JP2023033403A - 腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤 - Google Patents

腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ケルセチン配糖体の新たな用途を提供することである。【解決手段】ケルセチン配糖体を含む、腸内環境改善剤および、β-グルクロニダーゼ活性阻害剤。【選択図】なし

Description

本発明は、腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤に関する。
フラボノイドは、植物全般、特に柑橘類の幼果や果皮に多く含まれる物質であり、抗炎症、抗アレルギー、高血圧抑制などの生理作用のほか、紫外線吸収作用や抗酸化作用を有することが知られている。フラボノイドは、水への溶解性が乏しいことから、摂取した際に体へ吸収されにくいという問題がある。そのため、フラボノイドに糖転移反応によってα-グルコースを転移させ、水への溶解性を高めた水溶性フラボノイドへの注目が高まっており、食品、化粧品、医薬品への応用が期待されている。例えば、フラボノイドの一種であるケルセチンは、食品や医薬品の成分として広く用いられている。
特許文献1には、腸管での抗炎症作用をもつ機能性栄養成分の一つとしてケルセチンを混合した、腸内環境および腸管バリア改善サプリメントが記載されている。
また、特許文献2には、植物抽出物とプレバイオティクスとの混合物が、ビフィズス菌および乳酸菌の成長を促進することが記載されており、前記植物抽出物として、ポリフェノールが豊富な植物抽出物の例のうち、Ginkgo Bioloba(イチョウの木)の抽出物に含まれる有効成分の一つとして、(イソ)ケルセチン配糖体を含んでいる栄養組成物が記載されている。
特開2014-079208号公報 特表2008-500032号公報
特許文献1に示すように、機能性栄養成分の一つとしてケルセチンを含む腸内環境および腸管バリア改善サプリメントが知られているが、ケルセチン配糖体については検討されていない。また、特許文献2に示すように、(イソ)ケルセチン配糖体を含む栄養組成物が知られているが、腸内での機能性に不明な点が多い。特に、ケルセチン配糖体が腸内細菌叢に与える影響は、不明な点が多い。
本発明の課題は、ケルセチン配糖体が腸内細菌叢に与える影響、その他、腸内に与える影響を検討し、ケルセチン配糖体の新たな用途を提供することにある。
本発明者らは、ケルセチン配糖体の腸内、特に大腸内での機能性について検討した結果、ケルセチン配糖体が腸内環境を改善する作用を有し、またβ-グルクロニダーゼ活性阻害能を有することを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]ケルセチン配糖体を含む、腸内環境改善剤。
[2]経口摂取用である、請求項1に記載の腸内環境改善剤。
[3]ケルセチン配糖体として、α-グルコシルルチンを含む、[1]または[2]に記載の腸内環境改善剤。
[4]大腸内における中立菌の割合を相対的に増加させるための、[1]~[3]のいずれかに記載の腸内環境改善剤。
[5]大腸内における善玉菌の割合を相対的に増加させるための、[1]~[4]のいずれかに記載の腸内環境改善剤。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の腸内環境改善剤を含有する食品又は医薬品。
[7]ケルセチン配糖体を含む、β-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
[8]ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリン、ルチンおよびα-グルコシルルチンから選ばれる少なくとも1つを含む、[7]に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
[9]ケルセチン配糖体として、α-グルコシルルチンを含む、[7]または[8]に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
[10][7]~[9]のいずれかに記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤を含有する食品又は医薬品。
本発明によれば、ケルセチン配糖体を含む腸内環境改善剤、およびケルセチン配糖体を含むβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤を提供することができる。特にケルセチン配糖体が経口摂取された場合、ケルセチン配糖体が小腸では吸収されずに大腸内に到達しやすいことから、大腸内で分解、吸収され、大腸内の中立菌および/または善玉菌の割合を向上させることができ、またβ-グルクロニダーゼ活性を阻害することができる。
図1は、小腸上皮透過試験の実験モデルを示す。 図2は、小腸上皮透過試験の結果を示す。 図3は、乳酸菌培養液試験における、乳酸菌増殖数の結果を示す。 図4は、マウスのフンにおける、各腸内細菌グループの相対DNA量を示す。 図5は、β-グルクロニダーゼ活性阻害試験の結果を示す。
本発明の腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤について説明する。
[腸内環境改善剤]
本発明の腸内環境改善剤は、ケルセチン配糖体を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。前記腸内環境改善剤は、腸内環境を改善する作用(腸内環境改善作用)を有し、腸内環境を改善するために用いられる。
ここで、本明細書において、「腸内」の文脈で使用される場合の「腸」は、小腸および/または大腸を意味する。小腸は、十二指腸、空腸、回腸を含む。大腸は、盲腸、結腸、直腸を含む。また、本発明に従って腸内環境を改善する場合の「腸」は、大腸を含むことがより好ましい。すなわち、本発明の腸内環境改善剤は、大腸内環境改善剤であることが好ましい。
本発明の腸内環境改善作用は、腸内細菌叢において、善玉菌または中立菌を相対的に増加させる作用のことであり、善玉菌として知られているラクトバシラス(Lactobacillus)属およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ならびに中立菌として知られているバクテロイデス(Bacteroides)門およびフィルミクテス(Firmicutes)門のうちから選ばれる少なくとも1つを相対的に増加させる作用のことをいう。なお、属名は、イタリック体(斜体)での表記が一般的であるが、本文中はローマン体での表記とした。
本発明の腸内環境改善作用は、これらの菌の中でも、中立菌として知られているバクテロイデス(Bacteroides)門およびフィルミクテス(Firmicutes)門のうちの少なくとも1つを相対的に増加させる作用であることが好ましい。なお、中立菌としてのフィルミクテス(Firmicutes)門の相対菌体量は、フィルミクテス(Firmicutes)門全体からラクトバシラス(Lactobacillus)属とクロストリジウム クラスター XIVa(Clostridium cluster XIVa)グループの相対菌体量を差し引いた値とした。
≪ケルセチン配糖体≫
ケルセチン配糖体とは、フラボノイドの一種であるケルセチンに各種の糖が結合した化合物であり、例えば、イソクエルシトリン、ルチン、α-グルコシルルチン、α-グルコシルイソクエルシトリンが挙げられる。
本発明で用いられるケルセチン配糖体は、その由来や製法については特に限定されない。ケルセチン配糖体の好ましい態様として、ルチン又はイソクエルシトリンに糖供与体の存在下で糖転移酵素を作用させることによりグルコースを付加させたケルセチン配糖体を使用することができる。また、ケルセチン配糖体は、タマネギ、エンジュ、ソバ、リンゴ、茶、ブドウ、ブロッコリー、プチヴェール、葉菜類、柑橘類に含まれていることが知られており、これらの植物の抽出物を使用することができる。
ケルセチン配糖体としては、腸内細菌叢において善玉菌または中立菌を相対的に増加させる作用が高いことから、ルチン、α-グルコシルルチン、およびルチンの酵素処理物(以下「酵素処理ルチン」ともいう)が好ましく、α-グルコシルルチン、および酵素処理ルチンがより好ましい。酵素処理ルチンは、ルチンに糖転移酵素を用いてグルコースを付与したもので、α-グルコシルルチンを含み、ルチンに比べて水溶性が著しく高められている。
後述する小腸上皮透過試験に示すように、ケルセチン配糖体においてケルセチンに結合する糖の数が増加すると小腸上皮透過性が低下し、ケルセチン配糖体を経口摂取した場合に小腸で吸収されずに大腸に到達しやすく、大腸内環境改善剤として有用である。したがって、ルチン、α-グルコシルルチン、およびα-グルコシルルチンを含む酵素処理ルチンが好ましく、α-グルコシルルチン、およびα-グルコシルルチンを含む酵素処理ルチンがより好ましい。
ケルセチン配糖体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の腸内環境改善剤は、有効成分としてケルセチン配糖体を含む。ケルセチン配糖体の含有率は、本発明の腸内環境改善剤100質量%中、好ましくは30~100質量%、より好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは75~100質量%である。
〈α-グルコシルルチンおよび酵素処理ルチン〉
α-グルコシルルチンは、例えば、下記式で表され、すなわちルチンが有するルチノース残基中のグルコース残基に、α1→4結合により1または複数(2~20程度)のグルコースが結合した化合物である。
Figure 2023033403000001
上記式中、nは1または2~20の整数、好ましくは1または2~10の整数、より好ましくは1である。
本明細書において、α-グルコシルルチンのうち、グルコースが1つだけ結合した化合物を「α-モノグルコシルルチン」と称し、グルコースが2つ以上結合した化合物を「α-ポリグルコシルルチン」と称する。α-モノグルコシルルチンの分子量はα-ポリグルコシルルチンの分子量よりも小さいため、単位質量あたりの分子数はα-モノグルコシルルチンの方が多くなり、作用効果の上で有利であると考えられる。したがって、α-グルコシルルチンの一部または全部は、α-モノグルコシルルチンであることが好ましい。α-モノグルコシルルチンは、α-グルコシルルチン中、好ましくは10~100質量%、より好ましくは50~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%である。
α-グルコシルルチンは、酵素処理ルチンのなかでも、特にヒト腸内細菌群の中立菌を増加させる作用を強く有し、また特に水溶性が高められている。
酵素処理ルチンは、α-グルコシル糖化合物の共存下で、ルチンに糖転移酵素を作用させることにより得られる生成物(本明細書において「第1酵素処理ルチン」ともいう)である。α-グルコシル糖化合物としては、サイクロデキストリン、澱粉部分分解物などが挙げられる。糖転移酵素は、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase, EC 2.4.1.19)など、ルチンにグルコースを付加する機能を有する酵素である。
第1酵素処理ルチンは、結合したグルコースの個数が異なる様々なα-グルコシルルチン、すなわちα-モノグルコシルルチンおよびそれ以外のα-ポリグルコシルルチンからなる集合体と、未反応物であるルチンとを含有する組成物である。
必要に応じて、例えば多孔性合成吸着材と適切な溶出液を用いて、第1酵素処理ルチンを精製することにより、α-グルコシル糖化合物およびその他の不純物を除去し、さらにルチンの含有量を減らし、α-グルコシルルチンの純度を高めた第1酵素処理ルチン(α-グルコシルルチン精製物)が得られる。
また、第1酵素処理ルチンを、α-1,4-グルコシド結合をグルコース単位で切断するグルコアミラーゼ活性を有する酵素、例えばグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3
)で処理し、複数のグルコースが付加されたα-ポリグルコシルルチンにおいて、ルチン自体の(ルチノース残基中の)グルコース残基に直接付加されたグルコース残基を1つだけ残してそれ以外のグルコース残基を切断することにより、α-モノグルコシルルチンを多く含有する酵素処理ルチン(本明細書において「第2酵素処理ルチン」ともいう)を得ることができる。この酵素処理によって、ケルセチン骨格に直接結合しているルチノース残基中のグルコース残基が、ケルセチン骨格から切断されることはない。
酵素処理ルチン中のルチン換算量は、好ましくは10~85質量%、より好ましくは40~85質量%、さらに好ましくは70~85質量%である。このように、上記のようにして得られた酵素処理ルチンには、例えば、α-グルコシルルチンと共に、未反応のルチンまたはルチンの分解物であるケルセチン等が少量含まれていてもよい。また、ルチンからラムノース残基が外れた構造を有するイソクエルシトリンが含まれていてもよい。
なお、ルチン換算量は、例えば、第二版 化学的合成品以外の食品添加物自主規格 (発行:平成5年10月1日 編者:日本食品添加物協会自主規格専門委員会 発行所:日本食品添加物協会)202ページ 酵素処理ルチン 定量法の記載に準拠して算出することができる。なお、濃度が既知のルチン標準液は、市販のルチン試薬(例えば、富士フィルム和光純薬(株)製)を用いて準備することができる。
このような酵素処理ルチンとしては特に制限されないが、具体的には、αGルチンPS(商品名、ルチン換算量80~86質量%、東洋精糖(株)製)、αGルチンP(商品名、ルチン換算量40~46質量%、東洋精糖(株)製)、αGルチンH(商品名、ルチン換算量22~26質量%、東洋精糖(株)製)が挙げられる。これらの市販品をそのまま使用してもよいし、精製したものを使用してもよい。
《その他の成分》
本発明の腸内環境改善剤は、ケルセチン配糖体だけでなくその他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、前記改善剤を固体状に調製するためのバインダー、具体的にはシクロデキストリン、デキストリン、水溶性食物繊維、でんぷん等;前記改善剤を液体状に調製するための溶媒、具体的には水、アルコール(例:エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール)が挙げられる。他の成分としては、その他、製剤学的に許容される添加物が挙げられる。
[β-グルクロニダーゼ活性阻害剤]
本発明のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、ケルセチン配糖体を含む。ケルセチン配糖体としては、[腸内環境改善剤]の欄に記載した具体例、好適例と同様であり、イソクエルシトリン、ルチンおよびα-グルコシルルチンから選ばれる少なくとも1つが好ましく、α-グルコシルルチンがより好ましい。α-グルコシルルチンとしては、酵素処理ルチンに含まれるα-グルコシルルチンが好ましい。また、α-グルコシルルチンとしては、一部または全部がα-モノグルコシルルチンであることが好ましい。
ケルセチン配糖体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
β-グルクロニダーゼは、各種のアルコール類、フェノール類、アミン類等がグルクロン酸抱合された化合物(グルクロニド)を加水分解する酵素であり、細菌、真菌、植物、動物など多くの生物に存在する。
グルクロン酸抱合は、通常、生体内において発がん性物質を体外に排出する際に行われる。発がん性物質は肝臓でグルクロン酸抱合を受けて不活性化され、胆汁中に排出され、腸管内を経て体外に排出される。しかしながら、腸内細菌の産生するβ-グルクロニダーゼによって抱合型発ガン性物質が加水分解され、脱抱合された発がん性物質となり遊離するため、大腸がんのリスクが増大することが知られている。
β-グルクロニダーゼは、例えば、クロストリジウム(Clostridium)属由来、大腸菌由来のものが知られている。
臨床においては、大腸がん患者が健常者よりβ-グルクロニダーゼ活性が高いことが知られており、β-グルクロニダーゼ活性を有する腸内細菌のクロストリジウム(Clostridium)属が健常者と比較して多いことがわかっている。また、β-グルクロニダーゼ活性は、一般的な日本食摂取者に、肉食中心の欧米食を摂取させた場合に著しく上昇することが知られており、クロストリジウム(Clostridium)属の消長と相関することがわかっている。後述する実施例では、大腸菌Type VII-A由来のβ-グルクロニダーゼを用いた。
本発明のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、生体の腸内細菌、特に大腸菌由来のβ-グルクロニダーゼの活性を阻害することができるので、大腸がんリスクを低減することができる。
本発明のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、有効成分としてケルセチン配糖体を含む。ケルセチン配糖体の含有量は、本発明のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤100質量%中、好ましくは30~100質量%、より好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは75~100質量%である。
また、本発明のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、[腸内環境改善剤]の欄に記載したその他の成分を含んでもよい。
[具体的用途]
本発明の腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、種々の食品に添加して用いることもできる。また、種々の剤型(溶液、錠剤、粉末等)および用法(経口、坐剤等)で、種々の用途(経口投与製剤(例えば、整腸剤)の成分等)に使用し得る。
本発明の腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、経口摂取用であることが好ましい。
食品としては、例えば、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)、魚肉加工品、畜産加工品等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント等の健康食品(機能性食品);特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);特定保健用食品;機能性表示食品;ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料が挙げられる。
本発明の腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤は、医薬品として用いることができ、または公知の医薬品に添加して用いることもできる。
医薬品としては、例えば、錠剤、散剤(細粒剤、顆粒剤等)、カプセル剤、ドリンク剤、シロップ剤、トローチ剤等の内服薬;外用薬;および注射剤が挙げられる。
本発明の腸内環境改善剤およびβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[試験例1]小腸上皮透過試験
小腸上皮モデル細胞として用いられるヒト結腸ガン由来細胞Caco-2細胞を使用して、ケルセチンおよびその配糖体の腸管吸収性について検討した。
本試験では、Caco-2細胞をメンブレンフィルター上で2~3週間培養し、小腸上皮様の膜に分化させたCaco-2細胞単層膜を用いて小腸上皮透過試験を行った。膜透過性の評価は、膜透過係数Pappの比較により行った。PappはCaco-2細胞膜に対する膜透過の速度に依存した値であり、実際の生体での腸管吸収量と相関があるとされている。
Papp = (dQ/dt)/(A・Co)・・・・式(I)
式(I)中、
Papp :見かけ上の膜透過係数(cm/秒)
dQ/dt:透過量の傾き(mol/秒)
A :単層膜面積(cm2
Co :添加濃度(mol/mL)
を示している。
〈メンブレンフィルター上におけるCaco-2細胞単層膜の形成〉
培養用プレートにインサートを入れ、インサートの細胞培養面に6VOL%コラーゲン溶液(0.02Nの塩酸に溶解)を数滴滴下してまんべんなく行き渡らせ、15~30分間放置した。
次に、インサート内をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、細胞培養面をコラーゲンコートし、コラーゲンコートしたインサートの内側に2mL、外側に3mLの培地を入れた。
Caco-2細胞懸濁液のうち10μLをとり、トリパンブルー溶液10μLと混合したものをヘモサイトメーターに添加し、染色した生細胞数を計測した。
上記インサート内に、2.0×105cells/wellの割合で細胞をまき、37℃、5%CO2インキュベーター内で20日程度培養することで小腸上皮様に分化させた。培地交換は2、3日に一度の間隔で行った。
〈添加サンプル調製〉
ケルセチン(Que)、イソクエルシトリン(Iqr)、ルチン(Rut)、α-グルコシルルチン(αG-Rut)を5mMとなるように、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、0.2μmのメンブレンフィルターに通すことにより滅菌した。
αG-Rutは、αGルチンPS(東洋精糖株式会社製)をカラム精製して不純物を取り除き、α-モノグルコシルルチンの純度を約100%として使用した。
〈実験操作〉
多孔性メンブレンフィルター上で培養した小腸上皮モデルCaco-2細胞単層膜を光学顕微鏡で観察し、膜に穴が無いことを確認した。次に、小腸上皮で血管側に位置する膜である基底膜側の培地を取り除き、HBSS(Hanks’ Balanced Salt Solutions)で3回洗浄した後、2mLのHBSSで満たした。また、小腸上皮で腸管側に位置する管腔側の培地を取り除き、HBSSで1回洗浄した後、1mLのHBSSで満たした。
37℃、5%CO2インキュベーター内で1時間プレインキュベートした後、光学顕微鏡を用いて膜に穴が無いことを確認した。また、経上皮電気抵抗値(TEER値)が正常であるかを確認した。
上記で調製したQue、Iqr、Rut、αG-Rutのサンプル10μLを終濃度が50μMとなるように、それぞれ管腔側に添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で静置した。
30、60、90分後にインキュベーターから取り出し、基底膜側から100μLサンプリングし透過サンプルを得た。なお、サンプリング前、光学顕微鏡を用いて膜に穴が無いことを確認した後、TEER値が正常であるかを確認した。
上記実験モデルの構成を図1に示す。
〈HPLCを用いた透過サンプル濃度の定量〉
-20℃で保存していた透過サンプルを37℃の恒温槽内で溶解し、12000gで5分間遠心分離した。上清をHPLCに供し定量した。分析条件は以下の通りである。
・検出器:紫外可視分光検出器(SPD-10A VP)(島津製作所製)
・検出波長:285nm
・カラム:Mightysil RP-18 GP (4.6×250 mm)
・カラム温度:40℃
・移動相:0.2%酢酸水溶液:メタノール=55:45(v/v)
・流速:0.7mL/分
・注入量:10μL
結果を図2に示す。
図2において、縦軸は、膜透過係数(Papp;10-6cm/秒)、横軸は、ケルセチン配糖体(Que:ケルセチン、Iqr:イソクエルシトリン、Rut:ルチン、αG-Rut:α-グルコシルルチン)を示す。
ケルセチンに結合する糖の数が増加すると、小腸上皮の透過性が低下することが示された。α-グルコシルルチンは小腸で吸収されず、大腸に到達しやすいと推定される。
[試験例2]ヒト腸内細菌群培養試験(資化性試験)
(サンプル調製)
終濃度の2倍に調製したPYF培地(本明細書において「2×PYF培地」ともいう)と、2w/v%ケルセチン配糖体(RutまたはαG-Rut)溶液を2mLスクリューキャップチューブ(Watson社製)内で等量混合させたものを培地として使用した。混合後の培地のpHは全て7.3~7.5の範囲であり、pHの調整は行わなかった。
2×PYF培地の組成は100mLあたり、トリプトンは2g、酵母エキスは1g、L-システイン塩酸塩一水和物は0.1g、ペプシン消化馬血液は8mL、PYF塩類は8mLであった。
2×PYF培地中に含まれるペプシン消化馬血液は、馬脱繊維血液(Nippon bio-test laboratories社製)から調製した。50mLの馬脱繊維血液にブタ胃粘膜由来ペプシン(Sigma-Aldrich社製)1gと塩酸6mLを加え、55℃で24時間処理し、クロロホルム2mLを添加することで作製した。
2×PYF培地中に含まれるPYF塩類の組成は100mLあたり、CaCl2は0.02g、MgSO4・7H2Oは0.02g、KH2PO4は0.10g、NaHCO3は1.00g、NaClは0.20gであった。
2×PYF培地は使用する直前に調製し、121℃で20分間オートクレーブした。オートクレーブ後、直ちに氷冷し、アルゴンガスを5分程度吹き込み、酸素が溶け込まないようにした。
2w/v%Rut溶液および2w/v%αG-Rut溶液は脱気した超純水を用いて調製した。Rutは、超純水にほとんど溶解しなかったため、超純水に懸濁させたものをオートクレーブすることで滅菌した。なお、オートクレーブによってRutが分解しないことは、オートクレーブ前後のHPLC分析により確認した。αG-Rutは超純水に完全に溶解したため、Membrene filter(0.2μm;Advantec社製)を用いて滅菌した。
(培養試験)
これらの培地に糞便サンプルを1VOL%植菌し、37℃の嫌気状態で静置培養を72時間行った。
糞便サンプルは、20代男性5名の便を調製した。便提供者は、便採取時に健康であること、過去に消化管疾患等がないこと、3ヶ月以内に抗生物質を投与されていないことを確認した。採取した便は、6時間以内に培養試験に用いた。便の重量を測定し、50%グリセロール(阪本薬品工業株式会社製)で2倍(w/v)に希釈し、懸濁した。50%グリセロール懸濁液は5検体分を等量ずつ混合し、滅菌・脱気された0.1MのPBSで10倍に希釈した。上記PBS希釈懸濁液を滅菌したガーゼで濾して繊維性物質を除き、糞便サンプルとした。
0.1MのPBSの組成は、100mLあたり、Na2HPO4・12H2Oは0.45g、KH2PO4は0.03g、NaClは1g、KClは0.025gであった。
0.1MのPBSは、121℃で20分間オートクレーブして滅菌後、アルゴンガスの吹込みによる脱気を行った。
静置培養中の培養液の嫌気状態は、容量2.5Lのアネロパック用角形ジャーにアネロパック・ケンキを1個と供に入れることで維持した。培養液のpHを測定し、資化性を評価した。これらの培養は同条件で3本ずつ(n=3)行った。
コントロールとして、上記2×PYF培地にケルセチン配糖体溶液の代わりに滅菌した超純水を加えたもの(MilliQ:ネガティブコントロール:NC)、ケルセチン配糖体溶液の代わりに2w/v%グルコースを加えたもの(1w/v%Glu:ポジティブコントロール:PC)、も同様に実験を行った。
結果を表1に示す。Rut、αG-Rut、1%Glu、MilliQについて、植菌した場合としていない場合(非植菌)の培養液のpHを示している。
Figure 2023033403000002
Rut、αG-Rutを含む培養液はpHが低下したことから、有機酸産生菌の増殖が示唆された。このようなことから、Rut、αG-Rutは、大腸で消化され、多くが大腸内でアグリコンのケルセチンに分解されると考えられる。
[実施例1]
≪ヒト腸内細菌群培養液試験≫
(培養液の調製)
試験例2(培養試験)で作成した培養液400μLを、14000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した後、超純水200μLに懸濁した。
(培養液中の全ゲノムDNAの抽出)
上記培養液中の腸内細菌群の溶菌および全ゲノムDNAの抽出は、Favorprep Stool DNA Isolation Mini kit(Favorgen社製)を用い、キット付属の手順に従って行った。コントロールとして、培養前の菌体サンプル(inoculum)200μLも同様に行った。
全ゲノムDNAの溶出は、キットの溶出緩衝液200μLを用いて行い、-20℃で保存した。
(リアルタイム-PCRによる相対DNA量の定量)
相対菌体量の定量は、J.Agric.Food.Chem,59,6511-6519,2011(参考文献1)、およびAppl.Environ.Microbiol,5445-5451,2002(参考文献2)の操作に従って行った。培養液中の全DNAに対する標的菌種のDNAの割合を測定することで、各標的菌種の相対菌体量を算出した。
培養液から抽出した全DNAを鋳型とし、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、フィルミクテス(Firmicutes)門、バクテロイデス(Bacteroides)門、ラクトバシラス(Lactobacillus)属、およびクロストリジウム(Clostridium) クラスター XIVaグループの、5グループを標的としたプライマーを設計し、リアルタイム-PCRで各グループのDNA量を測定した。
プライマーは各グループの16S rRNA遺伝子の一部を特異的に伸長するように設計した。各グループのプライマー、および参考文献を表2に示す。
Figure 2023033403000003
また、培養液ごとに総菌体量や抽出されたDNA量が異なるため、リファレンスとして全細菌共通の16S rRNA遺伝子領域を標的としたプライマーでも同様に実験を行い、全菌体量(Total bacteria)を測定した。
リアルタイム-PCRの分析機器は、Thermal cycler dice time system(Takara bio社製)を使用した。
PCRの条件は表3に示す。
Figure 2023033403000004
反応液の組成は、SYBR premix Ex TaqII (Tli RNaseH Plus)(Takara bio 社製)を7.5μL、順方向プライマー液(Forward primer)(10μM)を0.6μL、逆方向プライマー液(Reverse primer)(10μM)を0.6μL、鋳型DNA液(Template DNA)を1.2μL、水を5.1μLとし、総量15μLに調製した。
各反応液のCt値は多波長検出用リアルタイムPCR装置(Thermal cycler dice time system software)(Takara bio社製)を用いて算出した。各培養液中の各グループの菌体量は、各培養液中の全菌体量(Total bacteria)を100%として以下のように算出した。
Figure 2023033403000005
なお、フィルミクテス門の相対菌体量は、フィルミクテス門全体からラクトバシラス属とクロストリジウム クラスター XIVaグループの相対菌体量を差し引いた値とした。
Figure 2023033403000006
実施例1の結果を表4に示す。糞便懸濁液と比較して、ケルセチン配糖体であるαG-Rutは、中立菌であるフィルミクテス門が増加していることがわかる。また、中立菌であるバクテロイデス門に着目すると、αG-Rutは、糞便懸濁液より減少しているものの、GluおよびRutと比較して、多い値を示している。
[実施例2]
≪乳酸菌培養液試験≫
(添加サンプルの調製)
0.9%に調製した生理食塩水と、M.R.S.BROTH(超純水で希釈調製)を、オートクレーブにて滅菌した。次にαG-Rut、Rutをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、その後0.45μmメンブレンフィルターで処理をした。さらに乳酸菌(粉末)を滅菌処理した0.9%生理食塩水で1000倍に希釈した。
(培養液の調製)
プレートウェルに滅菌処理したM.R.S.BROTH(以下、培養液という。)を加えたものをブランクとした。コントロールは、プレートウェルに培養液と、培養液の終濃度が0.5%となるようにフィルター処理したDSMOとを加え、さらに0.9%生理食塩水に溶解した乳酸菌を1×103個となるように加えた。試験サンプルは、プレートウェルに培養液と、培養液のサンプル終濃度が100ppm(およびDMSOの終濃度が0.5%)となるように上記で調製した添加サンプルとを加え、さらに0.9%生理食塩水に溶解した乳酸菌を1×103個となるように加えた。
(培養試験)
上記で調製した培養液を、37℃のインキュベーターで0~70時間培養した。
(測定・解析)
一般に、乳酸菌増殖数は培養液の濁度に比例する。本試験では、培養液の濁度を吸光度で測定することにより、乳酸菌増殖数を評価した。
乳酸菌を摂取していないブランクの600nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイスジャパン社製)にて測定し、ブランク値とした。
コントロールおよび試験サンプルも同様に、上記培養試験後、マイクロプレートリーダーにて600nmでの吸光度を測定し、コントロール値および試験サンプル値とした。
コントロール値および試験サンプル値から、それぞれブランク値を引いた値を、乳酸菌増殖数とした。結果を、表5および図3に示す。
Figure 2023033403000007
培養時間が48、68、70時間の場合、コントロールと試験サンプルとを比較すると、試験サンプルのほうが乳酸菌が増殖していることが分かる。特にルチン換算量で考えるとαG-Rutが、Rutよりもより効果的に乳酸菌を増殖していることがわかる。よって、ケルセチン配糖体であるαG-Rut、Rutは、乳酸菌の増殖効果があることが分かった。
[実施例3]
≪マウス腸内細菌群試験≫
(マウスの順化)
マウスは、ICRマウス(オス,7週齡)を日本クレア株式会社から購入した。購入したマウスは、22℃の部屋で4日間予備飼育した。飼料の配合は、下記の表6に記載のAIN-93Mとし、普通食として自由飲食で与えた。
Figure 2023033403000008
(RutもしくはαG-Rutの摂食試験)
順化させたマウスは、6匹ずつ3つの群(コントロール、サンプル1 Rut、サンプル2 αG-Rut)に分け、14日間飼育した。
飼料は、コントロールについては、AIN-93Mを自由飲食で与えた。サンプル1 Rutもしくは、サンプル2 αG-Rutについては、表3に示すとおり、AIN-93Mのセルロースパウダーを全体の1%減らし、RutまたはαG-Rutに置換して調製し、自由飲食で与えた。マウスの床敷は、1週間に1回交換した。
上記の条件で14日間飼育したマウスの摂餌量および体重の変化について、結果を以下に示す。
摂餌量については、コントロール、サンプル1 Rut、サンプル2 αG-Rutのそれぞれの群のマウスについて、1日あたり約4gであり、群の違いによる有意な差は無かった。
体重の変化については、コントロール、サンプル1 Rut、サンプル2 αG-Rutのそれぞれの群のマウスについて、飼育期間の14日間を通して、有意な変化はなかった。
(フンの全ゲノムDNAの抽出)
14日目のマウスのフンの回収を行った。
(リアルタイム-PCRによる相対DNA量の定量)
コントロール、サンプル1 Rut、サンプル2 αG-Rutのそれぞれの群から回収したフンは、凍結乾燥の後、乳鉢および乳棒を用いて粉砕した。
粉砕したフンを、それぞれ100mgはかりとり、実施例1と同様の操作で溶菌および全ゲノムDNAの抽出を行った。
実施例1と同様の反応液および操作で、リアルタイム-PCRによる相対DNA量の定量を行った。
図4に、実施例3のフンの相対DNA量の定量結果を示す。コントロールと比較して、サンプル2 αG-Rutは、その他(others)が減少し、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属が微増していた。
[実施例4]
≪β-グルクロニダーゼ阻害試験≫
酵素であるβ-グルクロニダーゼは、大腸菌由来のβ-D-Glucuronidase type VII-A(G7646)(Sigma-Aldrich社製)を用い、その阻害試験を行った。
反応液は、25μLの0.04VOL% 4-ニトロフェニル-β-D-グルクロニド(pNP-β-D-Glucuronide)、25μLのケルセチン配糖体(3VOL% DMSO溶液に溶解)、10μLのβ-グルクロニダーゼ(40mU/μL)を混合して調製した。溶媒は、全て3VOL%DMSO含有20mMリン酸バッファー(pH6.8)を用いた。
なお、3VOL% DMSO含有リン酸バッファーは、β-グルクロニダーゼの活性を阻害しないことを確認した。
プレインキュベートは、上記のβ-グルクロニダーゼ反応液と、終濃度を25、50、100μMとなるように調製したケルセチン配糖体反応液を混合し37℃で20分行い、その後、0.04VOL% 4-ニトロフェニル-β-D-グルクロニドを終濃度0.017VOL%となるように添加し、37℃で40分反応させた。1MのNa2CO3を60μL加えることで反応を停止し、405nmでの吸光度を分光光度計(Multiskan GO:Thermo Scientific社製)で測定した。
コントロールは、ケルセチン配糖体を含まないものとした。また、サンプルごとに、β-グルクロニダーゼを加えないものも同様に実験を行いブランクとした。阻害率は、以下式(III)のように求めた。
残存活性(%)={(吸光度サンプル-吸光度ブランク)/(吸光度コントロール-吸光度ブランク)}×100
・・・・式(III)
実施例4の結果を、図5に示す。
ケルセチンおよびその配糖体は、残存活性が100%より低い値を示しており、コントロールと比較して、β-グルクロニダーゼ活性阻害作用を持つことが分かる。特にIqr、αG-Rutは、100μMの場合に高い効果を示した。
上述したように、ケルセチン配糖体は、経口摂取した場合、小腸で吸収されずに大腸に到達しやすいことから、大腸において分解されてケルセチンとなると考えられる。図5に示すように、ケルセチンは比較的低濃度でもβ-グルクロニダーゼ活性阻害能が大きい。また、ケルセチン配糖体そのものもβ-グルクロニダーゼ活性阻害能を有している。したがって、ケルセチン配糖体は、大腸菌由来のβ-グルクロニダーゼの活性阻害剤として有用であることがわかる。
2:サンプル投入、4:管腔側、6:Caco-2細胞、8:基底膜側、10:多孔性メ
ンブレンフィルター、12:インサート

Claims (5)

  1. ケルセチン配糖体を含み、
    前記ケルセチン配糖体として、イソクエルシトリン、ルチン、およびα-グルコシルルチンから選ばれる少なくとも1つを含む、β-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
  2. 前記ケルセチン配糖体として、α-グルコシルルチンを含む、請求項1に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
  3. 前記α-グルコシルルチン中に、α-モノグルコシルルチンを含む、請求項1または2に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
  4. 前記α-グルコシルルチン中に、α-モノグルコシルルチンを50~100質量%含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のβ-グルクロニダーゼ活性阻害剤を含有する食品又は医薬品。
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