JP4601478B2 - セルロースを配合した樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース材料を用いた熱可塑性の樹脂組成物に関し、電気・電子分野、事務機器ハウジング分野、自動車分野、精密部品分野その他の各種工業材料分野で広く利用可能な、曲げ強度や耐衝撃性に優れた樹脂組成物に関する。
セルロース材料は、資源量が豊富で耐久性や強度等の点で優れた材料であり、長年、各種の用途に用いられてきた。近年は、優れたリサイクル性の点でも注目されている。そのため、熱可塑性樹脂等を用いた熱成型技術等の分野でも、やはりセルロース材料を利用するための様々な検討が行われてきた。
しかし、セルロースは熱可塑性ではないため、熱可塑性樹脂と均一に混合・分散するのが困難で、樹脂組成物中でセルロースの凝集が生じやすい。そのため、セルロースを混合した樹脂組成物を用いて生産された成型品の強度や耐衝撃性が、セルロースの物性から期待されるほどは上がらないという問題点が指摘されていた。
例えば、特許文献1には、キチン質や木材等の非熱可塑性天然高分子と、熱可塑性の合成あるいは天然高分子の混合物を無溶媒で、例えば乾式粉砕の方法によって圧力及びせん断力を利用して混合することにより、熱可塑性を発現する複合体を製造する方法等が開示されている。しかし、この複合体では、非熱可塑性天然高分子として通常のセルロースやキチン質等を用いているだけであり、成形体の強度が低い。
また、特許文献2には、セルロースを有効利用する複合体を提供することを目的として、天然ゴムや合成高分子系の熱可塑性または熱硬化性の母材に対して、幅が1〜50μm、長さが1〜50μm、且つ厚さが0.1〜10μmの扁平セルロース粒子を1〜100重量%添加してなる複合体等が開示されている。しかし、ここで用いられる扁平セルロース粒子は、単に機械的な粉砕処理を行っただけであり、成形体に必要な強度が得られない。
特許文献3には、解繊されたセルロース繊維100重量部と、融点が230℃以下、常圧下、140℃における粘度が少なくとも3センチポアズであって、減容処理温度で液状の分散性改良剤0.3〜100重量部とを含み、0.09以上のかさ密度を有する造粒物から成る樹脂配合用繊維材料及びこの繊維材料を、セルロース繊維の含有量が2〜90重量%の範囲になるように配合した繊維組成物が開示されている。ここにいう解繊されたセルロース繊維とは、綿状のようなほぐされた繊維であり、木材パルプをアルカリ処理して機械的に細断されたものであって非晶質部分が多く存在する。この繊維組成物を用いて成形体を形成しても、やはり強度が不十分となる。
特許文献4には、機械的特性及び成形品外観に優れた繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする、ポリオレフィン、強化用繊維及び石油樹脂を含み、強化用繊維及び石油樹脂の割合が、ポリオレフィン、強化用繊維及び石油樹脂の総重量に対して、それぞれ20〜60重量%及び3.5〜50重量%である繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。しかし、この組成物を用いて成形体を形成しても、耐衝撃強度は満足できるものの、天然系素材でないためにリサイクルできないという問題点があった。
特開2000−169594号公報 特開2004−231796号公報 特開平5−269736号公報 特開2002−47381号公報
熱可塑性樹脂とセルロース材料とを用いた樹脂組成物において、セルロース材料自体の性能を高めると共に分散性を高めることで、樹脂組成物から熱成形により得られた成型品が高い衝撃強度と機械的強度等を有する熱可塑性の樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、粒子の平均粒径が6μm以下であり、粒径が20μm以上の粒子の含有量が10重量%未満であり、かつ粒子の長径/短径比が4以上の棒状粒子からなる結晶セルロースの微粉末を1〜30重量%と、分散剤を1〜20重量%と、熱可塑性樹脂を70〜98重量%とを含有する樹脂組成物である。ここで、前記分散剤は、界面活性剤、表面処理剤、無機充填剤のいずれかから選ばれたものであることは好ましい。
樹脂組成物を製造する際における結晶セルロース粒子の混練時の分散性が良好であり、また、セルロース粒子が剛度等に優れているため、熱可塑性樹脂とセルロース材料とを用いて剛性、弾性率、耐衝撃性、表面物性に優れた成型品を得ることができる。
本発明者らは鋭意検討した結果、セルロース材料として特定の結晶セルロース微粉末を用い、さらに分散剤を合わせて用いることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。以下、本発明につき詳しく説明する。
本発明の樹脂組成物は、特定の結晶セルロース微粉末と分散剤と熱可視性樹脂とを含有してなるものである。補強材として結晶セルロース微粉末を用いることにより、通常のセルロースを用いる場合より、樹脂組成物から熱成形により得られる成型品の強度が向上する。さらに特定の結晶セルロースとすることにより、成型品の耐衝撃性、弾性率がさらに向上し、同時に表面物性が良好となる。また、分散剤を用いることにより、分散剤が結晶セルロース微粉末と熱可塑性樹脂との相溶性を増し、結晶セルロース微粉末が樹脂組成物中に良好に分散される。これにより、結晶セルロースと熱可塑性樹脂のそれぞれの長所を同時に発揮することが可能となり、樹脂組成物から得られる成形品の剛性、弾性率、耐衝撃性、表面物性が向上する。
ここで、結晶セルロース微粉末の結晶部分とは、X線回折においてバックグラウンドを生じる非晶質部分に対して、ブラッグ散乱のピークを生じる部分を言う。一般に結晶セルロースとは、セルロースの結晶部分の割合が10重量%を越えるものをいう。このような結晶セルロースは、それ自体が剛性、弾性率、耐衝撃性に優れた特性を有する。
特定の結晶セルロース微粉末は、粒子の平均粒径が6μm以下であり、粒径が20μm以上の粒子の含有量が10重量%未満であり、かつ粒子の長径/短径比が4以上の棒状粒子からなるものである。
結晶セルロース粒子の平均粒径は、結晶セルロース微粉末をメタノール溶媒中に微量投入し、超音波を約1分間かけてよく分散させたのち、レーザー回折散乱による粒度分布測定装置(LMS−30、セイシン企業社製)により、積算体積が50%になる値を読み取って求める。これが6μm以下であることが必要である。このようにすることにより、セルロース微粉末が樹脂組成物中に均一に分散しやすくなって成型品の強度が向上する。好ましくは6μm以下1μm以上であり、より好ましくは5μm以下2μm以上である。
結晶セルロース微粉末は、粒径が20μm以上の粒子の含有量が10重量%未満のものである。ここに言う粒径は、レーザー粒度回折散乱装置により得られる粒径分布における粒径を言い、先に説明した平均粒径とは異なって、粒子一つごとの粒径を意味する。粒径が20μm以上の粒子の含有量は、この粒径分布により求める。この含有量が10重量%未満であることにより、セルロース微粉末が樹脂組成物中に均一に分散しやすくなって成型品の強度が向上するとともに、成型品表面のザラツキが生じにくくなる。好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。
結晶セルロース微粉末は、結晶セルロース粒子の長径/短径比が4以上の棒状粒子からなるものである。長径/短径比は、測定試料を電子顕微鏡により観察し、得られた画像を画像解析して粒子1個ごとに長径と短径とを測定してそれらの比を求め、これを粒子50個にわたって求めた。そして、それらの平均値を結晶セルロース粒子の長径/短径比としたものである。長径/短径比が4以上であるため、結晶セルロース粒子は棒状となる。このような形状の粒子を用いることで、結晶セルロース粒子が補強フィラーのごとき機能を果たし、成型品の強度、弾性率が大きくなり、特に耐衝撃性が著しく大きくなる。好ましくは長径/短径比が4以上10以下であり、さらに好ましくは5以上8以下である。
次に、結晶セルロース微粉末の好ましい吸水性と吸油性について述べる。実施例で測定方法を示すが、結晶セルロース微粉末における好ましい吸水性とは、当該測定法による測定値として1.6ml/g以上であることをいい、一方、好ましい吸油性とは1.0ml/g以上であることをいう。結晶セルロース微粉末は、これらの数値をいずれも満たすことが好ましい。吸水性、吸油性が大きいほど熱可塑性樹脂との相溶性が高まり、結晶セルロース粒子が樹脂組成物中に均一に分散でき、そのため得られる成形品の剛性、弾性率、耐衝撃性が良好になるからである。
次に、このような結晶セルロース微粉末の製造方法の例を示す。結晶セルロース微粉末の原料は、木材(針葉樹、広葉樹)、コットンリンター、麦藁、葦、竹などの天然セルロースやレーヨン、セロファンの再生セルロースを主成分とするパルプが用いられる。そして、これらのパルプをそのまま湿式粉砕、乾式粉砕させたものや、パルプを酸加水分解またはアルカリ酸化分解などの機械的、化学的処理を行ってセルロースのスラリーとし、その後、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、棚段式乾燥法、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、流動床乾燥法、マイクロウェーブ乾燥法、蒸発乾燥法等によって乾燥して得られたものが、粒子調整前の結晶セルロース原料である。
上記で得られた結晶セルロース原料をハンマーミル、ターボミル、ファインミル、ジェットミル、バンタムミル、グラインダーミル、カッターミルなどの各種のミルを用いて機械的粉砕を行って、結晶セルロース微粉末を得ることができる。その際、上記特定の結晶セルロース粒子を得るためには、ジェットミルにより行うのが好ましい。ジェットミル粉砕は、繰り返し長時間行うかまたはミルへの投入量を少なくすることにより、粒径が小さくなる一方で、長径/短径比が大きくなる特性があり、その結果、得られる粒子の比表面積が上がって吸水性、吸油性を増大させることができる。
一方、その他のミルは、処理時間を長くするほどまたは投入量を少なくするほどジェットミルと同様に粒径が小さくなるが、ジェットミルとは異なり、その形状はより球状に近くなる傾向がある。そのため、例えば、原料粉末をハンマーミルに一定時間かけた場合は、続いてジェットミルにかけるようにして形状を棒状に整えるのが良い。
樹脂組成物における結晶セルロース微粉末の配合割合は、樹脂組成物に対して1重量%以上30重量%以下とするのが良い。1重量%以上で、得られる成形品の強度と耐衝撃性が良好となる。また、30重量以下で、得られる成形品の強度と弾性率が良好となる。より好ましくは5重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは8重量%以上15重量%以下である。
次に、樹脂組成物に分散剤を含有せしめることについて説明する。分散剤は、結晶セルロース粒子と熱可塑性樹脂との間を取り持って、両者が互いによく相溶するようにする機能を有する。つまり、結晶セルロース粒子が樹脂組成物中で凝集せずに熱可塑性樹脂と良く混合するようにして、樹脂組成物全体が均一な組成物とする機能を有する。従って、樹脂組成物中でセルロース微粒子を均一に分散できるものであれば、特に制限無く使用することができる。従って、分散剤は、少なくとも結晶セルロース粒子と熱可塑性樹脂の両者に親和性を有していることが必要である。このような分散剤としては、たとえば、界面活性剤、表面処理剤、無機充填剤等と称されるものを使用することができる。
界面活性剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸のカルシウム、マグネシウム、亜鉛塩などの高級脂肪酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリド、ポリエチレングリコールなどの高級アルコールや高級多価アルコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの各種脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、ステアリン酸グリセリドである。
表面処理剤としては、例えばジメチルシリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルなどの非反応性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルなどの反応性シリコーンオイル、さらにはN‐ラウリル‐D,L‐アスパラギン酸‐β‐ラウリルエステルなどが挙げられる。
無機充填剤としては、周期律表第I族〜第VIII族中の金属元素、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Tiまたはケイ素元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘度鉱物、その他があり、具体的には例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、(重質)炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレーワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、けい砂、けい石、石英粉、けいそう土、ホワイトカーボン等を挙げることができ、これらは複数種併用しても構わない。好ましくは、(重質)炭酸カルシウムである。
分散剤の樹脂組成物への配合割合は、樹脂組成物に対して1重量%以上20重量%以下とするのがよい。1重量%以上とすることで樹脂組成物中における結晶セルロース微粉末の分散性が良好となり、20重量%以下とすることで、樹脂組成物から得られる成形品の強度を良好に維持することができる。より好ましくは5重量%以上15重量%以下である。
樹脂組成物には、熱可塑性樹脂を用いる。これにより、本来、熱可塑性を有さないセルロースを用いて熱可塑性の組成物を得ることが可能になる。熱可塑性樹脂としては、樹脂組成物の製造時や形成品の製造時におけるセルロース微粒子の分解による褐変化や凝集を防ぐため、250℃以下の温度で溶融混練押し出しできるものを用いるのが好ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレンゴム、さらにはこれらの変性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、樹脂そのものの強度の観点からポリプロピレンである。
熱可塑性樹脂の樹脂組成物における配合割合は、樹脂組成物に対して70重量%以上98重量%以下でとするのがよい。70重量%以上とすることで成形性が十分で熱可塑性を有し、98重量%以下とすることで結晶セルロース微粉末の分散性が良くなる。より好ましくは75重量%以上90重量%以下である。
樹脂組成物では、上記説明した結晶セルロース微粉末や熱可塑性樹脂さらには分散剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の成分を加えても良い。例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、無機リン系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。このようなその他の成分の含有割合は、樹脂組成物全体に対して10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、さらには5重量%以下であることが好ましい。
樹脂組成物の製造方法は、前述した各成分を用いて、まず熱可塑性樹脂を加熱溶融し、ここに結晶セルロース微粉末と分散剤とを加えてから一緒に溶融混練する方法がある。あるいは押出機に熱可塑性樹脂の原料を供給して溶融させ、他方、押出機の中間口より結晶セルロースと分散剤を供給することで、押出機中で混合分散する方法等が挙げられる。押出機としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられる。中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が、混練が十分なし得る観点から最も好ましい。
樹脂組成物の製造では、各成分の溶融混練温度は、それぞれの成分により決まって特に限定されるものではないが、通常50〜250℃の中から任意に選ぶことができる。多くの場合は200℃〜250℃の範囲である。その他の製造条件は、通常用いられる条件を用いればよい。
このようにして得た樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、中空成形等の成型方法を用いることにより各種部品の成形体として成形できる。得られた成形品は、熱可塑性を有すると共に、熱可塑性樹脂だけから得られた成形品では到底得られない強度、弾性率、耐衝撃性を有するうえ、成形品のザラツキや凝集有無などの表面物性も良好である。
このような樹脂組成物から得られる好適な成形品としては、例えば自動車部品や電気機器の内外装部品が挙げられる。自動車部品としては、例えば、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品等が上げられる。電気機器の内外装部品としては、例えば、各種コンピュータおよびその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤ等のキャビネット、冷蔵庫等の部品等が上げられる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの具体的な構成に限定されるものではない。なお、実施例、比較例におけるセルロース粉末の吸水性、吸油性及び表面のザラツキや凝集は以下の通り測定した。なお、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度は、熱可塑性樹脂を用いた成形品に対するJISの各規定に従って、それぞれ測定した。
<吸水性> 試料5gをシャーレの上に秤取り、スパチュラで試料を練りながら、水を少量ずつ滴下した。スパチュラで練っても離水が生じた時点を終点とし、終点までに試料1gあたりに滴下した水量(ml)で吸水性を表した。滴下量が多い方が、吸水性が大きいと判定する。
<吸油性> 試料5gをシャーレの上に秤取り、試料をスパチュラで練りながら、流動パラフィンを少量ずつ滴下した。スパチュラで練っても離液が生じた時点を終点とし、終点までに試料1gあたりに滴下した流動パラフィン量(ml)で吸油性を表した。滴下量が多い方が、吸油性が大きいと判定する。
<表面ザラツキ> テストピースの表面を手指で撫でて、手指が引っかかる部分が一カ所でも感じられる場合はザラツキ有りと判定した。
<表面の凝集> テストピースの表面を顕微鏡写真により観察し、表面に粒状物がわずかでも観察される場合は、凝集ありと判定した。
市販DPパルプを裁断し、10%塩酸水溶液中で、105℃で30分間加水分解し、得られた酸不溶解残さを濾過、洗浄、pH調整を行い、固形分濃度14重量%、pH6.5の結晶セルロース分散体を調整した。この結晶セルロース分散体を噴霧乾燥し、結晶セルロースの乾燥物を得た。次に、供給量を10kg/hrとして、気流型粉砕機(STJ−400型、セイシン企業社製)に上記で得た乾燥物を供給して粉砕し、結晶セルロース微粉末Aを得た。この結晶セルロース微粉末Aは、平均粒径4.7μmであり、20μm以上の粒子は存在せず、形状は棒状で長径/短径比が5.3であった。また、吸水性は2.0ml/g、吸油性は1.3ml/gであり、吸水性、吸油性共に良好な結果を示した。
この結晶セルロース微粉末Aを10部と、分散剤として重質炭酸カルシウム(スーパーSSS、丸尾カルシウム社製)10部、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン重合体(ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)80部を一緒に溶融混練し、二軸押出機を用いて、230℃の高温で押し出し、射出成形により樹脂成型品のテストピースを作成した。得られたテストピースの特性の評価結果を表1に示す。結晶セルロース微粉末Aを配合した樹脂組成物は、結晶セルロース粒子が均一に分散され、成型品の表面におけるセルロースの凝集やざらつきも認められず、耐衝撃性に優れたものであった。
実施例1の配合組成において、分散剤に重質炭酸カルシウムの代わりにステアリン酸グリセリド(DKエステルS−160、第一工業製薬社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得て、さらにテストピースを作成し、評価した。その結果を表1に示す。結晶セルロース微粉末Aを配合した樹脂組成物から得たテストピースは、結晶セルロース微粒子が均一に分散し、成型品の表面における凝集や表面のざらつきが認められず、強度、弾性率、耐衝撃性のいずれにも優れたものであった。
比較例1
市販DPパルプを裁断し、10%塩酸水溶液中で、105℃で30分間加水分解して得られた不溶解残さを濾過、洗浄、pH調整を行い、固形分濃度14%、pH6.5の結晶セルロース分散体を調製した。この結晶セルロース分散体を噴霧乾燥し、結晶セルロース乾燥物を得た。次いでボールミル(PT−4型、マキノ社製)にて30時間粉砕を行い、粒子形状が擬球状の結晶セルロース粉末を得た。さらに、この結晶セルロース粉末を、供給量を1.5kg/hrとして気流式粉砕機(STJ−400型、セイシン企業社製)に供給して粉砕し、結晶セルロース微粉末Bを得た。この結晶セルロース微粉末Bは平均粒径5.5μm、20μm以上の粒子は存在せず、形状は擬球状で長径/短径比が1.5であった。また、吸水性は1.4ml/g、吸油性は0.8ml/gであり、吸水性、吸油性共に低い値を示した。
実施例1の結晶セルロース微粉末Aの代わりに結晶セルロース微粉末Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてテストピースを作成した。その評価結果を表1に示した。その結果、結晶セルロース微粉末Bを配合した樹脂組成物から得られたテストピースは、セルロース粒子が均一に分散し、成型品の表面における凝集や表面のざらつきは認められなかったものの、耐衝撃性が著しく劣るものであった。
比較例2
市販DPパルプを裁断し、10%塩酸水溶液中で、105℃で30分間加水分解して得られた不溶解残さを濾過、洗浄、pH調整を行い、固形分濃度14%、pH6.5の結晶セルロース分散体を調整した。この結晶セルロース分散体を噴霧乾燥し、結晶セルロースの乾燥物を得た。次いで、この結晶セルロース乾燥物を、供給量を30kg/hrとして気流式粉砕機(STJ−400型、セイシン企業社製)に供給して粉砕し、結晶セルロース微粉末Cを得た。この結晶セルロース微粉末Cは、平均粒径20μm、20μm以上の粒子の含有量は53重量%であり、形状は棒状で、長径/短径比が4.2であった。吸水性は1.8ml/g、吸油性は1.2ml/gであった。
実施例1の結晶セルロース微粉末Aの代わりに、結晶セルロース微粉末Cを用いて実施例1と同様にしてテストピースを作成して評価した。評価結果を表1に示した。その結果、セルロース微粉末Cを配合した樹脂組成物から得たテストピースは、セルロース粒子の分散が不十分なために局部的な凝集が認められ、表面のザラツキも生じていたうえ、強度、弾性率も低く、特に耐衝撃性は低いものであった。
Figure 0004601478

Claims (2)

  1. 粒子の平均粒径が6μm以下であり、粒径が20μm以上の粒子の含有量が10重量%未満であり、かつ粒子の長径/短径比が4以上の棒状粒子からなる結晶セルロース微粉末を1〜30重量%と、分散剤を1〜20重量%と、熱可塑性樹脂を70〜98重量%含有する樹脂組成物。
  2. 前記分散剤は、界面活性剤、表面処理剤、無機充填剤のいずれかから選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
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