JP6771713B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂の補強材としては、炭素繊維やガラス繊維等が使用されていた。しかしながら、炭素繊維は、燃え難いためサーマルリサイクルに不向きである、価格が高いとの問題を有している。また、ガラス繊維は、サーマルリサイクルにおける廃棄の問題を有している。
そこで、近年、比較的安価で、かつサーマルリサイクルの問題を有しない植物繊維を熱可塑性樹脂の補強材として使用する技術の研究が進められている。この点を詳細に説明すると、植物繊維は、炭素繊維やガラス繊維のように人工的に繊維状に合成して使用するのではなく、植物の持つ微小繊維をほぐして使用するものであるため安価となる。また、サーマルリサイクルの問題に関しては、炭素繊維やガラス繊維は焼却時に灰として残存するため、灰による炉内配管閉塞や、埋立て処理等の問題が生じるのに対し、植物繊維は灰としてほとんど残らないため、炉内配管閉塞や、埋立て処理等の問題が生じない。
そして、現在では、植物繊維を加工して得られるセルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂の補強材として使用する提案がされている。このセルロースナノファイバーを補強材として使用した熱可塑性樹脂組成物は、鋼鉄の5分の1の軽さで同等の強度を有するともいわれている。
この点、例えば、特許文献1〜3は、セルロースミクロフィブリルを表面修飾し、熱可塑性樹脂を補強する技術を開示している。しかしながら、表面修飾剤は、水中で失活するとの問題を有している。また、反応が非常に遅いため、有機溶媒下で処理しなければならず、溶媒処理の問題が生じる。すなわち、有機溶媒を使用すると、各工程で大気中に有機溶媒を飛散させないための対策や、溶媒処理設備の新設等が必要になり、コストが上昇する。
一方、特許文献4は、セルロースファイバーを乾燥、分級し、熱可塑性樹脂と混練することで熱可塑性樹脂を補強する技術を開示している。しかしながら、セルロースファイバーは親水性のため、疎水性である熱可塑性樹脂との界面での接合性が悪く、補強効果が十分に得られないとの問題を有している。
特開2012−229350号公報 特開2012−214563号公報 特表平11−513425号公報 特開2010−089483号公報
発明が解決しようとする主たる課題は、比較的安価で、かつサーマルリサイクルの問題や溶媒処理の問題等が生じず、しかも強度が強い熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の通りである。
(請求項1記載の発明)
熱可塑性樹脂及びこの熱可塑性樹脂の補強材たる植物繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記植物繊維が、パルプ繊維を微細化処理して得た平均繊維径が20〜500nmであるセルロースナノファイバーであり、
前記パルプ繊維は、JIS P8211に準拠して測定したカッパー価が2.0以上、200未満である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(請求項2記載の発明)
前記セルロースナノファイバーの沈降速度が0.030mm/分以下である、
請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(請求項3記載の発明)
前記セルロースナノファイバーの保水度が350%以下である、
請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(請求項4記載の発明)
前記セルロースナノファイバーの平均繊維長が1〜5000μmである、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(請求項5記載の発明)
前記パルプ繊維に対する、直径が500nmを超える単繊維の割合が70質量%以下である、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(主な作用効果)
原料となる植物繊維がパルプ繊維であると、得られる熱可塑性樹脂組成物を安価とすることができ、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。しかも、表面修飾剤を使用する必要がなく、溶媒処理の問題を避けることができる。
セルロースナノファイバーは親水性であるため、本来、疎水性である熱可塑性樹脂との接合性が悪く、補強効果、特に曲げ強度等の機械的強度が劣る傾向にある。しかしながら、セルロースナノファイバーの原料となるパルプ繊維がリグニンを含むパルプ繊維であると、セルロースナノファイバーもリグニンを含むことになる。結果、このリグニンがセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の接合剤として機能し、両者の接合性、更には熱可塑性樹脂組成物の強度が向上する。
セルロースナノファイバーは、熱可塑性樹脂中における分散性が悪い。しかしながら、リグニンを含むセルロースナノファイバーはリグニンを含まないセルロースナノファイバーと比べて保水度が低く、特に平均繊維径が500nm以下であると、濾水性や、脱水性、乾燥性、熱可塑性樹脂中における分散性等が向上する。結果、熱可塑性樹脂組成物の強度も向上する。この点、セルロースナノファイバーの脱水性が向上すると、例えば、セルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂と混練して脱水する際のエネルギー等を低減することができ、製造コストの点でも有利である。ただし、平均繊維径が20nm未満になるまで微細化処理すると、微細化処理のためのコストが増加してしまうため、平均繊維径は20nm以上であるのが好ましい。
なお、本発明者等は、リグニンを含まないLBKP及びNBKP、並びにリグニンを含むBTMPを微細化処理し、得られたセルロースナノファイバーを水中に分散させて濃度2%のスラリーとし、このスラリーを10000rpmで10分間、遠心分離する試験を行った。結果、LBKP及びNBKPを微細化処理して得たセルロースナノファイバーは濃度7%となったのに対し、BTMPを微細化処理して得たセルロースナノファイバーは濃度15%となった。
また、以上のように平均繊維径が500nm以下であると脱水性等が向上するが、更に得られる熱可塑性樹脂組成物の曲げ強度や弾性率等の機械的強度も向上する。本発明者等は、BTMP(平均繊維径10〜50μm)及びBTMPを微細化処理して得たセルロースナノファイバー(平均繊維径500nm以下)を、熱可塑性樹脂(PP及びMAPP)の粉末と、後述するマスターバッチ法や固相せん断法ではなく直接二軸混練する試験を行った。結果、得られた熱可塑性樹脂組成物の曲げ強度及び弾性率は、BTMP<セルロースナノファイバーとなった。
リグニンを含むパルプ繊維が機械パルプで、かつ平均繊維径が20〜500nmである機械パルプの全パルプ繊維に対する配合割合が50質量%以上であると、上記作用効果が確実に得られる。
セルロースナノファイバーの結晶化度が50%未満であると、熱可塑性樹脂との相溶性に問題はないものの、繊維自体の強度が低下するため、熱可塑性樹脂組成物の強度が劣る傾向にある。
他方、セルロースナノファイバーの結晶化度が70%を超えると、分子内の強固な水素結合割合が多くなり繊維自体は剛直となるが、熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、熱可塑性樹脂組成物の強度が劣る傾向にある。
セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値が1つのピークであることは、繊維長及び繊維径の均一性が高いことを意味し、乾燥や分散が均一に進むことになる。また、繊維径や繊維長の均一性が高いと、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が強く、補強効果の均一性も向上する。
セルロースナノファイバーのピーク値を5μm未満とするには微細化処理を長時間行う必要があり、製造コストの増加につながる。
他方、ピーク値が25μmを超えていると、微細化処理が不十分であり、繊維径や繊維長の均一性が劣る傾向にある。
本発明によると、比較的安価で、かつサーマルリサイクルの問題や溶媒処理の問題等が生じず、しかも強度が強い熱可塑性樹脂組成物となる。
熱可塑性樹脂組成物の製造工程のフロー図である。
以下、発明を実施するための形態を説明する。
本形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び植物繊維であるセルロースナノファイバーを含有し、更に相溶化剤が添加されている。
(パルプ繊維)
セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、少なくとも植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましく、雑誌古紙パルプ(MDIP)や新聞古紙パルプ(NDIP)等の古紙パルプ(DIP)、機械パルプ等のリグニンを含むパルプ繊維を主成分(50質量%以上)として含有する繊維を使用するのがより好ましく、機械パルプを使用するのが特に好ましい。
リグニンを含まないパルプ繊維から得たセルロースナノファイバーは、微小かつ比表面積が大きく、表面に多くの水酸基を有している。したがって、濾水性や脱水性が悪く、後述する分散液としての利用が困難である。また、パルプ繊維から得たセルロースナノファイバーはセルロースに由来する親水性を備えているため、疎水性である熱可塑性樹脂との相溶性が悪く、分散性が悪い。これに対し、機械パルプ等のリグニンを含むパルプから得たセルロースナノファイバーは、セルロースより疎水性の高いリグニンを含むため、このリグニンがセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の接合剤として機能し、両者の接合性、相溶性、更には熱可塑性樹脂組成物の強度が向上する。
この点に関し、本発明者等は、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)について、微細化処理後における繊維の保水度を調べた。その結果、微細化に伴ってLBKP及びNBKPは保水度が大幅に上昇するのに対し、BTMPは保水度が大幅に上昇することがないことを知見した。したがって、化学パルプを使用するとセルロースナノファイバーの保水度を所望値以下にするのが困難であるのに対し、機械パルプを使用するとセルロースナノファイバーの保水度を所望値以下にするのが容易であることが明らかになった。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
(前処理工程)
パルプ繊維は、微細化処理するに適する形状、例えば、粉末状とするのが好ましい。
また、パルプ繊維は、必要により、例えば、リン酸エステル化処理、アセチル化処理、シアノエチル化処理等の薬品処理をすることができる。
さらに、パルプ繊維は、微細化処理するに先立って叩解するのが好ましい。パルプ繊維を叩解しておくと、微細化して得られるセルロースナノファイバーが絡み易いものとなる。パルプ繊維の叩解は、例えば、ビーター等を使用して行うことができる。
(微細化処理工程)
パルプ繊維は、必要により前処理を行った後、微細化(解繊)処理する。この微細化処理により、パルプ繊維は、ミクロフィブリル化し、セルロースナノファイバーとなる。
微細化処理は、例えば、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー等のリファイナー、各種バクテリア等の中から1種又は2種以上の手段を選択使用して行うことができる。
ただし、微細化処理は、回転する砥石間で磨砕するグラインダー及び高圧水流で微細化する湿式微粒化装置の少なくともいずれか一方を使用して行うのが好ましい。グラインダーとしては、例えば、増幸産業株式会社のマスコロイダー等を使用することができる。また、湿式微粒化装置としては、例えば、株式会社スギノマシンのスターバーストや株式会社常光のジェットミル等を使用することができる。
以上の微細化処理は、得られるセルロースナノファイバーの、例えば、平均繊維径、保水度、結晶化度、擬似粒度分布のピーク値、触手試験結果、沈降速度、パルプ粘度等が、所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
なお、セルロースナノファイバーは、セルロースやセルロースの誘導体からなる繊維である。通常のセルロースナノファイバーは、強い水和性を有し、水系媒体中において水和することで安定的に分散状態(分散液の状態)を維持する。セルロースナノファイバーを構成する単繊維は、水系媒体中において複数条が集合して繊維状をなす場合もある。通常のセルロースナノファイバーの平均繊維径は、4〜2000nmである。また、平均繊維長は、1〜5000μmである。
(平均繊維径)
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、20〜500nmであるのが好ましく、150〜450nmであるのがより好ましく、200〜400nmであるのが特に好ましい。平均繊維径が20〜500nmであれば、熱可塑性樹脂との相溶性及び熱可塑性樹脂組成物の補強効果が優れる。具体的には、平均繊維径を20nm未満にすると、パルプ繊維に過度の機械的エネルギーがかり、繊維自体の強度が低下する。したがって、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。また、微細化処理の時間が長くなり、製造コストの増加につながる。他方、平均繊維径が500nmを超えると、微細化が不十分で繊維の分散性に劣る傾向がある。繊維の分散性が不十分であると、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。
全繊維に対する直径が500nmを超える単繊維の割合は、70質量%以下であるのが好ましく、60質量%以下であるのがより好ましく、50質量%以下であるのが特に好ましい。直径が500nmを超える単繊維の割合が70質量%以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に優れる。
機械パルプの全パルプ繊維に対する配合割合は、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。配合割合が50質量%未満であると、微細化して得られるセルロースナノファイバーの保水度が十分に小さくならず、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性等が劣る傾向にある。なお、機械パルプの配合割合の上限値は、100質量%である。
前記、平均繊維径は、パルプ繊維、前処理工程、微細化処理工程で任意に調整可能である。
(平均繊維長)
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、1〜5000μmであるのが好ましく、2〜4000μmであるのがより好ましく、3〜3000μmであるのが特に好ましい。
前記、平均繊維長は、パルプ繊維、前処理工程、微細化処理工程で任意に調整可能である。
(保水度)
セルロースナノファイバーの保水度は、350%以下であるのが好ましく、300%以下であるのがより好ましく、280%以下であるのが特に好ましい。保水度が350%を超えると、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性が劣る傾向にある。また、熱可塑性樹脂組成物の補強効果を優れたものとするためには、セルロースナノファイバーを十分に乾燥し、熱可塑性樹脂への均一な分散を行う必要がある。しかるに、セルロースナノファイバーは凝集性が高いため、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際して凝集し易い。そこで、セルロースナノファイバーの保水度を350%以下とし、濾水性や乾燥性、熱可塑性樹脂との相溶性を優れたものとすることで、乾燥処理や熱可塑性樹脂との混練処理等に際する凝集を抑制することができ、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が十分なものとすることができる。
前記、保水度は、パルプ繊維、前処理工程、微細化処理工程で任意に調整可能である。
(結晶化度)
セルロースナノファイバーの結晶化度は、50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのがより好ましく、60%以上であるのが特に好ましい。結晶化度が50%未満であると、熱可塑性樹脂との相溶性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。
他方、セルロースナノファイバーの結晶化度は、70%以下であるのが好ましく、69%以下であるのがより好ましく、68%以下であるのが特に好ましい。結晶化度が70%を超えると、分子内の強固な水素結合割合が多くなり繊維自体は剛直となるが、熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。また、セルロースナノファイバーの化学修飾がし難くなる傾向もある。
前記、結晶化度は、パルプ繊維、前処理工程、微細化処理工程で任意に調整可能である。
(ピーク値)
セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、セルロースナノファイバーは、繊維長及び繊維径の均一性が高く、乾燥性に優れる。また、繊維径や繊維長の均一性が高いと、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が高く、補強効果の均一性にも優れる。
ナノファイバーのピーク値は、5μm以上であるのが好ましく、7μm以上であるのがより好ましく、9μm以上であるのが特に好ましい。ピーク値を5μm未満とするにはセルロースナノファイバーの微細化処理を長時間行う必要があり、製造コストの増加につながる。
他方、セルロースナノファイバーのピーク値は、25μm以下であるのが好ましく、23μm以下であるのがより好ましく、21μm以下であるのが特に好ましい。ピーク値が25μmを超えていると、微細化が不十分であり、繊維径や繊維長の均一性に劣る傾向がある。
(沈降速度)
セルロースナノファイバーの沈降速度は、0.030mm/分以下であるのが好ましく、0.025mm/分以下であるのがより好ましく、0.020mm/分以下であるのが特に好ましい。沈降速度が0.030mm/分を超えると、繊維が長過ぎ、繊維内での水素結合によって熱可塑性樹脂中で繊維が凝集し、熱可塑性樹脂組成物の補強効果に劣る傾向がある。なお、繊維が長いほど見かけの粒子径が大きくなり、沈降速度は増加すると考えられる。
(パルプ粘度)
セルロースナノファイバーのパルプ粘度は、3.5cps以上であるのが好ましく、3.6cps以上であるのがより好ましい。パルプ粘度が3.5cps未満であると、セルロースナノファイバーの分散液を熱可塑性樹脂と混練した際に、セルロースナノファイバーの重合度が低下し、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が劣る傾向にある。
また、セルロースナノファイバーのパルプ粘度は、4.0cps以下であるのが好ましく、3.9cps以下であるのがより好ましい。パルプ粘度が4.0cpsを超えると、セルロースナノファイバーの分散液を熱可塑性樹脂と混練した際に、セルロースナノファイバーの凝集を十分に抑制できず、熱可塑性樹脂組成物の補強効果が劣る傾向にある。
(触手試験)
微細化処理進行のファクターとなる前述触手試験とは、2%セルロースナノファイバー水分散液1mLを人差し指に乗せ、当該分散液を親指と人差し指とで挟み、20回親指を周回させた場合において、親指と人差し指との間に繊維状物が残存するか否かについて目視にて確認する試験である。微細化処理は、この触手試験において、繊維状物が残存しないように行うのが好ましい。なお、発明者等は、種々の試験・検討を行い、結果、この触手試験によると、微細化処理の進行を迅速に確認にすることができ、製造効率を向上することができるとの認識に至った。なお、繊維状物が残存すると、繊維径や繊維長の均一性が劣る傾向にある。
(微細繊維)
セルロースナノファイバーには、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。
(分散液)
微細化して得られたセルロースナノファイバーは、水系媒体中に分散して分散液とする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
(固形分濃度)
分散液の固形分濃度は、1質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以上であるのがより好ましく、2.0質量%以上であるのが特に好ましい。また、分散液の固形分濃度は、50質量%以下であるのが好ましく、40質量%以下であるのがより好ましく、30質量%以下であるのが特に好ましい。
(B型粘度)
セルロースナノファイバーの濃度を2%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、1000cps以下であるのが好ましく、900cps以下であるのがより好ましく、800cps以下であるのが特に好ましい。分散液のB型粘度が1000cpsを超えると、セルロースナノファイバーの分散液と熱可塑性樹脂とを混練するために、つまりセルロースナノファイバーを熱可塑性樹脂中に分散させるために、大きなエネルギーが必要となり、製造コストの増加につながる。
他方、分散液のB型粘度は10cps以上であるのが好ましく、50cps以上であるのがより好ましく、100cps以上であるのが特に好ましい。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂や芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、メタアクリレート、アクリレート等のポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましい。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンを使用するのが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を例示することができ、芳香族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができるが、生分解性を有するポリエステル樹脂(単に「生分解性樹脂」ともいう。)を使用するのが好ましい。
生分解性樹脂としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、カプロラクトン系脂肪族ポリエステル、二塩基酸ポリエステル等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の重合体や共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、乳酸を使用するのが好ましい。この乳酸としては、例えば、L−乳酸やD−乳酸等を使用することができ、これらの乳酸を単独で使用しても、2種以上を選択して使用してもよい。
カプロラクトン系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトンやポリカプロラクトン等と上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
二塩基酸ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
生分解性樹脂は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂には、無機充填剤が含有されていてもよい。当該無機充填剤としては、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti、ケイ素元素等の周期律表第I族〜第VIII族中の金属元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘土鉱物等を例示することができる。
具体的には、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレーワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、珪砂、硅石、石英粉、珪藻土、ホワイトカーボン等を例示することができる。
以上の無機充填剤は、複数が含有されていてもよい。また、古紙パルプに含まれるものであってもよい。
(その他の原料)
熱可塑性樹脂組成物の原料には、後述する相溶化剤の他、例えば、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、ラジカル捕捉剤、発泡剤等の中から1種又は2種以上を選択して、本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
(配合割合)
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の配合割合は、セルロースナノファイバーが1質量部以上、熱可塑性樹脂が99質量部以下であるのが好ましく、セルロースナノファイバーが2質量部以上、熱可塑性樹脂が98質量部以下であるのがより好ましく、セルロースナノファイバーが3質量部以上、熱可塑性樹脂が97質量部以下であるのが特に好ましい。また、セルロースナノファイバーが50質量部以下、熱可塑性樹脂が50質量部以上であるのが好ましく、セルロースナノファイバーが40質量部以下、熱可塑性樹脂が60質量部以上であるのがより好ましく、セルロースナノファイバーが70質量部以下、熱可塑性樹脂が30質量部以上であるのが特に好ましい。ただし、セルロースナノファイバーの配合割合が3〜10質量部であると、熱可塑性樹脂組成物の強度、特に曲げ強度及び曲げ弾性率の強度を著しく向上させることができる。
なお、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物に含まれるセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の含有割合は、通常、セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の上記配合割合と同じとなる。
(脱水・乾燥処理工程)
セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、脱水処理及び乾燥処理する。ただし、両者を一緒に脱水処理及び乾燥処理するのが好ましい。両者を一緒に処理することで、大量かつ効率的な処理が可能となる。なお、脱水処理及び乾燥処理は、それぞれ別の工程・装置で行うこともできるが、同一の工程・装置で行うこともでき、同一の工程・装置で行う方が効率的である。
脱水・乾燥処理には、例えば、凍結乾燥機、減圧乾燥機、加熱乾燥機、静置乾燥機、スプレードライ、ニーダー、二軸混練機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、脱水・乾燥処理には、凍結乾燥機、ニーダー、二軸混練機の中から1種又は2種以上を選択して使用するのが好ましく、凍結乾燥機又は加熱乾燥機を使用するのが特に好ましい。
凍結乾燥機を使用する場合は、セルロースナノファイバーの凝集を防ぐという観点から、水やt−ブタノールを使用することができる。水を使用すると、溶媒処理の問題が生じないとの利点がある。また、t−ブタノールを使用すると、短時間での処理が可能となる、エネルギー効率に優れる、セルロースナノファイバーの凝集をより確実に防止することができるとの利点がある。
加熱乾燥機としては、例えば、バンバリーミキサー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ニーダー、固相せん断押出機、ラボプラストミル、遊星攪拌装置等の回転摩擦等により加熱及び攪拌ができる装置(加熱攪拌機)の中から1種又は2種以上を選択して使用するのが好ましい。
なお、脱水・乾燥処理は、後述する「マスターバッチ法」においては、熱可塑性樹脂を溶融させて行い、「固相せん断法」においては、熱可塑性樹脂を溶融させないで行い、熱可塑性樹脂及びセルロースナノファイバーを単に混練する場合は、溶融させて行っても、溶融させないで行ってもよい。
ただし、マスターバッチ法及び固相せん断法においては、セルロースナノファイバーの分散液を、熱可塑性樹脂と共に脱水・乾燥処理するに先立って、遠心分離機や濾布が備わる連続濾過装置等で7〜15%の固形分濃度に濃縮しておくのが好ましい。予め濃縮しておくことで、乾燥、又は脱水及び乾燥の時間を短縮することができる。
(混練処理工程)
脱水・乾燥処理を経たセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂は、混練処理する。
この混練処理には、例えば、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
混練処理の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移点以上溶融点以下であり、熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、80〜220℃とするのが好ましく、90〜210℃とするのがより好ましく、100〜200℃とするのが特に好ましい。
また、混練処理の時間は、1〜180分とするのが好ましく、2〜100分とするのがより好ましく、3〜20分とするのが特に好ましい。
(相溶化剤)
混練したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂には、相溶化剤を添加するのが好ましい。
相溶化剤としては、ポリマー主鎖に酸無水物基を側鎖にもつ構造のものを使用するのが好ましい。
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水クエン酸等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができ、無水マレイン酸を使用するのが好ましい。
相溶化剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上となるように添加するのが好ましく、0.5質量部以上となるように添加するのがより好ましく、1.0質量部以上となるように添加するのが特に好ましい。また、10質量部以下となるように添加するのが好ましく、8質量部以下となるように添加するのがより好ましく、5質量部以下となるように添加するのが特に好ましい。特に添加量が1〜10質量部であれば、セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の相互作用を助長することができ、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度、特に曲げ強度を向上することができる。
(マスターバッチ法)
次に、図1を参照しつつ、熱可塑性樹脂及びセルロースナノファイバーを原料とし、相溶化剤を添加して熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「マスターバッチ法」ともいう。)について説明する。
このマスターバッチ法においては、まず、パルプ繊維(P)を、必要により前処理(10)した後、微細化処理(20)してセルロースナノファイバーを得、このセルロースナノファイバーを水(W)と混ぜて分散液(C)とする。次に、この分散液(C)と熱可塑性樹脂、好ましくは低融点熱可塑性樹脂(Rx)とを脱水・乾燥処理(30x)し、一次混練処理(40x)する。そして、この一次混練物に熱可塑性樹脂(Ry)、更に相溶化剤(Rz)を添加し、二次混練処理(50x)及び成形処理(60)して熱可塑性樹脂組成物(S)を得る。
なお、一次混練物に、低融点熱可塑性樹脂(Rx)とは別に熱可塑性樹脂(Ry)を添加(配合)するのは次の理由からである。
すなわち、低融点熱可塑性樹脂(Rx)は、ナノファイバーを分散させる基質としての役割を担う。また、低融点熱可塑性樹脂(Rx)とナノファイバーとを複合した一次混練物は、着色や補強等を目的とする、いわゆるマスターバッチとしての役割を担う。そして、このマスターバッチと熱可塑性樹脂(Ry)とを所望の配合率となるように混練することで、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができるのである。
この熱可塑性樹脂(Ry)の配合割合は、質量基準で低融点熱可塑性樹脂(Rx)100質量部に対し、100〜10000質量部とするのが好ましく、200〜10000質量部とするのがより好ましく、300〜10000質量部とするのが特に好ましい。
このマスターバッチ法は、脱水・乾燥処理(30x)及び一次混練処理(40x)に際して低融点熱可塑性樹脂(Rx)等の熱可塑性樹脂を溶融させる点に1つの特徴がある。
マスターバッチ方法において、脱水・乾燥処理(30x)の温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定する。例えば、熱可塑性樹脂として低融点熱可塑性樹脂(Rx)である低融点ポリプロピレン(融点90℃)を使用する場合は、90〜130℃とするのが好ましく、90〜120℃とするのがより好ましく、90〜110℃とするのが特に好ましい。
また、脱水・乾燥処理(30x)の時間は、80〜1200分とするのが好ましく、90〜1100分とするのがより好ましく、100〜1000分とするのが特に好ましい。
さらに、脱水・乾燥処理(30x)の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
一次混練処理(40x)の温度も、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定する。例えば、熱可塑性樹脂として低融点熱可塑性樹脂(Rx)である低融点ポリプロピレン(融点90℃)を使用する場合は、90〜130℃とするのが好ましく、90〜120℃とするのがより好ましく、90〜110℃とするのが特に好ましい。
一次混練処理(40x)の時間は、1〜100分とするのが好ましく、2〜80分とするのがより好ましく、3〜60分とするのが特に好ましい。
一次混練処理(40x)の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
相溶化剤(Rz)を添加した後の二次混練処理(50x)は、一次混練処理(40x)の後に添加した熱可塑性樹脂(Ry)の種類に応じて適宜設定する。例えば、熱可塑性樹脂(Ry)として低融点ではない熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン(融点130℃)を使用する場合は、130〜220℃とするのが好ましく、130〜215℃とするのがより好ましく、130〜210℃とするのが特に好ましい。
二次混練処理(50x)の時間は、1〜180分とするのが好ましく、2〜80分とするのがより好ましく、3〜20分とするのが特に好ましい。
二次混練処理(50x)の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
成形処理(60)の温度は、130〜220℃とするのが好ましく、130〜210℃とするのがより好ましく、130〜200℃とするのが特に好ましい。
成形処理(60)の時間は、1〜200分とするのが好ましく、1〜190分とするのがより好ましく、1〜180分とするのが特に好ましい。
成形処理の装置としては、例えば、射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
(固相せん断法)
次に、図1を参照しつつ、以上のマスターバッチ法とは異なるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の強度が著しく向上する方法(単に「固相せん断法」ともいう。)について説明する。
この固相せん断法においては、まず、パルプ繊維(P)を、必要により前処理(10)した後、微細化処理(20)してセルロースナノファイバーを得、このセルロースナノファイバーを水(W)と混ぜて分散液(C)とする。次に、この分散液(C)と熱可塑性樹脂(Ry)とを脱水・乾燥処理(30y)し、固相せん断処理(40y)する。そして、この固相せん断物に相溶化剤(Rz)を添加し、混練処理(50y)及び成形処理(60)して熱可塑性樹脂組成物(S)を得る。
この固相せん断法は、脱水・乾燥処理(30y)に際して熱可塑性樹脂を溶融させない点に1つの特徴がある。また、この固相せん断法においては、脱水・乾燥処理(30y)及び固相せん断処理(40y)を経る過程で、セルロースナノファイバーが水分を蒸発されつつ熱可塑性樹脂にめり込まされ、分散される。これにより、セルロースナノファイバーが熱可塑性樹脂(Ry)中に点在し、セルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂の乾燥混合粉末が得られる点にも特徴がある。
脱水・乾燥処理(30y)の際の温度は、熱可塑性樹脂(Ry)の種類に応じて適宜設定する。例えば、熱可塑性樹脂(Ry)としてポリプロピレン(融点130℃)を使用する場合は、50〜130℃とするのが好ましく、55〜125℃とするのがより好ましく、60〜120℃とするのが特に好ましい。
脱水・乾燥処理(30y)の時間は、1〜300分とするのが好ましく、2〜270分とするのがより好ましく、3〜240分とするのが特に好ましい。
脱水・乾燥処理(30y)の装置としては、例えば、簡易攪拌装置、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂(Ry)とが接触する面積が広いほど固相せん断処理(40y)の効率が良いことから、熱可塑性樹脂(Ry)の形状は、平均粒子径1〜1000μmの粉末状としておくのが好ましい。
固相せん断処理(40y)の温度も、熱可塑性樹脂(Ry)の種類に応じて適宜設定する。例えば、熱可塑性樹脂(Ry)としてポリプロピレン(融点130℃)を使用する場合は、脱水・乾燥処理(30y)の場合と同様に、50〜130℃とするのが好ましく、55〜125℃とするのがより好ましく、60〜120℃とするのが特に好ましい。
固相せん断処理(40y)の時間は、1〜180分とするのが好ましく、2〜170分とするのがより好ましく、3〜160分とするのが特に好ましい。
固相せん断処理(40y)の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
相溶化剤(Rz)を添加した後の混練処理(50y)は、130〜220℃とするのが好ましく、130〜215℃とするのがより好ましく、130〜210℃とするのが特に好ましい。
混練処理(50y)の時間は、1〜180分とするのが好ましく、2〜80分とするのがより好ましく、3〜20分とするのが特に好ましい。
混練処理(50y)の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
成形処理(60)の際の温度は、130〜220℃とするのが好ましく、130〜210℃とするのがより好ましく、130〜200℃とするのが特に好ましい。
成形処理(60)の時間は、1〜200分とするのが好ましく、1〜190分とするのがより好ましく、1〜180分とするのが特に好ましい。
成形処理(60)の装置としては、例えば、射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
(成形処理)
相溶化剤を添加したセルロースナノファイバー及び熱可塑性樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形する。
この点、混練物にはセルロースナノファイバーが分散しているが、成形加工性に優れている。
成形の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えば、シート状、ペレット状、粉末状、繊維状等とすることができる。
この成形処理は、公知の成形方法によることができ、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等によることができる。また、混練物を紡糸して繊維状にし、前述した植物材料等と混繊してマット形状、ボード形状とすることもできる。混繊は、例えば、エアーレイにより同時堆積させる方法等によることができる。
なお、この成形処理は、混練処理に続いて行うことも、混練物をいったん冷却し、破砕機等を使用してチップ化した後、このチップを押出成形機や射出成形機等の成形機に投入して行うこともできる。
(用語の定義、測定方法等)
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下の通りである。
(平均繊維径)
固形分濃度0.01質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
(平均繊維長)
上記平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
(保水度)
JAPAN TAPPI No.26:2000に準拠して測定する。
(結晶化度)
JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。
なお、セルロースナノファイバーは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、セルロースナノファイバー全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
(ピーク値)
ISO−13320(2009)に準拠して測定する。より詳細には、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用してセルロースナノファイバーの水分散液における体積基準粒度分布を調べる。そして、この分布からセルロースナノファイバーの最頻径を測定する。この最頻径をピーク値とする。
(沈降速度)
固形分濃度0.1%のセルロースナノファイバーの水分散液について、JIS Z 8822に準拠して測定する。
(パルプ粘度)
JIS−P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどセルロースの重合度が高いことを意味する。
(B型粘度)
固形分濃度2%のセルロースナノファイバーの水分散液について、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定する。B型粘度はスラリーを攪拌させたときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多いことを意味する。
(リグニンを含む、含まない)
リグニンを含むとは、リグニンが相溶性向上や補強効果増大等の作用効果に影響を与える場合を意味する。具体的には、カッパー価が2.0以上であることを意味する。したがって、リグニンを含まないとは、カッパー価が2.0未満であることを意味する。なお、カッパー価が20以上であると、相溶性向上や補強効果増大が大きなものとなる。
好ましくは、30以上100未満、より好ましくは50以上80未満の範囲で、より補強効果が大きくなる。ただし、カッパー価が200以上であると混練時の流動性が劣る傾向にある点に留意を要する。
(カッパー価)
JIS P8211:2011(パルプ−カッパー価試験方法)に準拠して測定した値である。なお、数値が大きいほどリグニン含有量が多いことを意味する。
次に、本発明の実施例を示し、本発明の作用効果を明らかにする。
(実施例1)
(分散液)
まず、製紙用晒機械パルプ(BTMP)の2質量%水分散液23Lを、ナイアガラビーターを使用してフリーネス100ml以下となるまで叩解した。次に、グラインダー(増幸産業株式会社のマスコロイダー)を使用してBTMPの微細化処理を3パス行い、粒度分布ピーク値が5〜25μm、保水度が200〜280%の2〜3質量%セルロースナノファイバースラリーを得た。このスラリーを遠心分離機で9000rpm、10分間処理し、7〜15質量%セルロースナノファイバーの分散液を得た。
(マスターバッチ)
105℃に調節したニーダー(東洋精機製のラボプラストミル)に低融点ポリプロピレン(出光興産製のエルモーデュS901、融点約80℃)を投入して溶融させた。次いで、低融点ポリプロピレン及びセルロースナノファイバーの乾燥質量比が50:50となるように上記7〜15質量%セルロースナノファイバーの分散液を徐々に投入して水分を飛ばした。分散液の投入が完了した後、80rpmで20分間乾燥・分散し、50%セルロースナノファイバー配合マスターバッチを得た。このマスターバッチは、ペレッターを使用して2mm径、2mm長の円柱状にカットし、二軸混練機に投入しやすいペレットを得た。
(混練処理)
ポリプロピレンのペレット(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、融点158℃)、上記マスターバッチのペレット、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレンのペレット(三洋化成工業製のユーメックス1010)を乾燥質量比が80:20:1となるように500mlビーカーに投入して混合した。このペレット混合物を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
(成形処理)
上記セルロースナノファイバー10質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
(実施例2)
(分散液)
実施例1と同様の方法でセルロースナノファイバーの分散液を得た。
(固相せん断物)
ポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、粒径500μm程度、融点158℃)、上記7〜15質量%セルロースナノファイバースラリーの分散液を乾燥質量比が90:5となるように500mlビーカーに投入し、プロペラ式加熱攪拌機を使用して70℃、300rpmで2時間攪拌した。この攪拌により水分率5〜10%まで乾燥させた後、70℃に調節したニーダー(東洋精機製のラボプラストミル)で60rpm、1時間固相せん断処理し、セルロースナノファイバー及びポリプロピレンの乾燥混合粉末(固相せん断物)を得た。
(混練処理)
上記固相せん断物と、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)とを、乾燥質量比が95:5となるように500mlビーカーに投入して混合した。混合した粉末を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
(成形処理)
上記セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
(実施例3)
(分散液)
実施例1と同様の方法でセルロースナノファイバーの分散液を得た。
(混合粉末)
ポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製のノバテックPP射出成型グレードMA3、粒径500μm程度、融点158℃)、上記7〜15質量%セルロースナノファイバースラリーの分散液を乾燥質量比が90:5となるように500mlビーカーに投入し、プロペラ式加熱攪拌機を使用して70℃、300rpmで2時間攪拌した。この攪拌により水分率5〜10%まで乾燥させた後、105℃に調節した恒温乾燥機内で24時間乾燥させ、セルロースナノファイバー及びポリプロピレンの乾燥混合粉末(この粉末は、固相せん断物ではない。)を得た。
(混練処理)
上記混合粉末と、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)とを、乾燥質量比が95:5となるように500mlビーカーに投入して混合した。混合した粉末を180℃に調製した二軸混練機にて45rpmで混練し、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンを得た。このポリプロピレンをペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを得た。
(成形処理)
上記セルロースナノファイバー5質量%配合ポリプロピレンのペレットを180℃でダンベル型試験片(掴み具間距離20mm、幅3.9mm、厚さ1.97mm)と直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)とに射出成形した。
(実施例4)
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用雑誌古紙パルプ(MDIP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(実施例5)
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用雑誌古紙パルプ(MDIP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
(比較例1)
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(比較例2)
実施例1において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(比較例3)
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えて市販のセルロースナノファイバースラリー(市販品)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(比較例4)
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えてメイン大学製のCNF(セルロースナノファイバースラリー)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(比較例5)
実施例1の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えてメイン大学製のCNC(セルロースナノクリスタルスラリー)を使用した以外は実施例1と同様とした。
(比較例6)
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
(比較例7)
実施例2において、製紙用晒機械パルプ(BTMP)に変えて製紙用針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を使用した以外は実施例2と同様とした。
(比較例8)
実施例2の乾燥処理において、セルロースナノファイバーの分散液に変えて市販のセルロースナノファイバースラリー(市販品)を使用した以外は実施例2と同様とした。
(参考例)
PPのみからなる熱可塑性樹脂(組成物)を示す。
条件及び結果を表1及び表2に示した。
Figure 0006771713
Figure 0006771713
(評価方法)
上記各試験片について、曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度、引張弾性率、Izod衝撃強度(ノッチあり)、線熱膨張率、分散性を評価した。評価方法は、以下の通りとした。
(曲げ強度、曲げ弾性率)
各直方体試験片について、JIS K7171:2008(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど曲げ強度、曲げ弾性率が強い(高い)ことを意味する。
(引張強度、引張弾性率)
各ダンベル型試験片について、JIS K7161:2014(プラスチック−引張特性の試験方法)に準拠して測定した。なお、数値が大きいほど引張強度、引張弾性率が強い(高い)ことを意味する。
(Izod衝撃強度(ノッチあり))
各直方体試験片について、JIS K7110:1999(プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法)に準拠して測定した。ノッチ深さを2mmとした。なお、数値が大きいほど衝撃強度が強いことを意味する。
(線熱膨張率)
各直方体試験片について、JIS K7197:2012(プラスチックの熱機械分析による線膨脹率試験方法)に準拠して測定した。測定条件は、圧縮荷重法、昇温速度:5℃/分、温度範囲:30〜160℃、測定機:株式会社リガク製の熱機械分析装置(Thermo plus EVO II)とした。なお、数値が小さいほど寸法安定性が良いことを意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上の通り、従来の熱可塑性樹脂よりも強度が強くなる(増強効果)。したがって、従来から熱可塑性樹脂が使用されていた用途に使用することができるだけでなく、従来、強度不足により使用が見合わされていた用途にも使用することができる。
具体的には、例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等、
パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等、
携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品、オフィス機器、玩具、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等、
建築物、家具等の内装材、外装材、構造材等、
文具等の事務機器等、
その他、包装体、トレイ等の収容体、保護用部材、パーティション部材等、
として使用することができる。
以上のうち、自動車用途としては、内装材、インストルメントパネル、外装材等を例示することができる。具体的には、例えば、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等を例示することができる。
また、建築物、家具用途としては、ドア表装材、ドア構造材、机、椅子、棚、箪笥等の各種家具の表装材等を例示することができる。
10…前処理、20…微細化(解繊)処理、30x,30y…乾燥処理、40x…(一次)混練処理、40y…固相せん断処理、50…相溶化剤添加処理、60…(二次)混練処理、70…成形処理、C…分散体、P…パルプ繊維、Rx…低融点ポリプロピレン、Ry…低融点ポリプロピレン以外のポリプロピレン、Rz…相溶化剤、W…水。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂及びこの熱可塑性樹脂の補強材たる植物繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記植物繊維が、パルプ繊維を微細化処理して得た平均繊維径が20〜500nmであるセルロースナノファイバーであり、
    前記パルプ繊維は、JIS P8211に準拠して測定したカッパー価が2.0以上、200未満である、
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記セルロースナノファイバーの沈降速度が0.030mm/分以下である、
    請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記セルロースナノファイバーの保水度が350%以下である、
    請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記セルロースナノファイバーの平均繊維長が1〜5000μmである、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記パルプ繊維に対する、直径が500nmを超える単繊維の割合が70質量%以下である、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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