JP2023030363A - 磁気ヘッド、及びその製造方法、磁気記録再生装置、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減する。【解決手段】 実施形態に係る磁気ヘッドは保護層を有し、保護層は、素子部が磁気記録素子部であるとき、磁気記録素子突出部上の第1領域及び磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、第1領域と第2領域は同一平面であるか、または第2領域よりも第1領域の方が窪んでおり、素子部が磁気再生素子部であるとき、磁気再生素子突出部上の第3領域及び磁気再生素子シールド部上の第4領域を含み、第3領域と第4領域は同一平面であるか、または第4領域よりも第3領域の方が窪んでいる。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、磁気ヘッド、及びその製造方法、磁気記録再生装置、及びその製造方法に関する。
磁気ディスク装置(HDD)の磁気ヘッドの磁気記録再生素子は、材質および構造上の特徴から、その周囲にあるシールド部に対して、磁気ディスクに近づく方向に突出しており、その突出量は約1nm弱である。
HDDの磁気ヘッドの浮上量は、なるべく低い方が、記録密度が高くなることから、磁気記録再生素子部分を、DFH(Dynamic Flying Height)技術等により、熱膨張で媒体側に突き出させ、一度磁気ディスクに接触させ(タッチダウン)、そこから所望のすきまを引き戻す(バックオフ)ことで一定に保っている。しかしながら、このタッチダウン動作時に磁気記録再生素子部が磁気ディスクに接触することでダメージを受けてしまうことがある。また、突出している磁気記録再生素子部は、磁気ヘッドと磁気ディスクの隙間がより狭いため、例えば突発的な磁気ヘッドの変動などが生じると、磁気ディスクに接触してダメージを受けやすく、記録再生能力が低下してしまうこともある。それでも、磁気ディスクの記録密度が低い場合には、磁気記録再生素子突出部と磁気ディスクの接触による多少のダメージは装置全体の性能や信頼性にそれほど影響しなかったが、近年、記録密度が上がることにより磁気記録再生素子が小型化され、接触ダメージが大きく影響する傾向がある。
このため、磁気ヘッドのダメージを低減させ、磁気ヘッドおよびそれを搭載する磁気記録再生装置の動作信頼性を確保することが求められている。
このため、磁気ヘッドのダメージを低減させ、磁気ヘッドおよびそれを搭載する磁気記録再生装置の動作信頼性を確保することが求められている。
本発明の実施形態は、磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減することを目的とする。
実施形態によれば、 磁気記録媒体上に浮上させて磁気情報を記録または再生する磁気ヘッドであって、
浮上したときに前記磁気記録媒体と対向する浮上面側に、磁気記録素子部または磁気再生素子部のうち少なくとも一方の素子部と、前記素子部を保護する保護層とを含み、
前記磁気記録素子部は、磁気記録素子、前記磁気記録素子から突出した磁気記録素子突出部、及び前記磁気記録素子突出部を囲う磁気記録素子シールド部を含み、
前記磁気再生素子部は、磁気再生素子、前記磁気再生素子から突出した磁気再生素子突出部、及び前記磁気再生素子突出部を囲う磁気再生素子シールド部を含み、
前記保護層は、前記素子部が前記磁気記録素子部であるとき、前記磁気記録素子突出部上の第1領域及び前記磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、あるいは前記素子部が前記磁気再生素子部であるとき、前記磁気再生素子突出部上の第3領域及び前記磁気再生素子シールド部上の第4領域を含み、
前記第1領域と前記第2領域は同一平面であるか、または前記第2領域よりも前記第1領域の方が窪んでおり、
前記第3領域と前記第4領域は同一平面であるか、または前記第4領域よりも前記第3領域の方が窪んでいることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
浮上したときに前記磁気記録媒体と対向する浮上面側に、磁気記録素子部または磁気再生素子部のうち少なくとも一方の素子部と、前記素子部を保護する保護層とを含み、
前記磁気記録素子部は、磁気記録素子、前記磁気記録素子から突出した磁気記録素子突出部、及び前記磁気記録素子突出部を囲う磁気記録素子シールド部を含み、
前記磁気再生素子部は、磁気再生素子、前記磁気再生素子から突出した磁気再生素子突出部、及び前記磁気再生素子突出部を囲う磁気再生素子シールド部を含み、
前記保護層は、前記素子部が前記磁気記録素子部であるとき、前記磁気記録素子突出部上の第1領域及び前記磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、あるいは前記素子部が前記磁気再生素子部であるとき、前記磁気再生素子突出部上の第3領域及び前記磁気再生素子シールド部上の第4領域を含み、
前記第1領域と前記第2領域は同一平面であるか、または前記第2領域よりも前記第1領域の方が窪んでおり、
前記第3領域と前記第4領域は同一平面であるか、または前記第4領域よりも前記第3領域の方が窪んでいることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
第1実施形態に係る磁気ヘッドは、磁気記録媒体上に浮上させて磁気情報を記録または再生する磁気ヘッドであって、浮上したときに磁気記録媒体と対向する浮上面側に、磁気記録素子部及び/または磁気再生素子部からなる素子部と、素子部を保護する保護層とを含む。
磁気記録素子部は、磁気記録素子、磁気記録素子から突出した磁気記録素子突出部、及び磁気記録素子突出部を囲う磁気記録素子シールド部を含む。磁気再生素子部は、磁気再生素子、磁気再生素子から突出した磁気再生素子突出部、及び磁気再生素子突出部を囲う磁気再生素子シールド部を含む。
保護層は、素子部が磁気記録素子部であるとき、磁気記録素子突出部上の第1領域及び磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、素子部が磁気再生素子部であるとき、磁気再生素子突出部上の第3領域及び磁気再生素子シールド部上の第4領域を含む。
磁気記録素子部は、磁気記録素子、磁気記録素子から突出した磁気記録素子突出部、及び磁気記録素子突出部を囲う磁気記録素子シールド部を含む。磁気再生素子部は、磁気再生素子、磁気再生素子から突出した磁気再生素子突出部、及び磁気再生素子突出部を囲う磁気再生素子シールド部を含む。
保護層は、素子部が磁気記録素子部であるとき、磁気記録素子突出部上の第1領域及び磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、素子部が磁気再生素子部であるとき、磁気再生素子突出部上の第3領域及び磁気再生素子シールド部上の第4領域を含む。
また、保護層は、素子部が磁気記録素子部であるとき、(1)第1領域と第2領域は同一平面であるか、または第2領域よりも第1領域の方が窪んでおり、素子部が磁気再生素子部であるとき、(2)第3領域と第4領域は同一平面であるか、または第4領域よりも第3領域の方が窪んでいる。素子部が磁気記録素子部と磁気再生素子部の両方を含むとき、保護層は(1)または(2)の少なくとも一方の形状を有することができる。
第2実施形態に係る磁気記録再生装置は、第1実施形態に係る磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置である。
実施形態に係る磁気ヘッドを用いると、磁気ヘッドの保護層の厚さを調整することにより、磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減することができる。タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減すると、装置性能の確保及び信頼性の確保が可能となる。
実施形態に係る磁気ヘッドを用いると、磁気ヘッドの保護層の厚さを調整することにより、磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減することができる。タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減すると、装置性能の確保及び信頼性の確保が可能となる。
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
まず、図1を参照し、第1実施形態に係る磁気ヘッド、及びこの磁気ヘッドを備えた第2実施形態に係る磁気記録再生装置としてのディスクドライブの構成を説明する。ここでは、素子部として、磁気記録素子部及び磁気再生素子部の両方の構成を有する磁気記録再生素子部を用いた磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置を示す。図1に示す磁気記録再生装置であるディスクドライブの構成は、後述する第2から第6の各実施例にも適用される。
図1は、第2実施形態に係る磁気記録再生装置を表す模式図である。
図1に示すように、磁気ディスクドライブ100は、磁気記録媒体として例えば垂直磁気記録用磁気ディスク(以下単にディスクと表記する)1、及び後述する磁束制御層を有する磁気ヘッド10が組み込まれた垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置である。
ディスク1は、スピンドルモータ(SPM)2に固定されて、回転運動するように取り付けられている。磁気ヘッド10は、アクチュエータ3に搭載されており、ディスク1上の半径方向に移動するように構成されている。アクチュエータ3は、ボイスコイルモータ(VCM)4により回転駆動する。磁気ヘッド10は記録(ライト)ヘッド(磁気記録素子部)58及び再生(リード)ヘッド(磁気再生素子部)54を有する。
図1に示すように、磁気ディスクドライブ100は、磁気記録媒体として例えば垂直磁気記録用磁気ディスク(以下単にディスクと表記する)1、及び後述する磁束制御層を有する磁気ヘッド10が組み込まれた垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置である。
ディスク1は、スピンドルモータ(SPM)2に固定されて、回転運動するように取り付けられている。磁気ヘッド10は、アクチュエータ3に搭載されており、ディスク1上の半径方向に移動するように構成されている。アクチュエータ3は、ボイスコイルモータ(VCM)4により回転駆動する。磁気ヘッド10は記録(ライト)ヘッド(磁気記録素子部)58及び再生(リード)ヘッド(磁気再生素子部)54を有する。
さらに、ディスクドライブは、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプICと表記する)11と、リード/ライトチャネル(R/Wチャネル)12と、ハードディスクコントローラ(HDC)13と、マイクロプロセッサ(MPU)14と、ドライバIC16と、メモリ17とを有する。R/Wチャネル12、HDC13及びMPU14は、1チップの集積回路からなるコントローラ15に組み込まれている。
ヘッドアンプIC11は、後述するように、磁束制御層であるスピントルク発振子(Spin-Torque Oscillator:STO)を駆動するための回路群を含む。以下、スピントルク発振子をSTOと表記する。さらに、ヘッドアンプIC11は、R/Wチャネル12から供給されるライトデータに応じた記録信号(ライト電流)を記録ヘッド58に供給するドライバを含む。また、ヘッドアンプIC11は、再生ヘッド54から出力されたリード信号を増幅して、R/Wチャネル12に伝送するリードアンプを含む。
R/Wチャネル12は、リード/ライトデータの信号処理回路である。HDC13は、ディスクドライブとホスト18とのインターフェースを構成し、リード/ライトデータの転送制御を実行する。
MPU14は、ディスクドライブの主制御部であり、リード/ライト動作の制御および磁気ヘッド10の位置決めに必要なサーボ制御を実行する。さらに、MPU14は、本実施形態に関するSTOの通電制御を実行する。メモリ17は、DRAMからなるバッファメモリ及びフラッシュメモリなどを含む。
MPU14は、ディスクドライブの主制御部であり、リード/ライト動作の制御および磁気ヘッド10の位置決めに必要なサーボ制御を実行する。さらに、MPU14は、本実施形態に関するSTOの通電制御を実行する。メモリ17は、DRAMからなるバッファメモリ及びフラッシュメモリなどを含む。
図2は、磁気ヘッドおよびサスペンションを示す側面図である。
図2に示すように、各磁気ヘッド10は、浮上型のヘッドとして構成され、ほぼ直方体形状のスライダ42とこのスライダ42の流出端(トレーリング端)に設けられた記録再生用のヘッド部44とを有している。磁気ヘッド10は、サスペンション34の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド10は、サスペンション34の弾性により、磁気ディスク1の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。図2に示すように、各磁気ヘッド10は、サスペンション34およびアーム32上に固定された配線部材(フレキシャ)35を介してヘッドアンプIC11およびHDC13に接続される。
図2に示すように、各磁気ヘッド10は、浮上型のヘッドとして構成され、ほぼ直方体形状のスライダ42とこのスライダ42の流出端(トレーリング端)に設けられた記録再生用のヘッド部44とを有している。磁気ヘッド10は、サスペンション34の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド10は、サスペンション34の弾性により、磁気ディスク1の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。図2に示すように、各磁気ヘッド10は、サスペンション34およびアーム32上に固定された配線部材(フレキシャ)35を介してヘッドアンプIC11およびHDC13に接続される。
次に、磁気ディスク1および磁気ヘッド10の構成について詳細に説明する。
図3は、磁気ヘッド10のヘッド部44および磁気ディスク1を拡大して示す断面図である。
図2及び図3に示すように、磁気ディスク1は、例えば、直径約3.5インチ(約9cm)、厚さ約0.8mmの円板状に形成され非磁性体からなる基板101を有している。基板101の各表面には、下地層として軟磁気特性を示す材料からなる厚さ約20~30nmの軟磁性層102と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する厚さ約10~20nmの磁気記録層103と、その上層部に厚さ約1~2nmの保護層104とが順に積層されている。
図3は、磁気ヘッド10のヘッド部44および磁気ディスク1を拡大して示す断面図である。
図2及び図3に示すように、磁気ディスク1は、例えば、直径約3.5インチ(約9cm)、厚さ約0.8mmの円板状に形成され非磁性体からなる基板101を有している。基板101の各表面には、下地層として軟磁気特性を示す材料からなる厚さ約20~30nmの軟磁性層102と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する厚さ約10~20nmの磁気記録層103と、その上層部に厚さ約1~2nmの保護層104とが順に積層されている。
磁気ヘッド10のスライダ42の本体は、例えば、アルミナとチタンカーバイドの焼結体(AlTiC)で形成され、ヘッド部44は、薄膜を積層することにより形成されている。スライダ42は、磁気ディスク1の表面に対向する矩形状のディスク対向面(空気支持面(ABS))43を有している。スライダ42は、磁気ディスク1の回転によってディスク表面とABS43との間に生じる空気流Cにより浮上する。空気流Cの方向は、磁気ディスク1の回転方向Bと一致している。スライダ42は、磁気ディスク1の表面に対し、ABS43の長手方向が空気流Cの方向とほぼ一致するように配置されている。
スライダ42は、空気流Cの流入側に位置するリーディング端42aおよび空気流Cの流出側に位置するトレーリング端42bを有している。スライダ42のABS43には、図示しないリーディングステップ、トレーリングステップ、サイドステップ、負圧キャビティ等が形成されている。
図3に示すように、ヘッド部44は、スライダ42のトレーリング端42bに設けられ、薄膜プロセスで形成された再生ヘッド54および記録ヘッド(磁気記録ヘッド)58を有し、分離型の磁気ヘッドとして形成されている。再生ヘッド54および記録ヘッド58は、スライダ42のABS43に露出する部分を除いて、例えばアルミナなどの母材からなる保護絶縁膜76により覆われている。保護絶縁膜76は、ヘッド部44の外形を構成している。
図3に示すように、ヘッド部44は、スライダ42のトレーリング端42bに設けられ、薄膜プロセスで形成された再生ヘッド54および記録ヘッド(磁気記録ヘッド)58を有し、分離型の磁気ヘッドとして形成されている。再生ヘッド54および記録ヘッド58は、スライダ42のABS43に露出する部分を除いて、例えばアルミナなどの母材からなる保護絶縁膜76により覆われている。保護絶縁膜76は、ヘッド部44の外形を構成している。
再生ヘッド54は、磁気抵抗効果を示す磁性膜55と、この磁性膜55のトレーリング側およびリーディング側に磁性膜55を挟むように配置されたシールド膜(磁気再生素子シールド部)56、57と、で構成されている。これら磁性膜55の先端部55a、シールド膜56の先端部56a、シールド膜57の先端部57aは、スライダ42のABS43に露出している。磁気再生素子の先端部55aは磁気ディスク方向にシールド膜の先端部56a、57aより突出しており、その突出量は約1nm以下である。
記録ヘッド58は、再生ヘッド54に対して、スライダ42のトレーリング端42b側に設けられている。
図4は、記録ヘッド58のライトギャップWG周辺を模式的に示す斜視図、図5は、図4の記録ヘッド58の一部を拡大し、浮上面側からみた様子を表す模式図である。
図3ないし図5に示すように、記録ヘッド58は、磁気ディスク1の表面に対して垂直方向の記録磁界を発生させる高飽和磁化材料からなる主磁極60と、主磁極60のトレーリング側に配置され、主磁極60直下の軟磁性層102を介して効率的に磁路を閉じるために設けられた軟磁性材料からなるトレーリングシールド(補助磁極)62と、磁気ディスク1に信号を書き込む際、主磁極60に磁束を流すために主磁極60およびトレーリングシールド62を含む磁気コア(磁気回路)に巻きつくように配置された記録コイル64a,64bと、主磁極60のABS43側の端部60aとトレーリングシールド62との間のライトギャップに、かつ、ABS43と面一に配置された磁束制御層65とを有している。
図4は、記録ヘッド58のライトギャップWG周辺を模式的に示す斜視図、図5は、図4の記録ヘッド58の一部を拡大し、浮上面側からみた様子を表す模式図である。
図3ないし図5に示すように、記録ヘッド58は、磁気ディスク1の表面に対して垂直方向の記録磁界を発生させる高飽和磁化材料からなる主磁極60と、主磁極60のトレーリング側に配置され、主磁極60直下の軟磁性層102を介して効率的に磁路を閉じるために設けられた軟磁性材料からなるトレーリングシールド(補助磁極)62と、磁気ディスク1に信号を書き込む際、主磁極60に磁束を流すために主磁極60およびトレーリングシールド62を含む磁気コア(磁気回路)に巻きつくように配置された記録コイル64a,64bと、主磁極60のABS43側の端部60aとトレーリングシールド62との間のライトギャップに、かつ、ABS43と面一に配置された磁束制御層65とを有している。
軟磁性材料で形成された主磁極60は、磁気ディスク1の表面およびABS43に対してほぼ垂直に延びている。主磁極60のABS43側の下端部は、ABS43に向かって先細に、かつ、トラック幅方向にロート状に絞り込まれた絞込み部60bと、この絞込み部60bから磁気ディスク側に延出する所定幅の端部60aと、を有している。端部60aの先端、つまり、下端は、磁気ヘッドのABS43に露出している。端部60aのトラック幅方向の幅は、磁気ディスク1におけるトラックの幅にほぼ対応している。
軟磁性材料で形成されたトレーリングシールド62は、ほぼL字形状に形成されている。トレーリングシールド62は、主磁極60の端部60aにライトギャップWGを置いて対向する端部62aと、ABS43から離間しているとともに主磁極60に接続される接続部(バックギャップ部)50とを有している。接続部50は図示しない非導電体を介して主磁極60の上部、すなわち、ABS43から奥側あるいは上方に離れた上部、に接続されている。
トレーリングシールド62の端部62aは、細長い矩形状に形成されている。トレーリングシールド端部62aの下端部62a’は、スライダ42のABS43に露出している。端部62aのリーディング側端面(主磁極側端面)62bは、磁気ディスク1のトラックの幅方向に沿って延びているとともに、ABS43に対してトレーリング側に傾斜している。このリーディング側端面62bは、主磁極60の下端部(端部60aおよび絞込み部60bの一部)において、主磁極60のシールド側端面60cとライトギャップWGを置いてほぼ平行に対向している。主磁極60の先端部60a’は、トレーリングシールド端部62aの下端部(磁気記録素子シールド部)62a’及びヘッド部44の下端部(磁気記録素子シールド部)44aより磁気ディスク1の方向に突出しており、その突出量は約1nm以下である。
図4に示すように、この記録ヘッド58は、一例としてMAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)素子を示しており、MAMR素子特有のSTO(Spin Torque Oscillator)素子65が前述のライトギャップの位置に配置されている。STO素子65は、例えば主磁極60側にスピン注入層65c、及びライトシールド側に発振層65bを有する。スピン注入層65c及び発振層65b間には、図示しない中間層などを設けることができる。また、ライトシールド62の主磁極60寄りの部分にホットシードレイヤー(HotSL)部81が設けられ、主磁極60と同様に、ライトシールド62に対して磁気ディスク1側に突出している。その突出量は約1nm以下である。また、図5に示すように、主磁極60とHotSL部81は、ライトシールド62の端部62aから図示しない磁気ディスクに近づく方向例えば矢印141に示す方向に突出している。
図6に、浮上面において磁気記録素子及び磁気再生素子が突出している様子を表すグラフ図を示す。
なお、ここでは、磁気記録素子60(81)及び磁気再生素子55の突出形状に沿って形成された保護層を有する磁気ヘッドのヘッド部の浮上面の形状を計測している。各グラフ111,112,113は、スライダ42を構成するAlTiC部材の浮上面側端部42cからの距離と、磁気記録媒体1表面と浮上面43の間隔との関係を表し、グラフ111はタッチダウン時、グラフ112はバックオフ時、グラフ113はDFH技術による磁気記録素子60(81)及び磁気再生素子55(磁気記録再生素子)の熱膨張をOFFした場合を各々示す。
なお、ここでは、磁気記録素子60(81)及び磁気再生素子55の突出形状に沿って形成された保護層を有する磁気ヘッドのヘッド部の浮上面の形状を計測している。各グラフ111,112,113は、スライダ42を構成するAlTiC部材の浮上面側端部42cからの距離と、磁気記録媒体1表面と浮上面43の間隔との関係を表し、グラフ111はタッチダウン時、グラフ112はバックオフ時、グラフ113はDFH技術による磁気記録素子60(81)及び磁気再生素子55(磁気記録再生素子)の熱膨張をOFFした場合を各々示す。
浮上面側端部42cからの距離が0よりも低い領域は、AlTiC部材の浮上面の断面形状を表しており、浮上面側端部42cからの距離が0よりも高い領域は、ヘッド部44の浮上面の断面形状を表しており、浮上面側端部42cからの距離が0のところは、AlTiC部材とヘッド部44を構成する部材例えばアルミナとの境界になっている。
図6において、突出部111cは磁気再生素子55の突出部を示し、領域111dは、磁気再生素子55の周囲の磁気再生素子シールド部56a,57aを表す。図示するように、突出部111cは、磁気再生素子シールド部56a,57aの領域111dよりも約1nm以下突出していることがわかる。また、突出部111bは磁気記録素子60(81)の突出部を示し、領域111aは、磁気記録素子60(81)の周囲の磁気記録素子シールド部44aを表す。図示するように、突出部111bは、磁気記録素子シールド部44aの領域111aよりも約1nm以下突出していることがわかる。
このように、磁気ディスク装置100(HDD)の磁気ヘッド10に搭載されている磁気記録再生素子部58,54(磁気再生素子:リーダーおよび磁気記録素子:ライター)は、図6に示すように、周囲にあるシールド部に対して、磁気ディスク1に近づく方向に突出しており、その突出量は約1nm以下である。
通常、このような磁気ヘッド10を搭載したHDD100の製造では、HDD100の組み立て工程の後、検査工程において、磁気記録再生素子部58,54の突出部を含む部分を加熱して熱膨張させることにより突き出させて、一度磁気ディスク1に接触させ(タッチダウン(TD))、そこから所望のすきまになるように引き戻す(バックオフ(BO))ことで、ヘッド間のすきまのばらつきを抑制する調整(タッチダウン・バックオフ調整)が行われる。
通常、このような磁気ヘッド10を搭載したHDD100の製造では、HDD100の組み立て工程の後、検査工程において、磁気記録再生素子部58,54の突出部を含む部分を加熱して熱膨張させることにより突き出させて、一度磁気ディスク1に接触させ(タッチダウン(TD))、そこから所望のすきまになるように引き戻す(バックオフ(BO))ことで、ヘッド間のすきまのばらつきを抑制する調整(タッチダウン・バックオフ調整)が行われる。
このようなシールド部より磁気ディスク1側に突出した磁気記録再生素子部58,54と磁気ディスク1との距離が、前述のタッチダウン・バックオフ調整により一定に保たれることにより、ヘッド間の記録再生能力のばらつきが減り、ハードディスク装置100の組立歩留まりが向上する利点がある一方、タッチダウンの時に磁気記録再生素子部58,54の突出部が磁気ディスク1との接触により削られ、磁気記録再生素子部58,54がダメージを受けてしまう傾向がある。なぜなら、図6のタッチダウン時のグラフ111に示すように、タッチダウン(Spacing=0nm)のときに磁気ヘッドとディスクが接触したことを検出できるのは、磁気記録再生素子部58,54の突出部の周囲に配置されたシールド部がディスクに対してほぼゼロの距離まで近づいた時であり、磁気記録再生素子部58,54の突出部が磁気ディスク1に接触したことは検出するのは困難であるためである。
また、このようにしてタッチダウン・バックオフ調整を行ったあとの磁気記録再生素子部58,54の突出部は、磁気ディスクに対して非常に近接しており、HDDの動作時における偶発的なすきま変動例えば衝撃や振動といった外乱が印加されたとき、磁気ディスク1に接触して削られ、これにより磁気記録再生素子部58,54がダメージを受けてしまう場合もある。
このようなことから、実施形態に係る磁気ヘッドでは、磁気ディスク装置の磁気ヘッドの保護層厚さを調整することにより、タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減して、装置性能確保及び信頼性確保を可能とする。
このようなことから、実施形態に係る磁気ヘッドでは、磁気ディスク装置の磁気ヘッドの保護層厚さを調整することにより、タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減して、装置性能確保及び信頼性確保を可能とする。
図7に、加工前の磁気ヘッドの磁気記録素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図示するように、加工前の磁気ヘッド10の磁気記録素子部58では、主磁極60の突出部60a’と、HotSL部81の突出部81bが、その周囲の磁気記録素子シールド部44aよりも媒体方向に突出した磁気記録素子突出部80bを形成している。磁気記録素子突出部80bと磁気記録素子突出部80bの周囲に設けられた磁気記録素子シールド部44a上に、例えばシリコンなどの密着層70を介して、例えばカーボンなどの保護層68が設けられている。密着層70の厚さは約0.3~1.0nmにすることができる。保護層68の厚さT1は、約1.0~2.0nmにすることができる。密着層70は、保護層68と磁気記録素子部58を密着させるために使用される。また、磁気記録素子部58を密着層70と保護層68の二層で覆うことにより、磁気記録素子部58を腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68は、磁気記録素子突出部80b上の第1領域68bと、磁気記録素子シールド部44a上の第2領域68aとを含む。第1領域68bには、主磁極60の突出部60a’の輪郭形状に沿って形成された突出部68-1と、HotSL部81の突出部81bの輪郭形状に沿って形成された突出部68-2とが設けられており、加工前の保護層68では、第1領域68bは第2領域68aよりも突出している。この保護層68は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部58,54を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子部58,54と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第1領域68bがタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気記録素子部58がダメージを受ける傾向がある。
図示するように、加工前の磁気ヘッド10の磁気記録素子部58では、主磁極60の突出部60a’と、HotSL部81の突出部81bが、その周囲の磁気記録素子シールド部44aよりも媒体方向に突出した磁気記録素子突出部80bを形成している。磁気記録素子突出部80bと磁気記録素子突出部80bの周囲に設けられた磁気記録素子シールド部44a上に、例えばシリコンなどの密着層70を介して、例えばカーボンなどの保護層68が設けられている。密着層70の厚さは約0.3~1.0nmにすることができる。保護層68の厚さT1は、約1.0~2.0nmにすることができる。密着層70は、保護層68と磁気記録素子部58を密着させるために使用される。また、磁気記録素子部58を密着層70と保護層68の二層で覆うことにより、磁気記録素子部58を腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68は、磁気記録素子突出部80b上の第1領域68bと、磁気記録素子シールド部44a上の第2領域68aとを含む。第1領域68bには、主磁極60の突出部60a’の輪郭形状に沿って形成された突出部68-1と、HotSL部81の突出部81bの輪郭形状に沿って形成された突出部68-2とが設けられており、加工前の保護層68では、第1領域68bは第2領域68aよりも突出している。この保護層68は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部58,54を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子部58,54と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第1領域68bがタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気記録素子部58がダメージを受ける傾向がある。
このため、実施形態に係る磁気ヘッドでは、保護層68の第1領域68bと第2領域68aを同一平面にするか、第1領域68bが第2領域68aよりも窪むように加工する。
図8に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの磁気記録素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図8に示す磁気ヘッドは、保護層68の磁気記録素子突出部80b上の第1領域68bに設けられた、各々点線で表される突出部68-1と突出部68-2とを除去する加工を行うことにより、保護層68の第1領域68bと第2領域68aを同一平面に成形して,このとき保護層の厚さT2は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図7の構成と同様である。
図8に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの磁気記録素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図8に示す磁気ヘッドは、保護層68の磁気記録素子突出部80b上の第1領域68bに設けられた、各々点線で表される突出部68-1と突出部68-2とを除去する加工を行うことにより、保護層68の第1領域68bと第2領域68aを同一平面に成形して,このとき保護層の厚さT2は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図7の構成と同様である。
成形されて残った保護層68が所望の保護性能を発揮して最適化された膜厚になるよう、あらかじめ加工前の保護層の厚さT1を厚く成膜しておくことも可能である。磁気記録再生素子部54,58の領域のみが所望の保護層厚(保護できるギリギリの厚さ)であれば、その他の部分の保護層68が厚くても、磁気記録再生性能および長期信頼性を悪化させることはなく、むしろ保護層68を厚く成膜することでカバレージが良くなり表面エネルギが低下し、磁気ヘッド10の浮上量変化の要因の一つであるコンタミ付着を抑制する効果も生まれてくる。
図19に、加工前の磁気ヘッドの磁気再生素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図示するように、加工前の磁気ヘッド10の磁気再生素子部54では、磁気再生素子55の先端が、その周囲の磁気再生素子シールド部56,57の先端56a,57aよりも媒体方向に突出した磁気再生素子突出部55aを形成している。磁気再生素子突出部55aと磁気再生素子突出部55aの周囲に設けられた磁気再生素子シールド部56(56a),57(57a)上に、例えば図7と同様に、密着層70を介して、保護層68を設けることができる。密着層70は、保護層68と磁気再生素子部54を密着させるために使用される。また、磁気再生素子部54を密着層70と保護層68の二層で覆うことにより、磁気再生素子部54を腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68は、磁気再生素子突出部55a上の第3領域68-3と、磁気再生素子シールド部56,57上の第4領域68-3aとを含む。第3領域68-3は、磁気再生素子突出部55aの輪郭形状に沿って形成されており、加工前の保護層68では、第3領域68-3は第4領域68-3aよりも突出している。この保護層68は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部58,54を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子部58,54と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第3領域68-3がタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気再生素子部54がダメージを受ける傾向がある。
図示するように、加工前の磁気ヘッド10の磁気再生素子部54では、磁気再生素子55の先端が、その周囲の磁気再生素子シールド部56,57の先端56a,57aよりも媒体方向に突出した磁気再生素子突出部55aを形成している。磁気再生素子突出部55aと磁気再生素子突出部55aの周囲に設けられた磁気再生素子シールド部56(56a),57(57a)上に、例えば図7と同様に、密着層70を介して、保護層68を設けることができる。密着層70は、保護層68と磁気再生素子部54を密着させるために使用される。また、磁気再生素子部54を密着層70と保護層68の二層で覆うことにより、磁気再生素子部54を腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68は、磁気再生素子突出部55a上の第3領域68-3と、磁気再生素子シールド部56,57上の第4領域68-3aとを含む。第3領域68-3は、磁気再生素子突出部55aの輪郭形状に沿って形成されており、加工前の保護層68では、第3領域68-3は第4領域68-3aよりも突出している。この保護層68は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部58,54を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子部58,54と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第3領域68-3がタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気再生素子部54がダメージを受ける傾向がある。
このため、実施形態に係る磁気ヘッドでは、保護層68の第3領域68-3と第4領域68-3aを同一平面にするか、第3領域68-3が第4領域68-3aよりも窪むように加工する。
図20に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの磁気再生素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図20に示す磁気ヘッドは、保護層68の磁気再生素子突出部55a上の第3領域68-3に点線で表される突出部を除去する加工を行うことにより、保護層68の第3領域68-3と第4領域68-3aを同一平面に成形して,このとき保護層の厚さT2-2は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図19の構成と同様である。
図20に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの磁気再生素子部周辺を模式的に表す図を示す。
図20に示す磁気ヘッドは、保護層68の磁気再生素子突出部55a上の第3領域68-3に点線で表される突出部を除去する加工を行うことにより、保護層68の第3領域68-3と第4領域68-3aを同一平面に成形して,このとき保護層の厚さT2-2は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図19の構成と同様である。
成形されて残った保護層68が所望の保護性能を発揮して最適化された膜厚になるよう、あらかじめ加工前の保護層の厚さT1を厚く成膜しておくことも可能である。磁気記録再生素子部54,58の領域のみが所望の保護層厚(保護できるギリギリの厚さ)であれば、その他
部分の保護層68が厚くても、磁気記録再生性能および長期信頼性を悪化させることはなく、むしろ保護層68を厚く成膜することでカバレージが良くなり表面エネルギが低下し、磁気ヘッド10の浮上量変化の要因の一つであるコンタミ付着を抑制する効果も生まれてくる。
部分の保護層68が厚くても、磁気記録再生性能および長期信頼性を悪化させることはなく、むしろ保護層68を厚く成膜することでカバレージが良くなり表面エネルギが低下し、磁気ヘッド10の浮上量変化の要因の一つであるコンタミ付着を抑制する効果も生まれてくる。
実施形態に係る磁気ヘッドを用いると、磁気ヘッドの保護層の厚さを調整することにより、磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減することができる。タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減することにより、装置性能確保及び信頼性確保が可能となる。
図9に、加工前の磁気ヘッドの変形例の磁気記録素子部周辺を拡大した模式図を示す。
磁気ヘッド10-1は、熱アシスト記録方式を採用した磁気ヘッドである。図示するように、熱アシスト記録方式では、レーザーを印加することで、磁気記録素子部、磁気記録再生部、及び近接場光変換器(NFT)部を含む磁気記録再生素子部71がその周囲に設けられた磁気記録再生素子シールド部71aよりも突出した突出部71bを有する。磁気記録再生素子シールド部71a及び突出部71b上には、例えばシリコンなどの密着層70’を介して、例えばカーボンなどの保護層68-1が設けられている。密着層の厚さは約0.3~1.0nmにすることができる。保護層の厚さT1-1は、約1.0~3.0nmにすることができる。磁気記録再生素子部71bを密着層70’と保護層68-1の二層で覆うことにより、磁気記録再生素子部71bを腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68-1は、磁気記録再生素子部71の突出部71b上の第1領域68-1bと、磁気記録再生素子シールド部71a上の第2領域68-1aとを含む。第1領域68-1bは、磁気記録再生素子部71の輪郭形状に沿って密着層71b’を介して保護層68-1の突出部68-1bが設けられており、加工前の保護層68-1では、第1領域68-1bは第2領域68-1aよりも突出している。この保護層68-1は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部71を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子71と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第1領域68-1bがタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気記録素子部58がダメージを受ける傾向がある。磁気記録再生素子部71のNFT部は熱アシスト記録方式の記録性能を決める重要な素子であるため接触などのダメージは、性能維持、信頼性維持の観点から極力避けたい。
磁気ヘッド10-1は、熱アシスト記録方式を採用した磁気ヘッドである。図示するように、熱アシスト記録方式では、レーザーを印加することで、磁気記録素子部、磁気記録再生部、及び近接場光変換器(NFT)部を含む磁気記録再生素子部71がその周囲に設けられた磁気記録再生素子シールド部71aよりも突出した突出部71bを有する。磁気記録再生素子シールド部71a及び突出部71b上には、例えばシリコンなどの密着層70’を介して、例えばカーボンなどの保護層68-1が設けられている。密着層の厚さは約0.3~1.0nmにすることができる。保護層の厚さT1-1は、約1.0~3.0nmにすることができる。磁気記録再生素子部71bを密着層70’と保護層68-1の二層で覆うことにより、磁気記録再生素子部71bを腐食や接触ダメージから保護している。この保護層68-1は、磁気記録再生素子部71の突出部71b上の第1領域68-1bと、磁気記録再生素子シールド部71a上の第2領域68-1aとを含む。第1領域68-1bは、磁気記録再生素子部71の輪郭形状に沿って密着層71b’を介して保護層68-1の突出部68-1bが設けられており、加工前の保護層68-1では、第1領域68-1bは第2領域68-1aよりも突出している。この保護層68-1は、膜厚が厚いほどより確実に磁気記録再生素子部71を保護できる一方、厚過ぎると磁気記録再生素子71と磁気ディスク1とのすきまが広がってしまうため、記録再生能力の低下、及びそれによる記録密度の低下が生じる傾向がある。また、突出した第1領域68-1bがタッチダウン時に磁気記録媒体1と接触すると、磁気記録素子部58がダメージを受ける傾向がある。磁気記録再生素子部71のNFT部は熱アシスト記録方式の記録性能を決める重要な素子であるため接触などのダメージは、性能維持、信頼性維持の観点から極力避けたい。
図10に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの変形例の磁気記録素子部周辺を拡大した図を示す。
図示するように、加工後の磁気ヘッド10-2は、保護層68-1の第1領域68-1bの突出部68-1b’を、レーザーを印加してあらかじめ若干突き出させた状態で、例えば除去するように加工することにより、シールド部71a上の第2領域68-1aと同一平面になるように成形し、レーザー印加時にはシールド部と同一平面上にあるように設定し、このとき保護層68-1の厚さT2-1は、約0.0~2.0nmにすることができること以外の構成は、図9の構成と同様である。
図示するように、加工後の磁気ヘッド10-2は、保護層68-1の第1領域68-1bの突出部68-1b’を、レーザーを印加してあらかじめ若干突き出させた状態で、例えば除去するように加工することにより、シールド部71a上の第2領域68-1aと同一平面になるように成形し、レーザー印加時にはシールド部と同一平面上にあるように設定し、このとき保護層68-1の厚さT2-1は、約0.0~2.0nmにすることができること以外の構成は、図9の構成と同様である。
実施形態に係る磁気ヘッドの変形例を用いると、磁気記録再生装置の磁気ヘッドの保護層厚さを調整することにより、磁気記録媒体との接触による磁気ヘッドの損傷を低減することができる。また、タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減することにより、装置性能確保及び信頼性確保が可能となる。
図11に、実施形態に係る加工後の磁気ヘッドの他の変形例の磁気記録素子部周辺を拡大した図を示す。
図示するように、加工後の他の変形例に係る磁気ヘッド10-2は、保護層68-1の第1領域68-1cをレーザーを印加してあらかじめ若干突き出させる際に、実施例2のレーザーパワーよりも強いレーザーパワーを使用することにより、第1領域68-1cをより大きく突き出させた状態で、除去するように加工することで、実施例2よりも除去量を多くし、シールド部71a上の第2領域68-1aよりも保護層68-1の第1領域68-1cの方が窪むように成形し、このとき保護層の厚さT3は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図9の構成と同様である。このように、
実施形態に係る磁気ヘッドの変形例を用いると、磁気記録再生装置の磁気ヘッドの保護層厚さを調整することにより、タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減して、装置性能確保及び信頼性確保が可能となる。
図示するように、加工後の他の変形例に係る磁気ヘッド10-2は、保護層68-1の第1領域68-1cをレーザーを印加してあらかじめ若干突き出させる際に、実施例2のレーザーパワーよりも強いレーザーパワーを使用することにより、第1領域68-1cをより大きく突き出させた状態で、除去するように加工することで、実施例2よりも除去量を多くし、シールド部71a上の第2領域68-1aよりも保護層68-1の第1領域68-1cの方が窪むように成形し、このとき保護層の厚さT3は、約0.0~1.0nmにすることができること以外の構成は、図9の構成と同様である。このように、
実施形態に係る磁気ヘッドの変形例を用いると、磁気記録再生装置の磁気ヘッドの保護層厚さを調整することにより、タッチダウン時や動作時における、磁気記録再生素子突出部と磁気記録媒体との接触によるダメージが、装置性能や信頼性におよぼす影響を低減して、装置性能確保及び信頼性確保が可能となる。
実施例1ないし実施例3において、磁気ヘッドに使用される保護層の第1領域または第3領域は、磁気ヘッドの作成時に削り加工することが可能であり、磁気ヘッドまたは記録媒体の検査工程において削り加工することもできる。
第3実施形態に係る磁気ヘッドの製造方法は、磁気ヘッドに使用される保護層を削り加工するタイミングの一例を含み、削り部を備えた磁気記録媒体表面に、磁気ヘッドをタッチダウンさせ、少なくとも磁気ヘッドの磁気記録素子突出部または磁気再生素子突出部上の保護層を削り部によって削り加工することを含む。
また、第4実施形態に係る磁気記録再生装置の製造方法は、削り部を備えた磁気記録媒体と磁気ヘッドを含む磁気記録再生装置を組み立てた後、前記磁気記録媒体表面に、前記磁気ヘッドをタッチダウンさせ、少なくとも前記磁気ヘッドの磁気記録素子突出部または磁気再生素子突出部上の保護層を前記削り部によって削り加工することを含む。
これらの方法を用いることにより、磁気ヘッドに使用される保護層の第1領域または第3領域をタッチダウン工程において、工程数を増やすことなく同時に削り加工することが可能となる。タッチダウン工程は、例えば、磁気ヘッドまたは記録再生装置の製造方法における検査工程の1つとして行うことができる。
図12に、第3実施形態に係る磁気ヘッドの製造方法を表すフロー図を示す。
図示するように、まず、スライダのヘッド部に、記録再生素子を形成する(ST121)。次に、記録再生素子部にイオンビームエッチング(IBE)を用いてその形状を作り込み、かつその表面の微細な加工を施すラッピング加工を行う(ST122)。その後、浮上面に凹凸加工を形成する(ST123)。続いて、タッチダウン工程を行う(ST124)と同時に、保護層の突出部を削る。その後、出荷検査を行う(ST125)。
図示するように、まず、スライダのヘッド部に、記録再生素子を形成する(ST121)。次に、記録再生素子部にイオンビームエッチング(IBE)を用いてその形状を作り込み、かつその表面の微細な加工を施すラッピング加工を行う(ST122)。その後、浮上面に凹凸加工を形成する(ST123)。続いて、タッチダウン工程を行う(ST124)と同時に、保護層の突出部を削る。その後、出荷検査を行う(ST125)。
また、図13に、第4実施形態に係る磁気記録再生装置の製造方法を表すフロー図を示す。
ここでは、タッチダウン工程を磁気記録再生装置の製造方法の検査工程の一部として行っている。
図示するように、まず、筐体内に磁気記録再生装置を組み立てる(ST126)。その後磁気記録媒体のサーボ領域に位置決め情報を書き込むサーボライト(SW)工程を行なう(ST127)。続いて、所望の位置でタッチダウン工程を行う(ST128)と同時に、保護層の突出部を削る。次に、タッチダウン工程の結果から、最適な浮上量及び記録素子にかける電流などの調整を行う(ST129)。最後に、磁気記録再生装置の記録再生性能等の検査を行う(ST130)。
ここでは、タッチダウン工程を磁気記録再生装置の製造方法の検査工程の一部として行っている。
図示するように、まず、筐体内に磁気記録再生装置を組み立てる(ST126)。その後磁気記録媒体のサーボ領域に位置決め情報を書き込むサーボライト(SW)工程を行なう(ST127)。続いて、所望の位置でタッチダウン工程を行う(ST128)と同時に、保護層の突出部を削る。次に、タッチダウン工程の結果から、最適な浮上量及び記録素子にかける電流などの調整を行う(ST129)。最後に、磁気記録再生装置の記録再生性能等の検査を行う(ST130)。
図12及び図13に示すように、タッチダウン工程で保護層の突出部を削るタイミングは、大きく分けて磁気ヘッド製造後で出荷検査前、または磁気記録再生装置製造後で出荷検査前の2種類にすることができる。タッチダウン工程(ST124)、またはタッチダウン工程(ST128)は、どちらの場合も、実際に磁気ヘッドを磁気ディスク上に浮上させ、タッチダウンを繰り返す、またはタッチダウン状態を一定時間継続するという工程で、磁気ディスクに保護層の突出部を接触摩耗させて削ることができる。なおこのとき、タッチダウンする時のDFHパワーを調整することで削れ量や時間をコントロールし、より短い時間で安定して突出部が削られるように調整することができる。
タッチダウン工程(ST124)、またはタッチダウン工程(ST128)は、磁気ヘッド製造工程でもHDD製造工程でも大きくは変わらず、次のような手順で行う。まずDFHパワーを印加していき、同時に磁気ヘッド近傍または内部に配置された接触検知センサの値をモニターする。磁気ヘッド製造工程においては、磁気ヘッドを支持するサスペンション機構にAE(Acoustic Emission)センサを配置して接触検知を行うことができる。磁気記録再生装置の製造工程では、磁気ヘッドに内蔵された温度センサとしてHDI(Head Disk Interface)センサを用いて接触検知を行うことができる。例えばDFHパワーを印加して、磁気ヘッドの磁気再生素子または磁気記録素子近傍の突き出し部が磁気ディスクに接触すると、そのときの振動を検知してAEセンサが、また熱を検知してHDIセンサの出力値が大きくなる。あらかじめその出力値に閾値を設けておき、それを各センサの出力が超えたらタッチダウンと判定する。このタッチダウンの時、磁気記録再生素子部は磁気ディスクに接触しているため、その突出部分を削ることが可能となる。
図14に、磁気ヘッドに印加するDFHパワー印加量とタッチダウンパワー変化量の関係を表すグラフ図を示す。
この図の横軸において、DFHパワー印加量が0とは、シールド部が磁気ディスク表面(磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の表面付近)に接触し、タッチダウンと判定された時を示している。0より小さい値(0より左側)は、DFHパワー印加量を減らすことにより磁気ヘッドとディスクのすきまが大きくなった状態を表す。また、0より大きい値(0より右側)は、DFHパワー印加量を増加させることにより、磁気ディスクと磁気ヘッドのすきまが小さくなった状態を表す。なお、ここでは、最初にタッチダウンと判定された時のDFHパワー印加量をTD0とする。
この図の横軸において、DFHパワー印加量が0とは、シールド部が磁気ディスク表面(磁気ディスク表面に塗布された潤滑剤の表面付近)に接触し、タッチダウンと判定された時を示している。0より小さい値(0より左側)は、DFHパワー印加量を減らすことにより磁気ヘッドとディスクのすきまが大きくなった状態を表す。また、0より大きい値(0より右側)は、DFHパワー印加量を増加させることにより、磁気ディスクと磁気ヘッドのすきまが小さくなった状態を表す。なお、ここでは、最初にタッチダウンと判定された時のDFHパワー印加量をTD0とする。
次に、このTD0から一定量大きいDFHパワーを印加する。これにより、最初のタッチダウンの時より、磁気ヘッドと磁気メディアが強く接触する。その後DFHパワー印加量を所望の値に引き戻し、十分に磁気ヘッドが磁気ディスクから離れた状態とする。次に、前回よりさらに一定量大きなDFHパワーを印加して磁気ヘッドと磁気メディアを接触させ、その後引き戻す。この動作を繰り返し、徐々にDFHパワー印加量を大きくしていくと、それに応じてシールド部の保護層が削れて磁気ヘッドと磁気ディスクのすきまが大きくなっていくため、繰り返し、DFHパワー印加量を印加したときにシールド部の保護層が接触してタッチダウンと判定される時のDFHパワー印加量が、次第に大きくなる。このタッチダウンパワー印加量と最初のタッチダウン時の印加パワーTD0との差を縦軸にプロットしたものが図14のグラフ131である。
グラフ131には、TD0から80mWのあたりまで、タッチダウンパワー変化がない領域131aがある。TD0は、シールド部の保護層が磁気ディスクの潤滑剤表面に接触したときのパワーであるため、磁気記録再生素子の突出部の保護層と、磁気ディスクの潤滑剤の下に成膜されている保護層との隙間は、潤滑剤表面と磁気ディスク保護層とのすきまより小さくなっている。その状態からさらにDFHパワー印加量を増やしていくと、シールド部より先に磁気記録再生素子の突出部の保護層が、磁気ディスク表面に接触し、摩耗し始める。さらに、DFHパワー印加量を増やしていくと、磁気記録再生素子の突出部の保護層(保護層の突出部)が十分に削りとられ、シールド部上の保護層が磁気ディスクに接触する。これが図14のグラフ131で言う80mWの時である。これ以降、DFHパワー印加量を増やしていくと、シールド部の保護層が接触により削れるため、タッチダウンパワーが削れ量すなわち印加したDFHパワー量に応じて大きくなっていく。これが図14のグラフ131でDFHパワー印加量が80mWを超えるとタッチダウンパワー変化量が右上がりになる理由である。
このように考えると、領域131aの横軸量(DFHパワー印加量)に相当するのが磁気記録再生素子の保護層の削り取られた突出部の大きさとなる。磁気ヘッドの素子構造や磁気ディスクの表面状態によって異なるが、一例を挙げると、80mWは約0.3nmに相当するため、この場合の磁気記録再生素子の保護層の突出量は約0.3nmであると考えられる。
なお、実際に磁気記録再生素子の保護層の突出部を削りとるためには、事前に領域131aがなくなるDFHパワー印加量を調べておき、それを図12に示す磁気ヘッド製造時のタッチダウン工程や図13に示すHDD製造時のタッチダウン工程における保護層の突出部削れ量の設定値とすればよい。このようにして、安定してシールド面から磁気記録再生素子が突出しない状態の磁気ヘッドもしくはそれを搭載したハードディスクドライブを製造することが出来る。
第2実施形態及び第4実施形態に使用される磁気記録媒体には、タッチダウン時に、保護層の少なくとも第1領域または第3領域と接触して削り加工することが可能な削り部を設けることができる。
削り部は、磁気記録媒体表面に設けられた1または複数の凸部を有することができる。あるいは、削り部は、磁気記録媒体表面に設けられ、削り部の領域の表面粗さは、削り部以外の領域の表面粗さよりも大きくすることができる。
削り部は、磁気記録媒体表面に設けられた1または複数の凸部を有することができる。あるいは、削り部は、磁気記録媒体表面に設けられ、削り部の領域の表面粗さは、削り部以外の領域の表面粗さよりも大きくすることができる。
図15は、実施形態に使用される磁気記録媒体の一例を表す模式図である。
このディスク状の磁気記録媒体1-1は、特定の箇所例えばトラックの内周側に削り部13-2を有する。削り部13-2は、保護層の突出部と接触した際に削れやすくなるような凹凸形状を有することができる。
図16は、削り部の形状の一例を表す模式図である。
この削り部134はその表面粗さが、データ面134aの表面粗さよりも大きい。
このディスク状の磁気記録媒体1-1は、特定の箇所例えばトラックの内周側に削り部13-2を有する。削り部13-2は、保護層の突出部と接触した際に削れやすくなるような凹凸形状を有することができる。
図16は、削り部の形状の一例を表す模式図である。
この削り部134はその表面粗さが、データ面134aの表面粗さよりも大きい。
図17は、削り部の形状の他の一例を表す模式図である。
この削り部135は、ディスクの表面135aに対し、凹凸形状を形成したゾーンとして、例えばディスク面上の最内周エリアに設けることができる。
図18は、削り部の形状の他の一例を表す模式図である。
この削り部136は、衝突させることで記録再生突出部が削れやすくなるような突起136aを有する。
図16~18に示す削り部134,136は、削り部13-2と同様の位置、あるいはディスク面上の最内周エリアに設けられることができる。
この削り部135は、ディスクの表面135aに対し、凹凸形状を形成したゾーンとして、例えばディスク面上の最内周エリアに設けることができる。
図18は、削り部の形状の他の一例を表す模式図である。
この削り部136は、衝突させることで記録再生突出部が削れやすくなるような突起136aを有する。
図16~18に示す削り部134,136は、削り部13-2と同様の位置、あるいはディスク面上の最内周エリアに設けられることができる。
削り部を有する磁気記録媒体は、タッチダウンさせて保護層の突出部を削る際に使用することができる。必要に応じて、磁気記録媒体は突出部を削る工程に使用した後に除去するか、あるいは磁気記録再生装置内に残してそのまま使用することも可能である。磁気記録再生装置内に設ける場合には、磁気ヘッド製造時、あるいはHDD製造時にタッチダウンさせて保護層の突出部を削る工程を設けなくても、磁気記録再生装置の使用時にタッチダウンさせて保護層の突出部を削ることが可能となり、磁気ヘッド製造時、あるいはHDD製造時の工程をより簡略化できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…磁気記録媒体、10…磁気ヘッド、13-2…削り部、磁気記録素子突出部、44a,62a’…磁気記録素子シールド部、54…磁気再生素子部、55…磁気再生素子、56a,57a…磁気再生素子シールド部、58…磁気記録素子部、60,81…磁気記録素子、68…保護層、68b…第1領域、68a…第2領域、100…磁気記録再生装置
Claims (11)
- 磁気記録媒体上に浮上させて磁気情報を記録または再生する磁気ヘッドであって、
浮上したときに前記磁気記録媒体と対向する浮上面側に、磁気記録素子部または磁気再生素子部のうち少なくとも一方の素子部と、前記素子部を保護する保護層とを含み、
前記磁気記録素子部は、磁気記録素子、前記磁気記録素子から突出した磁気記録素子突出部、及び前記磁気記録素子突出部を囲う磁気記録素子シールド部を含み、
前記磁気再生素子部は、磁気再生素子、前記磁気再生素子から突出した磁気再生素子突出部、及び前記磁気再生素子突出部を囲う磁気再生素子シールド部を含み、
前記保護層は、前記素子部が前記磁気記録素子部であるとき、前記磁気記録素子突出部上の第1領域及び前記磁気記録素子シールド部上の第2領域を含み、前記素子部が前記磁気再生素子部であるとき、前記磁気再生素子突出部上の第3領域及び前記磁気再生素子シールド部上の第4領域を含み、
前記第1領域と前記第2領域は同一平面であるか、または前記第2領域よりも前記第1領域の方が窪んでおり、
前記第3領域と前記第4領域は同一平面であるか、または前記第4領域よりも前記第3領域の方が窪んでいることを特徴とする磁気ヘッド。 - 前記第1領域または前記第3領域は、前記磁気ヘッドの検査工程において削り加工されている請求項1に記載の磁気ヘッド。
- 請求項1または2に記載の磁気ヘッドを含む磁気記録再生装置。
- 前記第1領域または前記第3領域は、前記磁気記録媒体の検査工程において削り加工されている請求項3に記載の磁気記録再生装置。
- タッチダウン時に、前記保護層の少なくとも前記第1領域または前記第3領域と接触して削り加工することが可能な削り部を有する磁気記録媒体をさらに含む請求項3または4に記載の磁気記録再生装置。
- 前記削り部は、前記磁気記録媒体表面に設けられた1または複数の凸部を有する請求項5に記載の磁気記録再生装置。
- 前記削り部は、前記磁気記録媒体表面に設けられ、前記削り部の領域の表面粗さは、前記削り部以外の領域の表面粗さよりも大きい請求項5に記載の磁気記録再生装置。
- 削り部を備えた磁気記録媒体表面に、磁気ヘッドをタッチダウンさせ、少なくとも前記磁気ヘッドの磁気記録素子突出部または磁気再生素子突出部上の保護層を前記削り部によって削り加工することを含む磁気ヘッドの製造方法。
- 削り部を備えた磁気記録媒体と磁気ヘッドを含む磁気記録再生装置を組み立てた後、前記磁気記録媒体表面に、前記磁気ヘッドをタッチダウンさせ、少なくとも前記磁気ヘッドの磁気記録素子突出部または磁気再生素子突出部上の保護層を前記削り部によって削り加工することを含む磁気記録再生装置の製造方法。
- 前記削り部は、前記磁気記録媒体表面に設けられた1または複数の凸部を有する請求項9に記載の方法。
- 前記削り部は、前記磁気記録媒体表面に設けられ、前記削り部の領域の表面粗さは、前記削り部以外の領域の表面粗さよりも大きい請求項9に記載の方法。
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