JP2023038411A - 杢調混繊糸及びそれを用いた織編物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の杢調混繊糸では得られなかったグラデーション効果に優れたカスリ調外観を有する混繊糸及び織編物を得ることであり、濃染部と淡染部の周期が一定な太細斑を有するカチオン可染ポリエステル糸とポリエステル糸とを少ない交絡数で混繊することで混繊後も濃染部と淡染部がこなれず、織編物に用いることで優れた風合いとグラデーション効果に優れたカスリ調外観を兼ね備えた混繊糸及び織編物を提供する。【解決手段】カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bで構成された混繊糸であり、混繊糸中の開繊部30個を測定した場合、1m当たりの交絡度CF値が3以上20以下、糸条Aの太部と細部のピーク周期が25cm以上50cm以下である杢調混繊糸。【選択図】図3

Description

本発明は、杢調混繊糸及びそれを用いた織編物に関するものである。
従来から、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸は織編物に用いることで染色差による杢感や収縮差によるふくらみ感が得られ、ナチュラルな表面感と独自の風合いを有した繊維製品を製造することができ、更に太細斑を有するカチオン可染ポリエステル糸と混繊することで3色以上の多色表現が可能となるため、広く検討がなされている。
例えば、高圧の流体処理を施し交絡部を付与したカチオン可染ポリエステル未延伸糸を特定の条件で加熱延伸することで単繊維の太部と細部の分散を抑制し、カチオン染色後の濃染部と淡染部のコントラストが強い太細マルチフィラメント糸とその製造方法、並びに淡染領域上に濃染部が短く明瞭に存在する外観を有する布帛が提案されている(特許文献1参照)。
また、ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸とカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸にそれぞれ独立に高圧エアーを噴射してフィラメントに交絡部を付与した後に両糸を引き揃え特定の条件で加熱延伸することで交絡部が延伸されず濃染部と淡染部のコントラストが明瞭な混繊糸を用いた布帛が提案されている(特許文献2参照)。
特開2002-235240号公報 特開2000-144552号公報
しかしながら、上記の特許文献1で提案の太部と細部のコントラストの強い太細マルチフィラメント糸は、単繊維中の太部と細部の分散を抑制し、濃染部と淡染部の周期がランダムなコントラストの強いカスリ調外観を付与するとされているが、濃染部の長さが短くかつ淡染部との周期がランダムなため単独で布帛を形成した場合は目的のカスリ調外観を得ることができるものの、3色以上の多色表現を行う場合は、流体ノズルで別の糸条と混繊することになり、単繊維同士が絡み合う結果、混繊後の糸長に対する濃染部の長さ、淡染部との周期が短くなるため霜降り調の外観となり高度なカスリ調外観を得ることができなかった。
また、特許文献2の提案では、ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸とカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸に独立して交絡を付与した後に引き揃えて延伸し、3色以上の多色表現を可能にするとあるが、交絡部が延伸されず濃染部となるため濃染部の長さが短く、2本の糸条を混繊せずに巻き取るため、後工程で撚糸を行う必要があり、コストが高く、かつ霜降り調の外観となりカスリ調外観を得ることができなかった。
本発明の課題は、前記の課題を解決しようとするものであって、従来の混繊糸では得られなかったグラデーション効果に優れたカスリ調外観を有する織編物を与え得る混繊糸及び織編物を得ることであり、濃染部と淡染部の周期が従来よりも長い太細斑を有するカチオン可染ポリエステル糸とポリエステル糸を、少ない交絡数で混繊することで混繊後も濃染部と淡染部がこなれず、織編物に用いることで優れた風合いとグラデーション効果に優れたカスリ調外観を兼ね備えた混繊糸及び織編物を提供することにある。
そこで本発明者は、検討を実施した結果、ポリエステルマルチフィラメント糸と、太細斑が一定の周期で発現し、かつ太細斑のピーク周期が長いカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸とを、少ない交絡数で混繊交絡する混繊交絡方法で処理し、得られた混繊糸を織編物に用いることで従来の混繊糸では得られなかった風合いと表面感を付与することができることを見出し本発明に到達した。そしてまた、本発明においては、特定のポリエステル杢調混繊糸を用いて製織編し、カチオン可染ポリエステルの太細斑と低交絡数の混繊交絡方法を利用してカチオン染料で布帛を染色すれば、やわらかく、膨らみ感のある風合いと長い周期で濃染から淡染に色彩が変化し、染色性の異なるポリエステルマルチフィラメント糸の色彩と合わせたグラデーション効果を兼ね備えた混繊糸及び織編物が得られることを見出した。
本発明の混繊糸は、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bで構成された混繊糸であり、1m当たりの交絡度CF値が3以上20以下、前記カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期が25cm以上50cm以下であることを特徴とする杢調混繊糸である。
本発明の好ましい態様によれば、前記の混繊糸は、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの太さ斑の変動係数CVが1.0%以上2.0%以下である。
本発明の好ましい態様によれば、前記の混繊糸は、混繊糸中の開繊部30個において、開繊部の長さとして、1個以上が1mm以上100mm未満、1個以上が100mm以上200mm未満、1個以上が200mm以上500mm以下である。
本発明の織編物は、織編物の一部に上記杢調混繊糸を用いた織編物である。
本発明の杢調混繊糸は、濃染部と淡染部の周期が従来よりも長い太細斑を有するカチオン可染ポリエステル糸条とポリエステル糸条とを、少ない交絡数で混繊することで、従来のポリエステル混繊糸では得られなかった太細斑が長い3色以上の多色表現にも使用可能で、グラデーション効果に優れたカスリ調外観を有する。
図1は本発明の杢調混繊糸に用いるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aのスペクトログラムのピーク周期を説明するためのモデル図である。 図2は本発明の杢調混繊糸の好ましい製造方法の一態様を説明するための概念図である。 図3は、実施例1で製造した丸編地の表面を示す図面代用写真である。 図4は、比較例1で製造した丸編地の表面を示す図面代用写真である。
本発明の混繊糸は、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bで構成された混繊糸であり、1m当たりの交絡度CF値が3以上20以下である。混繊糸1m当たりの交絡度CF値が3以上20以下となることで2本の糸条が適度に混繊され、カチオン染色後にカスリ調外観を得ることができる。交絡度CF値の数が3未満になるとカスリ調外観は得られるが、混繊性が低下し、織編物製造時の工程通過性の悪化や品質不良が懸念される。交絡部の数が20を超えると安定した工程通過性や品質が得られるが、霜降り調の外観となりカスリ調の外観が得られない。より好ましい交絡度CF値の数は3以上10以下である。
交絡度CF値とは、単位無次元で交絡の度合いをあらわす数値である。採取した糸に針を刺して走行させ、針が交絡点に当たり一定張力が付加された際に針が下がり、針の走行長を開繊部の長さとする。開繊部30個を測定し、開繊部の平均長さを算出する。長さ1,000mm(1m)を、前記開繊部の平均長さで割ったものを交絡度CF値とする。例えばロッシールド社(Rothschild社、スイス)製のエンタングルメントテスター(Entanglement Tester Type R‐2072)を用いて測定した開繊部の平均長さから求めることができる。CF値が低い糸は開繊部の長さが長い糸であり、CF値が高い糸は開繊部の長さが短い糸であることを意味する。
本発明の混繊糸に用いるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条A(以下、糸条Aと称する場合もある)は、太部と細部のピーク周期が25cm以上50cm以下である。この数値は繊維試料の質量変動すなわち単位長さ当り重量の変動を測定ユニットで電気信号に変換し、電気信号を増幅器で増幅してレコーダの変換機で変動波形として記録する糸むら試験機で測定した変動波形より求められる、フィラメントの太細の変動がどのような周期で生じているか周期毎の頻度をグラフ化し、そのピークを求めることにより得られる数値であり、例えば計測器工業(株)製KET80III/C型糸斑試験機を用いて測定した太細斑のスペクトログラムのピーク周期から求めることができる。なお、左記測定装置が使用できない場合は、上記同様の原理で測定可能な糸むら試験機で測定し、太細周期の頻度からそのピーク値を求めることも可能である。図1は本発明の杢調混繊糸に用いるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aのスペクトログラムのピーク周期を説明するためのモデル図である。図1は、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの太細周期の長さの度数分布を示すグラフであり、その度数の最も高い部分であるスペクトログラムのピーク周期1を読み取って太部と細部のピーク周期を求める。
太部と細部のピーク周期が20cm以上50cm以内になることで太細周期の分散が抑制され、長周期の斑が糸長手方向に多く発現する点で、比較的均一な周期で太細が発現するといえ、結果として混繊後もカスリ調の外観を有する織編物を与え得る杢調混繊糸が得られる。ピーク周期が20cm未満になると太部と細部の周期が短い斑が多くなるため、その結果得られる織編物は、霜降り調の外観となり目的のカスリ調の外観が得られない。ピーク周期が50cmを超えるとより長周期で糸の太さが変化するため、布帛とし、染色した場合に濃色、淡色のグラデーション効果(以下単にグラデーション効果、濃淡色のグラデーション効果と称する場合がある)を認識することが難しくなる。より好ましい太部と細部のピーク周期の範囲は25cm以上45cm以内である。
上記カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aを構成するポリマーとしては、通常カチオン可染ポリエステルとして用いられるものを好ましく挙げることができる。具体的にはポリエチレンテレフタレートにスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分などを共重合した、共重合ポリチレンテレフタレートなどのカチオン可染ポリエチレンテレフタレートを好ましく用いることができる。スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分は公知のものを使用してよい。具体的には、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル、5-リチウムスルホイソフタル酸、5-リチウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5-リチウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5-リチウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル等が挙げられ、これらの混合物であっても差し支えないが、染色性の改善効果と入手の容易さから5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステルが好ましい。
一般的に太細マルチフィラメントを単独で織編物に用いる場合、太部と細部の周期を短くするか太部と細部の周期が分散するような加工条件に設定する。太部と細部の周期が長く規則的に発現する糸を織編物にして配列することで隣り合う糸の太細部が重なり合う箇所や一部が重なる箇所、重ならない箇所が生まれやすくなり、布帛を見た際に部分的に模様が変化するモアレの現象が起こるためである。本発明で用いる太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメントは、ポリエステルマルチフィラメントと混繊加工を行うことでモアレのない織編物が得られることを見出し、あえて太部と細部の周期が従来よりも長く規則的に発現するようにしている。
カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aは、太さ斑の変動係数CVが1.0%以上2.0%以下であることが好ましい。変動係数CVは前述で記載の糸むら測定器を用いて測定できる質量変動の平均に対するデータのばらつきの大きさの比率を示す数値であり、測定した繊維試料の質量変動より変動の大きさを示す標準偏差を質量変動の平均値で割り、100をかけて比率として変動係数CVを表す。変動係数CVが大きくなることで繊維長手方向の質量のばらつきが大きくなり、小さくなることで質量ばらつきが小さくなる。変動係数CVが1.0%以上2.0%以下となることで布帛を染色したときに濃淡色のグラデーション効果を得るうえで好ましい。変動係数CVが1.0%未満になると、マルチフィラメントの太細差が小さくなり過ぎることで、カチオン染料での染色時に濃淡のコントラストが弱まり十分なグラデーション効果が得られない。2.0%を超えるとマルチフィラメントの太細差が大きくなり過ぎることで、濃淡のコントラストが強く濃淡の色差が強調されるためグラデーション効果のない色変化となり、太部と細部の繊度差が大きくなるため、実用とする繊維強度が得られないことがある。より好ましい太さ斑の変動係数CVは1.1%以上1.8%以下である。
本発明の混繊糸に用いるポリエステルマルチフィラメント糸条B(以下、糸条Bと称する場合もある)を構成するポリマーとしては、通常ポリエステルとして用いられるものを好ましく挙げることができ、具体的にはポリエチレンテレフタレート等を好ましく挙げることができる。
本発明の混繊糸に用いるポリエステルマルチフィラメント糸条Bにおいては、糸条Aのような太細斑を有することが、カチオン可染染料により染色されたカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの濃淡と、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太細によるニュアンスが相まって、高度なグラデーション効果に優れたカスリ調外観が得られ、さらにポリエステルマルチフィラメント糸条Bの分散染料による染色を併用した場合には、その糸条の濃淡も加わり、さらに高度なカチオン可染染料における染色と分散染料による染色と併用した場合により高度なグラデーション効果に優れたカスリ調外観を有する混繊糸及び織編物を得ることで好ましい。
太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条(以下ポリエステル太細マルチフィラメント糸条と称する場合もある)とする場合は、太さ斑の太部と細部のピーク周期の好ましい範囲は、3cm以上20cm以下であり、より好ましい範囲は4cm以上15cm以下である。また、変動係数CV値の好ましい範囲は、0.4%以上1.0%以下であり、より好ましい範囲は0.5%以上0.9%以下である。太さ斑の太部と細部のピーク周期や変動係数CV値を糸条Aと同様の範囲とすることが理想的ではあるが、太部と細部のピーク周期を長くすることはすなわち太部と細部を形成する際の延伸倍率を低く設定する必要があり、糸条Bの延伸倍率を低く設定することで混繊糸全体の強度が低下し、後工程の通過性が悪く、生地の引裂き強度が低下する等の影響があるため好ましい範囲は上記の範囲とすることが好ましい。
本発明の混繊糸は、混繊糸中の開繊部30個において、その開繊部の長さとして、1個以上が1mm以上100mm未満、1個以上が100mm以上200mm未満、1個以上が200mm以上500mm以下である。開繊部の長さは前述のCF値で測定する開繊部の長さと同様の測定方法であり、例えばロッシールド社(Rothschild社、スイス)製のエンタングルメントテスター(Entanglement Tester Type R‐2072)を用いて測定した開繊部の長さから求めることができる。開繊部の長さが、1個以上が1mm以上100mm未満、1個以上が100mm以上200mm未満、1個以上が200mm以上500mm以下になることで混繊糸中に交絡部がランダムに分散した状態で存在することになる。カチオン染色後に長い周期で濃淡色が移り変わり3色以上の多色表現、グラデーション効果に優れたカスリ調外観の織編物が得られるが、ランダムに分散することでグラデーション効果がよりいっそう自然なものとなる。混繊糸中に開繊部の長さ500mm超が混在することでカスリの杢感は得らえるが、糸条Aと糸条Bが交わらない開繊部の長さが長くなり、織編工程にて糸割れや毛羽による工程通過性悪化が懸念される。よって、500mm超の長さの開繊部は1未満であることが好ましい。なお、この場合において、イレギュラーで局所的に存在する開繊部については、上記評価には含めないものとする。
収縮差については、風合いを形成する上で支配的であるが、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエスエルマルチフィラメント糸条Bの収縮差は少なくとも5%以上が好ましく、また、任意に斑延伸を行った後に弛緩熱処理を行い自発伸長するように加工を施すこともできる。カチオン染料による染色後の収縮発現により、収縮が大きい方の糸条を芯糸、収縮が小さい方の糸条を鞘糸とする混繊糸となる。織編物に自然なカスリ調外観を付与するには、加工後にポリエステルマルチフィラメント糸条Bが芯糸に、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aが鞘糸になるように制御することが好ましい。
混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bは、いずれも芯糸になる糸条の引っ張り強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましい。引っ張り強度を2.0cN/dtex以上とすることにより、婦人紳士やカジュアル用途に好ましく適用できる。より好ましくは2.2cN/dtex以上である。上限については、4.0cNであることが風合いや発色性の点で好ましい。鞘糸になる糸条の引っ張り強度としては、1.1cN/dtex以上であることが好ましい。引っ張り強度を1.1cN/dtex以上とすることにより、製織および製編等の高次加工工程において単繊維切れや単繊維毛羽が発生しにくい。より好ましくは1.2cN/dtex以上である。上限については、4.0cNであることが風合いや発色性の点で好ましい。
また、混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bは、いずれも伸度が25%以上であることが好ましい。伸度が25%未満になると製織および製編等の高次加工工程における工程通過性に問題が起こりやすくなる。より好ましくは30%以上80%以下である。伸度が80%を超えるようになると、高次加工工程で加わる加工張力により混繊糸中の糸条が延伸され、得られる杢感に影響するおそれがある。
混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bの総繊度は、それぞれ婦人紳士衣料に適応するため400dtex以下であることが好ましく、250dtex以下であることがより好ましい。
また、混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの単糸繊度は1.0dtex以上5.0dtex以下であることが好ましく、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bの単糸繊度は0.3dtex以上4.0dtex以下であることが好ましい。カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aは、1.5dtex以上4.0dtex以下がより好ましく、ポリエステルマルチフィラメント糸条Bは0.5dtex以上3.0dtex以下がより好ましい。
混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bの断面形状は、特には限定しないが、用途等に応じて任意の形状とすることができ、円形、三角、扁平、Y型、星形、楔形、多葉型が好ましい。
以下本発明の杢調混繊糸の製造方法について説明する。
混繊糸に用いられるカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bはそれぞれの糸条の原糸となる高配向未延伸糸を加工することで得られる。ここでいう高配向未延伸糸とは、紡糸速度2000~4500m/minで紡糸された糸であって、その複屈折率Δnが0.015~0.080の範囲のものである。本発明ではこれらを別々に延伸することで、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bを得ることができる。しかしながら、引き揃えて延伸してしまうと、高紡速の糸条に加工条件を合わせなければならず、目的の杢感を得ることが難しくなるため好ましくない。
カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aは、織編物にし、染色した時の濃淡のコントラストが強く、太細斑の長い周期の糸条にすることが好ましいため、元になるカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸の紡糸速度は2000~3000m/minにすることが好ましい。
カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aは太細斑をつくるため原糸となる高配向未延伸糸を自然延伸倍率領域で熱ピンを介して延伸する。濃染部と淡染部の周期を長くする観点から好ましい延伸倍率は1.10倍以上1.25倍以下であり1.10倍以上1.20倍以下がより好ましい。また、熱ピン温度も濃染部と淡染部の周期を長くする観点から好ましい温度は50℃以上75℃以下であり、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ポリエステルマルチフィラメント糸条Bについては、太細斑のない延伸糸としてもよいし、太細斑を有する延伸糸としてもよい。
糸条Bを、太細斑のない延伸糸とする場合には、高配向未延伸糸を塑性変形倍率領域で熱ピンを介して延伸する方法を好ましく採用することができる。延伸倍率は1.60倍以上1.80倍以下であり、1.65倍以上1.75倍以下がより好ましい。また、熱ピン温度は延伸時の毛羽防止や沸騰収縮率を下げる目的からポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度となる90℃以上が好ましく、100℃以上160℃以下がより好ましい。
糸条Bを、太細斑を有する延伸糸とする場合には、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aと同様に太細斑をつくるため原糸となる高配向未延伸糸を自然延伸倍率領域で熱ピンを介して延伸する方法を好ましく採用することができる。太細斑を有しかつ混繊糸の強度を保持する観点から延伸倍率は1.25倍以上1.50倍以下であり、1.30倍以上1.45倍以下がより好ましい。また、熱ピン温度は濃染部と淡染部の周期を長くする観点から好ましい温度は50℃以上75℃以下であり、50℃以上65℃以下がより好ましい。
本発明の杢調混繊糸について混繊時の交絡は織編物の杢感に大きな影響を与える。一般に混繊工程における交絡混繊方法としては、乱流ノズルを用いたタスラン混繊方法やインターレースノズルを用いたインターレース混繊方法が知られる。乱流ノズルを用いたタスラン混繊方法ではノズル内で乱流を発生させ過供給させ弛んだ糸条に個々に旋回力を与えるためそれぞれ近傍の糸条に絡み付き微細なループが生まれる。そのため、太部と細部の周期が長いカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを用いてタスラン混繊を行っても糸条全体が絡み合い、微細なループが生まれるため目的のカスリ調外観を得ることはできない。また、インターレースノズルを用いたインターレース混繊方法では、走行糸に対して横方向となる1方向から噴流を加えるので、走行糸はインターレースノズルを通過する時、弦振動的挙動を取る。糸が噴流を横切る時に糸は開繊し単糸がランダムに挙動するため、その両端で交絡が生じる。弦振動は一定の周期で振動するため開繊部と交絡部の長さは大きく変わらず長さは短くなる。交絡部は単糸が絡まって収束するため、太部と細部の周期が長いカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントを用いてインターレース混繊を行なうと、交絡部の絡まりにより、混繊糸の長手方向長さでみたときの太部と細部のみかけの周期は短くなる。そのためこれを用いて製編織しても目的のカスリ調外観を得ることができない。
つまり、既知の混繊方法ではグラデーション効果に優れるカスリ調外観は得られない。本発明の混繊糸に用いられるノズルとしては、上記の混繊方法に用いられるノズルと混繊原理が異なり走行する2種類の糸条に異なる2方向から噴流を加え、ノズル出口に送り出し、ノズル出口に糸条の通行方向を急遽変更する衝突体を取付け、衝突体を迂回して糸条が推進流体から抜ける際に、供給され弛んだ糸の側面を流体がすり抜け単糸が絡むことで軽度の交絡が形成されるようにしたノズルを挙げることができる。上記において異なる2方向としては、走行糸条の左右から糸条の通行方向に向けて斜め方向が好ましく、走行糸条を中軸として線対称になる方向がより好ましい。また、左右から糸条の通行方向に向けて斜め方向とするときの角度としては、走行方向に対して50°以上60°以下として斜め後ろ方向から噴流を加えることが好ましい。乱流ノズルのように糸が出る隙間しかないノズル空間に高圧の噴流を加えるわけではなく、インターレースノズルで使用する低圧の噴流を加えるため軽度の交絡を形成させることができ、かつ低圧の噴流では2種類の糸の単糸の絡まり方に長手方向で強弱が生じるためランダムな交絡が得られる。本発明の混繊糸を得るためには上記ノズル(以下「特殊インターレースノズル」と称する)を使用することが好ましい。このようなノズルとしては、例えばヘバライン社製のKF-JET等を用いることが好ましい。KF-JETには各機種エアー消費流量と適正繊度範囲が設けられているので、得られる混繊糸の繊度に合わせたノズルを選定することが好ましい。
カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bを混繊する際の特殊インターレースノズル噴流の程度としては、0.2MPa以上0.4MPa以下が好ましい。0.2MPa未満では目的とするカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bの混繊性が得られず混繊性が低下するため後工程で両糸が分離したり、糸割れが起こったりし、得られる織編物の品位が低下する可能性がある。0.4MPa超では十分な混繊性が得られるが、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bが強く絡まるため得られる織編物の杢感が細かくなる。より好ましい範囲は、0.25MPa以上0.35MPa以下である。
また、カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bを混繊する際の糸条A・糸条Bをノズルに送り出すフィードローラーと、特殊インターレースノズルを介した後のフィードローラーの間のフィード率としては、オーバーフィード気味で行うことが好ましく、オーバーフィード率としては、0.5%以上4.0%以下が好ましい。0.5%未満では目的とする糸条Aと糸条Bの混繊性が得られず混繊性が低下するため後工程で両糸が分離したり、糸割れが起こったりして得られる織編物の品位が低下する可能性がある。4.0%超では、ノズル噴流に対してフィード率が高く糸条A・Bがノズル前後で弛み、バタつきが発生して糸切れやノズル前後のガイドと擦過してノズル・ガイド汚れを誘発する。より好ましい範囲は、0.8%以上3.0%以下である。
本発明の織編物は、織編物の一部に杢調混繊糸を用いる。かかる織編物を構成する組織については特に限定しない。織物の場合、その組織は使用される用途によって平組織、綾組織、朱子組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。編物の場合、その組織は使用される用途によって丸編地の天竺組織、インターロック組織、スムース組織、経編み地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織やそれらの変化組織などいずれであっても構わない。
本発明の杢調混繊糸を用いた織編物は減量加工等の風合い調整を目的とした加工から起毛加工やカレンダー加工などの物理加工や、撥水加工や吸水加工、帯電防止加工などの機能加工を施すことができる。
[高配向未延伸糸、糸条の繊度]
糸条を検尺機(円周1.125m)で80回巻取り輪状にし、天秤で小数点以下第4位まで重量を測定する。この作業を10回繰り返し、10回の重量の平均値をPとして次の式より糸条の繊度を算出する。糸条Aと糸条Bの繊度を測定する際は、両糸を混繊する前に別で巻取り、巻き取った糸を用いて測定を実施する。
糸条の繊度(dtex)=P×100×1.11
[糸条の引っ張り強度、伸度]
JIS L1013化学繊維フィラメント糸試験方法(2010)に準じて測定した。
つかみ間隔は200mm、引っ張り速度は200mm/分として、引っ張り試験機((株)島津製作所製)で荷重-伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り、伸度とした。糸条Aと糸条Bの引っ張り強度、伸度を測定する際は、両糸を混繊する前に別で巻取り、巻き取った糸を用いて測定を実施する。
[熱水収縮率]
糸条を検尺機(円周1.125m)で10回巻取り輪状にし、1d当たり1/30gの荷重をかけて長さXを求め、続けてフリーの状態で沸騰水中に30分間浸漬した後自然乾燥し、再び1d当たり1/30gの荷重をかけて長さYを求め、次の式で算出する。糸条Aと糸条Bの熱水収縮率を測定する際は、両糸を混繊する前に別で巻取り、巻き取った糸を用いて測定を実施する。
熱水収縮率(%)=〔(X-Y)/X〕×100
[交絡度CF値]
ロッシールド社(Rothschild社、スイス)製のエンタングルメントテスター(Entanglement Tester Type‐R2072)を用いて、杢調混繊糸に針を刺したままで初張力を掛けて一定速度3m/minで走行させ、交絡点で張力が規定値(TRIP‐LEVEL)まで達する開繊部の長さを30回測定し、30回分の長さを平均した長さに基づいて糸条1m当たりの交絡度を求めた。杢調混繊糸としては、20本について測定を行い、その平均値を交絡度CF値とした。
次の式より初張力、TRIP‐LEVEL、交絡度を算出する。
初張力(cN) = 総繊度(dtex)/11
TRIP‐LEVEL(cN) = ((総繊度(dtex)/フィラメント数×5)/ 1.1)+(総繊度(dtex)/(1.1×10))
交絡度 = 1000mm/開繊部30回分の長さの平均(mm)
[太部と細部のピーク周期(スペクトログラムのピーク値)]
交絡ノズルに供給される直前のカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条A並びにポリエステル太細マルチフィラメント糸条Bを単独で巻取り、測定試料として採取した。この試料を用い、計測器工業(株)製KET80III/C型糸斑試験機を用いて、糸速度50m/min、測定時間2min、測定範囲±12.5%、測定モード1/2Inert、撚り数S撚り30T/Mで糸むらの変動波形を測定し、変動波形より図1に示すX軸方向に片対数グラフで示されるスペクトログラムより最も山の高い部分を糸条Aの太部と細部のピーク周期とした。なお、スペクトログラムのY軸方向は糸むらの度数を示す。
[太さ斑の変動係数CV値]
交絡ノズルに供給される直前のカチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条A並びにポリエステル太細マルチフィラメント糸条Bを単独で巻取り、測定試料として採取した。この試料を用い、計測器工業(株)製KET80III/C型糸斑試験機を用いて、糸速度50m/min、測定時間2min、測定範囲±12.5%、測定モード1/2Inert、撚り数S撚り30T/Mで糸むらの変動波形を測定し、繊維試料の質量変動より変動の大きさを示す標準偏差と質量変動の平均値より自動計算される太さ斑の変動係数CV値(%)を読み取る。杢調混繊糸としては、20本について測定を行い、その平均値を太さ斑の変動係数CV値とした。
[開繊部の長さ]
ロッシールド社(Rothschild社、スイス)製のエンタングルメントテスター(Entanglement Tester Type‐R2072)を用いて、杢調混繊糸に針を刺したままで初張力を掛けて一定速度3m/minで走行させ、交絡点で張力が規定値(TRIP‐LEVEL)まで達する開繊部の長さを30回測定し、30回の長さを1mm未満、1mm以上100mm、100mm以上200mm未満、200mm以上500mm以下、500mm超に区別し、杢調混繊糸としては、20本について測定を行い、区分別の個数の平均値を開繊部の長さ(mm)とした。
[杢感の程度]
布帛の杢感の程度については、目視によって熟練者10名により、次の3段階判定法で評価した。◎、○を合格とした。
◎:カスリ調の杢感を有しグラデーション効果が強い。
〇:カスリ調の杢感を有しグラデーション効果がある。
×:霜降り調の杢感を有しグラデーション効果が弱い。
[実施例1]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)マルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn: 0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bに特殊インターレースノズル(ヘバライン社のKF-JET)で交絡混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
図2は本発明の杢調混繊糸の好ましい製造方法の一例を示す概念図である。まず、糸条Aとなるカチオン可染ポリエステル高配向未延伸糸21はガイド22を通り、第一フィードローラー23で送り出され、熱ピン24を介して第二フィードローラー25との間で太細斑を形成させる延伸を行い、ヒーター26を介して第三フィードローラー27との間で熱セットを行う。糸条Bとなるポリエステル高配向未延伸糸28も同様に加工され、ガイド29を通り第四フィードローラー210で送り出され、熱ピン211を介して第五フィードローラー212との間で太細斑を形成させる延伸を行い、ヒーター213を介して第六フィードローラー214との間で熱セットを行い、加工した2本の糸条は交絡ノズル215に供給され、交絡混繊処理が施された後、第七フィードローラー216によって杢調混繊糸217として送り出され、巻取りローラー218で巻き取られる。
得られた混繊糸の交絡度CF値は6.8、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は11.8個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は10.3個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は8.0個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は33.7cm、太さ斑の変動係数CVは1.28%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex、熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた杢調混繊糸を混率100%で28Gの丸編機を用いてウエール41本/2.54cm、コース38本/2.54cmとして天竺組織の丸編地を作製した。
次いで、得られた丸編地に、常法に従い液流リラックス処理を施し、続いて乾燥し中間セットを施した。中間セット条件は、温度170℃で実施した。その後、得られた丸編地を、カチオン染料カチオンブルーGRLH200%を用いて、100℃の温度で30分間染色し、常法に従い乾燥を施した。得られた丸編地は、カスリ調の杢感を有し、グラデーション効果が強い表面感となり目的とする杢感が得られた。図3は、上記丸編地の表面を示す図面代用写真である。
得られた丸編地をカチオン染色することで糸条Aの染色の濃淡による2色と糸条Bの着色されない1色を合わせた3色が得られ、かつ糸条Aの濃淡の周期が長く、糸条Aと糸条Bの交絡ピッチが分散していることで特有のカスリ調杢が得られ、3色の色がグラデーション的に移り替わるように見える。
[実施例2]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)マルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn: 0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bに特殊インターレースノズル(ヘバライン社のKF-JET)で交絡混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。得られた混繊糸の交絡度CF値は6.8、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は11.8個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は10.3個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は8.0個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は33.7cm、太さ斑の変動係数CVは1.28%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex、熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた混繊糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が94本/2.54cm、緯密度が64本/2.54cmとして平織物を作製し、次いで、得られた織物に、常法に従い液流リラックス処理を施し、続いて乾燥し中間セットを施した。中間セット条件は、温度170℃で実施した。その後、得られた織物を、カチオン染料カチオンブルーGRLH200%を用いて、100℃の温度で30分間染色し、常法に従い仕上げセットを施した。仕上げセット条件は温度160℃で実施した。実施例1と同様の方法で杢感を評価した結果、得られた平織物は、カスリ調の杢感を有し、グラデーション効果が強い表面感となり目的とする杢感が得られた。
[実施例3]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度3800m/minで製造した92デシテックス48フィラメントのポリエステル(ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート)サイドバイサイド高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.045)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bに特殊インターレースノズルで交絡混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
得られた混繊糸の交絡度CF値は7.4、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は12.6個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は9.8個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は7.4個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は39.1cm、太さ斑の変動係数CVは1.33%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex、熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルサイドバイサイドマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は5.5cm、太さ斑の変動係数CVは0.43%、引っ張り強度は3.02cN/dtex、伸度は53.1%、総繊度は69.2dtex、熱水収縮率は11.6%となった。得られた混繊糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が94本/2.54cm、緯密度が64本/2.54cmとして平織物を作製し、次いで、得られた織物に、常法に従い液流リラックス処理を施し、続いて乾燥し中間セットを施した。中間セット条件は、温度170℃で実施した。その後、得られた織物を、カチオン染料カチオンブルーGRLH200%を用いて、100℃の温度で30分間染色し、常法に従い仕上げセットを施した。仕上げセット条件は温度160℃で実施した。実施例1と同様の方法で杢感を評価した結果、得られた平織物は、カスリ調の杢感を有し、グラデーション効果がある表面感となり目的とする杢感が得られた。
[比較例1]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bにインターレースノズルで交絡混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
なお、上記インターレースノズルとしては、糸条の走行方向に対し横方向となる一方向から空気の噴流を吹き付け、糸状が噴流を横切るタイプの通常の従来型インターレースノズルを用いた。
得られた混繊糸の交絡度CF値は67.9、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は30.0個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は0個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は0個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は33.7cm、太さ斑の変動係数CVは1.28%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex、熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた混繊糸を混率100%で28Gの丸編機を用いてウエール41本/2.54cm、コース38本/2.54cmとして天竺組織の丸編地を作製し、実施例1と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で杢感を評価した。得られた丸編地は、霜降り調の杢感を有しグラデーション効果が弱い表面感となり目的とする杢感が得られなかった。図4は、上記丸編地の表面を示す図面代用写真である。
得られた丸編地をカチオン染色することで糸条Aの染色の濃淡による2色と糸条Bの着色されない1色を合わせた3色が得られているが、全体として霜降り調の杢感でグラデーション効果が弱いものであった。これは交絡度CF値がたかいことから、糸条Aのピーク周期を長くしても、開繊部の長さが短く、交絡による糸の絡まりにより、混繊糸における濃淡のみかけ長さが短くなったためと推察される。
[比較例2]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn: 0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bに比較例1で用いたのと同じインターレースノズルで交絡混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
得られた混繊糸の交絡度CF値は67.9、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は30.0個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は0個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は0個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は33.7cm、太さ斑の変動係数CVは1.28%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex、熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた混繊糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が94本/2.54cm、緯密度が64本/2.54cmとして平織物を作製し、実施例2と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で杢感を評価した。得られた平織物は、霜降り調の杢感を有しグラデーション効果が弱い表面感となり目的とする杢感が得られなかった。
[比較例3]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bにタスランノズルで混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
得られた混繊糸は、タスランノズルにより、糸条全体が絡み合い、微細ループが形成されており、交絡度CF値、開繊部の個数の測定ができなかった。得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は33.7cm、太さ斑の変動係数CVは1.28%、引っ張り強度は1.23cN/dtex、伸度は32.9%、総繊度は127.5dtex熱水収縮率は3.0%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた混繊糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が94本/2.54cm、緯密度が64本/2.54cmとして平織物を作製し、実施例2と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で杢感を評価した。得られた平織物は、霜降り調の杢感を有しグラデーション効果が弱い表面感となり目的とする杢感が得られなかった。
[比較例4]
紡糸速度2100m/minで製造した167デシテックス36フィラメントのカチオン可染ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.017)と紡糸速度2500m/minで製造した90デシテックス24フィラメントのポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸(複屈折率Δn:0.035)を図2の製造工程に従い、表1の条件で太細斑を付与する延伸を行い、糸条Aと糸条Bに特殊インターレースノズルで混繊加工を施して、杢調混繊糸を得た。
得られた混繊糸の交絡度CF値は7.3、1mm未満の開繊部の個数は0個/m、1mm以上100mm未満の開繊部の個数は11.1個/m、100mm以上200mm未満の開繊部の個数は10.6個/m、200mm以上500mm未満の開繊部の個数は8.7個/m、500mm超の開繊部の個数は0個/mとなり、得られた太細斑を有するカチオン可染ポリエステルマルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期は4.6cm、太さ斑の変動係数CVは0.59%、引っ張り強度は1.33cN/dtex、伸度は30.8%、総繊度は126.4dtex、熱水収縮率は2.8%、太細斑を有するポリエステルマルチフィラメント糸条Bの太部と細部のピーク周期は6.4cm、太さ斑の変動係数CVは0.65%、引っ張り強度は2.96cN/dtex、伸度は48.5%、総繊度は63.1dtex、熱水収縮率は4.5%となった。得られた混繊糸を経糸および緯糸に用いて、経密度が94本/2.54cm、緯密度が64本/2.54cmとして平織物を作製し、実施例2と同様の条件で加工工程を通し、実施例1と同様の方法で杢感を評価した。得られた平織物は、霜降り調の杢感を有しグラデーション効果が弱い表面感となり目的とする杢感が得られなかった。
Figure 2023038411000002
Figure 2023038411000003
1:スペクトログラムのピーク周期
21:カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸
22:ガイド
23:第一フィードローラー
24:熱ピン
25:第二フィードローラー
26:ヒーター
27:第三フィードローラー
28:ポリエステルマルチフィラメント高配向未延伸糸
29:ガイド
210:第四フィードローラー
211:熱ピン
212:第五フィードローラー
213:ヒーター
214:第六フィードローラー
215:交絡ノズル
216:第七フィードローラー
217:杢調混繊糸
218:巻取りローラー

Claims (4)

  1. カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aとポリエステルマルチフィラメント糸条Bで構成された混繊糸であり、1m当たりの交絡度CF値が3以上20以下、前記カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの太部と細部のピーク周期が25cm以上50cm以下である杢調混繊糸。
  2. 前記カチオン可染ポリエステル太細マルチフィラメント糸条Aの太さ斑の変動係数CVが1.0%以上2.0%以下である請求項1に記載の杢調混繊糸。
  3. 前記混繊糸中の開繊部30個において、開繊部の長さとして、1個以上が1mm以上100mm未満、1個以上が100mm以上200mm未満、1個以上が200mm以上500mm以下である請求項1または2に記載の杢調混繊糸。
  4. 織編物の一部に請求項1から3のいずれかに記載の杢調混繊糸を用いてなる織編物。
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