JP2023146279A - 転写シート、転写シートの製造方法、外装部材の製造方法および外装部材 - Google Patents

転写シート、転写シートの製造方法、外装部材の製造方法および外装部材 Download PDF

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沙織 宮崎
Saori Miyazaki
泰宏 秋田
Yasuhiro Akita
哲 古田
Satoru Furuta
夏生 杉田
Natsuo Sugita
優美子 林
Yumiko Hayashi
浩宣 西村
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Abstract

【課題】離型フィルム、第1保護層および第2保護層をこの順に有する転写シートにおいて、第1保護層および第2保護層の耐候密着性が良好な転写シートを提供する。【解決手段】離型フィルム1と、離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有し、転写層は、離型フィルム側から、第1保護層2および第2保護層3を、この順に有し、第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、外装部材の製造に用いられる転写シートとする。【選択図】図1

Description

本開示は、転写シート、転写シートの製造方法、外装部材の製造方法および外装部材に関する。
金属部材および樹脂部材等の基体に、転写シートにおける転写層(転写シートから転写される層)を転写することで、基体を加飾することが知られている。例えば、特許文献1には、剥離層と、剥離層に剥離可能に取り付けられた意匠転写層とを含み、意匠転写層は、剥離層側から、加熱接着可能な第1表面層と、加熱接着可能な第2表面層とをこの順で含む、意匠転写シートが開示されている。
特開2016-120643号公報
転写シートは、例えば、離型フィルム、第1保護層および第2保護層を、厚さ方向において、この順に有する。このような転写シートにおいて、第1保護層および第2保護層の密着性は不足しやすい。第1保護層は、典型的には、離型フィルム上に第1保護層形成用の組成物を硬化することで作製される。その硬化した第1保護層上に、第2保護層を形成するため、第1保護層および第2保護層の密着性は不足しやすい。また、外装部材(屋外用の部材)は過酷な環境に曝されるため、外装部材の製造に用いられる転写シートにおける転写層を構成する、第1保護層および第2保護層には、良好な初期密着性のみならず、良好な耐候密着性が求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、第1保護層および第2保護層の耐候密着性が良好な転写シートを提供することを主目的とする。
本開示においては、外装部材の製造に用いられる転写シートであって、上記転写シートは、離型フィルムと、上記離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有し、上記転写層は、上記離型フィルム側から、第1保護層および第2保護層を、厚さ方向において、この順に有し、上記第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、上記第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、上記第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、転写シートを提供する。
本開示においては、上述した転写シートの製造方法であって、上記離型フィルムの面に、上記第1硬化性樹脂組成物および上記耐候剤を含有する第1組成物を塗工し、硬化させ、上記第1保護層を形成する第1保護層形成工程と、上記第1保護層の上記離型フィルムとは反対側の面に、上記第2硬化性樹脂組成物および上記耐候剤を含有する第2組成物を塗工し、硬化させ、上記第2保護層を形成する第2保護層形成工程と、を有する、転写シートの製造方法を提供する。
本開示においては、上述した転写シートを準備する準備工程と、上記転写シートの上記第2保護層側の面と、基体と、を対向させ、両者を密着させる密着工程と、を有する、外装部材の製造方法を提供する。
本開示においては、第1保護層、第2保護層、接着層および基体を、厚さ方向において、この順に有し、上記第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、上記第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、上記第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、外装部材を提供する。
本開示においては、第1保護層および第2保護層の耐候密着性が良好な転写シートを提供できるという効果を奏する。
本開示における転写シートを例示する概略断面図である。 本開示における転写シートの製造方法を例示する概略断面図である。 本開示における外装部材の製造方法を例示する概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されるべきではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されるべきではない。
本明細書において、ある部材に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
以下、本開示における、転写シート、転写シートの製造方法、外装部材の製造方法および外装部材について、詳細に説明する。
A.転写シート
図1(a)は、本開示における転写シートを例示する概略断面図である。図1(a)に示すように、転写シート10は、離型フィルム1と、離型フィルム1の一方の面に配置された転写層Xとを有する。転写層Xは、離型フィルム1側から、第1保護層2および第2保護層3を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する。また、図1(b)に示すように、転写シート10は、第2保護層3の第1保護層2とは反対側の面に、接着層4を有していてもよい。また、図1(c)に示すように、転写シート10は、第2保護層3の第1保護層2とは反対側の面に、意匠層5を有していてもよい。
本開示によれば、第1保護層が、所定の第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあり、かつ、第2保護層が、所定の第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあることにより、良好な耐候密着性を有する、外装部材用の転写シートとなる。
上述したように、転写シートにおいて、第1保護層および第2保護層の密着性は不足しやすい。ここで、化粧シートの場合、通常、基材層上に意匠層を形成し、次に、意匠層上に第2保護層を形成し、次に、第2保護層上に第1保護層を形成する。第1保護層は、典型的には、第2保護層上に形成された第1保護層形成用の組成物を硬化することで作製されるため、第1保護層および第2保護層の密着性は良好になる。これに対して、転写シートの場合、通常、離型フィルム上に第1保護層を形成し、次に、第1保護層上に第2保護層を形成し、次に、第2保護層上に意匠層を形成する。第1保護層は、典型的には、離型フィルム上に第1保護層形成用の組成物を硬化することで作製される。その硬化した第1保護層上に、第2保護層を形成するため、第1保護層および第2保護層の密着性は不足しやすい。
第1保護層および第2保護層の密着性を向上させるには、第2保護層の柔軟性を高くすることが考えられるが、転写層が耐傷性および耐摩耗性等の表面保護特性を備えるためには、転写層全体として、ある程度の硬さは必要であり、第2保護層の柔軟性を高くするには限界がある。また、本発明者等は、第2保護層の柔軟性を高くすると、外装部材の製造に用いた場合に、昼夜の温度差および季節の違いによる温度差等の温度変化が繰り返されるような環境下において、第2保護層の動きが大きくなり、耐候密着性が悪化することを知見した。
そして、本発明者等は、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあり、かつ、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあることにより、温度変化が繰り返されるような環境下においても、第1保護層の動きおよび第2保護層の動きがバランスよく生じるため、第2保護層に対する第1保護層の追従性を良好に保つことができ、耐候密着性を高くすることができることを見出した。
また、外装部材(屋外用の部材)には、内装部材(屋内用の部材)に比べて、高い耐候性が求められる。例えば、化粧シートを用いて外装部材を製造する場合、強度向上を目的として、化粧シートに透明樹脂層を設ける場合がある。この場合、透明樹脂層は比較的厚い層であるため、例えば透明樹脂層に十分な量の耐候剤を添加することで、高い耐候性が付与される。これに対して、透明樹脂層に該当する層を有しない転写シートに、高い耐候性を付与することは、技術的な困難性が高い。本開示においては、通常、第1保護層および第2保護層の両方が耐候剤を含有する。これにより、第1保護層に求められる特性(例えば、耐傷性、耐摩耗性等の表面特性)、および、第2保護層に求められる特性(例えば密着性)を維持しつつ、高い耐候性を付与することができる。
1.第1保護層
本開示における転写シートは、第1保護層を有する。第1保護層は、外装部材の表面特性(例えば耐傷性、耐摩耗性等)の向上に寄与する。第1保護層および離型フィルムは、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
(1)インデンテーション硬さ
本開示において、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、通常、70MPa以上であり、90MPa以上であってもよく、100MPa以上であってもよい。第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さが低いと、良好な耐傷性、耐摩耗性が得られない可能性がある。一方、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、通常、600MPa以下であり、500MPa以下であってもよく、400MPa以下であってもよい。第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さが高いと、第2保護層に対する第1保護層の追従性が低くなり、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。
第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、例えば、第1保護層を作製するための第1硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂の官能基数により、調整できる。例えば、電離放射線硬化性化合物の官能基数を少なくすることで、第1硬化性樹脂組成物の硬化物において、架橋点を少なくできるため、より柔軟な構造とすることができ、インデンテーション硬さを低くすることができる。
第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、以下の方法で測定された値である。
(測定用サンプル作製)
転写シートを任意の大きさに切断することにより、カットサンプルを作製する。カットサンプルを樹脂(常温硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂)で包埋し、室温で24時間以上放置して硬化させることにより、カットサンプルを樹脂で包埋してなる包埋サンプルを作製する。包埋サンプルに対し、水及びアルミナを利用した機械研磨を行い、測定対象である層の断面を露出させ、インデンテーション硬さ測定用のサンプルを作製する。
(インデンテーション硬さの測定方法)
インデンテーション法は、試料表面に圧子をある荷重まで押し込んだ(圧入)後、その圧子を取り除く(除荷)までの荷重と変位の関係(圧入-除荷曲線)を測定する方法である。圧入曲線は、材料の弾性的な変形挙動を反映し、除荷曲線は弾性的な回復挙動により得られる。インデンテーション法では、最大押し込み時の圧痕の大きさからインデンテーション硬さHITを算出する。
具体的に、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、上述した測定用サンプルの切断面に対して、下記ナノインデンターを用いて、バーコビッチ圧子(材質:ダイヤモンド三角錐)を垂直に押し込んで測定する。測定装置及び測定条件は以下の通りである。ここで、バーコビッチ圧子を押し込む位置は、第1保護層の厚み方向の略中心とすることが好ましい。略中心とは、第1保護層の厚みをT[μm]と定義した際に、塩化ビニル系樹脂フィルムの厚み方向の中心からのズレが±0.1T以内であることを意味する。また、充填剤(例えば、シリカ)などの微粒子が層中に含まれる場合には、微粒子を避けた位置に上記バーコビッチ圧子を押し込む。
・使用装置:ナノインデンター(TI 950 TriboIndenter、BRUKER社製)
・使用圧子:バーコビッチ圧子(型番:TI-0039、BRUKER社製)
・押し込み条件:荷重制御方式
・最大荷重:150μN
・荷重印加時間:5秒間(0μN→150μN 荷重変化率:30μN/sec)
・保持時間:なし
・保持荷重:50μN
・荷重除荷時間:5秒間(150μN→0μN 荷重変化率:-30μN/sec)
第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、下記のようにして算出することができる。まず、圧入荷重P(N)に対応する圧入深さh(nm)を連続的に測定し、荷重-変位曲線を作成する。作成した荷重-変位曲線を解析し、最大圧入荷重Pmax(N)を、そのときの圧子とフィルムとが接している投影面積A(mm)で除した値として、インデンテーション硬さHITを算出することができる(下記式(1))。
IT=Pmax/A …(1)
ここで、Aは標準試料の溶融石英を用いて装置標準の方法で圧子先端曲率を補正した接触投影面積である。
本明細書において、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、転写シートについて、6箇所の第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さを測定し、これらの算術平均値とする。測定の際には、インデンターの標準物質であるシリカガラスを用いて校正を実施し、装置ばらつきが±5%以内であることを確認することが好ましい。また、インデンテーション硬さの測定の雰囲気は、温度23℃±5℃、湿度40~65%とする。
なお、第1保護層は、第2保護層より柔軟性が低い層であることが好ましい。すなわち、第1保護層のインデンテーション硬さは、第2保護層のインデンテーション硬さよりも高いことが好ましい。耐傷性、耐摩耗性等の表面特性を外装部材に効果的に付与することができるからである。
(2)樹脂成分
第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物(架橋構造体)を含有する。また、第1硬化性樹脂組成物の硬化物は、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有する。(メタ)アクリル成分とは、アクリル成分またはメタクリル成分をいう。ウレタン成分とは、ウレタン結合をいう。また、第1硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、第1保護層を構成する全樹脂成分に対して、例えば70質量%以上であり、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
第1硬化性樹脂組成物としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、例えば、電子線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物が挙げられる。これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少なく、着色が生じにくいことから、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基は、電離放射線の照射によって架橋硬化する基である。電離放射線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクロイル基をいう。また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の他に、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基を有する化合物を含有していてもよい。
電離放射線硬化性化合物の官能基数としては、2以上20以下が好ましく、2以上18以下がより好ましく、2以上15以下が更に好ましい。第1保護層のインデンテーション硬さを上記範囲に調整しやすいためである。
電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいう。電離放射線としては、例えば、電子線(EB)および紫外線(UV)が挙げられる。また、電離放射線の他の例としては、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートを少なくとも含有することが好ましい。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートをいう。また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートの他に、電離放射線硬化性化合物として、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートの少なくとも一種をさらに含有していてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートとして、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートと、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートとを含有していてもよい。この場合、第1保護層に含まれるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの含有量をMCLUAとし、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートの含有量をMUAとする。MUAおよびMCLUAの合計に対するMCLUAの質量比(MCLUA/(MUA+MCLUA))は、例えば、10質量%以上90質量%以下であり、20質量%以上80質量%以下であってもよく、30質量%以上70質量%以下であってもよい。
電離放射線硬化性化合物がカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートを含有する場合、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数は、2以上9以下が好ましく、2以上5以下がより好ましい。カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数を上記範囲内にすることにより、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さを上記範囲に調整しやすいためである。
カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、カプロラクトン系ポリオールと、有機イソシアネートと、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。合成法としては、例えば、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて、両末端に-NCO基(イソシアナート基)を含有するポリウレタンプレポリマーを生成させた後に、ヒドロキシ(メタ)アクリレートと反応させる方法が挙げられる。
カプロラクトン系ポリオールとしては、市販されるものを使用することができ、好ましくは2個の水酸基を有し、数平均分子量が好ましくは500~3000、より好ましくは750~2000のものが挙げられる。また、カプロラクトン系以外のポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のポリオールを1種または複数種を任意の割合で混合して使用することもできる。有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレート等が好ましく挙げられる。
カプロラクトン系ポリオールを使用する場合、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートとは、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートのうち、末端がジエチレングリコールであるウレタン(メタ)アクリレートをいう。カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートを用いることで、第1保護層に、割れおよび白化が生じることを抑制できる。
電離放射線硬化性化合物の数平均分子量は、例えば、1000以上10000以下であり、2000以上10000以下であってもよい。数平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
例えば、電離放射線硬化性化合物が、紫外線硬化性化合物である場合、電離放射線硬化性化合物は、光重合開始剤および光重合促進剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントン類が挙げられる。光重合促進剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。
また、第1硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物であってもよい。熱硬化性樹脂組成物の詳細については、後述する「2.第2保護層」に記載する内容と同様である。
(3)耐候剤
第1保護層は、通常、耐候剤を含有する。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤および光安定剤が挙げられる。第1保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一つを含むことが好ましい。第1保護層は、1種または2種以上の紫外線吸収剤を含んでいてもよい。同様に、第1保護層は、1種または2種以上の光安定剤を含んでいてもよい。
第1保護層に含まれる紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノ(メタ)アクリレート系紫外線吸収剤等の有機系紫外線吸収剤、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤がより好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノールが挙げられる。
第1保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上10質量部以下であり、0.8質量部以上8質量部以下であってもよく、1質量部以上5質量部以下であってもよい。紫外線吸収剤の含有量が多いと、紫外線吸収剤のブリードアウトが発生する可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が少ないと、十分な紫外線吸収性能が得られない可能性がある。
第1保護層に含まれる光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)が挙げられる。
第1保護層に含まれる光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、例えば、1質量部以上10質量部以下であり、1.5質量部以上8質量部以下であってもよく、2質量部以上5質量部以下であってもよい。光安定剤の含有量が多いと、光安定剤のブリードアウトが発生する可能性があり、光安定剤の含有量が少ないと、十分な光安定性が得られない可能性がある。
(4)添加剤
第1保護層は、シリコーン化合物、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、防汚剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を含有していてもよい。
(5)第1保護層
第1保護層の厚さは、例えば、2μm以上20μm以下であり、3μm以上15μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよい。第1保護層が薄いと、十分な耐候性が得られない可能性があり、第1保護層が厚いと、第1保護層にクラックが生じやすくなり、良好な密着性が得られない可能性がある。
2.第2保護層
本開示における転写シートは、第2保護層を有する。第2保護層および第1保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
(1)インデンテーション硬さ
本開示において、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、通常、50MPa以上であり、60MPa以上であってもよく、70MPa以上であってもよく、100MPa以上であってもよい。第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さが低いと、温度変化が繰り返されるような環境下において、第2保護層の動きが大きくなり、第1保護層との間に隙間が生じ、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。一方、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、通常、300MPa以下であり、280MPa以下であってもよく、250MPa以下であってもよい。第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さが高いと、第1保護層との密着性(特に初期密着性)が低くなる可能性がある。なお、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さの測定方法は、上述した第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さの測定方法と同様である。
(2)樹脂成分
第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物(架橋構造体)を含有する。また、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有する。また、第2硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、第2保護層を構成する全樹脂成分に対して、例えば70質量%以上であり、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
第2硬化性樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する組成物である。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂として、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂を少なくとも含有することが好ましい。第2硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂の他に、熱硬化性樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂の少なくとも一種をさらに含有していてもよい。また、熱硬化性樹脂組成物は、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤をさらに含有していてもよい。
また、第2硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂を含有する場合、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂は、ウレタン(メタ)アクリル共重合体であることが好ましく、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体であることがより好ましい。ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体は、ポリカーボネートジオールと(ジ)イソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタンポリマーに、(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
(ジ)イソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、n-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、o-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体における、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分の合計に対するウレタン成分の質量比([ウレタン成分]/([(メタ)アクリル成分]+[ウレタン成分])は、例えば、65質量%以上95質量%以下であり、70質量%以上90質量%以下であってもよい。上記質量比を65質量%以上にすることで、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体におけるポリカーボネート構造の割合を多くすることができるため、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の構造がよりリジットになる。そのため、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さを所定の値以上に調整することができる。また、上記質量比を95質量%以下にすることで、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さを所定の値以下に調整することができる。
(3)耐候剤
第2保護層は、通常、耐候剤を含有する。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤および光安定剤が挙げられる。第2保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一つを含むことが好ましい。耐候剤の好ましい種類および態様については、上記「1.第1保護層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第2保護層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましい。また、第2保護層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。
第2保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上50質量部以下であり、3質量部以上40質量部以下であってもよく、10質量部以上35質量部以下であってもよい。また、第2保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)は、第1保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)より多くてもよい。
第2保護層に含まれる光安定剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上15質量部以下であり、1質量部以上15質量部以下であってもよく、3質量部以上10質量部以下であってもよい。また、第2保護層に含まれる光安定剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)は、第1保護層に含まれる光安定剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)より多くてもよい。
(4)添加剤
第2保護層は、シリコーン化合物、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、防汚剤、消泡剤、充填剤等の添加剤を含有していてもよい。
(5)第2保護層
また、第2保護層の厚さは、例えば、2μm以上10μm以下であり、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよい。第2保護層が薄いと、第1保護層との密着性(特に初期密着性)が低くなる場合がある。一方、第2保護層が厚いと、温度変化が繰り返されるような環境下において、第2保護層の動きが大きくなり、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。
3.離型フィルム
本開示における転写シートは、第1保護層の第2保護層とは反対側の面に、離型フィルム(第1離型フィルム)を有する。離型フィルムおよび第1保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
離型フィルムは、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、例えば、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、カーボネート系樹脂が挙げられる。
離型フィルムは、エステル系樹脂またはオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体が挙げられる。これらの中でも、転写シートを製造する際の熱収縮、および、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという観点から、PETまたはPBTが好ましく、PETがより好ましい。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体が挙げられる。これらの中でも、転写シートを製造する際の熱収縮、および、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという観点から、ポリプロピレンが好ましい。
離型フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムにおける機械方向(MD)における延伸倍率は、例えば5倍以上30倍以下である。延伸フィルムにおける幅方向(TD)における延伸倍率は、例えば5倍以上30倍以下である。また、離型フィルムの厚さは、例えば、10μm以上200μm以下であり、15μm以上150μm以下であってもよく、20μm以上100μm以下であってもよい。
4.転写層
本開示における転写シートは、離型フィルムと、その離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有する。転写層は、離型フィルム側から順に、第1保護層および第2保護層を少なくとも有する。転写層は、第1保護層および第2保護層を有していてもよく、他の層をさらに有していてもよい。他の層としては、例えば、意匠層および接着層が挙げられる。転写層は、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、接着層を有していてもよい。また、転写層は、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、意匠層を有していてもよい。
転写層の厚さは、例えば8μm以上であり、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、14μm以上であってよい。転写層が薄いと、十分な耐候性が得られない可能性がある。一方、転写層の厚さは、例えば50μm以下であり、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。
(1)接着層
本開示における転写シートは、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、接着層を有していてもよく、有していなくてもよい。接着層は、転写シートにおける転写層を構成する層において、基体と接する層であることが好ましい。この場合、接着層は、転写層と基体との密着性を向上させるために配置される。接着層は、接着性を有する成分を含有してもよい。接着性を有する成分としては、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、ゴム系樹脂が挙げられる。
接着層は、いわゆる粘着層であってもよい。粘着層は、常温で粘着性を有している。粘着層に含まれる樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー系樹脂が挙げられる。
また、接着層は、いわゆるヒートシール層であってもよい。ヒートシール層は、熱により粘着性を発現する。ヒートシール層に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリアクリルポリオール、ウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル共重合、アクリル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独で、または、複数種を組み合わせて使用できる。この中でも、外装部材製造時の加工性および転写層と基体との密着性を向上させるために、アクリル樹脂、ポリアクリルポリオールおよびウレタン樹脂の少なくとも一種を用いることが好ましい。特に、アクリル樹脂が好ましい。
接着層の断面におけるインデンテーション硬さは、特に限定されないが、例えば、200MPa以上、600MPa以下であり、200MPa以上、500MPa以下であってもよく、250MPa以上、500MPa以下であってもよい。接着層の厚さは、例えば、1μm以上30μm以下であり、2μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよい。接着層の厚みが上記範囲内であると、外装部材を製造時、接着層と基体との密着性を良好にしやすくできる。
本開示において、接着層は、着色剤を含んでいてもよい。接着層が着色剤を含むことにより、転写層に意匠性を付与することができる。すなわち、接着層は、後述する意匠層の機能を共有していてもよい。
(2)意匠層
本開示における転写シートは、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、意匠層を有していてもよく、有していなくてもよい。意匠層を設けることで、外装部材の意匠性が向上する。意匠層および第2保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
意匠層としては、例えば、ベタ層(インキをベタ塗りした層)、絵柄層(インキを印刷した層)が挙げられる。転写シートは、意匠層として、離型フィルム側から順に、絵柄層およびベタ層を有していてもよい。絵柄層における絵柄(模様)としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様が挙げられる。
意匠層は、通常、着色剤およびバインダー樹脂を含有する。着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料(染料を含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等のパール顔料が挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリルポリオール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタンアクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化プロピレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂が挙げられる。中でも、アクリルポリオール系樹脂とウレタン系樹脂とを組み合わせて用いることがより好ましい。
意匠層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化剤、可塑剤、触媒等の添加剤を含有していてもよい。意匠層の厚さは、例えば、0.5μm以上20μm以下であり、1μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよい。
(3)第2離型フィルム
本開示における転写シートは、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、第2離型フィルムを有していてもよい。例えば、転写シートをロール状に巻き取って製造した場合に、ブロッキングの発生を抑制できる。第2離型フィルムは、通常、後述する密着工程の前に、転写シートから剥離される。第2離型フィルムの詳細については、上述した第1離型フィルムに記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
B.転写シートの製造方法
図2は、本開示における転写シートの製造方法を例示する概略断面図である。まず、図2(a)に示すように、離型フィルム1を準備する。次に、図2(b)に示すように、離型フィルム1の面に、第1硬化性樹脂組成物および耐候剤を含有する第1組成物を塗工し、硬化させ、第1保護層2を形成する。次に、図2(c)に示すように、第1保護層2の離型フィルム1とは反対側の面に、第2硬化性樹脂組成物および耐候剤を含有する第2組成物を塗工し、硬化させ、第2保護層3を形成する。これにより、離型フィルム1と、第1保護層2および第2保護層3を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する転写シート10が得られる。図2において、転写層Xは、第1保護層2および第2保護層3に該当する。また、第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあり、かつ、第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にある。
本開示によれば、第1保護層が、所定の第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあり、かつ、第2保護層が、所定の第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあることにより、良好な耐候密着性を有する、外装部材用の転写シートが得られる。
1.第1保護層形成工程
本開示における第1保護層形成工程は、上記離型フィルムの面に、上記第1硬化性樹脂組成物および耐候剤を含有する第1組成物を塗工し、硬化させ、上記第1保護層を形成する工程である。第1組成物は、第1保護層形成用の組成物である。第1硬化性樹脂組成物および耐候剤については、上記「A.転写シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
第1組成物を塗工する方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法が挙げられる。第1組成物を塗工することで、第1塗工層が得られる。第1塗工層を硬化する方法としては、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線を照射する方法、熱を加える方法が挙げられる。
2.第2保護層形成工程
本開示における第2保護層形成工程は、上記第1保護層の上記離型フィルムとは反対側の面に、上記第2硬化性樹脂組成物および耐候剤を含有する第2組成物を塗工し、硬化させ、上記第2保護層を形成する工程である。第2組成物は、第2保護層形成用の組成物である。第2硬化性樹脂組成物および耐候剤については、上記「A.転写シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
第2組成物を塗工する方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法が挙げられる。第2組成物を塗工することで、第2塗工層が得られる。第2塗工層を硬化する方法としては、例えば、熱を加える方法が挙げられる。
3.その他の工程
本開示における転写シートの製造方法は、第1保護層形成工程および第2保護層形成工程に加えて、上述した転写層に属する層を形成する工程を有していてもよい。例えば、本開示における転写シートの製造方法は、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に接着層を形成する接着層形成工程を有していてもよい。接着層の形成方法としては、接着層を形成する組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗工し、必要に応じて、乾燥、硬化することによって形成できる。例えば、本開示における転写シートの製造方法は、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に意匠層を形成する意匠層形成工程を有していてもよい。意匠層の形成方法としては、例えば、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有するインキを塗工する方法が挙げられる。また、上述した各工程により得られる転写シートについては、上記「A.転写シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
C.外装部材の製造方法
図3は、本開示における外装部材の製造方法を例示する概略断面図である。まず、図3(a)に示すように、転写シート10を準備する。転写シート10は、離型フィルム1、第1保護層2、第2保護層3および接着層4を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する。次に、図3(b)に示すように、転写シート10の第2保護層3側の面と、基体20と、を対向させ、両者を密着させる。「転写シート10の第2保護層3側の面」とは、離型フィルム1を基準とした場合に第2保護層3側に位置する、転写シート10の面をいう。図3(a)に示す転写シート10は接着層4を有するため、「転写シート10の第2保護層3側の面」は、接着層4の面に該当する。次に、図3(c)に示すように、転写シート10から離型フィルム1を剥離する。これにより、第1保護層2、第2保護層3、接着層4および基体20を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する、外装部材100が得られる。
本開示によれば、上述した転写シートを用いることで、良好な耐候密着性を有する外装部材が得られる。
1.準備工程
本開示における準備工程は、上述した転写シートを準備する工程である。転写シートについては、上記「A.転写シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
2.密着工程
本開示における密着工程は、上記転写シートの上記第2保護層側の面と、基体とを対向させ、両者を密着させる工程である。転写シートおよび基体を対向させる際に、両者を直接接触するように配置してもよく、両者の間に他の層を介して配置してもよい。例えば、転写シートが接着層を有さない場合には、接着剤層が配置される。
本開示における基体の材料としては、特に限定されることなく、樹脂、木材、金属、非金属無機材料、紙、不織布又は織布等を、用途に応じて適宜選択できる。
本開示における基体の一例としては、樹脂部材が挙げられる。樹脂部材に用いられる樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(ABS系樹脂)、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂が挙げられる。また、基体の他の例としては、木質部材が挙げられる。木質部材としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、木質繊維板が挙げられる。木質部材に用いられる木材としては、例えば、杉、檜、松、ラワンが挙げられる。
また、基体の他の例としては、金属部材が挙げられる。金属部材に用いられる金属としては、例えば、鉄、アルミニウムが挙げられる。また、基体の他の例としては、窯業部材が挙げられる。窯業部材の材料は、ガラス、陶磁器等のセラミックスであってもよく、石膏等の非セメント窯業系材料であってもよく、ALC(軽量気泡コンクリート)等の非陶磁器窯業系材料であってもよい。また、窯業部材として、ケイ酸カルシウム板を使用することもできる。
基体の形状は、特に限定されず、例えば、板状、シート状、立体形状が挙げられる。また、基体は、平面部を有していてもよく、曲面部を有していてもよく、平面部および曲面部の両方を有していてもよい。また、基体は、凸部、凹部、凸条部、凹条部、貫通部の少なくとも一つを有していてもよい。
密着工程においては、転写シートの第2保護層側の面と、基体とを対向させ、両者を密着させる。両者を密着させる方法としては、例えば、ラミネート法が挙げられる。ラミネート法では、例えば、転写シートおよび基体の積層体を、転写シート側から加熱および加圧する。加熱および加圧の方法としては、例えば、ロール転写装置を用いる方法が挙げられる。ロール転写装置のロール温度は、例えば200℃以下であり、180℃以下であってもよい。ロール温度が高いと、転写シートが必要以上に軟化する可能性がある。一方、ロール転写装置のロール温度は、例えば100℃以上であり、110℃以上であってもよく、120℃以上であってもよい。また、本開示における外装部材の製造方法は、密着工程の後に、第1保護層から離型フィルムを剥離する剥離工程を有していてもよい。
3.外装部材
本開示における外装部材は、第1保護層、第2保護層、および基体を、厚さ方向において、この順に有する。また、外装部材は、第1保護層の第2保護層とは反対側の面に、離型フィルムを有している離型フィルム付外装部材であってもよく、離型フィルムを有しない外装部材であってもよい。
本開示における外装部材は、例えば建材(建築構造物の外装部材)である。建材は、例えば、住宅、事務所、店舗、病院、診療所、一般道路及び高速道路、農業ハウス等に用いられる。外装部材の用途としては、例えば、外壁、屋根、軒天井、戸袋、窓枠、扉、扉枠、手すり、塀、物干台が挙げられる。また、外装部材の具体的な用途としては、一般道路及び高速道路等における防音壁又は風防壁、バルコニーの仕切り板、テラス又はカーポートにおける屋根部材、農業用ハウスを構成する透明部材等が挙げられる。
また、本開示における外装部材は、建材(建築構造物の外装部材)以外には、例えば、車両、船舶及び航空機の外装部材、産業用機械の外装部材、並びに各種レンズの外装部材等として用いられる。車両の外装部材としては、例えば、サイドウインドウ、リアウインドウ、ルーフウインドウ、フロントウインドウ及びクォーターウインドウなどの窓材;ヘッドライトカバー、ウインカーランプレンズ、リフレクター;並びにピラーが挙げられる。車両としては、例えば、自動車、鉄道車両、建設機械、及びゴルフカートなどの軽車両が挙げられる。産業用機械の外装材としては、例えば、工作機械における視認用窓材が挙げられる。レンズとしては、例えば、信号機のレンズが挙げられる。
D.外装部材
本開示における外装部材は、第1保護層、第2保護層、接着層および基体を、厚さ方向において、この順に有し、上記第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、上記第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、上記第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、上記第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、外装部材である。
本開示によれば、第1保護層が、所定の第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあり、かつ、第2保護層が、所定の第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含み、断面におけるインデンテーション硬さが所定の範囲にあることにより、第1保護層および第2保護層の耐候密着性が良好な外装部材となる。外装部材における第1保護層および第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さの測定方法としては、上記「A.転写シート」に記載した方法と同様である。本開示における外装部材については、上記「C.外装部材の製造方法」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
離型フィルムとして、厚さ50μmのPETフィルム(E5001、東洋紡株式会社製)を用意した。PETフィルムの面に、下記の第1保護層形成用の組成物を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工し、乾燥した。その後、電子線(加圧電圧:90kV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmの第1保護層を形成した。
<第1保護層形成用の組成物>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(2官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/2官能ウレタンアクリレート=50/50(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:1.5質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製))
・光安定剤:3質量部
(「LS-3410」(日本乳化剤株式会社製))
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第1保護層の面にコロナ放電処理を施した後に、下記の第2保護層形成用の組成物を塗工し、乾燥させ、厚さ5μmの第2保護層を形成した。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分=90/10(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:20質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)5質量部)
・光安定剤:5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:15質量部
・シリカ:5質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第2保護層の面に、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)を含む接着層形成用の組成物を、塗工し、乾燥させ、厚さ5μmのヒートシール性を有する接着層を形成した。これにより、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および接着層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。
[実施例2]
離型フィルムとして、厚さ50μmのPETフィルム(E5001、東洋紡株式会社製)を用意した。PETフィルムの面に、下記の第1保護層形成用の組成物を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工し、乾燥した。その後、電子線(加圧電圧:90kV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmの第1保護層を形成した。
<第1保護層形成用の組成物>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(2官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/多官能ウレタンアクリレート=50/50(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:0.8質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製))
・光安定剤:3質量部
(「LS-3410」(日本乳化剤株式会社製))
・ナノシリカ 2質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第1保護層の面にコロナ放電処理を施した後に、下記の第2保護層形成用の組成物を塗工し、乾燥させ、厚さ5μmの第2保護層を形成した。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分=70/30(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:20質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)5質量部)
・光安定剤:5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:15質量部
・シリカ:5質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第2保護層の面に、樹脂成分および顔料を含むインキをグラビアコーティングにより塗工、乾燥し、厚さ5μmの意匠性およびヒートシール性を有する接着層を形成した。インキの樹脂成分は、アクリル樹脂および塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含む混合樹脂であり、アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との質量比は7:3であった。これにより、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および接着層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。
[実施例3]
離型フィルムとして、PETフィルム(E5001、東洋紡株式会社製)を用意した。PETフィルムの面に、下記の第1保護層形成用の組成物を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工し、乾燥した。その後、電子線(加圧電圧:90kV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmの第1保護層を形成した。
<第1保護層形成用の組成物>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(3官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/3官能アクリルアクリレート=70/30(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:1.5質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製))
・光安定剤:3質量部
(「LS-3410」(日本乳化剤株式会社製))
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第1保護層の面にコロナ放電処理を施した後に、下記の第2保護層形成用の組成物を塗工し、乾燥させ、厚さ5μmの第2保護層を形成した。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体とポリアクリルポリオールとの混合樹脂:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分/アクリルポリオール=80/10/10(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:20質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)5質量部)
・光安定剤:5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:15質量部
・シリカ:5質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第2保護層の面に、樹脂成分および顔料を含むインキをグラビアコーティングにより塗工、乾燥し、厚さ5μmの意匠性およびヒートシール性を有する接着層を形成した。インキの樹脂成分は、ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールの混合樹脂であり、ウレタン樹脂とポリアクリルポリオールとの質量比は20:80(質量比)であった。これにより、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および接着層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。
[比較例1]
第2保護層形成用の組成物として、以下の組成物を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および接着層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリカーボネート系ウレタン高分子:100質量部
・トリアジン系紫外線吸収剤:20質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)5質量部)
・光安定剤:5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:15質量部
・シリカ:5質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[比較例2]
第2保護層第2保護層形成用の組成物として、以下の組成物を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および接着層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリアクリルポリオール:100質量部
・トリアジン系紫外線吸収剤:20質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)5質量部)
・光安定剤:5質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:15質量部
・シリカ:5質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[インデンテーション硬さの測定]
得られた転写シートの第1保護層および第2保護層について、上述した方法により、インデンテーション硬さを測定した。結果を表1に示す。なお、接着層のインデンテーション硬さは、実施例1~3、比較例1および比較例2のいずれも、200MPa以上、600MPa以下の範囲内であった。
[耐候密着性の評価]
基体として厚さ2mmのポリカーボネート板(「カーボグラス/ポリッシュ」、AGC株式会社製)を用意し、基体の一方の面と、上記で得られた転写シートの転写層とを対向させて積層させた。その後、ラミネーターを用い、ラミロール温度160℃、搬送速度2m/minの条件で、転写シート側から加熱および加圧し、基体と、転写シートの転写層とを密着させ、密着させた転写シートから離型フィルムを剥離し、評価用部材を得た。
得られた評価用部材に対し、メタルハライドランプ(MWOM)による促進耐候試験(下記の照射条件で20時間紫外線を照射した後、下記の結露条件で4時間結露を行う工程を1サイクルとして、前記サイクルを繰り返し行う試験)を200時間実施した。促進耐候試験を実施した評価用部材において、下記の通り耐候密着性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<促進耐候試験の条件>
(試験装置)
ダイプラ・ウィンテス社製、商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
(照射条件)
照度:65mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
(結露条件)
照度:0mW/cm、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
粘着テープ(「セロテープ(登録商標)」、ニチバン株式会社製)を、促進耐候試験を実施した評価用部材の端部から5cm程はみ出るようにし、2.5cm×2.5cmの面積で貼り付けた。その後、貼り付けた粘着テープのはみ出た部分をつまみ、評価用部材の表面に対し45°の方向に粘着テープを剥がすことで、転写層の層間の密着性を確認し、下記の評価基準で密着性を評価した。評価結果を表1に示す。また、促進耐候試験を未実施の評価用部材に対しても、同様の方法および評価基準により、初期の層間密着性を評価した。
<評価基準>
A:転写層の層間で剥離は生じなかった。
B:転写層の層間で剥離が生じた。
表1に示すように、第1保護層のインデンテーション硬さが70MPa以上、600MPa以下であり、第2保護層のインデンテーション硬さが50MPa以上、300MPa以下である実施例1~実施例3の転写シートを用いた場合、転写層の耐候密着性が良好であることが確認された。一方、比較例2では、第1保護層および第2保護層の、初期の密着性および耐候密着性に劣ることが確認された。これは、転写シートにおける第2保護層のインデンテーション硬さが高いためであると推察される。比較例1では、初期の密着性は良好であるものの、第1保護層および第2保護層の耐候密着性に劣ることが確認された。これは、第2保護層のインデンテーション硬さが低いため、耐候試験において第2保護層の動きが大きくなり、耐候密着性が悪化するためであると推察される。
1 … 離型フィルム
2 … 第1保護層
3 … 第2保護層
4 … 接着層
5 … 意匠層
10 … 転写シート
20 … 基体
100 … 外装部材

Claims (17)

  1. 外装部材の製造に用いられる転写シートであって、
    前記転写シートは、離型フィルムと、前記離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有し、
    前記転写層は、前記離型フィルム側から、第1保護層および第2保護層を、厚さ方向において、この順に有し、
    前記第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、
    前記第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、
    前記第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、
    前記第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、
    前記第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、転写シート。
  2. 前記第1硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂組成物である、請求項1に記載の転写シート。
  3. 前記第1硬化性樹脂組成物が、電子線硬化性樹脂組成物である、請求項1または請求項2に記載の転写シート。
  4. 前記第1硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  5. 前記第2硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  6. 前記第2硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  7. 前記第2硬化性樹脂組成物が、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体を含む熱硬化性樹脂組成物である、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  8. 前記第1保護層が、前記耐候剤として、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方を含有する、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  9. 前記第1保護層が、前記耐候剤として、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  10. 前記第2保護層が、前記耐候剤として、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方を含有する、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  11. 前記第2保護層が、前記耐候剤として、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  12. 前記第2保護層の前記第1保護層とは反対側の面に、接着層を有する、請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  13. 前記接着層が着色剤を有する、請求項12に記載の転写シート。
  14. 前記接着層の断面におけるインデンテーション硬さは、200MPa以上、600MPa以下である、請求項12または請求項13に記載の転写シート。
  15. 請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載の転写シートの製造方法であって、
    前記離型フィルムの面に、前記第1硬化性樹脂組成物および前記耐候剤を含有する第1組成物を塗工し、硬化させ、前記第1保護層を形成する第1保護層形成工程と、
    前記第1保護層の前記離型フィルムとは反対側の面に、前記第2硬化性樹脂組成物および前記耐候剤を含有する第2組成物を塗工し、硬化させ、前記第2保護層を形成する第2保護層形成工程と、
    を有する、転写シートの製造方法。
  16. 請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載の転写シートを準備する準備工程と、
    前記転写シートの前記第2保護層側の面と、基体と、を対向させ、両者を密着させる密着工程と、
    を有する、外装部材の製造方法。
  17. 第1保護層、第2保護層、接着層および基体を、厚さ方向において、この順に有し、
    前記第1保護層は、第1硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、
    前記第2保護層は、第2硬化性樹脂組成物の硬化物および耐候剤を含有し、
    前記第1硬化性樹脂組成物の硬化物、および、第2硬化性樹脂組成物の硬化物は、それぞれ、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分を含有し、
    前記第1保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、70MPa以上、600MPa以下であり、
    前記第2保護層の断面におけるインデンテーション硬さは、50MPa以上、300MPa以下である、外装部材。
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