JP2023139482A - 転写シート、および、外装部材の製造方法 - Google Patents

転写シート、および、外装部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性および耐候密着性を両立した、外装部材用の転写シートを提供する。【解決手段】外装部材の製造に用いられる転写シートであって、上記転写シートは、離型フィルム1と、上記離型フィルムの一方の面に配置された転写層Xと、を有し、上記転写層は、上記離型フィルム側から、第1保護層2、第2保護層3および意匠層4を、厚さ方向において、この順に有し、上記転写層の上記第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が、90N/mm2以上、160N/mm2以下であり、上記第2保護層の厚さが、1μm以上、7μm以下である、転写シートを提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、転写シート、および、外装部材の製造方法に関する。
金属部材および樹脂部材等の基体に、意匠性を付与する転写シートが知られている。転写シートは、通常、離型フィルムと、転写層とを有するシートであり、転写層を基体に転写することで、基体に意匠性を付与する。例えば特許文献1には、剥離層と、剥離層に剥離可能に取り付けられた意匠転写層と、を含む意匠転写シートが開示されている。
特開2016-120643号公報
上述したように、転写シートは、通常、離型フィルムと、転写層(例えば、第1保護層、第2保護層および意匠層)とを有するシートである。一方、化粧シートは、例えば、基材層、意匠層、透明樹脂層、第2保護層および第1保護層を有するシートであり、化粧シートを基体に貼付することで、基体に意匠性を付与する。転写シートは、通常、化粧シートにおける基材層および透明樹脂層を有しないため、加工性に優れるという利点を有する。
転写シートは、透明樹脂層を有する化粧シートと比較して、転写層の厚さ(例えば第1保護層から意匠層までの厚さ)が薄く、耐摩耗性が低い。例えば、第1保護層の硬度を高くすると、耐摩耗性の向上は図れるものの、第1保護層および第2保護層の密着性が低くなる。また、外装部材(屋外用の部材)には、良好な初期密着性のみならず、良好な耐候密着性が求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性および耐候密着性を両立した、外装部材用の転写シートを提供することを主目的とする。
本開示においては、外装部材の製造に用いられる転写シートであって、上記転写シートは、離型フィルムと、上記離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有し、上記転写層は、上記離型フィルム側から、第1保護層、第2保護層および意匠層を、厚さ方向において、この順に有し、上記転写層の上記第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が、90N/mm以上、160N/mm以下であり、上記第2保護層の厚さが、1μm以上、7μm以下である、転写シートを提供する。
また、本開示においては、上述した転写シートを準備する準備工程と、上記転写シートの上記意匠層側の面と、基体と、を対向させ、両者を密着させる密着工程と、を有する、外装部材の製造方法を提供する。
本開示においては、耐摩耗性および耐候密着性を両立した、外装部材用の転写シートを提供できるという効果を奏する。
本開示における転写シートを例示する概略断面図である。 本開示における外装部材の製造方法を例示する概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されるべきではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されるべきではない。
本明細書において、ある部材に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
以下、本開示における、転写シート、および、外装部材の製造方法について、詳細に説明する。
A.転写シート
図1は、本開示における転写シートを例示する概略断面図である。図1に示すように、転写シート10は、離型フィルム1と、離型フィルム1の一方の面に配置された転写層Xと、を有する。転写層Xは、離型フィルム1側から、第1保護層2、第2保護層3および意匠層4を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する。本開示においては、転写層Xの第1保護層2側の面Sにおけるマルテンス硬度が、所定の範囲にある。「転写層Xの第1保護層2側の面」とは、第2保護層3を基準とした場合に第1保護層2側に位置する、転写層Xの面をいう。また、第2保護層3の厚さが、所定の範囲にある。
本開示によれば、転写層の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が所定の範囲にあり、かつ、第2保護層の厚さが所定の範囲にあることにより、耐摩耗性および耐候密着性を両立した、外装部材用の転写シートとなる。上述したように、転写シートは、透明樹脂層を有する化粧シートと比較して、転写層の厚さ(例えば第1保護層から意匠層までの厚さ)が薄く、耐摩耗性が低い。例えば、第1保護層の硬度を高くすると、耐摩耗性の向上は図れるものの、第1保護層および第2保護層の密着性が低くなる。また、外装部材には、良好な初期密着性のみならず、良好な耐候密着性が求められている。
耐摩耗性および耐候密着性の両立を図る場合、第1保護層の特性のみならず、第2保護層の特性を含めて詳細に検討する必要がある。例えば、耐摩耗性の向上のみを図る場合、第1保護層の硬度を高くすることが有効である。しかしながら、第1保護層の硬度を高くすると、第1保護層および第2保護層の密着性が低くなる。例えば、初期密着性の観点では、第2保護層に十分な柔軟性を付与することで、第1保護層および第2保護層の初期密着性は向上する。これに対して、耐候密着性の観点では、第2保護層の柔軟性に加え、熱による第2保護層の動き(形状変化)と、その動きに対する第1保護層の追従性と、を考慮する必要がある。第1保護層の追従性が低いと、第1保護層にクラックが生じやすくなる。第1保護層にクラックが生じると、第1保護層および第2保護層の密着性は低下する。本開示においては、転写層の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度と、第2保護層の厚さと、のバランスに着目することで、良好な耐摩耗性を維持しつつ、第1保護層にクラックが生じることを抑制した転写シート(耐摩耗性および耐候密着性を両立した転写シート)が得られる。
また、本開示における転写シートは、通常、外装部材の製造に用いられる。外装部材(屋外用の部材)には、内装部材(屋内用の部材)に比べて、高い耐候性が求められる。例えば、透明樹脂層を有する化粧シートの場合、透明樹脂層は比較的厚い層であるため、透明樹脂層に十分な量の耐候剤を添加することで、高い耐候性を付与することは、比較的容易である。これに対して、透明樹脂層に該当する層を有しない転写シートに、高い耐候性を付与する場合、第1保護層および第2保護層に耐候剤を添加することが想定される。この場合、耐候剤の添加により、第1保護層に求められる特性(例えば、耐摩耗性、耐汚染性等の表面特性)、および、第2保護層に求められる特性(例えば密着性)に影響を与える可能性がある。そのため、転写シートの各層に求められる特性を維持しつつ、転写シートに高い耐候性を付与することは、化粧シートに高い耐候性を付与する場合に比べて、技術的な困難性が高いといえる。
また、第1保護層および第2保護層の密着性の問題は、化粧シートの製造工程では生じにくく、転写シートの製造工程では特に生じやすい。すなわち、第1保護層および第2保護層の密着性の問題は、転写シートに特有の課題であるといえる。具体的に、化粧シートの場合、通常、基材上に意匠層を形成し、次に、意匠層上に第2保護層を形成し、次に、第2保護層上に第1保護層を形成する。第1保護層は、通常、第2保護層上に形成された第1保護層形成用の組成物を硬化することで作製されるため、第1保護層および第2保護層の密着性は良好になる。
これに対して、転写シートの場合、通常、離型フィルム上に第1保護層を形成し、次に、第1保護層上に第2保護層を形成し、次に、第2保護層上に意匠層を形成する。第1保護層は、通常、離型フィルム上に第1保護層形成用の組成物を硬化することで作製される。その硬化した第1保護層上に、第2保護層を形成するため、第1保護層および第2保護層の密着性は不足しやすい。このように、第1保護層および第2保護層の密着性の問題は、転写シートに特有の課題である。本開示においては、転写層の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度と、第2保護層の厚さと、のバランスに着目することで、第1保護層および第2保護層の密着性が良好な転写シートが得られる。
1.第1保護層
本開示における転写シートは、第1保護層を有する。第1保護層は、耐摩耗性向上に寄与する。また、外装部材の耐摩耗性を向上させるために、第1保護層の硬度を高くすると、第1保護層および第2保護層の密着性は低下しやすい。第1保護層および離型フィルムは、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
図1に示すように、転写層Xの第1保護層2側の面をSとする。後述する実施例に記載するように、転写シートにおける転写層をポリカーボネート板に熱転写した場合に、面Sにおけるマルテンス硬度は、通常、90N/mm以上であり、100N/mm以上であってもよい。マルテンス硬度が低いと、良好な耐摩耗性が得られない可能性がある。一方、面Sにおけるマルテンス硬度は、通常、160N/mm以下であり、150N/mm以下であってもよい。マルテンス硬度が高いと、第2保護層に対する第1保護層の追従性が低くなり、第1保護層にクラックが生じやすくなり、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。上記マルテンス硬度は、例えば、第1保護層形成用の組成物における、原料の分子量および官能基数により、調整できる。
第1保護層は、樹脂成分として、硬化性樹脂組成物の硬化物(架橋構造体)を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は、第1保護層を構成する全樹脂成分に対して、例えば、70質量%以上であり、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
硬化性樹脂組成物の硬化物としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、例えば、電子線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物が挙げられる。これらの中でも、重合開始剤が不要のため臭気が少なく、着色が生じにくいことから、電子線硬化性樹脂組成物が好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する官能基が挙げられる。なお、本開示において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクロイル基をいう。
電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいう。電離放射線としては、例えば、電子線(EB)および紫外線(UV)が挙げられる。また、電離放射線の他の例としては、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
電離放射線硬化性化合物は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。中でも、電離放射線硬化性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレートを少なくとも含むことが好ましい。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートをいう。ウレタン(メタ)アクリレートは、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。第1保護層の耐摩耗性を向上させやすいからである。
電離放射線硬化性化合物がカプロラクトン系ウレタンアクリレートを含有する場合、カプロラクトン系ウレタンアクリレートの官能基数は、2以上4以下が好ましく、2以上3以下がより好ましい。
また、電離放射線硬化性化合物は、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートと、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートと含んでいてもよい。この場合、第1保護層に含まれるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの含有量をMCLUAとし、カプロラクトン変性されていないウレタン(メタ)アクリレートの含有量をMUAとする。MUAおよびMCLUAの合計に対するMCLUAの質量比(MCLUA/(MUA+MCLUA))は、例えば、40質量%以上90質量%以下であり、45質量%以上80質量%以下であってもよく、50質量%以上70質量%以下であってもよい。
カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、カプロラクトン系ポリオールと、有機イソシアネートと、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができる。合成法としては、例えば、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて、両末端に-NCO基(イソシアナート基)を含有するポリウレタンプレポリマーを生成させた後に、ヒドロキシ(メタ)アクリレートと反応させる方法が挙げられる。
カプロラクトン系ポリオールとして、市販されるものを使用することができ、好ましくは2個の水酸基を有し、数平均分子量が好ましくは500~3000、より好ましくは750~2000のものが挙げられる。また、カプロラクトン系以外のポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のポリオールを1種または複数種を任意の割合で混合して使用することもできる。有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく挙げられる。ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレート等が好ましく挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物が、カプロラクトン系ポリオールを含む場合、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートとは、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートのうち、末端がジエチレングリコールであるウレタン(メタ)アクリレートをいう。カプロラクトンジオール系ウレタン(メタ)アクリレートを用いることで、第1保護層に、割れおよび白化が生じることを抑制できる。
電離放射線硬化性化合物の数平均分子量は、例えば、1000以上10000以下であり、2000以上10000以下であってもよい。数平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
例えば、電離放射線硬化性化合物が、紫外線硬化性化合物である場合、電離放射線硬化性化合物は、光重合開始剤および光重合促進剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、チオキサントン類が挙げられる。光重合促進剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルが挙げられる。
第1保護層は、耐候剤を含有する。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤および光安定剤が挙げられる。第1保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一つを含むことが好ましい。第1保護層は、1種または2種以上の紫外線吸収剤を含んでいてもよい。同様に、第1保護層は、1種または2種以上の光安定剤を含んでいてもよい。
第1保護層に含まれる紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、オキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノ(メタ)アクリレート系紫外線吸収剤等の有機系紫外線吸収剤、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中でも、トリアジン系紫外線吸収剤がより好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノールが挙げられる。
第1保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上10質量部以下であり、0.8質量部以上8質量部以下であってもよく、1質量部以上5質量部以下であってもよい。紫外線吸収剤の含有量が多いと、紫外線吸収剤のブリードアウトが発生する可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が少ないと、十分な紫外線吸収性能が得られない可能性がある。
第1保護層に含まれる光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン)が挙げられる。
第1保護層に含まれる光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、例えば、1質量部以上10質量部以下であり、1.5質量部以上8質量部以下であってもよく、2質量部以上5質量部以下であってもよい。光安定剤の含有量が多いと、光安定剤のブリードアウトが発生する可能性があり、光安定剤の含有量が少ないと、十分な光安定性が得られない可能性がある。
第1保護層は、シリコーン化合物、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、防汚剤、消泡剤、等の添加剤を含有していてもよい。一方、第1保護層は、充填剤(フィラー)を含有していてもよく、含有していなくてもよい。充填剤としては、例えば、有機系充填剤および無機系充填剤が挙げられる。特に、本開示における第1保護層は、上述したマルテンス硬度が所定の範囲にあることから、充填剤を含有していなくても、良好な耐摩耗性が得られる。また、第1保護層が充填剤を含有しないことで、透明性の低下が抑制される。その結果、意匠性の低下が抑制される。
第1保護層の厚さは、例えば2μm以上であり、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよい。第1保護層が薄いと、良好な耐摩耗性が得られない可能性がある。一方、第1保護層の厚さは、例えば20μm以下であり、15μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。第1保護層の厚いと、第1保護層の硬度が増加し、第2保護層に対する第1保護層の追従性が低くなり、第1保護層にクラックが生じやすくなり、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。
2.第2保護層
本開示における転写シートは、第2保護層を有する。第2保護層は、第1保護層と意匠層との密着性向上に寄与する。第2保護層は、通常、第1保護層より柔軟な層である。また、第2保護層および第1保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
第2保護層の厚さは、通常、1μm以上であり、2μm以上であってもよい。第2保護層が薄いと、相対的に硬い第1保護層との密着性(特に初期密着性)が低くなる可能性がある。一方、第2保護層の厚さは、通常、7μm以下であり、6μm以下であってもよい。第2保護層が厚いと、熱による第2保護層の動きが大きくなり、第1保護層にクラックが生じやすくなり、良好な耐候密着性が得られない可能性がある。
第2保護層は、樹脂を含有する。上記樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステルが挙げられる。これらの中でも、ウレタン系樹脂が好ましい。第2保護層は、上記樹脂の硬化物(架橋構造体)を含むことが好ましい。
第2保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物(特に、熱硬化性樹脂組成物の硬化物)を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する組成物である。熱硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂組成物は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加したものであってもよい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはウレタン(メタ)アクリル系樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物は、硬化物の構造をよりリジットにするために、イソシアネート系硬化剤またはエポキシ系硬化剤を含むことが好ましく、イソシアネート系硬化剤を含むことがより好ましい。
また、第2保護層がウレタン(メタ)アクリル系樹脂を含む場合、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂は、ウレタン(メタ)アクリル共重合体であることが好ましく、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体であることがより好ましい。ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体は、ポリカーボネートジオールと(ジ)イソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子に、(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
(ジ)イソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、n-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、o-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体における、(メタ)アクリル成分およびウレタン成分の合計に対するウレタン成分の質量比([ウレタン成分]/([(メタ)アクリル成分]+[ウレタン成分])は、例えば、75質量%以上95質量%以下であり、80質量%以上90質量%以下であってもよい。上記質量比を75質量%以上にすることで、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体におけるポリカーボネート構造の割合を多くすることができるため、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリル共重合体の構造がよりリジットになる。そのため、温度変化に対する変形を小さくできる。また、上記質量比を95質量%以下にすることで、第2保護層の柔軟性を確保しやすくなり、意匠層との密着性が向上する。
第2保護層は、耐候剤を含有する。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤および光安定剤が挙げられる。第2保護層は、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一つを含むことが好ましい。耐候剤の好ましい種類および態様については、上記「1.第1保護層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。特に、第2保護層は、トリアジン系紫外線吸収剤を含むことが好ましい。また、第2保護層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。
第2保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上50質量部以下であり、3質量部以上40質量部以下であってもよく、10質量部以上35質量部以下であってもよい。また、第2保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)は、第1保護層に含まれる紫外線吸収剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)より多くてもよい。
第2保護層に含まれる光安定剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上15質量部以下であり、1質量部以上15質量部以下であってもよく、3質量部以上10質量部以下であってもよい。また、第2保護層に含まれる光安定剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)は、第1保護層に含まれる光安定剤の含有量(樹脂成分100質量部に対する含有量)より多くてもよい。
第2保護層は、シリコーン化合物、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、防汚剤、消泡剤、等の添加剤を含有していてもよい。また、第2保護層は、充填剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
3.意匠層
本開示における転写シートは、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、意匠層を有する。意匠層を設けることで、外装部材の意匠性が向上する。意匠層および第2保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
意匠層としては、例えば、ベタ層(インキをベタ塗りした層)、絵柄層(インキを印刷した層)が挙げられる。絵柄層における絵柄(模様)としては、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様が挙げられる。
意匠層は、通常、着色剤およびバインダー樹脂を含有する。着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾブラック等の有機顔料(染料を含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等のパール顔料が挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリルポリオール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタンアクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化プロピレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂が挙げられる。
意匠層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化剤、可塑剤、触媒等の添加剤を含有していてもよい。意匠層の厚さは、例えば、0.5μm以上、20μm以下であり、1μm以上、10μm以下であってもよく、2μm以上、5μm以下であってもよい。
4.離型フィルム
本開示における転写シートは、第1保護層の第2保護層とは反対側の面に、離型フィルム(第1離型フィルム)を有する。離型フィルムおよび第1保護層は、直接接触するように配置されていてもよく、他の層を介して配置されていてもよい。
離型フィルムは、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムに含まれる樹脂としては、例えば、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、カーボネート系樹脂が挙げられる。
離型フィルムは、エステル系樹脂またはオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体が挙げられる。これらの中でも、転写シートを製造する際の熱収縮、および、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという観点から、PETまたはPBTが好ましく、PETがより好ましい。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体が挙げられる。これらの中でも、転写シートを製造する際の熱収縮、および、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという観点から、ポリプロピレンが好ましい。
離型フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムにおける機械方向(MD)における延伸倍率は、例えば5倍以上30倍以下である。延伸フィルムにおける幅方向(TD)における延伸倍率は、例えば5倍以上30倍以下である。また、離型フィルムの厚さは、例えば、10μm以上200μm以下であり、15μm以上150μm以下であってもよく、20μm以上100μm以下であってもよい。
5.転写シート
本開示における転写シートは、離型フィルムおよび転写層(少なくとも、第1保護層、第2保護層および意匠層)を有する。転写層の厚さは、例えば10μm以上であり、12μm以上であってもよく、14μm以上であってよい。転写層が薄いと、十分な耐候性が得られない可能性がある。一方、転写層の厚さは、例えば50μm以下であり、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。転写層が厚いと、転写シートの加工性が低下する可能性がある。
本開示における転写シートは、意匠層の第2保護層とは反対側の面に、接着剤層を有していてもよく、有していなくてもよい。接着剤層は、樹脂を含有する。上記樹脂としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂が挙げられる。接着剤層の厚さは、例えば、0.1μm以上、10μm以下である。
本開示における転写シートは、意匠層の第2保護層とは反対側の面に、第2離型フィルムを有していてもよい。例えば、転写シートをロール状に巻き取って製造した場合に、ブロッキングの発生を抑制できる。第2離型フィルムは、通常、後述する密着工程の前に、転写シートから剥離される。第2離型フィルムの詳細については、上述した第1離型フィルムに記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
6.転写シートの形成方法
本開示における転写シートの形成方法は、特に限定されないが、例えば、離型フィルムの面に第1保護層を形成し、次いで、第1保護層の離型フィルムとは反対側の面に第2保護層を形成し、次いで、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に意匠層を形成する方法が挙げられる。
第1保護層の形成方法としては、例えば、離型フィルムの面に、第1保護層形成用の組成物を塗工し、硬化させる方法が挙げられる。上記組成物の塗工方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法が挙げられる。上記硬化方法としては、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線を照射する方法が挙げられる。
第2保護層の形成方法としては、例えば、第1保護層の離型フィルムとは反対側の面に、第2保護層形成用の組成物を塗工し、必要に応じて硬化させる方法が挙げられる。上記組成物の塗工方法としては、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法が挙げられる。上記硬化方法としては、例えば、熱が挙げられる。また、意匠層の形成方法としては、例えば、第2保護層の第1保護層とは反対側の面に、着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有するインキを塗工する方法が挙げられる。
B.外装部材の製造方法
図2は、本開示における外装部材の製造方法を例示する概略断面図である。まず、図2(a)に示すように、転写シート10を準備する。転写シート10は、離型フィルム1、第1保護層2、第2保護層3および意匠層4を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する。次に、図2(b)に示すように、転写シート10の意匠層4側の面と、基体20と、を対向させ、両者を密着させる。「転写シート10の意匠層4側の面」とは、離型フィルム1を基準とした場合に意匠層4側に位置する、転写シート10の面をいう。次に、図2(c)に示すように、転写シート10から離型フィルム1を剥離する。これにより、第1保護層2、第2保護層3、意匠層4および基体20を、厚さ方向Dにおいて、この順に有する、外装部材100が得られる。
本開示によれば、上述した転写シートを用いることで、耐摩耗性および耐候密着性を両立した外装部材が得られる。
1.準備工程
本開示における準備工程は、上述した転写シートを準備する工程である。転写シートについては、上記「A.転写シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
2.密着工程
本開示における密着工程は、上記転写シートの上記意匠層側の面と、基体とを対向させ、両者を密着させる工程である。転写シートおよび基体を対向させる際に、両者を直接接触するように配置してもよく、両者の間に他の層を介して配置してもよい。
本開示における基体の一例としては、樹脂部材が挙げられる。樹脂部材に用いられる樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(ABS系樹脂)、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、ゴムが挙げられる。また、基体の他の例としては、木質部材が挙げられる。木質部材としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、木質繊維板が挙げられる。木質部材に用いられる木材としては、例えば、杉、檜、松、ラワンが挙げられる。
また、基体の他の例としては、金属部材が挙げられる。金属部材に用いられる金属としては、例えば、鉄、アルミニウムが挙げられる。また、基体の他の例としては、窯業部材が挙げられる。窯業部材の材料は、ガラス、陶磁器等のセラミックスであってもよく、石膏等の非セメント窯業系材料であってもよく、ALC(軽量気泡コンクリート)等の非陶磁器窯業系材料であってもよい。
基体の形状は、特に限定されず、例えば、板状、シート状、立体形状が挙げられる。また、基体は、平面部を有していてもよく、曲面部を有していてもよく、平面部および曲面部の両方を有していてもよい。また、基体は、凸部、凹部、凸条部、凹条部、貫通部の少なくとも一つを有していてもよい。
密着工程においては、転写シートの意匠層側の面と、基体とを対向させ、両者を密着させる。両者を密着させる方法としては、例えば、ラミネート法が挙げられる。ラミネート法では、例えば、転写シートおよび基体の積層体を、転写シート側から加熱および加圧する。加熱および加圧の方法としては、例えば、ロール転写装置を用いる方法が挙げられる。ロール転写装置のロール温度は、例えば200℃以下であり、180℃以下であってもよい。ロール温度が高いと、転写シートが必要以上に軟化する可能性がある。一方、ロール転写装置のロール温度は、例えば100℃以上であり、110℃以上であってもよく、120℃以上であってもよい。また、本開示における外装部材の製造方法は、密着工程の後に、第1保護層から離型フィルムを剥離する剥離工程を有していてもよい。
3.外装部材
本開示における外装部材は、第1保護層、第2保護層、意匠層および基体を、厚さ方向において、この順に有する。外装部材の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が、上述した範囲であることが好ましい。「外装部材の第1保護層側の面」とは、第2保護層を基準とした場合に第1保護層側に位置する、外装部材の面をいう。また、外装部材において、第2保護層の厚さが、上述した範囲であることが好ましい。また、外装部材は、第1保護層の第2保護層とは反対側の面に、離型フィルムを有している離型フィルム付外装部材であってもよく、離型フィルムを有しない外装部材であってもよい。
本開示における外装部材は、例えば建材である。建材は、例えば、住宅、事務所、店舗、病院、診療所等の建築物に用いられる。外装部材の用途としては、例えば、外壁、屋根、軒天井、戸袋、窓枠、扉、扉枠、手すり、塀、物干台が挙げられる。
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
離型フィルムとして、PETフィルム(ダイアホイルE130-26、三菱ケミカル製)を用意した。PETフィルムの面に、下記の第1保護層形成用の組成物を、乾燥後の塗工量が5g/mとなるように塗工し、乾燥した。その後、電子線(加圧電圧:175keV、5Mrad(50kGy))を照射し、厚さ5μmの第1保護層を形成した。
<第1保護層形成用の組成物>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(2官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/多官能ウレタンアクリレート=50/50(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:4質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)3質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)1質量部)
・光安定剤:3質量部
(製品名:LS-3410、日本乳化剤株式会社製)
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第1保護層の面に、下記の第2保護層形成用の組成物を塗工し、乾燥させ、厚さ3μmの第2保護層を形成した。
<第2保護層形成用の組成物>
・ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
(ウレタン成分/アクリル成分=90/10(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:30質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)15質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)15質量部)
・光安定剤:3質量部
(「Tinuvin123」(BASF社製))
・ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤:6質量部
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
次に、得られた第2保護層の面に、グラビア印刷機を用いて、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体を含むインキ(昭和インク製)を塗工し、常温で24時間養生し、意匠層を形成した。これにより、離型フィルム、第1保護層、第2保護層および意匠層を、厚さ方向において、この順に有する転写シートを得た。次に、基体としてポリカーボネート板(耐候処方あり、厚さ2μm)を準備し、130℃程度に加熱した。次に、得られた転写シートを、160℃のロールで、ポリカーボネート板に熱転写し、離型フィルムを剥離した。これにより、第1保護層、第2保護層、意匠層および基体を有する評価用部材を得た。
[実施例2]
第2保護層の厚さを1μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
[実施例3]
第1保護層形成用の組成物を、以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
<第1保護層形成用の組成物>
・ウレタンアクリレート:100質量部
(3官能カプロラクトン変性ウレタンアクリレート/3官能ウレタンアクリレート=30/70(質量比))
・トリアジン系紫外線吸収剤:4質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)3質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)1質量部)
・光安定剤:3質量部
(製品名:LS-3410、日本乳化剤株式会社製)
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[実施例4]
第2保護層の厚さを7μmに変更したこと以外は、実施例3と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
[比較例1]
第1保護層形成用の組成物を、以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
<第1保護層形成用の組成物>
・2官能ウレタンアクリレート:100質量部
・トリアジン系紫外線吸収剤:4質量部
(「Tinuvin479」(BASF社製)3質量部、「Tinuvin400」(BASF社製)1質量部)
・光安定剤:3質量部
(製品名:LS-3410、日本乳化剤株式会社製)
・溶剤:適量
(メチルエチルケトン)
[比較例2]
第2保護層の厚さを9μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
[比較例3]
第2保護層の厚さを0.5μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして転写シートおよび評価用部材を得た。
[マルテンス硬度の測定]
実施例1~4および比較例1~3で得られた評価用部材の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度を測定した。具体的には、評価用部材を常温で1週間養生し、微小硬さ試験機(ピコデンター(登録商標)HM500、フィッシャー・インストルメンツ製)を用い、ピラミッド形状の圧子を、評価用部材の第1保護層側の面に押し込み、0.1mNの荷重にて押し込み測定した。表面にできたピラミッド形のくぼみの対角線の長さからその表面積A(mm)を計算し、荷重F(N)を表面積Aで割ることにより、マルテンス硬度を算出した。その結果を表1に示す。
[耐摩耗性の評価]
実施例1~4および比較例1~3で得られた評価用部材の耐摩耗性を評価した。耐摩耗性の評価は、JIS K7204に準拠して行った。具体的に、摩耗輪(CS-10)を使用し、片輪500g(両輪1000g)の荷重をかけ、回転数800回転時点における柄取られの有無を確認した。柄取られが見られなかった場合を〇と評価し、柄取られが軽微に見られた場合を△と評価し、柄取られが著しく見られた場合を×と評価した。その結果を表1に示す。
[耐候密着性の評価]
実施例1~4および比較例1~3で得られた評価用部材の耐候密着性を評価した。具体的には、メタルハライドランプ(MWOM)による促進耐候試験(下記の照射条件で20時間紫外線を照射した後、下記の結露条件で4時間結露を行う工程を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う試験)を500時間実施した。
<促進耐候試験の条件>
(試験装置)
ダイプラ・ウィンテス社製、商品名「ダイプラ・メタルウェザー」
(照射条件)
照度:65mW/cm、ブラックパネル温度:63℃、槽内湿度:50%RH、時間:20時間
(結露条件)
照度:0mW/cm、槽内湿度:98%RH、時間:4時間
粘着テープ(「セロテープ(登録商標)」、ニチバン株式会社製)を、促進耐候試験後の評価用部材の端部から5cm程はみ出るようにし、2.5cm×2.5cmの面積で貼り付けた。その後、貼り付けた粘着テープのはみ出た部分をつまみ、評価用部材の面に対し45°の方向に粘着テープを剥した。剥離が見られなかった場合を〇と評価し、剥離が軽微に見られた場合を△と評価し、剥離が著しく見られた場合を×と評価した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1~4では、耐摩耗性および耐候密着性が良好であった。比較例1では、耐摩耗性が低くかった。これは、評価用部材の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が不足しているためであると推測される。比較例2、3では、耐候密着性が低くかった。比較例2では、第2保護層が厚く、熱による第2保護層の動きが大きくなり、第2保護層と第1保護層との間に歪が生じ、第1保護層にクラックが生じたためであると推測される。一方、比較例3では、第2保護層が薄く、第2保護層と第1保護層との密着性が低かったためであると推測される。これに対して、これに対して、実施例1~4では、評価用部材の第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が所定の範囲にあり、かつ、第2保護層の厚さが所定の範囲にあることから、耐摩耗性および耐候密着性の両立を図ることができた。
1 … 離型フィルム
2 … 第1保護層
3 … 第2保護層
4 … 意匠層
10 … 転写シート
20 … 基体
100 … 外装部材

Claims (10)

  1. 外装部材の製造に用いられる転写シートであって、
    前記転写シートは、離型フィルムと、前記離型フィルムの一方の面に配置された転写層と、を有し、
    前記転写層は、前記離型フィルム側から、第1保護層、第2保護層および意匠層を、厚さ方向において、この順に有し、
    前記転写層の前記第1保護層側の面におけるマルテンス硬度が、90N/mm以上、160N/mm以下であり、
    前記第2保護層の厚さが、1μm以上、7μm以下である、転写シート。
  2. 前記第1保護層の厚さが、3μm以上、10μm以下である、請求項1に記載の転写シート。
  3. 前記第1保護層が、フィラーを含有しない、請求項1または請求項2に記載の転写シート。
  4. 前記第1保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  5. 前記第2保護層が、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  6. 前記第1保護層が、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方を含有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  7. 前記第1保護層が、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  8. 前記第2保護層が、紫外線吸収剤および光安定剤の少なくとも一方を含有する、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  9. 前記第2保護層が、トリアジン系紫外線吸収剤を含有する、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の転写シート。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の転写シートを準備する準備工程と、
    前記転写シートの前記意匠層側の面と、基体と、を対向させ、両者を密着させる密着工程と、
    を有する、外装部材の製造方法。
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