場合がある。このようなウェハ10の形状に合わせて、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面の形状を調整することにより、ウェハ10を安定に支持することができる。なお、包絡面の平面度は100μm以下であることが好ましい。特に、真空吸着によってウェハ10を支持する場合には、包絡面の平面度は100μm以下であることが好ましい。包絡面の平面度が100μmより大きくなると、ウェハ10を載置した際に、静定するまでに時間がかかるとともに、包絡面に倣わない形状でウェハ10が載置される可能性が高くなる。
実施例1~7において、距離Lと離間距離Gとの比G/Lは、1×10-4≦G/L≦4×10-3を満たしている。なお、上述のように、図8(a)に示されるように、セラミックス基材110の上面111の、円形の領域に複数の第2凸部157が配置されている場合には、距離Lは、第1の同心円の直径である。また、セラミックス基材110の上面111の、円環状の領域に複数の第2凸部157が配置されている場合(例えば、図8(b)参照)には、距離Lは第1の同心円と第2の同心円の半径の差である。ここで、第1の同心円は、複数の第1凸部156のうち第2凸部157と隣り合い、かつ、セラミックス基材110の中心から最も遠い位置にある第1凸部156を通る、セラミックス基材110と同心の同心円である。第2の同心円は、第2凸部157と隣り合い、かつ、セラミックス基材110の中心から最も近い位置にある第1凸部156を通る、セラミックス基材110と同心の同心円である。また、離間距離Gは、複数の第1凸部156の包絡面と、第2凸部157の上面157aとの間の、上下方向5の距離である。
比G/Lが1×10-4未満であると、離間距離Gに対して距離Lが大きくなりすぎるため、ウェハ10のたわみが大きくなることがある。そのため、本来であればウェハ10と接触しないはずの第2凸部157の上面と、ウェハ10とが不安定に接触し、ウェハ10の温度の安定性が損なわれてしまう。また、比G/L比が4×10-3よりも大きくなると、第2凸部157の上面157aからウェハ10への伝熱(対流、輻射)の影響が小さくなり、温度調節機能を十分に発揮できなくなる。
上記実施形態及び実施例1~7において、セラミックス基板110の下面113には、シャフト130が接合されている。これにより、セラミックスヒータ100の断熱性を向上させることができる。
<変更形態>
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、セラミックス基材110、シャフト130の形状、寸法は上記実施形態のものには限られず、適宜変更しうる。環状凸部152の高さ、幅等の寸法、環状凸部152の上面152aの断面形状は適宜変更しうる。
複数の第1凸部156の高さ、上面156aの形状は適宜変更しうる。例えば、複数の第1凸部156の上面156aの形状は必ずしも円形でなくてもよく、任意の形状にすることができる。なお、その場合においても、直径0.1mm~5mmの円と同程度の面積を有することが好ましい。複数の第2凸部157の高さ、上面157aの形状についても同様である。また、上記説明において、複数の第1凸部156及び複数の第2凸部157は同心円状に分布するように配置されていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、複数の第1凸部156が、正三角形、正四角形の各頂点の位置に分布するように、格子状に連続的に配列されてもよく、複数の第1凸部156及び複数の第2凸部157がランダムな位置に分布するように配置されていてもよい。その場合であっても、複数の第1凸部156および複数の第2凸部157の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にあることが好ましい。なお、上記実施形態及び上記実施例1~7において、第2凸部157の数は2以上であったが、本発明はそのような態様には限られず、第2凸部157の数が1つであってもよい。
上記実施形態及び実施例1~7において、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面S1は平坦な平面であり、包絡面S2は上に凸の曲面であり、包絡面S3は下に凸の曲面であった。なお、上記実施形態及び実施例1~7においては、上に凸の包絡面S2と円環形状の領域に配置された第2凸部157との組み合わせ、及び、下に凸の包絡面S3と円形状の領域に配置された第2凸部157との組み合わせは例示されていなかった。しかしながら、図示はされていないが、上に凸の包絡面S2と円環形状の領域に配置された第2凸部157とを組み合わせることができ、下に凸の包絡面S3と円形状の領域に配置された第2凸部157とを組み合わせることもできる。さらに、本発明において、複数の第1凸部156の包絡面の形状は、上述のような態様に限られず、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面の形状を適宜の形状に設定しうる。なお、複数の第1凸部156の上面156aの包絡面の形状は、ウェハ10の外径より5mm内側までの領域で決定することができる。
上記実施形態においては、ヒータ電極122として、モリブデン、タングステン、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金を用いていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、モリブデン、タングステン以外の金属又は合金を用いることもできる。また、電極120は発熱体としてのヒータ電極122を含んでいた。しかしながら、電極120は必ずしも発熱体としてのヒータ電極122を含む必要は無く、例えば、発熱体として高周波電極を含んでいてもよい。
上記実施形態においては、セラミックスヒータ100はセラミックス基材110に埋設されたヒータ電極122を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、ヒータ電極122はセラミックスヒータ100のセラミックス基材110に埋設されていなくてもよい。例えば、ヒータ電極122又は高周波電極がセラミックス基材110の裏面113に貼付されていてもよい。
上記実施形態においては、シャフト130は大径部132、133を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、必ずしもシャフト130は大径部132、133を備えていなくてもよい。また、シャフト130の円筒部131に、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されていなくてもよい。例えば、第2ガス流路168に代えて、円筒部131の中空の領域(給電線140が設けられている領域)に、別途ガスの配管を設けることもできる。
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
明細書、及び図面中において示した製造方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
100 基板保持部材
110 セラミックス基材
120 電極
130 シャフト
140 給電線
152 環状凸部
156 第1凸部
157 第2凸部

Claims (4)

  1. 上面、前記上面と上下方向において対向する下面、前記上面よりも上方に突出する複数の第1凸部を有する円板状のセラミックス基材と、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は前記セラミックス基材の前記下面に配置された発熱体と、を備え、
    前記セラミックス基材は、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出し、前記複数の第1凸部の上面の包絡面よりも下方に位置する上面を有する第2凸部を備えることを特徴とするセラミックスヒータ。
  2. 前記第2凸部は、前記セラミックス基材の中心に対して同心円状に並ぶように配置されている請求項1に記載のセラミックスヒータ。
  3. 前記セラミックス基材の前記中心を通り、前記上下方向に平行な面での前記セラミックス基材の断面において、
    前記第2凸部を挟むように、前記少なくとも1つの第2凸部と隣り合う2つの前記第1凸部の、前記セラミックス基材の径方向の距離Lと、
    前記包絡面と、前記第2凸部の上面との間の前記上下方向の距離Gとが、
    1×10-4≦G/L≦4×10-3
    を満たす請求項2に記載のセラミックスヒータ。
  4. さらに、前記セラミックス基材の前記下面に接合された筒状のシャフトを備える請求項1~3のいずれか一項に記載のセラミックスヒータ。
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