JP2010215544A - 血管新生抑制剤、これを含有する医薬、血管新生抑制剤を産生させる整腸剤、並びに、血管新生抑制剤の投与方法 - Google Patents

血管新生抑制剤、これを含有する医薬、血管新生抑制剤を産生させる整腸剤、並びに、血管新生抑制剤の投与方法 Download PDF

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Norihisa Kato
範久 加藤
Chikanori Matsubara
主典 松原
Junji Inoue
淳詞 井上
Shigeru Mineo
茂 峰尾
Hirofumi Arishige
博文 有重
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Abstract

【課題】血管新生を抑制する効果に優れ、且つ、安全性の高い血管新生抑制剤、これを含有する医薬、血管新生抑制剤を産生させる整腸剤、並びに血管新生抑制剤の投与方法を提供することを目的とする。
【解決手段】血管新生抑制剤は、コハク酸又はその塩を有効成分として含有している。コハク酸の血管新生抑制作用により、各種の悪性腫瘍の発現、増殖、浸潤、転移、或いは、糖尿病性網膜症やアルツハイマー病等、血管新生に起因する各種の疾患の治療・予防に有効である。
【選択図】なし

Description

本発明は、血管新生抑制剤、これを含有する医薬、血管新生抑制剤を産生させる整腸剤、並びに、血管新生抑制剤の投与方法に関する。
現代社会では、高脂肪、高カロリー、低食物繊維の欧米型食生活が進み、癌や糖尿病等の生活習慣病が増加傾向にある。特に、大腸炎や大腸癌などの大腸疾病が増加しつつあり、大きな問題となっており、日本やアメリカをはじめとする生活水準が高い都市部では、大腸癌及び直腸癌の罹患率が高いことが報じられている(非特許文献1)。癌や糖尿病等の生活習慣病の予防や治療には、薬物治療や食事療法等が検討されてきたが、更なる有効な治療薬等が求められている。
上記のような疾患では、患部に血管新生が生じ、新生した血管が疾患の更なる悪化へ導くことがわかっている。従って、この血管新生を制御することで、上述の疾患の治療及び予防に繋がると考えられている。
例えば、癌細胞が増殖する際には血管が新生され、新生された血管を介して癌細胞が酸素や栄養の供給を受けて増殖していく。癌細胞の増殖に寄与する血管新生を阻害することで、酸素や栄養の供給を断ち、癌細胞の増殖を食い止め、壊死させ得ると考えられる。
また、糖尿病性網膜症の進行は以下のようである。網膜に酸素や栄養を補給する血管の動脈硬化により、血管の目詰まりが生じて血流が途絶える。このため、網膜に酸素や栄養を補給すべく、血流が途絶えた部位に微小毛細血管が新生する。しかし、この新生した血管は脆く破れやすいことから、破裂して出血してしまう。この出血により瘢痕組織を形成して網膜剥離に至ると考えられている。従って、血管新生を抑制することで糖尿病性網膜症の重篤化の抑制に繋がると考えられる。
そこで、上述した疾患の治療及び予防を目的として、血管新生を抑制する方法が数多く研究されており、血管新生抑制作用を持つ物質の探索も行われている。
例えば、特許文献1では、担子菌類の抽出物であるピログルタミン酸を有効成分とする血管新生阻害剤が、また、特許文献2では、ミカン属の植物の抽出成分を有効成分とする血管新生阻害用組成物が開示されている。
特開2004−307453号公報 特開2004−332567号公報
Cancer Incidence in Five Continents Volumes I〜VIII, IARC Cancer Base number 7, Lyon, 2005
しかしながら、上記の特許文献に開示された発明の血管新生抑制効果は十分とはいえず、更なる有効な血管新生抑制剤等が望まれている。
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、血管新生を抑制する効果に優れ、且つ、安全性の高い血管新生抑制剤、これを含有する医薬、血管新生抑制剤を産生させる整腸剤、並びに、血管新生抑制剤の投与方法を提供することを目的とする。
本発明に係る血管新生抑制剤は、コハク酸又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明に係る医薬は、上記の血管新生抑制剤を含有することを特徴とする。
本発明に係る整腸剤は、ポリフェノールを含有し、大腸内で腸内細菌群を増加させ、増加した前記腸内細菌群により上記の血管新生抑制剤を産生させることを特徴とする。
また、前記ポリフェノールは、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、及びエラグ酸から選択される1種以上であることが望ましい。
本発明に係る血管新生抑制剤の投与方法は、ポリフェノールを含有する飼料を動物に摂取させ、前記動物の大腸内で腸内細菌群を増加させ、増加した前記腸内細菌群により上記の血管新生抑制剤を産生させて、前記動物の腸患部に前記血管新生抑制剤を投与することを特徴とする。
また、前記ポリフェノールは、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、及びエラグ酸から選択される1種以上であることが望ましい。
本発明の血管新生抑制剤は、コハク酸を有効成分として含有しており、コハク酸の血管新生抑制作用により、血管新生を抑制することができる。癌や糖尿病性網膜症等の疾患では、患部に発生する新生血管が病状の悪化を招くが、血管新生抑制剤の投与により血管新生を抑制できるので、これらの疾患の病状を食い止められるとともに、治療・予防にも有効である。
更に、ポリフェノールを含有する整腸剤を摂取することにより、人や動物の大腸内の腸内細菌群の1種であるバクテロイデス属が増加し、バクテロイデス属によるコハク酸の産生が促進される。これにより、血管新生抑制作用に基づく整腸作用を発揮するので、大腸癌や直腸癌、潰瘍性大腸炎等の大腸疾患に対して特に有効である。
(血管新生抑制剤)
本実施の形態に係る血管新生抑制剤は、コハク酸、又はその塩を有効成分として含有している。
コハク酸は、カルボン酸の一種で、クエン酸回路を形成する有機酸の一つであるが、コハク酸の血管新生抑制作用について、これまで全く知られていなかった。このコハク酸又はその塩が血管新生を抑制する作用を備えていることを見いだし、血管新生抑制剤を完成させた。
血管新生抑制剤は、コハク酸の血管新生抑制作用により、大腸癌や胃癌等、各種の悪性腫瘍の発現、増殖、浸潤、転移、或いは、潰瘍性大腸炎、糖尿病性網膜症やアルツハイマー病等、血管新生に起因する各種の疾患の治療・予防に効果的である。
また、コハク酸は、動物の大腸に元々存在している物質であり、また、貝類に含まれる旨味成分でもあるので、体内に入っても副作用の恐れが低い。
コハク酸は、市販されているものをそのまま利用しても、公知の方法にて抽出、或いは生成して利用してもよい。コハク酸の生成方法として、例えば、フマル酸やマレイン酸の水素添加、リンゴ酸のヨウ化水素による還元、臭化エチレンとシアン化カリウムとの反応で得られるスクシノニトリルの加水分解、酒石酸アンモニウム或いはリンゴ酸カルシウムの発酵等が挙げられる。
コハク酸の塩としては、コハク酸二ナトリウム、コハク酸一ナトリウム等が挙げられる。
コハク酸又はその塩を含有する血管新生抑制剤は、それ単独でも使用することができるが、後述する医薬に応用して使用することができる。
(医薬)
本実施の形態に係る医薬は、上述の血管新生抑制剤を含有しているので、血管新生を抑制する作用を有し、各種悪性腫瘍の発現、増殖、浸潤、転移や、血管新生に起因する各種疾病の治療・予防に使用することができる。
血管新生抑制剤を含有する医薬は、全身的又は局所的に、そして経口的または非経口的に投与されるもので、必要に応じて最適な形態にすればよい。医薬は、定法に従って、上述の血管新生抑制剤に薬学的に許容される担体や添加剤等を加え、経口製剤又は非経口製剤等、種々の剤形に調製することにより得ることができる。
医薬が経口製剤の場合、通常の方法に従って、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤などの固形製剤、溶液、懸濁液、乳濁液などの液状製剤の形態にすることができる。
医薬を経口製剤として患者に投与する場合、患部に届く前にコハク酸又はその塩が分解されないよう、カプセル剤として用いることが好ましい。例えば、大腸疾患に関与する血管新生を抑制するためには、上述した血管新生抑制剤に、添加剤等を加えて製剤化し、大腸に到達して溶解するカプセルに充填した形態にすればよい。
また、非経口製剤として用いる場合には、通常の方法に従って、血管新生抑制剤を含有させた液状の注射剤や、液状或いは固形状の座剤の形態にすればよい。
経口製剤、非経口製剤の製剤化のために許容されうる添加剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、医薬の分野で一般的に使用されているものを好適に用いることができる。
上述した医薬の組成物中における血管新生抑制剤の含有量は、組成物の形態や、予防・改善の対象となる疾病の状態などによって異なるが、少なくとも血管新生抑制効果を得るために必要な1日あたりの有効成分量を摂取できるように、1日あたりの組成物の摂取量を考慮し、組成物中の含有量を適宜設定すればよい。
(整腸剤)
本実施の形態に係る整腸剤は、ポリフェノールを有効成分として含有している。
ポリフェノールは、大腸内で腸内細菌群を増加させる作用を備えており、大腸内で増加した腸内細菌群が上記コハク酸又はその塩を有効成分とする血管新生抑制剤を産生する。
ここで、大腸の腸内細菌群に関しては、バクテロイデス(Bacteroides)属が主要なものであり、大腸内のバクテロイデス属がポリフェノールにより増加するものと考えられる。そして、バクテロイデス属がコハク酸を産生していることが報じられている(Macfarlane S., Macfarlane G.T. Regulation of short−chain fatty acid production. Proceedings of the Nutrition Society, volume 12, p67−72, 2003)。したがって、増加した大腸内のバクテロイデス属がコハク酸を産生するので、コハク酸が増加し、増加したコハク酸の血管新生抑制機能によって、大腸癌等の大腸疾患で新生する血管形成の抑制が促進されるものと考えられる。このように、整腸剤は、血管新生抑制作用を有し、これにより大腸内を整腸する作用を発揮する。
整腸剤は、血管新生抑制作用に基づく整腸作用を備えているため、大腸癌や大腸炎等の大腸疾患に対する治療・予防に特に有効である。
ポリフェノールとしては植物由来のものが好ましい。植物由来のポリフェノールとしては、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、及びエラグ酸が挙げられる。これらの物質は、整腸剤に1種のみ含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
カフェ酸は、コーヒー豆等に含まれているポリフェノールの一種で、例えば、カフェ酸とキナ酸とのエステルであるクロロゲン酸が分解することにより生じる。カフェ酸やクロロゲン酸を含有する植物としては、例えば、コーヒー豆、キャベツ、レタス、アーチチョーク、トマト、ナス、ジャガイモ、ゴボウ、ニンジン、リンゴ、ナシ、プラム、モモ、アプリコット、チェリー、ヒマワリ、モロヘイヤ、カンショ、南天、ブルーベリー、小麦等が挙げられる。なお、本明細書において、カフェ酸は、カフェ酸又はその誘導体類を意味する。カフェ酸誘導体としては、上記クロロゲン酸のほか、例えば、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、イソクロロゲン酸、トリカフェオイルキナ酸、ロスマリン酸等が挙げられる。
カテキンは、緑茶などに含まれるポリフェノールの一種である。なお、本明細書において、カテキンはカテキン又はその誘導体類を意味する。カテキン誘導体としては、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等が挙げられる。
ルチンは、ビタミン様物質であるビタミンPの一種で、ケルセチンと二糖類のルチノースからなるフラボノイドである。ビタミンPは、柑橘類等に含まれているポリフェノールの一種である。ルチンは、柑橘類の他、そば、いちじく、エンジュなどにも多く含まれている。なお、本明細書において、ルチンは、ルチン又はその誘導体類を意味する。ルチン誘導体としては、α−グリコシル・ルチンなどが挙げられる。
クルクミンは、ウコンに含まれるポリフェノールの一種であり、ウコンの黄色色素である。なお、本明細書においてクルクミンは、クルクミン類の総称を意味し、クルクミンの他、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン等が挙げられる。
エラグ酸は、ベリー類(例えば、ラズベリー、ボイセンベリー、ストロベリー、ブラックベリー等)の葉や果実、ざくろの種子に高含有されるポリフェノールの一種である。
なお、本明細書においてエラグ酸は、エラグ酸(ellagic acid)又はその誘導体を意味する。エラグ酸誘導体としては、例えば、エラグ酸の基本骨格に糖・脂質・アミノ酸・タンニン等が結合した化合物、エラグ酸の金属塩、エラグ酸のメチル化物あるいはアセチル化物、エラグ酸の配糖体・エステル等が挙げられる。
エラグ酸誘導体の一例は、植物に多く含まれるエラジタンニンである。エラジタンニンを摂取すると生体内の加水分解反応によってエラグ酸を生成する。生体内における化学反応により、エラグ酸あるいはエラグ酸誘導体を生成可能な化合物も、エラグ酸に含まれる。
上述のポリフェノールは、市販されているものを用いてもよく、抽出したものを用いてもよい。例えば、以下のように植物からポリフェノールを抽出して用いることができる。
まず、ポリフェノールを含有する原料植物を、熱水或いは20〜100%含水アルコール(例えばエタノール)溶液で処理することにより、ポリフェノールを溶出させる。このとき、必要に応じて酸、アルカリ、又は酵素を併用してもよい。次いで、減圧濃縮することによりアルコールを留去し、遠心分離および濾過を行うことで、ポリフェノールの清澄抽出液が得られる。
原料植物の抽出処理に使用する部位として、ポリフェノールを含んでいる部位であれば特に制限はなく、例えば、葉部、枝部、根部、樹皮部、茎部、果実部等を用いることができる。
抽出処理を効率的に行うため、用いる各原料植物を予め乾燥粉砕又は粗砕しておくことが望ましく、また、各原料植物をヘキサン等の非極性溶媒で脱脂したものを用いてもよい。なお、脱脂等の前処理を行うことにより、各原料植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
なお、得られたポリフェノールの清澄抽出液は、用いた抽出溶媒の安全性が高ければ、そのまま整腸剤に含有させることができるが、下記のように、清澄抽出液を濃縮液として、或いは乾燥物として用いてもよい。
清澄抽出液の濃縮は、まず、ポリフェノール類を選択的に吸着かつ溶離できる吸着剤を充填したカラムに清澄抽出液を通し、吸着剤にポリフェノール画分を吸着させる。カラムに充填する吸着剤としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤、陰イオン交換樹脂、オクタデシル基化学結合型シリカゲル(ODS)等を好適に用いることができる。続いて、カラム内に水を通してカラム内を洗浄した後、20〜100%含水アルコール(例えばエタノール)溶液、好ましくは50%含水アルコール溶液をカラムに通すことにより、ポリフェノール画分を溶出、回収できる。得られたポリフェノール溶液を減圧濃縮してアルコールを留去することで、ポリフェノール濃縮液が得られる。
更に、この濃縮液をそのまま、もしくはデキストリン等の粉末助剤を添加して、噴霧乾燥又は凍結乾燥等により乾燥させ、固体とすることができる。
精製されたポリフェノール(カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、エラグ酸)は易水溶性であり、水溶液とした場合でも安定な性状を維持する。このため、健康食品や動物用飼料等に通常添加されうる成分との混和性に優れている。
また、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、エラグ酸は、植物に含有されている物質であり、一般に摂取している食品中にも含まれている成分であるため、無毒である。例えば、エラグ酸は、FDAよりGRAS認証を受けているものである。したがって、これらのポリフェノールを含有する整腸剤は安全性に優れており、副作用の心配がなく、日常の食生活に適宜取り入れて無理なく摂取することができる。
摂取するポリフェノール(カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、エラグ酸)は、それぞれ特有のにおいを有しているが、不快なものではなく、そのまま口から摂取することができる。しかしながら、必要ならば、血管新生抑制作用に基づく整腸作用向上や脱色・脱臭を目的として更なる精製を実施したり、任意の助剤と混合したりして製剤化してもよい。製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
ポリフェノールを含有する整腸剤は、それ単独でも使用することができるが、健康食品、或いは、動物用の飼料等に応用することができる。
整腸剤を健康食品として応用する場合の例としては、液体、半固形、又は固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ等の形態が挙げられる。これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、整腸剤を混合、塗布、或いは噴霧などにより添加して、健康食品とすることができる。
(血管新生抑制剤の投与方法)
続いて、本実施の形態に係る血管新生抑制剤の投与方法について説明する。
まず、ポリフェノールを含有する飼料を動物に摂取させる。この飼料を動物用飼料と呼ぶ。この動物用飼料を摂取した動物において、その大腸内に、前記飼料中に含まれるポリフェノールが到達することにより、大腸内の腸内細菌群が増加することとなる。この増加した腸内細菌群によりコハク酸又はその塩を有効成分とする血管新生抑制剤を産生させることができる。そして産生した血管新生抑制剤が動物の腸患部にそのまま投与されることになる。コハク酸は上述したように血管新生抑制作用を有するので、大腸内の血管新生に関与する疾患の治療・予防に効果的である。
なお、動物として、イヌ・ネコ等のペット、ウシ・ウマ・ブタ等の家畜が例示される。
動物用飼料は、例えば、市販されている上記動物用の飼料やペットフードに、粉末状或いは固形状に加工したポリフェノールを加えて混合することにより得ることができる。
動物用飼料中におけるポリフェノールの含有量は、組成物の形態や、治療・予防の対象となる疾病の状態などによって異なるが、少なくとも動物の大腸内で血管新生抑制剤を産生させて、その動物の腸患部に投与され、血管新生抑制効果が得られるように、飼料中のポリフェノール含有量を適宜設定すればよい。
(ポリフェノール摂取による腸内コハク酸の増加作用)
3週齢のSprague−Dawley系雄ラットを株式会社広島実験動物研究所から購入し、予備飼育を1週間行った。予備飼育期間中は、各個体をステンレス製の個別ケージに収容し、温度23℃の飼育室で飼育した。ラットに与えた飼料はオリエンタル酵母社製の固形飼料(MF)、与えた水は脱イオン水である。ラットには上記の飼料及び水を自由に摂取させた。
予備飼育終了後、体重層別無作為化法により各群の平均体重がほぼ均一となるように、ラットを群分けした。ラットの群分けは、対象群、カフェ酸摂取群、カテキン摂取群、ルチン摂取群、クルクミン摂取群、及びエラグ酸摂取群の6群とし、一群の匹数は、対象群のみ8匹、他の群は7匹とした。
そして、各群のラットに、表1に示す組成の飼料を摂取させて飼育した。なお、飼料に添加したカフェ酸、カテキン、ルチン、およびクルクミンはナカライテスク製、エラグ酸は和光純薬製のものを使用した。
Figure 2010215544
試験期間は21日間とした。飼育条件は予備飼育期間と同様とし、飼料のみを表1に示す飼料に変更して飼育した。
ラットに毎日一定量の飼料を与え、翌日に飼料の残量を測定して、飼料の摂取量を求めた。また、毎日ラットの体重を測定した。また、試験終了の3日前から、各個体の全ての糞を採取した。
試験終了日に、それぞれのラットをジエチルエーテル麻酔下で屠殺し、盲腸を採取した。それぞれのラットは、屠殺の5時間前から絶食させた。
盲腸内容物の有機酸(コハク酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸)分析は、HPLC法で測定した。
サンプル調製方法とHPLC分析条件は以下のとおりである。盲腸内容物200〜300mgを2.0mlエッペンドルフチューブに精秤し、10mMクロトン酸(10mM NaOHに溶解)を1.0ml加え、ホモジネイト攪拌混合した。
15,000rpm、4℃の条件で10分間遠心分離して得られた上清を2.0mlエッペンドルフチューブに分取した後、0.8mlのクロロホルムを加え、30秒間振とうした。10,000rpm、4℃の条件で15分間遠心分離を行い、上層500μlを1.5mlエッペンドルフチューブに分取した。
除たんぱく処理のため、10%過塩素酸を50μl添加して混合し、HPLC分析まで−30℃で凍結させた。
HPLCインジェクトの前に解凍し、15,000rpm、4℃で10分間遠心分離した。上清をフィルター付きエッペンドルフチューブ(Ultrafree−MC)に採取し、0.22μmフィルターで遠心ろ過(5,000rpm、4℃、5分間)し、10μlをインジェクトした。
〔HPLC条件〕
カラム:Shim−pack SCR−102H (8.0 mm I.D.×300 mm)
ガードカラム:SCR−102H
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸水溶液
流量:0.8ml/min.
温度:40℃
検出条件
試薬:5mM p−トルエンスルホン酸水溶液および100μM EDTAを含む20mM Bis−Tris水溶液
検出:電気伝導度検出器(Shimadzu CDD−10A)
ポンプ:Shimadzu(LC−20Aシリーズ)
得られた測定値は平均値±標準誤差(SE)で表した。統計的有意性は、スチューデントのT検定により評価し、P<0.05の場合有意差有りとした。
なお、群間における最終体重及び3日間の糞重量について差はなかった。
盲腸、盲腸内容物重量及び盲腸内容物中のコハク酸濃度の測定結果を表2に示す。
Figure 2010215544
盲腸内容物中のコハク酸濃度は、対象群では3.48±0.84μmol/gであるが、ポリフェノール摂取群では11.9±2.9μmol/g〜22.2±4.9μmol/gと、明らかに高くなっていることがわかる。この結果から、ラットにポリフェノールを摂取させることで、腸内のコハク酸が増加することを確認した。
なお、コハク酸以外の有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸)濃度は、各群間で特に変化は見られなかった。従って、ポリフェノールを摂取しても、コハク酸以外の他の体内組織には何ら影響を与えることがなく、副作用の恐れもない。
(血管新生抑制作用試験)
コハク酸の血管新生への影響は、ラット動脈片をコラーゲンゲル中で培養する血管新生測定系で評価した。
〔ラット動脈片を用いた血管新生測定系での評価〕
ラットはWistar系の雄で、6〜8週齢のものを日本チャールスリバーより購入して使用した。
コラーゲン溶液は、コラーゲン原液、10×Eagle’s MEM培地、そして再構成緩衝液を8:1:1で混合して調製し、4℃で保存した。なお、コラーゲン原液(CELLMATRIX type Ia)及び再構成緩衝液は新田ゼラチン株式会社より購入した。培養液10×Eagle’s MEM及びRPMI 1640はGibco社より購入した。ITS+はBecton Dickinson Bioscience社より購入した。
また、コハク酸を培地に溶解したコハク酸溶液を調製した。なお、コハク酸溶液は、コハク酸濃度が10μmol/ml、30μmol/ml、100μmol/mlの3種類を用意した。
Wistarラットをジエチルエーテルにより麻酔し、右大腿動脈切断により出血死させた後、胸部大動脈を取り出し1〜1.5mmの長さに切断した。
この動脈片を6ウェル培養プレートに移し、上記のように調製したコラーゲンゲル溶液で包埋し、37℃でゲル化させた。ゲル化後、1%ITS+を含むRPMI 1640培地を2ml加えた。
同様にして計24サンプル用意し、6サンプルずつをグループA、グループB、グループC、グループDと、4グループに分けた。そして、グループAには何も加えず、グループBにはコハク酸濃度10μmol/mlのコハク酸溶液を、グループCにはコハク酸濃度30μmol/mlのコハク酸溶液を、グループDにはコハク酸濃度100μmol/mlのコハク酸溶液をそれぞれ加え、全てのサンプルをCOインキュベーターに入れて培養した。
培養7日目に、全てのサンプルの動脈片より生じる微小血管網を、倒立顕微鏡下で撮影し、撮影した画像をコンピューターに取り込んで、微小血管の長さを測定した。
培養7日目における微小血管長を表3に示す。
Figure 2010215544
コハク酸溶液を加えなかったグループAに比べ、コハク酸溶液を加えたグループB、グループCでは、いずれも微小血管の長さが短く、グループDでは微小血管が全く見受けられなかった。この結果から、コハク酸を加えることで血管新生を抑制でき、また、コハク酸濃度を高めることによって、血管新生を完全に抑制できることを立証した。
以上、実施例1に示したように、ラットにポリフェノールを摂取させることで、腸内のコハク酸を増加させることができること、そして、実施例2に示したように、コハク酸の濃度を高めて血管(動脈)を培養することによって、血管新生が抑制されることを確認した。この結果から、コハク酸を含有する血管新生抑制剤により、血管新生を抑制できること、更には、ポリフェノールを含有する整腸剤を摂取させることにより、腸内のコハク酸を増加させて、血管新生抑制作用に基づく整腸作用を発揮することを立証できた。
以上説明したように、本発明に係る血管新生抑制剤は、コハク酸を有効成分として含有しており、コハク酸の血管新生抑制作用により、血管新生を抑制することができる。癌や糖尿病性網膜症等の疾患では、患部に発生する新生血管が病状の悪化を招くが、血管新生剤の投与により血管新生を抑制できるので、これらの疾患の病状を食い止められるとともに、治療・予防にも効果的である。
更に、ポリフェノールを含有する整腸剤により、大腸内の腸内細菌群が増加するので、腸内細菌群によるコハク酸の産生が促進される。これにより、血管新生抑制作用に基づく整腸作用を発揮するので、大腸癌や直腸癌等の大腸疾患の治療・予防に対して利用可能である。

Claims (6)

  1. コハク酸又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする血管新生抑制剤。
  2. 請求項1に記載の血管新生抑制剤を含有することを特徴とする医薬。
  3. ポリフェノールを含有し、大腸内で腸内細菌群を増加させ、増加した前記腸内細菌群により請求項1に記載の血管新生抑制剤を産生させることを特徴とする整腸剤。
  4. 前記ポリフェノールは、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、及びエラグ酸から選択される1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の整腸剤。
  5. ポリフェノールを含有する飼料を動物に摂取させ、前記動物の大腸内で腸内細菌群を増加させ、増加した前記腸内細菌群により請求項1に記載の血管新生抑制剤を産生させて、前記動物の腸患部に前記血管新生抑制剤を投与することを特徴とする血管新生抑制剤の投与方法。
  6. 前記ポリフェノールは、カフェ酸、カテキン、ルチン、クルクミン、及びエラグ酸から選択される1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の血管新生抑制剤の投与方法。
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