JP6982122B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(請求項1記載の発明)
広葉樹晒クラフトパルプ及び針葉樹晒クラフトパルプの少なくともいずれか一方からなるパルプ繊維を対向衝突型高圧ホモジナイザーで解繊処理してセルロースナノファイバーを得、このセルロースナノファイバー及び粉末状の熱可塑性樹脂を固相せん断処理及び混練処理して熱可塑性樹脂組成物を得るにあたり、
前記固相せん断処理に先立って乾燥処理し、この乾燥処理を前記粉末状の熱可塑性樹脂が溶融しない温度で行い、当該乾燥処理後の固相せん断処理も前記熱可塑性樹脂が溶融しない温度で行い、もって前記熱可塑性樹脂を粉末状に維持する、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記セルロースナノファイバーを分散液とし、この分散液を前記熱可塑性樹脂と共に乾燥処理するに先立って7〜15%の固形分濃度に濃縮する、
請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記粉末状の熱可塑性樹脂として平均粒子径が1〜1,000μmの粉末を使用し、
この粉末及び前記セルロースナノファイバーを前記乾燥処理及び前記固相せん断処理して前記熱可塑性樹脂が粉末状に維持された乾燥粉末状の固相せん断物とし、
この固相せん断物を前記混練処理に供する、
請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記解繊を、100MPa以上に加圧し、かつ圧力差が30MPa以上となるように減圧して行う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記解繊を、前記セルロースナノファイバーの保水度が500%以下になるように行う、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
前記解繊を、前記セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値が5〜25μmとなるように行う、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
セルロースナノファイバー及び粉末状の熱可塑性樹脂が溶融混練処理されてなる熱可塑性樹脂組成物であり、
前記混練処理の原料は、溶融前で、かつ前記粉末状の熱可塑性樹脂中にセルロースナノファイバーが点在する乾燥粉末状である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
前記粉末状の熱可塑性樹脂は、平均粒子径が1〜1,000μmの粉末である、
参考となる発明1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
原料となる植物繊維がパルプ繊維であると、得られる熱可塑性樹脂組成物を安価とすることができ、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。しかも、有機溶媒下でセルロース等の水酸基を化学修飾する表面修飾剤を使用する必要がなく、溶媒処理の問題を避けることができる。
本形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び植物繊維であるセルロースナノファイバーを含有し、更に相溶化剤が添加されている。
セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、少なくとも植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。
パルプ繊維は、物理的又は化学的手法によって、好ましくは物理的及び化学的手法によって、前処理するのが好ましい。微細化処理に先立って物理的や化学的手法によって前処理することで、微細化処理の回数を大幅に減らすことができ、微細化処理のエネルギーを大幅に削減することができる。
酵素処理は、セルロース系繊維を微細化し易くするために行う。酵素としては、セルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましく、両者を併用するのがより好ましい。
パルプ繊維は、叩解処理等の前処理を行った後、微細化(解繊)処理する。この微細化処理により、パルプ繊維は、ミクロフィブリル化し、セルロースナノファイバーとなる。
高圧水流による解繊は、パルプ分散液を増圧機で、例えば30MPa以上、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上、特に好ましくは220MPa以上に加圧し、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が、例えば、30MPa以上、好ましくは80MPa以上、より好ましくは90MPa以上となるように減圧する方式で行う。この圧力差で生じるへき開現象により、パルプ原料を解繊する。ここで、高圧条件の圧力が低い場合や、高圧から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維径とするための繰り返し噴出回数が多く必要となるため好ましくない。
セルロースナノファイバーの平均繊維径(単繊維の直径平均)は、4〜500nmであるのが好ましく、6〜450nmであるのがより好ましく、10〜400nmであるのが特に好ましい。平均繊維径が4〜500nmであれば、熱可塑性樹脂との相溶性及び熱可塑性樹脂組成物の補強効果に優れる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長(単繊維の長さ)は、1〜5,000μmであるのが好ましく、2〜4,000μmであるのがより好ましく、3〜3,000μmであるのが特に好ましい。平均繊維長が5,000μm以下であると、熱可塑性樹脂との混練時に繊維同士が絡み合って凝集するとの問題が解決される。
セルロースナノファイバーの保水度は、500%以下であるのが好ましく、490%以下であるのがより好ましく、480%であるのが特に好ましい。保水度が500%を超えると、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性が劣る傾向にある。また、熱可塑性樹脂組成物の補強効果を優れたものとするためには、セルロースナノファイバーを十分に乾燥し、熱可塑性樹脂への均一な分散を行う必要がある。しかるに、セルロースナノファイバーは凝集性が高いため、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際して凝集し易い。そこで、セルロースナノファイバーの保水度を500%以下とし、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性を優れたものとすることで、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際する凝集を抑制することができ、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が十分なものとすることができる。
セルロースナノファイバーの結晶化度は、50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのがより好ましく、60%以上であるのが特に好ましい。結晶化度が50%未満であると、熱可塑性樹脂との相溶性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。
セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、セルロースナノファイバーは、繊維長及び繊維径の均一性が高く、乾燥性に優れる。また、繊維径や繊維長の均一性が高いと、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が高く、補強効果の均一性にも優れる。
セルロースナノファイバーのパルプ粘度は、1.5cps以上であるのが好ましく、2.0cps以上であるのがより好ましい。パルプ粘度が1.5cps未満であると、セルロースナノファイバーの重合度が低いことに起因して、分散液を熱可塑性樹脂と混練した際に、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が劣る傾向にある。
触手試験とは、微細化処理進行のファクターとなる試験であり、濃度を2質量%としたセルロースナノファイバー水分散液1mLを人差し指に乗せ、当該分散液を親指と人差し指とで挟み、20回親指を周回させた場合において、親指と人差し指との間に繊維状物が残存するか否かについて目視にて確認する試験である。
セルロースナノファイバーには、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。
微細化処理して得られたセルロースナノファイバーは、水系媒体中に分散して分散液とする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
分散液の固形分濃度は、1.0質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以上であるのがより好ましく、2.0質量%以上であるのが特に好ましい。また、分散液の固形分濃度は、70質量%以下であるのが好ましく、60質量%以下であるのがより好ましく、50質量%以下であるのが特に好ましい。
セルロースナノファイバーの濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、1,300cps以下であるのが好ましく、1,200cps以下であるのがより好ましく、1,100cps以下であるのが特に好ましい。分散液のB型粘度が1300cpsを超えると、セルロースナノファイバーの分散液と熱可塑性樹脂とを混練するために、つまりセルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂中に分散させるために、大きなエネルギーが必要となり、製造コストの増加につながる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂や芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、メタアクリレート、アクリレート等のポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
熱可塑性樹脂組成物の原料には、後述する相溶化剤の他、例えば、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、ラジカル捕捉剤、発泡剤等の中から1種又は2種以上を選択して、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の配合割合は、セルロースナノファイバーが1質量部以上、熱可塑性樹脂が99質量部以下であるのが好ましく、セルロースナノファイバーが2質量部以上、熱可塑性樹脂が98質量部以下であるのがより好ましく、セルロースナノファイバーが3質量部以上、熱可塑性樹脂が97質量部以下であるのが特に好ましい。
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、脱水処理及び乾燥処理する。ただし、両者を一緒に脱水処理及び乾燥処理するのが好ましい。両者を一緒に処理することで、大量かつ効率的な処理が可能となる。なお、脱水処理及び乾燥処理は、それぞれ別の工程・装置で行うこともできるが、同一の工程・装置で行うこともでき、同一の工程・装置で行う方が効率的である。
脱水・乾燥処理を経たセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、混練処理する。
混練したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂には、相溶化剤を添加するのが好ましい。相溶化剤を添加すると、セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の相溶を助けることができ、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度、特に曲げ強度を向上することができる。
次に、図1を参照しつつ、熱可塑性樹脂及びセルロースナノファイバーを原料とし、相溶化剤を添加して熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「マスターバッチ法」ともいう。)について説明する。
次に、図1を参照しつつ、以上のマスターバッチ法とは異なるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「固相せん断法」ともいう。)について説明する。
相溶化剤を添加したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形する。なお、混練物にはセルロースナノファイバーが分散しているが、成形加工性に優れている。
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下のとおりである。
固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5,000倍、10,000倍又は30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
JAPAN TAPPI No.26:2000に準拠して測定する。
JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。
なお、セルロースナノファイバーは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、セルロースナノファイバー全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
ISO−13320(2009)に準拠して測定する。より詳細には、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用してセルロースナノファイバーの水分散液における体積基準粒度分布を調べる。そして、この分布からセルロースナノファイバーの最頻径を測定する。この最頻径をピーク値とする。
JIS−P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどセルロースの重合度が高いことを意味する。
固形分濃度1%のセルロースナノファイバーの水分散液について、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定する。B型粘度はスラリーを攪拌させたときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多いことを意味する。
JIS P8121−2:2012に準拠して測定した値である。
(実施例1)
ニーダー等でほぐした含水率70%以上の製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)の2質量%水分散液23Lを、ナイアガラビーターを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解処理し、更にジェットミル(常光株式会社製)を使用して微細化処理した(10パス)。これにより、擬似粒度分布曲線におけるピーク値が5〜25μm、保水度が200〜280%の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)が得られた。そこで、更にこの分散液を、遠心分離機(9,000rpm)で10分間処理し、粒度分布体積平均径が20μm以下の7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。
ニーダー等でほぐした含水率70%以上の製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)に、対乾燥パルプ1質量%となる量の多糖類加水分解酵素(ジェネンコア社製、CX7L)と、パルプ濃度が10質量%となる量の水を投入し、50℃で5時間反応させた。反応後は、105℃で5分間酵素を失活させ、パルプを水で数回ろ過洗浄した後、水を加え、2質量%水分散液とした。この水分散液は、ナイアガラビーターを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解処理し、更にジェットミル(常光株式会社製)を使用して微細化処理した(5パス)。これにより、粒度分布体積平均径が20μm以下の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)が得られた。そこで、更にこの分散液を、遠心分離機(9,000rpm)で10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。この分散液は、実施例1と同様に、乾燥処理、固相せん断処理、混練処理、射出成型した。
ニーダー等でほぐした含水率70%以上の製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)に、対乾燥パルプ20質量%となる量の過硫酸アンモニウム(APS)と、パルプ濃度が10質量%となる量の水を投入し、80℃で5時間反応させた。反応後は、パルプを水で数回ろ過洗浄した後、水を加え、2質量%水分散液とした。この水分散液は、ナイアガラビーターを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解処理し、更にジェットミル(常光株式会社製)を使用して微細化処理した(5パス)。これにより、粒度分布体積平均径が20μm以下の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)が得られた。そこで、更にこの分散液を、遠心分離機(9,000rpm)で10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。この分散液は、実施例1と同様に、乾燥処理、固相せん断処理、混練処理、射出成型した。
まず、実施例1と同様の方法で7〜15質量%セルロースナノファイバーのスラリー(分散液)を得た。次に、105℃に調節したニーダー(東洋精機製のラボプラストミル)に低融点ポリプロピレン(出光興産製のエルモーデュS901、融点約80℃)を投入して溶融させた。次いで、低融点ポリプロピレン及びセルロースナノファイバーの乾燥質量比が50:50となるように上記7〜15質量%セルロースナノファイバーの分散液を徐々に投入して水分を蒸発させた。分散液の投入が完了した後、80rpmで20分間乾燥・分散し、50%セルロースナノファイバー配合マスターバッチを得た。このマスターバッチは、ペレッターを使用して2mm径、2mm長の円柱状にカットし、二軸混練機に投入しやすいペレットを得た。次に、ポリプロピレンのペレット(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、融点158℃)、上記マスターバッチのペレット、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレンのペレット(三洋化成工業製のユーメックス1010)を乾燥質量比が80:20:1となるように500mlビーカーに投入して混合した。このペレット混合物を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。このペレットは、実施例1と同様に射出成型した。
ニーダー等でほぐした含水率70%以上の製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)の2質量%水分散液23Lを、ナイアガラビーターを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解処理し、更にグラインダー(増幸産業株式会社のマスコロイダー)を使用して微細化処理した。これにより、粒度分布体積平均径が20μm以下の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)が得られた。そこで、更にこの分散液を、遠心分離機(9,000rpm)で10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。この分散液は、実施例1と同様に、乾燥処理、固相せん断処理、混練処理、射出成型した。
ニーダー等でほぐした含水率70%以上の製紙用晒機械パルプ(BTMP)の2質量%水分散液23Lを、ナイアガラビーターを使用してフリーネスが100ml以下となるまで叩解処理し、更にグラインダー(増幸産業株式会社のマスコロイダー)を使用して微細化処理した。これにより、粒度分布体積平均径が20μm以下の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)が得られた。そこで、更にこの分散液を、遠心分離機(9,000rpm)で10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。この分散液は、実施例1と同様に、乾燥処理、固相せん断処理、混練処理、射出成型した。
まず、比較例2と同様の方法で7〜15質量%セルロースナノファイバースラリー(分散液)を得た。次に、実施例4と同様の方法で、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。このペレットは、実施例1と同様に射出成型した。
ポリプロピレンのペレット(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、融点158℃)を、実施例1と同様に射出成型した。
ポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製ノバテックPP射出成型グレードMA3、粒径500μm程度)、マレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製カヤブリッド、相溶剤)が乾燥質量比で90:5となるように500mlビーカーに投入し、混合した。この混合粉末は、二軸混練機(45rpm、180℃)を使用して混練処理し、次いでこのポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、相溶剤配合ポリプロピレンのペレットを得た。このペレットは、実施例1と同様に射出成型した。
各試験片について、曲げ試験及び引張り試験を行った結果を表1に示した。評価方法は、以下の通りとした。
直方体試験片について、JIS K7171:2008(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど弾性率、強度が強い(高い)ことを意味する。
ダンベル型試験片について、JIS K7161:2014(プラスチック−引張特性の試験方法)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど弾性率、強度が強い(高い)ことを意味する。
パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品、オフィス機器、玩具、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等、
建築物、家具等の内装材、外装材、構造材等、
文具等の事務機器等、
その他、包装体、トレイ等の収容体、保護用部材、パーティション部材等、
として使用することができる。
以上のうち、自動車用途としては、内装材、インストルメントパネル、外装材等を例示することができる。具体的には、例えば、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等を例示することができる。
また、建築物、家具用途としては、ドア表装材、ドア構造材、机、椅子、棚、箪笥等の各種家具の表装材等を例示することができる。
Claims (6)
- 広葉樹晒クラフトパルプ及び針葉樹晒クラフトパルプの少なくともいずれか一方からなるパルプ繊維を対向衝突型高圧ホモジナイザーで解繊処理してセルロースナノファイバーを得、このセルロースナノファイバー及び粉末状の熱可塑性樹脂を固相せん断処理及び混練処理して熱可塑性樹脂組成物を得るにあたり、
前記固相せん断処理に先立って乾燥処理し、この乾燥処理を前記粉末状の熱可塑性樹脂が溶融しない温度で行い、当該乾燥処理後の固相せん断処理も前記熱可塑性樹脂が溶融しない温度で行い、もって前記熱可塑性樹脂を粉末状に維持する、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記セルロースナノファイバーを分散液とし、この分散液を前記熱可塑性樹脂と共に乾燥処理するに先立って7〜15%の固形分濃度に濃縮する、
請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記粉末状の熱可塑性樹脂として平均粒子径が1〜1,000μmの粉末を使用し、
この粉末及び前記セルロースナノファイバーを前記乾燥処理及び前記固相せん断処理して前記熱可塑性樹脂が粉末状に維持された乾燥粉末状の固相せん断物とし、
この固相せん断物を前記混練処理に供する、
請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記解繊を、100MPa以上に加圧し、かつ圧力差が30MPa以上となるように減圧して行う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記解繊を、前記セルロースナノファイバーの保水度が500%以下になるように行う、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記解繊を、前記セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値が5〜25μmとなるように行う、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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