JP2023025534A - 個片化されたガラス部材付積層体の製造方法 - Google Patents

個片化されたガラス部材付積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス部材をきれいに切断できる個片化されたガラス部材付積層体の製造方法を提供する。【解決手段】製造方法は、長尺の第1基材フィルムと、長尺のキャリアフィルムと、これらの間に介在する第1粘着剤層と、を含む基材積層体を準備する工程と、前記基材積層体において、前記第1基材フィルムに、前記第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する複数の枠状の溝を形成する工程と、前記溝を形成した後、前記第1基材フィルムの前記第1主面に第1接着剤を塗布し、ガラス部材を積層する工程と、前記第1接着剤を硬化させて長尺積層体を形成する工程と、前記長尺積層体の前記溝に対応する領域に、前記ガラス部材側または前記第1基材フィルム側からレーザ光を照射して、複数の個片化されたガラス部材をそれぞれ含む複数のガラス部材付積層体を形成する工程と、を含み、前記溝内に空隙が形成されるように、前記第1接着剤を塗布する。【選択図】図3A

Description

本開示は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)の表示パネルに用いられるガラス部材付積層体の製造方法に関する。
一般に、ガラスフィルムなどのガラス部材と樹脂フィルムとの積層体は、長尺のガラス部材のロールと長尺の樹脂フィルムのロールとを準備し、ロールツーロール(Roll to Roll)で貼り合わせて積層体を形成し、切断することによって形成される。切断には、例えば、刃物またはレーザ光が使用される。しかし、刃物を用いると、切断面の平滑性に劣る。レーザ光を用いると、ガラス部材と樹脂フィルムとで、それぞれに適した加工温度などの加工条件が異なるため、双方を一括してきれいに切断することは難しい。そのため、先に樹脂フィルムを切断して、後でガラス部材を切断する方法が提案されている。
例えば、特許文献1は、厚さが100μm以下の薄ガラスと該薄ガラスの片側または両側に配置された樹脂層とを備える積層体を割断することを含む、可撓性フィルムの製造方法であって、該樹脂層の外面側から溝を設ける工程と、該溝に沿って該積層体を割断する工程とを含む製造方法を提案している。溝は、刃物やレーザ光を用いて形成される。特許文献1では、薄ガラスに溝を設けないように、溝の深さを、樹脂層の厚み、または樹脂層と接着層との合計厚みより小さくしている。
特許文献2は、脆性材料層と樹脂層とが積層された複合材を分断する方法であってレーザ光を前記複合材の分断予定線に沿って前記樹脂層に照射して樹脂を除去することで、前記分断予定線に沿った加工溝を形成する樹脂除去工程と、前記樹脂除去工程の後、超短パルスレーザ光源から発振したレーザ光を前記分断予定線に沿って前記脆性材料層に照射して脆性材料を除去することで、前記分断予定線に沿った加工痕を形成する脆性材料除去工程と、前記脆性材料除去工程の後、前記分断予定線に沿って外力を加えることで、前記複合材を分断する複合材分断工程と、を含み、加工痕は、前記分断予定線に沿ったミシン目状の貫通孔であり、該貫通孔のピッチが10μm以下である、複合材の分断方法を提案している。特許文献2には、脆性材料層1の両側にそれぞれ樹脂層2a、2bが積層された第3実施形態も記載されている。この場合、何れか一方の樹脂層に加工溝が形成され、他方の樹脂層にも加工溝が形成される。
特開2014-159352号公報(請求項1、[0036]、[0041]、図2) 特開2019-122966号公報(請求項1、図1、[0055]、図3)
ガラス部材を保持する部材(具体的には、樹脂フィルム、または接着剤層および樹脂フィルムの積層体など)に、ガラス部材との界面まで溝を形成できれば、次の段階でガラス部材のみをレーザ光で切断することができる。しかし、溝を形成する際にガラス部材に傷が形成されることを抑制できない。このような傷は、ガラス部材をレーザ光で切断する際のレーザ光の散乱の原因となり、ガラス部材をきれいに切断することが難しい。
特許文献1の方法では、溝を形成する際の薄ガラスにおける傷形成は抑制される。しかし、溝が樹脂層または接着層と薄ガラスとの界面まで形成されていないことで、樹脂層または接着層を除去する必要が生じる。この際に薄ガラスに力が加わり、傷が形成される。よって、上記と同様に、レーザ光散乱の原因となり、薄ガラスをきれいに切断することは難しい。
特許文献2の方法では、樹脂層側および脆性材料層側の双方からレーザ光が照射されるため、これらの層の界面付近ではレーザ光により傷が付き易く、品質が低下する。特許文献2の第3実施形態の場合には、双方の樹脂層を除去しないと、脆性材料層を切断できないため、樹脂層を除去する際に脆性材料層に傷が形成され、脆性材料層をきれいに切断することが難しい。
本開示の一側面は、
第1主面および前記第1主面とは反対側の第2主面を有する長尺の第1基材フィルムと、前記第1基材フィルムの前記第2主面側に積層された長尺のキャリアフィルムと、前記第1基材フィルムおよび前記キャリアフィルムの間に介在する第1粘着剤層と、を含む基材積層体を準備する工程と、
前記基材積層体において、前記第1基材フィルムに、前記第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する複数の枠状の溝を形成する工程と、
前記溝を形成した後、前記第1基材フィルムの前記第1主面に第1接着剤を塗布し、前記第1接着剤を介してガラス部材を積層する工程と、
前記第1接着剤を硬化させて第1接着剤層を形成することによって長尺積層体を形成する工程と、
前記長尺積層体の前記溝に対応する領域に、前記ガラス部材側または前記第1基材フィルム側からレーザ光を照射して、複数の個片化されたガラス部材をそれぞれ含む複数のガラス部材付積層体を形成する工程と、を含み、
前記溝内に空隙が形成されるように、前記第1接着剤を前記第1主面に塗布する、個片化されたガラス部材付積層体の製造方法に関する。
ガラス部材をきれいに切断できる個片化されたガラス部材付積層体の製造方法を提供することができる。
本開示の第1実施形態に係る長尺積層体の構成を示す平面図である。 図1Aの長尺積層体をb-b線で切断した断面を矢印の方向から見た時の概略断面図である。 第2実施形態に係る長尺積層体の概略断面図である。 第3実施形態に係る長尺積層体の概略断面図である。 第4実施形態に係る長尺積層体の概略断面図である。 第1実施形態に係る長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。 第5実施形態に係る長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。 第6実施形態に係る長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。 第7実施形態に係る長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。 第8実施形態に係る長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。 第1接着剤層とガラス部材との間の接着力の測定方法の先のステップの説明図である。 第1接着剤層とガラス部材との間の接着力の測定方法の後のステップの説明図である。 長尺積層体の製造方法の一例を示す説明図である。 基材積層体における複数の枠状の溝Gの配置例を示す平面図である。 長尺積層体から積層体が個片化される一連の工程の一例を示す説明図である。 図7(c)の個片化されたガラス部材付積層体をVIII-VIII線で切断した断面を矢印の方向に見た時の概略断面図である。 長尺積層体から個片化されたガラス部材付積層体を製造する一連の工程の一例を示す工程図である。 長尺積層体から個片化されたガラス部材付積層体を製造する一連の工程の他の例を示す工程図である。
以下、本開示に係る長尺積層体、および長尺積層体を利用して個片化されたガラス部材付積層体を製造する方法について、実施形態を挙げて、順次説明する。ただし、実施形態は、例示であり、本開示に係る長尺積層体および個片化されたガラス部材付積層体の製造方法は、以下の実施形態のみに限定されない。
本明細書中、随時「平行」という語を用いるが、必ずしも厳密に平行である必要はなく、一方と他方とが、例えば10°未満(もしくは5°未満)の角度を有する程度に平行な配置からずれていてもよい。同様に、随時「垂直」という語を用いるが、必ずしも厳密に垂直である必要はなく、一方と他方とが、例えば80°以上100°以下(もしくは85°以上95°以下)の角度を有する程度に垂直な配置からずれていてもよい。
図面を参照する場合、各図面において、各構成要素の形状または寸法は、実際と同一の縮尺比で表したものではない。各構成要素の特徴を明確にするために、これらの寸法の相対的な関係性は、模式的かつ強調して示されている。
[長尺積層体]
本開示の一側面に係る長尺積層体は、ガラス部材を含む積層体を含んでおり、少なくともこの積層体部分を分割して、複数の、個片化されたガラス部材付積層体を製造するのに有用である。換言すれば、長尺積層体は、複数の、個片化されたガラス部材付積層体を製造する場合の中間体である。個片化されたガラス部材付積層体は、例えば、FPDの表示パネルに用いられる光学積層体として有用である。FPDとは、代表的には、有機EL表示装置などの薄型の画像表示装置をいう。しかし、FPDはこのような具体例に限定されない。
長尺積層体は、ロール状に巻かれた状態で完成されてもよい。長尺積層体は、ロール状に巻かれた状態から巻き出され、ロールツーロール方式で他の工程(または段階)に供給されてもよい。長尺積層体は、ロール状に巻かれた状態から巻き出され、長尺積層体を処理する段階(少なくともガラス部材を個片化する工程を含む段階など)に供給されてもよい。長尺積層体として完成する前の中間体も、ロール状に巻かれた状態で取り扱われてもよい。中間体は、ロール状に巻かれた状態から巻き出され、ロールツーロール方式で長尺積層体を得るための工程に供給されてもよい。
ロールツーロール方式とは、長尺積層体もしくは長尺積層体として完成する前の中間体を取り扱うときの一つの方式である。ロールツーロール方式では、長尺積層体もしくは中間体をロール状に巻かれた状態から巻き出したり、長尺積層体もしくは中間体をロール状に巻き取ったりすることを含む。ロールツーロール方式では、長尺積層体もしくは中間体を巻き出す巻き出し部と、長尺積層体もしくは中間体を巻き取る巻き取り部とが用いられる。
長尺積層体は、長尺の第1基材フィルムと、第1基材フィルムを挟むように積層されたガラス部材および長尺のキャリアフィルムと、第1基材フィルムとガラス部材との間に介在する第1接着剤層と、第1基材フィルムとキャリアフィルムとの間に介在する第1粘着剤層とを含む。より具体的に説明すると、第1基材フィルムは、第1主面および第1主面とは反対側の第2主面とを有する。第1基材フィルムの第1主面側にはガラス部材が積層され、第2主面側にはキャリアフィルムが積層されている。
第1主面および第2主面は、長尺の第1基材フィルムの表面全体の大部分を占める表裏の一対の表面である。第1基材フィルムは、第1主面および第2主面に加え、これらの主面を連結し、第1基材フィルムの外周を確定する側面(または端面)を有している。
本開示の長尺積層体では、第1基材フィルムにおいて、第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する複数の枠状の溝が形成されている。そして、溝内に空隙が形成されている。このような溝は、第1基材フィルムとガラス部材とを積層する前に形成される。そのため、従来技術の積層後に溝を形成する場合とは異なり、ガラス部材の表面まで溝が形成された状態とすることが可能である。また、従来技術のように溝を形成する際にガラス部材に傷がつくことを抑制できる。溝は、ガラス部材との積層に先立って形成される。そのため、溝を有する状態の第1基材フィルムの第1主面に第1接着剤を塗布し、塗膜と接触するようにガラス部材が第1基材フィルムに積層される。そのため、溝内に、第1接着剤が侵入して、硬化により第1接着剤層が形成される場合がある。しかし、本開示では、溝内には空隙が形成されるようにする。そのため、溝内に、第1接着剤層が形成されなかったり、形成されたとしても、第1接着剤層の厚さが小さかったりする。よって、長尺積層体の溝に対応する領域にガラス部材側からレーザ光を照射することで、ガラス部材を容易に切断できるとともに、溝内の第1接着剤層を容易に除去することができる。また、長尺積層体の溝に対応する領域に第1基材フィルム側からレーザ光を照射することによっても、レーザ光が溝を通ることで、溝内の第1接着剤層を容易に除去することができ、ガラス部材を容易に切断することができる。これらの結果、第1基材フィルムに保持されたガラス部材をきれいに切断することができる。
なお、本明細書中、「溝内」には、溝の第1主面側の端とガラス部材との間の部分も含む場合がある。換言すると、溝の第1主面側の端とガラス部材との間および溝内を単に溝内と称することがある。つまり、本開示では、溝の第1主面側の端とガラス部材との間および溝内の少なくとも一方に空隙が形成されている。溝内に空隙が形成されている状態とは、これらの部分が第1接着剤層で完全に埋められた状態でないことを意味する。このような状態は、例えば、第1接着剤を塗布する位置を調製したり(例えば、第1主面の溝以外の部分のみに塗布したり)、第1接着剤の粘度または塗布量を調節したりすることによって得ることができる。
第1基材フィルムは、第1粘着剤層を介してキャリアフィルムに保持されている。第1粘着剤層は、流動性を有する第1粘着剤で構成されており、第1接着剤層などの接着剤層とは異なり、キャリアフィルムととともに容易に除去することができる。よって、第1基材フィルム側から(より具体的には第2主面側から)、溝内の第1接着剤層に、または溝を通ってガラス部材に、レーザ光を照射する場合には、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した後に行うと有利である。この場合、溝内の第1接着剤層をより容易に除去することができるとともに、第1基材フィルムに保持されたガラス部材をきれいに切断することができる。
ガラス部材には、第1基材フィルム側とは反対側の主面に第2基材フィルムが積層されていてもよい。第2基材フィルムとガラス部材との間には、第2粘着剤層または第2接着剤層が介在している。このような構成も本開示の長尺積層体に包含される。この場合には、長尺積層体の溝に対応する領域において、ガラス部材側(より具体的には、第2基材フィルム側)からレーザ光を、第2基材フィルムと第2粘着剤層(または第2接着剤層)に照射して、これらを切断する。この部分では、ガラス部材と第2粘着剤層または第2接着剤層とが接しているため、従来技術と同様の問題が生じ易い。しかし、本開示では、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した後に、第1基材フィルムの第2主面側から、溝を通ってガラス部材に、レーザ光を照射することができる。そのため、ガラス部材の第1基材フィルムとの界面ではガラス部材の傷の形成を抑制でき、ガラス部材をきれいに切断することができる。また、溝内に空隙が形成されていることで、第2主面側から溝を通ってレーザ光を照射させたときにも、溝内の第1接着剤層を容易に除去することができる。そのため、長尺積層体が第1基材フィルムおよび第2基材フィルムにガラス部材が挟持された積層体の状態でも、レーザ光の照射条件の高度な制御が必要なく、ガラス部材のきれいな切断が可能である。
本開示では、第1基材フィルムには予め溝が形成され、第2基材フィルムを設ける場合には第2基材フィルムはガラス部材とは別途切断される。つまり、基本的には、ガラス部材だけをレーザ光で切断すればよい。そのため、従来の基材フィルムとガラスフィルムとの積層体をレーザ光で一度に切断する場合に比べると、本開示では、ガラス部材に適したレーザ光の照射条件等の制御が容易になり、ガラス部材をきれいに切断できる。
以下、長尺積層体の構成要素についてより具体的に説明する。
(第1基材フィルム)
本開示では、第1基材フィルムに、第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する枠状の溝が形成されている。この溝は、ガラス部材と第1基材フィルムとの積層に先立って形成されている。長尺積層体の溝に対応する領域に向かってレーザ光を放射すれば、第1基材フィルムには照射されず、ガラス部材に照射されるため、ガラス部材をきれいに切断することができる。
枠状の溝は、第1基材フィルムに複数形成されている。溝は、長尺の第1基材フィルムの長さ方向に沿って複数形成されていてもよい。第1基材フィルムの幅方向には、枠状の溝は、1つ形成されていてもよく、幅方向に沿って複数形成されていてもよい。しかし、これらの場合に限定されず、例えば、第1基材フィルムの長さ方向に沿うように形成された複数の枠状の溝の複数の列が、隣接する列でずれるように形成されていてもよい。第1基材フィルムにおいて枠状の溝の配列は特に制限されない。
溝は、第1基材フィルムが、第1粘着剤層を介してキャリアフィルムで保持された状態で形成される。第1基材フィルムを第1主面側から見た時に、溝の形状は、枠状であれは特に制限されず、様々な形状を取り得る。第1基材フィルムを第1主面側から見た時に、枠の形状は、例えば、矩形状であってもよい。矩形状とは、代表的には、正方形もしくは長方形の形状を意味するが、厳密な正方形もしくは長方形である必要はない。例えば、矩形の角部がR面取りされて丸められていてもよく、角部がC面取りされていてもよい。また、矩形の四つの辺は、直線でなくてもよく、多少の屈曲や凹凸を有する線で形成されてもよい。その他、枠は、平行四辺形、菱形、円形、楕円形など、用途に応じて、様々な形状を取り得る。
溝を形成した第1基材フィルムの第1主面に、第1接着剤を塗布して、第1接着剤に接触するようにガラス部材が積層される。そのため、第1接着剤が溝内に侵入する場合がある。このような場合でも、溝内に、空隙が形成された状態となるように、溝はある程度の幅を有することが好ましい。溝の幅は、5mm以上であることが好ましく、7mm以上または10mm以上であってもよい。溝の幅の上限は特に制限されず、溝の配列またはコストなどを考慮して決定すればよい。溝の幅は、例えば、20mm以下であってもよい。溝の幅とは、任意に選択した複数(例えば、5つ)の溝のそれぞれにおいて、最小の幅の平均値である。
溝内に侵入した第1接着剤は、硬化により第1接着剤層を形成する。本開示では、溝を形成した後に第1接着剤を第1基材フィルムに塗布するため、溝内に侵入した第1接着剤が、溝における第1基材フィルムの端面の少なくとも一部を覆うことがある。この場合、第1接着剤が硬化されると、溝では、第1基材フィルムの端面の少なくとも一部が第1接着剤層で被覆された状態となる。このような状態が観察されれば、溝が第1基材フィルムとガラス部材との積層よりも前に形成されたことを把握することができる。また、溝内に形成された第1接着剤層が、第1基材フィルムの端面を覆うように形成されているだけで、この第1接着剤層の内側には枠状の空間が維持されている場合には、この空間を利用して、溝を通るようにレーザ光を第2主面側から照射することも可能である。この場合、第1接着剤層をレーザ光で削って第1基材フィルムを分割する必要がないため有利である。
溝の第1主面側の端とガラス部材との間には、溝の幅方向に沿ってガラス部材の少なくとも一部を覆うような第1接着剤層が形成されない方が好ましい。溝内には、溝の幅方向に溝の少なくとも一部を塞ぐような第1接着剤層が形成されない方が好ましい。このような第1接着剤層は、溝で分割した第1基材フィルムを再び連結してしまうためである。また、第1基材フィルムの第2主面側から溝を通ってレーザ光を照射する場合にも、ガラス部材に直接照射し難い。そのため、このような第1接着剤層の厚さは小さい方が好ましい。このような第1接着剤層の最小厚さは、0μm以上3μm以下であることが好ましく、0μm以上2μm以下であってもよい。なお、溝の第1主面側の端とガラス部材との間および溝内の双方に第1接着剤層が連続して形成されている場合には、この第1接着剤層の最小厚さが上記の範囲であることが好ましい。溝の第1主面側の端とガラス部材との間および溝内の少なくとも一方に形成された第1接着剤層が、複数に分断されている場合には、合計の厚さが上記の範囲であることが好ましい。溝の第1主面側の端とガラス部材との間に、溝の幅方向に沿ってガラス部材の少なくとも一部を覆うように形成される第1接着剤層、および、溝内に、溝の幅方向に溝の少なくとも一部を塞ぐように形成される第1接着剤層の最小厚さとは、溝の深さ方向と平行な方向の最小長さである。そのため、溝内に、枠状の空間を維持した状態で、第1基材フィルムの端面を被覆する第1接着剤層の厚さとは無関係であり、このような第1接着剤層の厚さ(溝の深さ方向と平行な方向の最小長さ)を上記の範囲にする必要はない。
第1基材フィルムは、例えば、樹脂で構成される樹脂フィルムである。第1基材フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。多層フィルムは、2層以上の樹脂フィルムの積層体である。多層フィルムを構成する各層の樹脂フィルムは、直接接合していてもよく、各層の樹脂フィルム間は、接着剤層または粘着剤層で接着されていてもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよい。熱可塑性樹脂の例は、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリエーテルイミド系樹脂である。ポリエステル系樹脂の例は、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンアリーレート樹脂など)である。ポリアルキレンアリーレート樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、およびポリエチレンナフタレート樹脂である。シクロオレフィン系樹脂の例は、ノルボルネン系樹脂である。熱硬化性樹脂の例は、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、およびシリコーン系樹脂である。しかし、これらの樹脂は、単なる例示であり、樹脂フィルムを構成する樹脂は、これらに限定されない。樹脂フィルムは、一種の樹脂を含んでもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて含んでもよい。多層フィルムを構成する各層は、一種の樹脂を含んでもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて含んでもよい。
第1基材フィルムの25℃における貯蔵弾性率は、特に限定されず、例えば、1.5GPa以上10GPa以下であり、1.8GPa以上9GPa以下であってもよく、1.8GPa以上8GPa以下であってもよい。第1基材フィルムの貯蔵弾性率がこのような範囲である場合、ガラス部材を支持するとともに保護する効果が高く、個片化されたガラス部材付積層体を製造する際の生産性がより向上する。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定を行うことで求めることができる。このような貯蔵弾性率を示し易いことから、第1基材フィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。第1基材フィルムとして多層フィルムを用いる場合には、ガラス部材側の層の貯蔵弾性率が上記の範囲であることが好ましい。
第1基材フィルムは、上記に限らず、例えば、光学フィルムを含む多層フィルムであってもよい。このような多層フィルムとしては、光学フィルムと基材フィルム(上記の樹脂フィルムなど)とを含む多層フィルムであってもよく、2層以上の光学フィルムを含む多層フィルムであってもよく、1層または2層以上の光学フィルムとセパレータとを含む多層フィルムであってもよい。多層フィルムを構成する各フィルムは直接接合していてもよく、粘着剤層または接着剤層を介して接着されていてもよい。
光学フィルムとは、特に限定されないが、例えば、偏光板、位相差板、等方性フィルムをいう。光学フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、アセテート系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。光学フィルムは、酸化金属フィルム(金属フィルム、ITOフィルム等)、金属フィルムと樹脂フィルムとの積層フィルムでもよい。
セパレータとしては、例えば、基材シートと基材シートの少なくとも一方の主面に配された剥離剤とを備える剥離シートが用いられる。基材シートは、例えば、第1基材フィルムとして例示した樹脂フィルムと同様の材料を任意に選択して用いることができる。剥離剤としては、公知の剥離剤(例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤)が挙げられる。
第1基材フィルムの厚さは、例えば、5μm以上300μm以下である。第1基材フィルムが単層フィルムである場合には、厚さは、例えば、5μm以上60μm以下であり、5μm以上50μm以下でもよく、10μm以上40μm以下でもよい。第1基材フィルムが多層フィルムである場合には、厚さは、例えば、10μm以上300μm以下であり、30μm以上200μm以下であってもよい。多層フィルムを構成する各層の厚さは、多層フィルムの厚さがこのような範囲になるように、調節される。
なお、本明細書中、各積層体の構成要素の厚さは、特に断りの無い限り、任意の複数箇所(例えば、5箇所)について測定した厚さの平均値である。
(ガラス部材)
ガラス部材としては、例えば、ガラスフィルムが用いられる。ガラスフィルムは、一般に、薄ガラスと称されることもある。ガラス部材は、均一な厚さを有することが好ましい。
薄ガラスなどのガラスフィルムは、高い柔軟性を有し、ロール状で供給されることもある。そのため、長尺積層体には、長尺のガラス部材(ガラスフィルムなど)を利用してもよい。この場合、ロールツーロール方式で第1基材フィルム上にガラス部材を積層することができるため、簡便である。しかし、この場合に限らず、例えば、大判のガラス部材を、第1基材フィルム上に、並べて積層してもよい。大判のガラス部材を複数用いる場合には、全て同じガラス部材でもよく、異なるガラス部材を目的に応じて異なる位置に配置してもよい。大判のガラス部材を用いる場合、枠状の溝のサイズよりも、一方の主面の面積が大きいガラス部材が用いられる。
ガラス部材を構成するガラスの組成は、特に限定されない。ガラスの例は、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、および石英ガラスである。ガラスは、無アルカリガラスでもよく、低アルカリガラスでもよい。ガラスのアルカリ金属成分(例えば、NaO、KO、LiO)の合計含有量は、例えば、15質量%以下であり、10質量%以下であってもよい。
ガラス部材の厚さは、例えば、100μm以下であり、10μm以上60μm以下であってもよい。
ガラス部材の密度は、例えば、2.3g/cm以上3.0g/cm以下であり、2.3g/cm以上2.7g/cm以下であってもよい。
ガラス部材は、任意の適切な方法で製造される。代表的には、ガラスフィルムは、主原料であるセラミックス(シリカ、アルミナ等)と、消泡剤(芒硝、酸化アンチモン等)と、還元剤(カーボン等)とを含む混合物を、1400℃以上1600℃以下の温度で溶融し、フィルム状に成形した後、冷却して作製される。ガラスフィルムの成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法が挙げられる。これらの方法によって得られたガラスフィルムは、更なる薄板化もしくは表面と端部の平滑性の向上のために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。
ガラス部材の表面は、ガラス部材と接触する接着剤層または粘着剤層との接着性を向上させるために、表面処理を施してもよい。表面処理としては、特に制限されず、コロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理などが挙げられる。
また、必要に応じて、ガラス部材の第1基材フィルムとは反対側の表面層には、少なくとも一部には、必要に応じて、様々な機能を有する表面コート層を設けてもよい。
表面コート層としては、例えば、耐指紋コート層、ハードコート層、反射防止層、防眩層、防汚層、スティッキング防止層、色相調整層、帯電防止層、易接着層、成分析出防止層、衝撃吸収層、飛散防止層が挙げられる。表面コート層は、様々な材料で構成され得るが、例えば、耐指紋コート層は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを含む。その他の表面コート層は、例えば、アクリル系コーティング剤、メラミン系コーティング剤、ウレタン系コーティング剤、エポキシ系コーティング剤、シリコーン系コーティング剤、無機系コーティング剤などで形成される。コーティング剤には、シランカップリング剤、着色剤、染料、顔料、充填剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、防汚材等の添加剤を含み得る。
表面コート層は、長尺積層体の状態で形成してもよく、必要に応じて、ガラス部材を個片化した後に形成してもよい。また、ガラス部材に、長尺積層体の形成に先立って、表面コート層を形成してもよい。
(キャリアフィルム)
長尺のキャリアフィルムは、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムで構成できる。樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、第1基材フィルムの樹脂フィルムについて例示した樹脂から任意に選択できる。搬送性および強度などを考慮すると、PET樹脂製のフィルムなどが好ましい。
キャリアフィルムの厚さは、例えば、10μm以上200μm以下であり、30μm以上150μm以下でもよく、40μm以上100μm以下でもよい。
(第2基材フィルム)
長尺積層体は、さらに長尺の第2基材フィルムを含んでもよい。第2基材フィルムは、ガラス部材の第1基材フィルム側とは反対側の主面に積層される。
第2基材フィルムは、特に制限されず、個片化されたガラス部材付積層体の用途に応じて選択してもよく、ガラス部材を保護するための保護フィルムであってもよい。第2基材フィルムは、第1基材フィルムについて例示した樹脂フィルム、光学フィルムなどから選択できる。第2基材フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。第2基材フィルムが多層フィルムである場合、各層は直接接合していてもよく、接着剤層または粘着剤層を介して接着していてもよい。溝以外の内容については、第1基材フィルムについての説明を参照できる。第2基材フィルムの弾性率は、第1基材フィルムの弾性率について記載した範囲に設定してもよい。
第2基材フィルムのガラス部材とは反対側の表面層の少なくとも一部には、必要に応じて、様々な機能を有する表面コート層を設けてもよい。表面コート層としては、ガラス部材の表面に形成する表面コート層の説明を参照できる。上記した以外に、例えば、第2基材フィルムに、長尺積層体の形成に先立って、表面コート層を形成してもよい。
(接着剤層)
本開示において、接着剤層は、接着剤の塗膜を硬化させることによって形成される。そのため、接着剤層は、実質的に流動性を有さない。一方で、粘着剤層は、粘着剤で構成されるが、非硬化性であり、流動性を有する。このように、本開示では、接着剤層と粘着剤層とは区別される。
接着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、10MPaより大きく、100MPa以上であってもよく、通常、1GPa程度である。接着剤層は、貯蔵弾性率によっても、粘着剤層と区別される。
(第1接着剤層)
第1接着剤層は、第1基材フィルムとガラス部材との間に介在する。第1接着剤層は、溝を形成した第1基材フィルムの第1主面に第1接着剤を塗布し、ガラス部材を第1接着剤と接触するように重ね、次いで、第1接着剤を硬化させることによって形成される。第1接着剤は、通常、第1基材フィルムの第1主面の溝を除く部分に塗布される。
溝内に第1接着剤が流動して侵入することを低減する観点から、第1接着剤層の厚さが0.5μm以上5μm以下となるように、第1接着剤が塗布されることが好ましい。第1接着剤層の厚さは、0.5μm以上3μm以下がより好ましい。ただし、この第1接着剤層の厚さは、第1基材フィルムの第1主面において溝を除く部分における第1接着剤層の厚さである。
溝内に空隙が形成されるには、第1接着剤の粘度も重要である。第1接着剤の25℃における粘度は、150mPa・s以下または100mPa・s以下が好ましい。第1接着剤の粘度がこのような範囲である場合、溝の第1主面側の端とガラス部材との間に、溝の幅方向に沿ってガラス部材の少なくとも一部を覆うように形成される第1接着剤層、および、溝内に、溝の幅方向に溝の少なくとも一部を塞ぐように形成される第1接着剤層の厚さを小さく(好ましくはこのような第1接着剤層が形成されないように)することができる。第1接着剤の25℃における粘度は、0.1mPa・s以上であってもよい。
第1接着剤の粘度は、市販の粘弾性測定装置を用いて、25℃およびずり速度200(1/s)の条件で測定される。粘弾性測定装置としては、具体的には、Anton Paar社製レオメーターMCR302を用いる。
第1接着剤層と第1基材フィルムとの接着力および第1接着剤層とガラス部材との接着力は、それぞれ、25℃において例えば、0.1N/mm以上であってもよく、1N/mm以上であってもよい。このような接着力にすることで、第1基材フィルムとガラス部材との間の剥離をより硬度に抑制できる。このような接着力は、例えば、第1接着剤の種類または組成を選択することによって調節することができる。
第1接着剤は、特に限定されず、任意の適切な接着剤が用いられる。第1接着剤は、例えば、環状エーテル基(エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基等)を有する樹脂を含む接着剤、アクリル系樹脂を含む接着剤、シリコーン系樹脂等を含む接着剤が挙げられる。第1接着剤は、好ましくは、紫外線硬化型である。第1接着剤が、紫外線硬化型である場合、積層体の製造方法において積層体の生産性を更に高めることができる。
(その他の接着剤層)
長尺積層体が第2基材フィルムを含む場合、第2基材フィルムとガラス部材との間には第2接着剤層を介在させてもよい。また、第1基材フィルムまたは第2基材フィルムが多層フィルムである場合に、多層フィルムを構成する層間を接着剤層で接着する場合がある。これらの接着剤層も、第1接着剤層の場合のように、接着剤の塗膜を接着させる層間に配置して硬化させることによって形成することができる。
第2接着剤層を形成する第2接着剤を含め、第1接着剤層以外の接着剤層を形成する接着剤としては、第1接着剤について例示した接着剤が挙げられる。第2接着剤は、第1接着剤の場合と同様の理由で、紫外線硬化型であることが好ましい。その他の接着剤は、熱硬化型であってもよく、光硬化型(紫外線硬化型など)であってもよい。
第1接着剤層以外の接着剤層を形成する接着剤の25℃における粘度は、例えば、0.1mPa・s以上1000mPa・s以下であり、0.1mPa・s以上300mPa・s以下であってもよい。接着剤の粘度は、第1接着剤の場合と同様の手順で測定される。
第1接着剤層以外の接着剤層の厚さは、例えば、0.5μm以上10μm以下であり、1μm以上5μm以下であってもよい。
(粘着剤層)
粘着剤層は、上述のように流動性を有する。粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、例えば、10MPa以下であり、通常1MPa以下である。粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、0.2MPa以下または0.1MPa以下であってもよい。粘着剤層の貯蔵弾性率がこのような範囲である場合、粘着剤層を、粘着剤層と接触する層から比較的容易に剥離することができる。粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、0.001MPa以上であってもよい。
(第1粘着剤層)
第1粘着剤層は、第1基材フィルムとキャリアフィルムとの間に介在する。そのため、長尺積層体にレーザ光を照射してガラス部材を切断する際に、第1粘着剤層およびキャリアフィルムを第1基材フィルムから剥離すれば、第1基材フィルムの第2主面側から溝を通って、レーザ光照射を行うことができる。例えば、長尺積層体が第2基材フィルムを含む場合には、第2基材フィルム側からは直接ガラス部材にレーザ光を照射することは難しい。しかし、本開示では第1基材フィルムに溝を形成しており、溝内または溝の近傍に第1接着剤層が形成されていても空隙が存在する。そのため、第1粘着剤層およびキャリアフィルムを第1基材フィルムから剥離することで、第1基材フィルムの溝を通って、ガラス部材にレーザ光を照射し易く、溝の形状に沿って枠で囲まれた形状に、ガラス部材をきれいに切断することができる。
第1粘着剤層は、例えば、キャリアフィルムおよび第1基材フィルムの対向面の少なくとも一方に第1粘着剤を塗布し、キャリアフィルムと第1基材フィルムとを重ね合わせることによって、形成される。この段階では、第1基材フィルムには、溝は形成されていないため、ロールツーロール方式で、キャリアフィルムと第1基材フィルムとこれらの間に介在する第1粘着剤層とを含む長尺の基材積層体を容易に形成することができる。キャリアフィルムの表面に第1粘着剤層が形成され、この第1粘着剤層を介して、第1基材フィルムがキャリアフィルムに貼り合わせてもよい。
第1粘着剤層を構成する第1粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤が挙げられる。
各粘着剤には、例えば、ベースポリマー、架橋剤、添加剤(例えば、粘着付与剤、カップリング剤、重合禁止剤、架橋遅延剤、触媒、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤、金属粉、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、劣化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、無機または有機系材料の粒子(金属化合物粒子(金属酸化物粒子など)、樹脂粒子など))が含まれ得る。しかし、粘着剤の構成成分は、これらに限定されない。
第1粘着剤層の厚さは、例えば、3μm以上50μm以下であり、5μm以上30μm以下であってもよい。
(その他の粘着剤層)
長尺積層体が第2基材フィルムを含む場合、第2基材フィルムとガラス部材との間には第2粘着剤層を介在させてもよい。また、第1基材フィルムまたは第2基材フィルムが多層フィルムである場合に、多層フィルムを構成する層間を粘着剤層で接着する場合がある。これらの粘着剤層も、第1粘着剤層の場合のように、接着させる層間に粘着剤を配置することによって形成することができる。
第2粘着剤層を構成する第2粘着剤を含め、第1粘着剤層以外の粘着剤層を構成する粘着剤としては、第1粘着剤について例示した粘着剤などが挙げられる。第1粘着剤層以外の粘着剤層の厚さは、例えば、第1粘着剤層の厚さについて記載した範囲から選択できる。
<物性の測定方法1>
(1)貯蔵弾性率
(1-1)基材フィルム
第1基材フィルムおよび第2基材フィルムのそれぞれの貯蔵弾性率は、JIS K 7244-1:1998に準拠して、引張貯蔵弾性率として測定できる。具体的には、まず、各基材フィルムを所定サイズに切り出して、試験片を作製する。この試験片を用い、動的粘弾性測定装置(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製の多機能動的粘弾性測定装置「DMS6100」)を用いて、下記の条件で粘弾性の測定を行い、25℃における引張貯蔵弾性率を求める。測定を5回以上行い、平均値を求めてもよい。
測定条件
温度範囲 :-100℃~+200℃
昇温速度 :2℃/min
モード :引張
サンプル幅 :10mm
チャック間距離 :20mm
周波数 :10Hz
歪振幅 :10μm
雰囲気 :大気(250ml/min)
データの取得間隔:0.5min(1℃毎)
(1-2)接着剤層
接着剤層の貯蔵弾性率は、基材フィルムの場合と同様に引張貯蔵弾性率として測定できる。具体的には、まず、接着剤をフィルム状に成形して硬化させて、厚さ約20μmの硬化物のフィルムを作製する。このフィルムを所定サイズに切り出して、試験片を作製する。この試験片を用いて、基材フィルムの場合と同様に、粘弾性の測定を行い、25℃における引張貯蔵弾性率を求める。測定を5回以上行い、平均値を求めてもよい。
(1-3)粘着剤層
粘着剤層の貯蔵弾性率は、JIS K 7244-1:1998に準拠して、ねじりモードで測定できる。具体的には、粘着剤の塗膜をパラレルプレートに挟み込み、動的粘弾性測定装置(例えば、Rheometric Scientific社製の「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」)を用いて、下記の条件で粘弾性の測定を行い、25℃における貯蔵弾性率を求める。測定を5回以上行い、平均値を求めてもよい。
測定条件
変形モード :ねじり
測定周波数 :1Hz
測定温度 :-40℃~+150℃
昇温速度 :5℃/分
(2)接着力
第1接着剤層とガラス部材との間の接着力は、ダイプラ・ウィンテス株式会社製の表面・界面物性解析装置「SAICAS DN-20型」を用いて、以下の条件および方法で測定する。図4Aに示すように、表面・界面物性解析装置41は、下記特性を有する刃42と、図示しない移動装置および圧力測定部とを備える。刃42は、移動可能である。刃42は、先端部に形成される刃先43を備える。
刃42の特性
刃42の材料 :単結晶ダイヤモンド
刃先43の幅 :1mm
刃先43のすくい角 :10°
まず、図4Aに示すように、積層体を解析装置41にセットする。刃先43を水平方向D1(積層体の面方向に相当)の一方側に鉛直方向D2(積層体の厚さ方向に相当)に対して傾斜するように移動させながら第1基材フィルム100に押し込み、刃先43を第1基材フィルム100に切り込ませる。水平方向速度は10μm/secであり、鉛直方向速度は0.5μm/secである。測定には、第1基材フィルム100には枠状の溝が形成されていない状態の積層体が使用される。積層体は、第1基材フィルム100とガラス部材200とこれらの間に介在する第1接着剤層300とを含む。
刃先43を第1基材フィルム100に切り込ませた後、図4Bに示すように、刃先43を第1接着剤層300にも切り込ませる。刃先43が第1接着剤層300とガラス部材200との界面に至ったときに、刃先43を上記一方側に水平移動させる。これにより、第1接着剤層300がガラス部材200から剥離する。このときの剥離強度を第1接着剤層300とガラス部材200との接着力として測定する。
なお、第1接着剤層300と第1基材フィルム100との間の接着力についても、図4Aおよび図4Bの積層体の上下を入れ替えて同様に測定することができる。ただし、第1接着剤層300と第1基材フィルム100との間の接着力を測定する場合、刃先43を第1基材フィルム100に押し込み、刃先43を第1基材フィルム100に切り込ませる。刃先43が第1基材フィルム100と第1接着剤層300との界面に至ったときに、刃先43を上記一方側に水平移動させ、第1接着剤層300が第1基材フィルム100から剥離するときの剥離強度を接着力として測定する。
図1Aは、一実施形態に係る長尺積層体10Cの構成を示す平面図であり、図1Bは、図1Aの長尺積層体10Cをb-b線で切断したときの断面を矢印の方向に見た時の概略断面図である。長尺のキャリアフィルム400上に、第1粘着剤層500を介して、複数の長方形の枠状の溝Gが形成された長尺の第1基材フィルム100が積層されている。そして、さらに、第1基材フィルム100上には、第1接着剤層300を介して、フィルム状の長尺のガラス部材200が積層されている。溝Gは、第1接着剤層300を形成する第1接着剤を塗布する前に、キャリアフィルム400と第1基材フィルム100とこれらの間に介在する第1粘着剤層500との積層体(基材積層体とも称する)の状態で、第1基材フィルム100を複数箇所において枠状に削ったり、切り抜いたりすることで形成される。枠状の溝Gの配列、数などは図示例に限定されず、適宜設定される。図1Aおよび図1B中、枠状の溝Gの幅をWgで示している。
図2A、図2B、および図2Cは、それぞれ、第2基材フィルムを含む長尺積層体の実施形態を示す概略断面図である。これらの図は、図1Bのように、長尺積層体の厚さ方向に平行な切断面を、長尺積層体の長さ方向に平行な方向から見たところを示す断面図である。
図2Aの長尺積層体では、第2基材フィルム600が第2接着剤層700を介してガラス部材200上に形成されている。図2Bの長尺積層体では、第2基材フィルム600が第2粘着剤層800を介してガラス部材200上に形成されている。これらの構成以外は、図1Aおよび図1Bの長尺積層体10Cと同じであり、図1Aおよび図1Bの説明を参照できる。
図2Cの長尺積層体は、図2Bのように、ガラス部材200上に、第2粘着剤層800を介して第2基材フィルム600が形成されている。キャリアフィルム400および第1粘着剤層500の積層構造は、図1Aおよび図1Bと同じである。ただし、図2Cの長尺積層体は、単層構造の第1基材フィルム100の代わりに、多層構造の第1基材フィルム1100を含む。第1基材フィルム1100は、第1粘着剤層500側のセパレータ120と、セパレータ120上に粘着剤層130を介して積層された偏光板110とを備える。偏光板110上には、第1接着剤層300を介してガラス部材200が積層されている。第1基材フィルム1100は、多層構造であるが、全て樹脂材料で構成されているため、基材積層体の状態で、レーザ光などにより溝Gを容易に形成することができる。第1基材フィルム1100に溝Gを形成した後に、第1基材フィルム1100の第1主面(偏光板110側の主面)の溝G以外の部分に第1接着剤を塗布し、ガラス部材200、またはガラス部材200と第2基材フィルム600とこれらの間に介在する第2粘着剤層800との積層体を重ねて、第1接着剤を硬化させることで第1接着剤層300が形成される。図示例では、第1主面に塗布された第1接着剤が溝Gにおける第1基材フィルム1100の端面(または壁面)を伝って、溝Gの内部に侵入し、端面を被覆する第1接着剤層300が形成された場合を示している。
長尺積層体の製造過程では、上記のように溝内に第1接着剤層が形成されることがある。また、溝の第1基材フィルムの第1主面側の端とガラス部材との間に第1接着剤層が形成されることがある。本開示の長尺積層体では、溝の第1基材フィルムの第1主面側の端とガラス部材との間、および溝内の少なくとも一方には空隙が形成されている。そのため、長尺積層体の溝に対応する領域にレーザ光を照射することで、ガラス部材をきれいに切断することができる。
図3A~図3Eは、長尺積層体の溝およびその近傍における第1接着剤層の状態またはレーザ光の照射によるガラス部材または長尺積層体の分割を説明するための概略断面図である。これらの図では、溝およびその近傍の第1接着剤層の状態が分かり易いように、溝を拡大して示している。
図3Aでは、図1B、図2A、および図2Bと同じように、第1接着剤層300は、第1基材フィルム100の第1主面の溝G以外の部分とガラス部材200との間にのみ形成されている。換言すると、溝Gの第1主面側の端とガラス部材200との間および溝G内の全ての部分が空隙となっている。図3Aの長尺積層体は、第2基材フィルム600を有さず、最も外側の層がガラス部材200になっている。長尺積層体からキャリアフィルム400および第1粘着剤層500を剥離して、剥離した後の長尺積層体(この場合、具体的にはガラス部材200)の溝Gに対応する領域に、ガラス部材200側からレーザ光Lを照射することで、ガラス部材200を容易に切断することができる。よって、溝Gの形状に沿って、ガラス部材200を分割することができる。このようにして、枠で囲まれた形状に分割された個片化されたガラス部材付積層体を得ることができる。
図3B~図3Dの長尺積層体は、図3Aの場合と同じく、第2基材フィルム600を有さず、最も外側の層がガラス部材200になっている。ただし、図3B~図3Dでは、溝Gまたはその近傍の第1接着剤層300の状態が図3Aとは異なる。より具体的に説明すると、図3Bでは、図2Cの場合のように、溝Gにおいて、第1基材フィルムの端面(または壁面)が、第1接着剤層300で被覆されている。図3Bでは、図2Cの場合と同じように、溝Gの内部に空隙が形成されている。図3Bでは、図3Aの場合と同様にレーザ光Lを照射することによって、ガラス部材200をきれいに分割することができる。
図3Cおよび図3Dでは、図3Bの場合と同様に、溝Gにおいて、第1基材フィルムの端面(または壁面)が、第1接着剤層300で被覆されている。加えて、溝Gの上部または底部に第1接着剤層300が形成されている。より具体的に説明すると、図3Cでは、溝Gの第1主面側の端とガラス部材200との間および溝G内の上端部に第1接着剤層300が形成されている。図3Dでは、溝Gの底部(第1粘着剤層500側の端部)に第1接着剤層300が形成されている。これらの例でも、溝G内には空隙が確保された状態となっており、溝の上部または底部に形成された第1接着剤層300の厚さTは小さい。そのため、レーザ光Lをガラス部材200側から照射しても、ガラス部材200をきれいに切断することができるとともに、溝Gの上部または底部に形成された不要な第1接着剤層300をレーザ光Lで容易に除去することができる。よって、ガラス部材200をきれいに分割することができ、個片化されたガラス部材付積層体を容易に製造することができる。
図3Eは、第2基材フィルムを有する長尺積層体を個片化する場合の例である。図3Eの長尺積層体は、ガラス部材200上に、第2接着剤層700を介して積層した第2基材フィルム600を含む。図3Eの長尺積層体では、溝Gに、図3Dの場合と同様に第1接着剤層300が形成されている。この場合、まず、キャリアフィルム400および第1粘着剤層500を剥離する。次いで、ガラス部材200側(換言すると、第2基材フィルム600側)からレーザ光Lを照射して、第2基材フィルム600および第2接着剤層700を切断する。次いで、第1基材フィルム100の第2主面側から、溝Gを通って、レーザ光Lを照射することで、溝Gの底部に形成された第1接着剤層300が除去されるとともに、ガラス部材200がきれいに切断される。このように、上下からレーザ光Lを照射することで、長尺積層体を分割でき、個片化されたガラス部材付積層体を容易に製造できる。また、図3Eにおいて、図3Cに示すような第1接着剤層300が溝G内に形成されている場合にも、このような方法が有効である。
[長尺積層体および積層体の製造方法]
次に、長尺積層体の製造方法の一例(以下、「製造方法A」と称する。)について説明する。長尺積層体の構成要素については、長尺積層体の説明を参照できる。
製造方法Aは、概ね、3つの段階に分類できる。
第1段階は、長尺の基材積層体を準備する段階である。
第2段階は、基材積層体とガラス部材とから長尺積層体を準備する段階である。
第3段階は、長尺積層体を更に処理する段階である。
<第1段階>
第1段階は、基材積層体を準備する工程を有する。基材積層体は、長尺の第1基材フィルムと、長尺のキャリアフィルムとを、第1粘着剤層で貼り合わせた積層体である。この時点では、第1基材フィルムは、複数の枠状の溝を有さない状態である。基材積層体の準備工程は、特に限定されず、ロールツーロール方式で行ってもよい。
基材積層体は、例えば、長尺のキャリアフィルムおよび長尺の第1基材フィルムの対向面の一方に、第1粘着剤を付与して、第1粘着剤層を形成し、他方と貼り合わせることによって準備される。第1粘着剤は塗布または転写などを利用してキャリアフィルムまたは第1基材フィルムの一方の主面に付与される。あるいは、キャリアフィルムと第1基材フィルムとが第1粘着剤層を介して積層された基材積層体のロールを購入等によって入手することで準備してもよい。
本工程は、さらに、例えば、巻き出し部により、ロール状に巻かれた長尺の基材積層体を巻き出すことを含んでもよい。巻き出された基材積層体は、後続の段階(または工程)に供給される。また、このような場合に限らず、基材積層体を準備する工程を、長尺積層体を形成する一連の工程の1つとして行ってもよい。
<第2段階>
第2段階では、第1段階で得られた基材積層体を用いて長尺積層体を形成する。第2段階は、第1段階から供給された基材積層体の第1基材フィルムに溝を形成する第1工程と、ガラス部材を積層する第2工程と、第1接着剤層を形成する第3工程と、を含んでもよい。第2段階は、必要に応じて、さらに第2基材フィルムを積層する第4工程を含んでもよい。第4段階は、必要に応じて、ロールツーロール方式で行ってもよい。また、第2段階は、必要に応じて、ガラス部材または第2基材フィルムに表面コート層を形成する第5工程を含んでもよい。
(第1工程)
第1工程では、基材積層体において、第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する複数の枠状の溝を形成する。枠状の溝は、特に限定されず、例えば、基材積層体の第1基材フィルムにおいて、機械的にまたはレーザ光を用いて形成できる。各溝は、例えば、枠状に第1基材フィルムを削り取ることで形成してもよく、大小2つの枠状のスリットを形成し、スリット間の第1基材フィルム(スリット間の幅を有する枠状の第1基材フィルム)を除去することによって形成してもよい。本開示では、比較的幅が大きな溝を形成するため、後者の方法が有利である。特に、レーザ光を利用するハーフカットの技術によって形成すると簡便である。ハーフカットにより、第1基材フィルムを貫通して第1粘着剤層までカットされても、第1粘着剤層は流動性を有するため、第1基材フィルムを保持する上で接着性が損なわれることもない。また、第1粘着剤層が仮に部分的に損傷したとしても、後には、キャリアフィルムとともに除去されるため、製品に影響を及ぼさない。
第1基材フィルムのスリット間の枠状の部分は、例えば、枠状の部分の側端部を、キャリアフィルムの下方から押し上げて浮き上がらせ、浮き上がった部分を引っ張ることで除去するができる。
ロールツーロール方式では、巻き出され、搬送されている途中もしくは搬送が停止されているときの基材積層体の一部分に対して溝の形成が行われてもよい。第1工程が行われた基材積層体は、一旦、巻き取り部によりロール状に巻き取ってもよい。第1工程が行われた基材積層体は、巻き取り部に巻き取った後に、または巻き取ることなく、さらに、後続の工程に供してもよい。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で溝を形成した後、第1基材フィルムの第1主面に第1接着剤を塗布し、第1接着剤を介してガラス部材を積層する。第2工程は、第1接着剤を第1基材フィルムに塗布する第1サブステップと、ガラス部材を積層する第2サブステップとを含んでもよい。
(接着剤の塗布(第1サブステップ))
第1接着剤は、溝の第1主面側の端とガラス部材と間および溝内の少なくとも一方に空隙が形成されるように塗布される。この観点からは、例えば、第1主面の溝を除く領域に第1接着剤を塗布することが好ましい。また、第1接着剤の粘度を既述の範囲としたり、第1基材フィルムの第1主面(ただし溝を除く領域)とガラス部材との間の第1接着剤層の厚さが既述の範囲となるように、第1接着剤を塗布したりすることが好ましい。また、溝の第1主面側の端とガラス部材と間および溝内の少なくとも一方の一部に形成された第1接着剤層の最小厚さが既述の範囲となるように第1接着剤を塗布する(例えば、塗布量または塗膜の厚さを調節する)ことも好ましい。
例えば、ロールツーロール方式では、溝を形成した後の基材積層体が搬送されている途中もしくは搬送が停止されているときに、基材積層体の第1基材フィルムの第1主面に対して、連続的または間欠的に第1接着剤を塗布してもよい。
第1接着剤の種類については、長尺積層体の第1接着剤層を形成する第1接着剤の説明を参照できる。第1接着剤の種類および組成は、第1接着部層とガラスフィルムとの間の接着力、および、第1接着剤層と第1基材フィルムとの間の接着力が、いずれも、例えば0.1N/mm以上となるように選択することが好ましい。
第1接着剤の塗布方法としては、コーティング法、印刷法などが利用される。コーティング法としては、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、電着コーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等が挙げられる。印刷法としては、凸版印刷法(フレキソ印刷等)、凹版印刷法(ダイレクトグラビア印刷法、オフセットグラビア印刷法等)、平版印刷法(オフセット印刷法等)、孔版印刷法(スクリーン印刷法等)等が挙げられる。
(ガラス部材の積層(第2サブステップ))
第1サブステップに続き、第1基材フィルムの第1主面に、塗布された第1接着剤を介してガラス部材が積層される。前述のように、ガラス部材としては、長尺のガラス部材(ガラスフィルムなど)を連続して第1基材フィルムに重ね合わせてもよく、第1基材フィルムの第1主面上に大判のガラス部材を複数並べて配置してもよい。
第2サブステップでは、ガラス部材は、単独で第1基材フィルムに積層してもよい。
あるいは、ガラス部材は、予め、第2接着剤層または第2粘着剤層を介して第2基材フィルムと積層された状態で、第1基材フィルムの第1主面に積層してもよい。ガラス部材と、第2基材フィルムと、これらの間に介在する第2接着剤層との積層体は、例えば、ガラス部材および第2基材フィルムの対向面の少なくとも一方に、第2接着剤を塗布し、他方を貼り合わせて、第2接着剤を硬化させて第2接着剤層を形成することによって、得ることができる。第2接着剤の塗布は、第1接着剤について記載した塗布方法などによって行うことができる。第2接着剤の硬化は、後述の第3工程についての説明を参照できる。ガラス部材と、第2基材フィルムと、これらの間に介在する第2粘着剤層との積層体は、例えば、ガラス部材および第2基材フィルムの対向面の少なくとも一方に第2粘着剤を付与して第2粘着剤層を形成し、他方を第2粘着剤層に接触するように貼り付けることによって形成できる。第2粘着剤の付与は、塗布または転写などを利用して行うことができる。
(第3工程)
第3工程では、第2工程で塗布された第1接着剤を硬化させることによって、第1接着剤層を形成する。これによって、第1基材フィルムに複数の枠状の溝が形成された基材積層体にガラス部材が第1接着剤層を介して積層された長尺積層体が得られる。
第1接着剤の硬化は、第1接着剤の種類に応じて、加熱または光照射などを利用して行うことができる。ガラス部材が透明であるため、光硬化型の第1接着剤を用いることができ、効率よく硬化を行うことができる。紫外線硬化型の第1接着剤を用いる場合、紫外線がガラス部材を介して第1接着剤に照射されることによって、第1接着剤層が形成される。
第3工程で得られた長尺積層体またはその前駆体は、一旦、巻き取り部によりロール状に巻き取ってもよい。第3工程が行われた長尺積層体は、巻き取り部に巻き取った後に、または巻き取ることなく、さらに、後続の工程または段階(例えば、第4工程、第5工程、第3段階)に供してもよい。第3工程で前駆体が得られる場合、第4工程および/または第5工程を行うことによって、長尺積層体を完成させてもよい。
図5は、長尺積層体の製造方法の一例を示す説明図である。長尺積層体の製造方法は、ロールツーロール方式で、図5中の矢印の方向に順次進行する。図5(a)は、第1段階の基材積層体の準備の少なくとも一部の工程を模式的に示しており、巻き出し部1により、ロール状に巻かれた基材積層体456を巻き出すことを含んでもよい。基材積層体456は、長尺のキャリアフィルム400と長尺の第1基材フィルム100とを第1粘着剤層500で貼り合わせた積層体である。巻き出された基材積層体456は、後続の第2段階の第1工程に供給される。
図5(b)は、第2段階の第1工程の少なくとも一部を模式的に示しており、まず、レーザ光を用いたハーフカット装置2により、スリットSが形成される様子を示している。スリットSは大小の2つの枠状の長方形のセットを描くように形成される。このような枠状の長方形のセットを、基材積層体456の長さ方向および幅方向に複数個連続して形成する。そして、第1基材フィルム100の大小2つの枠状のスリットSの間の部分(枠状の部分)100aを除去することによって、複数の枠状の溝Gを形成する。
図5(c)は、第2工程の少なくとも一部を模式的に示しており、第1サブステップで第1接着剤300aを塗布する様子を示している。断面模式図では、第1接着剤300aは、第1基材フィルム100の第1主面の溝G以外の部分に塗布されている。
図5(d)は、第2工程の少なくとも一部を模式的に示しており、第2サブステップで、長尺のガラス部材200が積層される様子を示している。ロール状のガラス部材200を巻き出し部4から巻き出して、枠状の溝Gが形成された基材積層体に積層する。そして、第1接着剤300aを硬化させることによって、断面模式図に示されるような長尺積層体10Cが形成される。ガラス部材200を介して紫外線を第1接着剤300aに照射することによって、第1接着剤300aを硬化させ、第1接着剤層300を形成する。このようにして、長尺積層体10Cが形成される。ガラス部材200が積層された基材積層体は、一対のニップローラ3a、3bのニップを通してガラス部材200を第1接着剤に押し付けてもよい。
長尺積層体10Cは、図5(e)に示されるように、巻き取り部5によってロール状に巻き取られてもよい。この場合、ガラス部材200を保護する観点から、ロールの内側がガラス部材200となるように巻き取ることが好ましい。
図示例では、長方形のガラス部材200の長さ方向と長尺のキャリアフィルムのMD方向とが平行である例を示したが、ガラス部材200の長さ方向とMD方向との関係は、これに限定されない。
図6は、基材積層体における複数の枠状の溝Gの配置例を示す平面図である。図6(a)は、図5で示した基材積層体456と類似の配置である。図6(b)は、長方形の枠状の溝Gの長さ方向と長尺のキャリアフィルムのTD方向とが平行である例を示している。図6(c)は、長方形の枠状の溝Gの長さ方向と長尺のキャリアフィルムのTD方向とが所定の角度で傾斜している例を示している。
フレキシブルなフラットパネルディスプレイ(FPD)の表示パネル等に用いられる光学積層体の場合、ガラスフィルムは、丸めたり、屈曲させたりすることが求められる。ガラスフィルムを丸めたり屈曲させたりする方向(すなわち、ガラスフィルムを丸めたり屈曲させたりするときに形成される周面の円周方向)を第1方向とするとき、第1方向とMD方向とが平行(第1方向とTD方向とが垂直)となるように、長尺積層体における枠状の溝Gの配置方向を決定してもよい。
(第4工程)
第2段階は、必要に応じて、さらに第2基材フィルムを積層する第4工程を含んでもよい。第2基材フィルムを設けない場合、または第2工程でガラス部材および第2基材フィルムを含む積層体を積層した場合には、本工程は特に設ける必要はない。しかし、この場合に限らず、第2工程でガラス部材および第2基材フィルム(より詳しくは第2基材フィルムの一部の層)を含む積層体を積層した場合でも、第4工程において、さらに第2基材フィルム(より詳しくは第2基材フィルムの一部の層)を積層し、第2基材フィルム全体を多層フィルム化してもよい。
第4工程では、通常、ガラス部材の第1基材フィルム側とは反対側の主面に、第2粘着剤層または第2接着剤層を介して長尺の第2基材フィルムが積層される。第2基材フィルムの積層は、第2工程の、ガラス部材に第2基材フィルムを積層する場合の説明を参照できる。また、この場合に準じて、第2基材フィルムの一部の層に、さらに第2基材フィルムの一部の層を積層することができる。粘着剤層または接着剤層を介さずに、第2基材フィルムを構成する層が積層される場合には、例えば、層を構成するコーティング剤を積層される層に塗布し、固化することによって多層化が行われる。
(第5工程)
例えば、長尺積層体において、ガラス部材または第2基材フィルムの表面に表面コート層を形成する場合には、第5工程で、表面コート層を形成してもよい。表面コート層については、ガラス部材の表面に形成する表面コート層についての説明を参照できる。表面コート層は、例えば、材料となるコーティング剤をガラス部材または第2基材フィルムの表面の少なくとも一部に塗布し、固化することによって形成できる。
第5工程は、第2工程の第2サブステップで基材積層体にガラス部材を積層した後、または第3工程の後に、積層されたガラス部材に対して行ってもよい。また、第4工程で、第2基材フィルムを積層した後に、第2基材フィルムに対して第5工程を行ってもよい。しかし、これらの場合に限定されない。ガラス部材の保護または作業性などの観点から、第2工程で基材積層体にガラス部材を積層する前のガラス部材に予め第5工程によって表面コート層を形成しておくことが好ましい。また、第2基材フィルムに表面コート層を形成する場合には、作業性の観点から、第4工程で積層する前の第2基材フィルムに予め第5工程によって表面コート層を形成しておくことが好ましい。
<第3段階>
第3段階では、第2段階で得られた長尺積層体をさらに処理する。より具体的には、長尺積層体を処理して、複数の個片化されたガラス部材をそれぞれ含む複数のガラス部材付積層体を形成する。
第3段階は、長尺積層体の構成に応じて、例えば、キャリアフィルムを剥離する第6工程、ガラス部材を分割する第7工程、第2基材フィルムを分割する第8工程などを含む。必要に応じて、ガラス部材または第2基材フィルムの表面に表面コート層を形成する第9工程を行ってもよい。
第7工程でガラス部材を個片化する前に、複数の枠状の溝の一部を含む大判シートを形成する第10工程を行ってもよい。
(第6工程)
第6工程では、長尺積層体から、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去する。個片化されたガラス端部の破損のリスクを低減する観点から、第6工程は、第7工程より前に行うことが好ましい。第6工程と第8工程とはどちらを先に行ってもよい。例えば、第6工程を行った後、第8工程を行い、第8工程の後に第7工程を行ってもよい。
長尺積層体がロール状に巻き取られている場合には、第6工程は、例えば、巻き出し部により、ロール状に巻かれた長尺積層体を巻き出すことを含んでもよい。
第6工程で除去されたキャリアフィルムは、第1粘着剤層とともに、巻き取り部によりロール状に巻き取ってもよい。
(第7工程)
第7工程では、長尺積層体(より具体的には、長尺積層体からキャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した積層体)の溝に対応する領域に、ガラス部材側または第1基材フィルム側からレーザ光を照射して、ガラス部材を分割する。ガラス部材にレーザ光が照射されることによって、ガラス部材が溝に沿って枠で取り囲まれた形状に分割(または切断)される。長尺積層体が第2基材フィルムを含まない場合には、図3A~図3Dに示されるように、ガラス部側からレーザ光を照射することで、ガラス部材を切断することができる。長尺積層体の溝に対応する領域にレーザ光を照射することで、ガラス部材を切断できるため、第1基材フィルムがレーザ光で傷つくことが抑制される。また、図3A~図3Dに示すように、第1接着剤層が溝内に侵入して形成されたとしても、溝内には空隙が形成されているため、レーザ光の光路に第1接着剤層が存在しても、ガラス部材を切断する際に、容易に除去することができる。よって、個片化されたガラス部材と第1基材フィルムとを含む積層体を、きれいな切断面で、容易に形成することができる。また、長尺積層体が第2基材フィルムを有さない場合でも、第6工程によってキャリアフィルムおよび第1粘着剤層を先に除去することで、第1基材フィルム側から溝に対応する領域にレーザ光を照射して、ガラス部材を分割することができる。この場合、より具体的には、レーザ光は、溝を通ってガラス部材に照射される。なお、本明細書では、長尺積層体からキャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した後の積層体も、便宜上、長尺積層体と称することがある。
長尺積層体が第2基材フィルムを含む場合には、例えば、第6工程で、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した後、好ましくは第8工程を行い、次いで第7工程で第1基材フィルム側からレーザ光を溝に対応する領域に照射することで、ガラス部材を分割することができる。この場合、第7工程において、レーザ光は、溝を通ってガラス部材に照射される。この場合の例は、図3Eに示される。本開示では、図3Eのように、溝内に第1接着剤層が形成されていても、溝内の空隙が多く、第1接着剤層の厚さは小さいため、照射されるレーザ光によって容易に除去され、ガラス部材をきれいに切断することができる。
長尺積層体が第2基材フィルムおよび第2粘着剤層を含む場合でも、第2基材フィルムおよび第2粘着剤層が除去される場合には、第2基材フィルムおよび第2粘着剤層を除去するサブステップを行った後に、図3A~図3Dに示されるように、ガラス部材側からレーザ光を溝に対応する領域に照射してガラス部材を切断してもよい。
レーザ光をガラス部材側から照射した後に、溝内に第1接着剤層が残存している場合には、必要に応じて、第1基材フィルム側から溝を通ってレーザ光を照射してもよい。これによって、溝内に残存する第1接着剤層を除去して、第1基材フィルムを再度分割できる。
第7工程において、レーザ光の種類は、特に制限されず、レーザ光発振の媒体によって、例えば、半導体レーザ、ガスレーザ(COレーザなど)、固体レーザ(YAGレーザ、紫外線レーザ)などを用いてもよい。レーザ光の照射条件は、例えば、ガラス部材および第1接着剤層の厚さ、組成などに応じて決定される。
(第8工程)
長尺積層体が第2基材フィルムを含む場合、第2基材フィルムとガラス部材とでは適する照射条件が異なることが多いため、第2基材フィルムには、図3Eに示されるように、ガラス部材側(より具体的には第2基材フィルム側)からレーザ光を照射して、第2基材フィルムおよび第2接着剤層または第2粘着剤層を切断することが好ましい。なお、第2粘着剤層はレーザ光を照射しなくても除去可能であるため、第2基材フィルムおよび第2粘着剤層を除去する場合には、第2基材フィルムのみにレーザ光を照射して除去してもよい。
第8工程において、レーザ光の種類は、特に制限されず、第7工程について挙げたレーザが挙げられる。レーザ光の照射条件は、例えば、第2基材フィルム、第2接着剤層または第2粘着剤層の厚さ、組成、第2基材フィルムの層構成などに応じて決定される。
第7工程および第8工程の双方を行う必要がある場合、一方の工程を行った後に、他方の工程を行ってもよく、双方の工程を並行して行ってもよいが、第8工程を、第7工程よりも前に行うことが好ましい。第8工程を第7工程よりも前に行う場合には、第6工程は、第8工程の前に行ってもよく、後に行ってもよいが、第7工程および第8工程よりも前に行うことが好ましい。
レーザ照射の前に長尺積層体がロール状に巻き取られている場合には、第8工程は、例えば、巻き出し部により、ロール状に巻かれた長尺積層体を巻き出すことを含んでもよい。
(第9工程)
表面コート層は、第2段階の長尺積層体の製造過程において、第5工程で形成しておいてもよく、第3段階の第9工程で形成してもよい。第3段階で表面コート層を形成する場合には、作業性の観点からは、第9工程は、第6工程の後、第7工程および第8工程よりも前に行うことが好ましい。また、第7工程および第8工程の後に、必要に応じて、第9工程によって、個片化されたガラス部材または第2基材フィルムの表面に表面コート層を形成してもよい。表面コート層の形成については、第5工程の説明を参照できる。
(第10工程)
第10工程は、ガラス部材を個片化する前(つまり、第7工程よりも前)に行われる。第8工程を行う場合には、第10工程は、第8工程よりも前に行ってもよい。第10工程は、第6工程の前に行ってもよく、第6工程の後に行ってもよい。
第10工程では、長尺積層体の枠状の溝の外側において、長尺積層体を切断して、複数の枠状の溝の一部を含む大判シートを形成する。第10工程の前または後に、第6工程を行った後、第7工程に、大判シート(より具体的には、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層が除去された大判シート)が供給され、第7工程でガラス部材が個片化される。大判シートを用いて第7工程および第8工程を並行して行ってもよいが、ガラス部材の破損を低減する観点からは、大判シートを第8工程に先に供給し、第8工程の後に第7工程に供給することが好ましい。第9工程を行う場合には、例えば、キャリアフィルムおよび第1粘着部材層が除去された大判シートに、第8工程および第7工程よりも前に第9工程を行うか、あるいは、ガラス部材を分割した後の個片化された積層体に対して第9工程を行うことが好ましい。
図7は、長尺積層体から積層体が個片化される一連の工程の一例を示す説明図である。図示例では、まず、長尺積層体10Cから、複数の枠状の溝を含む大判シート10Eが切り出される。この切り出しの前または後に、第6工程によって、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層が除去される。そして、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層が除去された大判シートを用いて、第7工程によってガラス部材200が分割され、個片化されたガラス部材付積層体10が得られる。
より具体的には、大判シート10Eは、長尺積層体10Cにおける枠状の溝Gの外側を通る切断線LBで、長尺積層体10Cを切断することによって形成される。図示例では、切断線LBは、長尺積層体10Cの幅方向の一端から他端まで、枠状の溝Gを横切らない部分に設定される(図7(a))。
そして、長尺積層体10Cは、切断線LBで切断され、ガラス部材200と複数の枠状の溝G(図示例では9個)が形成された第1基材フィルム100とこれらの間に介在する第1接着剤層300を含む大判シート10Eが形成される(図7(b))。大判シート10Eの長さは、取り扱いの容易さを考慮して任意に選択される。
そして、第6工程において、大判シート10Eからキャリアフィルムおよび第1粘着剤が除去される。得られた大判シートの溝Gに対応する領域に、第7工程において、レーザ光を照射することによって、溝Gの枠形状に沿って、切断線LAでガラス部材200が切断される。これによって、大判シートから個片化されたガラス部材付積層体10が得られる(図7(c))。
図8は、図7(c)の個片化されたガラス部材付積層体10をVIII-VIII線で切断したときの断面を、矢印の方向から見た時の概略断面図である。積層体10は、第1基材フィルム100に予め溝Gが形成され状態で、ガラス部材200を分割することによって得られるため、ガラス部材200の端面は、分割された第1基材フィルム100の端面よりも外側に延出した状態である。
図9には、長尺積層体から個片化されたガラス部材付積層体を形成する工程図の一例を示す。図10は、長尺積層体から個片化されたガラス部材付積層体を形成する工程図の他の例である。
図9では、例えば、第6工程において、巻き出し部から巻き出された長尺積層体から、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去する(S6)。次いで、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去した長尺積層体の溝に対応する領域に、第7工程で、ガラス部材側からレーザ光を照射して、ガラス部材を個片化する(S7)。次いで、これにより、個片化されたガラス部材付積層体が得られる。
図10では、例えば、第6工程において、巻き出し部から巻き出された第2基材フィルムを含む長尺積層体から、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層を除去する(S6)。次いで、第8工程により、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層が除去された長尺積層体において、溝に対応する領域にガラス部材側(より具体的には、第2基材フィルム側)からレーザ光を照射して、第2基材フィルムを切断する(S8)。このとき、第2基材フィルムとともに、第2接着剤層または第2粘着剤層をレーザ光で切断してもよい。第8工程の後、第7工程において、キャリアフィルムおよび第1粘着剤層が除去された長尺積層体の溝に対応する領域に、第1基材フィルム側から溝を通ってガラス部材にレーザ光を照射することによって、ガラス部材を切断する(S7)。このようにして、個片化されたガラス部材付積層体が得られる。
本開示は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)の表示パネルに用いられる光学積層体の高性能化および生産性の向上に寄与し得る。
10:個片化されたガラス部材付積層体
10C:長尺積層体
10E:大判シート
100、1100:第1基材フィルム
110:偏光フィルム
120:セパレータ
130:粘着剤層
200:ガラスフィルム
300:第1接着剤層
L:レーザ光
300a:第1接着剤
456:基材積層体
400:キャリアフィルム
500:第1粘着剤層
600:第2基材フィルム
700:第2接着剤層
800:第2粘着剤層
G:溝
1、4:巻き出し部
2:ハーフカット装置
3a、3b:ニップローラ
5:巻き取り部
S:スリット

Claims (13)

  1. 第1主面および前記第1主面とは反対側の第2主面を有する長尺の第1基材フィルムと、前記第1基材フィルムの前記第2主面側に積層された長尺のキャリアフィルムと、前記第1基材フィルムおよび前記キャリアフィルムの間に介在する第1粘着剤層と、を含む基材積層体を準備する工程と、
    前記基材積層体において、前記第1基材フィルムに、前記第1基材フィルムを厚さ方向に貫通する複数の枠状の溝を形成する工程と、
    前記溝を形成した後、前記第1基材フィルムの前記第1主面に第1接着剤を塗布し、前記第1接着剤を介してガラス部材を積層する工程と、
    前記第1接着剤を硬化させて第1接着剤層を形成することによって長尺積層体を形成する工程と、
    前記長尺積層体の前記溝に対応する領域に、前記ガラス部材側または前記第1基材フィルム側からレーザ光を照射して、複数の個片化されたガラス部材をそれぞれ含む複数のガラス部材付積層体を形成する工程と、を含み、
    前記溝内に空隙が形成されるように、前記第1接着剤を前記第1主面に塗布する、個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  2. 前記溝内の一部に前記第1接着剤層が形成されており、
    前記溝内の一部に形成された前記第1接着剤層の最小厚さが0μm以上3μm以下である、請求項1に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  3. 前記ガラス部材を個片化する前に、前記枠状の溝の外側において、前記長尺積層体を切断して、前記複数の前記枠状の溝の一部を含む大判シートを形成する工程をさらに含み、
    前記大判シートの前記ガラス部材を個片化する、請求項1または2に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  4. 前記溝において、前記第1基材フィルムの端面の少なくとも一部が、前記第1接着剤層で被覆されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  5. 前記第1接着剤層と前記第1基材フィルムとの接着力および前記第1接着剤層と前記ガラス部材との接着力は、いずれも、0.1N/mm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  6. 前記溝の幅は、5mm以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  7. 前記第1接着剤は、紫外線硬化型である、請求項1~6のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  8. 前記第1接着剤の25℃における粘度は、0.1mPa・s以上100mPa・s以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  9. 前記第1基材フィルムの前記溝を除く部分と前記ガラス部材との間に介在する前記第1接着剤層の厚さは、0.5μm以上5μm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  10. 前記長尺積層体から前記キャリアフィルムおよび前記第1粘着剤層を除去する工程と、
    前記キャリアフィルムおよび前記第1粘着剤層が除去された前記長尺積層体の前記溝に対応する領域に、前記ガラス部材側からレーザ光を照射する工程と、を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  11. 前記ガラス部材は、第2粘着剤層または第2接着剤層を介して第2基材フィルムと積層された状態で、前記第1主面に積層される、請求項1~9のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  12. 前記ガラス部材を個片化する前に、さらに、
    前記ガラス部材の前記第1基材フィルム側とは反対側の主面に、第2粘着剤層または第2接着剤層を介して長尺の第2基材フィルムを積層する工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
  13. 前記長尺積層体から前記キャリアフィルムおよび前記第1粘着剤層を除去する工程と、
    前記キャリアフィルムおよび前記第1粘着剤層が除去された前記長尺積層体の前記溝に対応する領域において、前記第2基材フィルムと前記第2粘着剤層または前記第2接着剤層とに、前記第2基材フィルム側からレーザ光を照射する工程と、
    前記第2基材フィルム側からレーザ光を照射した後に、前記キャリアフィルムおよび前記第1粘着剤層が除去された前記長尺積層体の前記溝に対応する領域において、前記第1基材フィルムの前記第2主面側から、前記溝を通って前記ガラス部材に、レーザ光を照射する工程と、を含む、請求項11または12に記載の個片化されたガラス部材付積層体の製造方法。
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