JP2023019110A - 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸湿による伸びがより効果的に制御されたポリアミド系樹脂フィルムを提供する。【解決手段】二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムであって、以下の工程:(1)前記フィルムを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、(2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下で正方形のサンプルを切り出す第2工程、(3)第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、(4)第3工程後のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する第4工程及び(5)第2工程におけるサンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を算出する第5工程を有する測定条件によって得られる角度変化Δθが1.0°以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、引張強度、突刺強度、ピンホール強度、耐衝撃強度等の機械的強度に優れ、かつ耐熱性に優れている。このため、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを基材とし、これにポリオレフィン樹脂からなるシーラントフィルムをドライラミネート、押出しラミネート等の方法で貼合した積層フィルムは、ボイル、レトルト等の殺菌処理用の包装材料をはじめとして、幅広い分野に使用されている。
しかし、ポリアミド系樹脂フィルムは、アミド基を有することから吸湿性が高く、吸湿するとフィルムが伸びる場合がある。とりわけ、テンター式で生産されるポリアミド系樹脂フィルムは、ボーイング現象(弓型に変形する現象)の影響により、斜め方向の伸び率に差が生じてしまう。このため、例えば本来は正方形又は長方形であるはずのフィルムが吸湿によって略平行四辺形に変形してしまうことがある。
このような吸湿によるフィルムの変形は、例えば袋体を製造する際に支障が生じる。例えば、製袋するためにフィルムを半折して重ねた際に、重ねられた印刷図柄の位置が合わなくなる(いわゆる半折ズレが生じる)場合がある。また、半折し、製袋した後に吸湿して変形すると、袋体の表面と裏面で斜め方向の伸び率が異なるため、袋体の端部がカールする場合がある。その他にも、蓋材で用いる際には、図柄と容器の位置が合わなくなる等の問題が生じる。
また、加工時にテンションのかからない横方向(TD)の吸湿による伸び率は高くなる傾向にある。ポリアミド系樹脂フィルムを包装材料の分野で用いる場合は、多色印刷加工の工程中に長さが変化してしまい、印刷後の図柄が合わなくなることがある。
一方、チューブラー法で生産されるポリアミド系樹脂フィルムは、テンター式に比べて吸湿による寸法変化が大きくなる傾向にあり、多色印刷加工の工程中に印刷が合わなくなる、いわゆる見当ズレが発生することがある。
昨今では詰替え用液体洗剤等で見られる大容量化によりパウチの大型化が進んでいる。斜め方向の伸び率の差が同じであっても、このような用途の幅広いフィルムでは、フィルムの端と端が重なる部分で生じるズレが大きくなる。
そのほかにも、製袋加工後に吸湿が進むと、袋体の四隅が反ってしまう、いわゆるカール現象が生じるおそれがある。袋体にカールが発生すると、外観を損なうだけでなく、その後の充填加工時で充填機が袋2枚を掴んでしまう、いわゆる2枚取りのトラブルが生じることもある。
ポリアミド系樹脂フィルムの吸湿による問題に対し、例えば少なくとも低吸湿性ポリアミド系樹脂及び耐屈曲疲労性改良剤を含んでなり、相対湿度変化60%当たりのフィルムの縦方向及び横方向の寸法変化率が、共に2.0%以下であり、かつフィルムを速さ40回/分で1000回屈曲することにより生じるピンホール数が17.78cm四方当たり20個以下であることを特徴とする2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムが提案されている(特許文献1)。
また例えば、ポリアミド系樹脂からなる二軸配向フィルムであって、吸湿ズレが2.0~4.0mm、ボイル歪みが2~3%であることを特徴とする二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムが知られている(特許文献2)。
特開2010-121136号公報 特開2006-88690号公報
しかしながら、これらの従来技術においても、以下に示すように、なお改善の余地がある。
特許文献1においては、フィルムを用いた製袋時に特に問題となる斜め方向の吸湿伸びについての記載はない。すなわち、特許文献1には、吸湿伸びの異方性を問題視するところはない。さらには、特許文献1のフィルムでは、実用強度が低下してしまうおそれがある。
特許文献2においては、吸湿伸び及び熱水収縮率の異方性の低減化を目指しているが、最近の印刷の図柄あるいは袋体の形状の美麗性等の要請から、吸湿による伸びをより高度に制御する必要がある。
このように、パウチ等が大型化する中でポリアミド系樹脂フィルムの吸湿による寸法変化はより顕著な問題となっているが、これを解消できる技術は未だ開発されるに至っていない。
従って、本発明の主な目的は、吸湿による伸びがより効果的に制御された二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の製法を採用することによって特異的な物性を発揮できる二軸延伸ポリアミド系樹脂系フィルムが得られるという知見に基づいて上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム及びその製造方法に係る。
1. 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムであって、以下の工程:
(1)前記フィルムを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
(2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下で正方形のサンプルを切り出す第2工程、
(3)第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、
(4)第3工程後のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する第4工程及び
(5)第2工程におけるサンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を算出する第5工程
からなる測定条件によって得られる角度変化Δθが1.0°以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
2. 以下の工程:
(1)前記フィルムからMD方向及びTD方向に切り出した正方形のサンプルを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
(2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下でサンプルのTD方向の辺の長さ(L1)を測定する第2工程、
(3)第2工程後にサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、
(4)第3工程後にサンプルのTD方向の辺の長さ(L2)を測定する第4工程及び
(5)下記式に基づいてTD吸湿伸び率を算出する第5工程
TD吸湿伸び率(%)=[(L2-L1)/L1]×100
からなる測定条件によって得られるTD吸湿伸び率が1.3%以下である、前記項1記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
3. フィルムのTD方向が500mm以上であることを特徴とする前記項1又は2に記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
4. ポリアミド系樹脂が、ケミカルリサイクルにより得られたポリアミド樹脂を含む、前記項1~3のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
5. ポリアミド系樹脂が、植物由来の原料から得られたポリアミド樹脂を含む、前記項1~4のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
6. 印刷の対象として用いる、前記項1~5のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
7. 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを製造する方法であって、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸フィルムを得る工程、
(2)前記未延伸フィルムをMD延伸及びTD延伸することによって二軸延伸フィルムを得る延伸工程、
(3)得られた二軸延伸フィルムに対して熱固定処理及び弛緩処理を行う工程及び
(4)弛緩処理後の二軸延伸フィルムを冷却速度180℃/秒以下で冷却する工程
を含むことを特徴とする二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
8. MD方向の弛緩率が8%以下である、前記項7に記載の製造方法。
9. 二軸延伸を同時二軸延伸法により実施する、前記項8又は9に記載の製造方法。
10. 予熱温度が200~225℃である、前記項8~10のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、吸湿による伸びがより効果的に制御された二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを提供することができる。
特に、本発明のフィルムは、吸湿伸びの異方性も抑制されているので、袋体の製造時あるいは袋体の製造後において吸湿による寸法変化が小さく、印刷加工的及び製袋加工適性に優れる。
このため、本発明の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、印刷ずれ、袋体製造時の位置ずれ等が起こりにくいので、印刷が施される包装材料(特に印刷が施される袋体の製造用材料)として好適に用いることができる。
試験例1の「(4)吸湿による角度変化」におけるサンプルの形状を示す図である。 試験例1の「(6)印刷半折ズレ」、「(7)印刷見当ズレ」の評価におけるサンプルを示す図である。
1.二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム
本発明の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム(本発明フィルム)は、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムであって、以下の工程:
(1)前記フィルムを温度20℃及び湿度95%RH環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RH環境下で48時間調湿する第1工程、
(2)第1工程後に上記環境下で正方形のサンプルを切り出す第2工程、
(3)第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RH環境下で48時間調湿する第3工程、
(4)第3工程後のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する第4工程及び
(5)第2工程におけるサンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を算出する第5工程
を有する測定条件によって得られる角度変化Δθ(絶対値)が1.0°以下であることを特徴とする。
(1)本発明フィルムの組成
本発明フィルムは、ポリアミド系樹脂を主成分とするものであり、本発明の効果を妨げない範囲内において他の成分が含まれていても良い。本発明フィルム中におけるポリアミド樹脂の含有量は、限定的ではなく、通常は90~100質量%程度とすることができ、特に95~100質量%とすることが好ましい。
(1-1)ポリアミド系樹脂
本発明フィルムを構成するポリアミド系樹脂としては、例えばa)ラクタム類をモノマー成分とする開環重合、b)ω-アミノ酸類、二塩基酸類とジアミン類等をモノマー成分とする縮合重合等によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。
ラクタム類としては、例えばε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム等を挙げることができる。
ω-アミノ酸類としては、例えば6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸等を挙げることができる。
二塩基酸類としては、例えばアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等を挙げることができる。
ジアミン類としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(又は2,4,4)-トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス-(4,4′-アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。
これらのモノマーを重合して得られる重合体又は共重合体として、例えばポリアミド6、7、10、11、12、46、410、56、66、69、610、611、612、6T、6I、810、9T、1010、1012、10T、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)等の重合体のほか、6/66、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等の共重合体を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性と機械的特性のバランスに優れるポリアミド6を含むことが好ましい。
(1-1-a)ケミカルリサイクルポリアミド樹脂
ポリアミド系樹脂は、従来の化石燃料由来の原料(特にヴァージンモノマー)を用いて得られたポリアミド樹脂以外に、環境を配慮する観点から、樹脂廃材となったポリアミド樹脂を解重合し、得られた再生モノマーを再度重合することで得られる、いわゆるケミカルリサイクルポリアミド樹脂を含有することが好ましい。
ケミカルリサイクルポリアミド樹脂は、限定的ではないが、例えば(1)解重合用原料(A)からモノマーを生成する工程(解重合工程)、(2)前記モノマーを含む原料を用いて重合することによりポリアミド樹脂(B)を製造する工程(重合工程)、(3)前記ポリアミド樹脂(B)を精練する工程(精練工程)を含む製造方法によって好適に得ることができる。
解重合工程
解重合工程では、解重合用原料(A)からモノマーを再生する(以下、このようなモノマーを「再生モノマー」という。)。
再生モノマーとしては、特にラクタム類が好ましく、例えばε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム等を挙げることができる。この中でも特にε-カプロラクタムがより好ましい。
解重合用原料(A)の種類としては、特に限定されず、各種のポリアミド樹脂のほか、各種ポリアミド樹脂のオリゴマーを用いることもできる。より具体的には、後述するポリアミド樹脂(B)で挙げた各種の樹脂を例示することができる。また、オリゴマーとしては、2量体から7量体程度までの鎖状体、2量体から9量体程度までの環状体等が挙げられる。
特に、本発明では、ポリアミド6樹脂及びそのオリゴマーの少なくとも1種を解重合用原料(A)として好適に用いることができる。特に、ポリアミド6は、実質的にε-カプロラクタム単独がモノマー単位として構成される樹脂であることから、モノマー化及び精製分離が容易という点もメリットとなる。
ポリアミド樹脂の形態としては、重合時の銘柄間の切替分、フィルム製品の製品化までの切替分を含む放流樹脂屑のほか、フィルム製造時に発生した耳部トリミング屑、スリット屑等の廃屑、不良品等として製品化されなかったフィルム等が挙げられる。また、廃材の利用により環境保全にも貢献することができる。
オリゴマーの形態としては、例えば、ポリアミド樹脂の精練時に生じた、精練水から回収した水溶性が高いオリゴマーだけでなく、水溶性の低い2~8量体を含む濾過後の残渣物等が挙げられる。
解重合用原料(A)からモノマーを生成する方法としては、所定のモノマーが得られる限りは特に制限されないが、好ましくは解重合用原料(A)の解重合反応を採用することができる。すなわち、解重合反応により解重合用原料(A)を化学的に分解して好適に再生モノマーを得ることができる。
解重合反応の方法及び条件は、特に限定されず、公知の方法に従って実施することもできる。従って、例えば触媒を用いても良いし、触媒を使用しなくても良い。また、水の不存在下(乾式)又は水の存在下(湿式)でも良い。特に生産性の観点から、触媒の存在下において熱水蒸気中にて解重合を実施する方法が好ましい。水溶性の低い環状オリゴマーは、アミド結合の加水分解速度が遅いため直接解重合することは難しいが、開環重合し、鎖状分子とした後に上記のような条件で解重合することで、環状オリゴマーからも再生モノマーを好適に得ることができる。
重合工程
重合工程では、前記モノマー(再生モノマー)を含む原料を用いて重合することによりポリアミド樹脂(B)を製造する。
上記原料としては、全てのモノマーが再生モノマーからなる原料であっても良いが、ヴァージンモノマーを併用することが好ましい。ここに、ヴァージンモノマーとは、再生モノマーの対義語であり、ポリマーの解重合工程を経ていないモノマーをいう。ヴァージンモノマーは、市販品を使用することもできる。例えば、通常市販されているモノマーをヴァージンモノマーとして使用することができる。
再生モノマーには、分離が難しい副生成物が含まれることがある。これにより、ヴァージンモノマーのみを原料としたポリアミド樹脂よりも、再生モノマーのみを原料としたポリアミド樹脂の結晶化速度を僅かに低下させることができ、再生モノマーとヴァージンモノマーを併用し、重合したポリアミド樹脂の結晶化速度をより低下させることができる。この結晶化速度は、得られたポリアミド樹脂の降温結晶化温度(TC)を測定し、得られた結晶化ピークの半値幅を指標とした。本発明における前記半値幅は、通常は10℃以上が好ましく、特に11℃以上がより好ましく、その中でも12℃以上が最も好ましい。半値幅が広いほど結晶化速度に幅があり、フィルムが延伸結晶化していく際にフィルム表面の結晶状態の局所的なムラが生じにくく、均一性を高めることができる。かかる観点から、再生モノマーとヴァージンモノマーとを併用して重合したポリアミド樹脂を用いることが好ましい。なお、前記半値幅の上限は、例えば20℃程度とすることができるが、これに限定されない。
原料中における再生モノマー含有量は、特に限定されないが、前記半値幅を広げる観点等から、その上限を90質量%以下とすることが好ましく、さらに80質量%以下とすることがより好ましい。また、下限値は特に限定されないが、リサイクル比率を高める観点から、5質量%以上とすることが好ましく、特に10質量%以上とすることが好ましい。
再生モノマー以外の成分としては、ヴァージンモノマーを併用することが好ましい。この場合、上記原料中のヴァージンモノマーの含有量は、通常10~95質量%程度とすることが好ましく、特に20~90質量%とすることがより好ましい。
例えば、ポリアミド6樹脂の解重合反応によって再生されたε-カプロラクタム(以降「C-CL」と表記する。)を、モノマー中において100質量%近い範囲内で使用することも可能であるが、C-CL以外のモノマーとして、ヴァージンモノマーとしてのε-カプロラクタム(以降「V-CL」と表記する。)を含有させることが好ましい。
また、ポリアミド樹脂(B)は、必要に応じて、溶融時のモノマー生成を抑制する等の目的で末端封鎖されていても良い。このため、前記原料中には、必要に応じて末端封鎖剤等の添加剤が含まれていても良い。末端封鎖剤としては、特に限定されず、例えば有機グリシジルエステル、無水ジカルボン酸、安息香酸等のモノカルボン酸、ジアミン等が挙げられる。
ポリアミド樹脂(B)を得るための重合方法自体は、特に限定されず、公知のモノマーの重合方法も採用することができる。一例としては、ε-カプロラクタムと水と末端封鎖剤として安息香酸とを混合し、重合釜で加熱し、加圧した後、減圧、脱水しながら目的の粘度まで重合反応を行う方法を採用することができる。
精練工程
精練工程では、前記ポリアミド樹脂(B)を精練する。これにより、ポリアミド樹脂中に含有するモノマーを除去し、ポリアミド樹脂の相対粘度を所望の範囲まで上げることができる結果、フィルム化に適した物性とすることができる。
精練する方法は、限定的ではないが、特にポリアミド樹脂(B)の相対粘度(25℃)が2.5~4.5程度の範囲内になるように精練することが好ましい。従って、例えばポリアミド樹脂(B)を90~100℃の熱水を用いて15~30時間程度行うことが好ましい。
精練の方法自体は、ポリアミド樹脂(B)を熱水に浸漬する方法等の公知の方法を採用することができる。この場合、ポリアミド樹脂(B)は、例えばペレット等の成形体の形態で精練することができる。
精練工程の精練処理の回数は、TCの半値幅が10℃以上である限り特に限定されないが、1回又は2回であることが好ましい。精錬工程を行わないと副生成物が多くなり、相対粘度が上記範囲を下回り、製膜が困難になるまたはフィルムにした際に強度低下する可能性がある。一方、精練回数が3回以上となると副生成物が少なくなり、半値幅が10℃未満になる可能性がある。
精練工程後のポリアミド樹脂は、必要に応じて乾燥することが好ましい。乾燥条件は、特に限定されるものではない。例えば、100~130℃程度で10~30時間程度の熱風乾燥を実施することができるが、これに限定されない。より具体的には、110℃で20時間の熱風乾燥を行うこともできる。
上記手法等により得られたケミカルリサイクルポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は限定されないが、環境配慮の観点からポリアミド系樹脂に占める割合として通常10質量%以上が好ましく、特に30質量%以上がより好ましく、その中でも50質量%以上がさらに好ましい。なお、上記の配合量の上限は、例えば100質量%程度とすることができるが、これに限定されない。
(1-1-b)マテリアルリサイクルポリアミド樹脂
また、同じく環境を配慮する観点から、マテリアルリサイクルポリアミド系樹脂を含有しても良い。例えば、ポリアミド系樹脂フィルムの製造に際して発生する廃材として、例えば耳部トリミング屑、スリット屑等の廃屑のほか、不良品等として製品化されなかったフィルム等がある。これらを再度溶融して作製されたペレットを再溶融樹脂(原料)として用いることができる。マテリアルリサイクルポリアミド系樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は限定されない。
(1-1-c)植物由来ポリアミド樹脂
また、同じく環境を配慮する観点から、植物由来のモノマー成分を含むポリアミド樹脂を含有しても良い。例えば、植物由来のモノマー成分として、ひまし油由来原料を用いたデカンジアミン、アミノウンデカン酸、セバシン酸が挙げられ、これらを重合して得られるポリアミド樹脂としてポリアミド1010、ポリアミド11等が挙げられる。
植物由来ポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は限定されないが、環境配慮の観点からポリアミド系樹脂に占める割合として通常3質量%以上が好ましく、特に5質量%以上がより好ましく、その中でも10質量%以上がさらに好ましい。なお、上記の配合量の上限は、例えば100質量%程度とすることができるが、これに限定されない。
(1-2)その他の成分(添加剤)
本発明フィルムは、本発明の特性を損なわない範囲において、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離形剤、強化剤等を含有しても良い。例えば、熱安定剤又は酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、燐化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属ハロゲン化物等が挙げられる。
また、本発明フィルムは、フィルムのスリップ性等の向上のために、各種無機系滑剤又は有機系滑剤を含有しても良い。滑剤の具体例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイド、層状ケイ酸塩、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、本発明の効果を妨げない限り、限定的ではないが、通常は合計で5質量%以下とすれば良い。
(2)本発明フィルムの物性
本発明フィルムは、以下に示すような物性を備えている。特に、少なくとも下記(2-1)の角度変化を満たすことが必要である。
(2-1)角度変化
本発明フィルムは、以下の工程:
(1)前記フィルムを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
(2)第1工程後に20℃及び湿度40%RHの環境下で正方形のサンプルを切り出す第2工程、
(3)第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程
(4)第3工程後のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する第4工程及び
(5)第2工程におけるサンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を算出する第5工程
を有する測定条件によって得られる角度変化Δθ(絶対値)が1.0°以下であることを特徴とする。
本発明における角度変化は、特にフィルムの吸湿による変形の度合いを示す指標になるものであり、その数値が小さいほど吸湿による変形が小さいことを示す。これにより、例えば製袋、印刷等により適したフィルムを提供することが可能となる。
角度変化Δθは、上記の通り、実用的には1.0°以下であり、特に0.7°以下であることが好ましく、さらには0.6°以下であることがより好ましく、その中でも0.5°以下であることが最も好ましい。上記角度変化が1.0°を超えると、印刷加工及びラミネート加工後の製袋工程で半折した際に、印刷の両端が重なる位置でズレが生じ、製袋加工後の袋体の外観が損なわれるおそれがある。また、製袋加工後に吸湿すると袋体がカールしたり、充填加工時にトラブルを生じるおそれがある。
なお、角度変化の下限値は、0°であることが最も望ましいが、通常は0.1°程度とすることができるが、これに限定されない。
第1工程では、測定対象となるフィルムを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する。
その後、第2工程において、20℃及び湿度40%RHの環境下で正方形のサンプルを切り出す。サンプルの切り出し方法は、特に限定されず、正方形の一辺が延伸フィルムのMD・TDの方向に平行又は直角になるように切り出しても良いし、それ以外の角度で切り出しても良い。例えば、後記の試験例のように、MDに平行となるように正方形のサンプルを切り出すこともできる。切り出す手段は、カッター、はさみ等の公知の切断具を使用すれば良い。また、正方形のサイズも、特に限定されないが、測定精度の見地より、例えばTD方向に平行な一辺が500mm以上となるように切り出すことが好ましい。
第3工程では、第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する。
次いで、第4工程において、第3工程で調湿された正方形のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する。計測方法は、実測することも可能であるが、角度変化の値が絶対的に小さいので、例えば後記の試験例のように余弦定理により好適に算出することもできる。すなわち、サンプルが伸びないように固定した上で各辺の長さを測定し、それに基づいて各頂点の角度を求めることができる。
第4工程で得られた各頂点の角度に基づいて、サンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を第5工程で算出する。
測定に際しては、正方形のサンプルの各頂点の角度(4つの角度)をすべて計測し、サンプリング当初の角度(90度)からの角度変化Δθ(絶対値)を求め、その全ての頂点の角度変化がいずれも1度以下であることが要件となる。すなわち、4つのすべての角度の変化が1度以下であることが本発明フィルムの特徴である。
なお、上記の各工程は、連続的に実施することが好ましく、各工程の間において角度変化Δθの計測結果に実質的に影響を及ぼすような工程は含まれない。すなわち、各工程は、前の工程が完了した後、可及的速やかに次工程に移ることが望ましい。
(2-2)TD吸湿伸び率
本発明フィルムは、以下の工程:
(1)前記フィルムからMD方向及びTD方向に切り出した正方形のサンプルを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
(2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下でサンプルのTD方向の辺の長さ(L1)を測定する第2工程、
(3)第2工程後にサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、
(4)第3工程後にサンプルのTD方向の辺の長さ(L2)を測定する第4工程、
(5)下記式に基づいてTD吸湿伸び率を算出する第5工程
TD吸湿伸び率(%)=[(L2-L1)/L1]×100
を有する測定条件によって得られるTD吸湿伸び率が1.3%以下であることが実用的であり、1.2%以下であることが好ましく、特に1.0%以下であることがより好ましい。TD方向の寸法変化率が1.3%を超えると、多色印刷等時間のかかる印刷加工中に吸湿し検討ズレが生じたり、予定していた印刷のサイズと袋体のサイズが合わなくなることがある。
第1工程では、測定対象となるフィルムから正方形のサンプルを切り出す。サンプルの切り出し方法は、特に限定されず、正方形の一辺が延伸フィルムのMD・TDの方向に平行又は直角になるように切り出しても良いし、それ以外の角度で切り出しても良い。例えば、後記の試験例のように、MDに平行となるように正方形のサンプルを切れ出すこともできる。切り出す手段は、カッター、はさみ等の公知の切断具を使用すれば良い。また、正方形のサイズも、特に限定されないが、測定精度の見地より、例えば正方形の一辺がTD方向に平行となり、かつ、一辺り長さが1m以上となるように正方形サンプルを切り出すことが好ましい。
切り出されたサンプルは、温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する。
その後、第2工程において、温度20℃及び湿度40%RHの環境下でサンプルのTD方向の辺の長さ(L1)を測定する。
次いで、第3工程において、上記サンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する。
第3工程後、第4工程としてサンプルのTD方向の辺の長さ(L2)を測定する。なお、L2の測定は、先に測定したL1と同じ辺であることが好ましい。
続いて、第5工程で、前記で得られたL1及びL2の値に基づいて、下記式によりTD吸湿伸び率を算出する。
TD吸湿伸び率(%)=[(L2-L1)/L1]×100
なお、上記の各工程は、連続的に実施することが好ましく、各工程の間においてTD吸湿伸び率の計測結果に実質的に影響を及ぼすような工程は含まれない。すなわち、各工程は、前の工程が完了した後、可及的速やかに次工程に移ることが望ましい。
(2-3)フィルム幅
また、本発明フィルムは、幅方向が500mm以上であることが好ましく、600mm以上であることがより好ましく、その中でも700mm以上であることが最も好ましい。幅方向が500mm以上から、半折時の端部と端部のズレが大きくなり始め外観を損なう可能性が高くなるので、その範囲において本発明の効果がより高く発揮される。
(2-4)フィルム厚み
本発明フィルムの厚みは、特に限定されないが、一般的には3~100μm程度であり、特に5~50μmであることが好ましく、さらに5~30μmであることがより好ましい。フィルム厚みが5μm未満では機械的強度が不足し、100μmを超えると重量増加や透明性低下等の問題が生じることがある。
また、厚みの精度(厚みの均一性)は、後記の試験例による測定方法において、通常は1.7%以下が好ましく、1.6%以下がより好ましく、1.5%以下が最も好ましい。この数値が低いほど厚みが均質であることを示す。下限値は、例えば0.1%程度とし、また例えば0.5%程度とし、さらには1.0%程度とすることができるが、これに限定されない。
(2-5)ヘーズ
本発明フィルムは、透明性であることが好ましい。より具体的には、ヘーズが通常12%以下であることが好ましく、特に10%以下がより好ましく、さらに8%以下が好ましく、その中でも6%以下であることが最も好ましい。ヘーズが12%を超える場合は、フィルムの透明性が失われるため印刷加工による意匠性付与が困難となるおそれがある。なお、ヘーズの下限値は特に制限されないが、通常は1.0%程度である。
(2-6)突刺強力
本発明フィルムの突刺強力は、通常6N/15μm以上が好ましく、7N/15μm以上がより好ましく、8N/15μm以上であることが特に好ましい。ポリアミド系樹脂フィルムの突刺強力が6N/15μm未満であると強度不足となり、パウチ等に成形した後の荷取扱い時等でピンホールが発生する等の問題が生じることがある。
(3)本発明フィルムの他の構成
本発明フィルムの少なくとも片方の面には、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理等の公知の表面処理がなされることが好ましい。表面処理されたポリアミド系樹脂フィルム面上にラミネートされたシーラント等の他フィルムは、ポリアミド系樹脂フィルムとの密着力が向上する。
さらに、本発明フィルムは、上記したポリアミド樹脂単独からなるものでも良く、あるいは2種以上を混合又は複層にしたものでも良い。
本発明フィルムは、上記ポリアミド樹脂の未延伸フィルムを二軸延伸してなるものである。未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムは、引張強度が低く、異方性が大きいため、包装袋を作製する際の基材として適当なものではない。
2.二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法
本発明フィルムの製造方法は、限定されないが、次の方法によることが望ましい。すなわち、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを製造する方法であって、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸フィルムを得る工程(成形工程)、
(2)前記未延伸フィルムをMD延伸及びTD延伸することによって二軸延伸フィルムを得る工程(延伸工程)、
(3)得られた二軸延伸フィルムに対して熱固定処理及び弛緩処理を行う工程(熱処理工程)及び
(4)弛緩処理後の二軸延伸フィルムのフィルム温度を冷却速度180℃/秒以下で冷却する工程(冷却工程)
を含むことを特徴とする製造方法によって、本発明フィルムを好適に製造することができる。
成形工程
成形工程では、ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸フィルムを得る。
溶融混練物としては、前記のポリアミド系樹脂のほか、必要に応じて前記で例示した各種の添加剤を配合することができる。すなわち、ポリアミド系樹脂を含む出発材料を溶融させることにより溶融混練物を調製することができる。
従って、例えば前記の出発材料を押出機に導入して溶融した後、溶融シートとしてTダイより押出し、表面温度0~25℃程度に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、連続した未延伸フィルムを得ることができる。
また、本発明では、チューブラー方式で延伸する場合のように、延伸に先立って予め筒状に形成されたフィルムも、未延伸フィルムに包含される。
得られた未延伸フィルムは、必要に応じて、二軸延伸するに先立って吸水処理することが望ましい。吸水処理は、未延伸フィルムを20~80℃に温調された温水槽に送り、10分間以下の条件で実施する。この吸水処理により、未延伸フィルムは、適度に可塑化し、ポリアミド樹脂の結晶化が抑制されることで、延伸工程におけるフィルムの切断を防止することができる。
上記処理により吸水した未延伸フィルムの水分率は、1.0~7.0質量%であることが好ましく、1.5~5.0質量%であることがより好ましい。未延伸フィルムは、水分率が1.0質量%未満であると、結晶化が進み切断するおそれがある。一方、未延伸フィルムは、水分率が7.0質量%を超えると、吸水処理中に折れしわが生じ、蛇行等のトラブルが生じやすくなり、また得られる二軸延伸フィルムは、強度が低下したり、TD方向におけるフィルムの厚みムラが増大することがある。
延伸工程
延伸工程では、未延伸フィルムをMD延伸及びTD延伸することによって二軸延伸フィルムを得る。
本発明において、未延伸フィルムの二軸延伸は、得られるフィルムの寸法安定性をバランス良く高めるために、同時二軸延伸法により実施することが好ましい。逐次二軸延伸法は、縦延伸と横延伸を個別に実施するため、得られるフィルムの端部の異方性が大きくなることがある。
同時二軸延伸は、テンター方式により実施することが好ましい。チューブラー方式で得られるフィルムは、吸湿時の伸び率が大きく、特にMD方向の伸び率が高くなる傾向にあり、寸法安定性が劣る。また、チューブラー方式は厚み精度を高めることが困難であり、フィルムの品質安定性及び生産性の面でも、テンター式同時二軸延伸法の方が優れている。
テンター式同時二軸延伸は、限定的でなく、例えばパンタグラフ方式テンター、スクリュー方式テンター、リニアモーター式テンター等のテンターを用いて行うことができる。その中でも、個々のクリップがリニアモーター方式で単独に駆動されるリニアモーター式テンターは、可変周波数ドライバを制御することで、縦方向の延伸倍率又は縦方向の弛緩率を任意に細かく設定でき、しかも正確に滑らかに制御できる柔軟性を有している。このリニアモーター式テンターを用いる同時二軸延伸法は、ボーイング現象が低減され、横方向の物性の均一性が向上した二軸延伸フィルムが得られることから、最も好ましい延伸法である。
特に、未延伸フィルムが吸水処理されている場合、延伸前に予熱することが好ましい。予熱温度は、特に限定されないが、通常は200~230℃であることが好ましく、特に215~230℃であることがより好ましい。予熱温度が200℃未満であると、得られるフィルムは、ボーイング現象が大きくなり、フィルム端部の吸湿前後の角度変化が大きくなる。一方、予熱温度が230℃を超えると、フィルムは、白化又は切断が生じることがある。
未延伸フィルムの同時二軸延伸は、通常は170~210℃で行うことが好ましく、特に190~200℃で行うことがより好ましい。延伸温度が170℃未満であると、得られるフィルムは、収縮応力が大きくなり、また熱水収縮率が高くなる場合がある。延伸温度が210℃を超えると、フィルムは厚みが不均一となり、品質が劣る場合がある。
同時二軸延伸において、未延伸フィルムを延伸する倍率は、縦方向(MD)の延伸倍率及び横方向(TD)の延伸倍率が、それぞれ2.5~4.5倍であることが好ましい。また、縦延伸倍率と横延伸倍率との積で表される面積延伸倍率は、7~12倍であることが好ましい。面積延伸倍率が7倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムは、機械特性が劣る場合があり、一方、面積延伸倍率が12倍を超えると、得られる二軸延伸フィルムは、収縮応力が高くなり、熱水処理時の収縮率が高くなる場合がある。
また、延伸する際にボーイング現象を低減することが好ましい。ボーイング現象を低減するための方法は、特に限定されず、公知の方法に従って実施することができる。
熱処理工程
熱処理工程では、得られた二軸延伸フィルムに対して熱固定処理及び弛緩処理を行う。
熱固定処理における熱処理温度は、通常200~225℃であることが好ましく、特に210~220℃であることがより好ましい。熱処理温度が200℃未満であると、得られる二軸延伸フィルムは、熱水収縮率が高くなる場合があり、熱処理温度が220℃を超えると、二軸延伸フィルムは、引張伸度等の機械特性が低下したり、白化したりする。
二軸延伸されたフィルムは、上記熱処理ゾーンの後半部において、弛緩処理を行う。弛緩処理を行うことによって、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの熱水収縮率を低下することができる。弛緩処理におけるフィルムの弛緩率は、縦方向(MD)に8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。8%を超えると吸湿伸びの異方性が大きくなる傾向にある。
また、横方向(TD)の弛緩率は、通常は2~8%であることが好ましく、特に2~6%であることがより好ましく、その中でも4~6%であることが最も好ましい。弛緩率が2%未満であると、得られるフィルムは、熱水収縮率が高くなる場合がある。一方、弛緩率が8%を超えると、得られるフィルムは、TD方向の吸湿伸び率が高くなることがあり、また、弛緩するまでに時間を要し、生産効率が低下してしまう。
冷却工程
冷却工程では、弛緩処理後の二軸延伸フィルムのフィルム温度を冷却速度180℃/秒以下で冷却する。前記のような特定の処理がなされた二軸延伸フィルムを冷却速度180℃/秒以下で冷却することによって、吸湿によるフィルムの変形をより効果的に防止ないしは抑制することができる。
冷却工程は、弛緩処理直後から巻取り機に搬入されるまでの工程を指す。その中でも延伸機出口から搬出される際に最も急冷されるため、この際のフィルム温度をコントロールすることが望ましい。
冷却は、延伸機(出口)から搬出された直後の二軸延伸フィルムは弛緩処理による加熱された状態であり、それを上記の所定の冷却速度で冷却すれば良い。例えば、テンターにより延伸された場合は、一般に上記の熱処理がなされたフィルムは、延伸機テンター出口から搬出され、巻取機へ搬入されるが、その際のフィルム温度の冷却速度は180℃/秒以下が好ましく、160℃/秒以下であることがより好ましく、140℃/秒以下であることがさらに好ましく、130℃/秒以下であることが特に好ましい。冷却速度が180℃/秒を超えると、吸湿前後の角度変化が大きくなり、半折ズレ等のトラブルが生じる可能性が高くなる。
また、巻取機に搬入されるフィルム温度は、そのフィルムのガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましい。このため、生産効率の観点から冷却速度は50℃/秒以上であることが好ましい。
フィルムの温度コントールの方法は、例えば延伸機の弛緩処理後のゾーンの温度調整、延伸機出口に温調付きファンを設置する等の方法が挙げられるが、これに限定されない。
さらに、延伸機の出口から搬出される際のフィルム温度は、通常は100~150℃が好ましい。100℃未満にするには延伸機での後半の温度を下げる必要があり、熱処理ゾーンとの温度差が大きく温度バランスをとるのが難しくなる。一方、150℃以上であるとTg以下への冷却に時間を要するため生産効率が落ちるおそれがある。
また、本発明フィルムは、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、例えばコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理が施されても良い。
本発明フィルムは、本発明の効果を損なわない限りコート層を設けても良い。コート層としてはウレタン系等の易接着コート、ポリ塩化ビニリデン系又はポリビニルアルコール系等のバリアコート層が挙げられる。
本発明フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、蒸着層を設けても良い。蒸着層としては、限定的でなく、例えばアルミ等の金属蒸着層、無機物等の透明蒸着層が挙げられる。
本発明フィルムは、インキを用いて印刷することができる。すなわち、本発明フィルムは印刷対象として適しており、本発明フィルムに印刷を好適に施すことができる。印刷手法としては、限定的でなく、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の方法が挙げられる。本発明フィルムは、TD方向の吸湿伸び率が小さいため、印刷中の吸湿で印刷図柄がずれることなく印刷することが可能である。特に印刷加工に時間のかかる多色印刷で好適に用いることができる。
本発明フィルムは、1枚のシートの形態であっても良いし、ロールに巻き取られたフィルムロールの形態等のいずれであっても良い。この場合、TD方向が500mm以上の寸法のフィルムとして提供することもできる。従って、本発明は、例えば本発明フィルムを巻き取ってなるフィルムロールであって、その幅方向(TD方向)が500mm以上である二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムロールも包含する。
また、本発明フィルムを用いて、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のシーラントフィルムと貼り合せて、ラミネートフィルムとすることができる。また、前記のラミネートフィルムを用いて、例えば、袋状に熱シール、超音波シール等の公知の方法で融着させることで、包装袋等の製袋品を作成することができる。
上記包装袋は、特に食品、飲料等の包装袋として好適に用いることができる。特に、包装袋を構成する二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、吸湿伸び率の異方性が小さいため、印刷中及び印刷後の吸湿で印刷が歪むことなく、半折し袋にする際も両端の図柄のずれを小さくすることが可能である。また、内容物を充填した後の包装袋の吸湿によるカールも低減することが可能であり、充填工程においても好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
1.使用材料について
(1)PA6:ユニチカ社製「A1030BRF」
(2)植物由来PA11:アルケマ社製「Rilsan BESN O TL PA11」
(3)PA6T/6:BASF社製「UltramidTKR4350」
(4)ケミカルリサイクルポリアミド樹脂:以下の方法によって製造した。
ポリアミド6樹脂フィルム製造時に発生したフィルム屑又は不良品と、ポリアミド6樹脂の重合時に生じたオリゴマー等とを含む樹脂屑(樹脂廃材)を解重合用原料(A)として用いた。解重合用原料(A)にリン酸を加え、湿式法にて加熱下で解重合反応を行い、活性炭処理、濃縮、蒸留により精製した後、再生されたε-カプロラクタム「C-CL」を回収した。
C-CLと、水と、末端封鎖剤として安息香酸とを原料として、重合釜で加熱、加圧、減圧、脱水した後、相対粘度3.0ηRとなるまで重合反応を行った。重合した後、ペレット化し、95℃の熱水処理による精練を10時間及び15時間の合計2回行った後、110℃で20時間乾燥した。このようにして、ケミカルリサイクルポリアミド樹脂を得た。得られた樹脂の相対粘度は3.0、TCの半値幅は10℃であった。
2.実施例及び比較例について
[実施例1]
ポリアミド6(PA6)を温度260℃でTダイより溶融押出を行い、15℃のドラム上で冷却して、厚さ150μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを40℃の温水槽に10秒間浸漬した後、60℃の温水槽に100秒間浸漬して吸水処理を行った。
吸水処理された未延伸フィルムを、同時二軸延伸機に導き、220℃で予熱した後、延伸温度195℃、MD延伸倍率3.0倍、TD延伸倍率3.3倍の条件で同時二軸延伸した。
次に、同時二軸延伸後のフィルムを、215℃に設定された熱処理ゾーンで4秒間熱処理し、フィルムのMD、TDにそれぞれ5.0%の弛緩処理を施した。
続いて、弛緩処理後、延伸機テンター出口から冷却速度140℃/秒で25℃まで冷却し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得て、ロール状に採取した。
[実施例2~23、比較例1]
表1のように、ポリアミド系樹脂の組成、フィルムの製造条件を変更した以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
[実施例24]
ポリアミド6(PA6)を温度260℃でTダイより溶融押出しし、15℃のドラム上で冷却して、厚さ180μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムをMD延伸機に導き、延伸温度100℃、MD延伸倍率3.0倍の条件でMD延伸した。次に、このMD延伸フィルムをテンターに導入し、予熱温度60℃、TD延伸温度135℃、TD延伸倍率4.0倍の条件でTD延伸した。
次に、逐次二軸延伸後のフィルムを、220℃に設定された熱処理ゾーンで4秒間熱処理し、フィルムのTD方向に5.0%の弛緩処理を施した。
次に、延伸機テンター出口から冷却速度130℃/秒で25℃まで冷却し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得て、ロール状に採取した。
[比較例2]
表2のように、ポリアミド系樹脂の組成、フィルムの製造条件を変更した以外は実施例27と同様に行い、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
[実施例25]
ポリアミド6(PA6)を40質量%、ポリアミド6T/6を60質量%ととし、温度260℃でTダイより溶融押出しし、15℃のドラム上で冷却して、厚さ180μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムをMD延伸機に導き、延伸温度100℃、MD延伸倍率3.0倍の条件でMD延伸した。次に、このMD延伸フィルムをテンターに導入し、予熱温度60℃、TD延伸温度135℃、TD延伸倍率4.0倍の条件でTD延伸した。
次に、逐次二軸延伸後のフィルムを、220℃に設定された熱処理ゾーンで4秒間熱処理し、フィルムのTD方向に5.0%の弛緩処理を施した。
続いて、弛緩処理後、延伸機テンター出口から冷却速度140℃/秒で25℃まで冷却し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得て、ロール状に採取した。
[比較例3]
延伸機テンター出口から冷却速度を190℃/秒に変更した以外は実施例25と同様に行い、厚さ厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
[実施例26]
ポリアミド6(PA6)を温度260℃でTダイより溶融押出しし、30℃のドラム上で冷却して、厚さ200μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムをMD延伸機に導き、第一MD延伸温度85℃、第一MD延伸倍率2.2倍の条件で第一MD延伸した後、引き続き第二MD延伸温度70℃、第二MD延伸倍率1.5倍の条件で第二MD延伸した。次に、このMD延伸フィルムをテンターに導入し、予熱温度60℃、TD延伸温度130℃、TD延伸倍率4.0倍の条件でTD延伸した。
次に、逐次二軸延伸後のフィルムを、210℃に設定された熱処理ゾーンで4秒間熱処理し、フィルムのTD方向に6.1%の弛緩処理を施した。
続いて、延伸機テンター出口から冷却速度140℃/秒で25℃まで冷却し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得て、ロール状に採取した。
[比較例4]
延伸機テンター出口から冷却速度を190℃/秒に変更した以外は実施例26と同様に行い、厚さ厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得た。
[実施例27]
ポリアミド6(PA6)を温度260℃で環状ダイより溶融押出し、水冷固化して、厚さ135μmの実質的に無配向のチューブ状の未延伸フィルムを得た。
次に、チューブフィルムを、低速ニップロールと高速ニップロールの速度差及びその間に存在する空気圧により、延伸温度80℃、MD延伸倍率3.0倍、TD延伸倍率3.3倍の条件でMDとTDに同時に二軸延伸した。
続いて、チューブラー延伸後のフィルムを、210℃に設定された熱処理ゾーンで100秒間熱処理し、フィルムのTDに5.0%の弛緩処理を施した。
その後に、熱処理テンター出口から冷却速度150℃/秒で25℃まで冷却し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得て、ロール状に採取した。
[試験例1]
実施例及び比較例におけるフィルム製造条件及び得られたフィルムの特性を表1にまとめて示す。特性の測定は、下記方法により実施した。
(1)相対粘度ηR
原料のポリアミド樹脂を、96%硫酸に濃度1.0g/dlとなるよう溶解した試料溶液(液温25℃)の相対粘度をウベローデ型粘度計を用いて測定した。
(2)降温結晶化温度Tcと半値幅
パーキンエルマー社製、示差走査熱量計(入力補償型DSC8000)を用い、得られた樹脂を10mg量り、昇温速度10℃/minにて室温から260℃まで昇温し、260℃で10分間保持した後、降温速度10℃/minにて100℃まで冷却し、降温結晶化温度を測定した。縦軸に熱流(mW)、横軸に温度のDSC曲線において、降温時のピークトップの温度をTc(℃)、高温側からベースラインを引き、Tcの絶対値の1/2強度の2点間の間隔を半値幅(℃)とした。
(3)フィルム温度及び冷却速度
株式会社チノー社製IR-TAハンディ形放射温度計を用い、フィルム温度を測定した。測定位置は弛緩処理直後からMD方向に500mm間隔とし、Tg以下となるまで測定した。延伸機内のフィルム温度は、延伸機上部から測定した。各測定位置でTD方向に3か所測定し、その平均値をフィルム温度とした。隣接する500mm間隔のフィルム温度の差とフィルムの走行速度から冷却速度を算出し、その最大値をフィルムの冷却速度とした。
(4)吸湿による角度変化
得られたロール状の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムから、縦方向(MD)に1.5mの長さの試料を1枚切り出し、温度20℃及び湿度95%RHに設定したエスペック社製ビルドインチャンバー室内で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿した。
その後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で、フィルム端部(MD)を1辺とした1辺500mmの正方形にサンプルを切り出した。フィルムの幅が500mm以上の場合は、両端それぞれでサンプルを切り出した。また、フィルム幅が500mm未満の場合は、1辺をフィルム幅の正方形としてサンプルを作成した。サンプルの外形を図1に示す。図1のサンプルは、1辺がMDと平行になるようにサンプリングした場合を示す。
次いで、試料を温度20℃及び湿度90%のRHに設定された同チャンバーで48時間調湿した後、図1に示すように各頂点を左上から時計回りにABCDとし、各頂点間の長さAB、AC、AD,BC、BD及びCDを測定し、各頂点の角度(図1に示すθA,θB,θC,θD)を余弦定理より算出した。
cos(θA(°))=(AB+AD-BD)/(2×AB×AD)
cos(θB(°))=(AB+BC-AC)/(2×AB×BC)
cos(θC(°))=(BC+CD-BD)/(2×BC×CD)
cos(θD(°))=(AD+CD-AC)/(2×AD×CD)
得られた角度から角度変化を下記の式より算出した。
ΔA(°)=|90-θA|
ΔB(°)=|90-θB|
ΔC(°)=|90-θC|
ΔD(°)=|90-θD|
得られた各頂点の角度変化の最大値を二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの角度変化とした。両端それぞれから2つのサンプルを採取した場合は計8か所の角度変化の最大値を採用した。
(5)TD吸湿伸び率
得られたロール状の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムから、縦方向(MD)に1mの長さの正方形の試料を1枚切り出し、温度20℃及び湿度95%RHに設定したエスペック社製ビルドインチャンバー室内で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RH環境下で48時間調湿した。
その後、温度20℃及び湿度40%RH環境下で、フィルム端部(MD)に対し垂直方向(TD)長さ(L1)を測定した。
次いで、試料を、温度20℃及び湿度90%RHに設定された同チャンバーで48時間調湿した後、同様に、フィルム端部(MD)に対し垂直方向(TD)長さ(L2)を測定した。下記式より各方向のTD吸湿伸び率を算出した。
TD吸湿伸び率(%)=[(L2-L1)/L1]×100
(6)印刷半折ズレ
10色グラビア印刷機(富士機械工業社製)を用いて、得られたポリアミド系樹脂フィルムの片面に、サカタインクス社製グラビアインキ「ベルカラー」藍色を図2のようにMD方向に600mm、TD方向に400mmの長方形が横並びになるよう1色印刷を連続印刷し、印刷ロールを得た。
なお、印刷は、速度150m/分、乾燥温度60℃で実施した。その後、印刷ロールから1つの長方形を切り出し、温度23℃及び湿度50%RH環境下で24時間調湿した。続いて、調湿後の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの中央印刷部に沿って折り畳んだ。この時の長方形の頂点のズレ量(mm)を測定し評価した。実質的には5mm以下が求められ、特に2mm以下が好ましく、さらに1.5mm以下がより好ましく、その中でも1mm以下が最も好ましい。
(7)印刷見当ズレ
10色グラビア印刷機(富士機械工業社製)を用いて、得られたポリアミド系樹脂フィルムの片面に、サカタインクス社製グラビアインキ「ベルカラー」藍色及び白色を交互に同位置となるように5回ずつ計10回の印刷を図2のようにMD方向に600mm、TD方向に400mmの長方形が横並びになるよう印刷を連続印刷し、印刷ロールを得た。
なお、印刷は、速度100m/分、乾燥温度60℃で実施した。得られた印刷ロールから印刷部を切り出しTD方向のズレ量を確認し、評価した。3mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、ズレがないのが最も好ましい。
(8)製袋S字カール評価
二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムとシーラントフィルム(CP;東セロ社製無延伸ポリプロピレンフィルム、RX-21、厚み50μm)とを、ウレタン系接着剤(武田薬品工業社製 タケラック A-525/A-52 二液型)を用いてドライラミネート(接着剤塗布量3g/m)することにより、ラミネートフィルムを作製した。
得られたラミネートフィルムを、その縦方向に沿った折り目となるよう2つに折り畳みつつ、テストシーラーを用いて両縁部を20mmずつ180℃で連続的に熱シールし、またそれと垂直方向に300mm間隔で巾10mmを断続的に熱シールし、巾約200mmの半製品袋を得た。この半製品袋を、縦方向に両縁部のシール部分が10mmになるように裁断した後、これと垂直方向にシール部の境界で切断し、3方シール袋を10枚作成した。それらの3方シール袋を温度20℃及び湿度65%RH環境下で48時間調湿し、さらに、それらの10枚の3方シール袋を重ねて上から袋全面に9.8N(1kgf)の荷重をかけ、24時間保持した後に荷重を取り去って、袋の反り返り(S字カール)の度合いを観察し、以下の基準により評価した。
◎:10枚すべて反り返りがない
○:わずかな反り返りが見られるものがある
△:明らかな反り返りが見られるものがある
×:反り返りが顕著である。
(9)厚み精度
得られた二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムにおける、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置(a)と、巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分 にあたる位置(b)と、巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置(c)の3位置から、それぞれ、縦50cm×横50cmのサイズの二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを試料として切り出した。
3位置から切り出した試料それぞれに、縦、横方向に5cmごとに直線を引き 、直線が交わる点(81点)において、厚みを測定した。これらの値より、各位置の試料について平均厚みを算出した。また、下記式で厚み精度を算出し、評価した。なお、厚み測定は、ハイデンハイン社製のHEIDENHAIN-METOR MT1287を用いた。厚み精度は、通常1.7%以下が好ましく、特に1.6%以下がより好ましく、その中でも1.5%以下が最も好ましい。
厚み精度(%)=((フィルムの最大厚み-フィルムの最小厚み)/2/フィルムの平均厚み)×100
(10)ヘーズ
本発明におけるヘーズの測定は、日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH4000」を用いて測定を実施した。より具体的には、ポリアミド系樹脂フィルムのサンプルを温度23℃及び湿度50%RHで2時間調湿した後、同温湿度条件下で測定を実施した。測定したサンプル数はn=10であり、その平均値とする。
(11)突刺強力
得られたポリアミド系樹脂フィルムを温度20℃及び湿度50%RH環境下で24時間調湿した後、内径100mmの円形型枠にフィルムを緊張させて固定し、この試料の中央部に、先端の曲率半径が0.5mmの針を、50mm/分の速度で試料面に垂直に当てて突き刺し、フィルムが破れる際の強度を測定し、15μmあたりの強度を算出した。測定したサンプル数はn=5であり、その平均値とする。
Figure 2023019110000002
実施例1~27の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、吸湿前後の角度変化が小さく、半折時の印刷ズレ及び製袋後のカールが抑制された。
これに対し、特に、比較例1の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムは、延伸機出口から冷却速度が180℃/秒を超えていたため、吸湿前後の角度変化が大きく、半折時の印刷ズレ及び製袋後のカールが大きかった。とりわけ、逐次二軸延伸法で延伸されたポリアミド系樹脂フィルムは吸湿前後の角度変化が大きかった。

Claims (10)

  1. 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムであって、以下の工程:
    (1)前記フィルムを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
    (2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下で正方形のサンプルを切り出す第2工程、
    (3)第2工程後に前記の正方形のサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、
    (4)第3工程後のサンプルの4頂点がなす各角度(θ)を計測する第4工程及び
    (5)第2工程におけるサンプルの頂点がなす角度90°に対する角度変化[Δθ=|90-θ|]を算出する第5工程
    を有する測定条件によって得られる角度変化Δθが1.0°以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  2. 以下の工程:
    (1)前記フィルムからMD方向及びTD方向に切り出した正方形のサンプルを温度20℃及び湿度95%RHの環境下で48時間調湿した後、温度20℃及び湿度40%RHの環境下で48時間調湿する第1工程、
    (2)第1工程後に温度20℃及び湿度40%RHの環境下でサンプルのTD方向の辺の長さ(L1)を測定する第2工程、
    (3)第2工程後にサンプルを温度20℃及び湿度90%RHの環境下で48時間調湿する第3工程、
    (4)第3工程後にサンプルのTD方向の辺の長さ(L2)を測定する第4工程及び
    (5)下記式に基づいてTD吸湿伸び率を算出する第5工程
    TD吸湿伸び率(%)=[(L2-L1)/L1]×100
    を有する測定条件によって得られるTD吸湿伸び率が1.3%以下である、請求項1記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  3. フィルムのTD方向が500mm以上である、請求項1又は2に記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  4. ポリアミド系樹脂が、ケミカルリサイクルにより得られたポリアミド樹脂を含む、請求項1~3のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  5. ポリアミド系樹脂が、植物由来の原料から得られたポリアミド樹脂を含む、請求項1~4のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  6. 印刷の対象として用いる、請求項1~5のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム。
  7. 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを製造する方法であって、
    (1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸フィルムを得る工程、
    (2)前記未延伸フィルムをMD延伸及びTD延伸することによって二軸延伸フィルムを得る延伸工程、
    (3)得られた二軸延伸フィルムに対して熱固定処理及び弛緩処理を行う工程及び
    (4)弛緩処理後の二軸延伸フィルムを冷却速度180℃/秒以下で冷却する工程
    を含むことを特徴とする二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
  8. MD方向の弛緩率が8%以下である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 二軸延伸を同時二軸延伸法により実施する、請求項8又は9に記載の製造方法。
  10. 予熱温度が200~225℃である、請求項8~10のいずれかに記載の製造方法。

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