JP2004331844A - 発泡性樹脂組成物及びその発泡体 - Google Patents

発泡性樹脂組成物及びその発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物であって、良好な強度を示し、特に高い耐衝撃性を有する発泡性樹脂組成物及び該発泡性樹脂組成物を発泡してなる発泡体を得る。
【解決手段】(イ)合成樹脂100重量部と、(ロ)一般式
Ti2−(y+z)
〔式中、A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。〕
で表される層状チタン酸塩を酸または温水で処理し、A及び/またはMイオンの40〜99%を水素及び/またはヒドロニウムイオンで置換し、次いで層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させ、層間を膨潤または剥離して得られる層状チタン酸0.5〜100重量部と、(ハ)発泡剤0.05〜30重量部とからなる発泡性樹脂組成物及び該発泡性樹脂組成物を発泡させた発泡体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性樹脂組成物に関する。より詳しくは、本発明は、合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物及びその発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近になって、化学物質をナノメーター(nm)レベルまで微小化すると、元の化学物質とは異なる特性を示すことに大きな関心が寄せられ、様々な化学物質について、ナノスケール物質を合成することが試みられている。無機化合物の分野においては、厚みがサブnm〜nmの範囲にあるナノシートが合成されて合成樹脂の充填材とし、発泡剤と組み合わせて発泡性樹脂組成物又は発泡体を得る研究が進められている。
【0003】
そのような技術としては、例えば、珪藻土等の粘土鉱物に発泡剤及びシランカップリング剤を吸着させた樹脂発泡体(特許文献1)や層状珪酸塩の層間に発泡剤を挿入したものを用いた難燃性樹脂組成物(特許文献2)が挙げられる。
しかしながら、このような珪酸系の充填材を用いた発泡体の場合、衝撃等に対する強度の点で満足のいくものが得られていない。
【0004】
ところで、生分解性樹脂は自然環境に廃棄しても数年から十数年で分解されるという好ましい特性から近年特に注目されており、その中で例えばポリ乳酸系樹脂は、トウモロコシ等の再生可能な植物資源から製造され、各種産業分野において幅広く利用されつつある。
【0005】
しかし、ポリ乳酸系樹脂を始めとする生分解性樹脂は、その粘度が低く、単に発泡剤と組み合わせて発泡体した場合には、発泡倍率が不十分で、形成される気泡形状も不均一で粗いものとなる。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−143697号公報
【特許文献2】
特開平10−182141号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物であって、良好な強度を示し、特に高い衝撃耐性を有している該発泡性樹脂組成物を発泡してなる発泡体を提供することにある。また、合成樹脂として生分解性樹脂を使用した満足のいく発泡体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物及びその発泡体とした場合に、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、下記1〜5の発泡性樹脂組成物及びその発泡体に係る。
1.(イ)合成樹脂100重量部と、(ロ)一般式
Ti2−(y+z)
〔式中、A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。〕
で表される層状チタン酸塩(以下「層状チタン酸塩(1)」という)を酸または温水で処理し、A及び/またはMイオンの40〜99%を水素及び/またはヒドロニウムイオンで置換し、層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させ、層間を膨潤または剥離して得られる層状チタン酸(以下「層状チタン酸(1a)」という)、並びに、層状チタン酸(1a)に酸処理を施しまたは施さず、層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させて得られる層状チタン酸(以下「層状チタン酸(1b)」という)から選ばれる1種または2種以上の層状チタン酸0.5〜100重量部と、(ハ)発泡剤0.05〜30重量部とからなる発泡性樹脂組成物。
2.層状チタン酸の形状が板状または薄片状であり、平均厚さが10nm〜20μmである上記1に記載の発泡性樹脂組成物。
3.合成樹脂が熱可塑性樹脂である上記1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
4.合成樹脂が生分解性樹脂である上記1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
5.生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂である上記4記載の発泡性樹脂組成物。
6.発泡剤が熱分解型発泡剤である請求項1乃至5記載の発泡性樹脂組成物
7.上記1乃至6のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物を発泡してなる発泡体。
【0010】
本発明は新規な合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物及びその発泡体に関し、該発泡体は十分な強度を備えている。更に有用なポリ乳酸系樹脂を始めとする生分解性樹脂の発泡体を製造するに際し、本発明の構成を採用することで満足のいく均一で微細な気泡状態を有する発泡体とすることを可能とし、また、従来使用される無機充填材と比較し、本発明において使用する特定の層状チタン酸の使用量を減じても同等の効果が得られる特徴を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、合成樹脂と特定の層状チタン酸と発泡剤とを必須成分とする。
【0012】
本発明において、合成樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用できるが、発泡を良好に行なう観点からは、熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては特に制限されず、公知のものをいずれも使用でき、例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等)、加硫及び未加硫のゴム(天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、EPDM、イソプレンゴム、イソブチレンーイソプレンゴム、NBR、SBR等)等を挙げることができる。
【0013】
これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスチレン、芳香族ポリカーボネート等を好ましく使用できる。
【0014】
また、生分解性樹脂を好ましく使用することができる。
ポリオレフィンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1等)とのランダム重合体及びブロック重合体等のポリプロピレンを挙げることができる。また、極性が付与された変性ポリプロピレンも使用できる。成形性等を考慮すると、メルトフローが0.1〜100g/10分のものが好ましい。
【0015】
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合物)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合物)、ナイロン612(ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸の重縮合物)、ナイロンMXD6(メタキシリレンジアミンとアジピン酸の重縮合物)、ナイロン46(1,4ジアミノブタンとアジピン酸との重縮合物)、半芳香族ナイロン、上記ナイロンを構成するモノマー成分の2種以上からなる共重合ナイロン等を挙げることができる。これらの中でも、ナイロン6、ナイロン66等が好ましい。
【0016】
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリ乳酸等を挙げることができる。
【0017】
ポリアセタールの市販品としては、「Delrin」、「Duracon」(いずれも商品名)等を挙げることができる。
ポリスチレンには、スチレンの重合体及びスチレンを主成分とする重合体が包含され、具体的には、一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−プタジエン−スチレン(ABS)樹脂等を挙げることができる。
【0018】
芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールAのナトリウム塩とホスゲンから得られるポリカーボネート等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上のアロイもしくはブレンドとしてもよい。
【0019】
熱可塑性樹脂でもある生分解性樹脂としては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、合成ポリペプチド、アミロース、セルロース、デキストラン、アルギン酸、キチン、キトサン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、一段直接重合ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリグラクチン、ポリリンゴ酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ−1,4−ジオキセバン−7−オン、ポリセバシン酸無水物、ポリ−1,3−ジオキサン−2−オン、ポリ−α−シアノアクリル酸エチル、ポリ−α−シアノアクリル酸ブチル、ヒドロキシブチレートとバリレートの共重合体、微生物多糖、ポリ−γ−メチルグリクメート、コハク酸とブタンジオール/エチレングリコールのポリエステル、キトサンとセルロースの混合物、デンプン(60%)+PCL+PVAのアロイ、デンプン(90〜95%)+添加物、デンプン(5〜20%)+ポリオレフィン等を挙げることができる。
【0020】
これら生分解性樹脂は、ポリ乳酸に代表されるように、概してその粘度が低く、単に発泡剤と組み合わせて発泡させても発泡気泡の緻密性や均一性において、満足の得られない発泡体を与えてしまう欠点を有している。
これら生分解性樹脂は1種を単独で使用でき、2種以上のアロイもしくはブレンドとしてもよく、他の熱可塑性樹脂と組み合わせてもよい。
【0021】
一方、熱硬化性樹脂としても特に制限されず、公知のものをいずれも使用できるが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等を好ましく使用できる。
【0022】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0023】
不飽和ポリエステルとしては、ポリエステルの分子鎖中に不飽和基の二重結合を有し、これらが溶剤でもあるビニル系モノマーと容易に共重合して架橋し硬化体となる樹脂等を挙げることができる。即ち、不飽和ジカルボン酸であるマレイン酸またはフマル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジまたはトリエチレングリコール、ジまたはトリプロピレングリコール等の二価アルコールを縮重合したものをスチレン等のビニル系モノマーに溶解したものである。改質を目的として、例えば、不飽和ジカルボン酸の一部をフタル酸等で置き換えてもよい。
【0024】
ビニル系モノマーとしては、スチレンその他のアクリル酸エステル等を挙げることができる。ビニルエステル樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリけい皮酸ビニル、ビスフェノール型エポキシ樹脂等に、メタクリル酸、アクリル酸等を反応して得られる樹脂を挙げることができる。
【0025】
フェノール樹脂としては、フェノール化合物とアルデヒド化合物との付加・縮合物等を挙げることができる。フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフエノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等を挙げることができる。アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドベンズアルデヒド、グリオキザール等を挙げることができる。より具体的には、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを、塩基触媒下で反応させたレゾール型フェノール樹脂、酸触媒下で反応させたノボラック型フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0026】
ポリウレタンとしては、例えば、多価イソシアナート化合物とポリエーテル、ポリエステル等のポリオールとの反応物等を挙げることができる。イソシアナート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアナート、ジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、多核ポリイソシアナート等を挙げることができる。ポリオールの具体例としては、2個のOH基を有するジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等、3個のOH基を有するグリセリン、4個のOH基を有するエリトリトール、5個のOH基を有するアラビトール、6個のOH基を有するソルビトール等を挙げることができる。
【0027】
熱硬化性樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明において、合成樹脂への充填材として使用する、層状チタン酸(1a)及び層状チタン酸(1b)は、層状チタン酸の層間に塩基性化合物がインターカレートした層状チタン酸/塩基性化合物複合体、層状チタン酸の表面にイオン結合によって塩基性化合物が結合した層状チタン酸/塩基性化合物複合体、または、層状チタン酸の層間に塩基性化合物がインターカレートし且つ層状チタン酸の表面にイオン結合によって塩基性化合物が結合した層状チタン酸/塩基性化合物複合体のいずれかの形態をとるものである。
【0028】
層状チタン酸(1a)及び層状チタン酸(1b)は、その形状が板状または薄片状(鱗片状)であり、通常平均厚さが10nm〜20μm、好ましくは20nm〜10μm、平均長径が通常0.1〜50μm、好ましくは1〜40μmである。
【0029】
なお、本発明で使用する層状チタン酸に限らず、板状(または薄片状または鱗片状)無機化合物は、真上から見た形状が方形乃至多角形状の非常に不規則なものであり、測定する個所により複数の粒径を持つことになる。本発明においては、これらの複数の粒径の中で、最も長いものを長径とする。
【0030】
層状チタン酸(1a)は、層状チタン酸塩(1)を酸または温水で処理し、層状チタン酸塩(1)中のA及び/またはMイオンの40〜99%を水素及び/またはヒドロニウムイオンで置換した後、層間膨潤作用のある塩基性化合物を作用させ、層間を膨潤または剥離することにより製造できる。
【0031】
また、層状チタン酸(1b)は、層状チタン酸(1a)に酸処理を施しまたは施さず、次いで層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることによって製造する事ができる。
【0032】
層状チタン酸(1a)及び層状チタン酸(1b)は、従来の無機化合物系層状ナノシート及び層状チタン酸ナノシートに比べ、各種樹脂マトリックスへの分散性が良好であるという特性を有する。更に、層状チタン酸(1a)及び層状チタン酸(1b)は、従来の層状チタン酸ナノシートのように、乾燥等によって塊状化する場合が少なく、たとえ塊状化しても粉砕によって容易に紛状化できるので、水分散液ではなく粉末として使用でき、取扱いが非常に容易である。
【0033】
従って、層状チタン酸(1a)及び/または層状チタン酸(1b)を樹脂に配合する場合には、溶融混練法等の一般的な方法により、樹脂種に関係なく、層状チタン酸ナノシートが均一に分散した樹脂組成物を得ることができる。該樹脂組成物は、樹脂単独の場合及び樹脂に従来の無機化合物系層状ナノシートや層状チタン酸ナノシートを配合した場合よりも、機械的強度が向上し、特に弾性率が著しく向上し、耐熱性にも特に優れている。
【0034】
層状チタン酸塩(1)は、上記一般式(1)で表され、一般式(1)におけるAは、価数1〜3の金属であり、好ましくは、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種である。Mは、金属Aとは異なる、価数1〜3の金属であり、好ましくは、Li、Mg、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn及びNiから選ばれる少なくとも1種である。
【0035】
層状チタン酸塩(1)は、例えば、特許第3062497号公報に開示された方法により製造することができる。具体的には、金属A、M及びTiの酸化物または加熱により該酸化物となる原料化合物を、必要に応じて粉砕・混合した後、フラックスの存在下または混在下に加熱焼成すればよい。フラックスとしては、例えば、アルカリ金属のハロゲン化物や硫酸塩、アルカリ土類金属のハロゲン化物や硫酸塩等を挙げることができる。フラックスは、フラックス/原料化合物の重量比が0.1〜2.0になるように使用すればよい。加熱焼成は、700〜1200℃の温度下に行われる。その他の製造例としては、特許第2979132号公報に開示の方法に従い、炭酸セシウムと二酸化チタンをモル比1:5.3で混合し、800℃で焼成することにより、レピドクロサイト型類似チタン酸塩化合物である斜方晶チタン酸セシウム(CsTi2−x/4,x=0.70)を得る方法、国際公開公報WO99/11574号公報に開示の方法に従い、炭酸カリウム(KCO)と炭酸リチウム(LiCO)と二酸化チタン(TiO)をK/Li/Ti=3/1/6.5(モル比)で混合して摩砕し、800℃で焼成することにより、レピドクロサイト型類似チタン酸塩化合物であるK0.8Li0.27Ti1.73を得る方法等が挙げられる。層状チタン酸塩(1)の具体例としては、例えば、K0.80Li0.266Ti1.733、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.70Ti1.77Li0.23、Ce0.7Ti1.8250.175、Ce0.7Ti1.65Mg0.35、K0.8Ti1.6Mg0.4、K0.8Ti1.6Ni0.4、K0.8Ti1.6Zn0.4、K0.8Ti1.6Cu0.4、K0.8Ti1.2Fe0.8、K0.8Ti1.2Mn0.8、K0.76Ti1.73Li0.22Mg0.05、K0.67Ti1.73Al0.07Li0.2等を挙げることができる。
【0036】
層状チタン酸塩(1)の酸処理または温水処理は、無機化合物に通常採用される公知の方法により行われる。
酸処理の場合は、例えば、層状チタン酸塩(1)の水分散液に、好ましくは撹拌下、酸を加えればよい。水分散液中の層状チタン酸塩(1)の量は特に制限されず、作業性等を考慮して適宜選択すればよい。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸を好ましく使用できるが、有機酸を用いてもよい。酸の使用量は、層状チタン酸塩(1)の一般式中A及び/またはMイオンの水素及び/またはヒドロニウムイオンへの置換率に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、層状チタン酸塩(1)のイオン交換容量の0.1〜20倍程度を用いれば良い。酸処理は1回の操作で行ってもよいし、酸の濃度を低くするかまたは酸の使用量を少なくして、繰返し行っても良い。繰返し酸処理を行うと、置換率を容易に変化させることができる。これにより、少量の酸でも回数を重ねれば置換率を変化させることができる。
【0037】
温水処理は、例えば、通常40℃以上、好ましくは60℃以上の温水に層状チタン酸塩(1)を分散させ、撹拌すればよい。温水処理は、通常1〜10時間、好ましくは2〜5時間で終了する。温水処理は繰返し行っても良い。
【0038】
酸処理または温水処理により、層状チタン酸塩(1)中のA及び/またはMイオンの40〜99%、好ましくは60〜95%が水素及び/またはヒドロニウムイオンで置換された層状チタン酸を得ることができる。なお、得られる層状チタン酸における、A及びMで示される金属の水素及び/またはヒドロニウムイオンへの置換率は、公知の方法に従って測定できる。例えば、Liは、試料を硫酸アンモニウム含有硫酸に溶解した後、炎光分析により定量できる。同様に、K、Ti、Mg、Rb、Cs、Zn、Al、Fe、Ni、Cu、Ni、Ga等は蛍光X線分析法で定量できる。従って、酸処理または温水処理前後の金属量を定量することにより、置換率を算出できる。
【0039】
層間膨潤作用のある塩基性化合物類としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、ジペンチルアミン、ジオクチルアミン、ジベンジルアミン、トリオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のアルキルアミンあるいはこれらの塩、およびエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアルカノールアミンあるいはこれらの塩、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの水酸化4級アンモニウムおよび塩、あるいはドデシルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、ジメチルジステアリルアンモニウム塩、ジメチルジデシルアンモニウム塩、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム塩、ドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、12−アミノドデカン酸、アミノカプロン酸あるいはこれらの塩、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ポリエチレンイミンあるいはこれらの塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。さらに、テトラブチルホスホニウム塩、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム塩、ドデシルトリブチルホスホニウム塩、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩等の有機ホスホニウム塩も使用可能である。そしてこれらの塩基性化合物類は、目的に応じて、1種類あるいは数種類を混合して用いても良い。
【0040】
塩基性化合物を作用させるには、酸処理または温水処理後の層状チタン酸を水系媒体に分散させた懸濁液に、撹拌下に、塩基性化合物または塩基性化合物を水系媒体で希釈したものを加えればよい。塩基性化合物類の添加量は、効率良く膨潤または剥離を行うことを考慮すると、層状チタン酸塩(1)のイオン交換容量の1〜200当量%、好ましくは5〜100当量%とするのがよい。イオン交換容量とは、層状チタン酸塩(1)のAの価数をm、Mの価数をnとする時、mx+nyで表される値をいう。水系媒体とは、水、水に可溶な溶媒または水と水に可溶な溶媒との混合溶媒を意味し、水に可溶な溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、テトラハイドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
【0041】
なお、塩基性化合物によって層の剥離を行う場合には、強い剪断力が負荷される状態は避け、弱い撹拌力で行うのが好ましい。それにより、層状チタン酸塩(1)の粒度に近い粒度分布を有する層状チタン酸(1a)を得ることができる。
【0042】
層状チタン酸(1a)から層状チタン酸(1b)を得るための酸処理は、上記の酸処理と同様に行うことができる。
層状チタン酸(1a)から層状チタン酸(1b)を得るための塩基性化合物による処理は、塩基性化合物の使用量をイオン交換容量の0.1〜100当量%とする以外は、上記の塩基性化合物による処理と同様に行うことができる。
【0043】
層状チタン酸(1a)及び層状チタン酸(1b)は、それぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、層状チタン酸(1a)の1種または2種以上と、層状チタン酸(1b)の1種または2種以上とを併用してもよい。
【0044】
本発明の樹脂組成物における、層状チタン酸の配合量は特に制限されず、合成樹脂の種類、得ようとする樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、合成樹脂100重量部に対し通常0.5〜100重量部、好ましくは0.5〜20重量部とすればよい。0.5重量部を下回ると、補強効果が期待できず、一方100重量部を超えると成形が困難になる。
【0045】
また、合成樹脂としてポリ乳酸系樹脂を始めとする生分解性樹脂を使用する場合において、層状チタン酸の使用量としては、生分解性樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは1〜5重量部であり、少量で均一で緻密な気泡状態の発泡体を得ることができる。
【0046】
本発明において使用する発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好ましく、熱分解型発泡剤としては有機系分解型発泡剤及び無機系分解型発泡剤が挙げられる。
有機系分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボン酸バリウム、ヒドラゾジカルボンアミド等のアゾ系化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド等のニトロソ化合物、5−フェニルテトラゾール、4−アミノウラゾール等の複素環系化合物等、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機酸の金属塩類を挙げることができる。
【0047】
無機系分解型発泡剤としては、例えば、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0048】
これらの中でも、有機系分解型発泡剤を好ましく使用でき、分解温度の調整範囲、安全性、取扱い性、経済性等を考慮すると、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。
【0049】
熱分解型発泡剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
熱分解型発泡剤の配合量は特に制限されず、樹脂の種類、層状チタン酸の配合量、熱分解型発泡剤そのものの種類、発泡条件、得られる発泡体の用途等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、樹脂組成物100重量部に対して0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部とすればよい。
【0050】
本発明において、有機系分解型発泡剤には表面処理を施しても良い。表面処理剤としては公知のものを使用でき、例えば、シラン系カップリング剤(メチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等)、アルミニウム系カップリング剤(アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等)、チタネート系カップリング剤(イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート等)等のカップリング剤、液状乃至固体状の油脂(大豆油、ヤシ油、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、パインオイル、ロジン、ヒマシ油、牛脂、スクワラン、ラノリン、硬化油等の植物性または動物性の天然油脂及びこれらの精製品等)、炭化水素類(炭素数20〜48の脂肪族炭化水素類及びその誘導体、炭素数8〜19の芳香族炭化水素類及びその誘導体(例えばジオクチルフタレート等のジアルキルフタレート類、ノニルアルコールフタレート等の高級アルコールフタレート類等)、パラフィン系、ナフテン系または芳香族系のプロセス油、流動パラフィン等)、脂肪酸類(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘミン酸等の脂肪酸類及びその塩類もしくは誘導体等)等の油脂類を挙げることができる。
【0051】
本発明においては、得られる発泡体の物性を損なわない範囲で、分解促進剤を配合することができる。分解促進剤としては公知のものを使用でき、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、炭酸亜鉛、炭酸鉛、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、塩化亜鉛、塩化カリウム等の金属塩化物、酢酸亜鉛等の金属酢酸塩、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、尿素等を挙げることができる。分解促進剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。分解促進剤を配合する場合、その配合量は特に制限されないが、通常分解型発泡剤100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部とすればよい。
【0052】
本発明においては、得られる発泡体の物性を損なわない範囲で、発泡核剤を配合することができる。発泡核剤としては公知のものを使用でき、例えば、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。核剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用してもよい。発泡核剤の配合量は特に制限されず、樹脂の種類、層状チタン酸の種類や配合量、発泡核剤そのものの種類、分解型発泡剤の種類や配合量、発泡条件、得ようとする発泡体の物性や用途等に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、通常樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜5重量部とすればよい。
【0053】
本発明の発泡性樹脂組成物には、その好ましい特性を損なわない範囲で、従来から樹脂添加剤として用いられている各種の有機化合物または無機化合物の1種または2種以上を配合できる。その具体例としては、例えば、各種形状(粒子状、繊維状、鱗片状)の無機質充填剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、潤滑剤、熱安定剤、難燃剤、ドリップ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、遮光剤、金属不活性剤、老化防止剤、滑剤、可塑剤、衝撃強度改良剤、相溶化剤等を挙げることができる。
【0054】
熱可塑性樹脂をマトリックスとする本発明の発泡性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、所定量の層状チタン酸、発泡剤及び必要に応じて樹脂添加剤を、公知の手段に従って混合または混練することにより製造できる。例えば、粉末、ビーズ、フレークまたはペレット状の各成分を必要に応じてミキサーやタンブラーで混合した後、1軸押出機、2軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練機等を用いて混合及び混練することにより、本発明の樹脂組成物を得ることができる。この様にして得られる樹脂組成物を粉砕機やペレタイザー等を用いてペレット化し、射出成形や押出し成形等の公知の成形手段に従って、フィルム、チューブ、シート、各種成形品等の任意の形状に加工することができる。
【0055】
また、層状チタン酸を高濃度に含んだマスターバッチを作成し、射出成形や押出し成形等により成形加工する段階で、マスターバッチの樹脂と同種または異種の樹脂で希釈または混合して使用することができる。
【0056】
本発明の発泡性樹脂組成物を発泡させる方法としては、より具体的には、(1)樹脂、層状チタン酸及び分解型発泡剤を、該分解型発泡剤が分解しない温度で混練し、得られる混練物を押出成形、カレンダーロール成形、プレス成形等で所定の形状に成形した後、加熱して分解型発泡剤を分解させてガスを発生させ、発泡体を得る方法、(2)樹脂、層状チタン酸及び分解型発泡剤を、該分解型発泡剤が分解しない温度で混練し、得られる混練物をパルプ紙、水酸化アルミ紙、布、石膏ボード、繊維素ボード、パーライト板等の基板にナイフコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置またはシルクスクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷等の印刷装置を用い、乾燥後の膜厚が0.05〜0.50mmとなるように塗布または印刷し、電気加熱式熱風炉、LPG燃焼式熱風炉、オイル燃焼式熱風炉等の乾燥炉を用いて分解型発泡剤の分解しない温度(通常80〜150℃)で30秒〜5分間乾燥し、次いで、分解型発泡剤の分解温度まで温度を上昇させ、分解型発泡剤を分解して発泡体を得る方法、(3)樹脂、層状チタン酸及び分解型発泡剤を混合し、樹脂の溶融と分解型発泡剤の分解が起こる温度で押出成形、射出成形、プレス成形を行い、所定形状の発泡体を得る方法等を挙げることができる。いずれの方法においても、発泡(=分解型発泡剤の分解)は、通常180〜230℃の温度下に行われ、通常20秒〜3分程度で終了する。
【0057】
本発明の発泡体は、軽量で弾性に富み、断熱性、衝撃吸収性、防音性、装飾性等に優れるため、断熱材、内装材、シール材、クッション材等として、例えば、電子・電気・精密機器、自動車、各種容器、スポーツ用品、生活関連用品、包装用資材、機械部品用資材、土木建設用資材、農林水産等の広範な産業分野で従来から樹脂の発泡体が用いられている全ての用途で使用可能である。
【0058】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において「%」及び「部」とあるのは、特に断らない限り重量基準を意味するものとする。
【0059】
(参考例)
(層状チタン酸(1a)の合成)炭酸カリウム27.64g、炭酸リチウム4.91g、二酸化チタン69.23g、及び塩化カリウム74.56gを乾式で粉砕混合した原料を、1100℃にて4時間焼成した。焼成後の試料を10kgの純水に浸して20時間撹拌後に分離、水洗したものを110℃で乾燥した。得られた白色粉末は層状チタン酸塩K0.80Li0.266Ti1.733であり、平均長径44μm、平均厚み3μmであった。この層状チタン酸塩65gを3.5%塩酸5kgに分散撹拌し、KイオンとLiイオンを水素イオンまたはヒドロニウムイオンに交換した層状チタン酸とした。分離、水洗して、含水率40%の層状チタン酸を得た。このチタン酸の乾燥後のKO残存量は2.0%であった。Kイオンの交換率は92当量%であり、Liイオンの交換率は99当量%以上であった。KイオンとLiイオンを合わせた交換率は94当量%であった。上記の未乾繰層状チタン酸60gを脱イオン水2.4kgに分散し、撹拌しながら8%ジオクチルアミンのイソプロパノール溶液800g(103当量%)を添加した。1時間加熱撹拌を続けた後、濾過して取り出した。イソプロパノール/水(1/1)2kgで3回加温洗浄後、空気中60℃で乾燥した。さらに減圧下に160℃で20時間乾燥し、層状チタン酸(1a)を得た。なお、得られた層状チタン酸(1a)の平均厚さは5.9μm、平均長径は39μmであった。
【0060】
(層状チタン酸(1b)の合成)炭酸カリウム27.64g、炭酸リチウム4.91g、二酸化チタン69.23g、及び塩化カリウム74.56gを乾式で粉砕混合した原料を、950℃にて4時間焼成した。焼成後の試料を10kgの純水に浸して20時間撹拌後に分離、水洗したものを110℃で乾燥した。得られた白色粉末は層状チタン酸塩K0.80Li0.266Ti1.733であり、平均長径9μm、平均厚み1μmであった。この層状チタン酸塩26gを1.75%塩酸400gに分散撹拌し、KイオンとLiイオンを水素イオンまたはヒドロニウムイオンに交換した層状チタン酸とした。分離、水洗して、含水率37%の層状チタン酸を得た。このチタン酸の乾燥後のKO残存量は6.0%であった。Kイオンの交換率は76当量%であり、Liイオンの交換率は99当量%以上であった。KイオンとLiイオンを合わせた交換率は82当量%であった。上記の未乾繰層状チタン酸18gを600gの水に分散し、0.6%3−メトキシプロピルアミン水溶液285g(25当量%)を撹拌しながら添加した。1時間程度撹拌して層状チタン酸を得た。引き続いて、3.5%塩酸100gを加えて、60℃で撹拌した後、吸引濾過で分離した。含水ケーキを水に分散して水洗、分離する操作を3回行い十分に洗浄した。再度、水600gに分散し、撹拌しながら0.2%ジオクチルアミンのイソプロパノール溶液200g(2.2当量%)を添加した。30分間撹拌を続けた後、濾過して取り出した。イソプロパノール/水(1/1)500gで2回洗浄後、空気中60℃で乾燥した。更に減圧下に160℃で20時間乾燥し、層状チタン酸(1b)を得た。なお、得られた層状チタン酸(1b)の平均厚さは0.04μm(40nm)、平均長径は4.3μmであった。
【0061】
(実施例1)
表1に示す割合(重量部)の各成分を計量し、予めポリプロピレンをラボプラストミル(東洋精機(株)製)に、前期参考例で作成した層状チタン酸(1a)を添加し、混練した。混練条件は180℃、60rpm、5分間とした。次いで熱分解型発泡剤▲1▼を同条件で投入して混練する事によって、本発明の発泡性樹脂組成物を得た。
【0062】
得られた発泡性樹脂組成物を粉砕し、射出成形機(住友重機(株)製MINIMAT 26/15B、シリンダー温度230℃、金型温度45℃)にてJISに準拠した試験片(発泡体)を成形した。
【0063】
(実施例2)
表1に示す割合(重量部)の各成分を計量し、予めポリ乳酸をミキシングロールで溶融混練後、ロール上に前記参考例で作製した層状チタン酸(1a)を添加し、次いで熱分解型発泡剤▲2▼を投入して混合して、本発明の発泡性樹脂組成物を得た。
【0064】
得られた発泡性樹脂組成物を170℃のプレス型に投入、加圧して3m/m厚のシート状とした後、冷却し取り出した。このシート状物を熱風発泡炉において220℃で加熱、発泡を行い、本発明の発泡体を製造した。
【0065】
(実施例3)
表1に示す割合(重量部)の各成分を用い、実施例2と同様にして本発明の発泡体を製造した。
【0066】
(実施例4)
表1に示す割合(重量部)の各成分を用い、実施例1と同様にして本発明の発泡体を製造した。
【0067】
(比較例1〜2)
比較例1及び2は表1に示す割合(重量部)の各成分を用い、実施例1と同様にして本発明の発泡体を製造した。
【0068】
(比較例3〜6)
表1に示す割合(重量部)の各成分を用いる以外は、実施例2と同様にして本発明の発泡体を製造した。
【0069】
尚、上記実施例及び比較例で使用した各成分は、具体的には次の通りである。
ポリプロピレン:商品名 アドマーQE−800 三井化学(株)製
ポリ乳酸▲1▼:商品名 ラクティ#9030 (株)島津製作所製
ポリ乳酸▲2▼:商品名 ラクティ#5000 (株)島津製作所製
膨潤マイカ:膨潤化雲母、市販品
熱分解型発泡剤▲1▼:商品名 ユニファインP−3 大塚化学(株)製
熱分解型発泡剤▲2▼:商品名 ユニフォームAZ 大塚化学(株)製
【0070】
【表1】
Figure 2004331844
【0071】
〔試験例1〕
実施例1、4及び比較例1、2で得られた試験片を用いて曲げ強度(JIS K 7203)を求め、またアイゾット衝撃強さ(IZOD)(ノッチ付き JIS K 7110)を測定した。尚、発泡倍率は電子比重計(ミラジュ貿易(株)製ED−120T)を用い発泡成形前の比重と発泡成形後の比重から下記式により算出した。
【0072】
発泡倍率=発泡成形前の比重/発泡成形後の比重
結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
Figure 2004331844
【0074】
〔試験例2〕
実施例2及び3、比較例3乃至6の各発泡体について、発泡倍率及び発泡セルの気泡状態を評価した。
【0075】
結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
Figure 2004331844
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、良好な強度を示し、特に高い耐衝撃性を有する発泡体を得ることができる発泡性樹脂組成物とすることができる。

Claims (7)

  1. (イ)合成樹脂100重量部と、(ロ)一般式
    Ti2−(y+z)
    〔式中、A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。〕
    で表される層状チタン酸塩を酸または温水で処理し、A及び/またはMイオンの40〜99%を水素及び/またはヒドロニウムイオンで置換し、次いで層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させ、層間を膨潤または剥離して得られる層状チタン酸、並びに、該層状チタン酸に酸処理を施しまたは施さず、次いで層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させて得られる層状チタン酸から選ばれる1種または2種以上の層状チタン酸0.5〜100重量部と、(ハ)発泡剤0.05〜30重量部とからなる発泡性樹脂組成物。
  2. 層状チタン酸の形状が板状または薄片状であり、平均厚さが10nm〜20μmである請求項1に記載の発泡性樹脂組成物。
  3. 合成樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
  4. 合成樹脂が生分解性樹脂である請求項1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
  5. 生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂である請求項4記載の発泡性樹脂組成物。
  6. 発泡剤が熱分解型発泡剤である請求項1乃至5記載の発泡性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物を発泡してなる発泡体。
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