JP2023045931A - 転写シート並びに前記転写シートを用いた部材の製造方法及び部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】屋外での使用でも、転写層を構成する層と層との間との密着性の低下を抑制することができる、優れた耐候性を有する外装用転写シート及び前記外装用転写シートを用いた外装用部材を提供することを目的とする。【解決手段】剥離フィルム上に転写層を有し、前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用転写シート。【選択図】図1
Description
本開示は、転写シート並びに前記転写シートを用いた部材の製造方法及び部材に関する。
従来、建築物の内装用及び外装用部材、建具、家具、車両の内装用及び外装用部材等の表面を装飾し、保護するための物品として、いわゆる転写シートが用いられてきた。
転写シートは、例えば剥離フィルム上に、表面保護層、図柄層、接着剤層等からなる転写層を有したものであり、この転写シートを部材等の基材表面に密着させた後、剥離フィルムを剥離して、基材表面に転写層のみを転写することで、基材表面に所望の機能を付与することができる。転写シートは、基材表面に所望の機能を付与するために、例えば、耐擦傷性、耐汚染性及び耐候性等の表面特性、また基材への密着性や加工特性等の様々な性能が求められる。
転写シートは、例えば剥離フィルム上に、表面保護層、図柄層、接着剤層等からなる転写層を有したものであり、この転写シートを部材等の基材表面に密着させた後、剥離フィルムを剥離して、基材表面に転写層のみを転写することで、基材表面に所望の機能を付与することができる。転写シートは、基材表面に所望の機能を付与するために、例えば、耐擦傷性、耐汚染性及び耐候性等の表面特性、また基材への密着性や加工特性等の様々な性能が求められる。
例えば、特許文献1には、基材表面を装飾する転写シートとして、剥離層に剥離可能に取り付けられた意匠転写層とを含む意匠転写シートが提案されている。
通常、転写シートは、剥離フィルム上に、表面保護層や接着剤層等を積層させた転写層を形成することにより製造される。そのため、転写層を構成する各層は、次の層を形成する前に、硬化させていることが必要である。特に、転写層に耐擦傷性や耐候性等を付与させる、いわゆるハードコート層は、ハードコート層に含まれる耐候剤等の添加剤のブリードアウトを防ぎ、転写後の転写層の表面に十分な耐擦傷性及び耐候性を付与させるために、十分に硬化させる必要がある。
しかしながら、特許文献1の転写シートでは、ハードコート層を形成した場合、ハードコート層を十分に硬化させる必要があることから、ハードコート層と、次に積層させる層との間の密着性を十分に確保することができず、特に外装用の部材等に用いた場合、経時により、転写層を構成する各層同士の密着性が弱くなることや、ハードコート層表面にクラックが生じること等の問題が生じる場合があった。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、屋外での使用でも、転写層を構成する層と層との間との密着性の低下を抑制することができる、優れた耐候性を有する外装用転写シート及び前記外装用転写シートを用いた外装用部材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決すべく、本開示は、以下の[1]~[11]を提供する。
[1]剥離フィルム上に転写層を有し、前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用転写シート。
[2]前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、[1]に記載の外装用転写シート。
[3]前記接着層が、熱可塑性樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の外装用転写シート。
[4]前記熱可塑性樹脂が、ウレタン樹脂及びポリアクリルポリオールを含む、[3]に記載の外装用転写シート。
[5]前記接着層が、更に硬化剤を含む、[3]又は[4]に記載の外装用転写シート。
[6]前記電離放射線硬化性樹脂組成物がカプロラクトン系ウレタンアクリレートを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の外装用転写シート。
[7]前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の外装用転写シート。
[8]下記(1)及び(2)の工程を順に有する、外装用部材の製造方法。
(1)[1]~[6]のいずれかに記載の外装用転写シートの転写層側の面と基材とを密着させる工程。
(2)密着させた前記外装用転写シート及び基材から、前記外装用転写シートの剥離フィルムを剥離する工程。
[9]基材上に転写層を有する外装用部材であり、
前記転写層は、基材側から、接着層及びハードコート層をこの順に有し、
前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、
前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用部材。
[10]前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、[9]に記載の外装用部材。
[11]前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、[9]又は[10]に記載の外装用部材。
[1]剥離フィルム上に転写層を有し、前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用転写シート。
[2]前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、[1]に記載の外装用転写シート。
[3]前記接着層が、熱可塑性樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の外装用転写シート。
[4]前記熱可塑性樹脂が、ウレタン樹脂及びポリアクリルポリオールを含む、[3]に記載の外装用転写シート。
[5]前記接着層が、更に硬化剤を含む、[3]又は[4]に記載の外装用転写シート。
[6]前記電離放射線硬化性樹脂組成物がカプロラクトン系ウレタンアクリレートを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の外装用転写シート。
[7]前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、[1]~[6]のいずれかに記載の外装用転写シート。
[8]下記(1)及び(2)の工程を順に有する、外装用部材の製造方法。
(1)[1]~[6]のいずれかに記載の外装用転写シートの転写層側の面と基材とを密着させる工程。
(2)密着させた前記外装用転写シート及び基材から、前記外装用転写シートの剥離フィルムを剥離する工程。
[9]基材上に転写層を有する外装用部材であり、
前記転写層は、基材側から、接着層及びハードコート層をこの順に有し、
前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、
前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用部材。
[10]前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、[9]に記載の外装用部材。
[11]前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、[9]又は[10]に記載の外装用部材。
本開示によれば、屋外での使用でも、転写層を構成する層と層との間との密着性の低下を抑制することができる、優れた耐候性を有する外装用転写シート及び前記外装用転写シートを用いた外装用部材を提供することができる。
[外装用転写シート]
本開示の外装用転写シートは、剥離フィルム上に転写層を有し、前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上であることを特徴としている。
本開示の外装用転写シートは、剥離フィルム上に転写層を有し、前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上であることを特徴としている。
図1は、本開示の外装用転写シートの一実施形態を示す断面図である。図1の外装用転写シート10は、剥離フィルム1上に転写層11を有する。転写層11は剥離フィルム1に接する側から順に、少なくともハードコート層2及び接着層4を有している。なお、転写層11は、必要に応じ、ハードコート層2と接着層4との間に、プライマー層3を有してもよい。また、図1には図示されていないが、外装用転写シート10は、必要に応じ、接着層4の剥離フィルム1とは反対側の面上に、更に第2剥離フィルムを有してもよい。また、図1には図示されていないが、外装用転写シート10の転写層11は必要に応じ、更にその他の機能層を有してもよい。
転写層を構成する機能層の内、ハードコート層は、外装用部材に耐擦傷性や耐候性等の耐久性を付与するための機能を付与する層であることから、通常、外装用部材の最表面に形成されていることが好ましい。外装用転写シートは、通常、剥離フィルム上に、いくつかの層を積層させた転写層を形成し作製されるため、転写層におけるハードコート層は、剥離フィルムに接する形で形成されていることが好ましい。そして、接着層等の他の層については、形成されたハードコート層上に形成されることとなる。
ここで、ハードコート層は、ハードコート層に含まれる耐候剤等の添加剤のブリードアウトを防ぎ、外装用部材の表面に十分な耐擦傷性及び耐候性を付与させるために、十分に硬化させる必要がある。そのため、ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む場合、ハードコート層と、ハードコート層上に形成された接着層等の層との化学的相互作用及び物理的相互作用が小さくなる傾向があり、層間の密着性が低くなる傾向があった。そのため、特に昼夜の温度差や季節の違いによる温度差等、急激な温度変化が繰り返されるような環境下において、転写層を構成する各層同士の密着性が弱くなることや、ハードコート層表面にクラックが生じること等の問題が生じる場合があった。
上記の傾向は、特に電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物の場合は、紫外線硬化性樹脂組成物の場合よりも、ハードコート層の硬化がより進みやすいため、層間の密着性が低くなる傾向が顕著であった。
ここで、ハードコート層は、ハードコート層に含まれる耐候剤等の添加剤のブリードアウトを防ぎ、外装用部材の表面に十分な耐擦傷性及び耐候性を付与させるために、十分に硬化させる必要がある。そのため、ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む場合、ハードコート層と、ハードコート層上に形成された接着層等の層との化学的相互作用及び物理的相互作用が小さくなる傾向があり、層間の密着性が低くなる傾向があった。そのため、特に昼夜の温度差や季節の違いによる温度差等、急激な温度変化が繰り返されるような環境下において、転写層を構成する各層同士の密着性が弱くなることや、ハードコート層表面にクラックが生じること等の問題が生じる場合があった。
上記の傾向は、特に電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物の場合は、紫外線硬化性樹脂組成物の場合よりも、ハードコート層の硬化がより進みやすいため、層間の密着性が低くなる傾向が顕著であった。
一方で、本開示の外装用転写シートは、接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上であることから、転写層を構成する層と層との間との密着性の低下を抑制することができ、耐候性を向上することができる。
当該効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。
上降伏点荷重は、各層の粘り強さや強度を示す指標であり、上降伏点荷重が大きい程、温度変化に伴う変形が小さいことを示す。
したがって、接着層の70℃における上降伏点荷重が4.0MPa以上であることによって、高温環境下における転写層全体の変形を抑制するできることから、ハードコート層が他の層の変形に追従できるようになるため、ハードコート層のクラックや層間の浮きを抑制できると考えられる。
以上のようにして、転写層の耐久性及び耐候性を向上できると考えられる。
尚、本開示における上降伏点荷重は、JIS K7161-1:2014に準拠して得られる応力-ひずみ曲線から算出される。
応力-ひずみ曲線とは、JIS K7161-1:2014に準拠して、両端を把持した試験片を一定速度で引っ張りひずみを与え、試験片の伸度を横軸にとり、引っ張り応力を縦軸にとり、各伸度における引っ張り応力をプロットした曲線をいう。本明細書における上降伏点とは、前記曲線において応力が次第に増加し、弾性限界を超えるとき、応力が減少しながら、又は全く増加することなしにひずみが増加し始める点をいう。
また、本開示の70℃における上降伏点荷重は、厚さ50μmの塗膜を、70℃で1分間放置後、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し得られた応力-ひずみ曲線より求められる。
当該効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。
上降伏点荷重は、各層の粘り強さや強度を示す指標であり、上降伏点荷重が大きい程、温度変化に伴う変形が小さいことを示す。
したがって、接着層の70℃における上降伏点荷重が4.0MPa以上であることによって、高温環境下における転写層全体の変形を抑制するできることから、ハードコート層が他の層の変形に追従できるようになるため、ハードコート層のクラックや層間の浮きを抑制できると考えられる。
以上のようにして、転写層の耐久性及び耐候性を向上できると考えられる。
尚、本開示における上降伏点荷重は、JIS K7161-1:2014に準拠して得られる応力-ひずみ曲線から算出される。
応力-ひずみ曲線とは、JIS K7161-1:2014に準拠して、両端を把持した試験片を一定速度で引っ張りひずみを与え、試験片の伸度を横軸にとり、引っ張り応力を縦軸にとり、各伸度における引っ張り応力をプロットした曲線をいう。本明細書における上降伏点とは、前記曲線において応力が次第に増加し、弾性限界を超えるとき、応力が減少しながら、又は全く増加することなしにひずみが増加し始める点をいう。
また、本開示の70℃における上降伏点荷重は、厚さ50μmの塗膜を、70℃で1分間放置後、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し得られた応力-ひずみ曲線より求められる。
本開示の本開示の外装用転写シートにおいて、接着層の70℃における上降伏点荷重は、転写層の耐久性及び耐候性を向上するために、5.0MPa以上であることが好ましく、8.0MPa以上であることがより好ましく、12.0MPa以上であることが更に好ましい。
また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、30.0MPa以下であることが好ましく、25.0MPa以下であることがより好ましく、20.0MPa以下であることが更に好ましい。
また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、30.0MPa以下であることが好ましく、25.0MPa以下であることがより好ましく、20.0MPa以下であることが更に好ましい。
本開示の外装用転写シートにおいて、接着層の70℃における引張弾性率は、転写層の耐久性及び耐候性を向上するために、300MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましく、700MPa以上であることが更に好ましく、900MPa以上であることがより更に好ましい。
また、接着層の70℃における引張弾性率は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、1600MPa以下であることが好ましく、1400MPa以下であることがより好ましく、1200MPa以下であることが更に好ましい。
尚、本開示における引張弾性率は、JIS K7161-1:2014に準拠して求められる。
また、本開示の70℃における引張弾性率は、厚さ50μmの塗膜を、70℃で1分間放置後、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し得られた応力-ひずみ曲線より求められる。
また、接着層の70℃における引張弾性率は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、1600MPa以下であることが好ましく、1400MPa以下であることがより好ましく、1200MPa以下であることが更に好ましい。
尚、本開示における引張弾性率は、JIS K7161-1:2014に準拠して求められる。
また、本開示の70℃における引張弾性率は、厚さ50μmの塗膜を、70℃で1分間放置後、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し得られた応力-ひずみ曲線より求められる。
<剥離フィルム>
剥離フィルムは、外装用転写シートを構成する層において、転写層と剥離可能に積層された層である。剥離フィルムは、基材表面に転写層を転写した後に、転写層から剥離される。
剥離フィルムは、外装用転写シートを構成する層において、転写層と剥離可能に積層された層である。剥離フィルムは、基材表面に転写層を転写した後に、転写層から剥離される。
剥離フィルムは、外装用転写シートの転写工程での加工性を向上させるために、転写層と剥離可能に積層でき、かつ耐熱性を有するプラスチックフィルムが好ましい。
剥離フィルムとして用いるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ナイロン6又はナイロン66等のポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム等が挙げられ、この中ではポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でもポリエチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
剥離フィルムとして用いるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ナイロン6又はナイロン66等のポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム等が挙げられ、この中ではポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でもポリエチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
剥離フィルムの厚みは特に限定されないが、外装用転写シートの取り扱い性を向上させるために、10μm以上200μm以下が好ましく、15μm以上150μm以下がより好ましく、20μm以上100μm以下が更に好ましい。
<転写層>
本開示において転写層は、基材表面に転写される層であり、基材表面に所定の機能を付与する役割を有する。
本開示の外装用転写シートの転写層は、剥離フィルム側から、少なくともハードコート層及び接着層をこの順に有する。
本開示において転写層は、基材表面に転写される層であり、基材表面に所定の機能を付与する役割を有する。
本開示の外装用転写シートの転写層は、剥離フィルム側から、少なくともハードコート層及び接着層をこの順に有する。
また、転写層は、更にその他の機能層を有してもよい。その他の機能層としては、接着層、防眩層、防汚層、応力緩和層、帯電防止層、ガスバリア層、防曇層及び透明導電層等が挙げられる。
(ハードコート層)
本開示の外装用転写シートは、転写層にハードコート層を有する。本開示におけるハードコート層は、転写層に、例えば耐擦傷性や耐候性等に代表される耐久性を付与させるために形成される層である。その他、ハードコート層は、泥等の各種物質に対する耐汚染性等を備えることが好ましい。
本開示の外装用転写シートは、転写層にハードコート層を有する。本開示におけるハードコート層は、転写層に、例えば耐擦傷性や耐候性等に代表される耐久性を付与させるために形成される層である。その他、ハードコート層は、泥等の各種物質に対する耐汚染性等を備えることが好ましい。
本開示においてハードコート層は、耐擦傷性を向上させるために、樹脂成分として、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、ハードコート層を構成する全樹脂成分に対して、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、ハードコート層の耐擦傷性及び外装用転写シートの加工性を向上させるために、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いる。
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、例えば、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少なく、着色がしにくいことから、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、ハードコート層が紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が硬化物層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、例えば、電子線硬化性樹脂組成物及び紫外線硬化性樹脂組成物が挙げられ、これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少なく、着色がしにくいことから、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。また、ハードコート層が紫外線吸収剤を含有する場合、電子線硬化性樹脂組成物の方が硬化物層の架橋密度を高くしやすく、耐擦傷性及び耐汚染性を良好にしやすい点でも好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基等が好ましく挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクロイル基を示す。また、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含まれる。
また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性化合物は、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上させるために、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が含まれることが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、カプロラクトン系ウレタンアクリレートを用いることが好ましく、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートを混合して用いることがより好ましい。カプロラクトン系ウレタンアクリレートを用いることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性をより向上しやすくできる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、カプロラクトン系ウレタンアクリレートを用いることが好ましく、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートを混合して用いることがより好ましい。カプロラクトン系ウレタンアクリレートを用いることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性をより向上しやすくできる。
電離放射線硬化性化合物として、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートを混合して用いる場合、ハードコート層に含まれるカプロラクトン系ウレタンアクリレートの含有量をMCLUA、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートの含有量をMUAとしたとき、質量比MCLUA/MUAは、40/60以上90/10以下が好ましく、45/55以上80/20以下がより好ましく、50/50以上70/30以下が更に好ましい。
質量比MCLUA/MUAを上記範囲内にすることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。
質量比MCLUA/MUAを上記範囲内にすることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。
カプロラクトン系ウレタンアクリレートは、通常、カプロラクトン系ポリオールと、有機イソシアネートと、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。合成法としては、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて、両末端に-NCO基(イソシアナート基)を含有するポリウレタンプレポリマーを生成させた後に、ヒドロキシ(メタ)アクリレートと反応させる方法が好ましい。反応の条件等は常法に従えばよい。
カプロラクトン系ポリオールとしては、市販されるものを使用することができ、好ましくは2個の水酸基を有し、数平均分子量が好ましくは500~3000、より好ましくは750~2000のものが挙げられる。また、カプロラクトン系以外のポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のポリオールを1種又は複数種を任意の割合で混合して使用することもできる。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレート等が好ましく挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレート等が好ましく挙げられる。
本開示において、電離放射線硬化性樹脂組成物がカプロラクトン系ポリオールを含む場合、カプロラクトン系ウレタンアクリレートは、カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートであることが好ましい。カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートとは、カプロラクトン系ウレタンアクリレートのうち、末端がジエチレングリコールとなっているウレタンアクリレートのことである。カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートを用いることで、特に割れや白化が生じることがない加工性に優れる外装用転写シート及び外装用部材が得られる。
本開示において電離放射線硬化性化合物の数平均分子量は、1000以上10000以下であることが好ましく、2000以上10000以下がより好ましい。すなわち、電離放射線硬化性化合物はオリゴマーであることが好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、ハードコート層を形成するための組成物が適度なチキソ性が得られるので、加工性に優れ、ハードコート層の形成が容易となる。また、ハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。
なお、本明細書において、数平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
なお、本明細書において、数平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
本開示において電離放射線硬化性化合物の官能基数としては、2以上20以下が好ましく、2以上18以下がより好ましく、2以上15以下が更に好ましい。電離放射線硬化性化合物の官能基数を2以上とすることにより、ハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくでき、電離放射線硬化性化合物の官能基数を20以下とすることにより、外装用転写シートの加工特性及び、転写層の層間の密着性を向上しやすくできる。
また、電離放射線硬化性化合物にカプロラクトン系ウレタンアクリレートの場合、カプロラクトン系ウレタンアクリレートの官能基数は、2以上4以下が好ましく、2以上3以下がより好ましい。カプロラクトン系ウレタンアクリレートの官能基数を上記範囲内にすることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。
また、電離放射線硬化性化合物にカプロラクトン系ウレタンアクリレートの場合、カプロラクトン系ウレタンアクリレートの官能基数は、2以上4以下が好ましく、2以上3以下がより好ましい。カプロラクトン系ウレタンアクリレートの官能基数を上記範囲内にすることにより、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、光重合開始剤及び光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ハードコート層は、本開示の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、有機粒子及び無機粒子等を用いることが好ましい。
ハードコート層に含まれる紫外線吸収剤としては、ハードコート層から紫外線吸収剤ブリードアウトすることを抑制しやすく、外装用転写シートの転写層に長時間の耐候性を付与することができることから、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキ
シ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール等が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキ
シ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール等が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ハードコート層に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、0.8質量部以上8質量部以下がより好ましく1質量部以上5質量部以下がより好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であれば、該紫外線吸収剤がブリードアウトすることなく、また十分な紫外線吸収能が得られるので、優れた耐候性が得られる。また、紫外線吸収剤の含有量を10質量部以下とすることで、ハードコート層の架橋密度を低下し難くでき、耐久性を向上しやすくできる。
ハードコート層に含まれる光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)等が挙げられる。
ハードコート層に含まれる光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、1.5質量部以上8質量部以下がより好ましく、2質量部以上5質量部以下が更に好ましい。光安定剤の含有量が上記範囲内であれば、該光安定剤がブリードアウトすることなく、また十分な光安定性が得られるので、優れた耐候性が得られる。
ハードコート層の厚みは、外装用転写シートの加工特性並びにハードコート層の耐擦傷性及び耐候性を向上させるために、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、4μm以上10μm以下が更に好ましい。
(プライマー層)
また、本開示の外装用部材は、転写層に、更に、プライマー層を有することが好ましい。転写層がプライマー層を有する場合は、ハードコート層と後述の接着層との間に有することがより好ましい。転写層にプライマー層を有することにより、転写層を構成する層と層との間の密着性を向上しやすくでき、転写層の耐候性及び耐久性を向上しやすくできる。
また、本開示の外装用部材は、転写層に、更に、プライマー層を有することが好ましい。転写層がプライマー層を有する場合は、ハードコート層と後述の接着層との間に有することがより好ましい。転写層にプライマー層を有することにより、転写層を構成する層と層との間の密着性を向上しやすくでき、転写層の耐候性及び耐久性を向上しやすくできる。
プライマー層は、外装用転写シートの加工性及び転写層に含有される層と層との間の密着性を向上させるために、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
プライマー層に含まれる硬化性樹脂組成物の物硬化物としては、転写層に含有される層と層との間の密着性を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらは単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。また、熱硬化性樹脂組成物は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加したものであってもよい。
プライマー層に含まれる硬化性樹脂組成物の物硬化物としては、転写層に含有される層と層との間の密着性を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらは単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。また、熱硬化性樹脂組成物は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加したものであってもよい。
プライマー層に含まれる熱硬化性樹脂組成物の硬化物としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はウレタンアクリル樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましく、ウレタンアクリル樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物が更に好ましい。また、プライマー層に含まれる熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、プライマー層に含まれる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の構造をよりリジットにするために、イソシアネート系硬化剤又はエポキシ系硬化剤を含むことが好ましく、イソシアネート系硬化剤を含むことがより好ましい。
また、プライマー層がウレタンアクリル樹脂を含む場合、ウレタンアクリル樹脂は、アクリルウレタン共重合体であることが好ましく、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体であることが好ましい。
プライマー層がポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体を含むことによって、転写層を構成する層と層との間の密着性を向上しやすくでき、転写層の耐候性及び耐久性を向上しやすくなる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、ポリカーボネートジオールと(ジ)イソシアネートを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤として使用して、アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
プライマー層がポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体を含むことによって、転写層を構成する層と層との間の密着性を向上しやすくでき、転写層の耐候性及び耐久性を向上しやすくなる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、ポリカーボネートジオールと(ジ)イソシアネートを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤として使用して、アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
(ジ)イソシアネートとしては、例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、n-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、o-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、及びこれらの付加体、多量体等を、単独で又は2種以上を併用できる。これらの中でも、転写層の層間の密着性を向上させるため、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネートを用いることが好ましい。
アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を併
用できる。
用できる。
本開示において、プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を含む場合、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体のウレタン成分とアクリル成分の質量比[ウレタン成分]/[アクリル成分]は、75/25以上95/5以下が好ましく、80/20以上90/10以下がより好ましい。
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の[ウレタン成分]/[アクリル成分]が75/25以上であることにより、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体中のウレタン結合及びポリカーボネートジオールに由来するポリカーボネート構造を多くすることができるため、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の構造がよりリジットにし易くでき、温度変化に対する変形を小さくしやすくできる。そのため、転写層のハードコート層におけるクラックの抑制や転写層の層間の浮きを抑制しやすくでき、耐候性を向上しやすくできる。また、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の[ウレタン成分]/[アクリル成分]が95/5以下であることにより、プライマー層の柔軟性を確保することができるため、転写層の層間の密着性を向上しやすくできる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の[ウレタン成分]/[アクリル成分]が75/25以上であることにより、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体中のウレタン結合及びポリカーボネートジオールに由来するポリカーボネート構造を多くすることができるため、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の構造がよりリジットにし易くでき、温度変化に対する変形を小さくしやすくできる。そのため、転写層のハードコート層におけるクラックの抑制や転写層の層間の浮きを抑制しやすくでき、耐候性を向上しやすくできる。また、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の[ウレタン成分]/[アクリル成分]が95/5以下であることにより、プライマー層の柔軟性を確保することができるため、転写層の層間の密着性を向上しやすくできる。
プライマー層の厚みは、外装用転写シートの加工特性並びに転写層の層間の密着性を向上させるために、2μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上5μm以下が更に好ましい。
(接着層)
本開示の外装用転写シートは、転写層に接着層を有する。接着層は、上述のハードコート層上に形成される。また、転写層がプライマー層を有する場合は、接着層は上述のプライマー層上に形成されることが好ましい。本開示における接着層は、外装用転写シートの転写層を構成する層において、基材と接する層であり、例えば基材との密着性を向上させるために形成される。
本開示の外装用転写シートは、転写層に接着層を有する。接着層は、上述のハードコート層上に形成される。また、転写層がプライマー層を有する場合は、接着層は上述のプライマー層上に形成されることが好ましい。本開示における接着層は、外装用転写シートの転写層を構成する層において、基材と接する層であり、例えば基材との密着性を向上させるために形成される。
本開示において接着層は、外装用部材を構成する基材と転写層との間の密着性を向上させるために、熱硬化性樹脂組成物の硬化物又は熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。
接着層の70℃における上降伏点荷重は、接着層のTgにより調整することができ、Tgを大きくすることにより、高温の環境下においても、樹脂が軟化することを抑制しやすくできるため、70℃における上降伏点荷重を大きくすることができる。
また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、接着層に含まれる樹脂の架橋密度によって調整することができ、架橋密度を大きくすることで、接着層のTgを大きくすることができ、また、高温の環境下における軟化を抑制しやすくできるため、70℃における上降伏点荷重を大きくすることができる。
また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、接着層に含まれる樹脂の架橋密度によって調整することができ、架橋密度を大きくすることで、接着層のTgを大きくすることができ、また、高温の環境下における軟化を抑制しやすくできるため、70℃における上降伏点荷重を大きくすることができる。
熱硬化性樹脂としては、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものが好ましく、例えば、2液硬化型ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂等を例示できる。なお、2液硬化型ウレタン系樹脂を構成するウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを硬化剤とするポリウレタンである。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリアクリルポリオール、ウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル共重合、アクリル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて使用できる。この中でも、転写層の層間の密着性及び耐候性、外装用転写シートを用いた外装用部材を形成時の加工性、並びに転写層と基材との密着性を向上させるために、アクリル樹脂、ポリアクリルポリオール及びウレタン樹脂を用いることが好ましい。また、ポリアクリルポリオールとウレタン樹脂とを組み合わせて用いることがより好ましい。
また、接着層に熱可塑性樹脂を用いる場合、更に硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤を含むことによって、接着層の架橋密度を高くすることができるため、接着層の上降伏点荷重を4.0MPa以上とし易くすることができ、転写層の層間の密着性及び耐候性を向上しやすくできる。
熱可塑性樹脂を用いる場合の硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤が好ましい。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。
熱可塑性樹脂を用いる場合の硬化剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下が好ましく、15質量部以上45質量部以下がより好ましい。
硬化剤の含有量を5質量部以上とすることにより、接着層の上降伏点荷重を大きくすることができ、屋外で使用の際に、転写層のハードコート層のクラック等を防ぎやすくすることができる。また、硬化剤の含有量を60質量部以下とすることにより、接着層の柔軟性を確保することができるため、転写層の層間及び外装用部材の転写層と基材との密着性を向上しやすくし、転写層の耐候性を向上しやすくでき、更に、転写シートを巻き取る際、ブロッキングの発生を抑制しやすくできる。
熱可塑性樹脂を用いる場合の硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤が好ましい。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。
熱可塑性樹脂を用いる場合の硬化剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下が好ましく、15質量部以上45質量部以下がより好ましい。
硬化剤の含有量を5質量部以上とすることにより、接着層の上降伏点荷重を大きくすることができ、屋外で使用の際に、転写層のハードコート層のクラック等を防ぎやすくすることができる。また、硬化剤の含有量を60質量部以下とすることにより、接着層の柔軟性を確保することができるため、転写層の層間及び外装用部材の転写層と基材との密着性を向上しやすくし、転写層の耐候性を向上しやすくでき、更に、転写シートを巻き取る際、ブロッキングの発生を抑制しやすくできる。
本開示において、接着層は、更に着色剤を含んでいてもよい。接着層が着色剤を含むことにより、転写層に意匠性を付与することができる。
着色剤としては、特に制限は無く、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片等の真珠光沢(パール)顔料;等が挙げられる。
着色剤としては、特に制限は無く、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片等の真珠光沢(パール)顔料;等が挙げられる。
接着層が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、接着層を構成する樹脂100質量部に対して、5質量部以上140質量部以下が好ましく、15質量部以上120質量部以下がより好ましく、20質量部以上100質量部以下が更に好ましい。
着色剤の含有量が5質量部以上であることにより、外装用部材を形成時、外装用部材の意匠性をより向上することができる。また、着色剤の含有量が90質量部以下であることにより、着色剤による接着層と基材との密着性の低下を抑制しやすくでき、外装用部材を形成した際、より耐久性のある転写層を形成しやすくできる。
着色剤の含有量が5質量部以上であることにより、外装用部材を形成時、外装用部材の意匠性をより向上することができる。また、着色剤の含有量が90質量部以下であることにより、着色剤による接着層と基材との密着性の低下を抑制しやすくでき、外装用部材を形成した際、より耐久性のある転写層を形成しやすくできる。
また、接着層は、本開示の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、体質顔料、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、上述のハードコート層で提示した紫外線吸収剤を、好適に使用できる。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、10,000以上200,000以下が好ましく、20,000以上150、000以下が好ましく、30,000以上120,000以下がより好ましい。前記熱可塑性樹脂組成物の重量平均分子量が前記の範囲内であると、コーティング適性が良好になり、接着層を良好な状態で形成しやすくなる。更に、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を製造する際、接着層と基材との密着性を向上しやすくなり、部材の耐久性を向上しやすくできる。
接着層の厚みは、2μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上5μm以下が更に好ましい。接着層の厚みが上記範囲内であると、外装用部材を形成時、基材密着層と基材との密着性を良好にしやすくできる。
(第2剥離フィルム)
本開示の外装用転写シートは、転写層の剥離フィルムとは反対側の面上に、更に第2剥離フィルムを有してもよい。本開示の外装用転写シートが第2剥離フィルムを有することにより、外装用転写シートを作製時にロール状に巻き取った際にブロッキングを防ぎやすくしたり、外装用転写シートが不用意に他の物体に貼りつくことを防ぎやすくしたりできる。
本開示の外装用転写シートは、転写層の剥離フィルムとは反対側の面上に、更に第2剥離フィルムを有してもよい。本開示の外装用転写シートが第2剥離フィルムを有することにより、外装用転写シートを作製時にロール状に巻き取った際にブロッキングを防ぎやすくしたり、外装用転写シートが不用意に他の物体に貼りつくことを防ぎやすくしたりできる。
剥離フィルムと転写層との剥離強度をP1、第2剥離フィルムと転写層との間の剥離強度をP2と定義した際に、P2<P1であることが好ましい。P2<P1であることにより、剥離フィルムよりも先に第2剥離フィルムを剥離しやすくできる。
なお、本明細書において、剥離強度は、JIS Z 0237:2009の180度剥離試験に準拠して測定できる。
なお、本明細書において、剥離強度は、JIS Z 0237:2009の180度剥離試験に準拠して測定できる。
第2剥離フィルムは、転写層と剥離可能であれば特に制限されることなく、プラスチックフィルムが好適に用いられる。
第2剥離フィルムとして用いるプラスチックフィルムとしては、上述の剥離フィルムで例示したものと同様のものを使用できる。例示したプラスチックフィルムの中でも、外装用転写シートの取り扱い性を向上させるために、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。
第2剥離フィルムとして用いるプラスチックフィルムとしては、上述の剥離フィルムで例示したものと同様のものを使用できる。例示したプラスチックフィルムの中でも、外装用転写シートの取り扱い性を向上させるために、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。
第2剥離フィルムは、転写層と接する表面が、剥離剤等で剥離処理されていることが好ましい。剥離剤としては、フッ素系離型剤及びシリコーン系離型剤等の公知の離型剤を使用できる。第2剥離フィルムが離型剤等で剥離処理されていることにより、剥離強度P1と剥離強度P2の関係をP2<P1にしやすくできる。
第2剥離フィルムの厚みは特に限定されないが、外装用転写シートの取り扱い性を向上させるために、10μm以上200μm以下であることが好ましく、15μm以上150μm以下であることがより好ましく、20μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
以上のように、本開示の外装用転写シートは、優れた耐候性を有するため、外壁、屋根、軒天井、柵、門扉等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材、車両の外装用部材として好適に用いられる。
<外装用転写シートの製造方法>
本開示の外装用転写シートの製造方法は、ハードコート層形成工程及び接着層形成工程を少なくとも有する。
本開示の外装用転写シートの製造方法は、ハードコート層形成工程及び接着層形成工程を少なくとも有する。
(ハードコート層形成工程)
ハードコート層形成工程は、剥離フィルム上にハードコート層を形成する工程である。ハードコート層の形成方法としては、ハードコート層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥させ、電子線等の電離放射線を照射し硬化することによって形成できる。
また、ハードコート層形成後、ハードコート層と他の層との密着性を向上させるため、形成したハードコート層の表面にコロナ処理をすることが好ましい。
ハードコート層形成工程は、剥離フィルム上にハードコート層を形成する工程である。ハードコート層の形成方法としては、ハードコート層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥させ、電子線等の電離放射線を照射し硬化することによって形成できる。
また、ハードコート層形成後、ハードコート層と他の層との密着性を向上させるため、形成したハードコート層の表面にコロナ処理をすることが好ましい。
(接着層形成工程)
接着層形成工程は、ハードコート層形成工程で形成したハードコート層上に接着層を形成する工程である。また、外装用転写シートの転写層にプライマー層を形成する場合、接着層形成工程は、後述のプライマー層形成工程で形成したプライマー層上に接着層を形成する工程であることが好ましい。
接着層の形成方法としては、接着層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することによって形成できる。
接着層形成工程は、ハードコート層形成工程で形成したハードコート層上に接着層を形成する工程である。また、外装用転写シートの転写層にプライマー層を形成する場合、接着層形成工程は、後述のプライマー層形成工程で形成したプライマー層上に接着層を形成する工程であることが好ましい。
接着層の形成方法としては、接着層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することによって形成できる。
(プライマー層形成工程)
本開示の外装用転写シートの製造工程は、必要に応じ、プライマー層形成工程を有してもよい。プライマー層形成工程は、ハードコート層形成工程で形成したハードコート層上にプライマー層を形成する工程であることが好ましい。プライマー層の形成方法としては、プライマー層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することによって形成できる。
本開示の外装用転写シートの製造工程は、必要に応じ、プライマー層形成工程を有してもよい。プライマー層形成工程は、ハードコート層形成工程で形成したハードコート層上にプライマー層を形成する工程であることが好ましい。プライマー層の形成方法としては、プライマー層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布し、必要に応じて、乾燥、硬化することによって形成できる。
(第2の剥離フィルム形成工程)
本開示の外装用転写シートの製造工程は、必要に応じ、第2の剥離フィルム形成工程を有してもよい。第2の剥離フィルム形成工程は、上述の転写層上に第2の剥離フィルムを形成する工程であり、例えば公知のラミネート法で積層することができる。
また、第2の剥離フィルム形成工程の前に、第2の剥離フィルムの一方の面上を剥離処理する工程を含んでもよい。前記剥離処理をする方法は公知の塗布方法を用いることができ、例えばグラビアコートにより処理できる。
本開示の外装用転写シートの製造工程は、必要に応じ、第2の剥離フィルム形成工程を有してもよい。第2の剥離フィルム形成工程は、上述の転写層上に第2の剥離フィルムを形成する工程であり、例えば公知のラミネート法で積層することができる。
また、第2の剥離フィルム形成工程の前に、第2の剥離フィルムの一方の面上を剥離処理する工程を含んでもよい。前記剥離処理をする方法は公知の塗布方法を用いることができ、例えばグラビアコートにより処理できる。
<外装用部材の製造方法>
本開示の外装用転写シートを用い、外装用転写シートの転写層を基材に転写することによって、本開示の外装用転写シート用いた外装用部材を製造できる。
本開示の外装用転写シートを用い、外装用転写シートの転写層を基材に転写することによって、本開示の外装用転写シート用いた外装用部材を製造できる。
(基材)
基材については、特に限定されることなく、樹脂、紙、不織布又は織布、木材、金属、非金属無機材料等を途に応じて適宜選択できる。
また、樹脂を基材として用いる場合には、外装用転写シートの転写層と基材との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法及びや凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。また、鋼板に用いられる金属としては、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛めっき処理及び電気亜鉛めっき処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材の形状は特に限定されることなく、シート形状等の平板状のものであってもよく、また、曲面板、多角柱等の三次元形状の有するものであってもよい。
基材については、特に限定されることなく、樹脂、紙、不織布又は織布、木材、金属、非金属無機材料等を途に応じて適宜選択できる。
また、樹脂を基材として用いる場合には、外装用転写シートの転写層と基材との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法及びや凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。また、鋼板に用いられる金属としては、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛めっき処理及び電気亜鉛めっき処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材の形状は特に限定されることなく、シート形状等の平板状のものであってもよく、また、曲面板、多角柱等の三次元形状の有するものであってもよい。
本開示の外装用部材の製造方法は、少なくとも下記(1)及び(2)の工程を順に有する。
(1)上述した本開示の外装用転写シートの転写層側の面と基材とを密着させる工程。
(2)密着させた前記外装用転写シート及び基材から、前記外装用転写シートの剥離フィルムを剥離する工程。
(1)上述した本開示の外装用転写シートの転写層側の面と基材とを密着させる工程。
(2)密着させた前記外装用転写シート及び基材から、前記外装用転写シートの剥離フィルムを剥離する工程。
上記(1)の工程の一実施形態としては、例えば、下記(a1)及び(a2)の工程を順に有する、ラミネート法による方法が挙げられる。
(a1)平板上の基材上に、上述の外装用転写シートの転写層側の面を接し、重ね合わせる工程。
(a2)外装用転写シートの剥離フィルム側から加熱及び加圧し、前記平板上の基材と前記外装用転写シートの転写層とを密着させる工程。
(a1)平板上の基材上に、上述の外装用転写シートの転写層側の面を接し、重ね合わせる工程。
(a2)外装用転写シートの剥離フィルム側から加熱及び加圧し、前記平板上の基材と前記外装用転写シートの転写層とを密着させる工程。
工程(a1)及び(a2)は、ロール転写装置等により加熱及び加圧を併用したラミネート法により実施できる。
工程(a2)において、ロール転写装置のラミロール温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。ラミロール温度を200℃以下とすることによって、外装用転写シートの転写層が必要以上に軟化することを防ぎやすくなり、転写層を良好な状態で基材に転写できる。また、工程(a2)におけるロール転写装置のラミロール温度の下限値は、外装用転写シートの転写層と基材とが密着されれば特に制限はされないが、通常は100℃以上であり、110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
また、上記(1)の他の実施形態としては、例えば、下記(z1)~(z4)の工程を順に有する、インモールド成形による方法が挙げられる。
(z1)上述の外装用転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程。
(z2)前記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程。
(z3)前記外装用転写シートと、前記樹脂とを一体化させて、前記外装用転写シートの転写層と前記樹脂とを密着させ、樹脂成形体を形成する工程。
(z4)前記樹脂成形体を前記インモールド成形用金型から取り出す工程。
(z1)上述の外装用転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程。
(z2)前記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程。
(z3)前記外装用転写シートと、前記樹脂とを一体化させて、前記外装用転写シートの転写層と前記樹脂とを密着させ、樹脂成形体を形成する工程。
(z4)前記樹脂成形体を前記インモールド成形用金型から取り出す工程。
また、上述した外装用転写シートの接着層が硬化剤を含む場合、上記(2)の工程の後、接着層の硬化を進行させるために、下記(3)の工程を有することが好ましい。
(3)一定の温度下で所定時間エージングを行う工程。
(3)一定の温度下で所定時間エージングを行う工程。
エージングの温度条件は、70℃以下であることが好ましく、65℃以下であることが好ましい。70℃以下にすることで、接着層等の硬化反応が緩やかに進み、硬化反応に伴う急激な収縮を防ぐことができる。また、エージングの温度条件の下限値は、接着層等の構成により異なるが、接着層内に含まれる樹脂組成物の硬化反応を促進させるために、通常は40℃以上である。
また、エージングの時間は、接着層等の構成、又はエージングの温度条件により異なるが、通常は12時間以上であり、18時間以上が好ましく、24時間以上がより好ましく、36時間以上が更に好ましい。
また、エージングの時間は、接着層等の構成、又はエージングの温度条件により異なるが、通常は12時間以上であり、18時間以上が好ましく、24時間以上がより好ましく、36時間以上が更に好ましい。
また、上述した外装用転写シートが、転写層の剥離フィルム側とは反対側の面に第2剥離フィルムを有する場合、上記(1)の工程の前に、下記(0)の工程を有することが好ましい。
(0)上述の外装用転写シートから、第2剥離フィルムを剥離し、転写層を露出させる工程。
(0)上述の外装用転写シートから、第2剥離フィルムを剥離し、転写層を露出させる工程。
[外装用部材]
本開示の外装用部材は、基材上に転写層を有する外装用部材であり、前記転写層は、基材側から、接着層及びハードコート層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上であることを特徴としている。
本開示の外装用部材は、基材上に転写層を有する外装用部材であり、前記転写層は、基材側から、接着層及びハードコート層をこの順に有し、前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上であることを特徴としている。
図2は、本開示の外装用部材の一実施形態を示す断面図である。図2の外装用部材20は、基材5上に転写層11を有する。転写層11は基材5に接する側から順に、接着層4及びハードコート層2を有している。なお、転写層11は、必要に応じ、接着層4とハードコート層2との間に、プライマー層3を有してもよい。また、図2には図示されていないが、外装用部材20の転写層11は必要に応じ、更にその他の機能層を有してもよい。
本開示の外装用部材は、接着層の70℃における上降伏点荷重が4.0MPa以上であることから、屋外のような、急激な温度変化を伴う環境下においても、転写層の耐久性及び耐候性を向上することができる。
また、本開示の本開示の外装用部材において、接着層の70℃における上降伏点荷重は、転写層の耐久性及び耐候性を向上するために、5.0MPa以上であることが好ましく、8.0MPa以上であることがより好ましく、12.0MPa以上であることが更に好ましい。また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、30.0MPa以下であることが好ましく、25.0MPa以下であることがより好ましく、20.0MPa以下であることが更に好ましい。
また、本開示の本開示の外装用部材において、接着層の70℃における上降伏点荷重は、転写層の耐久性及び耐候性を向上するために、5.0MPa以上であることが好ましく、8.0MPa以上であることがより好ましく、12.0MPa以上であることが更に好ましい。また、接着層の70℃における上降伏点荷重は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、30.0MPa以下であることが好ましく、25.0MPa以下であることがより好ましく、20.0MPa以下であることが更に好ましい。
本開示の外装用部材において、接着層の70℃における引張弾性率は、転写層の耐久性及び耐候性を向上するために、300MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましく、700MPa以上であることが更に好ましく、900MPa以上であることがより更に好ましい。また、接着層の70℃における引張弾性率は、本開示の外装用転写シートを用いて外装用部材を作製する際、転写層の追従性を向上しやすくし、外装用転写シートの加工性、並びに転写層の耐久性及び耐候性を向上しやすくするために、1600MPa以下であることが好ましく、1400MPa以下であることがより好ましく、1200MPa以下であることが更に好ましい。
また、本開示の外装用部材は、転写層に更にプライマー層を有することが好ましい。転写層がプライマー層を有する場合は、ハードコート層と接着層との間に有することが好ましい。転写層にプライマー層を有することにより、転写層を構成する層と層との間の密着性を向上しやすくでき、転写層の耐候性及び耐久性を向上しやすくできる。
以上のように、本開示の外装用部材は、優れた耐候性を有するため、外壁、屋根、軒天井、柵、門扉等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材、車両の外装用部材として好適に用いられ、特に直射日光に晒される環境で用いられる外装用部材として好適に用いられる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。各性状値は、次の方法により、測定、評価した。
1.測定及び評価方法
1-1.70℃における上降伏点荷重及び引張弾性率の測定
実施例及び比較例で用いた接着層形成用液を用いて、離型PETの離型面側に塗布し、50℃2日間の条件で養生した後、離型PETを剥離して、厚さ50μmの樹脂サンプルを作製した。作製した樹脂サンプルから、幅1インチ(2.54cm)の試験片を切り出した。
試験片を、70℃の環境下で1分間放置した後、引張圧縮試験機(テンシロンRTC-1250A、オリエンテック社製)にセットし、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し、応力-ひずみ曲線を得た。得られた応力ひずみ曲線より、上降伏点荷重及び引張弾性率を求めた。測定結果は、表1にまとめた。
1-1.70℃における上降伏点荷重及び引張弾性率の測定
実施例及び比較例で用いた接着層形成用液を用いて、離型PETの離型面側に塗布し、50℃2日間の条件で養生した後、離型PETを剥離して、厚さ50μmの樹脂サンプルを作製した。作製した樹脂サンプルから、幅1インチ(2.54cm)の試験片を切り出した。
試験片を、70℃の環境下で1分間放置した後、引張圧縮試験機(テンシロンRTC-1250A、オリエンテック社製)にセットし、温度70℃、相対湿度50%RH、引張速度50mm/minの条件下で測定し、応力-ひずみ曲線を得た。得られた応力ひずみ曲線より、上降伏点荷重及び引張弾性率を求めた。測定結果は、表1にまとめた。
1-2.耐候性の評価
実施例及び比較例の外装用部材に対し、メタルハライドランプ(MWOM)による促進耐候試験(下記の照射条件で20時間紫外線を照射した後、下記の結露条件で4時間結露を行う工程を1サイクルとして、前記サイクルを繰り返し行う試験)を300時間又は500時間実施した。促進耐候試験を実施した外装用部材において、下記の(1)及び(2)の通り外観および密着性の評価を行った。評価結果は表1にまとめた。
<促進耐候試験の条件>
(試験装置)
ダイプラ・ウィンテス社製、商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
(照射条件)
照度:65mW/cm2、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
(結露条件)
照度:0mW/cm2、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
実施例及び比較例の外装用部材に対し、メタルハライドランプ(MWOM)による促進耐候試験(下記の照射条件で20時間紫外線を照射した後、下記の結露条件で4時間結露を行う工程を1サイクルとして、前記サイクルを繰り返し行う試験)を300時間又は500時間実施した。促進耐候試験を実施した外装用部材において、下記の(1)及び(2)の通り外観および密着性の評価を行った。評価結果は表1にまとめた。
<促進耐候試験の条件>
(試験装置)
ダイプラ・ウィンテス社製、商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
(照射条件)
照度:65mW/cm2、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
(結露条件)
照度:0mW/cm2、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
(1)外観
300時間又は500時間の間促進耐候試験を実施した外装用部材において、ハードコート層に生じたクラックを目視により確認し、下記評価基準で外観を評価した。評価結果は表1にまとめた。
<評価基準>
A:ハードコート層にクラックは生じていなかった。
B:ハードコート層にわずかにクラックが生じた。
C:ハードコート層にクラックが多数生じた。
300時間又は500時間の間促進耐候試験を実施した外装用部材において、ハードコート層に生じたクラックを目視により確認し、下記評価基準で外観を評価した。評価結果は表1にまとめた。
<評価基準>
A:ハードコート層にクラックは生じていなかった。
B:ハードコート層にわずかにクラックが生じた。
C:ハードコート層にクラックが多数生じた。
(2)密着性
粘着テープ(「セロテープ(登録商標)」、ニチバン株式会社製)を、300時間又は500時間の間促進耐候試験を実施した外装用部材の端部から5cm程はみ出るようにし、2.5cm×2.5cmの面積で貼り付けた。その後、貼り付けた粘着テープのはみ出た部分をつまみ、外装用部材の表面に対し45°の方向に粘着テープを剥がすことで、転写層の層間の密着性を確認し、下記の評価基準で密着性を評価した。評価結果は表1にまとめた。
<評価基準>
A:転写層の層間で剥離は生じなかった。
B:転写層の層間でわずかに剥離が生じた。
C:転写層の層間で剥離が生じた。
粘着テープ(「セロテープ(登録商標)」、ニチバン株式会社製)を、300時間又は500時間の間促進耐候試験を実施した外装用部材の端部から5cm程はみ出るようにし、2.5cm×2.5cmの面積で貼り付けた。その後、貼り付けた粘着テープのはみ出た部分をつまみ、外装用部材の表面に対し45°の方向に粘着テープを剥がすことで、転写層の層間の密着性を確認し、下記の評価基準で密着性を評価した。評価結果は表1にまとめた。
<評価基準>
A:転写層の層間で剥離は生じなかった。
B:転写層の層間でわずかに剥離が生じた。
C:転写層の層間で剥離が生じた。
2.外装用転写シート及び外装用部材の作製
[実施例1]
離型フィルムとして、厚さ25μmの離型PETフィルム(「E5001」、東洋紡株式会社製)を用意した。離型フィルムの離型処理がされた面上に、下記のハードコート層形成用液を、乾燥後の塗工量が5g/m2となるように塗布し、70℃、1分で乾燥後、電子線(加圧電圧:175keV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmのハードコート層を形成した。更に形成したハードコート層の面側に、90kWでコロナ処理を行った。
<ハードコート層形成用液>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(2官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/多官能ウレタンアクリレート=50/50(質量比))
・紫外線吸収剤:1質量部
(製品名:Tinuvin479、BASF社製)
・光安定剤:3質量部
(製品名:LS-3410、日本乳化剤株式会社製)
・ナノシリカ:2質量部
・非反応シリコーン:0.3質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[実施例1]
離型フィルムとして、厚さ25μmの離型PETフィルム(「E5001」、東洋紡株式会社製)を用意した。離型フィルムの離型処理がされた面上に、下記のハードコート層形成用液を、乾燥後の塗工量が5g/m2となるように塗布し、70℃、1分で乾燥後、電子線(加圧電圧:175keV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmのハードコート層を形成した。更に形成したハードコート層の面側に、90kWでコロナ処理を行った。
<ハードコート層形成用液>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(2官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/多官能ウレタンアクリレート=50/50(質量比))
・紫外線吸収剤:1質量部
(製品名:Tinuvin479、BASF社製)
・光安定剤:3質量部
(製品名:LS-3410、日本乳化剤株式会社製)
・ナノシリカ:2質量部
・非反応シリコーン:0.3質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次いで、形成したハードコート層上に、下記のプライマー層形成用液を、乾燥後の塗工量が3g/m2となるように塗布し、70℃、1分で乾燥させ、厚さ3μmのプライマー層を形成した。
<プライマー層形成用液>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分=90/10(質量比))
・紫外線吸収剤:35質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)20質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)15質量部)
・光安定剤:3.5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・シリカ:5質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:6質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
<プライマー層形成用液>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分=90/10(質量比))
・紫外線吸収剤:35質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)20質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)15質量部)
・光安定剤:3.5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・シリカ:5質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:6質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次いで、形成したプライマー層上に、下記の接着層形成用液1を、乾燥後の塗工量が5g/m2となるように塗布し、70℃、1分で乾燥させ、厚さ5μmのヒートシール性を有する接着層を形成した。その後、50℃、2日間の条件で養生し、実施例1の外装用転写シートを得た。
<接着層形成用液1>
・アクリル樹脂:100質量部
(ポリメチルメタクリレート、製品名:TMR-600、大日精化株式会社製、重量平均分子量:96,000)
・顔料:36.6質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
<接着層形成用液1>
・アクリル樹脂:100質量部
(ポリメチルメタクリレート、製品名:TMR-600、大日精化株式会社製、重量平均分子量:96,000)
・顔料:36.6質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次いで、基材として厚さ2mmのポリカーボネート板(「カーボグラス/ポリッシュ」、AGC株式会社製)を用意し、基材の一方の面と、上記で得られた外装用転写シートの接着層とを対向させて積層させた。その後、ラミネーター(デスクトップロールラミネーターB316A3、アコ・ブランズ・ジャパン社製)を用い、ラミロール温度160℃、搬送速度2m/minの条件で、外装用転写シート側から加熱及び加圧し、基材と外装用転写シートの転写層を密着させ、密着させた外装用転写シートから剥離フィルムを剥離し、実施例1の外装用部材を得た。
[実施例2]
下記の接着層形成用液2を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液2>
・ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールの混合樹脂:100質量部
(ウレタン樹脂/ポリアクリルポリオール=25/75(質量比)、重量平均分子量:65,000)
・顔料:35.1質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
下記の接着層形成用液2を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液2>
・ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールの混合樹脂:100質量部
(ウレタン樹脂/ポリアクリルポリオール=25/75(質量比)、重量平均分子量:65,000)
・顔料:35.1質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[実施例3]
下記の接着層形成用液3を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液3>
・ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールの混合樹脂:100質量部
(ウレタン樹脂/ポリアクリルポリオール=25/75(質量比)、重量平均分子量:65,000)
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:30質量部
・顔料:35.1質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
下記の接着層形成用液3を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液3>
・ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールの混合樹脂:100質量部
(ウレタン樹脂/ポリアクリルポリオール=25/75(質量比)、重量平均分子量:65,000)
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:30質量部
・顔料:35.1質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[比較例1]
下記の接着層形成用液4を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液4>
・アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂:100質量部
(アクリル樹脂/塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体=80/20(質量比)、重量平均分子量:50,000)
・顔料:32.8質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
下記の接着層形成用液4を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液4>
・アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂:100質量部
(アクリル樹脂/塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体=80/20(質量比)、重量平均分子量:50,000)
・顔料:32.8質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[比較例2]
下記の接着層形成用液5を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液5>
・アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂:100質量部
(アクリル樹脂/塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体=80/20(質量比)、重量平均分子量:50,000)
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:30質量部
・顔料:32.8質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
下記の接着層形成用液5を用いて接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の外装用転写シート及び外装用部材を得た。
<接着層形成用液5>
・アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合樹脂:100質量部
(アクリル樹脂/塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体=80/20(質量比)、重量平均分子量:50,000)
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:30質量部
・顔料:32.8質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
表1の結果から、本開示の特徴を有する、実施例1~3は、促進耐候試験後の外観および密着性に優れ、優れた耐候性を発揮することが確認できる。
一方、比較例1及び2は、接着層の70℃における上降伏点荷重が4.0MPa未満であるため、促進耐候試験後の外観および密着性が劣り、耐候性が劣る結果となった。
一方、比較例1及び2は、接着層の70℃における上降伏点荷重が4.0MPa未満であるため、促進耐候試験後の外観および密着性が劣り、耐候性が劣る結果となった。
本開示の外装用転写シートは、優れた耐候性を有するため、外壁、屋根、軒天井、柵、門扉等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材、車両の外装用部材として好適に用いられる。また、本開示の外装用転写シートを用いた外装用部材は、上記の各種部材の中でも、特に直射日光に晒される環境で用いられる外装用部材として好適に用いられる。
1 剥離フィルム
2 ハードコート層
3 プライマー層
4 接着層
5 基材
10 外装用転写シート
11 転写層
20 外装用部材
2 ハードコート層
3 プライマー層
4 接着層
5 基材
10 外装用転写シート
11 転写層
20 外装用部材
Claims (11)
- 剥離フィルム上に転写層を有し、
前記転写層は、剥離フィルム側から、ハードコート層及び接着層をこの順に有し、
前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、
前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用転写シート。 - 前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、請求項1に記載の外装用転写シート。
- 前記接着層が、熱可塑性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の外装用転写シート。
- 前記熱可塑性樹脂が、ウレタン樹脂及びポリアクリルポリオールを含む、請求項3に記載の外装用転写シート。
- 前記接着層が、更に硬化剤を含む、請求項3又は4に記載の外装用転写シート。
- 前記電離放射線硬化性樹脂組成物がカプロラクトン系ウレタンアクリレートを含む、請求項1~5のいずれかに記載の外装用転写シート。
- 前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、請求項1~6のいずれかに記載の外装用転写シート。
- 下記(1)及び(2)の工程を順に有する、外装用部材の製造方法。
(1)請求項1~6のいずれかに記載の外装用転写シートの転写層側の面と基材とを密着させる工程。
(2)密着させた前記外装用転写シート及び基材から、前記外装用転写シートの剥離フィルムを剥離する工程。 - 基材上に転写層を有する外装用部材であり、
前記転写層は、基材側から、接着層及びハードコート層をこの順に有し、
前記ハードコート層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、
前記接着層の70℃における上降伏点荷重が、4.0MPa以上である、外装用部材。 - 前記接着層の70℃における引張弾性率が、300MPa以上である、請求項9に記載の外装用部材。
- 前記転写層のハードコート層と接着層との間に、プライマー層を有する、請求項9又は10に記載の外装用部材。
Priority Applications (1)
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JP2021154552A JP2023045931A (ja) | 2021-09-22 | 2021-09-22 | 転写シート並びに前記転写シートを用いた部材の製造方法及び部材 |
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- 2021-09-22 JP JP2021154552A patent/JP2023045931A/ja active Pending
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