JP2023056790A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023056790A
JP2023056790A JP2021166210A JP2021166210A JP2023056790A JP 2023056790 A JP2023056790 A JP 2023056790A JP 2021166210 A JP2021166210 A JP 2021166210A JP 2021166210 A JP2021166210 A JP 2021166210A JP 2023056790 A JP2023056790 A JP 2023056790A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoreceptor
layer
charge transport
charge
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021166210A
Other languages
English (en)
Inventor
敬広 倉内
Takahiro Kurauchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2021166210A priority Critical patent/JP2023056790A/ja
Publication of JP2023056790A publication Critical patent/JP2023056790A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

【課題】長期に亘って安定した画質の画像を提供し得る画像形成装置を提供することを課題とする。【解決手段】導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ前記電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、前記電子写真感光体が、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.60μmの表面粗さRzの表面層を有し、かつ温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~6.0×104Ωの交流インピーダンスZを有することを特徴とする電子写真感光体により、上記の課題を解決する。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)およびそれを備えた画像形成装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、感光体および回動する感光体に接触させながらその表面を帯電させる帯電装置(帯電部)を備えた電子写真方式の画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真方式の画像形成装置の帯電部には、ワイヤーとケースを用いたコロトロン帯電器、ワイヤーとケースさらにグリッド電極(以下「グリッド」ともいう)を用いたスコロトロン帯電器が多用されている。特に、スコロトロン帯電器は、ワイヤーと感光体表面との間に配置されたグリッドにより、感光体の表面電位を安定して制御できるという利点があり、帯電器として幅広く用いられている。
しかしながら、これらの帯電器には、5~8kVの高電圧を印加する必要があり、オゾン発生量が多いという欠点がある。
そこで、このような欠点を解消すべく、帯電部材を感光体に接触または近接させる帯電器として、例えば、接触ローラ帯電器、非接触ローラ帯電器、ブラシ帯電器、磁気ブラシ帯電器などの帯電器が開発されてきた。
これらの帯電器は、一部の注入帯電方式のものを除いて、微小空隙放電による帯電方式を利用しており、従来のスコロトロン帯電器と比較して消費電力を低減でき、その欠点であった高圧電源やオゾン発生の問題を解決可能な帯電器として現在の主流の帯電器となってきている。
しかしながら、これらの帯電器は、従来のスコロトロン帯電器と比較して省電源コストといった利点を有するが、同時に感光体表面の帯電の均一化が課題としてある。具体的には、感光体と接触型帯電装置を用いた画像形成装置において、出力画像上に出力方向に対して直角方向に短くスジ状の帯電ムラを生じることがある。このような帯電ムラに起因する画像ムラは、帯電ローラに直流電圧のみを印加するDC帯電で感光体を帯電させる場合に特に生じ易い。
そこで、この画像ムラの発生を抑制するため、感光体の所望の表面電位に相当する直流電圧に帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧成分を重畳した電圧(脈流電圧)を接触帯電部材に印加する交流帯電方式を用いた接触帯電方法が提案されている。
しかしながら、このような交流電圧を重畳するタイプの帯電器では、交流電流を多量に消費することになり、感光体の膜減りが多く、感光体リークを起こし易い。そこで、ピーク間電圧(Vpp)値をできる限り小さくすることが求められているが、小さくし過ぎるとDC帯電と同様に異常放電による帯電ムラに起因する画像ムラが生じ易くなる。
また、帯電ローラの表面層に樹脂粒子を含有させ、帯電ローラの表面に凹凸を形成させることでスジ状の帯電ムラを抑制する方法が提案されている。これは、帯電ローラの表面の凹凸の存在により、被帯電体である感光体とのニップ部において微小な空隙が形成され、点状放電が起きてスジ状の帯電ムラが抑制されるものと考えられる。しかしながら、帯電ローラ表面の凹凸を大きくすると、画像かぶりが悪くなることが知られている。
また、うろこ状、白点の画像異常を生じさせる帯電ムラは、帯電ローラへの印加電圧がある閾値電圧を超えると発生することが知られている。また、感光体の表面層を厚膜化すると、感光体のキャパシタンスが低下し帯電ムラが悪化することが知られている(例えば、大森雅夫、大島穣共著、「接触帯電ローラにおける放電モード解析」、日本画像学会誌、2017年、第56巻、第1号、p.98-106(非特許文献1)参照)。
他方、電子写真プロセスに用いられる感光体は、導電性材料からなる基体(「導電性基体」、「導電性支持体」ともいう)上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成されている。
一方、電子写真プロセスに用いられる感光体は、導電性材料からなる導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成されている。光導電性材料には、無機系光導電性材料および有機系光導電性材料(有機光導電体:Organic Photoconductor:OPC)があり、近年の研究開発により、感度および耐久性が向上した、有機系光導電性材料を主成分とする感光層を備えた感光体(「有機系感光体」ともいう)が感光体の主流を占めている。
有機系感光体としては、導電性基体上に、電荷発生物質(「電荷発生剤」ともいう)および電荷輸送物質(「電荷移動物質」、「電荷輸送剤」ともいう)を結着樹脂(「バインダ樹脂」、「結着剤樹脂」ともいう)に分散させた単層型感光層を備える構成、および電荷発生物質を蒸着または結着樹脂に分散させた電荷発生層上に、電荷輸送物質を結着樹脂に分散させた電荷輸送層を積層した負帯電型の積層型感光層を備える構成が提案されている。これらの内、後者の機能分離型の感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度が高く、感光体特性を様々に設計できることから近年になって広く実用化されている。
省資源化の観点から、感光体の交換頻度を減らすため、長寿命の感光体の開発が求められている。感光体の寿命を決める因子には、最表面層の膜減りがあり、この膜減りが進むと、画像かぶりや感光体リークなどによる黒点などの画像不良を生じる。そこで、最表面層の膜厚を厚くして長寿命化を達成する試みがなされている。
また、長寿命化の別の手段として、感光体の材料表面の機械的特性(耐摩耗性、耐刷性)を向上させる取り組みが現在までなされている。
具体的には、感光体の最表面層に、フィラーとしてシリカやアルミナのような無機微粒子(単に「無機粒子」ともいう)を加えることが検討されている。
例えば、特開2017-049519公報(特許文献1)には、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、電荷輸送剤、バインダ樹脂、フタロシアニン顔料およびシリカ粒子を含有する電荷輸送層とを備えた感光層を備え、電荷輸送層が一層でありかつ最表面層として配置され、シリカ粒子の含有量がバインダ樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15質量部以下であり、かつシリカ粒子の平均一次粒径が50nm以上150nm以下である積層型感光体が開示されている。
特開2017-049519公報
大森雅夫、大島穣共著、「接触帯電ローラにおける放電モード解析」、日本画像学会誌、2017年、第56巻、第1号、p.98-106
上記の先行技術に記載のように、感光体を長寿命化するために感光体の最表面層の膜厚を厚くすると、画像形成装置の実使用領域で、帯電ムラが生じ、うろこ状ムラ、白点の画像異常が生じるという課題があった。
そこで、本発明は、長期に亘って安定した画質の画像を提供し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、感光体が、導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、感光体が、特定の表面粗さRzの表面層を有し、かつ特定の交流インピーダンスZを有することにより、感光体表面層の膜強度が増加し、感光体のインピーダンスが低下することにより、長期に亘って安定した画質の画像を提供し得る画像形成装置を提供できることを意外にも見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明者は、感光体の物性のみならず、画像形成装置の帯電部の物性およびこれらの組み合わせに着目し、画像特性との関係を検討した。
そして、本発明者は、本発明の画像形成装置に備わる感光体の感光体表面層に無機微粒子(無機フィラー)を含有させることにより、感光体の表面状態および感光体の吸湿性を変化させて、感光体のインピーダンスを所定値にコントロールすることができ、その結果、容易に実使用領域で帯電ムラを抑制し、うろこ状、白点の画像異常の発生を抑制できることを実験により明らかにし、また、感光層の最表面層の膜厚を厚くすることが可能になり、感光体の寿命を長くすることができ、その結果、長期に亘って高品質の画像を形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして、本発明によれば、導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ前記電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、
前記電子写真感光体が、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.60μmの表面粗さRzの表面層を有し、かつ温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~6.0×104Ωの交流インピーダンスZを有する
ことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、帯電された前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着部と、前記電子写真感光体の表面の残留トナーを除去し回収するクリーニング部とを少なくとも備え、
前記帯電部は、その表面が前記電子写真感光体の表面に接触または近接するように設けられた帯電器であり、該帯電器がJIS-0601(1994)に準じて測定された5.0~13μmの表面粗さRzの表面を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、長期に亘って安定した画質の画像を提供し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施形態の画像形成装置の要部の構成を示す模式側面図である。 本発明の画像形成装置における電子写真感光体の要部の構成を示す概略断面図である。
(1)電子写真感光体
本発明の感光体は、導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ前記電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、
前記電子写真感光体が、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.60μmの表面粗さRzの表面層を有し、かつ温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~6.0×104Ωの交流インピーダンスZを有する
ことを特徴とする。
図2は、本発明の画像形成装置における感光体の要部の構成を示す概略断面図である。
感光体は、導電性基体3上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層8と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層9とがこの順で積層された感光層(積層型感光層)4を少なくとも備える。感光層4は、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層型感光層であってもよい。以下、積層型感光層および単層型感光層を合わせて「感光層」ともいう。
図2における図番10は後述する任意の下引き層であり、「丸囲みの+」および「丸囲みの-」はそれぞれ「正電荷」および「負電荷」である。
以下、感光体の物性および各構成について説明する。
本発明の感光体は、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.60μmの表面粗さRzの表面層を有する。
表面粗さRzは、感光体の最表面層における無機フィラーによる凝集の状態の指標であり、JIS-B-0601(1994)で定義される十点平均粗さRzは、感光体の最表面層の断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分において、平均線に平行かつ断面曲線を横切らない直線から、平均線に垂直な方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をμmで表した値を意味する。
表面粗さRzが、0.05μm未満では、無機フィラーの凝集が十分ではなく耐摩耗性に対しての効果が得られ難く、無機フィラーの表面積が大きくなるため、室内の水分を過度に吸収することでインピーダンスを下げることができる一方で、感光体の繰り返し疲労特性(残留電位)が悪くなることがある。一方、表面粗さRzが、0.60μmを超えると、無機フィラーの凝集が大き過ぎるため、クリーニングブレードのエッジ部分の一部が欠ける状態を引き起こし易く、無機フィラーの表面積が小さく、室内の水分を十分に吸収することができないためインピーダンスを下げ難くなることがある。
好ましい表面粗さRzは、0.10~0.40μmであり、より好ましくは0.15~0.30μmである。
その測定方法については、実施例において説明する。
感光体は、温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~6.0×104Ωの交流インピーダンスZを有する。
交流インピーダンスZが、1.0×104Ω未満であるか、6.0×104Ωを超えると、画像にうろこ状帯電ムラが発生することがある。
好ましい交流インピーダンスZは、2.0~5.0×104Ωである。
その測定方法については、実施例において説明する。
本発明においては、感光体表面層に特定の無機フィラー、具体的には、特定の種類、製法、表面処理、粒径、分散状態の無機フィラーを含有させて、感光体表面層内部の吸湿性を変化させることにより、感光体のインピーダンスを所定の値に制御することができるものと考えられる。また、特定のイオン化ポテンシャルを有する電荷発生物質と電荷輸送物質および特定の電荷輸送物質と結着樹脂の質量比により、電荷発生層-電荷輸送層界面の電荷注入および無機フィラーの分散状態が制御され、感光体のインピーダンスを所定の値に制御することができるものと考えられる。
(1-1)導電性基体:3
導電性基体(「基体」または「導電性支持体」ともいう)は、感光体の電極としての機能と支持部材としての機能とを有し、その構成材料は、当該技術分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
導電性基体の構成材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼およびチタンなどの金属材料、ならびに表面に金属箔ラミネート、金属蒸着処理または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布した、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)ポリエステル、ポリオキシメチレンおよびポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙ならびにガラスなどが挙げられる。これらの中でも、加工の容易性の点からアルミニウムおよびアルミニウム合金が好ましく、JIS3003系(Ai-Mn系)、JIS5000系(Ai-Mg系)およびJIS6000系(Ai-Mg-Si系)などのアルミニウム合金が特に好ましい。
導電性基体の形状は、図2に示すような円筒状(ドラム状)に限定されず、シート状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
導電性基体の直径および長さは、例えば、それぞれ10~300mm程度および200~1000mm程度である。
また、導電性基体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、レーザ光による干渉縞防止のために、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
(1-2)下引き層:10
感光体2は、導電性基体3と感光層4との間に、下引き層(「中間層」ともいう)を備えるのが好ましい。
下引き層は、一般に、導電性基体3の表面の凸凹を被覆し均一にして、感光層4の成膜性を高め、感光層4の導電性基体3からの剥離を抑え、導電性基体3と感光層4との接着性を向上させる。具体的には、導電性基体3からの感光層4への電荷の注入を防止して、積層型感光層の帯電性の低下を防ぎ、画像のかぶり(いわゆる黒ぽち)の発生を防止する。
下引き層は、例えば、結着樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成することができる。
結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂は、下引き層上に感光体層を形成する際に用いられる溶剤に対して溶解や膨潤などが起こらないこと、導電性基体との接着性に優れること、可撓性を有することなどの特性が要求されることから、上記の結着樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂およびピペラジン系化合物を含有したポリアミド樹脂が好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば、6-ナイロン、66-ナイロン、610-ナイロン、11-ナイロンおよび12-ナイロンなどの単独重合または共重合ナイロン、N-アルコキシメチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプなどが挙げられる。
また、結着樹脂を架橋する硬化剤を用いて、硬化膜としてもよい。硬化剤としては、塗液の保存安定性や電気特性の観点からブロック化イソシアネートが好ましい。
溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、2-ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、結着樹脂の溶解性、下引き層の表面平滑性などから適切な溶剤を選択し、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節することができ、電荷発生層および単層型感光層への電荷の注入をさらに抑制することができると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
金属酸化物粒子に用いることができる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどが挙げられる。
下引き層形成用塗布液における結着樹脂と金属酸化物粒子との合計質量Aと溶剤の質量Bとの比率(A/B)としては、例えば、1/99~40/60程度が好ましく、2/98~30/70程度が特に好ましい。
また、結着樹脂の質量Cと金属酸化物粒子の質量Dとの比率(C/D)としては、例えば、90/10~1/99程度が好ましく、70/30~5/95程度が特に好ましい。
下引き層形成用塗布液の塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択すればよく、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。
これらの中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に、導電性基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体の製造に好適に用いることができる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置が設けられていてもよい。
自然乾燥により塗膜中の溶剤を除去してもよいが、加熱により強制的に塗膜中の溶剤を除去してもよい。
このような乾燥工程における温度は、使用した溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50~140℃程度が適当であり、80~130℃程度が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがあり、また溶剤が充分に蒸発せず感光体層中に残ることがある。また、乾燥温度が約140℃を超えると、感光体の繰り返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化することがある。
このような温度条件は、下引き層のみならず、後述する感光層などの層形成や他の処理においても共通する。
下引き層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μmである。
下引き層の膜厚が0.01μm未満では、導電性基体側からの電子の注入のブロッキング性および、光散乱による干渉縞対策に対する十分な効果が得られないことがある。一方、下引き層の膜厚が20μmを超えると、連続印字した際の感度変化が大きくなり、ひいては画像濃度の変化が大きくなることがある。
(1-3)電荷発生層:8
電荷発生層8は、画像形成装置50などの電子写真装置において、半導体レーザのような光ビームなどの光出射装置で照射された光を吸収することによって電荷を発生する機能を有し、電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて結着樹脂や添加剤を含有する。
電荷発生層は、5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有するのが好ましい。
電荷発生層のイオン化ポテンシャルが5.40eV未満では、うろこ状帯電ムラ、白点が悪化することがある。一方、電荷発生層のイオン化ポテンシャルが5.60eVを超えると、感光体の繰り返し電気特性(残留電位)が悪化する可能性がある。
より好ましい電荷発生層のイオン化ポテンシャルは、5.45~5.60eVである。
その測定方法については、実施例において説明する。
電荷発生物質としては、当該技術分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
電荷発生物質は、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、オキソチタニウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系化合物、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびに、セレンおよび非晶質シリコーンなどの無機光導電性材料などが挙げられ、露光波長域に感度を有するものを適宜選択し、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン系化合物が好ましく、オキソチタニルフタロシアニンがより好ましく、結晶型のオキソチタニルフタロシアニン(「チタニルフタロシアニン」ともいう)が特に好ましい。
結晶型のオキソチタニルフタロシアニンには、α型、β型、Y型などの結晶型があり、これらの中でも、本発明の優れた効果を発揮する画像特性の点で、Y型オキソチタニルフタロシアニンが好ましく、CuKα線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、26.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつ9.4°と9.7°の重なったピーク束が最大ピークであるY型オキソチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
そのオキソチタニルフタロシアニンは、次式で表される。
Figure 2023056790000002
一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニンは、例えば、Moser, Frank HおよびArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法などの公知の製造方法によって製造することができる。
電荷発生層の形成方法としては、結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷発生層形成用塗布液を導電性基体または下引き層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
結着樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂および上記の下引き層で例示した結着樹脂を使用することができ、電荷発生物質との相溶性に優れるものが好ましい。
結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。共重合体樹脂としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;1,2-ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層と同様に、電荷発生物質を結着樹脂溶液中に溶解または分散させるために、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどの分散機を用いることができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定することが好ましい。
特に本発明では、分散条件を適宜設定することにより、電荷発生物質の平均粒径(D50)およびCV値を調整することができる。
電荷発生物質の質量Eと結着樹脂の質量Fとの比率(E/F)としては、例えば、80/20~50/50程度が好ましい。
電荷発生層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05~5μmであり、より好ましくは0.1~1μmである。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下することがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり感光体の感度が低下することがある。
(1-4)電荷輸送層:9
電荷輸送層9は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れて感光体2の表面まで輸送する機能を有し、無機フィラー。電荷輸送物質および結着樹脂、必要に応じて添加剤を含有する。
本発明の感光体は、その最表面層、例えば電荷輸送層に、無機フィラー(無機化合物微粒子)を含有する。
無機フィラーとしては、シリカ(二酸化珪素:SiO2)、アルミナ(Al23)、セリア(CeO2)、酸化モリブデン(MoO3)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、磁鉄鉱(Fe34)および種々の形態のFe23を含む酸化鉄、酸化ニオブ(Nb25)、酸化バナジウム(VO)、酸化タングステン(WO2)および酸化スズ(SnO)が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上の混合物または混合酸化物として用いることができる。なお、括弧内の化学式は、代表的な酸化物形態であり、金属原子の原子価により異なる酸化物形態もあり、本発明ではこれらを含む。
上記の酸化物の中でも、耐摩耗性の点で、シリカ、アルミナおよびチタニアが好ましく、シリカおよびアルミナがより好ましく、電気特性の点で、シリカが特に好ましい。
本発明において好適に用いられるシリカフィラーは、製法由来に限定されない。
シリカフィラーとしては、四塩化ケイ素を燃焼して得られるヒュームドシリカ、プラズマなどの高エネルギーによりシリカを気相中で微粒子化するアーク法シリカなどの乾式法シリカ粒子;ケイ酸ナトリウム水溶液を原料としてアルカリ条件で合成した沈降法シリカ、酸性条件で合成したゲル法シリカなどの湿式法シリカ粒子;酸性ケイ酸をアルカリ性にして重合することで得られるコロイダルシリカ粒子;有機シラン化合物の加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ粒子などが挙げられる。
無機フィラーは、7~40nmの一次粒子径を有するのが好ましい。
無機フィラーの一次粒子径が7nm未満では、十分な耐刷性を得ることができないことがある。一方、無機フィラーの一次粒子径が40nmを超えると、感光層中に生成する凝集構造が大きくなることより、クリーニング不良等の問題が発生し易くなることがある。
無機フィラーは、電荷輸送層中に5~20質量%の割合で含まれるのが好ましく、そして均一に分散されてなるのが好ましい。
無機フィラーが5質量%未満では、耐摩耗性に対する効果が十分に得られないことがある。一方、無機フィラーが20質量%を超えると、分散性が十分ではなく凝集物が多くなりクリーニング性が悪化することがある。
より好ましい無機フィラーの含有量は、最表面層中に8~15質量%である。
上記のことから、無機フィラーは、12~40nmの一次粒子径を有するヒュームドシリカであり、かつ電荷輸送層中に5~20質量%の割合で含まれるのが好ましい。
無機フィラーは、感光体の電気特性を向上させるために、表面処理剤で表面処理されているのが好ましい。
無機フィラーがシリカ粒子である場合、その表面処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチル-N-プロピルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、又はポリジメチルシロキサンが挙げられる。
これらの表面処理剤の中でも、シリカ粒子表面の水酸基との反応性が良好で、シリカ粒子表面の水酸基が少なさせ、その結果、水分(湿度)による感光体の電気特性の低下を抑制することができることから、ジメチルジクロロシランおよびヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
本発明においては、上記の表面処理剤で処理することにより得られたシリカ粒子を用いることができるが、表面処理剤で処理された市販のシリカ微粒子を用いることもできる。市販のシリカ微粒としては、例えば、日本アエロジル株式会社の製品名:R972、R976、RX50、VPRX40S、キャボットジャパン株式会社の製品名:TG-C390が挙げられる。
電荷輸送物質としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる化合物を使用することができる。
電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ-9-ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷輸送物質は、5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有するのが好ましい。
電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは、電荷発生層―電荷輸送層界面の電荷注入に影響し、その電荷注入障壁が小さいほどインピーダンスを下げることが可能となる。
電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルが5.40eV未満では、感光体の繰り返し電気特性(残留電位)が悪化する可能性がある。一方、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルが5.60eVを超えると、うろこ状帯電ムラ、白点が悪化することがある。
より好ましい電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは、5.45~5.55eVである。
その測定方法については、実施例において説明する。
電荷輸送層の形成方法としては、結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷輸送物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
結着樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用することができ、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが好ましい。
結着樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイドなどの樹脂、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ、成膜性、電位特性などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類;、並びに、N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。また、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもでき、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
電荷輸送層は、10/12~10/24の質量比で電荷輸送物質と結着樹脂とを含むのが好ましい。
10/12、さらには10/8のように樹脂の比率が低い場合、無機フィラーが凝集し、所定の分散状態を保持できないことがある。一方、10/24、さらには10/30のように樹脂の比率が高くなると、無機フィラーの凝集は抑制できるものの感光体の繰り返し電気特性(残留電位)が悪化する可能性がある。
より好ましい電荷輸送物質と結着樹脂との質量比は、10/14~10/20である。
電荷輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは13~46μm、より好ましくは20~40μm程度である。
電荷輸送層の膜厚が13μm未満では、感光体表面の帯電保持能が低下することがある。一方、電荷輸送層の膜厚が46μmを超えると、感光体の解像度が低下することがある。
電荷発生層と電荷輸送層との積層体の積層型感光層は、34~46μmの膜厚を有するのが好ましい。
このことにより、感光体の寿命特性を向上させることができ、かつ高品質の画像を形成することができる。また、本発明者が行った実験では、電荷輸送層の厚さを34μm、40μm、46μmとした場合に印刷品質が良好となった。
積層型感光層の膜厚が34μm未満では、感光体の寿命を長くすることができないことがある。一方、積層型感光層の膜厚が46μmを超えると、感光体の解像度が低下することがある。
より好ましい積層型感光層の膜厚は、34~40μmである。
(2)画像形成装置
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、帯電された前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着部と、前記電子写真感光体の表面の残留トナーを除去し回収するクリーニング部とを少なくとも備え、
前記帯電部は、その表面が前記電子写真感光体の表面に接触または近接するように設けられた帯電器であり、該帯電器がJIS-0601(1994)に準じて測定された5.0~13μmの表面粗さRzの表面を有することを特徴とする。
以下に図面を用いて画像形成装置の要部の構成およびその動作について説明するが、本発明はこれらの図面および以下の記載事項に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置の要部の構成を示す模式側面図である。
画像形成装置50は、感光体2と、感光体の表面を帯電させる帯電部(帯電器)7と、帯電された感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部11と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部12と、現像によって形成されたトナー像を記録媒体26上に転写する転写部13と、転写されたトナー像を記録媒体上に定着して画像を形成する定着部19と、感光体の表面の残留トナーを除去し回収するクリーニング部14とを少なくとも備える。
画像形成装置50は、電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置50は、図1に示したようなモノクロ画像を形成できるモノクロ画像形成装置であってもよく、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置は、例えば、トナー像がそれぞれ形成される複数の感光体を所定方向(例えば、水平方向または鉛直方向)に並設した構成を有する所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置である。また、画像形成装置50は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
(2-1)感光体:2
感光体2はその表面に静電潜像およびトナー像が形成される部材であり、感光体2が回転することにより連続的に画像が形成される。感光体2は、例えば、感光体ドラムである。
感光体2は、画像形成装置50の本体(図示せず)に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって矢符方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば、電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体2の芯体を構成する導電性基体3に伝達することによって、感光体2を所定の周速度で回転駆動させる。帯電部7、露光部11、現像部12、転写部13およびクリーニング部14は、この順序で、感光体2の外周面に沿って、感光体2の回転方向の上流側から下流側に向って設けられる。これらの画像形成装置50を構成する各構成要素は、筐体(ハウジング)23に収容されている。
(2-2)帯電部:7
帯電部(帯電器)7は、感光体2の外周面を均一に所定の電位に帯電させる装置である。帯電器7としては、例えば、ローラ形状、ベルト形状、ブレード形状などの接触帯電器を利用できる。
なお、帯電ローラなどの帯電部材への電圧の印加は、電源(高電圧印加装置)18aのコスト、感光体2および帯電部材の寿命などの観点から、直流電圧のみとするのが最適である。すなわち、帯電器は直流電圧(DC)出力であるのが好ましい。
ここでは、帯電器7としてローラ状の接触帯電器を用いた例について説明する。
帯電器7は、導電性基体28を基体としてその外周面上に、被覆層として弾性層29および抵抗層30がこの順で有することができる。
帯電部の形成方法については、実施例において詳述する。
(2-2-1)導電性支持体:28
導電性支持体28は、導電性を有しかつ帯電部材としての強度を保持し得るものであれば特に限定されず、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよびニッケルから選択される少なくとも1つの金属材料からからなる丸棒が挙げられる。また、導電性支持体28は、導電性が損なわれない限り、防錆や耐傷性付与のために、その表面にメッキ処理が施されていてもよい。
(2-2-2)弾性層:29
弾性層29は、被帯電体としての感光体に対する給電や、帯電ローラの感光体Fに対する良好な均一密着性を確保するために、適当な導電性と弾性とを有している。
帯電ローラと感光体との均一密着性を確保するためには、弾性層29は、弾性層29を研磨して、その中央部が一番太く、中央部から両端部に向けて細くなる形状(所謂、クラウン形状)であるのが好ましい。
一般的に、帯電ローラは、導電性支持体の両端部に所定の押圧力を与えることによって感光体2と当接される。このため、押圧力が中央部では小さく、両端部ほど大きくなっている。したがって、帯電ローラの真直度が十分である場合には問題ないが、十分ではない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまうという問題がある。また、A3ノビ対応機種の増加やカラー機の増加により帯電領域が拡大してきているため、導電性支持体28の両端部のみへの押圧力によって帯電器7自体がたわみ易くなっており、中央部にギャップができるといった問題が起きている。このような理由により弾性層29をクラウン形状とすることが好ましい。
弾性層29は、ゴムなどの弾性材料中に、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物などの電子伝導機構を有する導電剤、ならびにアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩などのイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加し、公知の方法により形成することができる。その体積抵抗は、1×1010Ωcm未満の導電性を示すように調整されるのが好ましい。
弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、さらには、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
弾性層の膜厚は、例えば、特に限定されないが、好ましくは1~3mm、より好ましくは1.5~2mmである。
(2-2-3)抵抗層:30
抵抗層30は、弾性層29に接して形成され、弾性層29中に含有される軟化油や可塑剤などの帯電器表面へのブリードアウトを防止すると共に、帯電器全体の電気抵抗を調整するために設けられる。
抵抗層を形成する材料としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種類以上を混合体あるいは共重合体として用いることができる。
抵抗層30は、導電性または半導電性を有している。このため、上記の材料に、電子伝導機構を有する導電剤(例えば、導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)、またはイオン伝導機構を有する導電剤(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等)を適宜添加することによって形成される。
この場合、所望の電気抵抗を得るために、各種導電剤を2種以上併用してもよい。但し、環境変動や感光体の汚染を考慮すると、電子伝導機構を有する導電剤を用いることが好ましい。
本発明の画像形成装置の帯電部は、その表面が前記感光体の表面に接触または近接するように設けられた帯電器であり、該帯電器がJIS-0601(1994)に準じて測定された5.0~13μmの表面粗さRzの表面を有するのが好ましい。このことにより、画像形成装置の画像品質を向上させることができる。また、本発明者が行った実験では、帯電ローラの表面粗さRzを5.0μm、8.2μm、13.0μmとした場合に印刷品質が良好となった。
表面粗さRzが5.0μm未満では、うろこ状帯電ムラ、白点が悪化することがある。一方、表面粗さRzが13μmを超える、画像かぶりが悪化することがある。
より好ましい表面粗さRzは、7.0~13μmである。
表面粗さを示す指標には、例えば、十点平均表面粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)などがあるが、本発明において「表面粗さ」とは、特に言及しない限り、十点平均表面粗さ(Rz)を意味する。
その測定方法については、実施例において説明する。
帯電器7の表面には、通常、凹凸が形成されているが、帯電器の表面粗さを上記の範囲にすることにより、常に安定した帯電電位を確保でき、また問題のないレベルのトナークリーニング性を確保することができ、これにより、常に良好な画像を得ることができる。特に帯電器7に直流電圧のみを印加する場合には、帯電ローラ表面の凸部(突起)が適度な放電ポイントとなり、常に安定した帯電電位を確保することができる。つまり、帯電ローラの表面に凸部と凹部とが形成されることによって、当該凸部が感光体Fを帯電することになる。
帯電部7の表面粗さが5.0μm未満では、うろこ状帯電ムラ、白点が悪化することがある。一方、帯電部7の表面粗さが13μmを超えると、ハーフトーン画像上のスジ状帯電ムラを抑制できるものの、画像かぶりが悪化することがある。
好ましい帯電部の表面粗さは、7.0~13μmである。
表面粗さは、帯電ローラの表面層(抵抗層)の研磨条件の変更により調整することができる。また、より帯電を安定化させるために、帯電ローラの表面層(抵抗層)にフィラーを含有させてもよい。この場合、フィラーの種類、粒径を変更することにより、帯電ローラ表面の突起の分散状態をよくすることが望ましい。
フィラーとしては、発明の効果を著しく損なわない限り、特に限定されずない。
フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、アルミニウム繊維、ステンレススチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩などが挙げられ、これらの1種を単独でまたは2樹以上を組み合わせて用いることができる。
抵抗層の膜厚は、例えば、特に限定されないが、好ましくは5~100μm、より好ましくは5~20μmである。
(2-4)露光部:11
露光部11は、画像情報に基づいて変調された光を出射する装置である。露光部11は、半導体レーザまたは発光ダイオードを光源として備えることができ、光源から出力されるレーザビーム光を、帯電器7と現像器12との間の感光体2の表面(外周面)に照射することによって、帯電された感光体2の表面に対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である感光体2の回転軸線の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体2の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器7により均一に帯電された感光体2の帯電量がレーザビームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
(2-5)現像部:12
現像部(現像器)12は、露光によって感光体2の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)25によって現像する装置であり、感光体2と対向して設けられ、感光体2の表面にトナーを供給する現像ローラ31と、現像ローラ31を感光体2の回転軸線と平行または略平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング32とを備える。
(2-6)転写部:13
転写部(転写帯電器)13は、現像によって感光体2の表面に形成された可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって所定の搬送方向(矢符方向)から感光体2と転写帯電器13との間に供給される記録媒体26である転写紙上に転写させる装置である。転写部は、電源部(高電圧印加装置)18bにより、感光体2と転写帯電器13との間に形成される転写ニップ部に所定の高電圧を印加する。転写部13は、上記の帯電部7と同様に構成することができ、例えば、記録媒体26にトナー25と逆極性の電荷を与えることによってトナー像を記録媒体P上に転写させる接触式の転写部である。
(2-7)定着部:19
定着部(定着器)19は、転写部13により記録媒体26に転写されたトナー像を記録媒体26に定着させる装置である。定着部19は、記録媒体26の搬送方向において感光体2と転写部13との間の転写ニップ部よりも下流側に設けられ、例えば、定着部19は、加熱ローラと、それに対向して設けられる加圧ローラとを備えて、加圧ローラは、加熱ローラに押圧されて定着ニップ部を形成する。
(2-8)クリーニング部:14
クリーニング部(クリーナ)14は、転写部13による転写動作後に感光体2の表面に残留するトナー25を除去し回収する清掃装置である。クリーナ14は、感光体2の表面に残留するトナー25を剥離させるクリーニングブレード34と、それによって剥離されたトナー25を収容する回収用ケーシング35とを備える。
(2-9)除電部:図示せず
画像形成装置50は、感光体2に残留する表面電荷を除電する除電部をさらに備えるのが好ましく、クリーニング部14と共に設けられるのが好ましい。
除電部としては、当該技術分野で公知の装置を用いることができる。
また、本発明の画像形成装置は、記録媒体26を感光体2から分離する分離部(分離爪)20をさらに備えるのが好ましい。
(2-10)制御部:15
制御部15は、画像形成装置50を制御する部分であり、例えば、CPU、メモリ、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラを含む。制御部15のメモリは、画像形成装置50を制御するための制御ソフトウェアを記憶している。
また、画像形成装置50は、画像形成装置50の使用環境を検知できるように設けられた温湿度センサーを備えていてもよい。
(2-11)画像形成装置の動作
本発明の画像形成装置の動作を、上記の画像形成装置50を用いて説明する。
まず、感光体2が駆動部によって所定の回転方向(矢符方向)に回転駆動されると、露光部11による光の結像点よりも感光体2の回転方向上流側に設けられる帯電器7から感光体2の表面に負電荷が供給され、感光体2の表面が所定電位に均一に帯電される。
例えば、図2のように、感光体2の表面に負電荷が蓄積し、感光体2の表面が帯電し、一方、帯電した感光体2の表面に対向する導電性基体3の表面において、感光体2の表面の負電荷のクーロン力により正電荷が生じる。このことにより、感光体2の表面の負電荷が安定化し、感光体2の表面が均一に帯電する。したがって、帯電ムラが生じることを抑制するには、感光体2の表面の負電荷のクーロン力により導電性基体3の表面に速やかに正電荷を生じさせることが重要である。
次いで、露光部11から、画像情報に応じた光が均一に帯電された感光体Fの表面に照射される。感光体2は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光部11による光の結像点よりも感光体2の回転方向下流側に設けられる現像部12から、静電潜像の形成された感光体2の表面にトナー25が供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体2に対する露光と同期して、転写紙の搬送方向(矢符方向)から記録媒体26が、感光体2と転写部13との間の転写ニップ部に供給される。転写部13によって、供給された記録媒体26にトナー25と逆極性の電荷が与えられ、感光体2の表面に形成されたトナー像が、記録媒体26上に転写される。
トナー像が転写された記録媒体26は、搬送部によって定着部19に搬送され、定着部19の加熱ローラと加圧ローラとの当接部、定着ニップ部を通過する際にトナー像が加熱および加圧され、記録媒体26に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された記録媒体26は、搬送部によって画像形成装置50の外部へ排紙される。
一方、転写部13によるトナー像の転写後も感光体2の表面上に残留するトナー25は、クリーニング部14のクリーニングブレード34によって感光体2の表面から剥離され、回収用ケーシング35に回収される。
このようにしてトナー25が除去された感光体2の表面の電荷は除去され、その表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体2はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
画像形成装置50がクリーニング部14の下流側でかつ帯電部7に至るまでに除電部を備える場合には、除電部の除電ランプからの光によって、感光体2の表面の電荷が効率的にかつより確実に除去されて、感光体2の表面上の静電潜像が消失する。
以下に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例では、それぞれ感光体および帯電ローラを作製し、それらを画像形成装置に組み込み、評価した。
また、感光体の各物性を下記の方法により測定した。
<感光体の交流インピーダンスZ>
プレシジョンLCRメータ(アジレント・テクノロジー社製、型式:4284A)を用いて、30℃/85%の環境下で、感光体の導電性基板側にアースを取り、感光体の表面層側に電圧1.0Vを印可し、測定周波数30kHzの条件で、インピーダンス測定(Ω)を測定する。
<感光体および帯電ローラの表面粗さRz>
表面粗さ測定機(株式会社東京精密製、型式:Surfcom1400D)を用いて、基準長さ0.8mm、カットオフ波長0.8mm、測定速度0.1mm/sec、カットオフ種類ガウシアンの方法で、測定位置を感光体の最表面層の水平方向を軸としての中央部の表面粗さRz(μm)を測定する。
<電荷輸送物質および電荷発生層のイオン化ポテンシャル>
大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、型式:AC-2)を用いて、出力10nW~100nWの条件で、イオン化ポテンシャル(eV)を測定する。
(実施例1)
(感光体の作製)
(下引き層の形成)
酸化チタン(昭和電工株式会社製、商品名:TS-043)3質量部および共重合ポリアミド(ナイロン)(東レ株式会社製、商品名:CM8000)2質量部を、メチルアルコール25質量部に加え、ペイントシェーカー(分散機)にて8時間分散処理して下引き層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、浸漬塗布法により、具体的には、得られた塗布液を塗布槽に満たし、直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状基体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質として、次式:
Figure 2023056790000003
で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン1質量部(日本資材株式会社製、商品名TPL-530/CG1)および結着樹脂として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(積水化学工業株式会社製、商品名:BX-1)1質量部を、メチルエチルケトン98質量部に加え、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ-1、ビーズ径:1mm)用い、ペイントシェーカーにて2時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、下引き層の形成と同様に、浸漬塗布法にて電荷発生層形成用塗布液を下引き層の表面に塗布した。具体的には、得られた電荷発生層形成用塗布液を塗布槽に満たし、下引き層が形成されたドラム状基体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、自然乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
次いで、容量900mLのガラス容器に、無機フィラーとしてシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)10質量部、電荷輸送物質として次式:
Figure 2023056790000004
で表されるトリフェニルアミン系化合物(TPD)(東京化成工業株式会社製、商品名:D2448/CT1)30質量部および結着樹脂としてポリカーボネート(帝人化成株式会社製、商品名:TS2050)60質量部に、テトラヒドロフラン400質量部を加え、撹拌・混合し、ボールミルにて30時間撹拌処理した。
得られた混合物を、粒子分散装置(マイクロフルイディックス社製、型式:マイクロフルイダイザーM110P)を用いて、10Pass分散処理して電荷輸送層形成用塗布液3kgを調製した。得られた電荷輸送層形成用塗布液をガラス容器に移し、ボールミルにて12時間ロール撹拌を行い、撹拌終了後、20℃の条件下で3日間静置し、電荷輸送層形成用塗布液3kgを調製した。
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の浸漬法で、電荷発生層15上に塗布し、得られた塗膜を120℃で1.5時間乾燥させて、膜厚40μmの電荷輸送層を形成し、図2の感光体を作製した。
(帯電部材(帯電ローラ)の作製)
(弾性層の形成)
弾性材料として、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(エチレンプロピレンゴム、EPDM)100質量部、導電剤として、カーボンブラック10質量部および発泡剤として、発泡ウレタン10質量部を用いて混練して、弾性層形成用ゴムを得た。
得られたゴムを、予め直径9mm、長さ355mmのSUM23(快削鋼鋼材)製の導電性支持体をセットした金型に流し込み、電気炉を用いて、内部温度160℃で30分間、加熱し、加硫・発泡を行い、膜厚2mmの弾性層を形成した。
(抵抗層(表面層)の作製)
弾性材料として、ポリアミド系熱可塑性エラストマー100質量部および導電剤として、カーボンブラック20質量部を混練して、抵抗層形成用ゴムを得た。
得られたゴムを、環状ダイスを用いた溶融押出しにより、抵抗層となるシームレスチューブを作製した。得られたシームレスチューブの一端からエアーを吹き込み、チューブを膨らませながら、チューブ内に弾性層が形成れた導電性支持体(ローラ)を挿入することにより、抵抗層を形成し、得られた帯電ローラの表面を加工し、8.4μmの表面粗さRzを有する、図3に示す直径12mmの帯電ローラを作製した。
(表面粗さの測定)
得られた帯電ローラの表面粗さRを、表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製、型式:SE-30H)を用いて、十点平均表面粗さ(Rz)として測定した。その結果、帯電ローラZの表面粗さRは、8.2μmであった。
以下の実施例および比較例においても同様にして、帯電ローラの表面粗さRzを測定した。
(実施例2)
無機フィラーのシリカ粒子10質量部を5質量部に、電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を32質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を63質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例3)
無機フィラーのシリカ粒子10質量部を20質量部に、電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を27質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を53質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例4)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:12nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R974)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例5)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:40nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)RX50)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例6)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:80~100nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)VPRX40S)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例7)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(コロイダルシリカ、一次粒子径:62nm、Cabot社製、製品名:TG-C390)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例8)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物の代わりに、特許第3272257号公報に記載の方法に基づいて予め調製しておいた次式:
Figure 2023056790000005
で表されるスチルベン化合物(CT2)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例9)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物の代わりに、特許第4101668号公報に記載の方法に基づいて予め調製しておいた次式:
Figure 2023056790000006
で表されるエナミン系化合物(CT3)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例10)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物の代わりに、次式:
Figure 2023056790000007
で表されるブタジエン系化合物(高砂香料株式会社製、商品名:T405/CT4)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例11)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物の代わりに、次式:
Figure 2023056790000008
で表されるトリフェニルアミン系化合物(高砂香料株式会社製、4-(2,2-diphenylethyl)-4',4''-dimethyl-triphenylamine/CT5)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例12)
電荷輸送物質のY型オキソチタニルフタロシアニン1質量部をα型オキソチタニルフタロシアニン(化学構造式はCG1と同じ、日本資材株式会社製、商品名TPL-364/CG2)2質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例13)
電荷発生層形成用塗布液を調製した後、温度35℃で3日間保管することで、電荷発生物質の結晶型のY型をβ型(化学構造式はCG1と同じ、CG3)に変換した電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例14)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を41質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を49質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例15)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を27質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を64質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例16)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を45質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を45質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例17)
電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を25質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を65質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例18)
浸漬塗布法の条件を調整して、電荷輸送物質の膜厚40nmを34nmにすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例19)
浸漬塗布法の条件を調整して、電荷輸送物質の膜厚40nmを46nmにすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例20)
浸漬塗布法の条件を調整して、電荷輸送物質の膜厚40nmを48nmにすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体を作製した。
(実施例21~25)
実施例1と同様にして図2の感光体を作製した。
また、表面加工の条件を調整して、実施例21~25についてそれぞれ3.1μm、5.0μm、13.0μm、15.3μmおよび8.2μmの表面粗さRzを有する、図3の帯電ローラを作製した。
(実施例26)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、酸化アルミニウムナノ粒子(一次粒子径:20nm、イーエムジャパン株式会社製、製品名:NP-ALO-10-100)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例27)
無機フィラーのシリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:16nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R972)の代わりに、シリカ粒子(ヒュームドシリカ、一次粒子径:7nm、日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL(登録商標)R976)を用いること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(実施例28)
浸漬塗布法の条件を調整して、電荷輸送物質の膜厚40nmを30nmにすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体を作製した。
(比較例1)
電荷輸送層形成用塗布液の調製において、無機フィラーとしてシリカ粒子を用いないこと以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(比較例2)
無機フィラーのシリカ粒子10質量部を3質量部に、電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を32質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を65質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(比較例3)
無機フィラーのシリカ粒子10質量部を25質量部に、電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を25質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を50質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
(比較例4)
無機フィラーのシリカ粒子10質量部を30質量部に、電荷輸送物質のトリフェニルアミン系化合物30質量部を23質量部に、結着樹脂のポリカーボネート60質量部を47質量部にすること以外は、実施例1と同様にして図2の感光体および図3の帯電ローラを作製した。
[評価]
デジタル複写機(シャープ株式会社製、商品名:MX-B455W)を改造した試験用複写機に、実施例1~28および比較例1~4において作製した感光体および帯電ローラを組み込み、各画像形成装置について評価した。
[印刷画像評価実験]
温度30℃/相対湿度85%(高温/高湿)および温度5℃/相対湿度10%(低温/低湿)の一定環境下における画像形成装置のうろこ状帯電ムラ、白点およびかぶりを評価した。
ここで、帯電ローラの高圧出力は、実施例1~24および26~28ならびに比較例1~4では、直流電圧DCにAC出力を、高温/高湿ではVpp=1.3kV、周波数f=2.0kHz、低温/低湿ではVpp=1.5kV、周波数f=2.0kHzとし、実施例25は直流電圧DCのみとした。
[評価1:うろこ状帯電ムラ]
各環境下において、感光体表面電位V0/現像バイアスDVBを、-750V/-600V、―600V/-450V、―450V/-300V、―300V/-150Vにそれぞれ設定し、ハーフトーン画像で出力した画像でうろこ状帯電ムラを評価した。
得られた結果で、最も悪い感光体表面電位V0/現像バイアスDVBで出力した画像を、下記の基準で判定した。
◎:ムラが全く見られず、非常に良好である
〇:ムラが殆ど見られず、良好である
△:所々ムラが見られるが、実使用可能
×:はっきりとムラが見られ、良好ではない
[評価2:白点]
各環境下において、感光体表面電位V0/現像バイアスDVBを、-750V/-600V、―600V/-450V、―450V/-300V、―300V/-150Vにそれぞれ設定し、ハーフトーン画像で出力した画像で白点を評価した。
得られた結果で、最も悪い感光体表面電位V0/現像バイアスDVBで出力した画像を、下記の基準で判定した。
◎:白点が全く見られず、非常に良好である
〇:白点が殆ど見られず、良好である
△:所々白点が見られるが、実使用可能
×:はっきりと白点が見られ、良好ではない
[評価3:かぶり]
高温高湿環境下において、感光体表面電位V0/現像バイアスDVBを-750V/-600Vとして、白べた画像で実写エージングを200K枚行い、初期とエージング後の白色度を分光式色差計(測色色差計、日本電色工業株式会社製、型式:SZ90型)を用いて、初期とエージング後の画像かぶり差(ΔB.G.)を測定し、画像かぶりを評価した。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
◎:非常に良好である(ΔB.G.<0.40)
〇:良好である(0.40≦ΔB.G.<0.70)
△:やや良好である(0.70≦ΔB.G.<1.00)
×:良好でない(1.00≦ΔB.G.)
[感光体耐刷性評価実験]
[評価4:耐刷性]
高温高湿環境下において、感光体表面電位V0/現像バイアスDVBを-750V/-600Vとして、初期および500K回転疲労後の感光体の膜厚を測定し、感光体の膜減り量Δdを算出し、この膜減り量から算出した3000K回転時点の感光体の残膜厚をdend(μm)とし、感光耐刷性を評価した。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
◎:非常に良好である(Δd<1.5μm、dend>30μm)
〇:良好である(1.5≦Δd<2.5、30≧dend>25)
△:やや良好である(2.5≦Δd<3.5、25≧dend>19)
×:良好でない(3.5≦Δd、dend≦19)
[感光体繰り返し疲労評価試験]
[評価5:残留電位上昇]
高温高湿環境下において、感光体表面電位V0/現像バイアスDVBを-750V/-600Vとして、初期の感光体の残留電位Vriniを測定し、500K回転疲労をかけた後の感光体の残留電位Vrendを測定し、それらの差の残留電位上昇幅ΔVrを評価した。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
◎:非常に良好である(ΔVr<20V)
〇:良好である(20≦ΔVr<40)
△:やや良好である(40≦ΔVr<60)
×:良好でない(60≦ΔVr)
[総合評価]
評価1~5の判定結果に基づいて、下記の基準で総合判定した。
◎:各項目において、評価◎が5個以上あり、評価△および×がない
〇:各項目において、評価△がない
△:評価△が2個以内ある
×:評価△が3個以上、或いは×が1個以上ある
得られた結果を、表1に示す
感光体および帯電ローラの構成および物性を表1および2に、得られた評価結果を表3および4に示す。
表1および2の「材料」は、それぞれ明細書に記載の略号または製品名を示し、無機フィラの記号「FS」はヒュームドシリカを、「CS」はコロイダルシリカを、「AL」はアルミナを示す。
Figure 2023056790000009
Figure 2023056790000010
Figure 2023056790000011
Figure 2023056790000012
表1~4から次のことがわかる。
・導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ前記電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.40μmの表面粗さRzの表面層を有し、かつ温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~4.0×104Ωの交流インピーダンスZを有する感光体が画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1~28)
・12~40nmの一次粒子径を有するヒュームドシリカであり、かつ電荷輸送層中に5~20質量%の割合で含まれる場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1~7、26)
・電荷輸送物質が5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有する場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1、8~11)
・電荷発生層が5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有する場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1、12、13)
・電荷輸送層が、10/12~10/24の質量比で電荷輸送物質と結着樹脂とを含む場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1、14~17)
・積層型感光層が34~46μmの膜厚を有する場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1、18~20)
・帯電部は、その表面が感光体の表面に接触または近接するように設けられた帯電器であり、帯電器がJIS-0601(1994)に準じて測定された5.0~13μmの表面粗さRzの表面を有する場合に、より画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例1、21~24)
・帯電器が直流電圧(DC)出力であっても、画質、耐刷性に優れた画像形成装置を提供できること(実施例25)
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
2 電子写真感光体
3 導電性基体
4 感光層(積層型感光層)
8 電荷発生層
9 電荷輸送層
10 下引き層
50 画像形成装置
23 筐体(ハウジング)
矢符 電子写真感光体の回転方向
7 帯電部(帯電器)
28 導電性支持体
29 弾性層
30 抵抗層
18a 電源部(高電圧印加装置)
11 露光部
12 現像部(現像器)
31 現像ローラ
32 ケーシング
25 現像剤(トナーを含む)
13 転写部(転写帯電器)
18b 電源部(高電圧印加装置)
14 クリーニング部(クリーナ)
34 クリーニングブレード
35 回収用ケーシング
15 制御部
19 定着部(定着器)
26 記録媒体(記録紙または転写紙)
20 分離部(分離爪)

Claims (8)

  1. 導電性基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、かつ前記電荷輸送層が、無機フィラー、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、
    前記電子写真感光体が、JIS-0601(1982)に準じて測定された0.05~0.60μmの表面粗さRzの表面層を有し、かつ温度30℃、湿度85%RH、直流電圧1.0V、周波数30kHzの測定条件下において1.0~6.0×104Ωの交流インピーダンスZを有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記無機フィラーが、12~40nmの一次粒子径を有するヒュームドシリカであり、かつ前記電荷輸送層中に5~20質量%の割合で含まれる請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷輸送物質が、5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷発生層が、5.40~5.60eVのイオン化ポテンシャルを有する請求項1~3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送層が、10/12~10/24の質量比で電荷輸送物質と結着樹脂とを含む請求項1~4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記積層型感光層が、34~46μmの膜厚を有する請求項1~5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電部と、帯電された前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着部と、前記電子写真感光体の表面の残留トナーを除去し回収するクリーニング部とを少なくとも備え、
    前記帯電部は、その表面が前記電子写真感光体の表面に接触または近接するように設けられた帯電器であり、該帯電器がJIS-0601(1994)に準じて測定された5.0~13μmの表面粗さRzの表面を有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記帯電器が、直流電圧(DC)出力である請求項7に記載の画像形成装置。
JP2021166210A 2021-10-08 2021-10-08 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Pending JP2023056790A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021166210A JP2023056790A (ja) 2021-10-08 2021-10-08 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021166210A JP2023056790A (ja) 2021-10-08 2021-10-08 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023056790A true JP2023056790A (ja) 2023-04-20

Family

ID=86005140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021166210A Pending JP2023056790A (ja) 2021-10-08 2021-10-08 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023056790A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4702950B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、電子写真感光体の製造方法
JP2006267652A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2007086202A (ja) 画像形成装置
JP2010186123A (ja) 有機感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP2008165156A (ja) 電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置
JP4466406B2 (ja) 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置
JP5239488B2 (ja) 有機感光体、画像形成方法、画像形成装置および画像形成ユニット
JP2023056790A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP4333511B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP7261663B2 (ja) 画像形成装置
JP7232720B2 (ja) 画像形成装置
JP2008026479A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び電子写真装置
US11644763B2 (en) Image forming apparatus including photoreceptor connected to ground via an inductor
JP2003316113A (ja) 電子写真装置及びプロセスカートリッジ
JP2024081436A (ja) 画像形成装置およびそれを用いる画像形成方法
JP4506559B2 (ja) 画像形成装置
JP2009075246A (ja) 像保持体及び画像形成装置
JP2023069379A (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置
JP7071832B2 (ja) 帯電装置およびそれを備える画像形成装置
JP2004133044A (ja) 電子写真感光体、およびそれを用いた電子写真装置、およびプロセスカートリッジ
JP2007017876A (ja) 電子写真装置
JP2024013572A (ja) 画像形成装置およびそれを用いる画像形成方法、帯電装置
JP2024027003A (ja) 画像形成装置
JP2005300741A (ja) 電子写真装置
JP5582389B2 (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20240806

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20240806

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240919