JP2023036154A - 難燃剤造粒物 - Google Patents

難燃剤造粒物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023036154A
JP2023036154A JP2021143016A JP2021143016A JP2023036154A JP 2023036154 A JP2023036154 A JP 2023036154A JP 2021143016 A JP2021143016 A JP 2021143016A JP 2021143016 A JP2021143016 A JP 2021143016A JP 2023036154 A JP2023036154 A JP 2023036154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame retardant
based resins
binder
granules
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021143016A
Other languages
English (en)
Inventor
朗 宮本
Akira Miyamoto
誠 木谷
Makoto Kitani
理沙 松本
Risa Matsumoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagase and Co Ltd filed Critical Nagase and Co Ltd
Priority to JP2021143016A priority Critical patent/JP2023036154A/ja
Publication of JP2023036154A publication Critical patent/JP2023036154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Fireproofing Substances (AREA)

Abstract

【課題】粉体状の難燃剤について、取扱性、安全性、作業環境改善性を向上させることができ、かつ、高濃度で難燃剤が配合された樹脂組成物または樹脂成形品の生産性向上に寄与し得る難燃剤造粒物を提供すること。【解決手段】本発明の難燃剤造粒物は、粉体状難燃剤と、結着剤とを含み、該粉体状難燃剤の含有割合が、該粉体状難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である。【選択図】図1

Description

本発明は、難燃剤造粒物に関する。
熱可塑性樹脂やエラストマーに難燃性を付与するために、粉体状の難燃剤を配合する場合がある。粉体状の難燃剤は、一般に嵩比重が小さく、移送における流動性が悪いために、輸送、貯蔵、梱包、加工機への供給安定性、等のハンドリング上の問題や、作業環境や人体に対する安全性において解決すべき課題が多い。特に、溶融混練装置(その代表として押出機を挙げることができる)を用いて、熱可塑性の樹脂やエラストマーに粉体状の難燃剤を配合する場合、とりわけ、高濃度で難燃剤を配合する場合において、粉体難燃剤の溶融混練装置への供給がネックとなって、溶融混練の生産速度が著しく低下してしまうという問題がある。特許文献1では、この解決策の一つとして、粉体状の難燃剤を粒状化することが提案されている。しかしながら、特許文献1では、高融点の粉体状難燃剤の造粒では結着力が不十分となる場合がある。最近では、非臭素の難燃剤として、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤、あるいは金属塩系難燃剤の使用が増えており、粉体である場合が多い。また、UL94規格に代表される難燃規格において、高度な難燃レベルを安定して発現するために、高配合量で難燃剤を含む樹脂組成物が求められることが多くなっている。
特開平8-92562号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、粉体状の難燃剤について、取扱性、安全性、作業環境改善性を向上させることができ、かつ、高濃度で難燃剤が配合された樹脂組成物または樹脂成形品の生産性向上に寄与し得る難燃剤造粒物を提供することにある。
本発明の難燃剤造粒物は、粉体状難燃剤と結着剤とを含み、該粉体状難燃剤の含有割合が、該粉体状難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤が、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記結着剤が、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される。
1つの実施形態においては、上記結着剤が、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される。
本発明のさらに別の局面によれば、上記難燃剤造粒物の製造方法が提供される。この製造方法は、粉体状難燃剤と、結着剤とを混合する混合工程と、混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒物前駆体を得る造粒工程と、造粒物前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む。
1つの実施形態においては、上記結着剤は、結着剤を含む水系液として添加される。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、上記造粒工程において、半湿式造粒法により造粒することを含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、上記造粒工程において、ディスクペレッター方式により造粒を行うことを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、熱可塑性樹脂コンパウンドの原料としての、上記難燃剤造粒物の使用が提供される。
本発明によれば、粉体状難燃剤と結着剤とを含み、該粉体状難燃剤の含有割合が、該粉体状難燃剤と該結着剤との合計100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である難燃剤造粒物を形成することにより、粉体状の難燃剤について、取扱性、安全性、作業環境改善性を向上させることができ、かつ、高濃度で難燃剤が配合された樹脂組成物または樹脂成形品の生産性向上を実現することができる。
実施例1で得られた難燃剤造粒物の外観写真図である。
A.難燃剤造粒物の概要
本発明の難燃剤造粒物は、粉体状難燃剤(以下、単に難燃剤ともいう)と、結着剤とを含む。上記粉体状難燃剤の含有割合は、粉体状難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である。難燃剤造粒物は、上記難燃剤が、上記結着剤により結合して構成される。
本発明の難燃剤造粒物は、樹脂組成物の溶融コンパウンド(溶融混練)をはじめ、各種の可塑化溶融加工において、当該樹脂組成物に添加して用いられ得る。本発明においては、結着剤を添加して、難燃剤造粒物を造粒することにより、優れた効率で生産され得、かつ、品質安定性(形状安定性、硬度の均一性、低微粉混入)に優れる難燃剤造粒物を得ることができる。また、上記難燃剤造粒物を用いれば、樹脂組成物の生産性向上を図ることができる。具体的には、上記難燃剤造粒物は、押出機等の装置への投入安定性に著しく優れるため、当該難燃剤造粒物を用いれば、難燃剤含有樹脂組成物の生産性(時間当たりのコンパウンド加工速度)を飛躍的に向上させることができる。また、粉塵による作業環境汚染を著しく改善し、作業者の労働安全衛生環境を向上させることができ、設備の切り替え清掃の時間を大幅に短縮できる。さらには、本発明の難燃剤造粒物は、多量の難燃剤を含みながらも優れた生産効率で製造され得る。したがって、本発明の難燃剤造粒物を用いれば、高濃度で難燃剤が配合された樹脂組成物または樹脂成形品の生産性向上を実現することができる。
1つの実施形態においては、上記難燃剤造粒物は、上記難燃剤と、上記結着剤とを含む混合物(例えば、水溶液または水系分散液)を任意の適切な方法により加工して、得ることができる。1つの実施形態においては、上記難燃剤造粒物は、半湿式造粒法により製造される。半湿式造粒法によれば、上記効果が顕著となる。
上記難燃剤造粒物は、任意の適切な形状であり得る。代表的には、上記難燃剤造粒物は円筒状(ペレット状)である。
上記難燃剤造粒物が円筒状である場合、上記難燃剤造粒物の直径は、例えば、2mm~5mmである。また、難燃剤造粒物の長さ(高さ)は、例えば、1mm~5mmである。このような形状であれば、ハンドリングしやすい難燃剤造粒物を得ることができる。難燃剤造粒物の直径は、造粒の際のディスクプレートのダイス孔の径により調整でき、長さはディスクプレートとカッター間の距離で調整できる。難燃剤造粒物を、組み合わせて用いられる樹脂のペレットサイズに合わせることにより、ハンドリング性が向上し、また、溶融コンパウンドにおける難燃剤の分散性が良くなる。
上記難燃剤造粒物の木屋式硬度計における破壊応力は、好ましくは0.05kg~10kgであり、より好ましくは0.5kg~7kgであり、さらに好ましくは1.0kg~5kgである。このような範囲であれば、ハンドリング性と溶融加工性に優れる難燃剤造粒物を得ることができる。ここで、破壊応力とは、20粒以上(好ましくは25粒以上)について測定した平均の崩壊応力を示す。
上記難燃剤造粒物の水分量は、任意の適切な水分量とされ得る。上記難燃剤造粒物の水分量は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下であり、最も好ましくは0.5重量%以下である。難燃剤造粒物の水分量は、後述の通り赤外線水分計を用いて測定される。
上記難燃剤造粒物の嵩密度は、好ましくは0.3kg/L~2.0kg/Lであり、より好ましくは0.5kg/L~2.0kg/Lである。嵩密度を上げることで、溶融混練を行う際に、難燃剤造粒物の供給速度と供給安定性が高まる。嵩密度は、升を用いて、粉体を当該升に自然落下させてすり切り一杯にして、正確に1リットルの容積ではかり取り、その重量を測定することで算出される(単位:kg/L)。
A-1.粉体状難燃剤
上記粉体状難燃剤としては、任意の適切な難燃剤が用いられ得る。1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、ゴム、樹脂等に使用される難燃剤が用いられる。1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤は、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である。中でも、環境対応の観点から、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物(後述の通り、リンを含んでいてもよい)系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が、特に好ましく使用される。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、ハロゲン含有化合物系難燃剤が用いられる。ハロゲン含有化合物系難燃剤を用いれば、本発明の難燃剤造粒物として好ましくその効果が引き出せる。ハロゲン含有化合物系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テロラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、テロラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、ヘキサブロモシクロデカン等のハロゲン化物が挙げられる。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、オリゴマー型ハロゲン化合物を用いてもよい。オリゴマー型ハロゲン化合物としては、例えば、モノブロモフェノール、トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、トリブロモクレゾール、ジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビスフェノールS、塩化シアヌル等の化合物の重合体、これらの化合物と上記ハロゲン化物との共重合体等が挙げられる。当該共重合体において、ハロゲン化物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSとビスフェノールSとのオリゴマー等を用いてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、構造中にエポキシ基を有するハロゲン化エポキシオリゴマーを用いてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、臭素化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド等を用いてもよい。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、リン含有化合物系難燃剤が用いられる。リン含有化合物系難燃剤を用いれば、本発明の難燃剤造粒物として好ましくその効果が引き出せる。リン含有化合物系難燃剤としては、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステルを挙げることができ、好ましい例として、トリフェニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェートを例示することができる。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、窒素含有化合物系難燃剤が用いられる。窒素含有化合物系難燃剤を用いれば、本発明の難燃剤造粒物として好ましくその効果が引き出せる。窒素含有化合物系難燃剤はリンを含んでいてもよい。窒素含有化合物系難燃剤としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩、メラミンの縮合生成物、メラミンとリン酸との反応生成物、メラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、ポリリン酸アンモニウム塩、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド、グアニジン等が挙げられる。他の例として、ホスファゼン類を挙げることができ、具体例として、ホスホニトリル酸フェニルエステルが挙げられる。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、無機系難燃剤が用いられる。無機系難燃剤を用いれば、本発明の難燃剤造粒物として好ましくその効果が引き出せる。無機系難燃剤の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、酸化アンチモン、ベーマイト、ジヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マンガン、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、赤燐、等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記粉体状難燃剤として、金属塩系難燃剤が用いられる。金属塩系難燃剤を用いれば、本発明の難燃剤造粒物として好ましくその効果が引き出せる。金属塩系難燃剤としては、例えば、有機ホスフィン酸金属塩、有機スルホン金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩を挙げることができ、具体例として、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が挙げられる。
上記難燃剤のサイズは、任意の適切なサイズとすることができる。難燃剤の数平均粒子径は、例えば、10nm~100μmである。難燃剤のサイズはレーザー回折法により求めることができる。
上記難燃剤の嵩密度は、好ましくは0.01kg/L~1kg/Lであり、より好ましくは0.05kg/L~0.8kg/Lであり、さらに好ましくは0.1kg/L~0.5kg/Lである。本発明の難燃剤造粒物においては、嵩密度が低い粉体状難燃剤を含みながらも、供給安定性および供給精度を向上させ得る点で有利であり、当該難燃剤造粒物を用いれば、高い生産性で安定的に難燃剤含有樹脂組成物を得ることが可能となる。
上記の通り、上記難燃剤の含有割合は、難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である。このような範囲であれば、難燃性が効率的に付与された難燃剤含有樹脂組成物を得ることができる。上記難燃剤の含有割合は、難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、好ましくは80重量部~99重量部であり、より好ましくは85重量部~96重量部であり、さらに好ましくは88重量部~95重量部である。1つの実施形態においては、上記難燃剤の含有割合は、難燃剤造粒物100重量部に対して、89重量部~94重量部である。
A-2.結着剤
1つの実施形態においては、上記結着剤は、任意の適切な樹脂により構成され得る。結着剤を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアルキレングリコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも好ましくは、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはエポキシ系樹脂であり、特に好ましくは、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはエポキシ系樹脂であり、最も好ましくはポリビニルピロリドン系樹脂である。ポリビニルピロリドン系樹脂は、結着力、耐熱性、様々な樹脂との相溶性等に優れるため、ポリビニルピロリドン系樹脂を用いれば、本発明の難燃剤造粒物の結着剤として好ましくその効果が引き出せる。別の実施形態においては、上記結着剤として、多糖類が用いられる。さらに別の実施形態においては、上記結着剤として、膨潤性粘土鉱物(例えば、スメクタイト、バーミキュライト等)が用いられる。結着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組みあわせて用いてもよい。
1つの実施形態においては、上記結着剤は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される。
1つの実施形態においては、上記結着剤は、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される。
1つの実施形態においては、結着剤を含むポリマー液(ポリマー溶液、ポリマー分散液)を用いて難燃剤造粒物が製造される。ポリマー液は難燃剤表面を効率的に、かつ均一にコーティングできるために、粉落ちが少なく、崩壊硬度が大きく、嵩比重が大きな難燃剤造粒物を得ることができる。さらに、難燃剤含有樹脂組成物における、難燃剤の分散性を大きく向上させることができる。
上記結着剤として、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、三井化学社製のケミパール(登録商標)、ダウ・ケミカルカンパニーのHYPOD(登録商標)、ビックケミー・ジャパン社製のAQUACER(登録商標)、住友精化社製のザイクセン、セポルジョン、セポレックス(登録商標)、マイケルマン・ジャパン社製のMichem(登録商標)、DIC社のボンディック(登録商標)、サイデン化学社製のサイビノール、サイデングルー(登録商標)等を挙げることができる。他の好ましい例として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH;クラレ社製のエバール(登録商標))、ブテンジオール-ビニルアルコールコポリマー(BVOH;三菱ケミカル社製のニチゴーGポリマー(登録商標))が挙げられる。さらに他の好ましい例として、イーストマンケミカル社製のイーストマンAQ(登録商標)で販売されている水性スルホポリエステル分散液、Ascend Performanceから販売されている、水で希釈されて水性ポリマー分散液を形成する、ヘキサン-1、6-ジアミンおよびアジピン酸の塩(AH塩)が挙げられる。
上記結着剤の含有割合は、上記難燃剤のサイズ、形状、吸水性、吸油性、嵩密度等に応じて、任意の適切な割合とされ得る。上記結着剤の含有割合は、上記難燃剤と結着剤との合計量100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~20重量部であり、好ましくは0.5重量部~15重量部であり、より好ましくは1重量部~10重量部である。このような範囲であれば、上記難燃剤に対する結着力が好ましく発揮され、ハンドリング性に優れた難燃剤造粒物を得ることができる。
A-3.分散剤
1つの実施形態においては、上記難燃剤造粒物は、分散剤をさらに含む。分散剤を添加することにより、多量の難燃剤を含みながらも優れた生産効率で製造され得、かつ、品質安定性(形状安定性、ペレット硬度の均一性、低微粉混入)に優れる難燃剤造粒物を得ることができる。分散剤を含む難燃剤造粒物は、高濃度に難燃剤を含有するにも拘わらず、当該難燃剤造粒物を使用して得られた難燃剤含有樹脂組成物は、優れた難燃剤分散性を有する。
上記分散剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。分散剤(界面活性剤)における親水性/疎水性バランスは、分散剤となる化合物のエステル化度や脂肪酸の種類(水酸基の有無、飽和又は不飽和脂肪酸、アルキル鎖長)、重合度を調整することにより、制御することができる。分散剤を使用することにより、難燃剤造粒物の生産性(吐出速度)を向上させることができ、さらには、加工機の清掃性を高めることができる。また、熱可塑性樹脂と上記難燃剤造粒物とを可塑化溶融混練する際に、分散剤は樹脂組成物中での難燃剤の分散性や、樹脂組成物の加工性を向上させる作用を発揮する。
上記分散剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸スルホン酸塩、脂肪酸アマイド、アクリルアミド、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組みあわせて用いてもよい。
1つの実施形態においては、分散剤は、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合ヒドロキシ脂肪酸および縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
上記多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価アルコールと脂肪酸とから構成されるエステル化合物である。多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールと炭素数が8以上(好ましくは炭素数8~24、より好ましくは炭素数10~22)の脂肪酸のエステル類が用いられる。
上記脂肪酸アマイドとは、脂肪酸とアンモニアあるいは 1級、2級アミンとが脱水縮合した構造を持つ化合物である。上記脂肪酸アマイドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸とから構成されるエステル化合物である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル等が挙げられる。
上記分散剤の含有割合は、上記難燃剤と結着剤との合計量100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.1重量部~7重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~5重量部であり、特に好ましくは0.5重量部~3重量部であり、最も好ましくは0.5重量部~2重量部である。このような範囲であれば、難燃剤造粒物の生産性、樹脂組成物の難燃性、難燃剤の分散性、樹脂組成物の加工性をバランスよく制御することができる。
A-4.その他の成分
上記難燃剤造粒物は、必要に応じて、任意の適切なその他の成分(添加剤)さらに含み得る。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、衝撃改質剤、抗菌剤、相溶化剤、加工助剤、潤滑剤、カップリング剤、難燃助剤、脱酸素剤、着色剤等が挙げられる。
また、必要に応じて、難燃助剤を添加してもよい。難燃助剤としては、亜リン酸アルミニウム、酸化鉄、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンのほか、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、リン酸アンチモンなどのアンチモン化合物等が挙げられる。難燃助剤は、1種または2種以上で使用することができる。
B.難燃剤造粒物の製造方法
上記難燃剤造粒物は、任意の適切な方法により、製造することができる。上記難燃剤造粒物は、例えば、上記難燃剤と、上記結着剤と、必要に応じて添加される上記分散剤とを含む混合物を、半湿式造粒法に供することにより得ることができる。
1つの実施形態においては、上記難燃剤造粒物の製造方法は、粉体状難燃剤と、結着剤とを混合する混合工程と、混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒物前駆体を得る造粒工程と、造粒物前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む。1つの実施形態においては、混合工程において、結着剤は、結着剤を含む水系液(水溶液または水系分散液)として添加される。また、1つの実施形態においては、上記混合工程においては、分散剤がさらに添加される。
結着剤を含む水系液が水溶液(均一系)である場合、結着剤を含む水系液中の結着剤の含有割合は、水系液100重量部に対して、好ましくは1重量部~70重量部であり、より好ましくは3重量部~50重量部であり、さらに好ましくは5重量部~30重量部である。このような範囲であれば、水系液と難燃剤とを混合する際に、好ましく粘度調整され、結着剤の分散性に優れた混合液を得ることができる。このような混合液を用いれば、難燃剤が好ましく結着して構成された難燃剤造粒物を安定して得ることができる。
結着剤を含む水系液が水系分散液(不均一系)である場合、結着剤を含む水系液中の結着剤の固形分濃度は、好ましくは1重量%~70重量%であり、より好ましくは3重量%~60重量%であり、さらに好ましくは5重量%~50重量%である。このような範囲であれば、水系液と難燃剤とを混合する際に、好ましく粘度調整され、結着剤の分散性に優れた混合液を得ることができる。このような混合液を用いれば、難燃剤が好ましく結着して構成された難燃剤造粒物を安定して得ることができる。
結着剤を含む水系液の混合割合は、難燃剤100重量部に対して、好ましくは1重量部~30重量部であり、より好ましくは5重量部~25重量部であり、さらに好ましくは10重量部~20重量部である。
混合工程においては、その他の成分(例えば、上記添加剤)、溶媒(好ましくは、水またはアルコール水溶液)等をさらに混合してもよい。1つの実施形態においては、これらの成分を添加することにより、結着剤を含む水系液と難燃剤との混合が適正化される。添加される水は、特に限定されず、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、硬水、軟水等を用いることができる。アルコール水溶液のアルコール濃度は、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上である。
混合工程においては、常温下で各成分を配合し、任意の適切な混合機を用いて、均一化することが好ましい。混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、粉体用ニーダー(KDH、KDA、CKD、CPM)(ダルトン社)、スパルタンミキサー(SPM)(ダルトン社)、SPグラニュレーター(SPG)(ダルトン社)、等を挙げることができる。
混合工程における混合時間は、成分の種類、混合機の種類、成分配合比等に応じて、任意の適切な混合時間とすることができる。好ましくは、難燃剤の表面が結着剤で十分かつ均一に被覆されるように、混合時間が設定される。ヘンシェルミキサーやスパルタンミキサー等の高速撹拌機では1~10分の処理時間で行うことができる。一方、粉体用ニーダーの場合は、数分~60分の処理時間が必要になる場合がある。
造粒工程においては、圧縮造粒法が好ましく採用される。また、造粒工程においては、半湿式造粒法が好ましく採用され得る。圧縮造粒法/半湿式造粒法としては、例えば、ディスクペレッター方式、タブレッティング方式、ブリケッティング方式等が挙げられる。生産性と得られる難燃剤造粒物の品位のバランスの観点から、ディスクペレッター方式が好ましく採用される。
ディスクペレッター方式の造粒機は、基本構造として、2mm~30mmの孔が多数あけられた1個または2個のディスクと、ディスクの孔に原料を圧送するためのローラーとを有する。ディスクとローラーの間、もしくは2個のディスクの間に供給された原料が、ローラーの回転に伴い、ディスクの孔に圧入され、円柱状の押出物が成形される。ここで、ディスク孔にはテーパーが設けられており、上記混合物が孔を通過する過程で、ダイス孔の外周から圧縮応力が与えられる仕組みになっている。このテーパーのついた孔の長さを有効長と呼ぶ。押し出された造粒物前駆体は、ディスクの裏面において、カッター等で切断されることで、ペレット状の難燃剤造粒物を得ることができる。造粒物前駆体(結果として難燃剤造粒物)の長さは、ディスクの裏面とカッター間の距離、ローラーの回転数、によって調整が可能である。ディスクの裏面とカッター間の距離は通常、1mm~30mmの範囲であり、好ましくは2mm~20mmの範囲であり、より好ましくは3mm~10mmの範囲である。
ディスクペレッター方式としては、より具体的には、ローラー・ディスクダイ方式、ローラー・リングダイ方式、ダブルダイス方式、フラットダイ方式等が挙げられる。市販のディスクペレッター方式の造粒機としては、例えば、ダルトン社製のディスクペレッターFシリーズを挙げることができる。
乾燥工程における乾燥方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。乾燥工程後、振動ふるい等で処理を行うことで、微粉を除去した難燃剤造粒物が得られ得る。乾燥工程では、任意の適切な乾燥設備が用いられる。例えば、振動流動式乾燥機が短時間に効率的に乾燥を行うことができるので好ましく、例えば、ダルトン社製の振動流動乾燥機VDFシリーズを挙げることができる。
C.樹脂と難燃剤との溶融コンパウンド
1つの実施形態においては、上記難燃剤造粒物は、その用途として熱可塑性樹脂コンパウンドの原料として供される。熱可塑性樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂が用いられる。
溶融コンパウンドの製造方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、単軸もしくは2軸以上の多軸押出機を使用することができる。好ましくは、二軸スクリュー押出機が用いられる。溶融混練して得られた組成物はペレット化される。
上記任意の熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、フッ素系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリエステル類(PET、PBT等)、環状ポリオレフィン(COP)等のエンジニアリングプラスチック類、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリングプラスチック類、からなる群から選ばれる少なくとも1種である。また、上記任意の熱可塑性樹脂として、生分解性ポリマーを用いてもよい。生分解性ポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリヒドロキシバリレート等のホモポリマーあるいはコポリマー、これらのホモポリマーあるいはコポリマーの変性した物等)、脂肪族・芳香族ポリエステル樹脂(例えば、脂肪族カルボン酸もしくはヒドロキシ酸、芳香族ジカルボン酸と1,3-プロパンジオール等のブロックポリマーあるいはランダムポリマー等)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、エチレン・ビニルアルコールコポリマー等)等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂と上記難燃剤造粒物の溶融コンパウンドにおいて、上記難燃剤造粒物は、押出機等の溶融混練装置への投入能力と安定性に優れるので、樹脂組成物の生産性を飛躍的に向上させることができると共に、樹脂への難燃剤分散性にも優れる。また、作業環境と作業者の労働安全衛生環境の改善にも大きく寄与する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
[実施例1]
ヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製、商品名「5FM5C/I」;処理容積:5L)に、粉体状難燃剤(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム塩、クラリアント社製、商品名「エキソリットOP1230」;平均粒子径:30μm、嵩密度0.5kg/L;表中、「A-1」)100重量部と、結着剤の分散液(ポリオレフィン分散液(水性PEディスパージョン);三井化学社製、商品名「ケミパールA100」;ポリオレフィン固形分濃度:40重量%;ポリオレフィン粒子の平均粒子径4μm;表中、「B-1」)20重量部を投入し、回転数1,000回転で2分間攪拌混合し、混合物を得た。
上記混合物を、ディスクペレッター(ダルトン社製、商品名「ディスクペレッターF-5/11-175」)に投入し、ペレット状の造粒物前駆体を得た。この際、ダイスの孔径を3mmφとし、ダイスプレートの厚みを15mmとし、ダイス孔の有効長を10mmとし、ディスペレッターのローラーの回転数を108rpmとした。
得られた造粒物前駆体を、熱風式循環型乾燥機を用いて、100℃で4時間乾燥させて、難燃剤造粒物FRG-1を得た。得られた難燃剤造粒物(FRG-1)の外観写真を図1に示す。
[実施例2~7、比較例1~2]
表1に示す粉体状難燃剤、結着剤、分散剤およびその他の成分(水、アルコール水溶液)を、表1に示す配合量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、難燃剤造粒物を得た。用いた各成分の内容は表2に示すとおりである。
Figure 2023036154000002

Figure 2023036154000003
<評価>
実施例1~7および比較例1、2で得られた難燃剤造粒物を下記の評価に供した。結果を表3に示す。

(1)造粒性
得られた難燃剤造粒物の造粒性を以下の基準で評価した。
〇: 直径3mmφの造粒物が得られる。
△: 難燃剤造粒物の形態になるが、結着力が不足して、崩壊しやすい。
×: 粉体状難燃剤がダイスに目詰まりする、もしくは、結着性がなく、粒状物にならない。

(2)造粒速度
時間当たりの難燃剤造粒物の製造速度(kg/h)を算出した。

(3)嵩密度
乾燥後の難燃剤造粒物を1リットルの升に自然落下させ、すり切り一杯にして、正確に1リットルの容積ではかり取り、その重量を測定することで、難燃剤造粒物の嵩密度(単位:kg/L)を算出した。

(4)ペレットサイズ
難燃剤造粒物を20粒取り出し、ノギスを用いて、粒状物の長さと直径の平均値を算出した。

(5)水分量
赤外線水分計(ケット科学研究所製 FD-660)を用いて、難燃剤造粒物に残存する水分量(単位:重量%)を測定した。

(6)崩壊強度測定
木屋式硬度計(シロ産業社製、商品名「WPF1600-B」)を用いて、乾燥後の難燃剤造粒物の崩壊応力(単位:kg)を測定した。測定値は造粒物25粒の平均値とした。

(7)微粉量測定
難燃剤造粒物を1kg計量し、12メッシュの篩にかけ、微粉量の質量割合(単位:重量%)を測定した。
Figure 2023036154000004
表3に示す通り、実施例1~7(FRG-1~FRG-7)では、安定したペレット形状、高い造粒速度、適切な硬度のペレット状の難燃剤造粒物を得ることができる。一方、比較例1(FRG-C1)、比較例2(FRG-C2)では、結着剤を含まないため、ペレット状の難燃剤造粒物を得ることができない、もしくは、乾燥後に容易に崩壊してしまう。
[実施例8]
ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製、商品名「ユニチカナイロン6 A1030BRL-1」)75重量部と難燃剤造粒物(FRG-1)25重量部とを、二軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM18SS」、L/D=48)に投入して、連続的に溶融混練を行い、ナイロン6樹脂と難燃剤(表1中、「A-1」)の樹脂組成物のペレットを製造した。
ポリアミド6のペレットと難燃剤造粒物(FRG-1)は、事前に予備混合を行い、フィーダーを介して、定量的に押出機の最上流部のホッパー位置から、二軸押出機に投入した。押出機のシリンダー温度は、押出機の中段部以降を230℃に設定した。二軸押出機の主スクリューの回転数を100rpmとし、吐出速度は5kg/Hrとした。溶融混練された樹脂組成物はストランド状に押し出され、水冷バスで冷却し、長さ約3mmのペレットとした。
得られる樹脂組成物は、押出機への難燃剤(表中「A-1」)の供給安定性に優れ、溶融混練分散性にも優れ、ストランドの引き取り安定性に優れており、優れた難燃性を発現した。
[実施例9~11]
表4に示す難燃剤造粒物を表4に示す配合量で用いたこと以外は、実施例8と同様にして、樹脂組成物のペレットを得た。
[比較例3]
ナイロン6を単独で押出機を通過させ、ペレット化した。
[比較例4]
難燃剤造粒物(FRG-1)を使用せずに、粉体状難燃剤(表2のA-1)を使用したこと以外は、実施例8と同様にして溶融混練を行い、ペレットの製造を試みた。シュート口で粉体状難燃剤のブリッジが生じるため、連続生産を行うことができなかった。
<評価>
実施例8~11および比較例3、4で得られた樹脂組成物のペレットを下記の評価に供した。結果を表4に示す。
(a)難燃剤造粒物(もしくは粉体状難燃剤)のフィード特性
押出機投入口への連続投入状況を確認し、以下の基準で造粒性を評価した。
〇: 安定に供給できる。
×: 粉体状難燃剤の供給でブリッジが生じることがあり、フィードが不安定。

(b)分散性
樹脂と難燃剤造粒物の溶融混練における分散性を、溶融混合物のストランド表面の感触より、以下の基準で評価した。
〇: 表面が滑らかで分散性が良い。
×: 表面が荒れており、分散性が悪い。

(c)樹脂組成物ペレットの造粒安定性
ダイスから押出される難燃剤と熱可塑性ポリマーの溶融混練物のストランドの引き取り安定性を以下の基準で評価した。
〇: ストランドが切れることなく安定に樹脂組成物の造粒が行える。
×: 原料供給安定性が不安定なため、ストランド切れが発生する。

(d)難燃性評価
溶融混練物のストランドを約10cmに切り出し、スタンドに垂直に固定して、最下部にガスバーナー(炎高さ:1cm)を用いて着火させ、燃焼持続性を、以下の基準で評価した。
AA: ほとんど着火しない(難燃性に優れる)
A: 着火するが自己消化する(ドリッピングが生じる場合もある)
B: 消炎しない
Figure 2023036154000005



Claims (9)

  1. 粉体状難燃剤と結着剤とを含み、
    該粉体状難燃剤の含有割合が、該粉体状難燃剤および結着剤の合計量100重量部に対して、80重量部~99.9重量部である、
    難燃剤造粒物。
  2. 前記粉体状難燃剤が、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の難燃剤造粒物。
  3. 前記結着剤が、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される、請求項1または2に記載の難燃剤造粒物。
  4. 前記結着剤が、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される、請求項1または2に記載の難燃剤造粒物。
  5. 粉体状難燃剤と、結着剤とを混合する混合工程と、
    混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒物前駆体を得る造粒工程と、
    造粒物前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む、
    請求項1から4のいずれかに記載の難燃剤造粒物の製造方法。
  6. 前記結着剤は、結着剤を含む水系液として添加される、請求項5に記載の難燃剤造粒物の製造方法。
  7. 前記造粒工程において、半湿式造粒法により造粒することを含む、請求項5または6に記載の難燃剤造粒物の製造方法。
  8. 前記造粒工程において、ディスクペレッター方式により造粒を行うことを含む、請求項5から7のいずれかに記載の難燃剤造粒物の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂コンパウンドの原料としての、請求項1から4のいずれかに記載の難燃剤造粒物の使用。

JP2021143016A 2021-09-02 2021-09-02 難燃剤造粒物 Pending JP2023036154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021143016A JP2023036154A (ja) 2021-09-02 2021-09-02 難燃剤造粒物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021143016A JP2023036154A (ja) 2021-09-02 2021-09-02 難燃剤造粒物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023036154A true JP2023036154A (ja) 2023-03-14

Family

ID=85508555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021143016A Pending JP2023036154A (ja) 2021-09-02 2021-09-02 難燃剤造粒物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023036154A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023163777A (ja) * 2022-04-28 2023-11-10 長瀬産業株式会社 難燃剤造粒物、難燃剤造粒物の製造方法および使用

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04145132A (ja) * 1990-10-05 1992-05-19 Nippon Kararingu Kk 難燃マスターバッチ
JPH0892562A (ja) * 1994-09-28 1996-04-09 Asahi Chem Ind Co Ltd 粒状難燃剤
JPH08109269A (ja) * 1994-10-11 1996-04-30 Asahi Chem Ind Co Ltd 難燃マスターバッチ及びその製造方法
JP2001055515A (ja) * 1999-08-20 2001-02-27 Tosoh Corp 難燃剤錠剤、それによる難燃化方法、並びにそれを配合してなる難燃性樹脂組成物及びその成形品
JP2004099893A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Clariant Gmbh 顆粒状難燃剤組成物
JP2004099894A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Clariant Gmbh 圧密化された難燃剤組成物
JP2006274261A (ja) * 2005-03-26 2006-10-12 Clariant Produkte (Deutschland) Gmbh リン含有熱安定化難燃剤凝集物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04145132A (ja) * 1990-10-05 1992-05-19 Nippon Kararingu Kk 難燃マスターバッチ
JPH0892562A (ja) * 1994-09-28 1996-04-09 Asahi Chem Ind Co Ltd 粒状難燃剤
JPH08109269A (ja) * 1994-10-11 1996-04-30 Asahi Chem Ind Co Ltd 難燃マスターバッチ及びその製造方法
JP2001055515A (ja) * 1999-08-20 2001-02-27 Tosoh Corp 難燃剤錠剤、それによる難燃化方法、並びにそれを配合してなる難燃性樹脂組成物及びその成形品
JP2004099893A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Clariant Gmbh 顆粒状難燃剤組成物
JP2004099894A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Clariant Gmbh 圧密化された難燃剤組成物
JP2006274261A (ja) * 2005-03-26 2006-10-12 Clariant Produkte (Deutschland) Gmbh リン含有熱安定化難燃剤凝集物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023163777A (ja) * 2022-04-28 2023-11-10 長瀬産業株式会社 難燃剤造粒物、難燃剤造粒物の製造方法および使用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5234914B2 (ja) 乾式混合物及びその製造方法
JP4867593B2 (ja) 亜リン酸エステル組成物及びその製造方法
JP2004529997A (ja) 顆粒状重合体添加剤およびこれの製造
US20150111986A1 (en) Polyolefin intumescent phosphorous flame retardant system
JP2023036154A (ja) 難燃剤造粒物
JP7337219B1 (ja) 粉体造粒物
JP6346305B2 (ja) 顆粒状樹脂用添加剤の製造方法、その製造方法により得られる顆粒状樹脂用添加剤、熱可塑性樹脂組成物、及び成形品
CA2379098A1 (en) Flame retardant compositions
JP2023174772A (ja) フィラー造粒物の製造方法
JP7425774B2 (ja) 熱可塑性ポリマー造粒物および熱可塑性ポリマー造粒物の製造方法
JP2008222735A (ja) 熱可塑性樹脂用帯電防止剤およびその利用
JPH0892562A (ja) 粒状難燃剤
JP2023163777A (ja) 難燃剤造粒物、難燃剤造粒物の製造方法および使用
JP2019034994A (ja) 吸湿性抗菌樹脂組成物および成形体
JP2019006866A (ja) ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体
JP7422708B2 (ja) 熱可塑性ポリマー造粒物およびその製造方法
JP7187726B1 (ja) 樹脂加工機械用洗浄剤、その製造方法、及び樹脂加工機械内の洗浄方法
JP2022084248A (ja) 粒状フィラー組成物
JP2023163778A (ja) 粉体造粒物、粉体造粒物の製造方法および使用
JP2023032658A (ja) フィラー造粒物
Melillo et al. Modification of poly (lactic acid) filament with expandable graphite for additive manufacturing using fused filament fabrication (FFF): effect on thermal and mechanical properties
JP2015218204A (ja) 難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法
JP2023032657A (ja) フィラー造粒物
JP2023032656A (ja) エンジニアリング樹脂用フィラー造粒物
JP7315179B2 (ja) 成形機用洗浄剤

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20221129

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230217

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230605

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231004

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20231013

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20231020