JP2023176711A - 基板保持部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板が一様に平坦な平面である場合だけでなく、基板が反っている場合であってもヒートスポット又はコールドスポットの発生を抑制できる基板保持部材を提供する。【解決手段】基板保持部材100は、セラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置された環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置された複数の凸部156とが設けられている。複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線が上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)であり、環状凸部152の上面152aの断面線は径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線である。【選択図】 図2
Description
本発明は、シリコンウェハ等の基板を保持する基板保持部材に関する。
特許文献1には、ウェハなどの基板を保持する静電チャックが開示されている。特許文献1に記載の静電チャックは、基板が載置される基体と、基体の上面から突出して基板を支持する複数の凸部(突起)と、基体の外周縁部の上面から環状に突出して基板を支持する環状凸部(シールリング)とを備える。
特許文献1に記載の静電チャックにおいては、シールリングの内側において分散配置されている複数の突起の高さと、シールリングの高さとが同じであり、且つ、シールリングの上面と複数の突起の上面とが水平な同一平面上に位置づけられていた。この場合には、基板が一様に平坦な平面である場合には、シールリングと基板との接触面積が大きくなりすぎて、基板とシールリングとの接触面においてヒートスポットが発生するおそれがあった。また、基板が一様に平坦な平面ではなく、例えば基板の外周部が上側又は下側に反っている場合において、基板とシールリングとが安定に接触しないおそれがあった。これにより、基板とシールリングとの接触面において温度特異点(ヒートスポット又はコールドスポット)が発生するおそれがあった。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、基板が一様に平坦な平面である場合だけでなく、基板が反っている場合であってもヒートスポット又はコールドスポットの発生を抑制できる基板保持部材を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、上面、及び、前記上面と上下方向において対向する下面を有する円板状のセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備える基板保持部材であって、
前記セラミックス基材は、
前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
前記複数の凸部の上面の、前記上下方向及び前記セラミックス基材の径方向に平行な前記セラミックス基材の中心を通る垂直面での断面線の包絡線を第1仮想線とし、前記環状の凸部の上面の、前記垂直面での断面線を第2仮想線としたとき、
前記第1仮想線が直線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる傾きを有する直線である、
又は、
前記第1仮想線が曲線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる曲率を有する曲線である、
又は、
前記第1仮想線及び前記第2仮想線の一方が直線であり、且つ、他方が曲線であることを特徴とする基板保持部材が提供される。
前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備える基板保持部材であって、
前記セラミックス基材は、
前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
前記複数の凸部の上面の、前記上下方向及び前記セラミックス基材の径方向に平行な前記セラミックス基材の中心を通る垂直面での断面線の包絡線を第1仮想線とし、前記環状の凸部の上面の、前記垂直面での断面線を第2仮想線としたとき、
前記第1仮想線が直線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる傾きを有する直線である、
又は、
前記第1仮想線が曲線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる曲率を有する曲線である、
又は、
前記第1仮想線及び前記第2仮想線の一方が直線であり、且つ、他方が曲線であることを特徴とする基板保持部材が提供される。
上記態様においては、セラミックス基材の外周部に環状凸部が設けられており、基板を保持する際に基板の外周部と当接する。これにより、基板をセラミックス基材の上面に保持したとき、基板の外周部が変形することを抑制することができる。また、基板保持部材の上面と、環状凸部と、基板とに囲まれた空隙に、環状凸部の外側からガスが進入することを抑制することができる。あるいは、環状凸部の内側から外側にガスが流出することを抑制することができる。さらに、第1仮想線を直線とし、且つ、第2仮想線を第1仮想線と異なる傾きを有する直線とすることができる。この場合には、ウェハの外縁部分が上に向かって反っている場合又は下に向かって反っている場合において、安定にウェハを保持することができ、不安定な接触が回避されてヒートスポット又はコールドスポットの発生を抑制することができる。また、ウェハの反りなどの形状に応じて、第1仮想線を曲線とし、且つ、第2仮想線を第1仮想線と異なる曲率を有する曲線とすることができる。あるいは、第1仮想線を及び第2仮想線の一方を直線とし、他方を曲線とすることができる。これらの場合においても同様に、安定にウェハを保持することができ、ヒートスポット又はコールドスポットの発生を抑制することができる。
<基板保持部材100>
本発明の実施形態に係る基板保持部材100について、図1、2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る基板保持部材100は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ(以下、単にウェハ10という)の加熱に用いられるセラミックスヒータである。なお、以下の説明においては、基板保持部材100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係る基板保持部材100は、セラミックス基材110と、電極120(図2参照)と、シャフト130と、給電線140とを備える。
本発明の実施形態に係る基板保持部材100について、図1、2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る基板保持部材100は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ(以下、単にウェハ10という)の加熱に用いられるセラミックスヒータである。なお、以下の説明においては、基板保持部材100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係る基板保持部材100は、セラミックス基材110と、電極120(図2参照)と、シャフト130と、給電線140とを備える。
セラミックス基材110は、直径12インチ(約300mm)の円形の板状の形状を有する部材であり、セラミックス基材110の上には加熱対象であるウェハ10が載置される。なお、図1では図面を見やすくするためにウェハ10とセラミックス基材110とを離して図示している。図1に示されるように、セラミックス基材110の上面111には、環状の凸部152(以下、単に環状凸部152という)と、複数の凸部156とが設けられている。なお、図1においては、図面を見やすくするために、図2と比べて複数の凸部156の数を減らして図示している。また、図2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、後述の第1ガス流路164が形成されている。セラミックス基材110は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成することができる。
図1、2に示されるように、環状凸部152は、セラミックス基材110の上面111の外周部(外縁部)に配置された円環状の凸部であり、上面111から上方に突出している。図2に示されるように、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたとき、環状凸部152の上面152aはウェハ10の下面と当接する。つまり、環状凸部152は、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたときに、上下方向5においてウェハ10と重なる位置に配置されている。セラミックス基材110の上面111の、環状凸部152の内側には、複数の凸部156が設けられている。複数の凸部156はいずれも円柱形状を有している。複数の凸部156のうちの1つは、上面111の略中心に配置されている。残りの凸部156は、等間隔に並んだ4重の同心円の円周上に並んでいる。また、各同心円の円周上において、凸部156は等間隔で並んでいる。なお、凸部156が配置される位置及び/又は数は、用途、作用、機能に応じて適宜設定される。
環状凸部152の高さは、5μm~2mmの範囲にすることができる。同様に、複数の凸部156の高さも、5μm~2mmの範囲にすることができる。本実施形態において、複数の凸部156の高さは同じである。なお、本明細書において、環状凸部152の高さ及び複数の凸部156の高さは、セラミックス基板110の上面111からの上下方向の長さとして定義される。なお、セラミックス基板110の上面111が平坦でなく、例えば段差を有している場合には、セラミックス基板110の上面111のうち、最も高い位置を基準にして、そこからの上下方向の長さとして定義される。
本実施形態において、複数の凸部156の上面156aは上下方向5に垂直な面(水平面)であるのに対して、環状凸部152の上面152aは水平面ではない。図2に示されるように、環状凸部152の上面152aは径方向の内側に向かうにつれて下方に下がる傾斜面である。図8(a)に示されるように、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(つまり、水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は、包絡線L1に対して傾いた直線(図8(a)参照)である。包絡線L1が本発明の第1仮想線に対応し、断面線L2が第2仮想線に対応する。
上述のように、本実施形態においては環状凸部152の上面152aは径方向の内側に向かって下がるように傾斜する傾斜面である。そのため、図8(a)に示されるように、断面線L2の径方向の外側の端が、環状凸部152の上面152aの最も高い位置に対応し、断面線L2の径方向の内側の端が環状凸部152の上面152aの最も低い位置に対応する。本実施形態においては、断面線L2の最も低い位置の高さが、複数の凸部156の上面156aの高さと同じである。なお、本明細書において、環状凸部152の上面152aの最も高い位置と最も低い位置との差を、環状凸部152の上面152aの高低差Dと称する。
環状凸部152の上面152aの幅は、一定の幅であることが望ましく、0.1mm~10mmにすることができる。環状凸部152の上面152aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。同様に、複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。なお、環状凸部152の上面152a、及び、複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。
複数の凸部156の上面156aは、直径0.1mm~5mmの円形であることが好ましい。また、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にすることができる。
上述のように、セラミックス基板110の上面111において、複数の凸部156は4つの同心円の円周上に並んでいる。図2に示されるように、上面111の、複数の凸部156が配置された最も内側の同心円と内側から2番目の同心円との間には、第1ガス流路164の開口164aが開口している。第1ガス流路164は、開口164aを備えるガス流路であり、セラミックス基材110の内部に形成されている。第1ガス流路164は、開口164aから下方に延びている。後述のように、第1ガス流路164の下端は、シャフト130の内部に形成された第2ガス流路168の上端に接合されている。
第1ガス流路164は、セラミックス基材110の上面111とウェハ10の下面とによって画定される空間(間隙)にガスを供給するための流路として用いることができる。例えば、ウェハ10とセラミックス基材110との間の伝熱のための伝熱ガスを供給することができる。伝熱ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガスや、窒素ガスなどを用いることができる。伝熱ガスは、第1ガス流路164を通じて、100Pa~40000Paの範囲内で設定された圧力で供給される。また、環状凸部152の上面152aとウェハ10の下面との隙間から、環状凸部152の内側の間隙にプロセスガスが侵入してくる場合には、第1ガス流路164を介して、ガスを排気することができる。この際、排気圧を調整することによって間隙の外側の圧力と、間隙の内側の圧力の差圧を調節することができる。これにより、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向けて吸着させることができる。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、電極120が埋設されている。電極120は、ヒータ電極122と、静電吸着用電極124とを含んでいる。静電吸着用電極124はヒータ電極122の上方に埋設されている。
図3に示されるように、静電吸着用電極124は2つの半円形状の電極124a、124bが所定の間隔を隔てて向かい合うように配置されており、全体として略円形の形状を有している。本実施形態において、静電吸着用電極124の外径は292mmである。電極124a及び電極124bにそれぞれ所定の電圧(例えば、±500V)を印加することにより、ウェハ10を静電吸着することができる。
図4に示されるように、ヒータ電極122は帯状に裁断された金属製のメッシュや箔である。ヒータ電極122の外径は298mmである。ヒータ電極120はセラミックス基材110の側面から露出しない。ヒータ電極120の略中央には、給電線140(図1参照)と接続される端子部121が設けられている。ヒータ電極120はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金のワイヤーを織ったメッシュや箔等の耐熱金属(高融点金属)により形成されている。タングステン、モリブデンの純度は99%以上であることが好ましい。ヒータ電極120の厚さは0.15mm以下である。なお、ヒータ電極120の抵抗値を高くして、基板保持部材100の消費電流を低減させるという観点からは、ワイヤーの線径を0.1mm以下、ヒータ電極120の厚さを0.1mm以下にすることが好ましい。また、帯状に裁断されたヒータ電極120の幅は2.5mm~20mmであることが好ましく、5mm~15mmであることがさらに好ましい。本実施形態においては、ヒータ電極120は、図3に示される形状に裁断されているがヒータ電極120の形状はこれには限られず、適宜変更しうる。なお、セラミックス基材110の内部にはヒータ電極120に加えて、あるいは、ヒータ電極120に代えて、セラミックス基材110の上方にプラズマを発生させるためのプラズマ電極が埋設されていてもよい。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の下面113には、シャフト130が接続されている。シャフト130は中空の略円筒形状の円筒部131と、円筒部131の下方に設けられた大径部132(図1参照)を有する。大径部132は、円筒部131の径よりも大きな径を有している。以下の説明において、円筒部131の長手方向をシャフト130の長手方向6として定義する。図1に示されるように、基板保持部材100の使用状態において、シャフト130の長手方向6は上下方向5と平行である。
図2に示されるように、セラミックス基材110の下面113に、シャフト130との接合のための凸部114(以下、接合用凸部114と呼ぶ)が設けられている。接合用凸部114の形状は、接合されるシャフト130の上面の形状と同じであることが好ましく、接合用凸部114の直径は100mm以下であることが好ましい。接合用凸部114の高さ(下面113からの高さ)は、2mm以上であればよく、5mm以上であることが好ましい。特に高さの上限に制限はないが、製作上の容易さを勘案すると、接合用凸部114の高さは20mm以下であることが好ましい。また、接合用凸部114の下面は、セラミックス基材100の下面113に平行であることが好ましい。接合用凸部114の下面の表面粗さRaは1.6μm以下であればよい。なお、接合用凸部114の下面の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
円筒部131の上面は、セラミックス基材110の下面113(接合用凸部114が設けられている場合には、接合用凸部114の下面)に固定されている。なお、シャフト130は、セラミックス基材110と同じように、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成されてもよい。あるいは、断熱性を高めるために、セラミックス基材110より熱伝導率の低い材料で形成されてもよい。また、図5に示されるように、円筒部131の上面に、円筒部131の下方に設けられた大径部132と同様な拡径部が設けられてもよい。
図2に示されるように、シャフト130は中空の円筒形状を有しており、その内部(内径より内側の領域)には長手方向6(図1参照)に延びる貫通孔が形成されている。シャフト130の中空の部分(貫通孔)には、ヒータ電極122に電力を供給するための給電線140と、静電吸着用電極124に電力を供給するための給電線141とが配置されている。なお、図2においては、給電線140、141はそれぞれ1つずつしか図示されていないが、実際には複数の給電線140及び複数の給電線141が配置されている。給電線140の上端は、ヒータ電極122の中央に配置された端子部121(図3参照)に電気的に接続されている。給電線140は、不図示のヒータ用電源に接続される。これにより、給電線140を介してヒータ電極122に電力が供給される。同様に、給電線141を介して、静電吸着用電極124に電力が供給される。
また、図2に示されるように、シャフト130の円筒部131には、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されている。上述のように、第2ガス流路168の上端は第1ガス流路164の下端に接続されている。
次に、基板保持部材100の製造方法について説明する。以下では、セラミックス基材110及びシャフト130が窒化アルミニウムで形成される場合を例に挙げて説明する。
まず、セラミックス基材110の製造方法について説明する。なお、説明を簡略化するために、セラミックス基材110の内部には、電極120としてヒータ電極122のみが埋設されているものとする。図6(a)に示されるように、窒化アルミニウム(AlN)粉末を主成分とする造粒粉Pをカーボン製の有床型501に投入し、パンチ502で仮プレスする。なお、造粒粉Pには、5wt%以下の焼結助剤(例えば、Y2O3)が含まれることが好ましい。次に、図6(b)に示されるように、仮プレスされた造粒粉Pの上に、所定形状に裁断されたヒータ電極122を配置する。なお、ヒータ電極122は、加圧方向に垂直な面(有床型501の底面)に平行になるように配置される。このとき、Wのペレット又はMoのペレットをヒータ電極122の端子121(図4参照)の位置に埋設してもよい。
図6(c)に示されるように、ヒータ電極122を覆うようにさらに造粒粉Pを有床型501に投入し、パンチ502でプレスして成形する。次に、図6(d)に示されるように、ヒータ電極122が埋設された造粒粉Pをプレスした状態で焼成する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。次に、図6(e)に示されるように、端子121を形成するために、ヒータ電極122までの止まり穴加工を行う。なお、ペレットを埋設した場合には、ペレットまでの止まり穴加工を行えばよい。さらに、第1ガス流路164の一部となる貫通孔を形成する。これにより、内部に第1ガス流路164が形成されたセラミックス基材110を作製することができる。この場合、ヒータ電極122が第1ガス流路164から露出しないように、予めヒータ電極122に所定の開口部を設けることが好ましい。
なお、セラミックス基材110は以下の方法によっても製造することができる。図7(a)に示されるように、窒化アルミニウムの造粒粉Pにバインダーを加えてCIP成型し、円板状に加工して、窒化アルミニウムの成形体510を作製する。次に、図7(b)に示されるように、成形体510の脱脂処理を行い、バインダーを除去する。
図7(c)に示されるように、脱脂された成形体510に、ヒータ電極122を埋設するための凹部511を形成する。成形体510の凹部511にヒータ電極122を配置し、別の成形体510を積層する。なお、凹部511は予め成形体510に形成しておいてもよい。次に、図7(d)に示されるように、ヒータ電極122を挟むように積層された成形体510をプレスした状態で焼成し、焼成体を作製する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。焼成体を作製した後の工程は、上述の工程と同様であるので、説明を省略する。
このようにして形成されたセラミックス基材110の上面111に対して研削を行い、ラップ加工(鏡面研磨加工)を行う。さらに、上面111に対してサンドブラスト加工を行うことにより、上面111に複数の凸部156及び環状凸部152を形成する。このとき、複数の凸部156の高さは同じになるように加工される。また、環状凸部152の上面152aも所定の形状に加工される。なお、複数の凸部156、環状凸部152を形成するための加工方法は、サンドブラスト加工が好適であるが、他の加工方法を用いることもできる。セラミックス基材110の下面113には、下面113から突出した接合用の凸部114が設けられてもよい。
次に、シャフト130の製造方法及びシャフト130とセラミックス基材110との接合方法について説明する。まず、バインダーを数wt%添加した窒化アルミニウムの造粒粉Pを静水圧(1MPa程度)で成形し、成形体を所定形状に加工する。このとき、成形体に第2ガス流路168となる貫通孔を形成する。なお、シャフト130の外径は、30mm~100mm程度である。シャフト130の円筒部131の端面には円筒部131の外径より大きい径を有するフランジ部133が設けられてもよい(図5参照)。円筒部131の長さは例えば、50mm~500mmにすることができる。成形体を所定形状に加工した後、成形体を窒素雰囲気中で焼成する。例えば、1900℃の温度で2時間焼成する。そして、焼成後に焼結体を所定形状に加工することによりシャフト130が形成される。円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、1600℃以上、1MPa以上の一軸圧力下で、拡散接合により固定することができる。この場合には、セラミックス基材110の下面113の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。また、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、接合剤を用いて接合することもできる。接合剤として、例えば、10wt%のY2O3を添加したAlN接合材ペーストを用いることができる。例えば、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113との界面に上記のAlN接合剤ペーストを15μmの厚さで塗布し、上面111に垂直な方向(シャフト130の長手方向6)に5kPaの力を加えつつ、1700℃の温度で1時間加熱することにより、接合することができる。あるいは、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、ねじ止め、ろう付け等によって固定することもできる。
以下、本発明について実施例1~6を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。なお、図11には、実施例1~6及び比較例の結果をまとめた表が示されている。
[実施例1]
実施例1の基板保持部材100(図2参照)について説明する。実施例1においては、5wt%の焼結助剤(Y2O3)を添加した窒化アルミニウム(AlN)を原料として、上述の作製方法により直径310mm、厚さ25mmのセラミックス基材110を作製した。なお、ヒータ電極122として、モリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50、平織り)を図4の形状に裁断したものを作製し、このようなヒータ電極122をセラミックス基材110に埋設した。同様に、図3に示される形状の静電吸着用電極124をセラミックス基材110に埋設した。
実施例1の基板保持部材100(図2参照)について説明する。実施例1においては、5wt%の焼結助剤(Y2O3)を添加した窒化アルミニウム(AlN)を原料として、上述の作製方法により直径310mm、厚さ25mmのセラミックス基材110を作製した。なお、ヒータ電極122として、モリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50、平織り)を図4の形状に裁断したものを作製し、このようなヒータ電極122をセラミックス基材110に埋設した。同様に、図3に示される形状の静電吸着用電極124をセラミックス基材110に埋設した。
セラミックス基材110の上面111に、内径288mm、外径298mm、幅5mmの環状凸部152を形成した。実施例1において、環状凸部152の上面152aは、径方向の内側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である(図8(a)参照)。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さは30μmであり、最も高い位置(径方向の外側端)の高さは35μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは5μmである。さらに、セラミックス基材110の上面111に、直径1mm、上面111からの高さ30μmの円柱形状の複数の凸部156を1096個形成した。上述のように、複数の凸部156は同心円状に配置されており、各凸部間の距離は10mm~20mmの範囲とした。実施例1において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例1では、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である(図8(a)参照)。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線である(図8(a)参照)。
第1ガス流路164の開口164aの直径は3mmである。開口164aの中心は、セラミックス基材110の中心から30mmの位置にある。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に後述のウェハ10A(図9(a)参照)を載置した。プロセスチャンバ内の圧力を1Pa以下に排気し、第1ガス流路164を流れるヘリウムガスの圧力が1333Pa(10Torr)となるように、ヘリウムガスのガス流量を調節した。このときのヘリウムガスのガス流量によって環状凸部152とウェハ10Aとの接触界面からのガスリークの評価を行った。本明細書においては、第1ガス流路164を流れるヘリウムガスのガス流量が2sccm以下である場合に、ガスリークの評価が良好であると判断した。実施例1におけるガスリークの評価の結果は良好であった。
なお、実施例1においては、ウェハ10として、図9(a)に示されるように、中央部分が下に凸になるように反ったウェハ10Aを用いた。ウェハ10Aは、外周部分に比べて中央部分の高さが20μm低くなっている。
さらに、以下の手順で基板保持部材100の温度評価を行った。まず、セラミックス基材110の上に温度評価用のシリコンウェハを載せ、基板保持部材100のヒータ電極122に不図示の外部電源を接続した。上記の圧力で第1ガス流路164にヘリウムガスを導入して、定常状態でシリコンウェハの上面の温度が約500℃となるように外部電源の出力電力を調整した。その後、温度評価用のシリコンウェハの、外縁から1mmの領域を除く直径298mmの領域の温度分布を赤外線カメラで計測した。温度評価用のシリコンウェハの、環状凸部152と上下方向に重なる位置に、局所的な温度特異点(例えば、局所的な高温部(ヒートスポット)又は局所的な低温部(コールドスポット))が発生するかどうかを評価した。なお、温度評価用のシリコンウェハの平均温度に対して、3.0℃以上高温になる領域があった場合に、ヒートスポットが発生したと判断した。同様に、温度評価用のシリコンウェハの平均温度に対して、3.0℃以上低温になる領域があった場合に、コールドスポットが発生したと判断した。なお、温度評価用のシリコンウェハは、直径300mmのシリコンウェハの上面に厚さ30μmの黒体膜をコーティングしたものである。黒体膜とは、放射率(輻射率)が90%以上である膜であり、例えば、カーボンナノチューブを主原料とする黒体塗料をコーティングすることにより成膜することができる。
実施例1においては、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[実施例2]
実施例2の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例2における環状凸部152の上面152aは、実施例1と同様に、径方向の内側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さは25μmであり、最も高い位置(径方向の外側端)の高さは35μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは10μmである。実施例2において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さと環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の外側端)の高さとの中間位置の高さと同じである。
実施例2の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例2における環状凸部152の上面152aは、実施例1と同様に、径方向の内側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さは25μmであり、最も高い位置(径方向の外側端)の高さは35μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは10μmである。実施例2において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さと環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の外側端)の高さとの中間位置の高さと同じである。
実施例2においても、実施例1と同様に、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線である(図8(a)参照)。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に実施例1と同様のウェハ10A(図9(a)参照)を載置した。そして、実施例1と同様の手順でガスリークの評価を行った。実施例2におけるガスリークの評価の結果は良好であった。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[実施例3]
実施例3の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1、2の基板保持部材100と同様である。実施例3における環状凸部152の上面152aは、実施例1、2と同様に、径方向の内側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さは30μmであり、最も高い位置(径方向の外側端)の高さは45μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは15μmである。実施例3において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例3の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なる点を除いて、実施例1、2の基板保持部材100と同様である。実施例3における環状凸部152の上面152aは、実施例1、2と同様に、径方向の内側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さは30μmであり、最も高い位置(径方向の外側端)の高さは45μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは15μmである。実施例3において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例3においても、実施例1、2と同様に、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線である(図8(a)参照)。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に実施例1と同様のウェハ10A(図9(a)参照)を載置した。そして、実施例1と同様の手順でガスリークの評価を行った。実施例3においては、ガスリークの評価の結果は良好ではなかった。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[実施例4]
実施例4の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例4における環状凸部152の上面152aは、径方向の中央が盛り上がる凸状の曲面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の両端)の高さは30μmであり、最も高い位置(径方向の中央)の高さは35μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは5μmである。実施例4において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の中央)の高さと同じである。
実施例4の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例4における環状凸部152の上面152aは、径方向の中央が盛り上がる凸状の曲面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の両端)の高さは30μmであり、最も高い位置(径方向の中央)の高さは35μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは5μmである。実施例4において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の中央)の高さと同じである。
実施例4では、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は中央が上に膨らんだ上に凸の曲線である(図8(c)参照)。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に平面度が5μm以下のウェハ10B(図9(b)参照)を載置した。なお、本明細書において、平面度は、ウェハの上面を2つの平行な仮想平面ではさんだときの、仮想平面の間隔として定義される。実施例4においても、実施例1と同様の手順でガスリークの評価を行った。実施例4におけるガスリークの評価の結果は良好であった。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[実施例5]
実施例5の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例5における環状凸部152の上面152aは、径方向の外側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の外側端)の高さは25μmであり、最も高い位置(径方向の内側端)の高さは30μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは5μmである。実施例5において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例5の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例5における環状凸部152の上面152aは、径方向の外側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の外側端)の高さは25μmであり、最も高い位置(径方向の内側端)の高さは30μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは5μmである。実施例5において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例5では、図8(b)に示されるように、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の外側に向かって下がるように傾斜する直線である(図8(b)参照)。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に、中央部分が上に凸になるように反ったウェハ10C(図9(c)参照)を載置した。ウェハ10Cは、外周部分に比べて中央部分の高さが20μm高くなっている。実施例5においても、実施例1と同様の手順でガスリークの評価を行った。実施例5におけるガスリークの評価の結果は良好であった。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[実施例6]
実施例6の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることと、セラミックス基板110に静電吸着用電極124が埋設されていないこととを除いて、実施例5の基板保持部材100と同様である。実施例6における環状凸部152の上面152aも、実施例5と同様に、径方向の外側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の外側端)の高さは147μmであり、最も高い位置(径方向の内側端)の高さは150μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは3μmである。実施例6において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例6の基板保持部材100は、環状凸部152の形状が異なることと、セラミックス基板110に静電吸着用電極124が埋設されていないこととを除いて、実施例5の基板保持部材100と同様である。実施例6における環状凸部152の上面152aも、実施例5と同様に、径方向の外側に向かって下がるように傾斜した傾斜面である。環状凸部152の上面152aの最も低い位置(径方向の外側端)の高さは147μmであり、最も高い位置(径方向の内側端)の高さは150μmである。環状凸部152の上面152aの高低差Dは3μmである。実施例6において、複数の凸部156の高さは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の内側端)の高さと同じである。
実施例6では、実施例5と同様に、セラミックス基板110の中心を通る垂直面での断面において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)である。これに対して、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の外側に向かって下がるように傾斜する直線である(図8(b)参照)。
このような形状の基板保持部材100をプロセスチャンバに設置し、基板保持部材100に、実施例5と同様のウェハ10C(図9(c)参照)を載置した。実施例6においても、実施例1と同様の手順でガスリークの評価を行った。実施例6におけるガスリークの評価の結果は良好であった。そして、実施例1と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(コールドスポット及びヒートスポット)の発生は認められなかった。
[比較例]
比較例の基板保持部材100Aは、環状凸部152の上面152aが水平面であることを除いて、実施例4の基板保持部材100と同様である。比較例において、環状凸部152の上面152aの高さは30μmであり、環状凸部152の上面152aの高低差Dは0μmである。比較例の基板保持部材100Aをプロセスチャンバに設置し、実施例4と同様に基板保持部材100Aに平面度が5μm以下のウェハ10B(図9(b)参照)を載置した。比較例においても、実施例4と同様の手順でガスリークの評価を行った。比較例におけるガスリークの評価の結果は良好であった。しかしながら、実施例4と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(ヒートスポット)の発生が認められた。
比較例の基板保持部材100Aは、環状凸部152の上面152aが水平面であることを除いて、実施例4の基板保持部材100と同様である。比較例において、環状凸部152の上面152aの高さは30μmであり、環状凸部152の上面152aの高低差Dは0μmである。比較例の基板保持部材100Aをプロセスチャンバに設置し、実施例4と同様に基板保持部材100Aに平面度が5μm以下のウェハ10B(図9(b)参照)を載置した。比較例においても、実施例4と同様の手順でガスリークの評価を行った。比較例におけるガスリークの評価の結果は良好であった。しかしながら、実施例4と同様の手順で基板保持部材100の温度評価を行ったところ、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(ヒートスポット)の発生が認められた。
<実施形態の作用効果>
上記実施形態及び実施例1~6において、基板保持部材100は、円板状のセラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した複数の凸部156とが設けられている。また、セラミックス基材110に埋設された電極120(ヒータ電極122及び静電吸着用電極124)を備えている。
上記実施形態及び実施例1~6において、基板保持部材100は、円板状のセラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置され、且つ、上面111よりも上方に突出した複数の凸部156とが設けられている。また、セラミックス基材110に埋設された電極120(ヒータ電極122及び静電吸着用電極124)を備えている。
セラミックス基材110の外周部に環状凸部152が設けられているので、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向かって吸着させたとき、ウェハ10の外周部が変形することを抑制することができる。さらに、基板保持部材110の上面111と、環状凸部152と、ウェハ10とに囲まれた空隙に、環状凸部152の外側からガスが進入することを抑制することができる。あるいは、環状凸部152の内側から外側にガスが流出することを抑制することができる。
なお、基板保持部材100に載置されるシリコンウェハ等のウェハ10は、図9(b)に示されるような反りのない平板であることには限られない。例えば図9(a)に示されるように、ウェハ10の中央に比べて外縁部が上に反っている場合や、図9(c)に示されるように、ウェハ10の中央に比べて外縁部が下に沿っている場合がある。環状凸部152がガスの流出、流入を抑制するためのバリアとして機能することを鑑みると、ウェハ10の反りに応じて、基板保持部材100の複数の凸部156及び環状凸部152の形状が調整されていることが好ましい。
図9(b)に示されるウェハ10Bのように、ウェハが反りのない平板である場合には、比較例のように、環状凸部152の上面152aの断面線L2と複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1とが、いずれも水平面に平行な直線とすることが考えられる。しかしながら、比較例においては、ガスリークの評価は良好であったものの、上述のように、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、温度特異点(ヒートスポット)の発生が認められた。これは、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きくなりすぎて、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域に局所的に集中したからであると考えられる。これに対して、実施例4においては、上述のように、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)であり、環状凸部152の上面152aの断面線L2は中央が上に膨らんだ上に凸の曲線である。これにより、比較例と比べて、ウェハ10の下面との接触面積を小さくすることができ、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域に局所的に集中することを抑制できた。その結果、実施例4においては、ガスリークの評価を良好にすることができ、さらに、温度特異点(ヒートスポット及びコールドスポット)の発生を抑制することができた。
図9(a)に示されるウェハ10Aのように、ウェハの外縁部分が上に向かって反っている場合(ウェハの中央部分が下に凸になるように反っている場合)には、実施例1~3のように、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1を上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)とし、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線とすることができる。これにより、ウェハ10Aのように、ウェハの外縁部分が上に向かって反っている場合においても、温度特異点(ヒートスポット及びコールドスポット)の発生を抑制することができた。なお、実施例1、2と実施例3との比較から、環状凸部152の上面152aの高低差Dを10μm以下にすることにより、ガスリークの評価を良好にすることができることがわかった。環状凸部152の上面152aの高低差Dを10μm以下にすることにより、ウェハの下面と環状凸部152の上面152aとの密着性を確保することができると考えられる。このことは、実施例1、2のように、環状凸部152の上面152aの断面線L2が、径方向の内側に向かって下がるように傾斜する直線であることには限られない。例えば、環状凸部152の上面152aの断面線L2が径方向の外側に向かって下がるように傾斜する直線であってもよい(実施例5、6)。また、環状凸部152の上面152aの断面線L2が上に凸の曲線でであってもよい(実施例4)。任意の形状の環状凸部152の上面152aに関して、高低差Dを10μm以下にすることにより、ウェハの下面と環状凸部152の上面152aとの密着性を確保することができると考えられる。
図9(c)に示されるウェハ10Cのように、ウェハの外縁部分が下に向かって反っている場合(ウェハの中央部分が上に凸になるように反っている場合)には、実施例5、6のように、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1を上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)とし、環状凸部152の上面152aの断面線L2は径方向の外側に向かって下がるように傾斜する直線とすることができる。これにより、ウェハ10Aのように、ウェハの外縁部分が下に向かって反っている場合においても、ガスリークの評価を良好にすることができるとともに、温度特異点(ヒートスポット及びコールドスポット)の発生を抑制することができた。
なお、実施例1~5のように、静電吸着用電極124を用いる場合には、環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さは、30μm以下であることが好ましい。環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さを30μm以下にすることにより、効率よく静電吸着を行うことができる。これに対して、実施例6のように、静電吸着用電極124を用いずに、いわゆる真空チャックとして基板保持部材100を用いる場合には、環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さを、500μm以下にすることができる。
実施例1~6のように、ヒータ電極122を用いる場合には、環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さは、500μm以下であることが好ましい。環状凸部152及び複数の凸部156の、上面111からの上下方向の高さの最大高さを500μm以下にすることにより、ヒータ電極122で発生する熱を効率よくウェハ10に伝えることができる。
<変更形態>
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、セラミックス基材110、シャフト130の形状、寸法は上記実施形態のものには限られず、適宜変更しうる。環状凸部152の高さ、幅等の寸法、環状凸部152の上面152aの断面形状、上面152aの表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。例えば、実施例1~6においては、環状凸部152の上面152aの最も高い位置の高さは、複数の凸部156の上面156aの高さ以上であった。しかしながら、本発明はそのような態様には限られず、環状凸部152の上面152aの最も高い位置の高さは、複数の凸部156の上面156aの高さより低くてもよい。
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、セラミックス基材110、シャフト130の形状、寸法は上記実施形態のものには限られず、適宜変更しうる。環状凸部152の高さ、幅等の寸法、環状凸部152の上面152aの断面形状、上面152aの表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。例えば、実施例1~6においては、環状凸部152の上面152aの最も高い位置の高さは、複数の凸部156の上面156aの高さ以上であった。しかしながら、本発明はそのような態様には限られず、環状凸部152の上面152aの最も高い位置の高さは、複数の凸部156の上面156aの高さより低くてもよい。
実施例4において、環状凸部152の上面152aは、径方向の中央が盛り上がる凸状の曲面であって、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の中央)の高さと、複数の凸部156の高さとが同じであった。この場合には、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1と、環状凸部152の上面152aの断面線L2とは、環状凸部152の上面152aの最も高い位置(径方向の中央)において接していた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られない。例えば、図8(d)に示されるように、環状凸部152の上面152aの断面線L2が径方向の中央部分において水平な直線状になっていてもよい。この場合において、環状凸部152の上面152aの断面線L2の水平な直線状の部分は、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1と重なっている。そして、環状凸部152の上面152aの断面線L2と、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1とが重なる部分を、断面線L2の長さの50%以下にすることができる。この場合には、上述の比較例と比べて、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きくなりすぎることが抑制でき、温度特異点(ヒートスポット及びコールドスポット)の発生を抑制することができる。
複数の凸部156の高さ、上面156aの形状、上面156aの表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。例えば、複数の凸部156の上面156aの形状は必ずしも円形でなくてもよく、任意の形状にすることができる。なお、その場合においても、直径0.1mm~5mmの円と同程度の面積を有することが好ましい。また、上記説明において、複数の凸部156は同心円状に分布するように配置されていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、複数の凸部156が、正三角形、正四角形の各頂点の位置に分布するように、格子状に連続的に配列されてもよく、複数の凸部156がランダムな位置に分布するように配置されていてもよい。その場合であっても、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にあることが好ましい。
上記実施形態及び実施例1~6において、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1は上下方向5に直交する直線(水平面に平行な直線)であった。本発明は必ずしもそのような態様には限られない。例えば、ウェハの反りなどの形状に応じて、複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1を、上に凸の曲線又は下に凸の曲線とすることができる。この場合において、環状凸部152の上面152aの断面線L2を、直線又は包絡線L1と異なる曲率を有する曲線にすることができる。ウェハの反りなどの形状に応じて、環状凸部152の上面152aの断面線L2の形状及び複数の凸部156の上面156aの断面線の包絡線L1の形状を上記のものから選択することにより、安定にウェハを保持することができ、温度特異点(ヒートスポット及びコールドスポット)の発生を抑制することができる。
上記実施形態においては、電極120として、モリブデン、タングステン、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金を用いていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、モリブデン、タングステン以外の金属又は合金を用いることもできる。また、電極120は発熱体としてのヒータ電極122を含んでいた。しかしながら、電極120は必ずしも発熱体としてのヒータ電極122を含む必要は無く、例えば、高周波電極であってもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100はセラミックス基材110に埋設された電極120(ヒータ電極122及び静電吸着用電極124)を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、電極120は基板保持部材100のセラミックス基材110に埋設されていなくてもよい。例えば、電極120として、ヒータ電極122又は高周波電極がセラミックス基材110の裏面113に貼付されていてもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100はシャフト130を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、基板保持部材100は必ずしもシャフト130を備えていなくてもよい。また、基板保持部材100がシャフト130を備えている場合であっても、シャフト130の円筒部131に、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されていなくてもよい。例えば、第2ガス流路168に代えて、円筒部131の中空の領域(給電線140が設けられている領域)に、別途ガスの配管を設けることもできる。
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
明細書、及び図面中において示した製造方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
100 基板保持部材
110 セラミックス基材
120 電極
130 シャフト
140 給電線
152 環状凸部
156 複数の凸部
110 セラミックス基材
120 電極
130 シャフト
140 給電線
152 環状凸部
156 複数の凸部
Claims (9)
- 上面、及び、前記上面と上下方向において対向する下面を有する円板状のセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備える基板保持部材であって、
前記セラミックス基材は、
前記セラミックス基材の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出する環状の凸部と、
前記セラミックス基材の、前記環状の凸部の内側に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面よりも上方に突出した複数の凸部と、を備え、
前記複数の凸部の上面の、前記上下方向及び前記セラミックス基材の径方向に平行な前記セラミックス基材の中心を通る垂直面での断面線の包絡線を第1仮想線とし、前記環状の凸部の上面の、前記垂直面での断面線を第2仮想線としたとき、
前記第1仮想線が直線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる傾きを有する直線である、
又は、
前記第1仮想線が曲線であり、且つ、前記第2仮想線が前記第1仮想線と異なる曲率を有する曲線である、
又は、
前記第1仮想線及び前記第2仮想線の一方が直線であり、且つ、他方が曲線であることを特徴とする基板保持部材。 - 前記第1仮想線を前記上下方向において前記環状の凸部の前記上面と重なる位置まで延長したとき、前記延長された前記第1仮想線と、前記第2仮想線とが重なる長さは、前記第2仮想線の長さの0%以上50%以下である請求項1に記載の基板保持部材。
- 前記第1仮想線は前記上下方向に直交する水平方向に平行な直線であり、前記第2仮想線は上に凸の曲線である請求項1に記載の基板保持部材。
- 前記第1仮想線は前記上下方向に直交する水平方向に平行な直線であり、前記第2仮想線は上に凸の曲線である請求項2に記載の基板保持部材。
- 前記第2仮想線の、前記上下方向において最も高い位置と最も低い位置との差は、10μm以下である請求項1に記載の基板保持部材。
- 前記第2仮想線の、前記上下方向において最も高い位置と最も低い位置との差は、10μm以下である請求項2に記載の基板保持部材。
- 前記第2仮想線の、前記上下方向において最も高い位置と最も低い位置との差は、10μm以下である請求項3に記載の基板保持部材。
- 前記第2仮想線の、前記上下方向において最も高い位置と最も低い位置との差は、10μm以下である請求項4に記載の基板保持部材。
- さらに、前記セラミックス基材の前記下面に接合された筒状のシャフトを備える請求項1~8のいずれか一項に記載の基板保持部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022089143A JP2023176711A (ja) | 2022-05-31 | 2022-05-31 | 基板保持部材 |
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JP2022089143A Pending JP2023176711A (ja) | 2022-05-31 | 2022-05-31 | 基板保持部材 |
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-
2022
- 2022-05-31 JP JP2022089143A patent/JP2023176711A/ja active Pending
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