JP6960815B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法に関する。
樹脂の補強効果を得るため、ガラス繊維などの無機繊維や炭素繊維などを補強材に使った強化樹脂が汎用されている。しかし、無機繊維や炭素繊維は比重が重いため、強化樹脂の比重も重くなるといった点があり、また、環境配慮の側面からは不十分である。環境配慮型の素材では樹脂の補強効果を得るため、従来からパルプや古紙を粉砕したものと熱可塑性の樹脂を混練した複合物が知られている。
引用文献1では紙又は粉砕古紙を配合した熱可塑性樹脂組成物の提案がされているが、樹脂の補強効果は不十分である。また、引用文献2ではパルプシート又は紙片を熱可塑性樹脂と混練し、パルプを解繊する方法が提案されているが、パルプを熱可塑性樹脂に単に分散するだけでは、パルプと樹脂の界面の強度が不足し、十分な補強効果が得られない。引用文献3ではパルプを化学修飾した上で、樹脂に混練することで、比較的低エネルギーでセルロースナノファイバーまで解繊でき、セルロースと樹脂の界面の接着性も改善し、補強効果も向上できる方法が提案されている。しかし、引用文献3の方法はパルプの化学修飾のために有機溶媒を使うため、溶媒の回収面で製造工程が複雑になる。また、製造作業者の衛生面でも設備的な対応が必要となり、その結果、コストが高いという不都合がある。
特開2007−260941号公報 特開2009−197044号公報 特開2016−176052号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、従来から用いられてきた植物繊維を樹脂の補強材に供しながら、より強度が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。また、従来リサイクルが難しかった湿潤紙力剤としてのメラミン樹脂やポリアミドアミン樹脂が添加された耐水性を上げた紙や板紙の素材としての再活用も可能とすることも課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を含有し、上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物である。
当該熱可塑性樹脂組成物によれば、熱可塑性樹脂の補強材として植物繊維を用いることで、得られる熱可塑性樹脂組成物の軽量化を図ることができるとともに、特定の結着剤を併用することで元来熱可塑性樹脂との結合力が弱い植物繊維を用いながら補強効果をより高めることができる。
上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン及びポリアセタールから選択される1又は2以上の組合せからなり、上記植物繊維の主成分が天然セルロースであり、上記植物繊維100質量部に対する上記結着剤の含有量が、0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂には、汎用性の高いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリアセタールから選択される、1又は2以上を好適に用いることができるため、コスト高を抑制することなどができる。また、生分解性が高い天然セルロースが植物繊維の主成分であることで、環境保護の面から好ましいものとなる。また、上記植物繊維に対する上記結着剤の含有量が、0.5質量%以上20質量%以下であることにより、コスト高を抑えつつ、補強効果をより高めることができる。
上記植物繊維の体積平均粒子径が、5μm以上300μm以下であり、上記結着剤が、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び/又はポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂であることが好ましい。このように、従来の植物繊維よりも小さい体積平均粒子径が上記範囲の植物繊維を用いることで、補強効果をより高めることができる。また、体積平均粒子径が5μm未満の場合、5μm未満とするためのエネルギーコストが高くなりコストパフォーマンスが劣る場合もある。
上記課題を解決するための本発明は、植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する工程と、上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する工程とを備え、上記混合物を用意する工程が、植物繊維と結着剤とを混合する工程、又は結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程を含み、上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる上記熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
当該製造方法によれば、熱可塑性樹脂に植物繊維及び結着剤を混合させる前に、結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプ、あるいは植物繊維と結着剤とが混合された混合物を用意し、これを熱可塑性樹脂に添加することで、植物繊維の外表面に結着剤が予め定着し、熱可塑性樹脂への添加工程において、熱可塑性樹脂との均一な分散や定着が図れ、高い強度を有する熱可塑性樹脂を得ることが可能となる。また、従来リサイクルが難しかった湿潤紙力剤としてのメラミン樹脂やポリアミドアミン樹脂が添加された耐水性を上げた紙や板紙の素材としての再活用も可能となる。また、当該製造方法は、簡便かつ安価に製造でき、溶媒処理の問題が生じ難いといった利点もある。当該製造方法によれば、環境に配慮された軽量の樹脂組成物を得ることができる。
当該製造方法は、上記添加する工程より前に、上記混合物に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整する工程と、上記添加する工程より後に、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する工程とを備えることが好ましい。このように、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整した後に熱可塑性樹脂に添加し、混練処理を行うことで、より均一な組成で高い強度を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明によれば、植物繊維を樹脂の補強材に供しながら、より強度が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。また、従来リサイクルが難しかった湿潤紙力剤としてのメラミン樹脂やポリアミドアミン樹脂が添加された耐水性を上げた紙や板紙の素材としての再活用も可能となる。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の一実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を含む。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル、ポリスチレン、ポリメタアクリレート、ポリアクリレート等のアクリル樹脂、ナイロン(ポリアミド)、ポリカーボネート、ポリアセタール等を挙げることができる。熱可塑性樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン及びポリアセタールから選択される1又は2以上の組合せが好ましく、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂の少なくとも一方を含むことがより好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンが好ましい。
ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルや、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルを挙げることができる。ポリエステルとしては、生分解性を有するポリエステル樹脂(単に「生分解性樹脂」ともいう。)が好ましい。
生分解性樹脂としては、例えばヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、カプロラクトン系脂肪族ポリエステル、二塩基酸ポリエステル等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルとしては、例えば乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や、これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なかでも、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除くヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、ポリ乳酸がより好ましい。
乳酸としては、例えばL−乳酸やD−乳酸等を使用することができ、これらの乳酸を単独で使用しても、2種以上を選択して使用してもよい。
カプロラクトン系脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリカプロラクトンの単独重合体や、ポリカプロラクトン等と上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
二塩基酸ポリエステルとしては、例えばポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
当該熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を上記下限以上とすることで、十分な熱成形性等を発揮することができ、また、強度を高めることができる。一方、この含有量の上限としては、90質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を上記上限以下とすることで、十分な量の植物繊維や結着剤などを含有させることができ、強度をより高めることができる。
(植物繊維)
上記植物繊維としては、通常、主成分が天然セルロースであるパルプ繊維が好適に用いられる。なお、主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。植物繊維中の天然セルロースの含有量の下限は、60質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。植物繊維の原料は、針葉樹、広葉樹、竹、葦等の草本系であってもよく、再生紙であっても良い。ただし、原料の入手のしやすさ等の点から、木材由来又は古紙由来のパルプが好ましい。通常、パルプを叩解することなどによって、所望の植物繊維を得ることができる。
植物繊維の原料となるパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ;
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の機械パルプ;
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ;古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。
これらのなかでも、NBKP及び古紙パルプが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
植物繊維の原料となるパルプは、化学的前処理が施されたものであってもよい。化学的前処理としては、硫酸等の酸や、酵素などを用いた加水分解処理、オゾンなどの酸化剤を用いた酸化処理等が挙げられる。また、リン酸エステル化やTEMPO酸化、アセチル化等の前処理が施されていてもよい。ただし、化学修飾まで行うとコストが高くなるため、酸や酵素による加水分解処理やオゾン等による酸化処理が好ましい。加水分解処理や酸化処理により、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、叩解処理や物理的解繊処理(微細化処理)のエネルギーを低減することができ、繊維の均質性や分散性を向上することができる。しかも、加水分解処理や酸化処理が施されたものは、分子鎖が整列していて剛直かつ保水度の低いと考えられるセルロース結晶領域の繊維全体に占める割合が高いため、分散性が高く、機械的強度のより大きい熱可塑性樹脂組成物が得られる。
また、パルプは、化学的前処理として、アルカリ処理が施されたものであってもよい。アルカリ処理を施すことで、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、叩解処理におけるパルプの分散を促進する効果がある。なお、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができるが、製造コストの観点から、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
上記植物繊維の体積平均粒子径の上限としては、300μmが好ましく、250μmがより好ましく、200μmがさらに好ましく、100μmがよりさらに好ましい。一方、この体積平均粒子径の下限としては、1μmであってもよいが、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、20μmがさらに好ましく、50μmがよりさらに好ましい。このように、比較的微細な上記範囲の体積平均粒子径を有する植物繊維を用いることで、補強効果をより高めることができる。なお、上記植物繊維の体積平均粒子径とは、ISO−13320(2009)に準拠して、粒度分布測定装置(例えばセイシン企業社の「レーザー回折・散乱式粒度分布測定器」)を用いて測定される体積基準粒度分布から取得されるメジアン径(D50)をいう。
当該熱可塑性樹脂組成物における植物繊維の含有量の下限としては、2質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、30質量%がよりさらに好ましい。植物繊維の含有量を上記下限以上とすることで、強度をより高めることができる。一方、この含有量の上限としては、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。植物繊維の含有量を上記上限以下とすることで、十分な量の熱可塑性樹脂等を含有させることができ、成形性等を高めることができる。
(結着剤)
上記結着剤は、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる。この結着剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性や接合性を高めることができ、これにより熱可塑性樹脂組成物の強度が高まるものと推測される。当該熱可塑性樹脂組成物中において、この結着剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との間に介在する、あるいは、植物繊維の表面の少なくとも一部に付着して存在していると推測される。
上記メラミン樹脂の種類としては、特に限定されず、例えばメラミンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるメチル化メラミンなどのメラミン−ホルムアルデヒド樹脂や、メラミンの一部をかかるメラミン及びホルムアルデヒドと共縮合可能なメラミン共縮合用成分で置換することで得られるメラミン−ホルムアルデヒド系共縮合樹脂などが挙げられる。結着剤としては、メラミン樹脂のなかでは、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
上記メラミン共縮合用成分の種類としては、特に限定されず、例えば尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの尿素類;ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、フェニルアセトグアナミン、ホルムグアナミン、CTUグアナミンなどのグアナミン類;グアニジン、ジシアンジアミド、パラトルエンスルホンアミドなどのアミノ化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ビスフェノールAなどのフェノール類;キシレン、サッカロースなどのその他のメラミン共縮合用化合物等が挙げられる。なお、かかるメラミン共縮合用成分は、1種単独又は2種以上併用して使用することができる。
メラミン樹脂は植物繊維(セルロース)の水酸基やカルボキシル基と反応して、繊維間の結合を強化するとともに、繊維間結合への水の浸入を抑制し、紙の湿潤強度を向上させる成分であると考えられる。このため、当該熱可塑性樹脂組成物が、メラミン樹脂を含有することで、通常疎水性の傾向にある熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性や接合性を高め、強度を向上させることができる。
ポリアミドアミン樹脂は、多価酸と、ポリアミンポリアルキルポリアミンや尿素とを縮合した主鎖の窒素に対して、エピクロロヒドリンに代表されるエピハロヒドリンを反応させたものであり、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂とポリアミドポリアミンポリ尿素・エピハロヒドリン樹脂に代表されるカチオン性の4級アミンと反応性官能基を併せ持つ樹脂の総称である。結着剤としては、ポリアミドアミン樹脂のなかでは、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂が好ましい。
ポリアミドアミン樹脂は、好ましくは、植物繊維へ定着しやすいようカチオン変性されており、反応性官能基が、セルロースの水酸基やカルボキシル等と反応して繊維間の結合を強化するとともに、パルプの繊維間結合への水の浸入を抑制し、紙の湿潤強度を向上させる成分であると考えられる。このため、当該熱可塑性樹脂がポリアミドアミン樹脂を含有することで、通常疎水性の傾向にある熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性や接合性を高め、強度を向上させることができる。
上記反応性官能基としては、アジリジニウム基やアゼチジニウム基に代表される4員環以下の環状アミノ基が好ましく、4級アミンの性質と反応性官能基の性質を併せ持つアゼチジニウム基がより好ましい。なお、反応基をアジリジニウム基とする場合は、アジリジニウム基を構成する窒素がカチオン性を示す4級アミンに変性されていてもよい。代表的なポリアミドアミン樹脂としては、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂(PAE)が挙げられる。ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、アゼチジニウム基やアジリジニル基等の反応性官能基を有している。
上記植物繊維100質量部に対する上記結着剤の含有量の下限としては、0.1質量部あるいは0.3質量部であってもよいが、0.5質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。結着剤の含有量を上記下限以上とすることで、補強効果をより高めることができる。一方、この含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましく、5質量部がよりさらに好ましい。結着剤の含有量を上記上限以下とすることにより、結着剤の増量による効果の頭打ちを抑制し、コストを抑えることができる。また、結着剤の含有量を上記上限以下とすることで、後述する製造方法における脱水・乾燥時の生産効率を高めることができる。
(相溶化剤)
当該熱可塑性樹脂組成物は、更に相溶化剤を含有することが好ましい。相溶化剤は、熱可塑性樹脂と植物繊維との相溶性、分散性などを高め、その結果、強度を高めることができる。
相溶化剤としては、側鎖に酸無水物基を有するポリマーが好ましい。具体的には、ポリマーを酸無水物でグラフト変性させて得られるポリマーが好ましい。酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水クエン酸等を挙げることができ、無水マレイン酸が好ましい。このような相溶化剤の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の無水カルボン酸変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
相溶化剤の含有量の下限としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、10質量部が好ましく、8質量部がより好ましく、6質量部がさらに好ましい。相溶化剤の含有量が上記範囲であることで、植物繊維の分散性等がより向上し、熱可塑性樹脂組成物の強度、特に曲げ強度を向上することができる。
(その他の成分)
当該熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、無機充填剤等を挙げることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti等の周期律表第I族〜第VIII族中の金属元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘土鉱物等を例示することができる。具体的には、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレーワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、珪砂、硅石、石英粉、珪藻土、ホワイトカーボン等を例示することができる。
但し、当該熱可塑性樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂、植物繊維、結着剤及び相溶化剤以外の他の成分の含有量の上限としては、30質量部が好ましいことがあり、10質量部がより好ましいことがあり、1質量部がさらに好ましいことがある。他の成分の含有量を少なくすることで、熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤等の相互作用がより十分に機能し、強度を高めることができる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
当該熱可塑性樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を混合することによって得ることができるが、以下の方法によって製造することが好ましい。
すなわち、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、
植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する工程(A)と、
上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する工程(C)と
を備える。
さらに、当該製造方法は、
上記工程(C)より前に、上記混合物に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整する工程(B)と、
上記工程(C)より後に、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する工程(D)と
を備えることが好ましい。
以下、工程順に、各工程について詳説する。
(工程(A))
工程(A)においては、植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する。この工程(A)は、以下の工程(A1)及び工程(A2)のいずれかを含む。
工程(A1)植物繊維と結着剤とを混合する工程
工程(A2)結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程
(工程(A1))
上記工程(A1)は、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂を含む一般的な紙を製造する方法と同様の方法によって行うことができる。以下、工程(A1)について説明する。
植物繊維を抄紙することにより、紙シートを得る。この植物繊維は、上述したパルプを原料とするものが好ましい。
上記工程(A1)に供する植物繊維のフリーネスの上限としては、700mLが好ましく、650mLがより好ましい。フリーネスを上記上限以下とすることで、パルプ間の結合が高まり、熱可塑性樹脂組成物の強度を高めることなどができる。一方、このフリーネスの下限としては、50mLが好ましく、100mLがより好ましく、200mLがさらに好ましく、300mL、400mL又は500mLがよりさらに好ましいこともある。フリーネスを50mL以上とすることで、製造の際の抄紙機での脱水処理が早まり、生産性が高まる。なお、上記フリーネスは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて植物繊維を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて濾水度を測定した値である。
植物繊維のフリーネスは、パルプの叩解条件を調整することなどによって、調整することができる。パルプの叩解は、一般的に紙の製造で使われるビーターやシングルディスクリファイナー、ダブルディスクレファイナー、コニカル型レファイナーを適宜使用することができる。
植物繊維の抄紙、脱水、乾燥は、紙の製造に使われるパルプ漉き取り機又は抄紙機を用いるのが好ましい。フィルタープレス等にて脱水する方法もあるが、フィルタープレス自身が生産性に劣り、また、フィルタープレスで除去しきれなかった水分を乾燥する必要があるが、不定形の脱水パルプを乾燥させるには熱風ドライヤーで乾燥させる他なく、結果、コストアップの要因となる。
抄紙機のワイヤーとしては、一般的な紙の製造に使われている円網、長網、短網、ギャップフォーマー等で良く、乾燥方式は多筒式ドライヤー、ヤンキードライヤー、熱風式ドライヤー等が使える。
結着剤であるメラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂の混合方法は、紙に内添する方法でも良いし、植物繊維をシート化した上で、シート上に含浸または塗布してもよい。塗布方法は一般的に製紙に使われる、2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、コンマコーター等が使われるが、シートの内部まで結着剤を浸透させ、均一に植物繊維を被覆させるためには2ロールサイズプレス及びブレードコーターが好ましい。
このような工程(A1)を経て得られた、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂を含む紙シートが、上記混合物となる。上記紙シートの密度の上限としては、1g/cmが好ましく、0.8g/cmがより好ましい。また、この紙シートの密度の下限としては、0.4g/cmが好ましく、0.6g/cmがより好ましい。このように紙シートの密度を上記範囲とすることで、工程(B)に供した際に均一な粒子径が得られる。なお、かかる密度が上記上限を超えると、上記紙シートを工程(B)に供した際に、植物繊維間の結合強度が強すぎるために、粉砕が均一に行えず、未粉砕の紙片が残る場合がある。一方、密度が上記下限以下になると、繊維間の結合が弱いため、粉砕の際に紙シートが破断してしまい、粉砕効率が悪くなる。
工程(A1)のように、植物繊維に予めメラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂を添加し、抄紙機でシートを作製することで、効率良く上記樹脂を植物繊維表面に均一に被覆でき、ドライヤーの熱を利用して植物繊維と上記樹脂の結合を促進させておくことで、効率よく植物繊維を熱可塑性樹脂の中に均一に分散させ、熱可塑性樹脂組成物の強度を高めることができる。また、予め、植物繊維のシートを作製した後、2ロールサイズプレスやブレードコーター等でメラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂を塗布し、乾燥することでも同様の効果が得られる。
このように、この工程(A1)において、予め植物繊維の表面に結着剤(メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂)を接触させておくことで、混練中に結着剤を添加するよりも効率的に植物繊維の熱可塑性樹脂中の相溶性や結合性を安価に効率的に高めることができる。
(工程(A2))
工程(A2)は、工程(A1)のように、結着剤を含む紙シートを製造するかわりに、結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程である。この古紙パルプが、植物繊維及び結着剤を含む混合物である。このような古紙パルプは、古紙となる前の段階において、実質的に工程(A1)を経て製造されており、このような古紙パルプを用いても、上記工程(A1)と同様の上述した効果を得ることができる。
また、メラミン樹脂やポリアミドアミン樹脂は製紙用途では湿潤紙力増強剤として添加され、紙や板紙の耐水性を飛躍的に向上させることができる成分であり、一方で耐水性が高くなり過ぎるために、紙や板紙を水に投入し、パルプの状態まで解繊することが難しくなり、紙や板紙の原料としてリサイクルすることは難しい。このため、燃料の一部としてサーマルリサイクルを行ったり、産業廃棄物として処理されたりといったことがなされている。これに対し、当該製造方法によれば、湿潤紙力増強剤(メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂)を添加し、耐水性が向上した紙や板紙を熱可塑性樹脂の補強材として有効に活用できることができる。
(工程(B))
工程(B)においては、上記混合物(紙シート又は古紙パルプ)に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を50μm以上300μm以下に調整する。物理的解繊処理としては、乾式粉砕が挙げられる。乾式粉砕することで、粒子の大きさが均一になるため好ましい。粉砕は、ミキサー、ハンマーミル、カッターミル、石臼状マスコロイダー等で行うことができるが、生産性などの点からハンマーミルを用いることが好ましい。
粉砕等の物理的解繊処理を経た、工程(C)に供する混合物の体積平均粒子径(D50)の上限としては、300μmが好ましく、250μmがより好ましく、200μmがさらに好ましく、100μmがよりさらに好ましい。混合物の体積平均粒子径を上記上限以下とすることで、分散性が高まり、補強効果を高めることができる。一方、この混合物の体積平均粒子径(D50)の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、20μmがさらに好ましく、50μmがよりさらに好ましい。体積平均粒子径が細かくなりすぎると、見かけの嵩比重が下がり、空中に飛散するなど、作業効率が落ちる場合がある。なお、上記混合の体積平均粒子径とは、ISO−13320(2009)に準拠して、粒度分布測定装置(例えばセイシン企業社の「レーザー回折・散乱式粒度分布測定器」)を用いて測定される体積基準粒度分布から取得されるメジアン径(D50)をいう。
粉砕等の物理的解繊処理を経た、工程(C)に供する混合物の嵩密度としては、100g/m以上であることが好ましい。このように、ある程度の嵩密度を有することで、混連の際の投入効率が改善され、生産性を高めることができる。なお、この嵩密度の上限としては、例えば300g/mであり、200g/mが好ましい。
(工程(C))
工程(C)においては、上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する。このとき、熱可塑性樹脂には、相溶化剤、無機充填剤等の他の成分が添加されていてもよい。各成分の添加は、同時であってもよく、別々であってもよい。
(工程(D))
工程(D)においては、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する。この混練処理は、通常、溶融混練である。混練は、熱可塑性樹脂のペレットに直接繊維を練りこむ方法でも良いし、熱可塑性樹脂の粉末と上記混合物とを水中で分散し、脱水・乾燥の後、混練する固相せん断法と呼ばれる方法でも良い。
混練処理の際の温度は、熱可塑性樹脂の融点以上であることが好ましく、例えば130〜220℃とするのが好ましく、150〜215℃とするのがより好ましく、180〜210℃とするのがさらに好ましい。
混練処理の時間は、1〜180分とするのが好ましく、2〜80分とするのがより好ましく、3〜20分とするのが特に好ましい。
混練処理の装置としては、例えば、ニーダー、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等(減圧式混練機のように乾燥時間を短縮できる装置も含む)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
<成形方法>
当該熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の方法で成形し、強度の高い成形体を得ることができる。成形体の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えばシート状、ペレット状、粉末状、繊維状等とすることができる。
成形処理の際の温度は、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(融点約160℃)を使用する場合は、160〜220℃とするのが好ましく、170〜210℃とするのがより好ましく、175〜200℃とするのが特に好ましい。
成形処理の装置としては、例えば射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
成形処理は、公知の成形方法によることができ、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等によることができる。また、混練物を紡糸して繊維状にし、前述した植物材料等と混繊してマット形状、ボード形状とすることもできる。混繊は、例えば、エアーレイにより同時堆積させる方法等によることができる。
なお、この成形処理は、上記工程(D)の混練処理と連続して行ってもよい。また、混練して得られた熱可塑性樹脂組成物をいったん冷却し、破砕機等を使用してチップ化した後、このチップを押出成形機や射出成形機等の成形機に投入して行うこともできる。
本発明について以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各種測定及び評価は、以下の方法により行った。
(フリーネス)
JIS P8121−2:2012に準拠して測定した。
(植物繊維の粒子径(D50))
植物繊維の水分散液を用いて体積基準粒度分布を測定し、植物繊維の粒子径としてメジアン径(D50)を求めた。
(植物繊維と結着剤とを含む混合物の粒子径(D50))
混合物の水分散液を用いて体積基準粒度分布を測定し、混合物の粒子径としてメジアン径(D50)を測定した。
(曲げ強度及び曲げ弾性率)
JIS K7171:2008(プラスチック−曲げ特性の求め方)に準拠して測定した。
[実施例1]
(紙シートの製造:工程(A))
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクレファイナーにてカナダ標準フリーネス640mLに調整し、植物繊維とした。この植物繊維100質量部に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂であるスミレーズレジンAC36質量部(住友化学、有姿、濃度8%)、硫酸バンド4質量部(有姿、濃度27%)、アニオン性ポリアクリルアミドハーマイドF15 2質量部(ハリマ化成、有姿、濃度15%)を加え、原料スラリーを調製した。
次いで、上記原料スラリーをワイヤーパート、プレスパート及びドライヤーパートを経て抄紙し、紙シートを得た。このドライヤーパートにおける乾燥温度は、110℃に調整した。なお、ワイヤーパートでは傾斜短網を、プレスパートではストレートスルー型を、ドライヤーパートではヤンキードライヤーを用いて米坪150g/mのシートを抄紙した。
(紙シートの粉砕:工程(B))
上記紙シートをカッターミルで粉砕し、混合物粒子(D50:90μm、嵩密度:120g/m)を得た。なお、混合物粒子中の植物繊維の粒子径(D50)も90μmであった。
(混合物粒子の熱可塑性樹脂への添加及び混練:工程(C)及び(D))
上記混合物粒子10質量部、相溶化剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン粉末(化薬アクゾ製のカヤブリッド)5質量部、及び熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン粉末(日本ポリプロ製、ノバテックPP射出成型グレードM3、粒径500μm程度、融点158℃)85質量部を500mlビーカー中で撹拌し、混合処理を行った。混合した粉末を180℃に調整した二軸混練機にて45rpmで混練し、実施例1の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
(成形処理)
上記熱可塑性樹脂組成物ペレットを180℃で直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)に射出成形した。
[実施例2]
混合物粒子と相溶化剤と熱可塑性樹脂とを50質量部、5質量部及び45質量部で混合したこと以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
上記メラミン−ホルムアルデヒド樹脂をポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂とした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
混合物粒子のかわりに、LBKPパルプを家庭用ジューサーミキサーにて2000回転/分にて5分間粉砕した粒子(嵩密度:60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例2]
混合物粒子のかわりに、レッテンマイヤー社製のセルロース微粒子(D50:200μm)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
[評価]
得られた各直方体試験片について、上記した方法にて、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006960815
表1に示されるように、実施例1〜3の各熱可塑性樹脂組成物から成形された成形体は、曲げ弾性率及び曲げ強度が高い。すなわち、実施例1〜3の各熱可塑性樹脂組成物は、強度の高い成形体を得ることができることがわかる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高い強度を有する成形体を得るための溶融成形材料として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂、植物繊維及び結着剤を含有し、
    上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなり、
    上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン及びポリアセタールから選択される1又は2以上の組合せからなり、
    上記植物繊維100質量部に対する上記結着剤の含有量が、0.5質量部以上20質量部以下である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 記植物繊維の主成分が天然セルロースである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記植物繊維の体積平均粒子径が、5μm以上300μm以下であり、
    上記結着剤が、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び/又はポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂である請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 植物繊維及び結着剤を含む混合物を用意する工程と、
    上記混合物を熱可塑性樹脂に添加する工程と
    を備え、
    上記混合物を用意する工程が、
    植物繊維と結着剤とを混合する工程、又は
    結着剤を含有する古紙由来の古紙パルプを用意する工程を含み、
    上記結着剤が、メラミン樹脂及び/又はポリアミドアミン樹脂からなる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 上記添加する工程より前に、上記混合物に対する物理的解繊処理により、混合物の体積平均粒子径を5μm以上300μm以下に調整する工程と、
    上記添加する工程より後に、上記混合物が添加された熱可塑性樹脂を混練処理する工程と
    を備える請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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