JP2023069822A - 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法 - Google Patents

酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023069822A
JP2023069822A JP2021181970A JP2021181970A JP2023069822A JP 2023069822 A JP2023069822 A JP 2023069822A JP 2021181970 A JP2021181970 A JP 2021181970A JP 2021181970 A JP2021181970 A JP 2021181970A JP 2023069822 A JP2023069822 A JP 2023069822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
preform layer
substrate
bonding
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021181970A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023069822A5 (ja
Inventor
順太 井上
Junta Inoue
大貴 古山
Daiki Furuyama
琢磨 片瀬
Takuma Katase
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2021181970A priority Critical patent/JP2023069822A/ja
Priority to PCT/JP2022/041470 priority patent/WO2023080250A1/ja
Priority to TW111142603A priority patent/TW202340541A/zh
Publication of JP2023069822A publication Critical patent/JP2023069822A/ja
Publication of JP2023069822A5 publication Critical patent/JP2023069822A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D3/00Electroplating: Baths therefor
    • C25D3/02Electroplating: Baths therefor from solutions
    • C25D3/38Electroplating: Baths therefor from solutions of copper
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D5/00Electroplating characterised by the process; Pretreatment or after-treatment of workpieces
    • C25D5/16Electroplating with layers of varying thickness
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D7/00Electroplating characterised by the article coated

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)

Abstract

【課題】簡単なプロセスで多孔質のプリフォーム層を形成し得る酸性電解銅めっき液及びこれを用いたプリフォーム層の形成方法並びにこのプリフォーム層を有する接合用シートの製造方法を提供する。【解決手段】酸性電解銅めっき液は、可溶性銅塩と、窒素原子を2つ以上含む銅イオン電析抑制剤である特定のアゾール化合物と、酸と、水とを含み、銅濃度が0.1mol/L以上であり、アゾール化合物濃度が10mmol/L以上50mmol/L以下であり、塩化物イオン濃度が10ppm以下である。この酸性電解銅めっき液内のカソード側に銅シート又は基板を配置して、電解銅めっきを行うことにより、銅シート又は基板の片面又は両面に、銅めっき皮膜として、銅粒子からなる平均空孔度が11%~17%である多孔質のプリフォーム層を形成する。銅粒子の表面が、銅粒子の平均粒径より小さい銅ナノ粒子で被覆されている。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品の組立てや実装等において、2つの部材を接合するための多孔質のプリフォーム層を形成するための酸性電解銅めっき液に関する。またこの酸性電解銅めっき液を用いてプリフォーム層を形成する方法に関する。更に銅シートにプリフォーム層を有する接合用シートを製造する方法、基板にプリフォーム層を有する接合用基板の製造方法及びこの接合用シート又は接合用基板を用いて接合体を製造する方法に関する。
従来、この種の多孔質材料を製造する方法として、ポリマー微粒子を分散剤とした複合めっき法により皮膜を電解析出(以下、単に電析という。)させ、ポリマー微粒子の分解脱離により多孔質皮膜を作製する技術が開示されている(非特許文献1参照。)。この多孔質材料の製造方法では、複合めっきのマトリックスとしてWatt浴によるニッケルめっきとし、浴中に高架橋タイプのアクリルポリマー微粒子を分散材として加える。この製造方法では、片面被覆された軟鉄板を基材として用い、アルカリ脱脂をして前処理した後、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸を含むめっき浴でニッケルめっきを行う。500℃で1時間大気中、熱処理することにより、共析後のめっき膜開孔処理を行い、多孔質材料を得ている。
中村知彦、松田実、めっき技術を利用した多孔質材料の開発、京都府中小企業技術センター技報、No.61, 36頁~38頁
上記従来の多孔質皮膜の製造方法では、目的とする金属以外のポリマー微粒子を除去するための作業が複雑であり、またこれらを除去したとしてもその残存が懸念される課題があった。
本発明の第1の目的は、簡単なプロセスで多孔質のプリフォーム層を形成し得る酸性電解銅めっき液を提供することにある。本発明の第2の目的は、この酸性電解銅めっき液を用いたプリフォーム層の形成方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、銅シートにプリフォーム層を有する接合用シートを製造する方法を提供することにある。本発明の第4の目的は、基板にプリフォーム層を有する接合用基板の製造方法を提供することにある。更に本発明の第5の目的は、接合用シート又は接合用基板を用いて接合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、可溶性銅塩と、下記の式(1)~式(4)に示される銅イオン電析抑制剤である五員環中に2個以上3個以下の窒素原子を有するアゾール化合物と、酸と、水とを含む酸性電解銅めっき液であって、銅濃度が0.1mol/L以上であり、前記アゾール化合物濃度が10mmol/L以上50mmol/L以下であり、塩化物イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とする酸性電解銅めっき液である。
Figure 2023069822000002
上記式(1)~式(4)中、R1~R4は、同一又は互いに異なってもよく、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルケニル基、炭素数10以下のアルキニル基、炭素数10以下のアリール基、炭素数10以下のアラルキル基、炭素数10以下のアルコキシ基のいずれかであるか、又は、これらの水素原子をハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数5以下のアルキル置換アミノ基、アルキル鎖の炭素数5以下のヒドロキシアルキル置換アミノ基、メルカプト基のいずれかに置換した基であるか、又は、アミノ基、炭素数5以下のアルキル置換アミノ基、アルキル鎖の炭素数5以下のヒドロキシアルキル置換アミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、又は、水素原子のいずれかである。
本発明の第2の観点は、第1の観点の酸性電解銅めっき液内のカソード側に銅シート又は基板を配置して、酸性電解銅めっき(以下、単に「電解銅めっき」ということもある。)を行うことにより、前記銅シート又は前記基板の片面又は両面に、銅めっき皮膜として、銅粒子からなる平均空孔度が11%~17%である多孔質のプリフォーム層を形成する方法であって、前記銅粒子の表面が、前記銅粒子の平均粒径より小さい銅ナノ粒子で被覆されており、前記銅ナノ粒子のBET値より算出される平均粒径が9.59nm以上850nm以下であり、前記プリフォーム層の平均空孔度が、前記プリフォーム層の断面を走査型電子顕微鏡で画像解析することにより算出されたプリフォーム層の全面積(S1)と、プリフォーム層中の空孔部分の面積(S2)とに基づいて下記式(A)で求められた空孔度(P)の算術平均であることを特徴とするプリフォーム層の形成方法である。
P(%)= (S2/S1)×100 (A)
本発明の第3の観点は、前記銅シートの片面又は両面に第2の観点の方法により多孔質のプリフォーム層が形成された接合用シートの製造方法である。
本発明の第4の観点は、第3の観点の方法で製造された接合用シートを介して基材と電子部品とを積層し、前記基材と電子部品とを積層方向に加圧し加熱して接合体を製造する方法である。
本発明の第5の観点は、前記基板の片面に第2の観点の方法により多孔質のプリフォーム層が形成された接合用基板の製造方法である。
本発明の第6の観点の方法で製造された接合用基板と電子部品とを多孔質のプリフォーム層を介して積層し、前記接合用基板と電子部品とを積層方向に加圧し加熱して接合体を製造する方法である。
本発明の第1の観点の酸性電解銅めっき液では、可溶性銅塩と、窒素原子を2つ以上含む銅イオン電析抑制剤である特定のアゾール化合物と、酸と、水とを含むため、電解めっきを行うと、銅イオンとともに銅イオン電析抑制剤であるアゾール化合物もカソード面に吸着する。これにより銅イオンの電析が強く抑制され、銅の核生成が優先され、カソード面に銅めっき皮膜として、銅粒子からなる多孔質のプリフォーム層が形成される。
本発明の第2の観点のプリフォーム層の形成方法では、第1の観点の酸性電解銅めっき液内のカソード側に銅シート又は基板を配置して、電解銅めっきを行うため、従来の多孔質皮膜の製造方法と異なり、簡単なプロセスで、銅めっき皮膜として、表面が銅ナノ粒子で被覆された銅粒子からなる平均空孔度が11%~17%である多孔質のプリフォーム層を銅シート又は基板の片面又は両面に形成することができる。
本発明の第3の観点の接合用シートの製造方法では、銅シートの片面又は両面に多孔質のプリフォーム層を有する、シート自体の強度が高い接合用シートを簡単なプロセスで製造することができる。
本発明の第4の観点の接合体の製造方法では、第3の観点の方法で製造された接合用シートを介して基材と電子部品とを積層し、前記基材と電子部品とを積層方向に加圧し加熱するため、プリフォーム層が接合層となって、接合強度の高い接合体を製造することができる。
本発明の第5の観点の接合用基板の製造方法では、基板の片面に第2の観点の方法により多孔質のプリフォーム層を形成することにより、接合したときに強度の高い接合用基板を製造することができる。
本発明の第6の観点の接合体の製造方法では、第5の観点の方法で製造された接合用基板と電子部品とを積層し、接合用基板と電子部品とを積層方向に加圧し加熱して接合体を製造するため、プリフォーム層が接合層となって、接合用基板と電子部品とが強固に接合した接合体を得ることができる。
本実施形態の電解銅めっき法により、銅シートの両面に多孔質のプリフォーム層を形成する状況を示す図である。 本実施形態の銅シートの両面に多孔質のプリフォーム層が形成された接合用シートを模式的に示す図である。 図3(a)は本実施形態の電解銅めっき法により、基板表面が銅又はニッケルからなる基板の片面に多孔質のプリフォーム層を形成する状況を示す図である。図3(b)は基板の片面に多孔質のプリフォーム層が形成された接合用基板の模式図である。 本実施形態の接合用シートを用いて接合体を製造する第1の方法を示す図である。図4(a)は基材上に接合用シートを載置する図であり、図4(b)はその接合用シートの上に電子部品を載置した後、加圧し加熱する図であり、図4(c)は加圧加熱後に接合体を作製する図である。 本実施形態の接合用基板を用いて接合体を製造する第2の方法を示す図である。図5(a)~(d)は基板の一部に電解銅めっきでプリフォーム層を形成して接合用基板を製造する図であり、図5(e)~(h)は接合用基板のプリフォーム層の上に電子部品を載置した後、加圧し加熱して接合体を作製する図である。 本発明の実施例1のプリフォーム層の走査型電子顕微鏡写真図である。図6(a)はそのプリフォーム層を5万倍の倍率で撮影した写真図であり、図6(b)はそのプリフォーム層を10万倍の倍率で撮影した写真図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
〔酸性電解銅めっき液〕
本実施形態の酸性電解銅めっき液は、可溶性銅塩と、上述した式(1)~式(4)に示される五員環中に2個以上3個以下の窒素原子を有する銅イオン電析抑制剤であるアゾール化合物と、酸と、水とを含む。これらの成分を含めば、任意の浴液が使用可能である。必要に応じて、光沢剤、界面活性剤、酸化防止剤等を添加することも可能である。
可溶性銅塩の具体例としては、硫酸銅、酸化銅、炭酸銅;メタンスルホン酸銅、プロパン酸銅等のアルカンスルホン酸銅;イセチオン酸銅、プロパノールスルホン酸銅等のアルカノールスルホン酸銅;酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などの有機酸銅などが挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用することができる。
更に、酸としては、有機酸又は無機酸が挙げられる。これらを例示すれば、硫酸;メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸等のアルカンスルホン酸類;イセチオン酸、プロパノールスルホン酸等のアルカノールスルホン酸類;クエン酸、酒石酸、ギ酸などの有機酸類等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上混合して使用することができる。水としては、イオン交換水、蒸留水等の純水が挙げられる。
次に、五員環中に2個以上3個以下の窒素原子を有する銅イオン電析抑制剤であるアゾール化合物について説明する。上述した式(1)~式(4)に示されるアゾール化合物を例示すれば、イミダゾール、2-アミノイミダゾール、ピラゾール、3-アミノイミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
上記イミダゾールは、上述した式(1)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(5)で示される。また2-アミノイミダゾールは、上述した式(1)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(6)で示される。またピラゾールは、上述した式(2)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(7)で示される。また3-アミノイミダゾールは、上述した式(2)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(8)で示される。また1,2,3-トリアゾールは、上述した式(3)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(9)で示される。
Figure 2023069822000003
また1,2,4-トリアゾールは、上述した式(4)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(10)で示される。また3-アミノ-1,2,4-トリアゾールは、上述した式(4)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(11)で示される。また3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールは、上述した式(4)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(12)で示される。更に3-アミノ-5-メチルチオ-1H-1,2,4-トリアゾールは、上述した式(4)に示されるアゾール化合物の一種であり、以下の式(13)で示される。
Figure 2023069822000004
〔酸性電解銅めっき液の製造方法〕
本実施形態の酸性電解銅めっき液は、上記可溶性銅塩と、上述した銅イオン電析抑制剤である五員環中に2個以上3個以下の窒素原子を有するアゾール化合物と、酸と、水とを混合することによって調製することができる。
調製された酸性電解銅めっき液において、可溶性銅塩の濃度は0.1mol/L以上、好ましくは0.1mol/L以上1.0mol/L以下である。可溶性銅塩の濃度が0.1mol/L未満では、銅めっき皮膜としてのプリフォーム層を形成することができない。また銅イオン電析抑制剤であるアゾール化合物の濃度は10mmol/L以上50mmol/L以下、好ましくは10mmol/L以上30mmol/L以下である。アゾール化合物の濃度が10mmol/L未満では、銅イオンの電析を抑制する効果に乏しく、銅めっき皮膜としてのプリフォーム層が多孔質にならない。また50mmol/Lを超えると、銅イオンの電析を抑制し過ぎて、銅めっき皮膜が脆くなり強度が著しく悪化する。もしくは、アゾール化合物が液中に溶解できず沈殿する。また酸の濃度は特に制約はないが、pH0~5が好ましく、pH1~3が更に好ましい。更に塩化物イオン濃度は10ppm以下、好ましくは5ppm以下である。10ppmを超えると塩化物イオンが銅面に吸着し、銅めっき皮膜としてのプリフォーム層の形成を阻害する。
〔多孔質のプリフォーム層及び接合用シートの製造方法〕
上述した酸性電解銅めっき液を用いて、銅シートの片面又は両面にプリフォーム層を形成して、銅シートにプリフォーム層を有する接合用シートを製造する方法について説明する。
図1に示すように、電解銅めっき装置1のめっき槽2に上述した酸性電解銅めっき液3を入れ、この液中に被めっき物である銅シート4と、この銅シート4の両面に対向するように2つの電気銅や無酸素銅からなる銅材5,5を配置する。図示するように、銅シート4をカソードとして、陰極6に接続し、2つの銅材5,5を可溶性アノードとして、陽極7に接続し、銅シート4と銅材5,5とに電圧を印加することにより、銅シート4の両面に銅めっき皮膜としてのプリフォーム層8が形成される。この実施形態では、この銅シート4は銅箔であって、図1には、銅シートの厚さを誇張して示している。銅シート11を構成する銅箔としては、純銅又は銅合金を用いることができる。例えば、無酸素銅、タフピッチ銅やリン脱酸銅などを用いることができる。銅箔は、こうした銅材を圧延した圧延銅箔を用いるか、或いは電解銅めっき法により作製される電解銅箔等を用いることができる。ここでは、可溶性アノードとして銅材5を用いたが、銅材5の代わりにPt/Ti等の不溶性アノードを使用することも可能である。また、図示しないが、銅材5を銅シート4の片面にのみ対向させることにより、銅シート4の片面にプリフォーム層を有する接合用シートを製造することもできる。
〔多孔質のプリフォーム層及び接合用基板の製造方法〕
別の電解銅めっき方法を図3(a)に示す。図3(a)において、図1に示される要素と同じ要素には同じ符号を付している。 図3(a)に示すように、電解銅めっき装置1の酸性電解銅めっき液3中に、基板表面が銅又はニッケルからなる基板4aを配置するとともに、この基板4aの片面に対向するように銅材5を配置して、図1に示した電解銅めっきと同様に電解銅めっきを行う。基板4aの表面には、予め所定の間隔で開口部を有するようにレジスト膜4bが形成されている。これにより、基板4aの片面に形成されたレジスト膜4bの開口部内に、銅めっき皮膜として、銅粒子12からなる多孔質のプリフォーム層8が形成される。
図1又は図3に示される酸性電解銅めっき液3における電解銅めっきの条件は、例えば、直流電源を用いて、被めっき物である銅シート4又は基板4aにおける電流密度を0.1A/dm2~5A/dm2程度、好ましくは0.4A/dm2~1.0A/dm2にし、液温を30分~150分程度、好ましくは60分~120分程度にし、空気及び噴流撹拌又は揺動撹拌を行う。
上記条件で電解銅めっきを行うと、銅イオンとともに銅イオン電析抑制剤であるアゾール化合物も銅シート4又は基板4aの表面であるカソード面に吸着する。アゾール化合物の存在により銅イオンの電析が強く抑制され、銅の核生成が優先され、カソード面に銅めっき皮膜として銅粒子12からなる多孔質のプリフォーム層8が形成される。
電解銅めっきを行った後、図1に示されるプリフォーム層が形成された銅シート4を酸性電解銅めっき液3から取り出す。また図3に示されるプリフォーム層が形成された基板4aを酸性電解銅めっき液3から取り出し、レジスト層4bを除去する。
その後、銅シート4又は基板4aをエタノール、水、アセトン等の洗浄用溶媒で洗浄し、大気中で乾燥空気を用いて乾燥する。これにより、図2に示すように、銅シート4の両面に多孔質のプリフォーム層8を有する接合用シート10が得られる。また図3(b)に示すように、基板4aの片面に多孔質のプリフォーム層8を有する接合用基板20が得られる。得られた接合用シート10又は接合用基板20は表面酸化を防ぐために、ベンゾトリアゾール及び界面活性剤を主成分とした防錆剤に所定時間浸漬することが好ましい。
銅シート4又は基板4aの多孔質のプリフォーム層8の厚さは15μm~50μmであることが好ましい。プリフォーム層の厚さが15μm未満では、プリフォーム層自体の強度が低下し、扱いにくくなる。プリフォーム層の厚さが50μmを超えると、接合時に後述する基材又は電子部品の各表面の凹凸にプリフォーム層が追従しにくく、接合体の接合強度が低下するおそれがある。
〔接合用シート〕
このようにして得られた接合用シート10の全厚は、薄くとも25μmである。即ち25μm以上である。好ましい全厚は25μm~140μmである。全厚が下限値の25μm未満では、接合用シート自体の強度が低下するおそれがある。全厚が140μmを超えると、基材が基板であって、電子部品を接合する基板に反りがある場合、その反りを吸収できないおそれがある。接合用シートの全厚は、接合用シートをエポキシ樹脂で完全に被包した後、接合用シート表面方向に対し垂直に切断し、その切断面をアルゴンイオンビームにより研磨加工する。次いで研磨加工した加工面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、無作為に100箇所以上の接合用シートの厚さを測定し、その平均値を接合用シートの厚さとする。
図2に示される銅シート4の両面に多孔質のプリフォーム層8が形成された接合用シート10について詳述する。多孔質のプリフォーム層8は、銅シートの銅シート4の両面に銅粒子12が積み重なった銅粒子の集合体の形態で形成される。この銅粒子12からなるプリフォーム層は平均空孔度が11%以上78%以下である。平均空孔度が11%未満では、多孔質のプリフォーム層の焼結に寄与する銅粒子が少なく、銅粒子の焼結性が低下する。平均空孔度が78%を超えると、多孔質のプリフォーム層内の空隙率が高くなり、プリフォーム層13がもろくなるとともに、銅粒子の焼結性が低下する。
また図2の拡大図に示すように、銅粒子12はその表面に銅粒子12の平均粒径より小さい平均粒径を有する銅ナノ粒子12aで被覆されている。本実施形態の特徴ある酸性電解銅めっき液で銅めっきを行って、アゾール化合物が銅面に吸着させることにより、銅の電析を抑制、核生成が優先され、銅粒子12の表面に銅ナノ粒子12aが形成される。こうした特徴のある構造であるため、多孔質のプリフォーム層8を加圧したときに、銅粒子同士が容易に焼結して堅牢な接合層を形成し易くなる。ここで、銅ナノ粒子の平均粒径は、微細である銅粒子とその銅粒子よりも更に微細なナノ粒子が複合しているために、顕微鏡像から平均粒径を算出することが難しく、BET測定から平均粒径を算出する。このように、BET測定から算出された銅ナノ粒子の平均粒径は、9.59nm以上850nm以下である。銅ナノ粒子の平均粒径がこの範囲外であると、銅粒子が容易に焼結しにくくなる。好ましい範囲は50nm以上300nm以下である。
上述したプリフォーム層8の平均空孔度は、プリフォーム層8の断面を走査型電子顕微鏡で画像解析することにより空孔度が算出される。下記式(A)で求められた空孔度(P)の算術平均を平均空孔度とする。具体的には、測定は異なる視野で3回撮影し、算出された空孔度の平均値を平均空孔度とする。
P(%)= (S2/S1)×100 (A)
但し、式(A)中、Pはプリフォーム層の空孔度であり、S1はプリフォーム層の全面積であり、S2はプリフォーム層中の空孔部分の面積である。
また、上述した銅ナノ粒子の平均粒径は、多孔質のプリフォーム層をBET法により測定される。BET法の測定は、Macsorb社製 HM-model-1201を用いて行われる。プリフォーム層付きの銅シートを2mm角に切断し、測定セルに充填しBET1点法で測定を行う。測定値から銅シートの質量を差し引き、プリフォーム層自体の質量で換算した。算出したBET測定値から、以下の式(B)に基づいて、銅ナノ粒子の粒径を算出する。なお、下記式(B)における係数335.95は、銅の密度、銅ナノ粒子の表面積、銅ナノ粒子の体積の理論値から算出した値である。銅ナノ粒子の平均粒径(d)は、BET法により3回測定し、その平均値である。
d(nm)=335.95/(BET測定値 (m2/g)) (B)
〔接合用シートを用いて接合体を製造する第1の方法〕
上記接合用シート10を用いて接合体を製造する第1の方法について説明する。
図4(a)に示すように、先ず、基材16として、無酸素銅板、各種放熱基板、FR4(Flame Retardant Type 4)基板、コバール等の基板を準備し、電子部品17として、シリコンチップ素子、LEDチップ素子等の電子部品を準備する。次いで、接合用シート10を基材16上の所定の位置に配置し、図4(b)に示すように、電子部品17を基材16上の接合用シート10の上に配置する。この状態で、加熱炉にて窒素雰囲気下、250℃~350℃の温度で、1分~30分間保持して、接合用シート10を加熱する。場合によっては、基材16と電子部品17とを1MPa~20MPaの圧力を加えながら接合してもよい。これにより、図4(c)に示すように、接合用シート10が接合層15となって、この接合層15が基材16に電子部品17を接合し、接合体18が得られる。
〔接合用基板を用いて接合体を製造する第2の方法〕
接合用基板を用いて接合体を製造する第2の方法について説明する。
図5に示すように、この方法では、基板46の表面に多孔質のプリフォーム層8が形成された接合用基板40を用いて接合体44を形成する。
図5に示される多孔質のプリフォーム層8は図2に示される多孔質のプリフォーム層8と同じである。基板46は、基板表面が銅又はニッケルからなる。例えば、この基板46は、無酸素銅板であるか、又は基板表面が銅メタライズされたSi基板であるか、或いは、基板表面がNiめっきをした無酸素銅板等である。図5に示される電子部品47は図4に示される電子部品17と同じである。
先ず、図5(a)に示すように、基板表面が銅又はニッケルからなる基板46を準備し、図5(b)に示すように、所定の間隔で開口部46aを有するように基板46の表面をレジスト膜41でマスキングしてパターニングする。この状態で、上述した酸性電解銅めっき液中に入れて、図5(c)に示すように、開口部46a上に多孔質のプリフォーム層8を形成する。その後、図5(d)に示すように、レジスト膜41を除去することにより、基板46上に多孔質のプリフォーム層8が形成された接合用基板40が作られる。この電解銅めっきは、上述した方法で行うことができる。なお、上記説明では、開口部46aのみにプリフォーム層8を形成したが、レジスト膜41を設けずに、基板46の全面にプリフォーム層8を形成してもよい。
図5(e)に示すように、接合用基板40の多孔質のプリフォーム層8上に電子部品47を接合する。具体的には、多孔質のプリフォーム層8が形成された接合用基板40を加圧板42の上に載置し、図5(f)に示すように、プリフォーム層8上に電子部品47を載置して積層体を得た後、図5(g)に示すように、加圧板42と加圧板43により接合用基板40と電子部品47とからなる積層体を積層方向に加圧する。この加圧条件は、図4(a)に示した基材16と電子部品17の加圧条件と同じである。これにより、図5(h)に示すように、プリフォーム層8が接合層45となって接合用基板40と電子部品47が接合され、接合体44が得られる。
なお、図示しないが、基板には、その表面にプリフォーム層を形成していない、無酸素銅板であるか、又は接合面が銅メタライズされた基板を準備し、電子部品には、その接合面に、プリフォーム層を形成しておいてもよい。また、図示しないが、基板にプリフォーム層を形成した上に、電子部品の接合面にもプリフォーム層を形成しておいてもよい。双方にプリフォーム層を形成することにより、基板と電子部品との接合強度がより一層高めることができ、好ましい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す、実施例1~20及び比較例1~10では、図5に示される方法によりパターニングされたSiウェハ上に、銅めっきを行った。
初めに、実施例1~20及び比較例1~10で用いられる銅イオン電析抑制剤の種類、構造式及び化合物名を以下の表1に示す。
Figure 2023069822000005
上記表1において、銅イオン電析抑制剤である、種類No.10のテトラゾール及び種類No.11の5-アミノ-1H-テトラゾールは、それぞれ式(14)及び式(15)で示される。これらのアゾール化合物は、上述した式(1)~(4)に属しない。
Figure 2023069822000006
<実施例1>
先ず、被めっき物として、表面に銅層が厚さ500nm程度にスパッタリング法により形成されたSiウェハ(厚さ:1.2mm)を用いた。このSiウェ表面をフォトレジストで1ダイ(15mm角)当たり径75μmの真円形状の開口部が6002個有するようにパターニングした。このSiウェハの銅めっきを行う前の処理として、プラズマクリーナーによる親水化処理をした。次いでSiウェハを純水でプリウェットした後、濃度10質量%の硫酸水溶液に浸漬し、酸洗浄した。酸洗浄したSiウェハを水洗し、Siウェハのパターン面に、以下に示す銅めっき液の入った、図3に示すめっき装置1を用いて、Siウェハの片面に銅めっきを行った。
下記液組成で銅めっき浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。以下の表2に実施例1のめっき浴の組成及びめっき条件のうち、特徴ある項目を示す。実施例1では、銅イオン電析抑制剤として、表1に示されるNo.8の上述した式(12)の3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールを用いた。
[めっき浴組成]
硫酸銅五水和物(Cu2+として):0.1mol/L
銅イオン電析抑制剤(3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール):10mmol/L
塩化物イオン:0ppm
イオン交換水:残部
[めっき条件]
浴温:26℃
浴のpH:2.5
カソード電流密度:0.4A/dm2
上記銅めっき液中にSiウェハを浸漬して、上記めっき条件にてめっきを行うことで、Siウェハ上に銅粒子からなる多孔質のプリフォーム層が形成された。図6(a)及び(b)に実施例1のプリフォーム層表面の走査型電子顕微鏡写真図を示す。
Figure 2023069822000007
<実施例2~20及び比較例4~10>
実施例2~20及び比較例4~10では、硫酸銅五水和物の濃度を実施例1と同一にするか、又は変更し、銅イオン電析抑制剤の種類を実施例1と同一にするか、又は変更し、銅イオン電析抑制剤の濃度を実施例1と同一にするか、又は変更し、塩化物イオン濃度を実施例1と同一にするか、又は変更した。また、めっき時のカソード電流密度を実施例1と同一にするか、又は変更した。それ以外は実施例1と同様にして、銅めっきを行った。実施例2~20及び比較例4~10のめっき浴の組成及びめっき条件のうち、特徴ある項目を上記の表2及び下記の表3にそれぞれ示す。
実施例1と同様にしてめっきを行うことで、実施例2~20及び比較例4、5では、Siウェハ上に、銅めっき皮膜として、銅粒子からなる多孔質のプリフォーム層が形成された。しかし、比較例6~10では、銅イオンの電析が不良であったため、Siウェハ上に、銅めっき皮膜は均一に形成されなかった。
Figure 2023069822000008
<比較例1>
比較例1では、硫酸銅五水和物の濃度を1.0mol/Lとし、めっき時のカソード電流密度を3.0A/dm2として、実施例1と同様にして、Siウェハ上に銅めっきを行った。比較例1では、銅イオン電析抑制剤は用いなかった。銅めっき液中の塩化物イオン濃度は80ppmであった。
<比較例2>
比較例2では、硫酸銅五水和物の濃度を1.0mol/Lとし、めっき時のカソード電流密度を3.0A/dm2として、実施例1と同様にして、Siウェハ上に銅めっきを行った。比較例1では、銅イオン電析抑制剤は用いなかった。銅めっき液中の塩化物イオン濃度は5ppmであった。
<比較例3>
比較例3では、硫酸銅五水和物の濃度を1.0mol/Lとし、めっき時のカソード電流密度を3.0A/dm2として、実施例1と同様にして、Siウェハ上に銅めっきを行った。比較例3では、銅イオン電析抑制剤として、アゾール化合物以外の有機化合物と比較するために、3,3-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウムを50ppmと、ポリエチレングリコール(Mw:3400)を300ppm含む一般的な添加剤を用いた。銅めっき液中の塩化物イオン濃度は80ppmであった。
<比較評価>
<塩化物イオン濃度の測定>
建浴後の銅めっき液について、イオンクロマト分析(Thermo SCIENTIFIC社製、装置名:Dionex ICS-2100、分離カラム:Dionex IonPacTM AS12A(4×200mm))により塩化物イオン濃度の測定を行った。
<多孔質のプリフォーム層の平均空孔度と銅ナノ粒子の平均粒径>
実施例1~20及び比較例1~5で得られた25種類の接合用基板の多孔質のプリフォーム層の平均空孔度と、このプリフォーム層を構成する銅粒子を被覆する銅ナノ粒子の平均粒径を上述した方法でそれぞれ求めた。これらの結果を上記表2及び表3に示す。
<接合体の製造>
図5(f)に示すように、実施例1~20及び比較例1~5で得られた25種類の接合用基板40のプリフォーム層8上にチップ47を配置して、図5(g)に示すように、加圧し加熱して接合体44を得た。チップ47は、最表面に銅メタライズを施した2.5mm角のSiウエハ(厚さ:1.2mm)からなる。
この接合は、加圧加熱接合装置(アルファデザイン製;HTB-MM)を使用して窒素雰囲気下、300℃の温度で30MPaの圧力で30分間保持することにより、行った。22種類の接合体のシェア強度を次のように測定した。
<接合体のシェア強度の測定方法>
接合体のシェア強度は、せん断強度評価試験機((株)ノードソンアドバンストテクノロジー社製ボンドテスター;Dage Series 4000)を用いて測定した。具体的には、シェア強度の測定は、接合体の基板であるSiウェハを水平に固定し、接合層の表面(上面)から50μm上方の位置でシェアツールにより、チップを横から水平方向に押して、チップが破断されたときの強度を測定することによって行った。なお、シェアツールの移動速度は0.1mm/秒とした。1条件に付き3回強度試験を行い、それらの算術平均値を接合強度の測定値とした。22種類の接合体のシェア強度を上記の表2に示す。接合強度が15MPa以上であれば「良好」とし、1.7MPa以上15MPa未満であれば「やや不良」とし、1.7MPa未満であれば「不良」とした。なお、表2の接合強度において「-」は、チップ47と接合用基板40とを接合しようとしたが接合されていなかった場合、又は接合強度を測定する前にチップ47が剥離してしまったことを意味する。この結果を上記表2に示す。
表3から明らかなように、比較例1及び比較例2では、多孔質の銅めっき皮膜を形成する機能を有する銅イオン電析抑制剤が含まれていなかった。また、比較例3では、添加された銅イオン電析抑制剤が多孔質の銅めっき皮膜を形成する機能を有していなかった。このため、比較例1~3では、銅めっき皮膜は形成されたが、平均空孔度がそれぞれ「0%」であり、銅めっき皮膜は多孔質ではなかった。このため、比較例1及び比較例2では、チップと接合用基板とは接合されておらず、判定はともに「不良」であった。また比較例3では、接合強度が「12.4MPa」と低く、判定は「やや不良」であった。
比較例4では、銅イオンの濃度が「0.01mol/L」と低過ぎたため、十分な電析が行われず、平均空孔度が「8%」と低く、銅ナノ粒子の平均粒径は42nmであって、銅めっき皮膜として、多孔質の程度が低いプリフォーム層であった。このため接合強度が「9.2MPa」と低く、判定は「やや不良」であった。
比較例5では、銅イオン電析抑制剤である3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールの濃度が「5mmol/L」と低過ぎたため、銅イオンの電析が十分に抑制されず、平均空孔度が「5%」と低く、銅ナノ粒子の平均粒径は77nmであって、銅めっき皮膜として、多孔質の程度が低いプリフォーム層であった。このため接合強度が「6.3MPa」と低く、判定は「やや不良」であった。
比較例6では、銅イオン電析抑制剤である3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールの濃度が「75mmol/L」と高過ぎたため、銅イオンの電析が殆ど起こらず、銅めっき皮膜は形成されなかった。このため接合強度の測定は行わなかった。判定は「不良」であった。
比較例7では、塩化物イオン濃度が「25ppm」と高過ぎた。このため、塩化物イオンが銅面に吸着し、多孔質を形成するためのアゾール化合物の銅面への吸着が阻害されたため、多孔質な銅めっき皮膜は形成されなかった。このため接合強度の測定は行わなかった。判定は「不良」であった。
比較例8では、塩化物イオン濃度が「50ppm」と高過ぎた。このため、塩化物イオンが銅面に吸着し、銅めっき皮膜としてのプリフォーム層の形成が阻害された。また銅イオン電析抑制剤である3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールの濃度が「0.15mmol/L」と低過ぎたため、多孔質の銅めっき皮膜を形成するのに十分な表面吸着が得られず、多孔質な銅めっき皮膜は形成されなかった。このため接合強度の測定は行わなかった。判定は「不良」であった。
比較例9及び比較例10では、銅イオン電析抑制剤として、式(1)~式(4)に属しないテトラゾール(No.10、式(14))及び5-アミノ-1H-テトラゾール(No.11、式(15))を用いたため、銅表面への銅イオン電析抑制剤の吸着が強過ぎ、銅イオンの電析が殆ど起こらず、銅めっき皮膜は形成されなかった。このため接合強度の測定は行わなかった。判定は「不良」であった。
これらに対して、表2から明らかなように、実施例1~20では、プリフォーム層の平均空孔度とBET値から算出される平均粒径が適切に制御され、Siウェハ上に形成されたプリフォーム層の平均空孔度が前述した11%以上78%以下の範囲内であり、またBET値から算出される銅ナノ粒子の平均粒径も前述した9.59nm~850nmの範囲内にある銅粒子からなる多孔質のプリフォーム層が形成され、実施例1~20の接合用基板とチップを接合すると、接合用基板とチップは堅牢に接合し、接合評価はすべて「良好」であった。
本発明の酸性電解銅めっき液は、電子部品の組立てや実装等において、2つの部材を接合するための多孔質のプリフォーム層を形成するに利用できる。
8 プリフォーム層
10 接合用シート
11 銅シート
12 銅粒子
12a 銅ナノ粒子
15、45 接合層
16 基材
17、47 電子部品
18、44 接合体
20、40 接合用基板
46 基板(Siウェハ)

Claims (6)

  1. 可溶性銅塩と、下記の式(1)~式(4)に示される銅イオン電析抑制剤である五員環中に2個以上3個以下の窒素原子を有するアゾール化合物と、酸と、水とを含む酸性電解銅めっき液であって、
    銅濃度が0.1mol/L以上であり、前記アゾール化合物濃度が10mmol/L以上50mmol/L以下であり、塩化物イオン濃度が10ppm以下であることを特徴とする酸性電解銅めっき液。
    Figure 2023069822000009
    上記式(1)~式(4)中、R1~R4は、同一又は互いに異なってもよく、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルケニル基、炭素数10以下のアルキニル基、炭素数10以下のアリール基、炭素数10以下のアラルキル基、炭素数10以下のアルコキシ基のいずれかであるか、又は、これらの水素原子をハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数5以下のアルキル置換アミノ基、アルキル鎖の炭素数5以下のヒドロキシアルキル置換アミノ基、メルカプト基のいずれかに置換した基であるか、又は、アミノ基、炭素数5以下のアルキル置換アミノ基、アルキル鎖の炭素数5以下のヒドロキシアルキル置換アミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、又は、水素原子のいずれかである。
  2. 請求項1記載の酸性電解銅めっき液内のカソード側に銅シート又は基板を配置して、酸性電解銅めっきを行うことにより、前記銅シート又は前記基板の片面又は両面に、銅めっき皮膜として、銅粒子からなる平均空孔度が11%~17%である多孔質のプリフォーム層を形成する方法であって、
    前記銅粒子の表面が、前記銅粒子の平均粒径より小さい銅ナノ粒子で被覆されており、前記銅ナノ粒子のBET値より算出される平均粒径が9.59nm以上850nm以下であり、
    前記プリフォーム層の平均空孔度が、前記プリフォーム層の断面を走査型電子顕微鏡で画像解析することにより算出されたプリフォーム層の全面積(S1)と、プリフォーム層中の空孔部分の面積(S2)とに基づいて下記式(A)で求められた空孔度(P)の算術平均であることを特徴とするプリフォーム層の形成方法である。
    P(%)= (S2/S1)×100 (A)
  3. 前記銅シートの片面又は両面に請求項2の方法により多孔質のプリフォーム層が形成された接合用シートの製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法で製造された接合用シートを介して基材と電子部品とを積層し、前記基材と電子部品とを積層方向に加圧し加熱して接合体を製造する方法。
  5. 前記基板の片面に請求項2の方法により多孔質のプリフォーム層が形成された接合用基板の製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法で製造された接合用基板と電子部品とを多孔質のプリフォーム層を介して積層し、前記接合用基板と電子部品とを積層方向に加圧し加熱して接合体を製造する方法。
JP2021181970A 2021-11-08 2021-11-08 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法 Pending JP2023069822A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021181970A JP2023069822A (ja) 2021-11-08 2021-11-08 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法
PCT/JP2022/041470 WO2023080250A1 (ja) 2021-11-08 2022-11-08 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法
TW111142603A TW202340541A (zh) 2021-11-08 2022-11-08 酸性電解鍍銅液、預成形層之形成方法、接合用薄片之製造方法、接合用基板之製造方法及接合體之製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021181970A JP2023069822A (ja) 2021-11-08 2021-11-08 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023069822A true JP2023069822A (ja) 2023-05-18
JP2023069822A5 JP2023069822A5 (ja) 2023-06-28

Family

ID=86241621

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021181970A Pending JP2023069822A (ja) 2021-11-08 2021-11-08 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023069822A (ja)
TW (1) TW202340541A (ja)
WO (1) WO2023080250A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3498306B2 (ja) * 1999-09-16 2004-02-16 石原薬品株式会社 ボイドフリー銅メッキ方法
JP5366076B2 (ja) * 2008-11-21 2013-12-11 奥野製薬工業株式会社 多孔質めっき皮膜形成用添加剤を含有する多孔質めっき皮膜用電気めっき浴
FR2995912B1 (fr) * 2012-09-24 2014-10-10 Alchimer Electrolyte et procede d'electrodeposition de cuivre sur une couche barriere
JP6543526B2 (ja) * 2015-07-13 2019-07-10 株式会社Jcu 多孔質壺状銅めっき皮膜形成用電気めっき浴およびこれを用いた多孔質壺状銅めっき皮膜の形成方法
TWI819048B (zh) * 2018-08-23 2023-10-21 日商Dic股份有限公司 積層體、成形品、導電性圖案及電子電路

Also Published As

Publication number Publication date
TW202340541A (zh) 2023-10-16
WO2023080250A1 (ja) 2023-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI587757B (zh) Copper foil, copper foil with carrier foil, and copper clad laminate
KR101368034B1 (ko) 반도체 칩 탑재용 기판 및 그의 제조 방법
JP5448616B2 (ja) 抵抗層付銅箔、該銅箔の製造方法および積層基板
KR101298999B1 (ko) 미세회로 형성을 위한 임베디드용 동박
JP5859155B1 (ja) 複合金属箔及びその製造方法並びにプリント配線板
KR101809985B1 (ko) 다공성 구리박의 제조방법 및 이를 이용한 다공성 구리박
JP2012246567A (ja) 支持体付極薄銅箔とその製造方法
TWI598005B (zh) 厚銅層與其形成方法
TWI808565B (zh) 金屬箔、包含其的具有金屬箔的載體及包括其的印刷電路板
WO2017090161A1 (ja) 酸性銅めっき液、酸性銅めっき物および半導体デバイスの製造方法
WO2017141983A1 (ja) プリント配線板の製造方法
WO2023080250A1 (ja) 酸性電解銅めっき液、プリフォーム層の形成方法、接合用シートの製造方法、接合用基板の製造方法及び接合体の製造方法
JP7247015B2 (ja) 電解銅箔、該電解銅箔を用いた表面処理銅箔、並びに該表面処理銅箔を用いた銅張積層板及びプリント配線板
JP5938948B2 (ja) 半導体チップ搭載用基板及びその製造方法
JP2013093360A (ja) 半導体チップ搭載用基板及びその製造方法
JP5682678B2 (ja) 半導体チップ搭載用基板及びその製造方法
WO2022186262A1 (ja) プリフォーム層付きの接合用シート、接合体の製造方法、及びプリフォーム層付きの被接合部材
Nakagawa et al. Investigation of Cu-Cu direct bonding process utilized by high porosity and nanocrystal structure
JP2023168651A (ja) 銅-亜鉛合金電気めっき液、銅-亜鉛合金バンプの形成方法、ナノポーラス銅バンプの形成方法、銅-亜鉛合金バンプ付き基材及びナノポーラス銅バンプ付き基材
WO2022149219A1 (ja) 配線基板の製造方法、積層板及びその製造方法、並びにキャリア付き銅層
TWI820646B (zh) 附載體銅箔、銅箔積層板及印刷配線板
JP4471795B2 (ja) 電解銅箔の製造方法およびプリント配線板
Szocs et al. High-speed indium electrodeposition: Efficient, reliable TIM technology
JP2024510819A (ja) 異なる電流密度による銅の電気化学的析出の方法
JP2024506607A (ja) キャリア付き金属箔用剥離層およびそれを備える金属箔

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230620

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20240319