JP2023075372A - 赤外線透過部材、及び赤外線透過部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な反射防止膜を備えた赤外線透過部材を提供する。【解決手段】赤外線透過部材1は、波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上である赤外線透過部材であって、基材10と、基材10の少なくとも一方の表面に形成されて厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜12と、を有する。有機膜12は、炭素原子及び窒素原子を含み、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で、0.04より大きい。【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線透過部材、及び赤外線透過部材の製造方法に関する。
Si、Ge、ZnS、カルコゲナイドガラスなどの遠赤外透過材料は、赤外線カメラのレンズ材料などの光学素子として使用されている。特に大気の吸収が少なく、また人体の発する赤外線を効率よく感知できる8μm以上15μm以下の波長の光を感知する赤外カメラは、自動車用センサ部品や監視カメラとして、大きな需要が期待されている。しかし、上述の遠赤外線透過材料は、例えば波長10μmでの屈折率が2~4程度と高いため、それらを光学素子として用いた場合には、片面で10%以上20%以下程度の、比較的高い反射が生じてしまうため、透過率が不十分となる場合がある。
それに対し、特許文献1には、金属フッ化物膜を含む4層膜からなる反射防止膜をコートする旨が記載されている。また、特許文献2には、高密度ポリエチレンの単層膜を用いた反射防止膜が記載されている。
しかし、特許文献1に記載の反射防止膜は、成膜のコストが高くなる。特許文献2の反射防止膜は、溶融温度が低く、耐熱性に問題がある。そのため、より適切な反射防止膜を備えた赤外線透過部材が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、適切な反射防止膜を備えた赤外線透過部材、及び赤外線透過部材の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る赤外線透過部材は、波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上である赤外線透過部材であって、基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に形成されて厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜と、を有し、前記有機膜は、炭素原子及び窒素原子を含み、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で、0.04より大きい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る赤外線透過部材の製造方法は、エチレンと窒素とをプラズマ化するステップと、前記プラズマ化したエチレンと窒素とを基材に供給して、前記基材の表面に、厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜を形成して赤外線透過部材を形成するステップと、を含み、前記赤外線透過部材の波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上である。
本発明によれば、適切な反射防止膜を備えた赤外線透過部材を提供できる。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、数値については四捨五入の範囲が含まれる。
(赤外線透過部材)
図1は、本実施形態に係る赤外線透過部材の模式的な断面図である。図1に示す本実施形態に係る赤外線透過部材1は、赤外線を透過する部材である。ここでの赤外線は、波長が8μm以上15μm以下の波長の光(電磁波)を指す。以降においても特に断りがない限り、赤外線とは、波長が8μm以上15μm以下の波長の光(電磁波)を指す。赤外線透過部材1は、赤外線の平均透過率が、30%以上であり、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。なお、ここでの平均透過率とは、その波長帯域(ここでは8μmから15μm)の、それぞれの波長の光の透過率の平均値である。
図1は、本実施形態に係る赤外線透過部材の模式的な断面図である。図1に示す本実施形態に係る赤外線透過部材1は、赤外線を透過する部材である。ここでの赤外線は、波長が8μm以上15μm以下の波長の光(電磁波)を指す。以降においても特に断りがない限り、赤外線とは、波長が8μm以上15μm以下の波長の光(電磁波)を指す。赤外線透過部材1は、赤外線の平均透過率が、30%以上であり、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。なお、ここでの平均透過率とは、その波長帯域(ここでは8μmから15μm)の、それぞれの波長の光の透過率の平均値である。
赤外線透過部材1は、例えば赤外線を検知する赤外カメラのレンズに用いられる。また例えば、赤外線透過部材1は、車両のガラスに取り付けられて、透過した赤外線を車両内の赤外カメラに導くものであってもよい。ただし、赤外線透過部材1の用途はこれらに限られず、任意の用途に用いられてもよい。
図1に示すように、赤外線透過部材1は、基材10と、有機膜12とを有する。赤外線透過部材1は、基材10の一方の表面10aと他方の表面10bとのそれぞれに、有機膜12が積層されている。赤外線透過部材1の表面10a、10bは、赤外線透過部材1に入射する赤外線の光軸に対して交差する方向に延在する表面(主面)を指す。なお、有機膜12は、基材10の表面10a、10bの両方に積層されることに限られず、表面10a、10bの少なくとも一方に積層されていればよい。
有機膜12の、基材10に接着されている側の表面12aの反対側の表面12bには、保護膜が積層されていてもよい。保護膜は、有機膜12とは異なる材料で構成される膜である。保護膜は、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)や、炭素を含有する有機膜12とは異なる材料や、酸化ケイ素、フッ化金属(MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、PbF2、LaF3、YF3など)などの無機膜であってよい。保護膜の厚さは、有機膜12の厚さより薄い。なお、保護膜は、それぞれの有機膜12の少なくとも一方に設けられていてよく、例えば、それぞれの有機膜12に設けられていてもよいし、基材10よりも外気側に積層される有機膜12にのみ設けられてもよい。
(基材)
基材10は、赤外線を透過する部材である。図1の例では、基材10は平板状であるが、それに限られず、形状は用途などに応じて適宜設定されてよい。例えばレンズに用いられる場合、基材10は曲面形状となっていてよい。基材10の厚さD1、すなわち表面10aと表面10bとの間の長さも、用途に応じて設定されてよい。基材10は、赤外線を透過する部材であり、赤外線の平均透過率が、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。なお、上述の赤外線透過部材1の平均透過率が、赤外線透過部材1の全体における平均透過率を指すのに対し、基材10の平均透過率は、基材10単体での平均透過率を指す。基材10は、10μmの波長の赤外線に対する屈折率が、例えば2以上4以下であるが、屈折率はそれに限られず任意であってよい。基材10の材料は任意であるが、例えば、Si、Ge、ZnS、カルゴゲナイドガラスなどであってよい。基材10の厚さD1は、0.05mm以上20mm以下であることが好ましく、0.05mm以上10mm以下であることがより好ましい。厚さD1が0.05mm以上であることで、基材10の強度を十分に保ち、20mm以下であることで、赤外線の透過率を適切に保つことができる。
基材10は、赤外線を透過する部材である。図1の例では、基材10は平板状であるが、それに限られず、形状は用途などに応じて適宜設定されてよい。例えばレンズに用いられる場合、基材10は曲面形状となっていてよい。基材10の厚さD1、すなわち表面10aと表面10bとの間の長さも、用途に応じて設定されてよい。基材10は、赤外線を透過する部材であり、赤外線の平均透過率が、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。なお、上述の赤外線透過部材1の平均透過率が、赤外線透過部材1の全体における平均透過率を指すのに対し、基材10の平均透過率は、基材10単体での平均透過率を指す。基材10は、10μmの波長の赤外線に対する屈折率が、例えば2以上4以下であるが、屈折率はそれに限られず任意であってよい。基材10の材料は任意であるが、例えば、Si、Ge、ZnS、カルゴゲナイドガラスなどであってよい。基材10の厚さD1は、0.05mm以上20mm以下であることが好ましく、0.05mm以上10mm以下であることがより好ましい。厚さD1が0.05mm以上であることで、基材10の強度を十分に保ち、20mm以下であることで、赤外線の透過率を適切に保つことができる。
なお、カルコゲナイトガラスの好ましい組成としては、原子%表示で、
Ge+Ga;7%~25%、
Sb;0%~35%、
Bi;0%~20%、
Zn;0%~20%、
Sn;0%~20%、
Si;0%~20%、
La;0%~20%、
S+Se+Te;55%~80%、
Ti;0.005%~0.3%、
Li+Na+K+Cs;0%~20%、
F+Cl+Br+I;0%~20%含有する組成である。そして、このガラスは、140℃~550℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。
Ge+Ga;7%~25%、
Sb;0%~35%、
Bi;0%~20%、
Zn;0%~20%、
Sn;0%~20%、
Si;0%~20%、
La;0%~20%、
S+Se+Te;55%~80%、
Ti;0.005%~0.3%、
Li+Na+K+Cs;0%~20%、
F+Cl+Br+I;0%~20%含有する組成である。そして、このガラスは、140℃~550℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。
(有機膜)
有機膜12は、反射防止膜(AR膜;Anti Refrection膜)である。有機膜12は、基材10による赤外線の反射を抑制する。有機膜12の赤外線に対する屈折率は、基材10の赤外線に対する屈折率よりも低いことが好ましい。例えば、有機膜12は、10μmの波長の赤外線に対する屈折率が、2.7以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.9以下であることが更に好ましい。ここで、基材10単体での赤外線の平均反射率に対する、基材10の一方の表面に有機膜12を積層した赤外線透過部材1の赤外線の平均反射率の差分(平均反射率の減少量)を、有機膜12の反射率減少値とする。この場合、有機膜12の反射率減少値は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。このような反射率減少値とすることで、赤外線の反射を抑制することができる。なお、平均反射率とは、その波長帯域、ここでは8μmから15μmの、それぞれの波長の光の反射率の平均値である。
有機膜12は、反射防止膜(AR膜;Anti Refrection膜)である。有機膜12は、基材10による赤外線の反射を抑制する。有機膜12の赤外線に対する屈折率は、基材10の赤外線に対する屈折率よりも低いことが好ましい。例えば、有機膜12は、10μmの波長の赤外線に対する屈折率が、2.7以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.9以下であることが更に好ましい。ここで、基材10単体での赤外線の平均反射率に対する、基材10の一方の表面に有機膜12を積層した赤外線透過部材1の赤外線の平均反射率の差分(平均反射率の減少量)を、有機膜12の反射率減少値とする。この場合、有機膜12の反射率減少値は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。このような反射率減少値とすることで、赤外線の反射を抑制することができる。なお、平均反射率とは、その波長帯域、ここでは8μmから15μmの、それぞれの波長の光の反射率の平均値である。
有機膜12の厚さD2は、0.5μm以上3μm以下であり、1.0μm以上2μm以下であることが好ましく、1.4μm以上1.8μm以下であることがより好ましい。厚さD2がこの範囲となることで、赤外線に対して適切に反射防止性を持たせることができる。
有機膜12は、エチレン重合体の一部の原子を窒素原子に置換した部材であり、窒素含有エチレン重合体ともいえる。より詳しくは、有機膜12は、エチレン重合体に含まれる炭素原子の一部を、窒素原子に置換した部材である。有機膜12は、炭素原子と水素原子と窒素原子とを含む有機物の膜といえ、不純物を除き、炭素原子と水素原子と窒素原子を主成分とすることが好ましい。不純物としては、空気中に存在しエチレン重合体形成後に有機膜12と結合する酸素等の原子があげられる。有機膜12は、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率である窒素含有比率が、モル比で、0.04より大きい。また、窒素含有比率は、0.07以上0.4以下であることが好ましく、0.1以上0.3以下であることがより好ましく、0.2以上0.3以下であることが更に好ましい。窒素含有比率をこの数値範囲とすることで、耐熱性を向上させつつ、赤外線透過部材1の赤外線の透過率を担保できる。なお、有機膜12の炭素原子、及び窒素原子の含有量は、エネルギー分散型X線分光法(EDX;Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて測定してよい。
有機膜12は、炭素原子と窒素原子との2重結合と、炭素原子と窒素原子との3重結合とを含むことが好ましい。
図2は、基材にSiを用いた場合の有機膜付き赤外線透過基材のFTIRの結果の一例を示すグラフである。有機膜12の原子同士の結合は、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を用いて検出できる。図2の横軸は波数であり、縦軸はそれぞれの波数の赤外光の透過率である。図2の赤外透過スペクトルL1は、窒素含有量がほとんどない通常のエチレン重合膜(ポリエチレン)を有機膜12とした場合についてのFTIRの測定結果、すなわち波数毎の赤外光の赤外透過スペクトルの例を示している。赤外透過スペクトルL1は、波数2800cm-1以上3000cm-1以下の位置に、有機膜12が無いSiのみを基材として測定した赤外線透過スペクトルには見られない吸収ピークP0を有する。吸収ピークP0は、有機膜12の原子同士の結合により生じた赤外線吸収ピークである。吸収ピークP0は、炭素-炭素1重結合を有する炭素原子と水素原子の結合による赤外線の吸収を示しており、言い換えれば、通常のポリエチレンと同様、炭素-炭素の1重結合を持つ炭素原子が存在することを示すピークである。
図2の赤外透過スペクトルL2は、基材にSiを用いた場合の窒素を含有した有機膜12付き赤外線透過基材のFTIRの測定結果、すなわち波数毎の赤外光の赤外透過スペクトルの例を示している。赤外透過スペクトルL2は、ポリエチレンを使用した場合の赤外透過スペクトルL1と同様に、有機膜12が無いSiのみを基材として測定した赤外線透過スペクトルには見られない、有機膜12に起因する吸収ピークP0を有する。ただし、有機膜12の赤外透過スペクトルL2の吸収ピークP0の強度(高さ)は、ポリエチレンの赤外透過スペクトルL1の吸収ピークP0の強度より小さくなっている。すなわち、有機膜12は、炭素原子が窒素原子に置換した分だけ、ポリエチレンよりも、炭素-炭素の1重結合を持つ炭素原子の数が少ない。
赤外透過スペクトルL2は、有機膜12が無いSiのみを基材として測定した赤外線透過スペクトルには見られない、有機膜12に起因する第1吸収ピークP1及び第2吸収ピークP2を有する。第1吸収ピークP1は、波数1550cm-1以上1700cm-1以下の位置に存在するピークである。第1吸収ピークP1は、炭素原子と窒素原子との2重結合による赤外線の吸収を示しており、言い換えれば、炭素原子と窒素原子との2重結合が存在することを示すピークである。第2吸収ピークP2は、波数2160cm-1以上2200cm-1以下の位置に存在するピークである。第2吸収ピークP2は、炭素原子と窒素原子との3重結合による赤外線の吸収を示しており、言い換えれば、炭素原子と窒素原子との3重結合が存在することを示すピークである。
ここで、第1吸収ピークP1のピーク高さを、高さPD1とし、第2吸収ピークP2のピーク高さを高さPD2とし、赤外透過スペクトルL2の500cm-1から4000cm-1の透過率の最大値を、最大高さPDとする。高さPD1は、例えば、赤外透過スペクトルL2が第1吸収ピークP1で落ち始める位置と、第1吸収ピークP1の頂点位置との、透過率の差分である。同様に、高さPD2は、赤外透過スペクトルL2が第2吸収ピークP2で落ち始める位置と、第2吸収ピークP2の頂点位置との、透過率の差分である。この場合、高さPD1は、最大高さPDに対して、5%以上であることが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましい。また、高さPD2は、高さPD1より小さいことが好ましく、例えば、高さPD1に対して、1%以上60%以下であることが好ましく、3%以上30%以下であることがより好ましく、5%以上20%以下であることが更に好ましい。
このように、赤外透過スペクトルL2によって、有機膜12が、炭素原子と窒素原子との2重結合と、炭素原子と窒素原子との3重結合とを含んでいることを確認できる。有機膜12の炭素原子同士の単結合を炭素原子と窒素原子の単結合に置き換えた場合、結合エネルギーが増大し熱分解が抑制でき耐熱性が向上するが、有機膜12は、炭素原子同士の単結合が炭素原子と窒素原子との2重結合に置換されているため、更に熱分解が抑制されて、ポリエチレンに対して耐熱性を向上できる。また、有機膜12は、末端の炭素原子と水素原子の単結合が炭素原子と窒素原子との3重結合に置換されるため、末端の炭素原子と窒素原子との3重結合により、更に熱分解が抑制されて、ポリエチレンに対して耐熱性を向上できる。
有機膜12は、上述のような窒素含有エチレン重合体の単層(1層)で構成されているが、窒素含有エチレン重合体が複数積層されていてもよい。また、有機膜12と基材10との間に、有機膜12とは異なる材質の膜が形成されていてもよい。
このように、有機膜12は、厚さD2が0.5μm以上3μm以下であり、炭素原子及び窒素原子を含む。そして、有機膜12は、窒素含有比率が、0.04より大きい。そのため、有機膜12は、赤外線の反射を抑制して、基材10に対する反射防止膜として適切に機能する。さらに言えば、有機膜12は、炭素原子及び窒素原子を含む部材であるため、コストの増加も抑えられる。また、有機膜12は、窒素含有比率が0.04より大きいため、ポリエチレンに対して耐熱性を高くすることができる。
(赤外線透過部材の製造方法)
次に、赤外線透過部材1の製造方法について説明する。図3は、赤外線透過部材を製造する製造装置の構成の一例を示す図である。図3に示すように、製造装置20は、配管30A、30B、30Cと、配管32と、MFC34A、34B、34Cと、噴射管36と、電源40と、電磁波発生部42と、積層室50と、台座部52と、排出管54とを備える。
次に、赤外線透過部材1の製造方法について説明する。図3は、赤外線透過部材を製造する製造装置の構成の一例を示す図である。図3に示すように、製造装置20は、配管30A、30B、30Cと、配管32と、MFC34A、34B、34Cと、噴射管36と、電源40と、電磁波発生部42と、積層室50と、台座部52と、排出管54とを備える。
配管30Aは、エチレン含有ガスGAが流れる配管である。配管30Bは、窒素含有ガスGBが流れる配管である。配管30Cは、不活性ガスGCが流れる配管である。配管30A、30B、30Cには、それぞれMFC34A、34B、34Cが設けられる。MFC(Mass Flow Controller)は、ガス流量を制御する装置である。MFC34Aは、配管30Aを流れるエチレン含有ガスGAの流量を調整し、MFC34Bは、配管30Bを流れる窒素含有ガスGBの流量を調整し、MFC34Cは、配管30Cを流れる不活性ガスGCの流量を調整する。
エチレン含有ガスGAは、エチレン気体を含むガスである。本実施形態では、エチレン含有ガスGAは、エチレンとアルゴンを含むガスであるが、エチレンに加えて、アルゴン以外の希釈用のガスを含むガスであってもよい。希釈用のガスは、例えば、ヘリウムなどの希ガスや窒素である。また、エチレン含有ガスGAは、エチレンのみを含んでもよいため、少なくともエチレンを含むガスであるといえる。窒素含有ガスGBは、窒素成分を含むガスであり、窒素ガス(N2)、アンモニアガス、シアンガスなどの分子中に窒素成分を含むガスを少なくとも1種類含むガスである。窒素含有ガスGBは、窒素ガスのみを含むことが好ましいが、他の成分のガスも含んでよい。不活性ガスGCは、本実施形態ではアルゴンであるが、アルゴン以外の不活性ガスであってもよい。
配管32は、配管30A、30B、30Cに接続される配管であり、配管30A、30B、30Cからエチレン含有ガスGA、窒素含有ガスGB、不活性ガスGCが流入する。噴射管36は、配管32に接続されて、配管32からガスが流入する。
電源40は、電磁波を発生させるための電源である。電磁波発生部42は、噴射管36の外周部に取り付けられる。電磁波発生部42は、電源40に接続されて、電源40からの電力によって、電磁波を発生させる。電磁波発生部42が発生させる電磁波は、例えば周波数が2.4GHz以上2.5GHz以下のマイクロ波である。電磁波発生部42は、噴射管36内に向けて電磁波を照射する。噴射管36内に流入したガスは、電磁波によってプラズマ化する。
積層室50は、内部に台座部52を収納するチャンバである。台座部52には、基材10が配置されている。噴射管36は、配管32に接続されている箇所と反対側の先端部36Aが、積層室50内に設けられている。先端部36Aは、台座部52の基材10が配置される箇所と対向した位置に設けられている。先端部36Aからは、台座部52に向けて、噴射管36内で生成されたプラズマが噴射される。排出管54は、積層室50に接続されており、排出管54から積層室50内の気体が排出される。
図4は、本実施形態に係る赤外線透過部材の製造方法を説明するフローチャートである。図4に示すように、本製造方法においては、積層室50内の台座部52に基材10を配置して(ステップS10)、図示しないポンプによって、積層室50内の空気を排出する。本製造方法では、積層室50内の圧力を200Pa以下にすることが好ましい。
そして、本製造方法では、MFC34Cを制御して、配管30Cから配管32を介して、噴射管36に不活性ガスGCを流入させて、不活性ガスGCをプラズマ化する(ステップS12)。具体的には、噴射管36に不活性ガスGCを流入させつつ、電源40から電磁波発生部42に電力を供給することで、噴射管36内の不活性ガスGCに電磁波を照射させて、不活性ガスGCをプラズマ化する。そして、本製造方法では、不活性ガスGCのプラズマを先端部36Aから台座部52の基材10に噴射する(ステップS14)。これにより、基材10の表面から有機物が除去される。不活性ガスGCのプラズマを基材10に噴射する期間は任意であってよいが、例えば1分以上10分以下程度であってよい。なお、ステップS12、14は必須の工程ではない。
その後、本製造方法では、不活性ガスGCの流入を停止して、MFC34A、34Bを制御して、配管30A、30Bから配管32に、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとを流入させて、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとを混合する(ステップS16)。これにより、配管32で、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとの混合ガスGが生成される。本製造方法においては、混合ガスGにおけるエチレンの含有量は、混合ガスG全体に対して、モル比で0.1%以上10%以下が好ましく、混合ガスG全体に対して、モル比で0.5%以上2%以下となるように、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとを供給することが好ましい。また、混合ガスG中の窒素の含有量は、混合ガスG全体に対して、モル比で20%以上であることが好ましい。混合ガスG中の窒素の含有量の上限は特になく例えばエチレン以外のガスがすべて窒素であってもよい。
そして、配管32から噴射管36に混合ガスGを流入させて、混合ガスGをプラズマ化する(ステップS18)。具体的には、噴射管36に混合ガスGを流入させつつ、電源40から電磁波発生部42に電力を供給することで、噴射管36内の混合ガスGに電磁波を照射させて、混合ガスGをプラズマ化する。そして、本製造方法では、混合ガスGのプラズマPLを先端部36Aから台座部52の基材10に噴射する。これにより、基材10の表面に、有機膜12が形成されて、赤外線透過部材1が製造される。なお、混合ガスGのプラズマPLを基材10に噴射する期間は、有機膜12の膜厚が所定の値になるように、ガス条件、電力条件に伴い調整され、例えば5分以上30分以下程度であってよい。また、電源40から電磁波発生部42への電力は、成膜面積1cm2あたり、1W以上100W以下であることが好ましく、3W以上50W以下であることが更に好ましい。電力をこの範囲とすることで、適切にプラズマを形成できる。また、基材10と電磁波発生部42の下端との距離は、5mm以上200mm以下とすることが好ましく、20mm以上120mm以下とすることがより好ましい。距離をこの範囲に保つことで、有機膜12を適切に形成できる。
本製造方法においては、基材10上に有機膜12を形成する際に、又は、基材10上に有機膜12を形成した後に、有機膜12を所定温度で、所定時間加熱することが好ましい。所定温度は、100℃以上250℃以下であることが好ましく、130℃以上220℃以下であることがより好ましい。また、所定時間は、任意であってよいが、5分以上60分以下であることが好ましく、10分以上30分以下であることがより好ましい。このように有機膜12を所定温度で加熱することにより、それ以降に有機膜12が所定温度まで加熱されたとしても、有機膜12が劣化して赤外線の透過率が低下することが抑制される。また、加熱(熱アニール)によりダングリングボンドによる熱吸収部位を除去して、透過率向上効果も期待できる。
このように、本製造方法においては、混合ガスGをプラズマ化して基材10に噴射する。本製造方法では、エチレンと窒素の混合ガスGをプラズマ化することで、窒素分子が乖離して窒素原子が生成されて、エチレンの炭素原子を窒素原子に適切に置換して、有機膜12を適切に形成できる。なお、本製造方法では、エチレンと窒素を先に混合してから噴射管36に流入させるが、それに限られず、エチレンと窒素をそれぞれ別々に噴射管36に流入させてもよい。また、以上説明した製造方法を用いることで、赤外線透過部材1を適切に製造できるが、赤外線透過部材1の製造方法は以上の説明に限られない。
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線透過部材1は、波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上であり、基材10と、基材10の少なくとも一方の表面に形成される有機膜12とを有する。有機膜12は、厚さD2が0.5μm以上3μm以下であり、炭素原子及び窒素原子を含み、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率(窒素含有比率)が、モル比で、0.04より大きい。そのため、有機膜12は、赤外線の反射を抑制して、基材10に対する反射防止膜として適切に機能する。さらに言えば、有機膜12は、炭素原子及び窒素原子を含む部材であるため、コストの増加も抑えられる。また、有機膜12は、窒素含有比率が0.04より大きいため、ポリエチレンに対して耐熱性を高くすることができる。このように、本実施形態に係る赤外線透過部材1は、より適切な反射防止膜を備える。
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線透過部材1は、波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上であり、基材10と、基材10の少なくとも一方の表面に形成される有機膜12とを有する。有機膜12は、厚さD2が0.5μm以上3μm以下であり、炭素原子及び窒素原子を含み、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率(窒素含有比率)が、モル比で、0.04より大きい。そのため、有機膜12は、赤外線の反射を抑制して、基材10に対する反射防止膜として適切に機能する。さらに言えば、有機膜12は、炭素原子及び窒素原子を含む部材であるため、コストの増加も抑えられる。また、有機膜12は、窒素含有比率が0.04より大きいため、ポリエチレンに対して耐熱性を高くすることができる。このように、本実施形態に係る赤外線透過部材1は、より適切な反射防止膜を備える。
有機膜12は、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率(窒素含有比率)が、モル比で0.07以上0.4以下であることが好ましく、モル比で0.1以上0.3以下であることがより好ましく、モル比で0.2以上0.3以下であることが更に好ましい。本実施形態に係る赤外線透過部材1は、窒素含有比率がこの範囲となることで、赤外線の透過率を担保しつつ、耐熱性を高くすることができる。
有機膜12は、炭素原子と窒素原子との2重結合と、炭素原子と窒素原子との3重結合とを含むことが好ましい。本実施形態に係る赤外線透過部材1は、有機膜12がこのような結合を含むことで、耐熱性を高くすることができる。
赤外線透過部材1を500cm-1以上4000cm-1以下の範囲でFTIRを用いて測定した赤外透過スペクトルL2は、第1吸収ピークP1と第2吸収ピークP2とを有することが好ましい。第1吸収ピークP1は、波数1550cm-1以上1700cm-1以下に位置するピークであり、赤外透過スペクトルL2の最大値(最大高さPD)に対して5%以上の高さとなる。第2吸収ピークP2は、波数2160cm-1以上2200cm-1以下に位置し、第1吸収ピークP1より高さが低い。本実施形態に係る赤外線透過部材1は、赤外透過スペクトルL2がこのようなピークを有することで、耐熱性を高くすることができる。
有機膜12は、厚さD2が1.4μm以上2μm以下であることが好ましい。有機膜12の厚さD2をこの範囲とすることで、赤外線の反射を適切に抑制できる。
赤外線透過部材1は、有機膜12の基材10側とは反対側の表面12bに、有機膜12よりも薄い保護膜が形成されてもよい。赤外線透過部材1は、保護膜を備えることで、有機膜12を適切に保護できる。
本実施形態に係る赤外線透過部材1の製造方法は、エチレンと窒素とをプラズマ化するステップと、プラズマ化したエチレンと窒素とを基材10に供給して、基材10の表面に、厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜12を形成して赤外線透過部材1を形成するステップと、を含む。本製造方法は、8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上となる赤外線透過部材1を製造する。本製造方法は、エチレンと窒素とをプラズマ化することで、窒素分子が乖離して窒素原子が生成されて、エチレンの炭素原子と窒素原子を適切に置換して、有機膜12を適切に形成できる。
プラズマ化するステップにおいては、2.4GHz以上2.5GHz以下の電磁波をエチレンと窒素とに照射することで、エチレンと窒素とをプラズマ化することが好ましい。このような電磁波を照射することで、エチレンと窒素を適切にプラズマ化できる。
本製造方法は、有機膜12を形成する際に、又は有機膜12を形成した後に、有機膜12を100℃以上250℃以下の温度で加熱することが好ましく、有機膜12を130℃以上220℃以下の温度で加熱することがより好ましい。使用前に有機膜12を加熱しておくことで、使用時に有機膜12が加熱されたとしても、有機膜12が劣化して赤外線の透過率が低下することが抑制される。
(実施例)
次に、実施例について説明する。
次に、実施例について説明する。
(例1)
例1においては、基材として、25mm幅で厚さが0.5mmの、片面を研磨したシリコンを使用した。この基材をFTIRで8μm以上15μm以下の波長の赤外線に対する透過率を測定して、平均透過率を算出した。基材の平均透過率は、45.1%であった。なお、FTIR用の装置として、ThermoFisher社製 NICOLET380を用いた。その後、基材をエタノールで洗浄後、図3に示すような台座部52にセットして、積層室50内圧力を100Paに調整した。また、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が50mmとなるように、台座部52の高さを調整した。そして、不活性ガスGCとしてのアルゴンガスを、1SLMの流量で噴射管36に流し、80Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させてアルゴンガスに照射して、アルゴンガスをプラズマ化して、基材に1分間吹き付けた。これにより基材上の有機物を除去し、その後、アルゴンガスを窒素含有ガスGBに切り替えて、1SLMの流量の窒素含有ガスGBと、0.08SLMの流量のエチレン含有ガスGAとを、噴射管36に流した。窒素含有ガスGBは窒素ガスとした。エチレン含有ガスGAは、アルゴンガスとエチレンガスとの混合ガスとし、エチレン含有ガスGA中のエチレンガスの含有量は9%とした。そして、25Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させて、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとの混合ガスGに照射してプラズマ化し、基材に20分間吹き付けた。これにより、基材上に、窒素含有エチレン重合体である有機膜を形成して、例1の赤外線透過部材を製造した。
例1においては、基材として、25mm幅で厚さが0.5mmの、片面を研磨したシリコンを使用した。この基材をFTIRで8μm以上15μm以下の波長の赤外線に対する透過率を測定して、平均透過率を算出した。基材の平均透過率は、45.1%であった。なお、FTIR用の装置として、ThermoFisher社製 NICOLET380を用いた。その後、基材をエタノールで洗浄後、図3に示すような台座部52にセットして、積層室50内圧力を100Paに調整した。また、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が50mmとなるように、台座部52の高さを調整した。そして、不活性ガスGCとしてのアルゴンガスを、1SLMの流量で噴射管36に流し、80Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させてアルゴンガスに照射して、アルゴンガスをプラズマ化して、基材に1分間吹き付けた。これにより基材上の有機物を除去し、その後、アルゴンガスを窒素含有ガスGBに切り替えて、1SLMの流量の窒素含有ガスGBと、0.08SLMの流量のエチレン含有ガスGAとを、噴射管36に流した。窒素含有ガスGBは窒素ガスとした。エチレン含有ガスGAは、アルゴンガスとエチレンガスとの混合ガスとし、エチレン含有ガスGA中のエチレンガスの含有量は9%とした。そして、25Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させて、エチレン含有ガスGAと窒素含有ガスGBとの混合ガスGに照射してプラズマ化し、基材に20分間吹き付けた。これにより、基材上に、窒素含有エチレン重合体である有機膜を形成して、例1の赤外線透過部材を製造した。
例1の赤外線透過部材の有機膜の一部を剥がし、厚さ(膜段差)を触針式膜厚計(ブルガー社製DEKTAK)で測定したところ、1600nmであった。また、キーエンス社製走査電子顕微鏡(VE-9800)に取り付けたEDX(OXFORD INSTRUMENT社製 INCAx-act)で加速電圧10kVの条件で、例1の有機膜の組成を測定したところ、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率(窒素含有比率)が、モル比で、0.10であった。
例1の赤外線透過部材をFTIRで測定した。図5は、有機膜を形成する前の基材と例1の赤外線透過部材とのFTIRの測定結果を示すグラフである。図5の赤外透過スペクトルL3が、有機膜を形成する前の基材の赤外透過スペクトルであり、赤外透過スペクトルL4が、例1の赤外線透過部材の赤外透過スペクトルである。図5に示すように、例1の赤外線透過部材の赤外透過スペクトルL4は、波数1630cm-1付近に、炭素原子と窒素原子の2重結合を示す第1吸収ピークが観察され、波数2130cm-1~2160cm-1付近に、炭素原子と窒素原子の3重結合を示す第2吸収ピークが観察された。
また、例1の赤外線透過部材のFTIRの測定結果から、8μm以上15μm以下の波長の平均透過率を算出すると、52.4%であり、約7%の反射抑制効果が確認された。また、例1の赤外線透過部材を、大気中150℃で1時間加熱して、FTIRを測定し、8μm以上15μm以下の平均透過率を算出すると、53.1%(加熱前から0.7%の上昇)であった。これは、有機膜中の水分が脱離したことにより水分による吸収が減ったためと考えられる。更に、例1の赤外線透過部材を、大気中200℃で1時間加熱、大気中250℃で1時間加熱して、FTIRを測定し、8μm以上15μm以下の平均透過率を算出した。200℃で1時間加熱したものの平均透過率は、52.7%(加熱前から0.3%の上昇)であり、250℃で1時間加熱したものの平均透過率は、50.5%(加熱前から1.9%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例1での耐熱温度は、200℃といえる。
(例2)
例2は、混合ガスGを30Wの電力でプラズマ化して、基材に15分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例2における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1600nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.11であった。例2では、成膜初期の平均透過率は、52.8%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、53.2%(加熱前から0.4%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.9%(加熱前から0.1%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、51.4%(加熱前から1.4%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例2での耐熱温度は、200℃といえる。
例2は、混合ガスGを30Wの電力でプラズマ化して、基材に15分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例2における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1600nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.11であった。例2では、成膜初期の平均透過率は、52.8%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、53.2%(加熱前から0.4%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.9%(加熱前から0.1%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、51.4%(加熱前から1.4%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例2での耐熱温度は、200℃といえる。
(例3)
例3は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を2.5SLMとし、エチレン含有ガスGAとして3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.5SLMで流した混合ガスGを、150Wの電力でプラズマ化して、基材に13分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例3における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1300nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.13であった。例3では、成膜初期の平均透過率は、50.6%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から1.5%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、51.5%(加熱前から0.9%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、48.7%(加熱前から1.9%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例3での耐熱温度は、200℃といえる。
例3は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を2.5SLMとし、エチレン含有ガスGAとして3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.5SLMで流した混合ガスGを、150Wの電力でプラズマ化して、基材に13分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例3における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1300nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.13であった。例3では、成膜初期の平均透過率は、50.6%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から1.5%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、51.5%(加熱前から0.9%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、48.7%(加熱前から1.9%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例3での耐熱温度は、200℃といえる。
(例4)
例4は、混合ガスGを40Wの電力でプラズマ化して、基材に10分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例4における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1800nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.13であった。例4では、成膜初期の平均透過率は、51.8%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.9%(加熱前から1.1%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、53.2%(加熱前から1.4%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.5%(加熱前から0.7%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例4での耐熱温度は、250℃以上といえる。
例4は、混合ガスGを40Wの電力でプラズマ化して、基材に10分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例4における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1800nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.13であった。例4では、成膜初期の平均透過率は、51.8%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.9%(加熱前から1.1%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、53.2%(加熱前から1.4%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.5%(加熱前から0.7%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例4での耐熱温度は、250℃以上といえる。
(例5)
例5は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を1.2SLMとし、エチレン含有ガスGAとして例1と同様に3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.25SLMで流した混合ガスGを形成後、積層室50内の圧力を50Paに調整し、混合ガスGを150Wの電力でプラズマ化して、基材に9分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例5における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1600nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.22であった。例5では、成膜初期の平均透過率は、49.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.8%(加熱前から2.9%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から2.2%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.8%(加熱前から0.9%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例5での耐熱温度は、250℃以上といえる。
例5は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を1.2SLMとし、エチレン含有ガスGAとして例1と同様に3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.25SLMで流した混合ガスGを形成後、積層室50内の圧力を50Paに調整し、混合ガスGを150Wの電力でプラズマ化して、基材に9分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例5における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1600nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.22であった。例5では、成膜初期の平均透過率は、49.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.8%(加熱前から2.9%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から2.2%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.8%(加熱前から0.9%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例5での耐熱温度は、250℃以上といえる。
(例6)
例6は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を1.2SLMとし、エチレン含有ガスGAとして例1と同様に3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.13SLMで流した混合ガスGを形成後、積層室50内の圧力を50Paに調整し、混合ガスGを190Wの電力でプラズマ化して、基材に8分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例6における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1400nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.31であった。例6では、成膜初期の平均透過率は、49.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.5%(加熱前から2.6%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から2.2%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.4%(加熱前から0.5%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例6での耐熱温度は、250℃以上といえる。
例6は、基材10と電磁波発生部42の下端との距離が100mmとなるように台座部52の高さを調整し、窒素含有ガスGBとして窒素40%、アルゴン60%の混合ガスとし、窒素含有ガスGBの流量を1.2SLMとし、エチレン含有ガスGAとして例1と同様に3%のエチレンを含むヘリウム混合ガスとし、エチレン含有ガスGAを0.13SLMで流した混合ガスGを形成後、積層室50内の圧力を50Paに調整し、混合ガスGを190Wの電力でプラズマ化して、基材に8分照射した点以外は、例1と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例6における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1400nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.31であった。例6では、成膜初期の平均透過率は、49.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.5%(加熱前から2.6%の上昇)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.1%(加熱前から2.2%の上昇)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.4%(加熱前から0.5%の上昇)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例6での耐熱温度は、250℃以上といえる。
(例7)
例7では、例1と同じ基材をエタノールで洗浄後、1SLMの流量のアルゴンガスと、0.17sccmの流量のエチレン含有ガスGAとを、噴射管36に流し、窒素ガスを流さなかった。エチレン含有ガスGAは、アルゴンガスとエチレンガスとの混合ガスであり、エチレン含有ガスGA中のエチレンガスの含有量は9%とした。そして、積層室50の圧力を350Paとして、50Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させて、エチレンガスに照射してプラズマ化し、基材に4分間吹き付けた。これにより、基材上に、有機膜を形成して、例7の赤外線透過部材を製造した。なお、例7では、基材を両面研磨とした。
例7では、例1と同じ基材をエタノールで洗浄後、1SLMの流量のアルゴンガスと、0.17sccmの流量のエチレン含有ガスGAとを、噴射管36に流し、窒素ガスを流さなかった。エチレン含有ガスGAは、アルゴンガスとエチレンガスとの混合ガスであり、エチレン含有ガスGA中のエチレンガスの含有量は9%とした。そして、積層室50の圧力を350Paとして、50Wの電力で2.45GHzの電磁波を発生させて、エチレンガスに照射してプラズマ化し、基材に4分間吹き付けた。これにより、基材上に、有機膜を形成して、例7の赤外線透過部材を製造した。なお、例7では、基材を両面研磨とした。
図6は、有機膜を形成する前の基材と例7の赤外線透過部材とのFTIRの測定結果を示すグラフである。図6の赤外透過スペクトルL5が、例7の赤外線透過部材の赤外透過スペクトルである。図6に示すように、例7の赤外線透過部材の赤外透過スペクトルL5は、波数1630cm-1付近の第1吸収ピークと、波数2130cm-1~2160cm-1付近の第2吸収ピークとが観察されなかった。すなわち、例7では、炭素と窒素の2重結合及び3重結合が観察されなかったといえる。
例7における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1600nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.03であった。例7では、成膜初期の平均透過率は、59.3%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、58.0%(加熱前から1.3%の低下)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、55.0%(加熱前から4.3%の低下)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例7での耐熱温度は、150℃以下といえる。
(例8)
例8は、積層室50の圧力を240Paとして、混合ガスGを40Wの電力でプラズマ化して、基材に3.5分照射した点と、基材を片面研磨とした以外は、例7と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例8における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1800nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.04であった。例8では、成膜初期の平均透過率は、52.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.2%(加熱前から0.7%の低下)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.2%(加熱前から2.7%の低下)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、44.7%(加熱前から8.2%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例8での耐熱温度は、150℃といえる。
例8は、積層室50の圧力を240Paとして、混合ガスGを40Wの電力でプラズマ化して、基材に3.5分照射した点と、基材を片面研磨とした以外は、例7と同じ条件で赤外線透過部材を準備した。例8における有機膜の、触針式膜厚計による厚さの測定結果は、1800nmであり、EDXでの測定による窒素含有比率は、モル比で、0.04であった。例8では、成膜初期の平均透過率は、52.9%であり、大気中150℃で1時間加熱した後の平均透過率は、52.2%(加熱前から0.7%の低下)であり、大気中200℃で1時間加熱した後の平均透過率は、50.2%(加熱前から2.7%の低下)であり、大気中250℃で1時間加熱した後の平均透過率は、44.7%(加熱前から8.2%の減少)であった。耐熱温度の判断基準を、加熱前(成膜初期)時と比較して、平均透過率の減少率が1%未満とすると、例8での耐熱温度は、150℃といえる。
以上の例1から例8の結果を、表1に示す。実施例である例1から例6では、耐熱温度が200℃となっており、耐熱性を十分に満たすことが分かる。比較例である例7、例8は、耐熱温度が150℃以下となり、耐熱性を十分に満たさないことが分かる。
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、この実施形態及び実施例の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
1 赤外線透過部材
10 基材
12 有機膜
10 基材
12 有機膜
Claims (11)
- 波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上である赤外線透過部材であって、
基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に形成されて厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜と、を有し、
前記有機膜は、炭素原子及び窒素原子を含み、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で、0.04より大きい、
赤外線透過部材。 - 前記有機膜は、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で0.07以上0.4以下である、請求項1に記載の赤外線透過部材。
- 前記有機膜は、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で0.1以上0.3以下である、請求項2に記載の赤外線透過部材。
- 前記有機膜は、炭素原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比率が、モル比で0.2以上0.3以下である、請求項3に記載の赤外線透過部材。
- 前記赤外線透過部材を500cm-1以上4000cm-1以下の範囲でFTIRを用いて測定した赤外透過スペクトルが、波数1550cm-1以上1700cm-1以下に、前記赤外透過スペクトルの最大値に対して5%以上の高さとなる第1吸収ピークを有し、波数2160cm-1以上2200cm-1以下に、前記第1吸収ピークより高さが低い第2吸収ピークを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の赤外線透過部材。
- 前記有機膜は、厚さが1.4μm以上2μm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の赤外線透過部材。
- 前記有機膜の前記基材側とは反対側の表面に、前記有機膜よりも薄い保護膜が形成される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の赤外線透過部材。
- エチレンと窒素とをプラズマ化するステップと、
前記プラズマ化したエチレンと窒素とを基材に供給して、前記基材の表面に、厚さが0.5μm以上3μm以下の有機膜を形成して赤外線透過部材を形成するステップと、
を含み、前記赤外線透過部材の波長が8μm以上15μm以下の赤外線の平均透過率が30%以上である、
赤外線透過部材の製造方法。 - 前記プラズマ化するステップにおいて、2.4GHz以上2.5GHz以下の電磁波をエチレンと窒素とに照射することで、エチレンと窒素とをプラズマ化する、請求項8に記載の赤外線透過部材の製造方法。
- 前記有機膜を形成する際に、又は前記有機膜を形成した後に、前記有機膜を100℃以上250℃以下の温度で加熱する、請求項8又は請求項9に記載の赤外線透過部材の製造方法。
- 前記有機膜を形成する際に、又は前記有機膜を形成した後に、前記有機膜を130℃以上220℃以下の温度で加熱する、請求項10に記載の赤外線透過部材の製造方法。
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JP2020073676A JP2023075372A (ja) | 2020-04-16 | 2020-04-16 | 赤外線透過部材、及び赤外線透過部材の製造方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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- 2020-04-16 JP JP2020073676A patent/JP2023075372A/ja active Pending
-
2021
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WO2021210301A1 (ja) | 2021-10-21 |
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