JP2016094541A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(請求項1記載の発明)
熱可塑性樹脂及び植物繊維から熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
リグニンを含むパルプ繊維を微細化処理してセルロースナノファイバーを得、
このセルロースナノファイバーを前記植物繊維として使用し、
前記セルロースナノファイバー及び前記熱可塑性樹脂を、当該熱可塑性樹脂を溶融させる温度未満で乾燥処理し、
得られた乾燥混合粉末を固相せん断処理して、前記熱可塑性樹脂中に前記セルロースナノファイバーを点在させ、
得られた固相せん断物に相溶化剤を添加して混錬し、
得られた混錬物を熱可塑性樹脂組成物とする、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
原料となる植物繊維がパルプ繊維であると、得られる熱可塑性樹脂組成物を安価とすることができ、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。しかも、表面修飾剤を使用する必要がなく、溶媒処理の問題を避けることができる。
前記乾燥混合粉末中の熱可塑性樹脂が平均粒子径1〜1000μmの粉末状となるように、前記乾燥処理を行う、
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
乾燥混合粉末中の熱可塑性樹脂が平均粒子径1〜1000μmの粉末状であると、固相せん断処理に適する。つまり、熱可塑性樹脂中にセルロースナノファイバーがより均一に点在するようになり、得られる熱可塑性樹脂組成物の品質がより均一化する。
前記乾燥処理を、凍結乾燥機、ニーダー、二軸混練機の中から1種又は2種以上を選択使用して行う、
請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
乾燥処理を、凍結乾燥機、ニーダー、二軸混練機の中から1種又は2種以上を選択使用して行うと、熱可塑性樹脂中においてセルロースナノファイバーを凝集させることなく乾燥することができる。
本形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び植物繊維であるセルロースナノファイバーを含有し、更に相溶化剤が添加されている。
セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、少なくとも植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましく、雑誌古紙パルプ(MDIP)や新聞古紙パルプ(NDIP)等の古紙パルプ(DIP)、機械パルプ等のリグニンを含むパルプ繊維を主成分(50質量%以上)として含有する繊維を使用するのがより好ましく、機械パルプを使用するのが特に好ましい。
パルプ繊維は、微細化処理するに適する形状、例えば、粉末状とするのが好ましい。
パルプ繊維は、必要により前処理を行った後、微細化(解繊)処理する。この微細化処理により、パルプ繊維は、ミクロフィブリル化し、セルロースナノファイバーとなる。
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、20〜500nmであるのが好ましく、150〜450nmであるのがより好ましく、200〜400nmであるのが特に好ましい。平均繊維径が20〜500nmであれば、熱可塑性樹脂との相溶性及び熱可塑性樹脂組成物の補強効果が優れる。具体的には、平均繊維径を20nm未満にすると、パルプ繊維に過度の機械的エネルギーがかり、繊維自体の強度が低下する。したがって、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。また、微細化処理の時間が長くなり、製造コストの増加につながる。他方、平均繊維径が500nmを超えると、微細化が不十分で繊維の分散性に劣る傾向がある。繊維の分散性が不十分であると、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、1〜5000μmであるのが好ましく、2〜4000μmであるのがより好ましく、3〜3000μmであるのが特に好ましい。
セルロースナノファイバーの保水度は、350%以下であるのが好ましく、300%以下であるのがより好ましく、280%以下であるのが特に好ましい。保水度が350%を超えると、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性が劣る傾向にある。また、熱可塑性樹脂組成物の補強効果を優れたものとするためには、セルロースナノファイバーを十分に乾燥し、熱可塑性樹脂への均一な分散を行う必要がある。しかるに、セルロースナノファイバーは凝集性が高いため、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際して凝集し易い。そこで、セルロースナノファイバーの保水度を350%以下とし、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性を優れたものとすることで、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際する凝集を抑制することができ、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が十分なものとすることができる。
セルロースナノファイバーの結晶化度は、50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのがより好ましく、60%以上であるのが特に好ましい。結晶化度が50%未満であると、熱可塑性樹脂との相溶性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。
セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、セルロースナノファイバーは、繊維長及び繊維径の均一性が高く、乾燥性に優れる。また、繊維径や繊維長の均一性が高いと、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が高く、補強効果の均一性にも優れる。
セルロースナノファイバーの沈降速度は、0.030mm/分以下であるのが好ましく、0.025mm/分以下であるのがより好ましく、0.020mm/分以下であるのが特に好ましい。沈降速度が0.030mm/分を超えると、繊維が長過ぎ、繊維内での水素結合によって熱可塑性樹脂中で繊維が凝集し、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。なお、繊維が長いほど見かけの粒子径が大きくなり、沈降速度は増加すると考えられる。
セルロースナノファイバーのパルプ粘度は、3.5cps以上であるのが好ましく、3.6cps以上であるのがより好ましい。パルプ粘度が3.5cps未満であると、セルロースナノファイバーの分散液を熱可塑性樹脂と混練した際に、セルロースナノファイバーの重合度が低下し、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が劣る傾向にある。
微細化処理進行のファクターとなる前述触手試験とは、2%セルロースナノファイバー水分散液1mLを人差し指に乗せ、当該分散液を親指と人差し指とで挟み、20回親指を周回させた場合において、親指と人差し指との間に繊維状物が残存するか否かについて目視にて確認する試験である。微細化処理は、この触手試験において、繊維状物が残存しないように行うのが好ましい。なお、発明者等は、種々の試験・検討を行い、結果、この触手試験によると、微細化処理の進行を迅速に確認にすることができ、製造効率を向上することができるとの認識に至った。なお、繊維状物の残存すると、繊維径や繊維長の均一性が劣る傾向にある。
セルロースナノファイバーには、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。
微細化して得られたセルロースナノファイバーは、水系媒体中に分散して分散液とする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
分散液の固形分濃度は、1質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以上であるのがより好ましく、2.0質量%以上であるのが特に好ましい。また、分散液の固形分濃度は、50質量%以下であるのが好ましく、40質量%以下であるのがより好ましく、30質量%以下であるのが特に好ましい。
セルロースナノファイバーの濃度を2%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、1000cps以下であるのが好ましく、900cps以下であるのがより好ましく、800cps以下であるのが特に好ましい。分散液のB型粘度が1000cpsを超えると、セルロースナノファイバーの分散液と熱可塑性樹脂とを混練するために、つまりセルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂中に分散させるために、大きなエネルギーが必要となり、製造コストの増加につながる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂や芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、メタアクリレート、アクリレート等のポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
熱可塑性樹脂組成物の原料には、後述する相溶化剤の他、例えば、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、ラジカル捕捉剤、発泡剤等の中から1種又は2種以上を選択して、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の配合割合は、セルロースナノファイバーが1質量部以上、熱可塑性樹脂が99質量部以下であるのが好ましく、セルロースナノファイバーが2質量部以上、熱可塑性樹脂が98質量部以下であるのがより好ましく、セルロースナノファイバーが3質量部以上、熱可塑性樹脂が97質量部以下であるのが特に好ましい。また、セルロースナノファイバーが50質量部以下、熱可塑性樹脂が50質量部以上であるのが好ましく、セルロースナノファイバーが40質量部以下、熱可塑性樹脂が60質量部以上であるのがより好ましく、セルロースナノファイバーが70質量部以下、熱可塑性樹脂が30質量部以上であるのが特に好ましい。ただし、セルロースナノファイバーの配合割合が3〜10質量部であると、熱可塑性樹脂組成物の強度、特に曲げ強度及び曲げ弾性率の強度を著しく向上させることができる。
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、脱水処理及び乾燥処理する。ただし、両者を一緒に脱水処理及び乾燥処理するのが好ましい。両者を一緒に処理することで、大量かつ効率的な処理が可能となる。なお、脱水処理及び乾燥処理は、それぞれ別の工程・装置で行うこともできるが、同一の工程・装置で行うこともでき、同一の工程・装置で行う方が効率的である。
脱水・乾燥処理を経たセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、混練処理する。
混練したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂には、相溶化剤を添加するのが好ましい。
次に、図1を参照しつつ、熱可塑性樹脂及びセルロースナノファイバーを原料とし、相溶化剤を添加して熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「マスターバッチ法」ともいう。)について説明する。
すなわち、低融点熱可塑性樹脂(Rx)は、ナノファイバーを分散させる基質としての役割を担う。また、低融点熱可塑性樹脂(Rx)とナノファイバーとを複合した一次混練物は、着色や補強等を目的とする、いわゆるマスターバッチとしての役割を担う。そして、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(Ry)とを所望の配合率となるように混練することで、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができるのである。
次に、図1を参照しつつ、以上のマスターバッチ法とは異なるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「固相せん断法」ともいう。)について説明する。
相溶化剤を添加したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形する。
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下の通りである。
固形分濃度0.01質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
上記平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
JAPAN TAPPI No.26:2000に準拠して測定する。
JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。
なお、セルロースナノファイバーは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、セルロースナノファイバー全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
ISO−13320(2009)に準拠して測定する。より詳細には、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用してセルロースナノファイバーの水分散液における体積基準粒度分布を調べる。そして、この分布からセルロースナノファイバーの最頻径を測定する。この最頻径をピーク値とする。
固形分濃度0.1%のセルロースナノファイバーの水分散液について、JIS Z 8822に準拠して測定する。
JIS−P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどセルロースの重合度が高いことを意味する。
固形分濃度2%のセルロースナノファイバーの水分散液について、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定する。B型粘度はスラリーを攪拌させたときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多いことを意味する。
リグニンを含むとは、リグニンが相溶性向上や補強効果増大等の作用効果に影響を与える場合を意味する。具体的には、カッパー価が2.0以上であることを意味する。したがって、リグニンを含まないとは、カッパー価が2.0未満であることを意味する。なお、カッパー価が20以上であると、相溶性向上や補強効果増大が大きなものとなる。ただし、カッパー価が200以上であると混錬時の流動性が劣る傾向にある点に留意を要する。
JIS P8211:2011(パルプ−カッパー価試験方法)に準拠して測定した値である。なお、数値が大きいほどリグニン含有量が多いことを意味する。
(実施例1)
(分散液)
まず、製紙用晒機械パルプ(BTMP)の2質量%水分散液23Lを、ナイアガラビーターを使用してフリーネス100ml以下となるまで叩解した。次に、グラインダー(増幸産業株式会社のマスコロイダー)を使用してBTMPの微細化処理を3パス行い、粒度分布ピーク値が5〜25μm、保水度が200〜280%の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリーを得た。このスラリーを遠心分離機で9000rpm、10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバーの分散液を得た。
105℃に調節したニーダー(東洋精機製のラボプラストミル)に低融点ポリプロピレン(出光興産製のエルモーデュS901、融点約80℃)を投入して溶融させた。次いで、低融点ポリプロピレン及びセルロースナノファイバーの乾燥質量比が50:50となるように上記7〜15質量%セルロースナノファイバーの分散液を徐々に投入して水分を飛ばした。分散液の投入が完了した後、80rpmで20分間乾燥・分散し、50%セルロースナノファイバー配合マスターバッチを得た。このマスターバッチは、ペレッターを使用して2mm径、2mm長の円柱状にカットし、二軸混練機に投入しやすいペレットを得た。
ポリプロピレンのペレット(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、融点158℃)、上記マスターバッチのペレット、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレンのペレット(三洋化成工業製のユーメックス1010)を乾燥質量比が80:20:1となるように500mlビーカーに投入して混合した。このペレット混合物を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
上記セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
(分散液)
実施例1と同様の方法でセルロースナノファイバーの分散液を得た。
ポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、粒径500μm程度、融点158℃)、上記7〜15質量%セルロースナノファイバースラリーの分散液を乾燥質量比が90:5となるように500mlビーカーに投入し、プロペラ式加熱攪拌機を使用して70℃、300rpmで2時間攪拌した。この攪拌により水分率5〜10%まで乾燥させた後、70℃に調節したニーダー(東洋精機製のラボプラストミル)で60rpm、1時間固相せん断処理し、セルロースナノファイバー及びポリプロピレンの乾燥混合粉末(固相せん断物)を得た。
上記固相せん断物と、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)とを、乾燥質量比が95:5となるように500mlビーカーに投入して混合した。混合した粉末を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
上記セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
(分散液)
実施例1と同様の方法でセルロースナノファイバーの分散液を得た。
ポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、粒径500μm程度、融点158℃)、上記7〜15質量%セルロースナノファイバースラリーの分散液を乾燥質量比が90:5となるように500mlビーカーに投入し、プロペラ式加熱攪拌機を使用して70℃、300rpmで2時間攪拌した。この攪拌により水分率5〜10%まで乾燥させた後、105℃に調節した恒温乾燥機内で24時間乾燥させ、セルロースナノファイバー及びポリプロピレンの乾燥混合粉末(この粉末は、固相せん断物ではない。)を得た。
上記混合粉末と、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)とを、乾燥質量比が95:5となるように500mlビーカーに投入して混合した。混合した粉末を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
上記セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用雑誌古紙パルプ(MDIP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用雑誌古紙パルプ(MDIP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えて市販のセルロースナノファイバースラリー(市販品)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えてメイン大学製のCNF(セルロースナノファイバースラリー)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えてメイン大学製のCNC(セルロースナノクリスタルスラリー)を使用した以外は実施例1と同様とした。
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
実施例2の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えて市販のセルロースナノファイバースラリー(市販品)を使用した以外は実施例2と同様とした。
PPのみからなる熱可塑性樹脂(組成物)を示す。
条件及び結果を表1及び表2に示した。
上記各試験片について、曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度、引張弾性率、Izod衝撃強度(ノッチあり)、線熱膨張率、分散性を評価した。評価方法は、以下の通りとした。
各直方体試験片について、JIS K7171:2008(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど曲げ強度、曲げ弾性率が強い(高い)ことを意味する。
各ダンベル型試験片について、JIS K7161:2014(プラスチック−引張特性の試験方法)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど引張強度、引張弾性率が強い(高い)ことを意味する。
各直方体試験片について、JIS K7110:1999(プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法)に準拠して測定した。ノッチ深さを2mmとした。なお、数値が大きいほど衝撃強度が強いことを意味する。
各直方体試験片について、JIS K7197:2012(プラスチックの熱機械分析による線膨脹率試験方法)に準拠して測定した。測定条件は、圧縮荷重法、昇温速度:5℃/分、温度範囲:30〜160℃、測定機:株式会社リガク製の熱機械分析装置(Thermo plus EVO II)とした。なお、数値が小さいほど寸法安定性が良いことを意味する。
各セルロースナノファイバー配合ポリプロピレンのペレットをホットプレス機(株式会社井元製作所製のBK−50)で板状(直径100mm、厚さ0.1mm)にプレスした。プレスして得られた成形品を蛍光顕微鏡(株式会社キーエンス製のBIOREVO BZ−9000、倍率:400〜2000倍)で観察し、10mm四方での0.1mm以上の凝集物の個数を計測した。凝集物数が少ないほど分散性が良いと判断した。
パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品、オフィス機器、玩具、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等、
建築物、家具等の内装材、外装材、構造材等、
文具等の事務機器等、
その他、包装体、トレイ等の収容体、保護用部材、パーティション部材等、
として使用することができる。
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂及び植物繊維から熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
リグニンを含むパルプ繊維を微細化処理してセルロースナノファイバーを得、
このセルロースナノファイバーを前記植物繊維として使用し、
前記セルロースナノファイバー及び前記熱可塑性樹脂を、当該熱可塑性樹脂を溶融させる温度未満で乾燥処理し、
得られた乾燥混合粉末を固相せん断処理して、前記熱可塑性樹脂中に前記セルロースナノファイバーを点在させ、
得られた固相せん断物に相溶化剤を添加して混錬し、
得られた混錬物を熱可塑性樹脂組成物とする、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記乾燥混合粉末中の熱可塑性樹脂が平均粒子径1〜1000μmの粉末状となるように、前記乾燥処理を行う、
請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記乾燥処理を、凍結乾燥機、ニーダー、二軸混練機の中から1種又は2種以上を選択使用して行う、
請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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