JP2006313919A - 被処理物保持体、半導体製造装置用サセプタおよび処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大気中の酸素による損傷の発生を防止することにより高い信頼性を有すると共に、低コストな被処理物保持体、この被処理物保持体を有する半導体製造装置用サセプタおよびこの被処理物保持体を備える処理装置を提供する。
【解決手段】保持体1は、電極4、ヒータ回路5を有し、被処理物を保持するためのセラミックス基体2と、セラミックス基体2に接続される一方端部を有する筒状部材6と、筒状部材6の内周側に位置し、一方端部側と、一方端部とは筒状部材6において反対側に位置する他方端部側とを隔離する封止部材11と、筒状部材6の内周側において、封止部材11を貫通して他方端部側から一方端部側にまで延在するとともに、電極4、ヒータ回路5に電気的に接続された端子側電極線8とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】保持体1は、電極4、ヒータ回路5を有し、被処理物を保持するためのセラミックス基体2と、セラミックス基体2に接続される一方端部を有する筒状部材6と、筒状部材6の内周側に位置し、一方端部側と、一方端部とは筒状部材6において反対側に位置する他方端部側とを隔離する封止部材11と、筒状部材6の内周側において、封止部材11を貫通して他方端部側から一方端部側にまで延在するとともに、電極4、ヒータ回路5に電気的に接続された端子側電極線8とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明は、被処理物保持体、半導体製造装置用サセプタおよび処理装置に関し、より特定的には、ヒートサイクルに対する高い信頼性を示す被処理物保持体、半導体製造装置用サセプタおよびこの被処理物保持体を備える処理装置に関する。
従来、半導体装置の製造工程では、被処理物である半導体基板に対して成膜処理やエッチング処理などが行われる。このような基板に対する処理を行う処理装置では、処理の際に半導体基板を保持するための基板保持構造体であるサセプタが設置されている。
このような従来のサセプタは、たとえば特開平7−153706号公報に開示されている。上記特開平7−153706号公報に開示されたサセプタは、加熱用ヒータやRF金属電極板などが埋設されたセラミックス製のブロックと、このブロックの裏面側に設置された円筒状の支持台と、この支持台の内部に設置され加熱用ヒータなどに電力を供給するためのリード線とを備える。また、支持台の底部には平板が取り付けられ、平板を貫通するようにガス供給チューブが設置されている。上記特開平7−153706号公報に開示されたサセプタでは、円筒状の支持台の内部にガス供給チューブにより不活性ガスが供給されている。このように支持台の内部に不活性ガスを供給することで、エッチングなどに用いられる反応性ガスが支持台の内部に流入することを防止している。この結果、支持台の内部において、反応性ガスによりリード線が腐食するといったサセプタの損傷の発生を防止できるとしている。
特開平7−153706号公報
しかし、上述した従来のサセプタにおいては、以下に示すような問題があった。すなわち、支持台の内部に不活性ガスを供給するため、サセプタにガス供給チューブを設置する必要があり、さらにこのガス供給チューブにはマスフローコントローラなど、不活性ガスを供給するために必要な機器を接続する必要がある。この結果、サセプタの構造が複雑化するので、被処理物保持体としてのサセプタの製造コストが上昇することになる。
さらに、サセプタの使用時には、常に支持台の内部に不活性ガスを供給することになるので、サセプタのランニングコストも上昇することになっていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、反応性ガスによる損傷の発生を防止することにより高い信頼性を有すると共に、低コストな被処理物保持体、この被処理物保持体を有する半導体製造装置用サセプタおよびこの被処理物保持体を備える処理装置を提供することである。
この発明の1の局面に従った被処理物保持体は、電気回路を有し、被処理物を保持するためのセラミックス基体と、セラミックス基体に接続される一方端部を有する筒状部材と、筒状部材の内周側に位置し、一方端部側と、一方端部とは筒状部材において反対側に位置する他方端部側とを隔離する封止部材と、筒状部材の内周側において、封止部材を貫通して他方端部側から一方端部側にまで延在するとともに、電気回路に電気的に接続された給電用導電部材とを備える。
ここで、セラミックス基体の電気回路としては、被処理物を加熱するためのヒータ回路や被処理物をセラミックス基体に吸着させる為の静電吸着用電極あるいはプラズマを発生させるためのRF電極などが挙げられる。この電気回路を構成する材料としては、耐酸化性の低いタングステンやモリブデンなどが用いられる。また、この電気回路と給電用導電部材との接合部に用いられる給電端子についても、同様に耐酸化性の低い材料が用いられる場合がある。そのため、たとえば被処理物保持体を加熱し、更に半導体基板などを配置して、エッチングなどの処理を行なう場合、電気回路と給電用導電部材との接続部やこの接続部において筒状部材内が大気雰囲気であると、筒状部材内において露出する電気回路は、大気中の酸素により腐食する恐れがある。
しかし、本発明によれば、セラミックス基体の電気回路と給電用導電部材との接合部が、封止部材、筒状部材およびセラミックス基体によって囲まれた領域(筒状部材の一方端部側の領域)に位置することになる。筒状部材とセラミックス基体との接合領域および筒状部材と封止部材との接合領域が所定の気密性を有するように形成されれば、上記接合部が位置する上記領域は筒状部材内の周囲の空間(他の領域)とは隔離された状態になる。このため、エッチングなどの加熱処理を行なう場合、上記接合部を構成する部材や電気回路が、筒状部材内の周囲に存在する大気中の酸素により腐食されるといった問題の発生を抑制できる。
また、封止部材を筒状部材の内周側に配置して、筒状部材の一方端部側の空間である上記領域を上記他の領域から隔離する(密封する)ので、従来のように筒状部材の内部に不活性ガスを供給するための配管などを設置する必要がない。このため、被処理物保持体の構造を従来より単純化できるので、その製造コストを低減できる。さらに、被処理物保持体を用いて被処理物の処理(エッチング処理など)を行なう場合、不活性ガスを筒状部材の内部に供給し続ける必要も無いので、被処理物保持体を用いた処理のランニングコストを低減できる。
また、被処理物保持体を構成するセラミックス基体、筒状部材、封止部材および給電用導電部材のそれぞれの材料として、比較的熱膨張係数の差が小さい材料を選択することにより、雰囲気温度が変化することに起因して熱応力が局所的に集中するといった問題の発生を抑制できる。このため、ヒートサイクルなどの熱履歴に対して、高い信頼性を示す被処理物保持体を実現できる。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、封止部材がセラミックス基体の表面に接触していることが好ましい。また、上記1の局面に従った被処理物保持体では、封止部材がセラミックス基体の表面と固定用接合部材を介して接合されていてもよい。
この場合、封止部材をセラミックス基体により支持することが可能になるので、封止部材自体に大きな強度を持たせる必要がない。このため、封止部材の厚みを薄くすることが可能になる。したがって、封止部材についての設計の自由度を大きくできる。
また、上記1の局面に従った被処理物保持体において、固定用接合部材は、固定用接合部材となるべき接合材に封止部材を介して100g/cm2以上の圧力を加えながら熱処理を実施することにより形成されるものであってもよい。
このようにすれば、固定用接合部材において微小な間隙を少なくすることができるので、高い気密性を有する固定用接合部材を得ることができる。また、同時に、セラミックス基体と封止部材との固定用接合部材による接合強度を向上させることができる。なお、接合材に加える圧力を100g/cm2以上としたのは、圧力を100g/cm2以上とすれば固定用接合部材での気密性を向上させることができる一方で、圧力が100g/cm2未満の場合は、気密性の向上の効果をほとんど得られないためである。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、封止部材がセラミックス基体の表面から間隔を隔てて配置されてもよい。
この場合、封止部材はセラミックス基体と接触しない。このため、セラミックス基体に封止部材が接触することに起因して、セラミックス基体の温度分布が不均一になるといった問題の発生を防止できる。したがって、セラミックス基体の温度分布をより均一化できる。この結果、セラミックス基体に保持される被処理物の温度分布を容易に均一化できる。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、封止部材と筒状部材とセラミックス基体とにより囲まれた領域の雰囲気が真空および非酸化性雰囲気のいずれか一方であってもよい。
この場合、上記領域に位置する電気回路と給電用導電部材との接続部や給電用導電部材の酸化を効果的に抑制できる。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、封止部材と筒状部材とセラミックス基体とにより囲まれた領域から、この領域以外の領域へのヘリウムリークレートが10‐8Pa・m3/s以下であってもよい。
この場合、上記領域のリークレートを上述ような数値とすれば、上記領域に位置する電気回路と給電用導電部材との接合部や給電用導電部材の酸化を確実に抑制できる。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、筒状部材と封止部材との接合部が筒状部材と封止部材との間に介在する接合部材を含んでいてもよい。
この場合、封止部材と筒状部材との接合部において、封止部材と筒状部材との間の間隙を接合部材により埋め込むことができる。この結果、上記接合部の気密性を向上させることができる。したがって、筒状部材の内周側における一方端部側の領域を、被処理物保持体の外側の領域から確実に隔離することができる。
上記1の局面に従った被処理物保持体では、接合部材が筒状部材の表面の一部上から封止部材の表面の一部上にまで延在する表面を有していてもよく、この表面は筒状部材および封止部材の表面に向かって凸形状になっていることが好ましい。
ここで、接合部材が上記のような形状(いわゆるメニスカス)を形成していれば、接合部材が筒状部材および封止部材の表面に対して良好な濡れ性を示していることがわかる。つまり、接合部材においてこのようなメニスカスが形成されていれば、接合部が高い気密性を示すことになる。この結果、接合部におけるリークの発生を確実に抑制できる。
この発明の他の局面に従った被処理物保持体は、電気回路を有し、被処理物を保持するためのセラミックス基体と、セラミックス基体に接続される一方端部を有する筒状部材と、筒状部材の内周側において、電気回路に電気的に接続された給電用導電部材と、筒状部材の内周側に位置し、電気回路と給電用導電部材との接合部の周囲を囲むように配置されるとともに、セラミックス基体に接続される封止部材とを備え、封止部材は、電気回路と給電用導電部材との接合部を封止部材の外周側の空間から隔離するものである。
このようにすれば、セラミックス基体の電気回路と給電用導電部材との接合部が、封止部材およびセラミックス基体によって囲まれた領域に位置することになる。封止部材とセラミックス基体との接合領域が所定の気密性を有するように形成されれば、上記接合部が位置する上記領域は封止部材の周囲の空間(他の領域)とは隔離された状態になる。このため、エッチングなどの加熱処理を行なう場合、上記接合部を構成する部材や電気回路が、筒状部材内の周囲に存在する大気中の酸素により腐食されるといった問題の発生を抑制できる。
また、封止部材を筒状部材の内周側に配置して、上記接合部を封止部材の周囲の領域から隔離する(密封する)ので、従来のように筒状部材の内部に不活性ガスを供給するための配管などを設置する必要がない。このため、被処理物保持体の構造を従来より単純化できるので、その製造コストを低減できる。さらに、被処理物保持体を用いて被処理物の処理(エッチング処理など)を行なう場合、不活性ガスを筒状部材の内部に供給し続ける必要も無いので、被処理物保持体を用いた処理のランニングコストを低減できる。
また、被処理物保持体を構成するセラミックス基体、封止部材および給電用導電部材のそれぞれの材料として、比較的熱膨張係数の差が小さい材料を選択することにより、雰囲気温度が変化することに起因して熱応力が局所的に集中するといった問題の発生を抑制できる。このため、ヒートサイクルなどの熱履歴に対して、高い信頼性を示す被処理物保持体を実現できる。
また、上述のように電気回路と給電用導電部材との接合部のそれぞれに対して封止部材を設置するので、封止部材を小さくする事ができる。このため、封止部材のコストを低減できる。さらに、セラミックス基体に封止部材が接触する面積が減少するので、セラミックス基体の温度分布に対する封止部材の影響を小さくすることができる。この結果、セラミックス基体の温度分布をより均一にすることができるので、セラミックス基体に保持される被処理物の温度分布を均一にすることができる。
上記他の局面に従った被処理物保持体では、電気回路と給電用導電部材との接合部の周囲の雰囲気が真空および非酸化性雰囲気のいずれか一方であることが好ましい。
この場合、電気回路と給電用導電部材との接続部や給電用導電部材の酸化を効果的に抑制できる。
上記他の局面に従った被処理物保持体では、電気回路と給電用導電部材との接合部が位置する領域から、この領域以外の領域へのヘリウムリークレートが10‐8Pa・m3/s以下であることが好ましい。
この場合、上記領域のリークレートを上述ような数値とすれば、上記領域に位置する電気回路と給電用導電部材との接合部や給電用導電部材の酸化を確実に抑制できる。
上記他の局面に従った被処理物保持体では、セラミックス基体と封止部材との接合部がセラミックス基体と封止部材との間に介在する接合部材を含むことが好ましい。
この場合、封止部材とセラミックス基体との接合部において、封止部材とセラミックス基体との間の間隙を接合部材により埋め込むことができる。この結果、上記接合部の気密性を向上させることができる。したがって、電気回路と給電用導電部材との接合部が位置する領域を、封止部材の外側の領域から確実に隔離することができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体において、接合部材は、接合部材となるべき接合材に封止部材を介して100g/cm2以上の圧力を加えながら熱処理を実施することにより形成されるものであってもよい。
この場合、接合部材において微小な間隙を少なくすることができるので、高い気密性を有する接合部材を得ることができる。したがって、封止部材と筒状部材とセラミックス基体とにより囲まれた領域からこの領域以外の領域へのヘリウムリークレート、あるいは電気回路と給電用導電部材との接合部が位置する領域からこの領域以外の領域へのヘリウムリークレートをより低減できる(気密性を向上させることができる)。また、同時に、筒状部材と封止部材との接合部、あるいはセラミックス基体と封止部材との接合部における接合強度を向上させることができる。つまり、より信頼性の高い接合部を得ることができる。なお、接合材に加える圧力を100g/cm2以上としたのは、圧力を100g/cm2以上とすればヘリウムリークレートを低減できる効果を得られる一方で、圧力が100g/cm2未満の場合は、ヘリウムリークレートの向上の効果がほとんど得られないためである。
また、このとき接合材はガラスを含んでいてもよい。このガラスを含む接合材は、予め予備焼成することによって、おおむね接合部材の形状に加工してもよい。その後で、この加工済みの接合材を所定の位置に配置して熱処理を行なってもよい。このようにすれば、容易に接合部の接合・封止を行なうことができる。
上記他の局面に従った被処理物保持体では、接合部材がセラミックス基体の表面の一部上から封止部材の表面の一部上にまで延在する表面を有していてもよく、表面はセラミックス基体および封止部材の表面に向かって凸形状になっていることが好ましい。
ここで、接合部材が上記のようないわゆるメニスカスを形成していれば、接合部材が封止部材およびセラミックス基体の表面に対して良好な濡れ性を示していることがわかる。つまり、接合部材においてこのようなメニスカスが形成されていれば、接合部が高い気密性を示すことになる。この結果、接合部におけるリークの発生を確実に抑制できる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、接合部材がガラスを含んでいてもよい。
ここで、接合部材としてセラミックス系の材料を用いた場合、上記接合部に封止部材を形成する工程での熱処理温度が1500℃以上と高温になる。このとき、封止部材と給電用導電部材とが予め接合されているような場合、この給電用導電部材を構成する材料についても上記のような1500℃以上という高温に耐える材料を適用する必要がある。この結果、給電用導電部材を構成する材料として用いることができる材料の種類が非常に限られることになる。
一方、接合部材としてのガラスを用いれば、上記接合部に接合部材を形成する工程における熱処理温度を比較的低温(約1000℃以下)にすることができる。この結果、給電用導電部材を構成する材料についての選択の自由度を大きくすることができる。
また、封止部材や筒状部材をセラミックスにより構成する場合、一般的な接合部材として金属ロウ材を用いると、セラミックスは金属ロウ材より熱膨張係数が小さいために、ヒートサイクルなどにより接合部に熱応力が集中することになる。この結果、接合部が熱応力により損傷を受ける場合があった。一方、ガラスの熱膨張係数は金属ロウ材などの熱膨張係数より相対的に小さい。このため、接合部材として用いるガラスの種類を適宜選択することにより、接合部材の熱膨張係数を、筒状部材などを構成するセラミックスの熱膨張係数とほぼ近い値にすることが可能である。この結果、接合部における熱応力の集中を抑制できる。したがって、熱応力による接合部の破損を抑制できるので、高い信頼性を有する被処理物保持体を得ることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、封止部材と給電用導電部材との接合部が封止部材と給電用導電部材との間に介在する他の接合部材を含んでいてもよく、他の接合部材は、封止部材の表面の一部上から給電用導電部材の表面の一部上にまで延在する他の表面を有していてもよい。他の表面は封止部材および給電用導電部材の表面に向かって凸形状になっていることが好ましい。
上述のように、接合部材が上記のような形状(いわゆるメニスカス)を形成していれば、接合部材が封止部材および給電用導電部材の表面に対して良好な濡れ性を示していることがわかる。つまり、接合部材においてこのようなメニスカスが形成されていれば、封止部材と給電用導電部材との接合部が高い気密性を示すことになる。この結果、上記接合部におけるリークの発生を効果的に抑制できる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、他の接合部材がガラスを含んでいてもよい。
この場合、接合部材としてのガラスを用いれば、封止部材と給電用導電部材との接合部に接合部材を形成する工程における熱処理温度を比較的低温(約1000℃以下)にすることができる。この結果、給電用導電部材を構成する材料についての選択の自由度を大きくすることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、ガラスがZnO−SiO2−B2O3系ガラスであってもよい。
上記ZnO−SiO2−B2O3系ガラスはセラミックスと同等の熱膨張係数を有するとともに、セラミックスからなる筒状部材や封止部材との濡れ性が良好な材料である。このため、上記ZnO−SiO2−B2O3系ガラスを接合部材として用いれば、接合部の気密性および信頼性を向上させることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、封止部材を構成する材料が筒状部材を構成する材料と同じ材料を含んでいてもよい。
この場合、封止部材と筒状部材とを、互いに同等の熱膨張係数を有する材料により構成することができる。このため、封止部材と筒状部材との接合部において、封止部材の材料と筒状部材の材料との熱膨張係数の差に起因する熱応力の集中を抑制できる。したがって、上記接合部の信頼性を高めることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、封止部材を構成する材料がセラミックス基体を構成する材料と同じ材料を含んでいてもよい。
この場合、封止部材とセラミックス基体とを、互いに同等の熱膨張係数を有する材料により構成することができる。このため、封止部材とセラミックス基体とを互いに接触させて接合する場合、その接合部において、封止部材の材料とセラミックス基体の材料との熱膨張係数の差に起因する熱応力の集中を抑制できる。したがって、上記接合部の信頼性を高めることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、セラミックス基体を構成する材料が窒化アルミニウムを含んでいてもよい。
ここで、窒化アルミニウムは半導体基板の処理に用いられるハロゲン系のガスに対する耐食性が高い。また、窒化アルミニウムからなるセラミックス基体からのパーティクルの発生率は、他の材料を用いたセラミックス基体からのパーティクルの発生率より小さい。さらに、窒化アルミニウムの熱伝導率は比較的高いため、セラミックス基体の表面(基板などの被処理物を搭載する面)での温度分布を均一化することができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体では、給電用導電部材が鉄−ニッケル−コバルト合金を含んでいてもよい。
上記鉄−ニッケル−コバルト合金の熱膨張係数とセラミックスの熱膨張係数との差は比較的小さい。このため、給電用導電部材と封止部材との接合部を形成する際、および被処理物保持体がヒートサイクルを受ける際に、給電用導電部材と封止部材との接合部において発生する熱応力の大きさを小さくすることができる。
さらに、上記鉄−ニッケル−コバルト合金は、接合部材として用いられるガラスとの濡れ性に優れている。このため、給電用導電部材と封止部材との接合部の信頼性を向上させることができる。
上記1の局面または他の局面に従った被処理物保持体において、給電用導電部材は基材と被覆層とを含んでいてもよい。基材は、タングステン、モリブデン、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。被覆層は、基材の表面上に形成され、ニッケルおよび金の少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。また、被覆層はニッケルおよび金の少なくともいずれか一方を含むめっき層であってもよい。
この場合、上述した基材を構成するタングステンなどの金属自体の耐酸化性は特に優れているわけではないが、ニッケルまたは金を含む被覆層を表面に形成することで、給電用導電部材の耐酸化性を向上させることができる。さらに、上述した基材を構成する材料は、いずれも熱膨張係数が比較的小さい金属である。そのため、給電用導電部材と封止部材などとの接合作業において、その接合部に熱が加えられる場合、発生する熱応力の値を小さくできる。
この発明の別の局面に従った処理装置は、上記1の局面または他の局面における被処理物保持体を備える。
このように、比較的低コストかつ高い信頼性を有する被処理物保持体を適用することにより、基板などの被処理物の処理を低コストで実施できると同時に、高い信頼性を有する処理装置を実現できる。
この発明のもう一つの局面に従った半導体製造装置用サセプタは、上記1の局面または他の局面における被処理物保持体を有する。
半導体製造装置用サセプタには、半導体基板のエッチング処理など過酷な条件での使用に耐えるとともに低コストであることが求められている。したがって、本発明による被処理物保持体を適用することにより、低コストであって過酷な使用条件に耐え得る半導体製造装置用サセプタを得ることができる。
このように、本発明によれば、被処理物保持体において、セラミックス基体を支持する筒状部材の内周側に封止部材を配置することにより、セラミックス基体の電気回路と給電用導電部材との接合部を被処理物保持体の周囲の雰囲気から隔離することができる。このため、被処理物保持体を基板などの被処理物の処理に適用する際、筒状部材内に存在する大気に含まれる酸素により損傷を受けることを防止できる。したがって、上記接合部などの損傷を防止するために、従来のように不活性ガスを筒状部材内に常に供給する必要が無いので、被処理物保持体のコストを低減できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明による被処理物保持体としての保持体を用いた処理装置の実施の形態1を示す部分断面模式図である。図2は、図1に示した保持体の部分拡大断面模式図である。図3は、図1に示した保持体の図2に示した領域とは異なる領域の部分拡大断面模式図である。図1〜3を参照して、本発明による保持体の実施の形態1を説明する。
図1は、本発明による被処理物保持体としての保持体を用いた処理装置の実施の形態1を示す部分断面模式図である。図2は、図1に示した保持体の部分拡大断面模式図である。図3は、図1に示した保持体の図2に示した領域とは異なる領域の部分拡大断面模式図である。図1〜3を参照して、本発明による保持体の実施の形態1を説明する。
図1〜図3を参照して、処理装置のチャンバ内部に配置された半導体製造装置用サセプタである保持体1は、セラミックス基体2と、このセラミックス基体2の裏面側に接続された円筒状の筒状部材6とを備える。筒状部材6はセラミックスからなる。保持体1は、筒状部材6の下部においてチャンバの壁面(図示せず)と接続されている。なお、処理装置としては、半導体基板の製造工程に用いる半導体製造装置であるエッチング装置や成膜処理装置などが挙げられる。
セラミックス基体2は、その表面上に被処理物である半導体基板などを配置する。セラミックス基体2は、セラミックスからなる基体ベース3と、この基体ベース3の内部に埋設された、電気回路としての電極4およびヒータ回路5とを含む。電極4は、セラミックス基体2の表面上に配置される基板などの被処理物を固定するための静電吸着用電極であってもよく、基板に対する処理を行なうために用いるプラズマを発生させるためのプラズマ形成用(RF)電極であってもよい。また、上述の静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極の両方をセラミックス基体2の内部に形成してもよい。
電気回路としての電極4およびヒータ回路5には、それぞれ給電端子7a〜7cが接続されている。この給電端子7a〜7cは金属などの導電体からなり、セラミックス基体2に埋設された状態となっている。この給電端子7a〜7cの端面は、筒状部材6の内周側においてセラミックス基体2の表面に露出した状態となっている。これらの給電端子7a〜7cにそれぞれ接触するように、給電用導電部材としての端子側電極線8が配置されている。端子側電極線8は、筒状部材6の内周側に配置されている。この端子側電極線8は、それぞれ電源側電極線9と接続部10においてAuロウ材17により接続されている。電源側電極線9の材料としてはニッケル(Ni)を用いてもよい。この電源側電極線9の材料としては、ニッケル以外の材料であって耐酸化性を有する導電体を用いることができる。なお、端子側電極線8と電源側電極線9との接続構造としては、ネジ構造を用いてもよい。たとえば、端子側電極線8の端面にネジ部を形成し、電源側電極線9の端子側電極線8と対向する端面に、上記ネジ部を挿入固定するネジ穴を形成しておいてもよい。そして、上記ネジ部を上記ネジ穴に挿入・固定することで、端子側電極線8と電源側電極線9とを接続・固定してもよい。
端子側電極線8と電源側電極線9との接続部10では、図2に示すように、電源側電極線9の端部に端部開口部15が形成されている。この端部開口部15の内部に端子側電極線8の一方端部(給電端子7a〜7cと接続された他方端部とは反対側に位置する端部)が挿入され、その状態で端部開口部15の内部にAuロウ材17が充填されている。
また、筒状部材6の内周側においては、端子側電極線8と電源側電極線9との接続部10の上に位置する領域にセラミックスからなる封止部材11が配置されている。封止部材11の平面形状は、筒状部材6の延びる方向とは垂直な方向における筒状部材の断面の内周側の形状とほぼ同様の形状である。そして、この封止部材11には複数の開口部12が形成されている。この開口部12には、端子側電極線8が挿入されている。
端子側電極線8と封止部材11とは、開口部12において他の接合部材としてのガラス13によって固定されている。このガラス13は、接合部としての開口部12を塞ぐことにより、筒状部材6と封止部材11とセラミックス基体2とによって囲まれた空間(筒状部材6の一方端部側の空間)を他の空間(一方端部側とは筒状部材6において反対側に位置する他方端部側の空間あるいは保持体1の外部の空間)から封止部材11を用いて隔離するためのシール材としての機能を有する。また、封止部材11と筒状部材6との間も、同様に接合部材としてのガラス13によって接着固定されている。この結果、封止部材11は、筒状部材6の内周側に位置し、一方端部側と、一方端部とは筒状部材6において反対側に位置する他方端部側とを隔離することができる。また、このとき給電用導電線としての端子側電極線8は、筒状部材6の内周側において、封止部材11を開口部12において貫通して他方端部側から一方端部側にまで延在するとともに、電気回路としての電極4またはヒータ回路5に電気的に接続されている。
なお、封止部材11と端子側電極線8との接合部に位置するガラス13、および封止部材11と筒状部材6との接合部に位置するガラス13には、メニスカス部14が形成されている。このようなメニスカス部14は、封止部材11、端子側電極線8および筒状部材6の表面に対するガラス13の濡れ性が良好である場合に形成される。そして、このようなメニスカス部14が形成された接合部は、その信頼性が高く、リークの発生の危険性が低い。
また、封止部材11と端子側電極線8との接合部に位置するガラス13、および封止部材11と筒状部材6との接合部に位置するガラス13は、封止部材11を介して100g/cm2以上の圧力をガラス13に加えながら熱処理を実施することにより形成されていてもよい。このようにすれば、ガラス13において微小な間隙を少なくできる。したがって、ガラス13の気密性を向上させることができるとともに、ガラス13による接合部の接合強度を向上させることができる。
また、電気回路としてのヒータ回路5や電極4を構成する材料としては、耐酸化性の低いタングステンやモリブデンなどが用いられる。また、給電端子7a〜7cについても、同様に耐酸化性の低い材料が用いられる場合がある。しかし、本発明による保持体1では、セラミックス基体2のヒータ回路5などと端子側電極線8との接合部が、封止部材11、筒状部材6およびセラミックス基体2によって囲まれた領域(筒状部材の一方端部側の領域)に位置することになる。したがって、筒状部材6とセラミックス基体2との接合領域、筒状部材6と封止部材11との接合領域さらに封止部材11と端子側電極線8との接合領域が所定の気密性を有するように形成されれば、上記ヒータ回路5などと端子側電極線8との接合部が位置する上記領域は保持体1の周囲の空間(他の領域)とは隔離された状態になる。このため、エッチングなどの処理を行なう場合、上記接合部を構成する給電端子7やヒータ回路5および電極4が、保持体1の周囲に存在する反応性ガスなどにより腐食されるといった問題の発生を抑制できる。
また、封止部材11を筒状部材6の内周側に配置して、筒状部材6の一方端部側の空間である上記領域を上記他の領域から隔離する(密封する)ので、従来のように筒状部材6の内部に不活性ガスを供給するための配管などを設置する必要がない。このため、保持体1の構造を従来より単純化できるので、その製造コストを低減できる。さらに、保持体1を用いて被処理物である半導体基板の処理(エッチング処理など)を行なう場合、不活性ガスを筒状部材6の内部に供給し続ける必要も無いので、保持体1を用いた処理のランニングコストを低減できる。
また、保持体1を構成するセラミックス基体2、筒状部材6、封止部材11および端子側電極線8のそれぞれの材料として、比較的熱膨張係数の差が小さい材料を選択することにより、雰囲気温度が変化することに起因して熱応力が局所的に集中するといった問題の発生を抑制できる。このため、ヒートサイクルなどの熱履歴に対して、高い信頼性を示す保持体1を実現できる。
また、図1〜図3に示した保持体1では、封止部材11がセラミックス基体2の表面から間隔を隔てて配置されているので、封止部材11はセラミックス基体2と接触しない。このため、セラミックス基体2に封止部材11が接触することに起因して、セラミックス基体2の温度分布が不均一になるといった問題の発生を防止できる。したがって、セラミックス基体2の温度分布をより均一化できる。
また、筒状部材6と封止部材11との接合部は筒状部材6と封止部材11との間に介在する接合部材としてのガラス13を含んでいるので、封止部材11と筒状部材6との間の間隙をガラス13により埋め込むことができる。この結果、上記接合部の気密性を向上させることができる。
また、ガラス13の熱膨張係数は金属ロウ材などの熱膨張係数より相対的に小さい。このため、接合部材として用いるガラス13の種類を適宜選択することにより、ガラス13の熱膨張係数を、筒状部材6などを構成するセラミックスの熱膨張係数とほぼ近い値にすることが可能である。この結果、接合部における熱応力の集中を抑制できる。
また、図3に示すように、ガラス13は筒状部材6の表面の一部上から封止部材11の表面の一部上にまで延在する表面を有しており、この表面は筒状部材6および封止部材11の表面に向かって凸形状になっている(いわゆるメニスカス部14が形成されている)。このようなメニスカス部14は、ガラス13が筒状部材6および封止部材11の表面に対して良好な濡れ性を示している場合に形成される。つまり、このようなメニスカス部14が形成されていれば、その接合部はリークの危険性が低く、高い信頼性を示すことになる。
また、図1〜図3に示した保持体1では、封止部材11と端子側電極線8との接合部が封止部材11と端子側電極線8との間に介在する他の接合部材としてのガラス13を含んでいる。図2に示すように、ガラス13は、封止部材11の表面の一部上から端子側電極線8の表面の一部上にまで延在する他の表面を有している。他の表面は封止部材11および端子側電極線8の表面に向かって凸形状になっている(いわゆるメニスカス部14が形成されている)。このように、ガラス13にいわゆるメニスカス部14が形成されていれば、ガラス13が封止部材11および端子側電極線8の表面に対して良好な濡れ性を示していることがわかる。つまり、ガラス13においてこのようなメニスカス部14が形成されていれば、封止部材11と端子側電極線8との接合部が高い気密性を示すことになる。また、接合部材としてガラス13を用いれば、封止部材11と端子側電極線8との接合部にガラス13を配置する工程における熱処理温度を比較的低温(約1000℃以下)にすることができる。この結果、端子側電極線8を構成する材料についての選択の自由度を大きくすることができる。
また、ガラス13としてZnO−SiO2−B2O3系ガラスを用いてもよい。ZnO−SiO2−B2O3系ガラスはセラミックスと同等の熱膨張係数を有するとともに、セラミックスからなる筒状部材6や封止部材11との濡れ性が良好な材料である。このため、上記ZnO−SiO2−B2O3系ガラスをガラス13として用いれば、接合部の気密性および信頼性を向上させることができる。
また、封止部材11を構成する材料は筒状部材6を構成する材料と同様の材料を含んでいてもよい。このようにすれば、封止部材11と筒状部材6とを、互いに同等の熱膨張係数を有する材料により構成することができる。このため、封止部材11と筒状部材6との接合部において、封止部材11の材料と筒状部材6の材料との熱膨張係数の差に起因する熱応力の集中を抑制できる。
また、封止部材11を構成する材料はセラミックス基体2を構成する材料である基体ベース3の材料と同様の材料を含んでいてもよい。
この場合、封止部材11とセラミックス基体2とを、互いに同等の熱膨張係数を有する材料により構成することができる。このため、後述する本発明の実施の形態3における保持体1のように、封止部材11とセラミックス基体2とを互いに接触させて接合する場合、その接触部において、封止部材11の材料とセラミックス基体2の材料との熱膨張係数の差に起因する熱応力の集中を抑制できる。
また、セラミックス基体2を構成する基体ベース3の材料が窒化アルミニウムを含んでいてもよい。窒化アルミニウムは半導体基板の処理に用いられるハロゲン系のガスに対する耐食性が高い。また、窒化アルミニウムを用いたセラミックス基体2からのパーティクルの発生率は、他の材料を用いたセラミックス基体からのパーティクルの発生率より小さい。さらに、窒化アルミニウムの熱伝導率は比較的高いため、セラミックス基体2の表面(半導体基板などの被処理物を搭載する面)での温度分布を均一化することができる。
また、封止部材11と筒状部材6とセラミックス基体2とにより囲まれた領域の雰囲気は真空および非酸化性雰囲気のいずれか一方であることが好ましい。この場合、上記領域に位置するヒータ回路5や電極4と端子側電極線8との接続部や端子側電極線8の酸化を効果的に抑制できる。
また、端子側電極線8の材料として鉄−ニッケル−コバルト合金を用いてもよい。ここで、鉄−ニッケル−コバルト合金の熱膨張係数とセラミックスの熱膨張係数との差は比較的小さい。このため、端子側電極線8とセラミックスからなる封止部材11との接合部を形成する際、および保持体1がヒートサイクルを受ける際に、端子側電極線8と封止部材11との接合部において発生する熱応力の大きさを小さくすることができる。さらに、上記鉄−ニッケル−コバルト合金は、接合部材として用いられるガラスとの濡れ性に優れている。このため、端子側電極線8と封止部材11との接合部の信頼性を向上させることができる。
また、給電用導電部材としての端子側電極線8はタングステン(W)、モリブデン(Mo)およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含む基材と、この基材の表面上に形成され、ニッケルおよび金の少なくともいずれか一方を含む被覆層としてのめっき層とから構成されていてもよい。ここで、基材を構成する上記金属の熱膨張係数と、セラミックスの熱膨張係数との差は比較的小さい。このため、端子側電極線8とセラミックスからなる封止部材11との接合部を形成する際、端子側電極線8と封止部材11との熱膨張係数の差に起因して、接合部に熱応力が集中することを抑制できる。
また、封止部材11と筒状部材6とセラミックス基体2とにより囲まれた領域から、この領域以外の領域へのヘリウムリークレートは10‐8Pa・m3/s以下であることが好ましい。この場合、上記領域に位置するヒータ回路5や電極4と端子側電極線8との接合部や端子側電極線8の酸化を確実に抑制できる。
また、図1〜図3に示した保持体1を半導体基板の処理を行う処理装置に適用すれば、半導体基板の処理を低コストで実施できると同時に、高い信頼性を有する処理装置を実現できる。
(実施の形態2)
図4は、本発明による保持体の実施の形態2を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明による保持体の実施の形態2を説明する。
図4は、本発明による保持体の実施の形態2を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明による保持体の実施の形態2を説明する。
図4を参照して、保持体1は基本的には図1〜図3に示した保持体と同様の構造を備えるが、筒状部材6の内周壁面に封止11の位置を決定するための凸部18が形成されている。この凸部18に封止部材11の端部を押圧した状態で筒状部材6と封止部材11との間をガラス13により接着固定する。
このようにすれば、図1〜図3に示した保持体と同様の効果を得ることができると同時に、凸部18が存在することにより、筒状部材6と封止部材11とが互いに対向する領域の面積を大きくできる。このため、筒状部材6と封止部材11との間の接合部の信頼性をより高めることができる。この結果、リークの発生確率を効果的に低減することができる。
(実施の形態3)
図5は、本発明による保持体の実施の形態3を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明による保持体の実施の形態3を説明する。
図5は、本発明による保持体の実施の形態3を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明による保持体の実施の形態3を説明する。
図5を参照して、保持体1は基本的には図1〜図3に示した保持体と同様の構造を備えるが、封止部材11の配置が異なる。すなわち、封止部材11は、筒状部材6の内周側において、セラミックス基体2の裏面と密着するように配置されている。そして、この状態で封止部材11はセラミックス基体2、筒状部材6および端子側電極線8とガラス13により固定されている。
このようにすれば、図1〜図3に示した保持体と同様の効果を得られると同時に、封止部材11がセラミックス基体2の裏面と接触した状態となっているので、封止部材11をセラミックス基体2により支持することができる。この結果、封止部材11の厚みを薄くすることができる。したがって、封止部材11の設計の自由度を大きくできる。
また、このとき、セラミックス基体2と封止部材11との間に固定用接合部材としてのガラスを配置することにより、セラミックス基体2と封止部材11とを接合してもよい。このようにしても、図4に示した保持体と同様の効果をえることができる。また、セラミックス基体2と封止部材11との間に位置するガラスは、封止部材11を介して100g/cm2以上の圧力を加えながら熱処理を実施することにより形成してもよい。この場合、ガラスにおける微小な空隙を無くすことができるので、セラミックス基体2と封止部材11との接合部の気密性を向上させることができるとともに、接合部の強度を向上させることができる。
(実施の形態4)
図6は、本発明による保持体の実施の形態4を示す断面模式図である。図7は、図6に示した保持体の部分断面模式図である。図6および7を参照して、本発明による保持体の実施の形態4を説明する。
図6は、本発明による保持体の実施の形態4を示す断面模式図である。図7は、図6に示した保持体の部分断面模式図である。図6および7を参照して、本発明による保持体の実施の形態4を説明する。
図6および図7を参照して、半導体製造装置用サセプタである保持体1は基本的には図5に示した保持体と同様の構造を備えるが、封止部材21(図6参照)の構成が異なる。すなわち、図6および7に示した保持体1では、円筒状の封止部材21が筒状部材6の内周側に位置し、電気回路としての電極4やヒータ回路5と給電用導電部材としての端子側電極線8との接合部の周囲を囲むように配置されている。封止部材21は、ガラス13により窒化アルミニウムを用いたセラミックス基体2の表面に接続・固定されている。また、封止部材21の内周側(封止部材21の開口部の内部)には端子側電極線8が配置され、端子側電極線8と封止部材21との間には他の接合部材としてのガラス13が配置されている。なお、端子側電極線8の材料としては鉄−ニッケル−コバルト合金を用いることができる。封止部材21は、ヒータ回路5と端子側電極線8との接合部を封止部材21の外周側の空間から隔離している。
上記他の接合部材としてのガラス13は、封止部材21の表面の一部上から端子側電極線8の表面の一部上にまで延在する表面を有し、この表面は封止部材21および端子側電極線8のよう面に向かって凸形状となっている(いわゆる、メニスカスを形成している)。この結果、本発明の実施の形態1による保持体1と同様に、封止部材21と端子側電極線8とがガラス13により接続された部分において高い気密性を得ることができる。
また、図6および図7に示した保持体1では、セラミックス基体2の電気回路としてのヒータ回路5や電極4と端子側電極線8との接合部が封止部材21およびセラミックス基体2によって囲まれた領域に位置することになる。封止部材21とセラミックス基体2との接合領域をガラス13により所定の気密性を有するように形成し、かつ、封止部材21と端子側電極線8とをガラス13により固定すれば、上記接合部が位置する領域は封止部材21の周囲の空間(他の領域)とは隔離された状態になる。このため、本発明の実施の形態1と同様に、エッチングなどの加熱処理を行なう場合、上記接合部を構成する部材や電気回路が筒状部材6内の周囲に存在する大気中の酸素により腐食されるといった問題の発生を抑制できる。
また、封止部材21を筒状部材6の内周側に配置すると共に、上記接合部を封止部材21の周囲の領域から隔離する(密封する)ので、従来のように筒状部材6の内部に不活性ガスを供給するための配管などを設置する必要がない。このため、保持体1の構造を従来より単純化できるので、その製造コストを低減できる。さらに、保持体1を用いて被処理物のエッチング処理などを行なう場合、不活性ガスを筒状部材6の内部に供給し続ける必要も無いので、保持体1を用いた処理のランニングコストを低減できる。
また、保持体1を構成するセラミックス基体2、封止部材21および端子側電極線8、電源側電極線9のそれぞれの材料として、比較的熱膨張係数の差が小さい材料を選択してもよい。この場合、雰囲気温度が変化することに起因して熱応力が封止部材21とセラミックス基体2との接合部などに局所的に集中するといった問題の発生を抑制できる。
また、上述のようにヒータ回路5と端子側電極線8との接合部のそれぞれに対して封止部材21を設置するので、封止部材21のサイズを小さくする事ができる。このため、封止部材21のコストを低減できる。さらに、セラミックス基体2に封止部材21が接触する面積を小さくできるので、セラミックス基体2の温度分布に対する封止部材21の影響を小さくすることができる。この結果、セラミックス基体2の温度分布をより均一にすることができるので、セラミックス基体2に保持される半導体基板などの被処理物の温度分布を均一にすることができる。
なお、図6および図7に示した保持体1では、ヒータ回路5と端子側電極線8との接合部において端子側電極線8と封止部材21との間に他の接合部材としてのガラス13が充填されている。しかし、封止部材21の下端において封止部材21と端子側電極線8とがガラス13により確実に接着・封止されていれば、封止部材21のたとえば中央部や上部などで、封止部材21の内周壁面と端子側電極線8との間に空隙が形成されていてもよい。この空隙の雰囲気は真空および非酸化性雰囲気のいずれか一方であることが好ましい。この場合、ヒータ回路5などの電気回路と端子側電極線8との接続部や端子側導電線8の酸化を効果的に抑制できる。
また、保持体1では、ヒータ回路5などの電気回路と端子側電極線8との接合部が位置する領域(封止部材21の内周側)から、封止部材21の外周側へのヘリウムリークレートが10‐8Pa・m3/s以下であることが好ましい。この場合、封止部材21の内周側に位置するヒータ回路5などと端子側電極線8との接合部や端子側電極線8の酸化を確実に抑制できる。
また、保持体1では、セラミックス基体2と封止部材21との接合部において、セラミックス基体2と封止部材21との間に接合部材としてのガラス13を介在させてもよい。この場合、封止部材21とセラミックス基体2との間の間隙をガラスにより埋め込むことができる。この結果、上記接合部の気密性を向上させることができる。
また、図6および図7に示すように、接合部材としてのガラス13はセラミックス基体2の表面の一部上から封止部材21の表面の一部上にまで延在する表面を有しており、その表面はセラミックス基体2および封止部材21の表面に向かって凸形状になっている(いわゆるメニスカスを形成している)。この場合、ガラス13が封止部材21およびセラミックス基体2の表面に対して良好な濡れ性を示していることがわかる。つまり、セラミックス基体2と封止部材21との接合部が高い気密性を示すことがわかる。この結果、接合部におけるリークの発生を確実に抑制できる。
また、ガラス13としては、本発明の実施の形態1と同様にZnO−SiO2−B2O3系ガラスを用いることができる。また、封止部材21を構成する材料は、筒状部材6を構成する材料と同様の材料を含んでいてもよい。また、封止部材21を構成する材料はセラミックス基体2を構成する材料を含んでいてもよい。
図8は、図6および図7に示した本発明による保持体の実施の形態4の第1の変形例を示す断面模式図である。図9は、図8に示した保持体の部分断面模式図である。図8および図9を参照して、本発明による保持体の実施の形態4の第1の変形例を説明する。
図8および図9に示すように、半導体製造装置用サセプタである保持体1は、基本的に図6および図7に示した保持体1と同様の構造を備えるが、封止部材21とセラミックス基体2を接合するガラス13の形状が異なる。すなわち、図8および図9に示した保持体1では、封止部材21とセラミックス基体2との間にガラス13が配置されている。また、給電端子7a〜7cと端子側電極線8との接合部の周囲を取囲んで封止するように、ガラス13は配置されている。そして、封止部材21と端子側電極線8との間には、ガラス13の充填されていない間隙が形成されている。つまり、ガラス13は封止部材21と端子側電極線8との間において、セラミックス基体2側のみに配置されている。このような構造によっても、図6および図7に示した保持体1と同様の効果を得ることができる。
また、図8および図9に示した保持体1のガラス13を固定するための焼成処理において、封止部材21を介してガラス13に圧力を加えることが好ましい。この場合、封止部材21を介して100g/cm2以上の圧力をガラス13に加えることが好ましい。このようにすれば、ガラス13とセラミックス基体2、封止部材21あるいは端子側電極線8との界面に存在する微小な間隙を少なくする(あるいは無くす)ことができる。このため、給電端子7a〜7cと端子側電極線8との接合部からのヘリウムリークレートを低減できる(気密性を向上させることができる)。なお、荷重は100g/cm2以上であればほぼ同程度の効果を得ることができるが、100g/cm2未満の場合、ヘリウムリークレートの顕著な低減効果を得ることが出来ない。
図10は、図6および図7に示した本発明による保持体の実施の形態4の第2の変形例を示す断面模式図である。図11は、図10に示した保持体の部分断面模式図である。図10および図11を参照して、本発明による保持体の実施の形態4の第2の変形例を説明する。
図10および図11に示すように、半導体製造装置用サセプタである保持体1は、基本的に図8および図9に示した保持体1と同様の構造を備えるが、ガラス13が配置されたセラミックス基体2の表面の形状が異なる。すなわち、図10に示した保持体1では、セラミックス基体2の裏面に3つの座繰り溝25(図11参照)が形成されている。座繰り溝25の平面形状は円形状でもよいが、他の多角形状などであってもよい。そして、それぞれの座繰り溝25の底壁に給電端子7a〜7cが埋め込まれている。座繰り溝25の底壁において露出している給電端子7a〜7cの端面に端子側電極線8が接続されている。給電端子7a〜7cと端子側電極線8との接合部の周囲には、図8および図9に示した保持体1と同様に封止部材21およびガラス13が配置されている。
このようにしても、図8および図9に示した保持体1と同様の効果を得ることができる。さらに、座繰り溝25を形成し、この座繰り溝25の内部に給電端子7a〜7cと端子側電極線8との接合部を配置するので、たとえば横方向から端子側電極線8に応力が加えられるような場合(つまり、上記接合部に横方向の応力が加えられたような場合)、ガラス13と座繰り溝25の底壁との接合面のみではなく、座繰り溝25の側壁にもその応力が分散して加えられる事になる。したがって、接合部の耐久性を向上させることができる。この場合、座繰り溝25の側壁とガラス13あるいは封止部材21とが接触するように配置されていることが好ましい。このようにすれば、座繰り溝25の側壁によってガラス13あるいは封止部材21を支持できるので、外力に対する接合部の耐久性を効果的に向上させることができる。
なお、上述した本発明の実施の形態においては、給電端子7a〜7cと端子側電極線8との接合部の構造がネジ構造であってもよい。たとえば、給電端子7a〜7cの下面(端子側電極線8に面する端面)にネジ部を形成し、端子側電極線8の上面(給電端子7a〜7cに面する端面)にネジ穴を形成しておいてもよい。そして、給電端子7a〜7cのネジ部を端子側電極線8のネジ穴に挿入・固定することにより、給電端子7a〜7cと端子側電極線8とを接続してもよい。
本発明による保持体の効果を確認するため、以下に示すような実験を行なった。
まず、表1に示すような組成の4種類の原料粉末を準備した。
まず、表1に示すような組成の4種類の原料粉末を準備した。
上記の表1に示した組成の原料粉末に、バインダおよび溶剤を加え、ボールミル混合することにより各組成(組成−1〜4)のスラリーを作製した。
次に、表1に示した組成−1〜4のそれぞれのスラリーを、ドクターブレード法を用いてシート状に成形した。このようにして得られたシート(グリーンシート)を、焼結後の寸法が直径350mmの円形状になるように切断した。そして、円形状に切断したシートにスクリーン印刷法を用いてタングステン(W)ペーストを塗布することによってヒータ回路を形成した。
次に、上述のヒータ回路を形成したシートの表面上に、ヒータ回路が形成されていない複数のシートを積層した。さらに、このシートの表面上に、スクリーン印刷法を用いてタングステンペーストを塗布することにより形成されたプラズマ形成(RF)用電極あるいは静電吸着用(静電チャック用)電極を有するシートを積層した。このようにして、シートの積層体を作成した。
このようなシートの積層体を、雰囲気が窒素雰囲気であって加熱温度が700℃という条件で熱処理することにより脱脂処理を行なった。
次に、組成−1、2および4のスラリーを用いた積層体については、雰囲気が窒素雰囲気であって加熱温度が1800℃という条件で焼結処理を行なった。また、組成3のスラリーを用いた積層体については、雰囲気が窒素雰囲気であって加熱温度が1600℃という条件で焼結処理を行なった。この後、ヒータ回路、静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極に電流を供給するための給電端子を所定の位置に配置した。このようにして、それぞれの組成のスラリーを用いたセラミックス基体(サセプタ)を作製した。
次に、表1に示した組成−1〜4のスラリーを、それぞれスプレードライ法を用いて顆粒状にした。この顆粒状の原料を用いて、ドライプレス法により円柱状の成形体を作製した。この成形体に対して、窒素気流中で加熱温度が700℃という条件で脱脂処理を行なった。その後、上述の各組成−1〜4からなるセラミックス基体に対する焼結工程と同様の条件により焼結処理を行なった。
上記焼結処理を行った後、出来上がった円柱状の焼結体に対して機械加工を行なった。この結果、内周側の直径が50mm、外周側の直径が60mm、長さが200mmの筒状部材を得た。
また、この筒状部材とは別に、上述の筒状部材とは構成の異なる他の筒状部材を、上記筒状部材と同様の工程により作成した。上記他の筒状部材は、上述の筒状部材の内周側において、セラミックス基体との接合部(筒状部材の端部)からの距離が30mmの位置に、封止部材を支えるための凸部を形成したものである。支持部としての凸部のサイズは、凸部の高さ(筒状部材の内周面からの高さ)が5mmであり、凸部の内周側の径が40mmとした。
上述の筒状部材の一方端面に、Al2O3−Y2O3−AlNのスラリーを塗布した。そして、このスラリーが塗布された面をセラミックス基体の裏面側と密着させた。この状態で、セラミックス基体と筒状部材との接合体に対して、セラミックス基体の焼結工程における条件と同一の条件で熱処理を行なった。この結果、セラミックス基体と筒状部材とを接合することができた。なお、セラミックス基体の内部に埋設されたヒータ回路、静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極に対して外部から給電するための給電端子は、すべて筒状部材の内周側において露出するように配置されている。
次に、ヒータ回路、静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極の給電端子に対して、それぞれ給電部材としての端子側電極線を接続した。この電極線を介して、ヒータ回路、静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極に電流を供給することができる。
また、上述した組成−1〜4のそれぞれのシートを所定の大きさに切断し、セラミックス基体を作製する場合と同様の熱処理を行なうことにより焼結体を作製した。なお、この焼結体には、必要に応じてシートを複数枚積層することにより所定の厚みを持たせてもよい。そして、出来上がった焼結体に対して、穴あけ加工を実施することにより端子側電極線が貫通することが可能な開口部を形成する。また、筒状部材の内周側に挿入することが可能なように、機械加工を実施することにより積層体の外周側の寸法を調整する。このようにして、封止部材を作成する。また、他の封止部材として、本発明の実施の形態4で示したように端子側電極線と電気回路との接合部ごとに設置される他の封止部材を、同様の手法により作成した。
次に、筒状部材、給電端子および給電部材としての電極線が取付けられたセラミックス基体に対して、筒状部材の内周側に封止部材を挿入する。なお、ここで封止部材は予め筒状部材の内周側に配置・固定した状態で、その封止部材と筒状部材との接合体をセラミックス基体へと接合してもよい。また、上記他の封止部材をセラミックス基体において端子側電極線が接続された領域に配置した。
次に、筒状部材と封止部材との間および電極線と封止部材との間にガラスを塗布する。そして、加熱温度を700℃として、焼成時の雰囲気を窒素雰囲気中、アルゴン雰囲気中、真空中、大気中というそれぞれの雰囲気において焼成処理を実施することにより、封止部材を固定するとともに封止部材、筒状部材およびセラミックス基体に囲まれた領域の封止を行なった。また、上述の他の封止部材が配置された試料についても、封止部材とセラミックス基体との間および電極線と封止部材との間にガラスを塗布した上で、上記と同様の熱処理(焼成処理)を実施する。また、試料によっては、封止部材を介してガラスに100g/cm2以上の荷重をかけながら上記熱処理を行った。このようにして、封止部材を固定するとともに封止部材とセラミックス基体とにより囲まれた領域の封止を行った。なお、上述の封止に用いたガラスとしては、ZnO−SiO2−B2O3結晶化ガラスを用いた。
上述のような方法により、表2〜表6に示すように68種類の試料を作製した。また、ガラスの焼成処理における荷重の有無の影響を確認するため、さらに表7〜表9に示すように39種類の試料(試料No.69〜107の試料)を作成した。表2〜表9は、後述する試験に用いた試料(サンプル)の条件および試験結果を示す表である。
なお、表中の電極線材料の欄において、Cu−Wとは銅(Cu)−タングステン(W)合金を意味する。また、たとえば表5の試料No.38の電極線材料の欄の表示(W−1)は、基材の材料としてタングステン(W)を用い、このタングステン製の基材の表面に厚さ2μmの被覆層としてのニッケル(Ni)メッキ(以下、第1のメッキ層という)を形成したものを電極線として用いていることを示す。また、試料No.39について、電極線材料の欄の表示(W−2)は、基材の材料としてタングステン(W)を用い、このタングステン製の基材の表面に厚さ1μmの金(Au)メッキ(以下、第2のメッキ層という)を形成したものを電極線として用いていることを示す。また、試料No.40について、電極線材料の欄の表示(W−3)は、基材の材料としてタングステン(W)を用い、このタングステン製の基材の表面に厚さ2μmのニッケルメッキ層を形成した後、厚さ1μmの金メッキ層(以下、第3のメッキ層という)を形成したものを電極線として用いていることを示す。
また、試料No.42〜44の電極線材料の欄の表示(Cu−W−1〜Cu−W−3)は、Cu−W合金の基材の表面に、それぞれ第1〜第3のメッキ層を形成した試料を電極線として用いたことを示す。また、試料No.46〜48の電極線材料の欄の表示(Mo−1〜Mo−3)は、モリブデン(Mo製の基材の表面に、それぞれ第1〜第3のメッキ層を形成した試料を電極線として用いたことを示す。また、表7〜表9の封止形状の欄の「ガラスで密着(図8)」との表示は、封止部の形状が図8に示した保持体における封止部の形状であることを示している。
それぞれの試料に対して、保持体の耐熱性および耐酸化性を確認するため、大気中において加熱温度が750℃、保持時間が1000時間という熱処理を実施した。そして、上記熱処理後にヒータ回路などの回路抵抗値を確認することにより、ヒータ回路などと電極線との接続部(給電端子など)が酸化されているかどうかを確認した。その結果、表2〜表9に示すように、本発明の実施例である保持体の試料は、十分な耐酸化性を示すことがわかった。
次に、それぞれの試料に対して、封止部分(セラミックス基体と筒状部材と封止部材とにより囲まれた領域)の気密性を確認するため、図12および図13に示すように、セラミックス基体の表面(ウェハ搭載面)から封止部分へと貫通するような貫通孔である測定用穴19を形成した。また、図6および図7に示した本発明の実施の形態4に対応する試料については、図14に示すように封止部材21の側壁に、封止部材21の内周側へと貫通する測定用穴19を形成した。また、図8に示した本発明の実施の形態4の第1の変形例に対応する試料(試料No.69〜107の試料)については、気密性の確認のため、セラミックス基体の表面(ウェハ搭載面)から封止部分へと貫通するような貫通孔である測定用穴を形成した。図12〜図14は、気密性を確認するための試験を行った試料の断面模式図である。この機械加工によって形成された測定用穴19から、封止領域(筒状部材と封止部材とセラミックス基体とによって囲まれた空間、あるいは封止部材とセラミックス基体とにより囲まれた領域)の内部を矢印20に示すように真空引きし、その後、各試料についてヘリウムディテクタを用いてリークレートの測定を実施した。その結果を表2〜表9に示す。表2〜表9からもわかるように、本発明の実施例の試料では、封止領域が十分な気密性を有していることがわかる。
また、封止部分(封止部材と端子側電極線、封止部材と筒状部材、あるいは封止部材とセラミックス基体との接合部)において、接合部材としてのガラスと給電部材、封止部材、セラミックス基体あるいは電極線との間にメニスカス部が形成されているかどうかについても確認した。その結果を表2〜表6に示す。表2〜表6からもわかるように、メニスカス部が形成された保持体の試料は、封止領域が高い気密性を示していることがわかる。
また、試料No.69〜107について、ガラスの焼成処理における(封止時の)荷重の有無を表7〜表9に示す。表7〜表9からわかるように、封止時に荷重を加えた試料の方が、より高い気密性を示すことがわかる。
ここで、表2〜表9には示していないが、セラミックス基体に埋設した給電端子を構成する材料としてはモリブデン(Mo)あるいはタングステン(W)を使用した。給電端子の材料としてモリブデンあるいはタングステンとを用いた場合に、給電端子の材料の違いによる効果の差は特には見られなかった。
なお、表2〜表6において、封止形状の欄に「空間あり」、「密着」および「個別」との表示があるが、「空間あり」とは本発明の実施の形態1に示したように、封止部材とセラミックス基体との間が間隔を隔てて配置され、封止部材と筒状部材とセラミックス基体とによって囲まれた封止領域しての空間が形成された構成を示している。また、「密着」と表示された試料は、本発明の実施の形態3に示すように、セラミックス基体の裏面側に封止部材が密着した状態の試料を示している。また、「個別」とは、本発明の実施の形態4に示したように、セラミックス基体の電気回路と端子側電極線との接続部ごとに個別に封止部材が配置された試料を示している。また、「ガラスで密着(図8)」とは、図8に示した保持体のように、封止部材のセラミックス基体側のみにガラスが配置された試料を示している。
また、封止雰囲気の欄には、既に述べたように封止部材を筒状部材や電極線と接続固定する際に、ガラスを塗布した後に行なった熱処理の際の雰囲気が示されている。また、給電部材材料の欄に示した材料は、それぞれセラミックス基体に埋設された電気回路としてのヒータ回路、静電吸着用電極およびプラズマ形成用電極の給電端子と接続された電極線の材料を示している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 保持体、2 セラミックス基体、3 基体ベース、4 電極、5 ヒータ回路、6 筒状部材、7 給電端子、8 端子側電極線、9 電源側電極線、10 接続部、11,21 封止部材、12 開口部、13 ガラス、14 メニスカス部、15 端部開口部、16 端部、17 Auロウ材、18 凸部、19 測定用穴、20 矢印、25 座繰り溝。
Claims (20)
- 電気回路を有し、被処理物を保持するためのセラミックス基体と、
前記セラミックス基体に接続される一方端部を有する筒状部材と、
前記筒状部材の内周側に位置し、前記一方端部側と、前記一方端部とは前記筒状部材において反対側に位置する他方端部側とを隔離する封止部材と、
前記筒状部材の内周側において、前記封止部材を貫通して前記他方端部側から前記一方端部側にまで延在するとともに、前記電気回路に電気的に接続された給電用導電部材とを備える、被処理物保持体。 - 前記封止部材は前記セラミックス基体の表面に接触している、請求項1に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材は前記セラミックス基体の表面から間隔を隔てて配置されている、請求項1に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材は、前記セラミックス基体の表面と固定用接合部材を介して接合されている、請求項1に記載の被処理物保持体。
- 前記固定用接合部材は、固定用接合部材となるべき接合材に前記封止部材を介して100g/cm2以上の圧力を加えながら熱処理を実施することにより形成されるものである、請求項4に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材と前記筒状部材と前記セラミックス基体とにより囲まれた領域の雰囲気は真空および非酸化性雰囲気のいずれか一方である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材と前記筒状部材と前記セラミックス基体とにより囲まれた領域から、前記領域以外の領域へのヘリウムリークレートが10‐8Pa・m3/s以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記筒状部材と前記封止部材との接合部は、前記筒状部材と前記封止部材との間に介在する接合部材を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記接合部材は、接合部材となるべき接合材に前記封止部材を介して100g/cm2以上の圧力を加えながら熱処理を実施することにより形成されるものである、請求項8に記載の被処理物保持体。
- 前記接合部材は、前記筒状部材の表面の一部上から前記封止部材の表面の一部上にまで延在する表面を有し、
前記表面は前記筒状部材および前記封止部材の表面に向かって凸形状になっている、請求項8または9に記載の被処理物保持体。 - 前記接合部材はガラスを含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記ガラスはZnO−SiO2−B2O3系ガラスである、請求項11に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材と前記給電用導電部材との接合部は、前記封止部材と前記給電用導電部材との間に介在する他の接合部材を含み、
前記他の接合部材は、前記封止部材の表面の一部上から前記給電用導電部材の表面の一部上にまで延在する他の表面を有し、
前記他の表面は前記封止部材および前記給電用導電部材の表面に向かって凸形状になっている、請求項8〜10のいずれか1項に記載の被処理物保持体。 - 前記封止部材を構成する材料は前記筒状部材を構成する材料と同じ材料を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記封止部材を構成する材料は前記セラミックス基体を構成する材料と同じ材料を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記セラミックス基体を構成する材料は窒化アルミニウムを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記給電用導電部材は鉄−ニッケル−コバルト合金を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の被処理物保持体。
- 前記給電用導電部材は、
タングステン、モリブデン、およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種を含む基材と、
前記基材の表面上に形成され、ニッケルおよび金の少なくともいずれか一方を含む被覆層とを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の被処理物保持体。 - 請求項1〜18のいずれか1項に記載の被処理物保持体を備える処理装置。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載の被処理物保持体を有する半導体製造装置用サセプタ。
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