JP2023163778A - 粉体造粒物、粉体造粒物の製造方法および使用 - Google Patents

粉体造粒物、粉体造粒物の製造方法および使用 Download PDF

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Abstract

【課題】取扱い性および安全性に優れ、かつ、作業環境の良化をもたらし得る粉体造粒物であって、樹脂組成物を調製する際の原料供給安定性および供給精度を向上させることができ、樹脂成形品の生産性向上に寄与し得る粉体造粒物を提供すること。【解決手段】本発明の粉体造粒物は、粉体原料が結着して構成された粉体造粒物であって、シリカ粒子をさらに含み、該シリカ粒子の数平均1次粒子径が、1nm~1000nmであり、該シリカ粒子の含有割合が、該粉体造粒物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部である。【選択図】図1

Description

本発明は、粉体造粒物、粉体造粒物の製造方法および使用に関する。
熱可塑性樹脂に様々な機能を付与するために行われる溶融コンパウンドでは、粉体原料が、各種の加工機に投入されて使用される場合がある。熱可塑性樹脂の溶融コンパウンドにおける粉体状の原料としては、熱可塑性樹脂そのものが粉体状である場合の他、各種のフィラー粉体、難燃剤粉体、添加剤粉体、着色剤粉体等、様々なものが存在する。粉体原料は、一般に嵩比重が小さく、流動性が悪く、加工機へ付着しやすい性質を有するため、加工機へのフィードネック原因による生産性の低下が生じるのみならず、粉塵による作業環境の悪化、他製品へのコンタミ原因、煩雑な清掃作業、粉塵爆発の危険性、等様々な問題を引き起こす原因となっている。
これらの粉体原料を造粒物とすることにより、上記問題の改善が期待できる。しかしながら、粉体原料を造粒物とする場合においても、依然として、粉体が有する低流動性や装置への付着性は、粉体造粒物の生産性に悪影響を及ぼす問題がある。また、造粒物の形状安定性向上や、熱可塑性樹脂へ溶融混練した際の分散性の向上が求められている。
国際公開2017/147465号
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、取扱い性および安全性に優れ、かつ、作業環境の良化をもたらし得る粉体造粒物であって、樹脂組成物を調製する際の原料供給安定性および供給精度を向上させることができ、樹脂成形品の生産性向上に寄与し得る粉体造粒物を提供することにある。
本発明の粉体造粒物は、粉体原料が結着して構成された粉体造粒物であって、シリカ粒子をさらに含み、該シリカ粒子の数平均1次粒子径が、1nm~1000nmであり、該シリカ粒子の含有割合が、該粉体造粒物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部である。
1つの実施形態においては、上記シリカ粒子の1次粒子の長径の平均値aと1次粒子の短径の平均値bとの比(a/b)が、1.5未満である。
1つの実施形態においては、上記粉体原料が、熱可塑性樹脂粉体、フィラー粉体、難燃剤粉体および添加剤粉体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物は、結着剤をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記結着剤が、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記結着剤の軟化温度が、50℃以上160℃以下である。
1つの実施形態においては、上記添加剤粉体が、界面活性剤である。
1つの実施形態においては、上記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合ヒドロキシ脂肪酸および縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明の別の局面によれば、粉体造粒物の製造方法が提供される。この製造方法は、上記粉体原料と上記シリカ粒子と水とを混合する混合工程と、該混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒前駆体を得る造粒工程と、該造粒前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む。
1つの実施形態においては、上記造粒工程において、半湿式造粒法により造粒することを含む。
1つの実施形態においては、上記造粒工程において、ディスクペレッター方式により造粒を行うことを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、熱可塑性樹脂コンパウンド用原料または成形用材料としての、上記粉体造粒物の使用が提供される。
本発明によれば、取扱い性および安全性に優れ、かつ、作業環境の良化をもたらし得る粉体造粒物であって、樹脂組成物を調製する際の原料供給安定性および供給精度を向上させることができ、樹脂成形品の生産性向上に寄与し得る粉体造粒物を提供することができる。本発明によれば、多様な粉体原料を造粒化することができる。また、本発明の粉体造粒物は、それ自身の生産性が高い点でも有利である。
実施例1で得られた粉体造粒物の外観写真図である。
A.粉体造粒物の概要
本発明の粉体造粒物は、粉体原料が結着して構成されており、シリカ粒子をさらに含む。シリカ粒子の数平均1次粒子径は、1nm~1000nmである。シリカ粒子の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部である。
粉体造粒物は、粉体原料自身の結着性により粉体原料が結着して構成されていてもよく、必要に応じて添加される結着剤により粉体原料が結着して構成されていてもよい。粉体原料自身の結着性は、粉体原料の溶融に起因していてもよく、造粒方法を一因として発現する結着性であってもよい。造粒方法を一因として発現する結着性としては、例えば、湿式造粒法において、粉体原料と液体(例えば水)との相互作用により生じる結着性が挙げられる。
上記粉体造粒物は、樹脂組成物の製造で使用され得る。上記粉体造粒物は、例えば、樹脂組成物の溶融コンパウンド(溶融混練)時、樹脂成形品の成形等、各種の可塑化溶融工程において、樹脂組成物に添加して用いられ得る。上記粉体造粒物を用いれば、樹脂組成物の生産性向上を図ることができる。具体的には、上記粉体造粒物は、押出機等の装置への投入安定性および供給精度に著しく優れるため、生産性(時間当たりのコンパウンド加工速度)を飛躍的に向上させることができる。また、粉塵による作業環境汚染を著しく改善し、作業者の労働安全衛生環境を向上させることができ、さらに、設備の切り替え清掃の時間を大幅に短縮できる。
また、シリカ粒子を含むことにより、流動性に乏しい、付着性が高い等の理由で取り扱い難い粉体原料を好ましく造粒することができる。より詳細には、シリカ粒子を配合することにより、(i)粉体原料の流動性および混合特性を高め、(ii)混合による発熱を抑制し、(iii)装置壁面への付着を低減し、(iv)混合粉体のダイス通過抵抗力を低減させることができ、粉体造粒物の生産性を高めることができる。さらに、シリカ粒子を配合することにより、造粒工程で粉体に与える圧力を均質化することができる。その結果、高硬度であり、かつ、硬度均一性に優れる粉体造粒物を得ることができる。
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物は、半湿式造粒法により製造される。半湿式造粒法によれば、上記効果が顕著となる。詳細は後述する。
上記粉体造粒物は、任意の適切な形状であり得る。代表的には、上記粉体造粒物は円柱状(ペレット状)である。
上記粉体造粒物が円柱状である場合、上記粉体造粒物の直径は、例えば、2mm~5mmである。また、粉体造粒物の長さ(高さ)は、例えば、1mm~7mmである。このような形状であれば、ハンドリングしやすい粉体造粒物を得ることができる。粉体造粒物の直径は、例えば、造粒の際のディスクプレートのダイス孔の径により調整でき、長さはディスクプレートとカッター間の距離で調整できる。当該距離は、用いられる粉体原料の種類等に応じて、任意の適切な距離とされ得る。ディスクプレートとカッター間の距離は、例えば、1mm~30mmであり、より好ましくは2mm~20mmであり、さらに好ましくは3mm~10mmである。
上記粉体造粒物の木屋式硬度計における破壊応力は、好ましくは0.05kg~10kgであり、より好ましくは0.5kg~7kgであり、さらに好ましくは1.0kg~5kgである。このような範囲であれば、ハンドリング性と溶融加工性に優れる粉体造粒物を得ることができる。ここで、破壊応力とは、20粒以上(好ましくは25粒以上)について測定した平均の崩壊応力を示す。
上記粉体造粒物の水分量は、任意の適切な水分量とされ得る。上記粉体造粒物の水分量は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、特に好ましくは1重量%以下であり、最も好ましくは0.5重量%以下である。粉体造粒物の水分量は、後述のとおり赤外線水分計を用いて測定される。
上記粉体造粒物の嵩密度は、粉体原料および結着剤の種類等に応じて、任意の適切な嵩密度とされ得る。上記粉体造粒物の嵩密度は、好ましくは0.3kg/L~2.0kg/Lであり、より好ましくは0.5kg/L~1.0kg/Lである。嵩密度を高くすることで、溶融混練を行う際に、粉体造粒物の供給速度と供給安定性が高まる。嵩密度は、升を用いて、粉体を当該升に自然落下させてすり切り一杯にして、正確に1リットルの容積ではかり取り、その重量を測定することで算出される(単位:kg/L)。
結着性を有する粉体原料と結着剤との合計含有割合は、結着剤100重量部に対して、例えば、1重量部以上であり、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上である。
A-1.粉体原料
上記粉体原料は、熱可塑性樹脂粉体等の樹脂組成物の主成分となる原料であってもよく、フィラー粉体、難燃剤粉体、添加剤粉体等の樹脂組成物に所定の機能を付与しうる原料であってもよい。上記粉体原料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組みあわせて用いてもよい。また、熱可塑性樹脂粉体、特定種の難燃剤粉体のように結着性を発揮する粉体を粉体原料としてもよい。なお、本明細書において、「粉体原料」は、シリカを含まない概念とする。
上記粉体原料の粒子径は、本発明の効果が得られる限り、その形態に応じて、任意の適切な粒子径とされ得る。粉体原料の数平均粒子径は、例えば、0.001mm~1mmである。本明細書において、数平均粒子径は、レーザー回折法で測定され得る。
上記粉体原料の嵩密度は、本発明の効果が得られる限り、その形態に応じて、任意の適切な嵩密度とされ得る。上記粉体原料の嵩密度は、好ましくは0.01kg/L~1kg/Lであり、好ましくは0.05kg/L~0.8kg/Lであり、より好ましくは0.1kg/L~0.8kg/Lであり、さらに好ましくは0.1kg/L~0.6kgLであり、特に好ましくは0.2kg/L~0.5kg/Lである。
本発明の効果が得られる限り、粉体原料の含有割合は、任意の適切な割合とされ得る。粉体原料の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、好ましくは50重量部~99重量部であり、より好ましくは60重量部~97重量部であり、さらに好ましくは80重量部~95重量部である。粉体原料の含有割合は、上記粉体造粒物中、好ましくは40体積%~95体積%であり、50体積%~90体積%であり、好ましくは60体積%~85体積%である。
1つの実施形態においては、軟化温度が50℃~160℃(好ましくは60℃~140℃であり、より好ましくは70℃~130℃であり、特に好ましくは80℃~120℃)の粉体原料が用いられる。このような粉体原料は、粉体原料自身が結着性を有する。本明細書において、軟化温度は、融点またはガラス転移温度を意味し、示差走査型熱量計(DSC)で測定され得る。1つの実施形態においては、上記DSC測定において、吸熱あるいは発熱のピークが観測される場合において軟化温度は融点に相当し、また、ベースラインの不連続性が観測される場合において軟化温度はガラス転移温度に相当する。
(熱可塑性樹脂粉体)
上記熱可塑性樹脂粉体は、その製造プロセスを経て得られた粉体状樹脂、すなわち、製造プロセスを要因として粉体状であってもよく、ペレット状の樹脂、塊状の樹脂、樹脂成形体等の非粉状の樹脂を粉砕して得られた粉体状樹脂であってもよい。粉砕された粉体状樹脂は、成形品、ペレット、射出成形において発生するスプルやランナー等を室温下、あるいは、必要に応じてドライアイスや液体窒素を用いて冷却した後、粉砕機(例えば、ダルトン社製、商品名「ネアミル、シルフィードミル、アトマイザー、インパクトミル」等)を使用して得ることができる。
上記熱可塑性樹脂粉体の嵩密度は、0.01kg/L~1kg/Lであり、好ましくは0.05kg/L~0.8kg/Lであり、より好ましくは0.1kg/L~0.5kg/Lである。
上記熱可塑性樹脂粉体は、任意の適切な形状およびサイズであり得る。上記熱可塑性樹脂粉体の数平均粒子径は、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.001mm~0.8mmであり、さらに好ましくは0.01mm~0.5mmであり、特に好ましくは0.1mm~0.5mmである。
熱可塑性樹脂粉体は、任意の適切な熱可塑性樹脂から構成される。当該熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、フッ素系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリエステル類(PET、PBT等)、環状ポリオレフィン(COP)等のエンジニアリングプラスチック類、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリングプラスチック類、乳化重合あるいは懸濁重合で得られるコアシェルゴム類等が挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂として、生分解性樹脂を用いてもよい。生分解性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリヒドロキシバリレート等のホモポリマーあるいはコポリマー、これらのホモポリマーあるいはコポリマーの変性物等)、脂肪族・芳香族ポリエステル樹脂(例えば、脂肪族カルボン酸もしくはヒドロキシ酸、芳香族ジカルボン酸と1,3-プロパンジオール等のブロックポリマーあるいはランダムポリマー等)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、エチレン・ビニルアルコールコポリマー等)等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記熱可塑性樹脂として、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)類およびコアシェル型ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。上記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)類は、例えば、微生物が、糖質、油脂類等を餌として、体内で生成した化合物であり得る。このようなポリヒドロキシアルカノエートは、一次的には粉体状のポリマーとして取り出される。
上記超高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを意味する。超高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量は、例えば、200万(150万~250万)である。粘度平均分子量は、ASTM D4020に規定の粘度法により測定することができる。具体的には、ASTM D4020の粘度法に基づき極限粘度(η[dl/g])を測定し、次式(1)から粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.37×104η1.37 ・・・(1)
上記コアシェル型ポリマーとしては、例えば、乳化重合あるいは懸濁重合で得られるコアシェルゴム類が用いられる。
(フィラー粉体)
フィラー粉体は、例えば、コンパウンド工程で溶融せずに、熱可塑性樹脂マトリックス中に分散させることで使用される粉体であり得る。ただし、難燃性の機能を発現するものは、本発明では難燃剤粉体と区分する。上記粉体造粒物は、フィラー粉体(特に、嵩密度が低いフィラー粉体)に対して、供給安定性および供給精度を向上させ得る点で有利であり、当該粉体造粒物を用いれば、高い生産性で安定的にフィラー含有樹脂組成物を得ることが可能となる。本明細書において、「フィラー粉体」は、繊維状、綿状のフィラーも包含する概念とする。
フィラー粉体の嵩密度は、好ましくは0.01kg/L~1kg/Lであり、より好ましくは0.1kg/L~0.8kg/Lであり、さらに好ましくは0.2kg/L~0.6kg/Lである。
上記フィラー粉体のサイズは、任意の適切なサイズとされ得る。フィラー粉体の数平均粒子径は、例えば、10nm~100μmである。フィラーが繊維状または綿状である場合はその断面直径をサイズとする。
上記フィラー粉体としては、樹脂組成物および/または樹脂組成物から得られる成形体に要求される特性に応じて、任意の適切な種類のフィラーを用いることができる。上記フィラー粉体によって付与できる特性・効果としては、例えば、増量化または軽量化、補強(高剛性化、高弾性率化、高強度化)、寸法安定性、成形サイクル(結晶化速度)、結晶化度、熱伝導性、導電性、磁性、圧電性、制振性、遮音性、摺動性、断熱性、電磁波吸収性、光反射性、光散乱性、熱線輻射性、放射線防護、紫外線防護、脱湿、脱水、脱臭、ガス吸収、ガスバリア、アンチブロッキング、吸油、抗菌性、生分解促進性、バイオ度向上(天然物由来成分量の比率向上)等が挙げられる。例えば、増量の目的では、炭酸カルシウム、タルク、クレーが好適である。補強の目的では、ワラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物(MOS)、アラミド繊維、各種ファイバー系、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラスファイバー(ガラス繊維)、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカー等が好適である。抗菌付与の目的では、カテキン、銀イオン担持ゼオライト、銅フタロシアニン、等が好適である。ガスバリア性付与の目的では、合成マイカ系、クレー・合成マイカのナノフィラー、等が好適である。軽量化の目的では、バルーン、ガラスバルーン、セノスフィア、パーライト、シラスバルーン、等のバルーン系が好適である。導電性付与の目的では、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属箔、が好適である。磁性付与の目的では、各種磁性材料、各種フェライト系、磁性酸化鉄、サマコバ(Sm-Co)、Nd-Fe-B、等が好適である。熱伝導性付与の目的では、アルミナ、AlN、BN、BeO、等が好適である。圧電性付与の目的では、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、等が好適である。制振性付与の目的では、マイカ、黒鉛、チタン酸カリウム、ゾノトライト、炭素繊維、フェライト、等が好適である。遮音性付与の目的では、鉄粉、鉛粉、硫酸バリウム、等が好適である。摺動性付与の目的では、黒鉛、六方晶BN、硫化モリブデン、テフロン(登録商標)粉、タルク、高分子量ポリエチレン、等が好適である。電磁波吸収付与の目的では、電磁波吸収フェライト、黒鉛、木炭粉、カーボンマイクロコイル(CMC)、カーボンナノチューブ(CNT)、PZT、等が好適である。光反射、光散乱付与の目的では、酸化チタン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、アルミ粉、マイカ、等が好適である。熱線輻射付与の目的では、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、MOS、アルミナ、木炭粉末、等が好適である。放射線防護の目的では、鉛粉、硫酸バリウム、等が好適である。「紫外線防護」の目的では、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、等が好適である。脱湿、脱水の目的では、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、等が好適である。脱臭、ガス吸収の目的では、ゼオライト、活性白土、等が好適である。アンチブロッキング(フィルムの圧着防止)の目的では、炭酸カルシウム、タルク、球状微粒子(シリコーンやアクリルビーズ)、等が好適である。吸油(印刷インク吸収、速乾性等)の目的では、毬藻状炭酸カルシウム、毬藻状ゾノトライト、等が好適である。吸水の目的では、吸水用の高分子ゲル、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、等が好適である。バイオ度向上の目的には、セルロース系材料(木粉、木繊維、おがくず、木屑、新聞用紙、紙、亜麻、麻、麦わら、もみ殻、ケナフ、ジュート、サイザル、ピーナッツの殻、大豆の外皮、等)、でんぷん、天然ゴム、等が好適である。
(難燃剤粉体)
上記難燃剤粉体としては、任意の適切な難燃剤が用いられ得る。1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、ゴム、樹脂等に使用される難燃剤が用いられる。1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体は、ハロゲン含有化合物系難燃剤、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である。なかでも、環境対応の観点から、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物(後述の通り、リンを含んでいてもよい)系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が、特に好ましく使用される。なかでも、環境対応の観点から、リン含有化合物系難燃剤、窒素含有化合物(後述の通り、リンを含んでいてもよい)系難燃剤および金属塩系難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が、特に好ましく使用される。
1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、ハロゲン含有化合物系難燃剤が用いられる。ハロゲン含有化合物系難燃剤を用いれば、難燃性の粉体造粒物として好ましくその効果が引き出せる。ハロゲン含有化合物系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テロラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、テロラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、ヘキサブロモシクロデカン等のハロゲン化物が挙げられる。また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、オリゴマー型ハロゲン化合物を用いてもよい。オリゴマー型ハロゲン化合物としては、例えば、モノブロモフェノール、トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、トリブロモクレゾール、ジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビスフェノールS、塩化シアヌル等の化合物の重合体、これらの化合物と上記ハロゲン化物との共重合体等が挙げられる。当該共重合体において、ハロゲン化物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSとビスフェノールSとのオリゴマー等を用いてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、構造中にエポキシ基を有するハロゲン化エポキシオリゴマーを用いてもよい。
また、上記ハロゲン含有化合物系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、臭素化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド等を用いてもよい。
1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、リン含有化合物系難燃剤が用いられる。リン含有化合物系難燃剤を用いれば、難燃性の粉体造粒物として好ましくその効果が引き出せる。リン含有化合物系難燃剤としては、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステルを挙げることができ、好ましい例として、トリフェニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェートを例示することができる。
1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、窒素含有化合物系難燃剤が用いられる。窒素含有化合物系難燃剤を用いれば、難燃性の粉体造粒物として好ましくその効果が引き出せる。窒素含有化合物系難燃剤はリンを含んでいてもよい。窒素含有化合物系難燃剤としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩、メラミンの縮合生成物、メラミンとリン酸との反応生成物、メラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、ポリリン酸アンモニウム塩、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド、グアニジン等が挙げられる。他の例として、ホスファゼン類を挙げることができ、具体例として、ホスホニトリル酸フェニルエステルが挙げられる。
1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、無機系難燃剤が用いられる。無機系難燃剤を用いれば、難燃性の粉体造粒物として好ましくその効果が引き出せる。無機系難燃剤の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、酸化アンチモン、ベーマイト、ジヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マンガン、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、赤燐、等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記難燃剤粉体として、金属塩系難燃剤が用いられる。金属塩系難燃剤を用いれば、難燃性の粉体造粒物として好ましくその効果が引き出せる。金属塩系難燃剤としては、例えば、有機ホスフィン酸金属塩、有機スルホン金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩を挙げることができ、具体例として、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて、難燃助剤を添加してもよい。難燃助剤としては、亜リン酸アルミニウム、酸化鉄、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンのほか、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、リン酸アンチモンなどのアンチモン化合物等が挙げられる。難燃助剤は、1種または2種以上で使用することができる。
上記難燃剤粉体のサイズは、任意の適切なサイズとすることができる。難燃剤粉体の数平均粒子径は、例えば、10nm~100μmである。
上記難燃剤粉体の嵩密度は、好ましくは0.01kg/L~1kg/Lであり、より好ましくは0.05kg/L~0.8kg/Lであり、さらに好ましくは0.1kg/L~0.5kg/Lである。上記粉体造粒物においては、嵩密度が低い難燃剤粉体を含みながらも、供給安定性および供給精度を向上させ得る点で有利であり、当該粉体造粒物を用いれば、高い生産性で安定的に難燃剤含有樹脂組成物を得ることが可能となる。
(添加剤粉体)
上記粉体造粒物は、必要に応じて、任意の適切なその他の粉体状の添加剤を含み得る。添加剤粉体としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、衝撃改質剤、抗菌剤、分散剤、相溶化剤、加工助剤、潤滑剤、カップリング剤、結晶化核剤、加水分解抑制剤、脱酸素剤、着色剤(染顔料)等が挙げられる。なお、粉体原料は、液状の添加剤と併用されてもよい。添加剤粉体は、少量(通常、数重量%以下)で配合される。
1つの実施形態においては、添加剤粉体として、分散剤が好ましく使用される。上記分散剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。分散剤(界面活性剤)における親水性/疎水性バランスは、分散剤となる化合物のエステル化度や脂肪酸の種類(水酸基の有無、飽和又は不飽和脂肪酸、アルキル鎖長)、重合度を調整することにより、制御することができる。分散剤を使用することにより、粉体造粒物の生産性(吐出速度)を向上させることができ、さらには、加工機の清掃性を高めることができる。
上記分散剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸スルホン酸塩、脂肪酸アマイド、アクリルアミド、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組みあわせて用いてもよい。
1つの実施形態においては、上記界面活性剤は、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合ヒドロキシ脂肪酸および縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
上記多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価アルコールと脂肪酸とから構成されるエステル化合物である。多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールと炭素数が8以上(好ましくは炭素数8~24、より好ましくは炭素数10~22)の脂肪酸のエステル類が用いられる。
上記脂肪酸アマイドとは、脂肪酸とアンモニアあるいは 1級、2級アミンとが脱水縮合した構造を持つ化合物である。上記脂肪酸アマイドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸とから構成されるエステル化合物である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル等が挙げられる。
上記分散剤の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、通常、0.01重量部~10重量部であり、好ましくは0.1重量部~7重量部であり、より好ましくは0.3重量部~5重量部である。
1つの実施形態において、上記添加剤粉体として、結晶化核剤が用いられる。結晶化核剤は、粉体造粒物が結晶性の熱可塑性樹脂粉体を主体とする造粒物である場合に好ましく使用される。特に、結晶化核剤は、熱可塑性樹脂粉体として、生物が産生するバイオポリエステル(例えば、上記ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)類)を用いる場合に、好ましく添加される。結晶化核剤を用いれば、結晶性の熱可塑性樹脂粉体(例えば、バイオポリエステル)の結晶化速度と結晶化度を高めることが可能となり、剛性や耐熱性の向上のみならず、生産性も高めることができる。このような結晶化核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、シュウ酸金属塩、脂肪酸金属塩等の有機金属塩化合物類、脂肪族有機エステル、リン酸トリアリル、ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体や脂肪族ポリエステル、ベンジリデンソルビトール等の有機化合物類、キナクドリン、シアニンブルー、カーボンブラック等の染顔料類、タルク、マイカ、カオリン、クレー、炭酸塩鉱物、金属酸化物、金属硫酸塩等の鉱物類、アイオノマー、高融点ポリアミド等の高分子化合物類等が挙げられる。1つの実施形態においては、上記結晶化核剤として、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム等が用いられる。
上記結晶化核剤の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、通常、0.01重量部~10重量部であり、好ましくは0.1重量部~7重量部であり、より好ましくは0.3重量部~5重量部である。
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物は、添加剤粉体として、粉体状の酸変性ポリマーを含む。酸変性ポリマーとしては、例えば、無水マレイン酸ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、スチレン・無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。酸変性ポリマーを用いることで、溶融混練する際に、粉体造粒物の分散性改良剤、あるいは相溶化剤としての作用効果を発揮し得る。上記の酸変性ポリマー粉体の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、通常、0.1重量部~10重量部であり、好ましくは0.5重量部~7重量部であり、より好ましくは1重量部~5重量部である。
A-2.シリカ粒子
上記のとおり、シリカ粒子の数平均1次粒子径は、1nm~1000nmである。シリカ粒子の数平均1次粒子径は、好ましくは5nm~100nmであり、より好ましくは10nm~50nmである。このような範囲であれば、上基本発明の効果が顕著となる。
1つの実施形態において、いわゆる球状シリカと呼ばれる、合成法に起因してその形状が真球に近い形状のシリカ粒子が用いられる。
上記シリカ粒子は、1次粒子の長径の平均値aと1次粒子の短径の平均値bとの比(a/b)が、好ましくは1.5未満であり、より好ましくは1.4未満であり、さらに好ましくは1.3未満である。a/bは小さいほど好ましいが、その最小値は、例えば、1.05である。1次粒子の長径の平均値aと1次粒子の短径の平均値bとは、透過型電子顕微鏡で撮影された写真観察により無作為抽出された20個のシリカ粒子(1次粒子)について、長径と短径とを測定して求められる数平均を意味する。
上記シリカ粒子は、湿式シリカから構成されていてもよく、乾式シリカから構成されていてもよい。湿式シリカとは、水中で水ガラス(珪酸ナトリウム)から合成されるシリカである。湿式シリカを、沈降シリカ、ゲルシリカ(シリカゲル)またはコロイダルシリカと称すこともある。乾式シリカとは、ケイ素塩化物を気化させ、高温の水素炎中において気相反応によって合成されたシリカである。乾式シリカを、気相法シリカまたはヒュームドシリカと称すこともある。上記シリカ粒子は、凝集粒子の形態で用いられてもよい。
上記シリカ粒子には表面処理が施されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、オルガノシラザンなどのシラン系の表面処理剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミネート系カップリング剤を挙げることができる。これらを併用してもよい。
上記のとおり、粉体造粒物中のシリカ粒子の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部である。シリカ粒子の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、好ましくは、0.01重量部~3重量部であり、より好ましくは0.05重量部~2重量部である。このような範囲であれば、本発明の効果が顕著となる。
A-3.結着剤
1つの実施形態において、上記粉体造粒物は、結着剤をさらに含む。結着剤を用いることにより、優れた効率で生産され得、かつ、品質安定性(形状安定性、硬度の均一性)、低微粉性、高硬度性、ハンドリング性に優れる粉体造粒物を得ることができる。また、結着剤は、半湿式造粒工程により得られる造粒物前駆体の造粒工程、もしくは当該造粒物前駆体から水分を除去する加熱乾燥工程において、粉体造粒物の馴染みを向上させ、造粒性と結着力を高め得る。結着剤は、粉体原料との混合工程において、均一な分散状態として配合することが好ましい。
1つの実施形態においては、上記結着剤は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。1つの実施形態においては、上記結着剤は、任意の適切な樹脂により構成され得る。結着剤としての樹脂は、粉体状、溶液状、分散液状の様々な形態で粉体原料に配合することが可能である。
結着剤の含有割合は、上記粉体原料のサイズ、形状、吸水性、吸油性、嵩密度等に応じて、任意の適切な割合とされ得る。結着剤の含有割合は、粉体造粒物100重量部に対して、好ましくは1重量部~50重量部であり、より好ましくは2重量部~40重量部であり、さらに好ましくは3重量部~30重量部であり、特に好ましくは5重量部~20重量部である。このような範囲であれば、粉体原料に対する結着力が好ましく発揮され、ハンドリング性に優れた粉体造粒物を得ることができる。
上記結着剤が樹脂粉体である場合は、当該件着剤の数平均粒子径は、好ましくは10μm~500μmであり、より好ましくは50μm~400μmであり、さらに好ましくは100μm~300μmである。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
1つの実施形態においては、上記結着剤が樹脂粉体である場合において、その軟化温度(融点、またはガラス転移温度)は、通常、50℃以上160℃以下であり、好ましくは60℃以上140℃以下であり、より好ましくは、70℃以上130℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上120℃以下である。このような範囲であれば、結着剤は、造粒工程での摩擦熱および/または乾燥(加熱)工程で加えられる熱により溶融し、粉体原料に対する結着剤として好ましく作用し得る。また、結着剤の軟化温度が上記範囲であれば、粉体造粒物の生産性と形状安定性において好ましく、造粒物硬度に優れ、ハンドリング性に優れた粉体造粒物を得ることが可能となる。本明細書において、軟化温度は、融点またはガラス転移温度を意味し、示差走査型熱量計(DSC)で測定され得る。1つの実施形態においては、上記DSC測定において、吸熱あるいは発熱のピークが観測される場合において軟化温度は融点に相当し、また、ベースラインの不連続性が観測される場合において軟化温度はガラス転移温度に相当する。
1つの実施形態においては、結着剤は、ポリマー液(ポリマー溶液、ポリマー分散液)の形態で使用され得る。ポリマー液を使用すれば、粉体原料に対し、効率的に、かつ均一に結着剤をコーティングできるために、品位に優れた粉体造粒物を得ることができる。上記のポリマー液結着剤として、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、三井化学社製のケミパール(登録商標)、ダウ・ケミカルカンパニーのHYPOD(登録商標)、ビックケミー・ジャパン社製のAQUACER(登録商標)、住友精化社製のザイクセン、セポルジョン(登録商標)、マイケルマン・ジャパン社製のMichem(登録商標)、DIC社のボンディック(登録商標)、マイケルマン・ジャパン社製のMichem(登録商標)、DIC社のボンディック(登録商標)、サイデン化学社製のサイビノール、サイデングルー(登録商標)等を挙げることができる。1つの実施形態においては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH;クラレ社製のエバール(登録商標))、ブテンジオール-ビニルアルコールコポリマー(BVOH;三菱ケミカル社製のニチゴーGポリマー(登録商標))が挙げられるが、これらは水溶性であるので、水溶液として配合され得る。
B.粉体造粒物の製造方法
上記粉体造粒物は、任意の適切な方法により、製造することができる。例えば、粉体原料とシリカ粒子とを含む混合物を、半湿式造粒法に供することにより得ることができる。
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物の製造方法は、上記粉体原料とシリカ粒子と水とを混合する混合工程と、混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒前駆体を得る造粒工程と、造粒前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む。混合工程においては、必要に応じて、結着剤、分散剤等のその他の成分が混合され得る。
1つの実施形態においては、上記混合工程において、粉体原料とシリカ粒子と必要に応じて添加されるその他の成分とを混合して混合物を調製した後、当該混合物を攪拌しながら、水を加える。このようにすれば、水を適度な配合比率で、混合物全体に均一に分散させることが可能となり、次の半湿式造粒工程において、造粒が安定し、形状と造粒物硬度とに優れた造粒物を得ることができる。水は、例えば、スプレー噴霧状、シャワー状、または、ノズルを使って点滴状に徐々に加えられ得る。なお、スプレー噴霧状とは、圧縮空気等のガスにより、圧力を加えた液体を、ノズルの細い穴から急激に噴出させて、液体の微粒子とさせた状態を意味する。また、シャワー状とは、シャワーヘッド(複数の同じ大きさの穴があけられた治具)から、同じ圧力がかけられた流体が分散されて噴出させた状態を意味する。添加される水は、特に限定されず、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、硬水、軟水等を用いることができる。必要に応じて、粉体原料に対する濡れ性を向上させるためにアルコール等の他の成分と水とを併用してもよい。
混合工程においては、任意の適切な混合機を用いて、均一に混合することが好ましい。混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、粉体用ニーダー(KDH、KDA、CKD、CPM)(ダルトン社)、スパルタンミキサー(SPM)(ダルトン社)、SPグラニュレーター(SPG)(ダルトン社)、等を挙げることができる。造粒性に優れた好ましい混合物を得るために、混合攪拌装置の攪拌羽根が適切であること好ましい。例えば、ヘンシェルミキサータイプの混合機を使用する場合、ミキサーの羽根は上羽根と下羽根の組み合わせとし、上羽根はY1羽根(商品名、日本コークス(株)製)とし、下羽根はS0羽根(商品名、日本コークス(株)製)を使用することが好ましい。また、撹拌槽内にデフレクターを装着し、混合することが好ましい。このようにして、混合物全体にわたって各成分を均一に分散させることが可能な混合工程とすることにより、次の半湿式造粒工程における生産性と品質安定性を高め、形状と造粒物硬度に優れた粉体造粒物を得ることができる。
水の配合量は、粉体原料の特性(吸水性等)に応じて、任意の適切な量とされ得る。水の配合量は、混合物中の個体成分100重量部に対して、例えば、5重量部~100重量部であり、好ましくは8重量部~70重量部であり、より好ましくは10重量部~50重量部であり、さらに好ましくは15重量部~30重量部である。このような範囲であれば、半湿式法による造粒工程で、造粒性に優れた混合物を得ることができる。このような混合物を用いれば、粉体原料が好ましく結着して構成された粉体造粒物前駆体を安定して得ることができる。
上記粉体混合物への水の添加は、通常、1~60分、好ましくは3~30分、より好ましくは、5~20分の時間をかけて均一に分散させながら、粉体混合物に水を含ませることが好ましい。
混合工程における混合時間は、成分の種類、混合機の種類、成分配合比等に応じて、任意の適切な混合時間とすることができる。好ましくは、添加成分が十分かつ均一に分散混合されるように混合時間が設定される。ヘンシェルミキサーやスパルタンミキサー等の高速撹拌機では1~10分の処理時間で行うことができる。一方、粉体用ニーダーの場合は、数分~60分の処理時間が必要になる場合がある。
造粒工程においては、圧縮造粒法が好ましく採用される。また、造粒工程においては、半湿式造粒法が好ましく採用され得る。圧縮造粒法/半湿式造粒法としては、例えば、ディスクペレッター方式、タブレッティング方式、ブリケッティング方式等が挙げられる。生産性と得られる粉体造粒物の品位のバランスの観点から、ディスクペレッター方式が好ましく採用される。
ディスクペレッター方式の造粒機は、基本構造として、2mm~30mmの孔が多数あけられた1個または2個のディスクと、ディスクの孔に原料を圧送するためのローラーとを有する。ディスクとローラーの間、もしくは2個のディスクの間に供給された原料(水分を含んだ粉体混合物)が、ローラーの回転に伴い、ディスクの孔に圧入され、円柱状の押出物が成形される。押し出された造粒物前駆体は、ディスクの裏面において、カッター等で切断されることで、ペレット状の粉体造粒物を得ることができる。造粒物前駆体の長さは、ディスクの裏面とカッター間の距離、ローラーの回転数、によって調整が可能である。ディスクプレートとカッター間の距離は、粉体原料の種類等に応じて、任意の適切な距離とされ得る。ディスクプレートとカッター間の距離は、例えば、1mm~30mmであり、より好ましくは2mm~20mmであり、さらに好ましくは3mm~10mmである。
ディスクペレッター方式としては、より具体的には、ローラー・ディスクダイ方式、ローラー・リングダイ方式、ダブルダイス方式、フラットダイ方式等が挙げられる。市販のディスクペレッター方式の造粒機としては、例えば、ダルトン社製のディスクペレッターFシリーズを挙げることができる。
乾燥工程では、任意の適切な乾燥設備が用いられる。例えば、振動流動式乾燥機が短時間に効率的に乾燥を行うことができるので好ましく、例えば、ダルトン社製の振動流動乾燥機VDFシリーズを挙げることができる。乾燥工程後、振動ふるい等で処理を行うことで、微粉を除去した粉体造粒物が得られ得る。
C.粉体造粒物を使用する溶融コンパウンド
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物は、熱可塑性樹脂コンパウンド原料または成形用材料として用いられる。また、上記粉体造粒物と、その他の熱可塑性樹脂との溶融コンパウンドが提供され得る。当該その他の熱可塑性樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂が用いられる。粉体造粒物が難燃剤粉体を含む場合、難燃剤粉体の配合量は、樹脂組成物の固形分100重量部に対し、通常、5重量部~20重量部である。
上記熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、フッ素系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリエステル類(PET、PBT等)、環状ポリオレフィン(COP)等のエンジニアリングプラスチック類、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリングプラスチック類等が挙げられる。
また、上記熱可塑性樹脂として、生分解性ポリマーを用いてもよい。生分解性ポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂(例えば、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリヒドロキシバリレート等のホモポリマーあるいはコポリマー、これらのホモポリマーあるいはコポリマーの変性した物等)、脂肪族・芳香族ポリエステル樹脂(例えば、脂肪族カルボン酸もしくはヒドロキシ酸、芳香族ジカルボン酸と1,3-プロパンジオール等のブロックポリマーあるいはランダムポリマー等)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、エチレン・ビニルアルコールコポリマー等)等が挙げられる。
溶融コンパウンドの製造方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、単軸もしくは二軸以上の多軸押出機を使用することができる。好ましくは、二軸スクリュー押出機が用いられる。溶融混練して得られた組成物はペレット化される。
1つの実施形態においては、上記粉体造粒物は、上記粉体造粒物とその他の熱可塑性樹脂との混合物とし、射出成形機、押出成形機等の樹脂の加工装置に直接投入して、各種の樹脂組成物成形品を得ることもできる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、部および%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
[実施例1]酸化チタン造粒物
FMミキサー(日本コークス工業(株)製、商品名「5FM5C/I」;処理容積:5L)に、酸化チタン粉体(石原産業(株)製、商品名「タイペークPFR404」;棒状形状粒子であり、短軸平均0.3μm;表中、「A-1」)100重量部と、沈降法シリカ粒子(東ソー・シリカ(株)製、商品名「NipSil LP」;一次粒子の平均粒子径15nm、一次粒子のa/b比(a:最大長径平均、b:最小短径平均):1.2、二次粒子の平均粒子径6.4μm、嵩比重0.07kg/L、比表面積200m/g;表中、「B-1」)2重量部と、結着剤(高密度ポリエチレン粉体、プライムポリマー(株)製、商品名「エボリューH SP50800P」;表中、「C-1」)10重量部とを投入し、回転数2,000rpmで10分間の攪拌処理を行い、粉体混合物を得た。
FMミキサーの羽根は上羽根と下羽根の組み合わせとし、上羽根はY1羽根(商品名、日本コークス(株)製)とし、下羽根はS0羽根(商品名、日本コークス(株)製)を使用した。また、撹拌槽内には邪魔板(バッフル、もしくはデフレクターとも称す)を装着した。
上記粉体混合物対し、攪拌羽を回転数2,000rpmで回転させながら、結着剤(水系ポリエチレン共重合体ディスパージョン、三井化学(株)製、商品名「ケミパールA100」、固形分40重量%;表中「C-2」)10重量部を、10分間で連続的に少量ずつ配合し、含水粉体混合物を得た。
この含水粉体混合物を、ディスクペレッター(ダルトン社製、商品名「ディスクペレッターF-5/11-175」)に投入し、ペレット状の造粒物前駆体を得た。
この際、ダイスの孔径を3mmφとし、ダイスプレートの厚みを15mmとし、ダイス孔の有効長を10mmとし、ディスペレッターのローラーの回転数を53rpmとした。
得られた造粒物前駆体を、熱風式循環型乾燥機を用いて、140℃で4時間乾燥させて、粉体造粒物(G-1)を得た。得られた粉体造粒物(G-1)の外観写真を図1に示す。
なお、長径の平均値aと短径の平均値bとは、透過型電子顕微鏡観察により写真撮影を行い、無作為抽出された20個のシリカ粒子(1次粒子)について、長径と短径とを測定して求めた。
[実施例2]酸化チタン造粒物
実施例1から、結着剤(高密度ポリエチレン粉体、エボリューH SP50800P;表中、「C-1」)を除いた以外は、実施例1と同様にして、粉体造粒物(G-2)を得た。
[実施例3]難燃剤造粒物
実施例1で使用したFMミキサー(攪拌羽根と邪魔板の構成も同じ)に、難燃剤粉体(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム塩、クラリアント社製、商品名「エキソリットOP1230」;平均粒子径:30μm、嵩密度0.59kg/L;表中、「A-2」)100重量部と、シリカ粒子(水澤化学工業(株)製、商品名「ミズカシル P-78D」;表中、「B-2」)0.1重量部を投入し、回転数2,000rpmで10分間の攪拌処理を行い、粉体混合物を得た。
上記粉体混合物対し、攪拌羽を回転数2,000rpmで回転させながら、上水15重量部を、10分間の時間をかけて連続的に噴霧状に少量ずつ配合し、含水粉体混合物を得た。
得られた含水粉体混合物を、ディスペレッターのローラーの回転数を108rpmとしたこと以外は実施例1と同様の造粒工程、乾燥工程に供し、粉体造粒物(G-3)を得た。
[実施例4]ポリプロピレン粉体とタルク粉体との混合造粒物
粉体原料、結着剤を、表1に示す配合量で用いたこと以外は、実施例3と同様にして、粉体造粒物(G-4)を得た。粉体造粒物(G-4)は、ポリプロピレン粉体(A-3)とタルク粉体(A-4)の混合粉体の造粒例である。
粉体造粒物(G-4)の造粒では、ポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステル(太陽化学(株)製、商品名「チラバゾールH818」;表中「D-1」)3重量部を、FMミキサーによる攪拌混合処理の際に同時に配合し、粉体混合物を得た。
[比較例1]
沈降法シリカ粉体(B-1)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、粉体造粒物を得た。
[比較例2]
沈降法シリカ粉体(B-1)を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、粉体造粒物の製造を試みた。
実施例、比較例、及び参考例で用いた各成分の具体的な内容は、表2に示すとおりである。
Figure 2023163778000002
Figure 2023163778000003
<評価>
実施例および比較例で得られた粉体造粒物を下記の評価に供した。結果を表3に示す。
(1)造粒性
得られた粉体造粒物の確認し、以下の基準で造粒性を評価した。
〇: 直径3mmφの粉体造粒物が得られ、形状安定性に優れる。
△: 造粒物が得られるが、経常崩壊しやすい。
×: 粉体原料の結着性がなく、造粒物が得られない。

(2)造粒速度
時間当たりの粉体造粒物の製造速度(kg/Hr)を算出した。

(3)嵩密度
乾燥後の粉体造粒物を1リットルの升に自然落下させ、すり切り一杯にして、正確に1リットルの容積ではかり取り、その重量を測定することで、粉体造粒物の嵩密度(単位:kg/L)を算出した。

(4)ペレットサイズ
粉体造粒物を20粒取り出し、ノギスを用いて、粒状物の長さと直径の平均値を測定した。

(5)水分量
赤外線水分計(ケット科学研究所製 FD-660)を用いて、粉体造粒物に残存する水分量(単位:重量%)を測定した。

(6)崩壊強度
木屋式硬度計(シロ産業社製、商品名「WPF1600-B」)を用いて、乾燥後の粉体造粒物の崩壊応力(単位:kg)を測定した。測定値は粉体造粒物25粒の平均値とした。
Figure 2023163778000004

表3に示す通り、(G-1)~(G-4)では、安定したペレット形状、高い造粒速度、適切な硬度のペレット状の粉体造粒物を得ることができる。
比較例1(G-C1)は実施例1に対し、シリカを欠く例であるが、造粒物の崩壊強度が劣る。
比較例2(G-C2)は、実施例2に対し、シリカを欠く例であるが、造粒物を安定に得られていない。
即ち、実施例2と比較例2の対比から、シリカの配合で酸化チタン(A-1)の造粒性が増し、また、造粒物の崩壊強度が高まることを示している。
更に、実施例2と比較例1を比較すると、比較例1の方が結着剤としての樹脂量(C-1とC-2の和)は多いが、粉体造粒物の崩壊強度は、結着剤が少ない実施例2の方が優れることがわかる。すなわち、シリカを含む造粒物では、結着剤を減らしても崩壊強度を向上させる効果を奏することが示される。
[実施例5]
ホモポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製、商品名「ノバテックMA1B」、MFR:21g/10min(230℃/2.16kg荷重条件))60重量部と、粉体造粒物(G-4)40重量部とのペレット混合物を、単軸シート押出機(プラスチック工学研究所社製、商品名「GT-40」、L/D=32)に投入して、連続的に溶融混練を行い、タルクを含むポリプロピレン樹脂組成物のシートを製造した。
ここで、単軸スクリューは溶融可塑化領域(圧縮領域)に「ダブルフライト型スクリュー」、後段の計量領域に「マドック型パーツ」を2箇所装着したスクリュー(プラスチック工学研究所社製)を用いた。
上記シート押出機では、ダイスはダイス幅400mm、スリット幅1.5mmとし、押出機のシリンダー設定温度として、押出機中段部分を190℃、ダイス部分の設定温度は200℃に設定した。スクリュー回転数は100rpmに設定した。
ロールの構成は横水平の3本の金属ロールとし、ロール温度を30℃に設定した。
吐出は28kg/hr、引き取り速度9m/minとし、連続的にシート成形を行い、最終のシート厚みを0.8mmとし、ロール状に巻きとった。
得られたシートは、連続成形が可能であり、またシート中のタルクの分散性に優れるものであった。

Claims (12)

  1. 粉体原料が結着して構成された粉体造粒物であって、
    シリカ粒子をさらに含み、
    該シリカ粒子の数平均1次粒子径が、1nm~1000nmであり、
    該シリカ粒子の含有割合が、該粉体造粒物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部である、
    粉体造粒物。
  2. 前記シリカ粒子の1次粒子の長径の平均値aと1次粒子の短径の平均値bとの比(a/b)が、1.5未満である、請求項1に記載の粉体造粒物。
  3. 前記粉体原料が、熱可塑性樹脂粉体、フィラー粉体、難燃剤粉体および添加剤粉体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の粉体造粒物。
  4. 結着剤をさらに含む、請求項1に記載の粉体造粒物。
  5. 前記結着剤が、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、多糖類および膨潤性粘土鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の粉体造粒物。
  6. 前記結着剤の軟化温度が、50℃以上160℃以下である、請求項4に記載の粉体造粒物。
  7. 前記添加剤粉体が、界面活性剤である、請求項3に記載の粉体造粒物。
  8. 前記界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、縮合ヒドロキシ脂肪酸および縮合ヒドロキシ脂肪酸のアルコールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の粉体造粒物。
  9. 前記粉体原料と前記シリカ粒子と水とを混合する混合工程と、
    該混合工程を経て得られた混合物を造粒して造粒前駆体を得る造粒工程と、
    該造粒前駆体を乾燥する乾燥工程とを含む、
    請求項1から8のいずれかに記載の粉体造粒物の製造方法。
  10. 前記造粒工程において、半湿式造粒法により造粒することを含む、請求項9に記載の粉体造粒物の製造方法。
  11. 前記造粒工程において、ディスクペレッター方式により造粒を行うことを含む、請求項9に記載の粉体造粒物の製造方法。
  12. 熱可塑性樹脂コンパウンド用原料または成形用材料としての、請求項1から8のいずれかに記載の粉体造粒物の使用。

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