JP2023050882A - ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物が高収率で得られる製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、メシチレンおよび酸触媒の存在下、式(1)TIFF2023050882000022.tif1066[式中、Arは置換基を有してもよい2価の芳香族基を示す]で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸とを反応させる工程を含む、式(2)TIFF2023050882000023.tif34110[式中、Arは式(1)におけるArと同じ2価の芳香族基を示す]で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法に関する。
ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物は、ジオール類とヒドロキシ安息香酸とのジエステル体であり、硬化性樹脂(特許文献1、2)や、ポリアリレート(特許文献3)、液晶ポリマー(特許文献4)等の構成単位としての用途が知られている。
ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法としては、酸クロリド法、カルボジイミド法、酸触媒法などが知られているが、酸触媒法として、例えば、酸触媒の存在下、キシレン溶媒中でヒドロキシ安息香酸とジオール類とを反応させる方法が、簡便かつ一般的である(特許文献1~3)。
しかしながら、工業的なスケールでの生産においては、さらなる生成率の向上が求められていた。
特開2018-070552号公報 特開2012-107168号公報 特開2007-056216号公報 特開2020-122106号公報
本発明の目的は、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物が高収率で得られる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ジオール類とヒドロキシ安息香酸との反応において、メシチレン溶媒中で反応させることにより、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物が高生成率で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕メシチレンおよび酸触媒の存在下、式(1)
Figure 2023050882000001
[式中、Arは置換基を有してもよい2価の芳香族基を示す]
で表されるジオールと、
4-ヒドロキシ安息香酸とを反応させる工程を含む、式(2)
Figure 2023050882000002
[式中、Arは式(1)におけるArと同じ2価の芳香族基を示す]
で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法。
〔2〕Arは以下の式(a)~(c)
Figure 2023050882000003
[式中、「※」は、それぞれ、結合位置を示す]
の何れかで表される基である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕Arは前記式(a)で表される基である、〔2〕に記載の方法。
〔4〕Arは前記式(b)で表される基である、〔2〕に記載の方法。
〔5〕Arは前記式(c)で表される基である、〔2〕に記載の方法。
〔6〕メシチレンの使用量は、前記式(1)で表されるジオール100質量部に対して100~3000質量部である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕前記式(1)で表されるジオール1モルに対し、4-ヒドロキシ安息香酸1~3モルを反応させる、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕前記式(1)で表されるジオール100質量部に対し、酸触媒0.1~50質量部を存在させる、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕酸触媒がp-トルエンスルホン酸である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕前記式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸とを、80~200℃の温度で反応させる、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕前記工程は前記式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物を得る工程である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の方法。
〔12〕前記粗組成物を、懸濁洗浄溶媒で懸濁洗浄させる工程を含む、〔11〕に記載の方法。
〔13〕懸濁洗浄溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドを含む、〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(a)
Figure 2023050882000004
で表される基である、〔13〕に記載の方法。
〔15〕懸濁洗浄溶媒はトルエンを含む、〔12〕に記載の方法。
〔16〕前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(c)
Figure 2023050882000005
で表される基である、〔15〕に記載の方法。
〔17〕前記粗組成物を、再結晶溶媒で再結晶させる工程を含む、〔11〕に記載の方法。
〔18〕再結晶溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドを含む、〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(b)
Figure 2023050882000006
で表される基である、〔18〕に記載の方法。
本発明によれば、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を高生成率で得ることができる。
本発明において、反応原料として使用されるジオールおよび4-ヒドロキシ安息香酸は、市販のものを用いてもよく、また当業者に知られた方法で製造したものを用いてもよい。
本発明に使用されるジオールは、式(1):
Figure 2023050882000007
[式中、Arは置換基を有してもよい2価の芳香族基を示す]
で表されるジオールである。
その具体例としては、4,4′-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2-メチルハイドロキノン、2-メチル-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、2,3-ジメチルハイドロキノン、2,5-ジメチルハイドロキノン、2,6-ジメチルハイドロキノン、2,3,5-トリメチルハイドロキノン、2-エチルハイドロキノン、2,3-ジエチルハイドロキノン、2,5-ジエチルハイドロキノン、2,6-ジエチルハイドロキノン、2,3,5-トリエチルハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン、2,3-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,3,5-トリ-tert-ブチルハイドロキノン、2-クロロハイドロキノン、2,3-ジクロロハイドロキノン、2,5-ジクロロハイドロキノン、2,3,5-トリクロロハイドロキノン、2-メトキシハイドロキノンなどが挙げられ、中でも、入手容易性から4,4′-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンおよび2-メチルハイドロキノンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
本発明に使用される4-ヒドロキシ安息香酸は、式(1)で表されるジオール1モルに対し、好ましくは1~3モル、より好ましくは1.2~2.8モル、さらに好ましくは1.5~2.5モル、特に好ましくは1.8~2.2モル反応させるのがよい。
式(1)で表されるジオール1モルに対し4-ヒドロキシ安息香酸の量が3モルを上回る場合、過剰量の4-ヒドロキシ安息香酸が残存し、生成物のビスヒドロキシ安息香酸と4-ヒドロキシ安息香酸とが反応するため、生産効率が低下するとともに、後処理工程において4-ヒドロキシ安息香酸の除去に長時間を要する傾向がある。また、4-ヒドロキシ安息香酸の量が1モルを下回る場合、生成率が低下する傾向がある。
本発明では、例えば式(1)で表されるジオール1モルと4-ヒドロキシ安息香酸2モルとの反応は、式(1)で表されるジオール1モルに対し、4-ヒドロキシ安息香酸が2モルとなるような量で各反応原料を存在させることにより行われる。
本発明に使用される酸触媒としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸および硝酸からなる群から選択される1種以上が挙げられる。入手容易性および反応性に優れる点で、硫酸またはp-トルエンスルホン酸が好ましく、特に、反応性および副生物抑制効果に優れる点でp-トルエンスルホン酸が好ましい。p-トルエンスルホン酸は水和物であってもよい。
これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用される酸触媒の量は特に限定されないが、式(1)で表されるジオール100質量部に対し、好ましくは0.1~50質量部、より好ましくは1~30質量部、さらに好ましくは3~20質量部である。
式(1)で表されるジオール100質量部に対し、酸触媒の量が0.1質量部を下回る場合、反応が十分に進行しない傾向がある。酸触媒の量が50質量部を上回る場合、ジオールの2量化エーテル体や生成物のビスヒドロキシ安息香酸と4-ヒドロキシ安息香酸との反応物であるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物等の副生物が生成する傾向があるとともに、経済的にも不利となる。
本発明の方法では、溶媒としてメシチレンが用いられる。溶媒としてメシチレンを用いることによって副反応が抑制されつつ、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の生成率が大幅に向上する。
本発明に使用されるメシチレンの使用量は、式(1)で表されるジオール100質量部に対して100~3000質量部(ジオールに対して1~30質量倍)が好ましく、150~2000質量部がより好ましく、200~1500質量部がさらに好ましく、300~1000質量部が特に好ましい。メシチレンの使用量が上記範囲内にあると、効率よくビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の生成率を向上させることができる。
式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸との反応における反応温度は特に限定されないが、80~200℃が好ましく、100~180℃がより好ましい。反応温度が上記範囲内にあると、副反応が抑制されつつ、反応が十分に進行し易い。
反応時間は、反応温度等の条件によって変動するため特に限定されないが、通常1~30時間であり、好ましくは2~20時間、より好ましくは3~15時間の間で適宜選択してよい。
本発明において、式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸との反応は、不活性ガスの気流下またはバブリング下、もしくは減圧条件下で行うのが好ましい。このような条件下で反応させることによって、酸素や水分による反応阻害や触媒失活を回避し、反応を円滑に進行させることができる。
不活性ガスとしては、反応を阻害しないガスであればよく、具体的には、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノンおよびクリプトンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらの中で、入手容易性および経済性に優れる点で、窒素が好ましい。
不活性ガスは、原料である式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸を収容する反応容器の反応液上部の空間部に吹き込んでもよく、あるいは、反応液中に直接吹き込んでもよい。
式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸との上記反応により、式(2):
Figure 2023050882000008
[式中、Arは式(1)におけるArと同じ2価の芳香族基を示す]
で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物が生成する。
式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物としては、4,4′-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)-1,1′-ビフェニル、1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-メチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-メチル-4,4′-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)-1,1′-ビフェニル、2,3-ジメチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,5-ジメチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,6-ジメチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3,5-トリメチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-エチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3-ジエチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,5-ジエチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,6-ジエチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3,5-トリエチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-tert-ブチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3-ジ-tert-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,5-ジ-tert-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,6-ジ-tert-ブチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3,5-トリ-tert-ブチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-クロロ-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3-ジクロロ-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,5-ジクロロ-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2,3,5-トリクロロ-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル、2-メトキシ-1.4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニルなどが挙げられる。中でも4,4′-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)-1,1′-ビフェニル、1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニルおよび2-メチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニルからなる群から選択される1種以上が好ましい。各構造式を以下に記す。
・4,4′-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)-1,1′-ビフェニル
Figure 2023050882000009
・1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル
Figure 2023050882000010
・2-メチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル
Figure 2023050882000011
メシチレンおよび酸触媒の存在下、式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸とを反応させる工程によって、式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物が得られる。式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物は、精製によりさらに純度を高めることができる。
精製は、懸濁洗浄溶媒で懸濁洗浄させる工程、および/または、再結晶溶媒で再結晶させる工程を含むのが、生成物の純度を効率よく高められる点で好ましい。上記反応後の粗組成物は、反応温度から10~100℃に冷却した後、メシチレンを濾過等により除き、続く精製方法に供するのがよい。
上記精製操作の前に、必要により、水溶性化合物を除去するための水性媒体による洗浄や、不溶性の異物を除去するためのろ過処理、着色性物質、金属などを除去するための活性炭などによる吸着剤処理を行ってもよい。
式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物とは、目的物である式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物以外に、反応原料や触媒および反応副生物などの不純物を含む組成物を意味する。不純物の含有量は反応方法によっても異なるが、通常は粗組成物中1~25質量%であり、別の場合には3~15質量%である。
粗組成物中に含まれる具体的な不純物としては、原料である4-ヒドロキシ安息香酸、ジオール、触媒などの残存物のほか、ジオールと4-ヒドロキシ安息香酸との反応物である反応中間体、反応副生物であるジオールの2量化エーテル体、硫酸エステルや生成物のビスヒドロキシ安息香酸エステルと4-ヒドロキシ安息香酸との反応物などが挙げられる。
懸濁洗浄させる工程は、式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物に懸濁洗浄溶媒を加えて、懸濁状態で60~140℃、1~10時間撹拌することによって行われることが好ましい。
懸濁洗浄させる工程において用いられる懸濁洗浄溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、酢酸、N-メチル-2- ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸プロピルおよび酢酸ブチルからなる群から選択される1種以上が挙げられ、不純物除去性に優れることからN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)またはトルエンが好ましい。
懸濁洗浄させる工程において用いられる懸濁洗浄溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、原料であるジオールの使用量に対し1~20質量倍であることが好ましく、より好ましくは1.5~10質量倍である。懸濁洗浄溶媒の使用量がジオールの使用量に対し1質量倍を下回る場合、原料、ジオールと4-ヒドロキシ安息香酸との反応中間体や触媒あるいは生成物であるビスヒドロキシ安息香酸エステルと4-ヒドロキシ安息香酸との反応物等の副生物などの不純物が結晶中に取り込まれてしまい、高純度の結晶を得ることが困難になる傾向があり、20質量倍を上回る場合、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の収量が著しく減少することがある。
再結晶させる工程は、式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物に再結晶溶媒を加えて、80~100℃に昇温し粗組成物を完全に溶解させた後、撹拌しながら20~0℃に降温し、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の結晶を析出させることによって行われることが好ましい。
再結晶させる工程において用いられる再結晶溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、酢酸、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸プロピルおよび酢酸ブチルからなる群から選択される1種以上が挙げられ、不純物除去性に優れることからN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
再結晶させる工程において用いられる再結晶溶媒の使用量は、溶媒の種類によっても異なるが、原料であるジオールの使用量に対し1~20質量倍であることが好ましく、より好ましくは1.5~10質量倍である。再結晶溶媒の使用量がジオールの使用量に対し1質量倍を下回る場合、原料や触媒あるいは副生物などの不純物が結晶中に取り込まれてしまい、高純度の結晶を得ることが困難になる傾向があり、20質量倍を上回る場合、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の収量が著しく減少することがある。
懸濁洗浄溶媒で懸濁洗浄させる工程と再結晶溶媒で再結晶させる工程のいずれの工程を採用するかは、目的物としての式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物の用いる溶媒に対する溶解度と、懸濁または溶解を行う際の温度、攪拌、溶媒の使用量などの条件とによって決定される。粗組成物の一部が溶解する場合も懸濁洗浄させる工程に含まれる。
懸濁洗浄または再結晶によって得られた結晶は、濾過等の常套手段により固液分離を行うことによって、目的物であるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を回収する。固液分離に際し、適宜有機溶媒を注いで結晶を洗浄するのが好ましい。固液分離の際に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノールおよび2-プロパノールからなる群から選択される1種以上が好ましく使用される。有機溶媒は、ジオールの量に対し0.5~2質量倍の量を使用するのが好ましい。
固液分離によって回収された結晶は、常圧下において通風乾燥するか、あるいは減圧下で乾燥し溶媒を留去することによって、高純度のビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を得ることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、各化合物の略称は以下を用いる。
BP-POB2:4,4′-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)-1,1′-ビフェニル
HQ-POB2:1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル
MeHQ-POB2:2-メチル-1,4-ビス(4-ヒドロキシ安息香酸)フェニル
各化合物は、以下の方法によって分析した。
・BP-POB2の分析
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)>
装置:Waters アライアンス 2690/2996
カラム型番:L-Column ODS
液量:1mL/分
溶媒比:HO(pH2.3)/アセトニトリル=90/10(7.0分)→1分→60/40(7.0分)→1分→30/70(4分)→1分→10/90(19分)、グラジエント分析
波長:254nm
カラム温度:40℃
・HQ-POB2の分析
<超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)>
装置:Waters UPLC H-Class システム
カラム型番:ACQUITY UPLC HSS C18 1.8μm 2.1×50mm
装置:日立 Chromaster
カラム型番:L-Column ODS
液量:0.5mL/分
溶媒比:HO(pH2.3)/メタノール=90/10(1.8分)→0.2分→30/70(3.6分)→0.5分→20/80(2.3分)→0.5分→10/90(2.1分)、グラジエント分析
波長:229nm
カラム温度:40℃
・MeHQ-POB2の分析
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)>
装置:Waters アライアンス 2690/2996
カラム型番:L-Column ODS
液量:1.0mL/分
溶媒比:HO(pH2.3)/メタノール=90/10(20分)→1分→30/70(20分)→1分→10/90(13分)、グラジエント分析
波長:229nm
カラム温度:40℃
実施例1:BP-POB2の合成
撹拌機、温度センサーおよびディーン・スターク装置を備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、4,4′-ジヒドロキシビフェニル(BP、東京化成工業株式会社製)40.0g(0.215モル)、4-ヒドロキシ安息香酸(POB、上野製薬株式会社製)59.3g(0.430モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物(PTS・HO)4.4g(BP100質量部に対して11質量部)およびメシチレン240.0g(BPに対して6.0質量倍)を加え、窒素気流下、昇温し160~164℃で還流、同温度で7時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をHPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
実施例2:HQ-POB2の合成
撹拌機、温度センサーおよびディーン・スターク装置を備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、ハイドロキノン(HQ、東京化成工業株式会社製)40.0g(0.363モル)、4-ヒドロキシ安息香酸(POB、上野製薬株式会社製)100.4g(0.726モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物(PTS・HO)4.0g(HQ100質量部に対して10質量部)およびメシチレン352.0g(HQに対して8.8質量倍)を加え、窒素気流下、昇温し160~164℃で還流、同温度で7時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
実施例3:MeHQ-POB2の合成
撹拌機、温度センサーおよびディーン・スターク装置を備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、2-メチルハイドロキノン(MeHQ、和光純薬株式会社製)40.0g(0.322モル)、4-ヒドロキシ安息香酸(POB、上野製薬株式会社製)89.0g(0.644モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物(PTS・HO)4.4g(MeHQ100質量部に対して11質量部)およびメシチレン240.0g(MeHQに対して6.0質量倍)を加え、窒素気流下、昇温し160~164℃で還流、同温度で5時間反応させ、粗組成物を得た。得られた粗組成物をHPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
比較例1:BP-POB2の合成
メシチレンをキシレンに変更し、温度138~141℃で還流した以外は実施例1と同様に実施し、粗組成物を得た。得られた粗組成物をHPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
比較例2:HQ-POB2の合成
メシチレンをキシレンに変更し、温度138~141℃で還流した以外は実施例2と同様に実施し、粗組成物を得た。得られた粗組成物をUPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
比較例3:MeHQ-POB2の合成
メシチレンをキシレンに変更し、温度138~141℃で還流した以外は実施例3と同様に実施し、粗組成物を得た。得られた粗組成物をHPLCにて定量分析を行った。結果を表1に記す。
実施例4:BP-POB2の精製(懸濁洗浄)
実施例1で得られた反応液を濾過した後、固体をDMF40gで洗浄し、BP-POB2を含む粗組成物を得た。撹拌機および温度センサーを備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、得られたBP-POB2を含む粗組成物およびDMF180g(BPに対して4.5質量倍)を仕込み、140℃で3時間、懸濁状態で撹拌を継続した。懸濁液を40℃まで冷却し、吸引ろ過した後、メタノール40gで洗浄し、得られた固形分を再び撹拌機および温度センサーを備えた0.5Lの4ツ口フラスコに加え、さらにメタノール240g(BPに対して6.0質量倍)を仕込み、60℃で2時間、懸濁状態で撹拌を継続した。懸濁液を40℃まで冷却し、吸引ろ過した後、メタノール40gで洗浄し、回収した結晶を10Torr、70℃で減圧乾燥することにより、BP-POB2を得た(収率81.7%)。得られたBP-POB2をHPLCにて定量分析を行った。分析結果を表2に記す。
実施例5:HQ-POB2の精製(再結晶)
実施例2で得られた反応液を濾過した後、固体をメタノール260gで洗浄し、HQ-POB2を含む粗組成物を得た。撹拌機および温度センサーを備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、得られたHQ-POB2を含む粗組成物およびDMF440g(HQに対して11.0質量倍)を仕込み、撹拌しながら80℃まで昇温し、HQ-POB2を溶解させた。フィルターで熱時濾過した後、撹拌しながらで5℃まで降温し、結晶を析出させた。吸引ろ過した後、シクロヘキサノン100gで洗浄し、結晶を回収した。撹拌機および温度センサーを備えた1Lの4ツ口フラスコに、得られたHQ-POB2を含む粗組成物およびシクロヘキサノン520g(HQに対して13.0質量倍)を仕込み、撹拌しながら150℃まで昇温し、150℃で2時間、懸濁状態で撹拌を継続した。懸濁液を40℃まで冷却し、吸引ろ過した後、メタノール80gで洗浄し、結晶を回収した。20Torr、75℃で減圧乾燥することにより、HQ-POB2を得た(収率71.0%)。得られたHQ-POB2をUPLCにて定量分析を行った。分析結果を表3に記す。
実施例6:MeHQ-POB2の精製(懸濁洗浄)
実施例3で得られた反応液を濾過した後、固体をメタノール120gで洗浄し、MeHQ-POB2を含む粗組成物を得た。撹拌機および温度センサーを備えた0.5Lの4ツ口フラスコに、得られたMeHQ-POB2を含む粗組成物およびトルエン:メタノール7:3(質量比)の混合媒体360g(MeHQに対して9.0質量倍)を仕込み、25℃で1時間、懸濁状態で撹拌を継続した。懸濁液を吸引ろ過した後、メタノール117gで洗浄し、回収した結晶を100℃で通風乾燥することにより、MeHQ-POB2を得た(収率83.9%)。得られたMeHQ-POB2をHPLCにて定量分析を行った。分析結果を表4に記す。
表1に示す通り、メシチレン溶媒の本発明の実施例1~3は、メシチレン以外の溶媒を使用して実施した比較例1~3と比較して、ビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の生成率が大幅に高いことが分かる。また、表2~4に示す通り、さらに懸濁洗浄や再結晶等の精製を実施することにより副生物を有意に除去可能であることが分かる。
Figure 2023050882000012
Figure 2023050882000013
Figure 2023050882000014
Figure 2023050882000015

Claims (19)

  1. メシチレンおよび酸触媒の存在下、式(1)
    Figure 2023050882000016
    [式中、Arは置換基を有してもよい2価の芳香族基を示す]
    で表されるジオールと、4-ヒドロキシ安息香酸と
    を反応させる工程を含む、式(2)
    Figure 2023050882000017
    [式中、Arは式(1)におけるArと同じ2価の芳香族基を示す]
    で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物の製造方法。
  2. Arは以下の式(a)~(c)
    Figure 2023050882000018
    [式中、「※」は、それぞれ、結合位置を示す]
    の何れかで表される基である、請求項1に記載の方法。
  3. Arは前記式(a)で表される基である、請求項2に記載の方法。
  4. Arは前記式(b)で表される基である、請求項2に記載の方法。
  5. Arは前記式(c)で表される基である、請求項2に記載の方法。
  6. メシチレンの使用量は、前記式(1)で表されるジオール100質量部に対して100~3000質量部である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記式(1)で表されるジオール1モルに対し、4-ヒドロキシ安息香酸1~3モルを反応させる、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記式(1)で表されるジオール100質量部に対し、酸触媒0.1~50質量部を存在させる、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
  9. 酸触媒はp-トルエンスルホン酸である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記式(1)で表されるジオールと4-ヒドロキシ安息香酸とを、80~200℃の温度で反応させる、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記工程は前記式(2)で表されるビスヒドロキシ安息香酸エステル化合物を含む粗組成物を得る工程である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記粗組成物を、懸濁洗浄溶媒で懸濁洗浄させる工程を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 懸濁洗浄溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(a)
    Figure 2023050882000019
    で表される基である、請求項13に記載の方法。
  15. 懸濁洗浄溶媒はトルエンを含む、請求項12に記載の方法。
  16. 前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(c)
    Figure 2023050882000020
    で表される基である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記粗組成物を、再結晶溶媒で再結晶させる工程を含む、請求項11に記載の方法。
  18. 再結晶溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記式(1)および前記式(2)において、Arは以下の式(b)
    Figure 2023050882000021
    で表される基である、請求項18に記載の方法。
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