JP2009276511A - 反射防止樹脂とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 純度の高い二酸化ケイ素とする硬質薄膜を形成して、さらに反射防止機能を持たせた透明樹脂板を提供すること。
【解決手段】 アブレーション閾値よりも小さいエネルギー量を持つ紫外線レーザ光により基板上に形成されたシリコーンポリマー層のSi−O−Si結合を切断して開裂した酸素原子とケイ素原子を再結合させる。そして、レーザ光のエネルギー量をアブレーション閾値以上として再照射して二酸化ケイ素のうち少ないエネルギーで遷移する弱い結合を切断し、消化・蒸発させるのである。また、シリコーンポリマー層を予めアブレーション閾値以上のレーザ光により昇華・蒸発またはアブレーションさせた上で、レーザ光のエネルギー量をアブレーション閾値よりも小さくし、二酸化ケイ素に改質する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車を始めとする種々の車両船舶、航空機など窓、壁、屋根又は床などの透視用材料、採光用材料として使用できる反射防止樹脂板及びその製造方法に関する。
乗用車両のフロントウインドウやサイドウインドウに運転席車内の景色が映り込むと、車外への視認性が低下する。このような光の反射を防止するための構造としては、屈折率の異なる複数の薄膜から成る多層反射防止膜が知られている。また、表面に波型、鋸状の凹凸型微細構造を形成して反射防止を行う提案もされている。微細凹凸により反射が抑制されるのは、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が低く、空気の屈折率に近くなり、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が低く成形品の屈折率に近く、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた屈折率となる結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するためである。
例えば、特許文献1においては、このような凹凸型微細構造を形成にあたって、成形型を用意し、この成形型を成形しようとする透明基材のガラス移転点以上に加熱した上で、上記基材に押し当てることによって(熱ナノインプリント法)、あるいは上記成形型と透明基材の間に、活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で、紫外線のような活性エネルギー線を照射し、当該樹脂を硬化させることによって(UVナノインプリント法)、透明基材の表面に微細構造を成形している。
一方、39J/cmの強いレーザ光をガラス表面に照射し、アブレーションを起こさせて表面ガラスを除去して微細構造を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。本技術は、巾360μm深さ10μmという光の波長よりも大きな凹凸をガラスに刻み込む技術であり、反射防止を目的とした凹凸型微細構造を形成するものではない。一方で、ガラス基板中のAg濃度を調整することで、ガラス基板に対して割れ欠けの無い加工性をアブレーションにより実現できることを開示している。同様なアブレーションを利用した技術として、色素を含んだ液中でガラス表面に二酸化ケイ素薄膜を析出させ、この薄膜に対してアブレーションを実施することにより、回折格子を形成する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。この技術は、ナノオーダの凹凸を刻むものであり、フェイズマスクを利用した干渉縞により回折格子を形成する。実用的に利用されるレーザ強度は0.1J/cm〜3.9J/cmであり、干渉により生ずるレーザ強度が強い部分を深く刻み込み、レーザ強度が弱い部分との間で凹凸を形成するものである。
特開2007−322767号公報 特開平11−217237号公報 特開平10−59743号公報
特許文献1の形成方法では、予め凹凸型微細構造を持つ成形型を用意しておかなければならず、大量生産を行う場合にはコストを低減できるという効果があるが、顧客の要望形状に合致するように少量生産される用途においては成形型の製作にコストがかかるという問題がある。
一方、上記特許文献2或いは3に示されるようなアブレーションによる凹凸型微細構造形成方法は、ガラスに直接レーザによる加工ができるため、少量生産に向くものであるが、両者ともレーザの照射された部分とされていない部分との間で凹凸を描いていくものであり、ランダムな凹凸型微細構造を持つ反射防止形状を作ることはできない。また、特許文献3においては、液中で析出させた二酸化ケイ素薄膜を加工対象としているが、液中で析出させた二酸化ケイ素は純度が低く、また構造的にも不安定であるため、ガラスとしての強度は劣化する。
本発明の目的は、アブレーションを適用して反射防止機能を持つ凹凸型微細構造を形成した二酸化ケイ素による硬質薄膜を有する透明樹脂基板或いはその製法を提供することを目的とする。
本発明による反射防止透明樹脂板の製造方法は、樹脂基板上にアクリル樹脂層と、シリコーンポリマー層とをこの順に形成する製造方法であって、前記アクリル樹脂層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層の表面にアブレーション閾値よりも低いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射して二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜に改質する工程と、前記硬質薄膜にアブレーション閾値よりも高いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程とを有することを特徴とする。
本発明の他の製造方法は、樹脂基板上にアクリル樹脂層と、シリコーンポリマー層とをこの順に形成する製造方法であって、前記アクリル樹脂層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層の表面にアブレーション閾値よりも高いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程と、前記硬質薄膜にアブレーション閾値よりも低いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射して二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜に改質する工程とを有することを特徴とする。
アブレーション閾値よりも小さいエネルギー量を持つ紫外線レーザ光により基板上に形成されたシリコーンポリマー層のSi−O−Si結合を切断して開裂した酸素原子とケイ素原子を再結合させる。そして、レーザ光のエネルギー量をアブレーション閾値以上として再照射して二酸化ケイ素のうち少ないエネルギーで遷移する弱い結合を切断し、昇華・蒸発アブレーション(以下、アブレーションと称す)させるのである。また、シリコーンポリマー層を予めアブレーション閾値以上のレーザ光によりアブレーションさせた上で、レーザ光のエネルギー量をアブレーション閾値よりも小さくし、二酸化ケイ素に改質する。
上述した本発明によれば、シリコーンポリマー層に対してレーザ改質による純度の高い二酸化ケイ素の硬質薄膜を形成でき、さらに反射防止機能を持たせることができる。その工程も、レーザ光のエネルギー強度を変更するだけで、実現できるため製造ラインの簡素化も図れる。
図1は、本実施例に係る透明樹脂板の断面を模式的に示した図である。
図1Aにおいて、樹脂板10は、基板1と、その上に形成されたプライマー層2とを有する。基板1としては、特に制限はないが、素材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート又はスチレン系重合体等の樹脂が好適に挙げられる。
プライマー層2としては、基板1とハードコート層3との密着性の向上、耐衝撃性の向上等の目的で設けられるが、本実施例に於いては、基板1の表面に生じている傷を消失する効果も有するアクリル樹脂を用いる。
ハードコート層3は、シリコーンポリマーからなる層(シリコーンポリマー層)であり、具体的には、アルコキシシランをベースとして、縮合反応を経由して得られたシロキサンゾルを、加水分解して得られるシロキサン樹脂を用いる。
以降の処理においてハードコート層3に二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜4、14、24、34を形成するが、これには幾つかのものがある。図1Bの透明樹脂板100においては、硬質薄膜4に対して凹凸型微細構造を形成したものである。図1Cの透明樹脂板200は、基板11とプライマー層12とは図1Bの例と同じであるが、ハードコート層13に硬質薄膜14との界面、及び硬質薄膜14の表面夫々に凹凸型微細構造15、16を設けたものである。また、図1Dの透明樹脂板300は、ハードコート層23に凹凸型微細構造25を設け、これが硬質薄膜14の表面に凹凸型微細構造26として転写されたものである。尚、図1Eの透明樹脂板400は、後述する。
次に、透明樹脂板100〜400の製造方法について説明する。樹脂基板1、11、21、31上に塗布して一定肉厚のプライマー層2、12、22、32を形成する。塗布にはディップコーティング法が用いられる。室温にて乾燥させた後、加熱して大気中にて硬化乾燥させる。基板1の温度が室温に戻った後に、同様にしてプライマー層2、12、22、32上に一定肉厚のハードコート層3、13、23、33をディップコーティング法により塗布して形成し、所定時間、室温にて乾燥させた後、加熱して大気中にて所定時間、硬化乾燥させる。硬化乾燥の温度や時間は、使用する素材の種類や膜厚に応じて適宜変更させる。ここまでは、透明樹脂板100〜400とも共通である。
透明樹脂板100〜300においては、次いで、ハードコート層3、13、23を窒素が満たされて雰囲気が調整された処理室(図示せず)に図1Aの透明樹脂板10を設置し、200nm以下の波長の光パルスを発生する紫外レーザ装置(図示せず)により、アブレーション閾値より低いエネルギー強度で透明樹脂板の表面に照射を行う。これにより、露光部分の組成成分を改質して二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜4、14、24に形成する。このようにして形成された硬質薄膜4、14、24は、不純物の含有量が液中で析出させたガラス膜よりも低く、硬度が高いので対磨耗性に優れている。紫外線レーザ光、特に200nm以下の短波長レーザ光の持つエネルギーは有機高分子の結合鎖を切断し、化学的な構造を破壊する力を有する。
このような硬質薄膜4については、特願2008−53412号において、当出願人により出願されている。
さらに、同処理室内の紫外レーザ装置の強度を増加し、硬質薄膜4、14、24をアブレーションさせるモードへ移行させる。この際において、レーザ光を調整することで、透明樹脂板100、200、300の凹凸型微細構造を形成することができる。このように、透明樹脂板を一旦、処理室にした後は、硬質薄膜への改質と凹凸型微細構造の形成を連続して行うことができる。尚、紫外レーザ装置は、改質用と凹凸型微細構造形成用の両者を別々に設けても良い。
透明樹脂板400においては、レーザ光の強度をアブレーション閾値以上とし、ハードコート膜34をアブレーションさせて凹凸を形成する。次いで、波長200nm以下の紫外レーザ光パルスをアブレーション閾値よりも小さいエネルギー強度により照射し、露光部分の組成成分を改質して硬質薄膜34に形成する。硬質薄膜34には、改質によってなだらかになった凹凸型微細構造36が形成される。凹凸型微細構造35は、改質されずに残った界面の形状である。透明樹脂板を一旦、処理室にした後は、硬質薄膜への改質と凹凸型微細構造の形成を連続して行うことができることは、透明樹脂板100〜300の場合と同様である。
(1)凹凸型微細構造5(硬質薄膜層の表面のみをアブレーション)図1B
レーザ光を二酸化ケイ素のアブレーション閾値以上であってその近傍のエネルギー密度に強度を増加させる。0.1J/cm以上であると照射された部分が一様に消失するので、これよりも弱い必要がある。このような弱いエネルギー密度の照射により、硬質薄膜層の二酸化ケイ素結合の内、弱い結合を持つ部分の連鎖が切断され、結合が切れたところが一部的にアブレーションする。この結果、レーザ光が照射された範囲の中に、昇華・蒸発した部分と残留した部分とによるランダムな凹凸型微細構造が形成される。硬質薄膜層4の二酸化ケイ素は、レーザ光により改質した膜であり、二酸化ケイ素純度が高いので紫外透過性は高いが、一部弱い結合をもつ二酸化ケイ素分子にアブレーションが起こると、レーザ光路中にプラズマ(プルーム)が発生するので、レーザ光1パルスの持続時間のうちの後半部分はプラズマに吸収されてしまう。従って、界面のシリコーン(シリコン樹脂)に到達する透過光は、 二酸化ケイ素の光吸収係数で見積もられるエネルギー密度よりもはるかに低くなり、硬質薄膜層4の下層のハードコート層3はアブレーションされない。
(2)凹凸型微細構造15(硬質薄膜層の表面と界面のハードコート層の両方を同時にアブレーション)図1C
上記(1)において、パルス幅を短くしかつレーザ強度を高く設定して、硬質薄膜層4へのエネルギー密度を高める。硬質薄膜層14を透過するエネルギーを増やして硬質薄膜層4表面に加えてハードコート層13との界面にもアブレーションを起こさせる。ここにおいて、ハードコート層13においても、シリコンポリマーの結合の弱い一部が昇華・蒸発するエネルギー強度とする。これにより、硬質薄膜層14表面と界面のハードコート層13の両方を同時にアブレーションして、両者を累積させた凹凸型微細構造を形成する。
(3)凹凸型微細構造25(ハードコート層23のみをアブレーション)図1D
上記(1)において、パルス幅を増して、二酸化ケイ素のUV透過性を積極的に利用する。硬質薄膜層24は、純度の高い二酸化ケイ素であるので、硬質薄膜層24によるレーザエネルギー吸収が生じない程度にエネルギー強度を低下させパルス幅を増加させて、選択的にハードコート層23にエネルギー吸収を起こさせて、そのシリコンポリマーの結合の弱い一部のみをアブレーションする。または、レーザ光を集光するためのレンズのNA(開口数)を調整し、硬質薄膜層24とハードコート層23の界面に集光させる手段を用いる。これにより、硬質薄膜層24の内層のハードコート層23のみを選択的にアブレーションする。この場合、界面に空洞ができて、それに対応して表面の硬質薄膜層24に凹凸ができる。
(4)硬質薄膜層34を形成する前に凹凸を形成し、その後に二酸化ケイ素に改質する。図1E
はじめにハードコート層33を形成した状態で、レーザ光をアブレーションモードにてハードコート層33中のシリコンポリマーに対し、その結合の弱い一部のみをアブレーションして表面に凹凸をつける。その後、アブレーション閾値未満のレーザ強度にてシリコンポリマーの改質を行い、二酸化ケイ素化させて硬質薄膜層34を形成する。レーザ改質により二酸化ケイ素化すると、改質表面はフラット化(36)するため、これを見越してハードコート層33の凹凸を調整しておく必要がある。
本実験例は、透明樹脂板100の素材として、ポリカーボネート基板、アクリル系プライマー層、シリコーン系ハードコート層を適用した一例である。
ポリカーボネート基板1にディップコーティング法により、4μmの膜厚のアクリル樹脂層2を形成し、室温乾燥させた後、大気中で120℃で70分間加熱して硬化させた。ポリカーボネート基板1が室温に戻った後、4μmの膜厚のシロキサン樹脂層3をディップコーティング法によりアクリル樹脂層2上へ形成し、室温乾燥させた後、大気中にて120℃で60分間硬化乾燥させた。
次いで、波長157nmのF2レーザを、シロキサン樹脂層3の表面に対し、照射面積約10mm×25mm、エネルギー密度約17mJ/cm、パルス周波数10Hzの条件にて30秒間照射した。この照射により、改質部が凡そ0.15μmの膜厚からなる硬質薄膜4に形成された。
次に、レーザ光の1パルスの持続時間を約20 nsとし、エネルギー密度20mJ/cm、パルス周波数10Hzの条件にて90秒間照射した。硬質薄膜4の表面を原子間力顕微鏡によって観測したところ、20nmの凹凸が観測された。観測されたパターンを図2に示す。
硬質薄膜4の凹凸型微細構造の最頂部と最底部との間の高さ位置において二酸化ケイ素が占める面積が変わるが、これに応じた屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に緩やかに空気−100%から二酸化ケイ素−100%の屈折率に変化するのが望ましい。従って、より良い反射防止効果を狙う上では高低差としては、さらに高いものとしたほうが良い。
図3は、波数と透過率との関係を示すFT−IRのスペクトル図であり、図3Aはハードコート層3(シロキサン樹脂層3)、図3Bは更にレーザ光により改質を行った硬質薄膜4、図3Cは熱酸化シリコンの測定結果(比較例)をそれぞれ示す。図3Aより、Si−Oの伸縮振動(1200〜1000cm−1)のほかに、Si−CH3の変角振動(1270cm−1)や、CH3由来のC−H伸縮振動(2971cm−1)、Si−C伸縮振動(765cm−1)が観察される。これに対し、図3Bの改質部に於いては、2971、1270、765cm−1の吸収が弱くなっており、図3Cのスペクトル図とほぼ同様の吸収スペクトルを示している。これにより、硬質薄膜4は、二酸化ケイ素を主成分とする熱酸化シリコンの特性に近い構造をしているものと思われる。
上記実験例で用いた157nmの真空紫外レーザ(F2)は、酸素吸収性があるものの、例えば光路を窒素雰囲気で満たすことによりレーザ光の減衰を抑えることが可能となる。この場合、CVDのように減圧化で行う必要がないため、真空引きの時間が不要となる。
本実験例は、透明樹脂板400(図1E)の製造に関する。ポリカーボネート基板31に4μmの膜厚のアクリル樹脂層32を塗布形成し、さらに同様に4μmの膜厚のシロキサン樹脂層33を塗布形成して透明樹脂板400を得た。ここまでは、実験例1と同様である。
次いで、波長157nmのF2レーザを、シロキサン樹脂層33の表面に対し、アブレーション閾値以上のエネルギー密度(140mJ/cm)で照射した。この照射により、シロキサン樹脂層33はアブレーションを起こし、表面に微細な凹凸型構造が生じた。
次に、レーザ光のエネルギー密度を低下させてアブレーション閾値よりも小さいエネルギー密度として、実験例1と同様に照射した。表面の状態は、硬質薄膜4の表面を原子間力顕微鏡によって観測したところ、2971、1270、765cm−1の吸収が弱くなる傾向を示し、シロキサンが二酸化ケイ素に改質したことが確認された。
本実施例に係る透明樹脂板の断面を模式的に示した図である。 透明樹脂板の表面の凹凸型微細構造を示す図である。 ポリカーボネート基板上に形成した非改質のシロキサン樹脂層と、改質した硬質薄膜にF2レーザ光を照射して、波数と透過率との関係を示すFT−IRスペクトル図である。
符号の説明
1 基板
2 プライマー層
3 ハードコート層
4 硬質薄膜
100 透明樹脂板

Claims (5)

  1. 樹脂基板上にアクリル樹脂層と、シリコーンポリマー層とをこの順に形成する方法であって、前記アクリル樹脂層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層の表面にアブレーション閾値よりも低いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射して二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜に改質する工程と、前記硬質薄膜にアブレーション閾値よりも高いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程とを有することを特徴とする反射防止透明樹脂板の製造方法。
  2. 樹脂基板上にアクリル樹脂層と、シリコーンポリマー層とをこの順に形成する方法であって、前記アクリル樹脂層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層を塗布により形成する工程と、前記シリコーンポリマー層の表面にアブレーション閾値よりも高いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程と、前記硬質薄膜にアブレーション閾値よりも低いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射して二酸化ケイ素を主成分とする硬質薄膜に改質する工程とを有することを特徴とする反射防止透明樹脂板の製造方法。
  3. 前記アブレーション閾値よりも低いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程とアブレーション閾値よりも高いエネルギー密度の紫外レーザ光を照射する工程とを雰囲気を調整した同一処理室内で行うことの特徴とする請求項1叉は2に記載の反射防止透明樹脂板の製造方法。
  4. 前記シリコーンポリマーがシロキサン樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止透明樹脂板の製造方法。
  5. 樹脂基板上に形成されたアクリル樹脂層と、前記アクリル樹脂層の上層に形成されたシリコーンポリマー層と、前記シリコーンポリマー層の表面に形成された最頂部と最低部の間の高さが20nm以上の凹凸を有する酸化ケイ素膜とを有することを特徴とする反射防止透明樹脂板。
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