JP2023071414A - 基板保持部材 - Google Patents

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和也 高橋
Kazuya Takahashi
浩正 下嶋
Hiromasa Shimojima
徹夫 北林
Tetsuo Kitabayashi
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Abstract

【課題】基板の外周部の変形を抑制できるとともに、基板との接触面積が大きくなることを抑制することができる基板保持部材を提供する。【解決手段】基板保持部材100は、セラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置された環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置された複数の凸部156とが設けられている。セラミックス基材110の内部には、環状凸部152の内側に開口する開口164aを有する第1ガス流路164が形成されている。また、環状凸部152には、溝153が形成されている。【選択図】 図2

Description

本発明は、シリコンウェハ等の基板を保持する基板保持部材に関する。
特許文献1には、ウェハなどの基板を保持する静電チャックが開示されている。特許文献1に記載の静電チャックは、基板が載置される基体と、基体の上面から突出して基板を支持する複数の凸部(突起)と、基体の外周縁部の上面から環状に突出して基板を支持する環状凸部(シールリング)とを備える。
特開2009-111243号公報
特許文献1に記載の静電チャックにおいては、シールリングの内側において分散配置されている複数の突起の高さと、シールリングの高さとが同じである。基板とシールリングとが接触することにより、基板の外周部の変形を抑制することができる。また、シールリングの幅を大きくすることにより、基板との接触面積を大きくすることができ、基板とシールリングとの間でのガスの移動を抑制することができる。これにより、基板とシーリングとの間のシール性能を向上させることができる。しかしながら、基板との接触面積が大きくなると、基板とシールリングとの接触面において、熱の伝わりが一様でないスポットが生じる可能性が高くなり、場合によってはヒートスポットやコールドスポットが発生する恐れがある。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、基板の外周部の変形を抑制できるとともに、基板との接触面におけるヒートスポット及びコールドスポットの発生を抑制することができる基板保持部材を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、上面、前記上面と上下方向において対向する下面を有するセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備え
前記セラミックス基材は、
前記セラミックス基材の前記上面の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面から上方に突出する環状の凸部と、
前記セラミックス基材の前記上面の、前記環状の凸部の内側領域に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面から上方に突出した複数の凸部と、を備え、
上記環状の凸部の上面の面積S1と、前記環状の凸部の前記上面と平行な断面の断面積の最小値S2とが、
0.3≦S2/S1<1
であることを特徴とする基板保持部材が提供される。
上記態様においては、セラミックス基材の外周部に環状の凸部が設けられており、基板を保持する際に基板の外周部と当接する。これにより、基板をセラミックス基材の上面に保持したとき、基板の外周部が変形することを抑制することができる。また、環状の凸部には、環状の凸部の上面の面積S1と、環状の凸部の上面と平行な断面の断面積の最小値S2との比S2/S1が、0.3≦S2/S1<1を満たすような低断面積部分が形成されている。このような低断面積部分は、例えば、環状の凸部の側面に溝を設けることにより形成することができる。これにより、環状の凸部にこのような低断面積部分が設けられていない場合と比べて、環状の凸部の熱抵抗を大きくすることができ、基板保持部材から基板に伝わる熱が、環状の凸部の上面に当接する円環状の領域に局所的に集中することを抑制することができる。特に、基板保持部材が発熱体としての電極を備える場合には、環状の凸部が基板と接触し伝熱することによって基板上に生じる、環状の凸部の位置に対応したヒートスポットの発生を抑制することができる。
図1は、基板保持部材100の斜視図である。 図2は、基板保持部材100の概略説明図である。 図3は、電極120の概略説明図である。 図4(a)~(e)は、セラミックス基材110の製造方法の流れを示す図である。 図5(a)~(d)は、セラミックス基材110の別の製造方法の流れを示す図である。 図6は、実施例2の基板保持部材100の図2相当図である。 図7は、実施例3の基板保持部材100の図2相当図である。 図8は、実施例4の基板保持部材100の概略外観図である。 図9は、静電吸着用電極124の概略説明図である。 図10は、比較例1の基板保持部材100Aの図2相当図である。 図11は、実施例1~5の結果をまとめた表である。 図12は、実施例6~8及び比較例1、2の結果をまとめた表である。
<基板保持部材100>
本発明の実施形態に係る基板保持部材100について、図1、2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る基板保持部材100は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ(以下、単にウェハ10という)の加熱に用いられるセラミックスヒータである。なお、以下の説明においては、基板保持部材100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向5が定義される。図1に示されるように、本実施形態に係る基板保持部材100は、セラミックス基材110と、電極120と、シャフト130と、給電線140とを備える。
セラミックス基材110は、直径12インチ(約300mm)の円形の板状の形状を有する部材であり、セラミックス基材110の上には加熱対象であるウェハ10が載置される。なお、図1では図面を見やすくするためにウェハ10とセラミックス基材110とを離して図示している。図1に示されるように、セラミックス基材110の上面111には、環状の凸部152(以下、単に環状凸部152という)と、複数の凸部156とが設けられている。なお、図1においては、図面を見やすくするために、図2と比べて複数の凸部156の数を減らして図示している。また、図2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、後述の第1ガス流路164が形成されている。セラミックス基材110は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成することができる。
図1、2に示されるように、環状凸部152は、セラミックス基材110の上面111の外周部(外縁部)に配置された円環状の凸部であり、上面111から上方に突出している。図2に示されるように、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたとき、環状凸部152の上面152aはウェハ10の下面と当接する。つまり、環状凸部152は、ウェハ10がセラミックス基材110の上に載置されたときに、上下方向5においてウェハ10と重なる位置に配置されている。環状凸部152の外周面152Pには、周方向に延びる溝153が形成されている。溝153は矩形状の断面形状を有しており、環状凸部152の外周面152Pを一周するように形成されている。環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積は、溝153が形成されている部分において、溝153が形成されていない部分と比べて小さくなっている。すなわち、環状凸部152の、溝153が形成されている部分は、上面152aに平行な断面の断面積が他と比べて小さくなっている低断面積部である。
セラミックス基材110の上面111の、環状凸部152の内側には、複数の凸部156が設けられている。複数の凸部156はいずれも円柱形状を有している。複数の凸部156のうちの1つは、上面111の略中心に配置されている。残りの凸部156は、等間隔に並んだ4重の同心円の円周上に並んでいる。また、各同心円の円周上において、凸部156は等間隔で並んでいる。なお、凸部156が配置される位置及び/又は数は、用途、作用、機能に応じて適宜設定される。
環状凸部152の高さ(上面111からの上下方向5の長さ)は、5μm~2mmの範囲にすることができる。同様に、複数の凸部156の高さも、5μm~2mmの範囲にすることができる。なお、図2に示されるように、環状凸部152の高さを、複数の凸部156の高さと同じにすることができる。
環状凸部152の上面152aの幅は、一定の幅であることが望ましく、0.1mm~10mmにすることができる。環状凸部152の上面152aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは1.6μm以下にすることができる。なお、環状凸部152の上面152a、及び、複数の凸部156の上面156aの表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。
複数の凸部156の上面156aは、直径0.1mm~5mmの円形であることが好ましい。また、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にすることができる。
上述のように、上面111において、複数の凸部156は4つの同心円の円周上に並んでいる。図2に示されるように、上面111の、複数の凸部156が配置された最も内側の同心円と内側から2番目の同心円との間には、第1ガス流路164の開口164aが開口している。第1ガス流路164は、開口164aを備えるガス流路であり、セラミックス基材110の内部に形成されている。第1ガス流路164は、開口164aから下方に延びている。後述のように、第1ガス流路164の下端は、シャフト130の内部に形成された第2ガス流路168の上端に接合されている。
第1ガス流路164は、セラミックス基材110の上面111とウェハ10の下面とによって画定される空間(間隙)にガスを供給するための流路として用いることができる。例えば、ウェハ10とセラミックス基材110との間の伝熱のための伝熱ガスを供給することができる。伝熱ガスとして、例えば、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガスや、窒素ガスなどを用いることができる。伝熱ガスは、第1ガス流路164を通じて、100Pa~40000Paの範囲内で設定された圧力で供給される。また、環状凸部152の上面152aとウェハ10の下面との隙間から、環状凸部152の内側の間隙にプロセスガスが侵入してくる場合には、第1ガス流路164を介して、ガスを排気することができる。この際、排気圧を調整することによって間隙の外側の圧力と、間隙の内側の圧力の差圧を調節することができる。これにより、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向けて吸着させることができる。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の内部には、電極120(本発明の発熱体の一例)が埋設されている。図3に示されるように、電極120は帯状に裁断された金属製のメッシュや箔である。電極120の外径は298mmである。電極120はセラミックス基材110の側面から露出しない。電極120の略中央には、給電線140(図1参照)と接続される端子部121が設けられている。電極120はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金のワイヤーを織ったメッシュや箔等の耐熱金属(高融点金属)により形成されている。タングステン、モリブデンの純度は99%以上であることが好ましい。電極120の厚さは0.15mm以下である。なお、電極120の抵抗値を高くして、基板保持部材100の消費電流を低減させるという観点からは、ワイヤーの線径を0.1mm以下、電極120の厚さを0.1mm以下にすることが好ましい。また、帯状に裁断された電極120の幅は2.5mm~20mmであることが好ましく、5mm~15mmであることがさらに好ましい。本実施形態においては、電極120は、図3に示される形状に裁断されているが電極120の形状はこれには限られず、適宜変更しうる。なお、セラミックス基材110の内部には電極120に加えて、あるいは、電極120に代えて、ウェハ10をクーロン力により上面111に引き付けるための静電チャック電極及びセラミックス基材110の上方にプラズマを発生させるためのプラズマ電極のうち少なくとも一方が埋設されていてもよい。
図1、2に示されるように、セラミックス基材110の下面113には、シャフト130が接続されている。シャフト130は中空の略円筒形状の円筒部131と、円筒部131の下方に設けられた大径部132(図1参照)を有する。大径部132は、円筒部131の径よりも大きな径を有している。以下の説明において、円筒部131の長手方向をシャフト130の長手方向6として定義する。図1に示されるように、基板保持部材100の使用状態において、シャフト130の長手方向6は上下方向5と平行である。
なお、セラミックス基材110の下面113に、シャフト130との接合のための凸部114(以下、接合用凸部114と呼ぶ)を設けることができる(図9参照)。接合用凸部114の形状は、接合されるシャフト130の上面の形状と同じであることが好ましく、接合用凸部114の直径は100mm以下であることが好ましい。接合用凸部114の高さ(下面113からの高さ)は、2mm以上であればよく、5mm以上であることが好ましい。特に高さの上限に制限はないが、製作上の容易さを勘案すると、接合用凸部114の高さは20mm以下であることが好ましい。また、接合用凸部114の下面は、セラミックス基材100の下面113に平行であることが好ましい。接合用凸部114の下面の表面粗さRaは1.6μm以下であればよい。なお、接合用凸部114の下面の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
円筒部131の上面は、セラミックス基材110の下面113(接合用凸部114が設けられている場合には、接合用凸部114の下面)に固定されている。なお、シャフト130は、セラミックス基材110と同じように、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス焼結体により形成されてもよい。あるいは、断熱性を高めるために、セラミックス基材110より熱伝導率の低い材料で形成されてもよい。また、円筒部131の上面に、円筒部131の下方に設けられた大径部132と同様な拡径部が設けられてもよい。
図2に示されるように、シャフト130は中空の円筒形状を有しており、その内部(内径より内側の領域)には長手方向6に延びる貫通孔が形成されている。シャフト130の中空の部分(貫通孔)には、電極120に電力を供給するための給電線140が配置されている。給電線140の上端は、電極120の中央に配置された端子部121(図3参照)に電気的に接続されている。給電線140は、不図示のヒータ用電源に接続される。これにより、給電線140を介して電極120に電力が供給される。
また、図2に示されるように、シャフト130の円筒部131には、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されている。上述のように、第2ガス流路168の上端は第1ガス流路164の下端に接続されている。
次に、基板保持部材100の製造方法について説明する。以下では、セラミックス基材110及びシャフト130が窒化アルミニウムで形成される場合を例に挙げて説明する。
まず、セラミックス基材110の製造方法について説明する。図4(a)に示されるように、窒化アルミニウム(AlN)粉末を主成分とする造粒粉Pをカーボン製の有床型501に投入し、パンチ502で仮プレスする。なお、造粒粉Pには、5wt%以下の焼結助剤(例えば、Y)が含まれることが好ましい。次に、図4(b)に示されるように、仮プレスされた造粒粉Pの上に、所定形状に裁断された電極120を配置する。なお、電極120は、加圧方向に垂直な面(有床型501の底面)に平行になるように配置される。このとき、Wのペレット又はMoのペレットを電極120の端子121(図3参照)の位置に埋設してもよい。
図4(c)に示されるように、電極120を覆うようにさらに造粒粉Pを有床型501に投入し、パンチ502でプレスして成形する。次に、図4(d)に示されるように、電極120が埋設された造粒粉Pをプレスした状態で焼成する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。次に、図4(e)に示されるように、端子121を形成するために、電極120までの止まり穴加工を行う。なお、ペレットを埋設した場合には、ペレットまでの止まり穴加工を行えばよい。さらに、第1ガス流路164の一部となる貫通孔を形成する。これにより、内部に第1ガス流路164が形成されたセラミックス基材110を作製することができる。この場合、電極120が第1ガス流路164から露出しないように、予め電極120に所定の開口部を設けることが好ましい。
なお、セラミックス基材110は以下の方法によっても製造することができる。図5(a)に示されるように、窒化アルミニウムの造粒粉Pにバインダーを加えてCIP成型し、円板状に加工して、窒化アルミニウムの成形体510を作製する。次に、図5(b)に示されるように、成形体510の脱脂処理を行い、バインダーを除去する。
図5(c)に示されるように、脱脂された成形体510に、電極120を埋設するための凹部511を形成する。成形体510の凹部511に電極120を配置し、別の成形体510を積層する。なお、凹部511は予め成形体510に形成しておいてもよい。次に、図5(d)に示されるように、電極120を挟むように積層された成形体510をプレスした状態で焼成し、焼成体を作製する。焼成の際に加える圧力は、1MPa以上であることが好ましい。また、1800℃以上の温度で焼成することが好ましい。焼成体を作製した後の工程は、上述の工程と同様であるので、説明を省略する。
このようにして形成されたセラミックス基材110の上面111に対して研削を行い、ラップ加工(研磨加工)を行う。さらに、上面111に対してサンドブラスト加工を行うことにより、上面111に複数の凸部156及び環状凸部152を形成する。さらに、環状凸部152に対して研削加工を行うことにより、環状凸部152に溝153を形成する。なお、複数の凸部156及び環状凸部152を形成するための加工方法は、サンドブラスト加工が好適であり、溝153を形成するための加工方法は、研削加工が好適であるが、いずれも、他の加工方法を用いることもできる。
次に、シャフト130の製造方法及びシャフト130とセラミックス基材110との接合方法について説明する。まず、バインダーを数wt%添加した窒化アルミニウムの造粒粉Pを静水圧(1MPa程度)で成形し、成形体を所定形状に加工する。なお、シャフト130の外径は30mm~100mm程度であり、円筒部の端面には円筒部の外径より大きい径を有するフランジ部133(図8参照)が設けられてもよい。円筒部131の長さは例えば、50mm~500mmにすることができる。このとき、成形体に第2ガス流路168となる貫通孔を形成する。その後、成形体を窒素雰囲気中で焼成する。例えば、1900℃の温度で2時間焼成する。そして、焼成後に焼結体を所定形状に加工することによりシャフト130が形成される。円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、1600℃以上、1MPa以上の一軸圧力下で、拡散接合により固定することができる。この場合には、セラミックス基材110の下面113の表面粗さRaは0.4μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。また、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、接合剤を用いて接合することもできる。接合剤として、例えば、10wt%のYを添加したAlN接合材ペーストを用いることができる。例えば、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113との界面に上記のAlN接合剤ペーストを15μmの厚さで塗布し、上面111に垂直な方向(シャフト130の長手方向6)に5kPaの力を加えつつ、1700℃の温度で1時間加熱することにより、接合することができる。あるいは、円筒部131の上面とセラミックス基材110の下面113とを、ねじ止め、ろう付け等によって固定することもできる。
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて更に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例及び比較例に限定されない。
[比較例1]
比較例1の基板保持部材100A(図10参照)について説明する。比較例1においては、5wt%の焼結助剤(Y)を添加した窒化アルミニウム(AlN)を原料として、上述の作製方法により直径310mm、厚さ25mmのセラミックス基材110を作製した。なお、電極120として、モリブデンメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50、平織り)を図3の形状に裁断したものを作製し、このような電極120をセラミックス基材110に埋設した。セラミックス基材110の上面111に、内径292mm、外径298mm、幅3mm、上面111からの高さ2000μmの環状凸部152を形成した。なお、図10に示されるように、比較例1の基板保持部材100Aにおいて、環状凸部152の外周面152Pには、溝153は形成されていない。さらに、セラミックス基材110の上面111に、直径2mm、上面111からの高さ2000μmの円柱形状の複数の凸部156を形成した。上述のように、複数の凸部156は同心円状に配置されており、各凸部間の距離は10~20mmの範囲とした。このように、比較例1の基板保持部材100Aは、環状凸部152の高さが2000μmであり、複数の凸部156の高さが2000μmである。つまり、環状凸部152の高さと複数の凸部156の高さは同じである。言い換えると、環状凸部152の上面152aの上下方向5の位置(高さ位置)と、凸部156の上面156aの上下方向5の高さ位置とが同じである。なお、環状凸部152の上面152a及び凸部156の上面156aの表面粗さRaは、いずれも0.4μmとした。
第1ガス流路164の開口164aの直径は3mmである。開口164aの中心は、セラミックス基材110の中心から30mmの位置にある。
このような形状の基板保持部材100Aをプロセスチャンバに設置した。プロセスチャンバ内に、プロセスガスとしてアルゴンガスを26600Pa(200Torr)の圧力で供給した。さらに、第1ガス流路164を通じて、アルゴンガスを6650Pa(50Torr)の圧力に調節した。
そして、以下の手順で基板保持部材100Aの温度評価を行った。まず、セラミックス基材110の上に温度評価用のシリコンウェハを載せ、基板保持部材100の電極120に不図示の外部電源を接続した。外部電源の出力電力は650Wに調整した。そして、上記の圧力でプロセスガスと伝熱ガスとしてのアルゴンガスの圧力を調節した。その後、温度評価用のシリコンウェハの、外縁から1mmの領域を除く直径298mmの領域の温度分布を赤外線カメラで計測した。温度評価用のシリコンウェハの、直径298mmの領域における、最高温度と最低温度の差を温度差Δとした。また、温度評価用のシリコンウェハの、環状凸部152と上下方向に重なる位置に、局所的な高温部(ヒートスポット)が発生するかどうかを評価した。なお、温度評価用のシリコンウェハの平均温度に対して、3.0℃以上高温になる領域があった場合に、ヒートスポットが発生したと判断した。温度評価用のシリコンウェハは、直径300mmのシリコンウェハの上面に厚さ30μmの黒体膜をコーティングしたものである。黒体膜とは、放射率(輻射率)が90%以上である膜であり、例えば、カーボンナノチューブを主原料とする黒体塗料をコーティングすることにより成膜することができる。比較例1において、第1ガス流路164に流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。なお、アルゴンガスのガス流量はマスフローメータで調節した。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは5。2℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域の一部に、ヒートスポットが発生した。
[実施例1]
図2に示されるように、実施例1の基板保持部材100は、環状凸部152の外周面152Pに溝153が形成されていることを除いて、比較例1の基板保持部材100Aと同じ形状を有する。溝153は、環状凸部152の外周面152Pにおいて周方向に一周するように延びている。溝153の幅1mm、深さ1.5mmであり、矩形状の断面形状を有する。溝153の上端は、環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。実施例1において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。これに対して、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、1382.4mmである。実施例1において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.497である。
実施例1において、比較例と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例1において、第1ガス流路164に流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであり、圧力制御に問題の無い流量であった。なお、アルゴンガスのガス流量はマスフローメータで調節した。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは2.6℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例2]
実施例2の基板保持部材100は、溝153の幅が異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例2の基板保持部材100の環状凸部152の外周面152P及びセラミックス基材110の外周面110Pには、幅5mm、深さ1.5mmの溝153が、周方向に一周するように延びている。溝153の断面形状は矩形状である。実施例1と同様に、溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の幅が5mmであるのに対して、環状凸部152の高さ(セラミックス基板110の上面110aから環状凸部152の上面152aまでの上下方向の距離)が2mmであるため、図6に示されるように、溝153の下端はセラミックス基板110の上面110aよりも4mm下方に位置している。溝153の上端から、その1mm下方の位置までの範囲において、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。溝153の上端から、その1mm下方の位置までの範囲は、環状凸部152の外周面152Pに形成された溝であり、本発明の第1の溝の一例である。また、溝153の上端から1mm下方の位置から溝153の下端までの範囲は、セラミックス基材110の外周面110Pに形成された溝であり、本発明の第2の溝の一例である。実施例2において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2は、1382.4mmである。実施例2においても、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.497である。また、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例2において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは1.9℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例3]
実施例3の基板保持部材100は、環状凸部152の内周に沿って内周溝154を形成したことを除いて、実施例2の基板保持部材100と同様である。図7に示されるように、実施例3の基板保持部材100のセラミックス基材110には、環状凸部152の内周面152S(内側の側面152S)に沿って、幅1mm、深さ4mmの内周溝154が形成されている。なお、溝153の形状は実施例2の溝153と同様である。実施例1、2と同様に、溝153の上端は、環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。実施例2と同様に溝153の幅は5mmであるので、溝153の下端はセラミックス基板110の上面110aよりも4mm下方に位置している。環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。実施例3においては、環状凸部152の内周に沿って内周溝154が形成されており、内周溝154の下端(底)はセラミックス基板110の上面110aよりも4mm下方に位置している。そのため、溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2は、1382.4mmである。実施例3においても、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.497である。
実施例3においても、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例3において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは1.6℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例4]
実施例4の基板保持部材100は、溝153の深さが異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例4において、溝153は、幅1mm、深さ2mmであり、矩形状の断面形状を有する。実施例1と同様に、実施例4において溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。実施例4において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。これに対して、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、920.0mmである。実施例4において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.331である。また、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例4において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは2.2℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例5]
実施例5の基板保持部材100は、溝153の深さが異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例5において、溝153は、幅1mm、深さ1mmであり、矩形状の断面形状を有する。実施例1と同様に、実施例5において溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。実施例5において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。これに対して、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、1846.3mmである。実施例5において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.664である。また、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例5において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは2.0℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例6]
実施例6の基板保持部材100は、溝153の深さが異なる点を除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。実施例6において、溝153は、幅1mm、深さ0.5mmであり、矩形状の断面形状を有する。実施例1と同様に、実施例6において溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。実施例6において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。これに対して、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、2311.8mmである。実施例6において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.832である。また、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。実施例6において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは2.9℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[実施例7]
図8に示されるように、実施例7の基板保持部材100は、セラミックス基材110の下面113の中央に、直径80mm、高さ3mmの接合用凸部114が設けられていることを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。シャフト130の円筒部131の外径は70mm、内径50mmであり、円筒部131の長手方向の長さは170mmである。円筒部131の上方の端面に直径80mm、厚み15mmのフランジ部133を設けた。そして接合用凸部114とフランジ部133を拡散接合した。実施例7においても、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。
実施例7において、溝153の形状は実施例1と同様である。そのため、実施例1と同様に、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。また、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、1382.4mmである。実施例1と同様に、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.497である。
実施例7において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は0.8sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは2.8℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向5において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。さらに、ヘリウムリークディテクターを用いたリークチェックを行った。リークチェックにおいては、シャフト130の下方の開口部をヘリウムリークディテクターに接続した後、シャフト130の外側からヘリウムガスを吹き付け、接合用凸部114とシャフト130との接合部などからのヘリウムリークの有無を評価した。10-8Pa・m/s以上のリークが認められた場合に、リーク発生ありと判断した。実施例7においては、10回の温度サイクルを繰り返してもリーク発生は認められなかった。
[実施例8]
実施例8の基板保持部材100は、溝153の幅が異なることと、図3に示される電極120に代えて、図9に示される静電吸着用電極124をセラミックス基材110に埋設したこととを除いて、実施例1の基板保持部材100と同様である。図9に示されるように、静電吸着用電極124は2つの半円形状の電極124a、124bが所定の間隔を隔てて向かい合うように配置されており、全体として略円形の形状を有している。静電吸着用電極124の外径は292mmである。実施例7においては、電極124aに+500V、電極124bに-500Vの電圧を印加し、ウェハ10を静電吸着した。
実施例8の基板保持部材100の環状凸部152の外周面152Pには、幅2mm、深さ1.5mmの溝153が、周方向に一周するように延びている。溝153の断面形状は矩形状である。実施例1と同様に、溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。実施例8において溝153の幅は2mmであるので、溝153の下端はセラミックス基板110の上面110aよりも1mm下方に位置している。溝153の上端から1mm下方の位置までの範囲において、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。実施例8において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2は、1382.4mmである。実施例7において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.497である。
実施例8の基板保持部材100においては、不図示の高周波電源により基板保持部材100の上空に形成されるプラズマから約500Wの熱量が供給され、基板保持部材100の裏面113に設置した冷却盤に吸熱された。また、実施例8において、プロセスチャンバ内の圧力を1Pa以下に排気し、第1ガス流路164にヘリウムガスを流した。第1ガス流路164を流れるヘリウムガスの圧力を1330Pa(10Torr)に調節した。実施例8において、第1ガス流路164を流れるヘリウムガスのガス流量は0.2sccmであった。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは1.4℃であった。また、温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域に、ヒートスポットの発生は認められなかった。
[比較例2]
比較例2の基板保持部材100は、実施例1の基板保持部材100と溝153の深さが異なる。比較例2において、溝153は、幅1mm、深さ2.5mmであり、矩形状の断面形状を有する。実施例1と同様に、比較例2において溝153の上端は環状凸部152の上面152aから1000μm下方に位置している。溝153の全幅(溝153の上端から下端までの範囲)にわたって、環状凸部152の、上面152aに平行な断面の断面積が最小となる。比較例2において、環状凸部152の上面152aの面積S1は2778.9mmである。これに対して、溝153における、上面152aに平行な断面の断面積S2は、459.2mmである。比較例2において、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1は、0.165である。また、実施例1と同じ圧力でアルゴンガスを調節した。比較例2において、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量は1000sccmより大きくなった。なお、環状凸部152の溝153が形成されている部分(低断面積部)を観察すると、クラックが生じていた。溝153の深さが深すぎたため、低断面積部の強度が不足したと考えられる。温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価すると、温度差Δは6.5℃であった。温度評価用シリコンウェハの、上下方向において環状凸部152と重なる環状の領域において、ヒートスポットの発生が認められた。上述のように、低断面積部に生じたクラックからガスが流出したため、第1ガス流路164を流れるアルゴンガスのガス流量が大きくなるとともに、十分な差圧を取ることができなくなったと考えられる。これにより、温度評価用シリコンウェハの吸着が不安定になったため、強く吸着される部分と弱く吸着される部分とが生じ、ヒートスポットが発生したと考えられる。
<実施例及び比較例のまとめ>
図11及び図12は、上述の実施例1~8及び比較例1、2の結果をまとめた表を示している。
図2、6、7に示されているように、実施例1~8の基板保持部材100は、環状凸部152の内側に開口する開口164aを有する第1ガス流路164を備えている。これにより、第1ガス流路164を流れるガスの流量及び/又は圧力を調整することができる。例えば、実施例1~7のように、セラミックス基材110の上面111と、環状凸部152と、ウェハ10とに囲まれた空隙の圧力(実施例1~8では6650Pa)を、プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力(実施例1~8では26600Pa)よりも低く設定することができる。基板保持部材110の上面111と、環状凸部152と、ウェハ10とに囲まれた空隙の圧力を、プロセスチャンバ内のプロセスガスの圧力よりも低くすることができるので、これらの差圧によりウェハ10をセラミックス基材110の上面111に向かって吸着させてウェハ10を保持することができる。あるいは、実施例8のように、基板保持部材100が静電吸着用電極124を備えている場合には、静電気力によりウェハ10をセラミックス基材110の上面111に向かって吸着させてウェハ10を保持することができる。
ここで、比較例1のように、環状凸部152に溝153が形成されていない場合には、溝153が形成されている場合と比べて、環状凸部152における熱抵抗が小さくなり、環状凸部152を介してその上面152aに熱が伝わりやすくなる。これに伴って、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が多くなるとともに、ウェハ10の、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域に局所的に集中することがある。そのため、比較例1においては、温度評価用シリコンウェハの温度分布を評価したときに、環状凸部152に沿ったヒートスポット領域が発生したと考えられる。これに対して、実施例1~8においては、環状凸部152の外周面152Pに溝153が形成されている。これにより、環状凸部152の、溝153が形成されている部分は、上面152aに平行な断面の断面積が他と比べて小さくなっている低断面積部となっている。これにより、環状凸部152の熱抵抗を大きくしてウェハ10に伝わる熱を抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑えることができた。また、同時に環状凸部152の上面152aからウェハ10に伝わる熱と複数の凸部156の上面156aからウェハ10に伝わる熱の比が調節され、相対的に環状凸部152の上面のヒートスポットを緩和することができた。
実施例1~3を比較すると、溝153の幅を大きくしたり、さらに環状凸部152の内周に沿って内周溝154を形成したりすることにより、温度差Δを小さくすることができることが分かった。溝153の幅を大きくしたり、環状凸部152の内周に沿って内周溝154を形成したりすることにより、環状凸部152に設けられた低断面積部の長さを長くすることができる。低断面積部の長さを長くすることにより、環状凸部152の熱抵抗を大きくすることができる。このように、環状凸部152の熱抵抗を大きくすることにより、ウェハ10に伝わる熱を抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑えることができることが分かった。
実施例1、4を比較することにより、溝153の深さを深くするにつれて、温度差Δを小さくすることができることが分かった。これは、溝153の深さを深くするにつれて、環状凸部152の熱抵抗が大きくなり、ウェハ10に熱が伝わることが抑制されるからであると考えられる。但し、比較例2のように、溝153の深さを深くし過ぎると、低断面積部の強度が不足してクラックが入りやすくなることが分かった。また、実施例1、5、6を比較することにより、溝153の深さを浅くするにつれて、温度差Δが大きくなることが分かった。これは、溝153の深さを浅くするにつれて、環状凸部152の熱抵抗が小さくなり、ウェハ10に熱が伝わることが抑制されにくくなるからであると考えられる。
なお、実施例1~8と比較例2とを比較すると、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1が0.3以上である場合には、ヒートスポットの発生を抑えることができることが分かった。さらに、実施例1~5、7、8と実施例6とを比較することにより、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1が0.7以下である場合には、ヒートスポットの発生を抑えることができるとともに、温度差Δを3.0℃以下に抑えることができることが分かった。
<実施形態の作用効果>
上記実施形態及び実施例1~8において、基板保持部材100は、セラミックス基材110を備えている。セラミックス基材110の上面111には、上面111の外周部に配置され、且つ、上面111から上方に突出した環状の環状凸部152と、環状凸部152の内側に配置され、且つ、上面111から上方に突出した複数の凸部156とが設けられている。さらに、セラミックス基材110の内部には、環状凸部152の内側に開口する開口164aを有する第1ガス流路164が形成されている。
セラミックス基材110の外周部に環状凸部152が設けられているので、ウェハ10をセラミックス基材110の上面に向かって吸着させたとき、ウェハ10の外周部が変形することを抑制することができる。さらに、基板保持部材110の上面111と、環状凸部152と、ウェハ10とに囲まれた空隙に、環状凸部152の外側からガスが進入することを抑制することができる。あるいは、環状凸部152の内側から外側にガスが流出することを抑制することができる。このように、環状凸部152がガスの流出、流入を抑制するためのバリアとして機能する場合においては、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きい方が有効である。しかしながら、環状凸部152の上面152aと、ウェハ10の下面との接触面積が大きくなると、上述のように、基板保持部材100からウェハ10に伝わる熱が、環状凸部152の上面152aに当接する円環状の領域に局所的に集中することがある。そこで、上記実施形態及び実施例1~8の基板保持部材100においては、環状凸部152に溝153を形成することにより、環状凸部152に、上面152aに平行な断面の断面積が他の部分よりも小さい低断面積部分を形成する加工を行っている。なお、上記実施形態及び実施例1~8においては、環状凸部152の上面152aの面積S1に対する、上面152aに平行な断面の断面積の最小値S2の比S2/S1を0.3以上1未満にしている。この場合には、環状凸部152の強度を保ち、環状凸部152の溝153においてクラックが入ることを抑制しつつ、環状凸部152の熱抵抗を大きくすることができる。これにより、ウェハ10に過度に熱が伝わることを抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑えることができ、ウェハ10の温度分布を一様にすることができる。
図2に示されるように、環状凸部152の外周面152Pに、溝153を形成することができる。この場合には、外周面152Pに溝153を設けているので、加工が容易であり、環状凸部152の断面形状を精密に形成することができる。また、図6、7に示される溝153のように、環状凸部152の外周面152P形成された溝と、セラミックス基材110の外周面110Pに形成された溝とが連続した溝部を形成していてもよい。この場合には、環状凸部152の外周面152Pにも溝を形成することにより、セラミックス基材110に内蔵された電極120を回避しつつ、熱抵抗を大きくすることができる。
なお、図6、7に示されるように、溝153の幅を大きくする、又は、環状凸部152の内周に沿って内周溝154を形成することにより、セラミックス基材110の上面111aの、環状凸部152が形成されている外周部分の上下方向の位置を、複数の凸部156が形成されている内側領域の上面111aの上下方向の位置よりも低くすることができる。この場合には、環状凸部152に設けられた低断面積部分の上下方向の長さを長くすることができ、環状凸部152の熱抵抗を大きくすることができる。これにより、ウェハ10に過度に熱が伝わることを抑制することができ、ヒートスポットの発生を抑えることができる。
<変更形態>
上述の実施形態は、あくまで例示に過ぎず、適宜変更しうる。例えば、セラミックス基材110、シャフト130の形状、寸法は上記実施形態のものには限られず、適宜変更しうる。環状凸部152の高さ、幅等の寸法、形状、上面の表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。また、複数の凸部156の高さ、上面156aの形状、上面156aの表面粗さRaの大きさは適宜変更しうる。さらに、環状凸部152の溝153の位置、数、形状(縦断面形状、周方向の長さなど)、表面粗さRaなども適宜変更しうる。例えば、上記実施形態及び実施例においては、溝153は環状凸部152の外周面152Pに設けられていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られず、例えば、溝153を環状凸部152の内周面152Sに設けることもできる。また、溝153の縦断面形状は矩形状には限られず、例えば半円形状のような曲線形状、又は、一部が傾斜している形状であってもよい。
また、複数の凸部156の上面156aの形状は必ずしも円形でなくてもよく、任意の形状にすることができる。なお、その場合においても、直径0.1mm~5mmの円と同程度の面積を有することが好ましい。また、上記説明において、複数の凸部156は同心円状に分布するように配置されていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、複数の凸部156がランダムな位置に分布するように配置されていてもよい。その場合であっても、複数の凸部156の、各凸部の離間距離は、1.5mm~30mmの範囲にあることが好ましい。
上記実施形態においては、電極120として、モリブデン、タングステン、モリブデン及び/又はタングステンを含む合金を用いていたが、本発明はそのような態様には限られない。例えば、モリブデン、タングステン以外の金属又は合金を用いることもできる。また、電極120は発熱体としてのヒータ電極であったが、電極120は必ずしも発熱体としてのヒータ電極である必要は無く、例えば、静電吸着用電極又は高周波電極であってもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100は電極120を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、基板保持部材100は必ずしも電極120を備えていなくてもよい。また、基板保持部材100が電極120を備えている場合であっても、電極120は基板保持部材100のセラミックス基材110に埋設されていなくてもよい。例えば、電極120がセラミックス基材110の裏面113に貼付されていてもよい。
上記実施形態においては、基板保持部材100はシャフト130を備えていたが、本発明はそのような態様には限られず、基板保持部材100は必ずしもシャフト130を備えていなくてもよい。また、基板保持部材100がシャフト130を備えている場合であっても、シャフト130の円筒部131に、上下方向5に延びる第2ガス流路168が形成されていなくてもよい。例えば、第2ガス流路168に代えて、円筒部131の中空の領域(給電線140が設けられている領域)に、別途ガスの配管を設けることもできる。
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
明細書、及び図面中において示した製造方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
100 基板保持部材
110 セラミックス基材
120 電極
130 シャフト
140 給電線
152 環状凸部
152P 外周面
152S 内周面
153 溝
154 内周溝
156 複数の凸部

Claims (6)

  1. 上面、前記上面と上下方向において対向する下面を有するセラミックス基材と、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された電極と、を備え
    前記セラミックス基材は、
    前記セラミックス基材の前記上面の外周部に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面から上方に突出する環状の凸部と、
    前記セラミックス基材の前記上面の、前記環状の凸部の内側領域に配置され、且つ、前記セラミックス基材の前記上面から上方に突出した複数の凸部と、を備え、
    上記環状の凸部の上面の面積S1と、前記環状の凸部の前記上面と平行な断面の断面積の最小値S2とが、
    0.3≦S2/S1<1
    であることを特徴とする基板保持部材。
  2. 前記環状の凸部の上面の面積S1と、前記環状の凸部の前記上面と平行な断面の断面積の最小値S2とが、
    0.3≦S2/S1≦0.7
    である請求項1に記載の基板保持部材。
  3. 前記環状凸部の外周面に第1の溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板保持部材。
  4. 前記セラミックス基材の外周面に第2の溝が形成されており、前記第2の溝は前記第1の溝と連続した溝部を形成していることを特徴とする請求項3に記載の基板保持部材。
  5. 前記セラミックス基材の前記上面の、前記環状の凸部が配置されている前記外周部の前記上下方向の位置は、前記複数の凸部が配置されている前記内側領域の前記上下方向の位置よりも低い請求項1~4のいずれか一項に記載の基材保持部材。
  6. さらに、前記セラミックス基材の前記下面に接合された筒状のシャフトを備え、
    前記セラミックス基材に埋設された、又は、前記セラミックス基材の前記下面に配置された前記電極は発熱体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板保持部材。
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