JP2023017595A - 離型フィルム及び半導体パッケージの製造方法 - Google Patents

離型フィルム及び半導体パッケージの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凸部を有する面に対する剥離性に優れる離型フィルムの提供。【解決手段】基材層と、粘着層とを備え、前記粘着層の厚みが前記基材層及び粘着層の合計厚みの4%~30%であり、前記基材層の厚みが75μm以上である、離型フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、離型フィルム及び半導体パッケージの製造方法に関する。
近年、電子機器、特に携帯電話の薄型化が進むにつれて、半導体素子等の電子部品を内蔵する半導体パッケージにも更なる薄型化が求められている。また、放熱性の向上の観点からも、電子部品の全体を封止樹脂で覆うオーバーモールド成形(Over Molding)に代えて、電子部品の表面の一部を露出させる露出成形(Exposed Die Molding)が採用されるケースが増えつつある。
電子部品の一部が露出した状態となるように電子部品を封止する際は、電子部品の露出部への封止材の漏れ(フラッシュバリ)を防ぐ必要がある。そこで、電子部品の露出させる部分に離型性を有するフィルム(離型フィルム)を貼り付けた状態で封止を行い、その後に離型フィルムを剥離して電子部品の表面を露出させることが行われている。このような離型フィルムとして、例えば、特許文献1には延伸ポリエステル樹脂フィルムからなる基材フィルムの少なくとも片面にフッ素樹脂からなるフィルムが積層されてなる積層フィルムが記載されている。
特願2005-186740号公報
特許文献1に記載された離型フィルムは電子部品に対する密着力が充分でなく、封止工程において離型フィルムが貼り付けられた部分に封止材が侵入する恐れがある。
さらに、半導体パッケージの小型化にともなって電子部品に設けられるハンダボールも小型化する傾向にあり、ハンダボールのクラックを防止するために、ハンダボールの一部を封止材で保護する必要が生じている。その結果、ハンダボールが形成された面に離型フィルムを適用する場合が生じている。
ハンダボールのような凸部が形成された面に離型フィルムを適用する場合、離型フィルムを剥離した後の面においてハンダボールが充分に露出している必要がある。
本発明の一態様は、凸部を有する面に対する剥離性に優れる離型フィルムを提供することを課題とする。本発明の別の一態様は、この離型フィルムを用いた半導体パッケージの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>基材層と、粘着層とを備え、前記粘着層の厚みが前記基材層及び粘着層の合計厚みの4%~30%であり、前記基材層の厚みが75μm以上である、離型フィルム。
<2>電子部品のハンダボールを有する面の少なくとも一部を露出させるための、<1>に記載の離型フィルム。
<3>前記粘着層はアクリル系粘着剤を含む、<1>又は<2>に記載の離型フィルム。
<4><1>~<3>のいずれか1項に記載の離型フィルムの前記粘着層が電子部品の表面の少なくとも一部に接触した状態で電子部品の周囲を封止する工程と、前記離型フィルムを前記電子部品から剥離する工程と、を備える半導体パッケージの製造方法。
<5>前記電子部品の前記粘着層が接触する表面の少なくとも一部はハンダボールを有する、<4>に記載の半導体パッケージの製造方法。
本発明によれば、凸部を有する面に対する剥離性に優れる離型フィルムが提供される。本発明の別の一態様によれば、この離型フィルムを用いた半導体パッケージの製造方法が提供される。
本開示の離型フィルムの構造の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において離型フィルム又は離型フィルムを構成する各層の厚みは、公知の手法で測定できる。例えば、ダイヤルゲージ等を用いて測定してもよく、離型フィルムの断面画像から測定してもよい。あるいは、層を構成する材料を溶剤等を用いて除去し、除去前後の質量、材料の密度、層の面積等から算出してもよい。層の厚みが一定でない場合は、任意の5点で測定した値の算術平均値を層の厚みとする。
本明細書において「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
<離型フィルム>
本開示の離型フィルムは、基材層と、粘着層とを備え、前記粘着層の厚みが前記基材層及び粘着層の合計厚みの4%~30%であり、前記基材層の厚みが75μm以上である、離型フィルムである。
上記離型フィルムは、電子部品の表面にハンダボールのような凸部が形成されていても、凸部の変形、凸部を有する面への粘着層の残存等が生じにくい。このため、離型フィルムを剥離した部分における凸部の状態が良好に維持される。
以下、本開示の離型フィルムについて図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、図に示す部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
図1は本実施形態の離型フィルムの構造の一例を示す概略断面図である。図1に示す離型フィルム30は、基材層20と、粘着層10とから構成されている。必要に応じ、離型フィルムは基材層20及び粘着層10以外の層(例えば、導電層)を備えてもよい。
本開示の離型フィルムは、粘着層側を電子部品等の被着体の表面に貼り付けた状態で封止工程等の処理を行った後に剥離される。本開示の離型フィルムは、凸部を有する面に対する剥離性に優れている。このため、例えば、露出成形による半導体パッケージの製造方法、特に、電子部品の凸部を有する面の少なくとも一部を露出させる場合に好適に用いられる。
(基材層)
基材層の厚みは、75μm以上である。基材層の厚みが75μm以上であることで、凸部を有する面に対する密着力が充分に得られ、封止材の侵入が抑制される。基材層の厚みは80μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましい。基材層の厚みの上限は特に制限されない。例えば、基材層の厚みは200μm以下であってもよい。
基材層の材質は、特に制限されない。金型への追従性の観点からは、樹脂が好ましい。樹脂としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルエーテル、ポリアミドイミド、フッ素含有樹脂などが挙げられる。樹脂を用いる場合は、封止工程中の加熱温度に対して充分な耐熱性を有するものであることが好ましい。
必要に応じ、基材層の粘着層が設けられる側の面に基材と粘着層との間の密着力を向上させるための処理が施されていてもよい。処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理、下塗り剤(プライマ)の塗布などが挙げられる。
必要に応じ、基材層の背面(粘着層側とは逆の面)に離型フィルムのロールからの巻き出し性を調節するための背面処理剤が付与されていてもよい。背面処理剤としては、シリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリビニルアルコール、アルキル基を有する樹脂等の単体、変性体、混合物などが挙げられる。
必要に応じ、離型フィルムの巻き出し時、被着体からの剥離時等における静電気の発生を抑制するために、基材層の背面又は粘着層が設けられる側の面に帯電防止剤が付与されていてもよい。帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジウム塩、第1~3級アミノ基等のカチオン性基を有するカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基等のアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ酸硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性基を有するノニオン系帯電防止剤、これらの帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤などが挙げられる。これらの帯電防止剤は、透明性が良好な点でも好適である。
(粘着層)
粘着層は、その厚みが基材層及び粘着層の合計厚みの4%~30%である。以下、基材層及び粘着層の合計厚みに対する粘着層の厚みの割合を「粘着層の厚み比率」ともいう。
粘着層の厚み比率が4%以上であることで、凸部に対する密着力が充分に得られ、封止材の侵入が抑制される。一方、粘着層の厚み比率が30%以下であることで、離型フィルムを剥離した際に粘着層が凸部を有する面に残存しにくく、凸部の状態を良好に維持することができる。粘着層の厚み比率は、4.8%~25%であってもよい。
粘着層としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤を含む層が挙げられる。粘着層に含まれる粘着剤は、1種単独であっても2種以上であってもよい。
本発明において粘着層に含まれる粘着剤は、部分的又は完全に反応していても、未反応であってもよい。また、熱等により硬化した状態であっても、硬化していない状態であってもよい。
(1)アクリル系粘着剤
本明細書においてアクリル系粘着剤とは、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤を意味する。アクリル系ポリマーとは、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、これを「アクリル系モノマー」ということがある。
)を主たる構成単量体成分(アクリル系ポリマーを構成するモノマーの総量のうち50質量%以上を占める成分)とするポリマーを指す。アクリル系粘着剤は、透明性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性等の点で有利である。
アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系ポリマーを設計するに際しては、ガラス転移点(被着体に対する粘着性、適用可能な温度等)、架橋点の導入(耐久性、耐熱性等)、アクリル系モノマーの共重合性(アクリル系ポリマーの分子構造、架橋点等の均一性)などを考慮してモノマーの種類、分子量等を調節することが重要となる。架橋点を分子中に導入するためには、併用される架橋剤と反応可能な官能基を含有するモノマー(アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル等)を用いてアクリル系ポリマーを合成する。
アクリル系ポリマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートを主たる構成単量体成分とするポリマーが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素原子数1~20のアルキル基(鎖状アルキル基又は脂環式アルキル基のいずれであってもよい)を表す。
粘着性能に優れる粘着剤を得る観点からは、Rが炭素原子数2~14(C2~14)の鎖状アルキル基(直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基のいずれであってもよい)であることが好ましい。C2~14の鎖状アルキル基としては、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基等が挙げられる。Rが脂環式アルキル基である場合の脂環式アルキル基としては、シクロヘキシル基、イソボルニル基等が挙げられる。
粘着性能により優れるアクリル系ポリマーを得る観点からは、アクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち50質量%以上(例えば、50質量%~99.9質量%)、より好ましくは70質量%以上(例えば、70質量%~99.9質量%)、さらに好ましくは85質量%以上(例えば、85質量%~99.9質量%)が、上記式(1)においてRがC2~14の鎖状アルキル基である(メタ)アクリレートであることが好ましく、RがC4~10の鎖状アルキルアクリレートであることがより好ましく、n-ブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。
アクリル系ポリマーは、架橋点として水酸基を有することが好ましい。水酸基を有するアクリル系ポリマーとしては、水酸基を含有するアクリル系モノマーを重合成分に含むものを好ましく用いることができる。
水酸基を含有するアクリル系モノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。水酸基を含有するアクリル系モノマーは、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水酸基を含有するアクリル系モノマーの中でも、水酸基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
水酸基を有するアクリル系ポリマーは、その合成に使用するモノマーの総量のうち水酸基を含有するアクリル系モノマーの割合が、例えば0.01質量%~20質量%の範囲であってよく、0.05質量%~15質量%の範囲であることが好ましく、0.1質量%~10質量%の範囲であることがより好ましい。
アクリル系ポリマーは、水酸基以外の官能基を有するアクリル系モノマー及びアクリル系モノマー以外のモノマー(以下、その他のモノマーとも称する)を重合成分として含んでもよい。その他のモノマーは、例えば、アクリル系ポリマーのTg、粘着性能等を調整するなどの目的で使用することができる。例えば、粘着剤の凝集力と耐熱性を向上させ得るモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入する、又は接着力の向上に寄与し得るモノマーとして、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等が挙げられる。その他のモノマーは1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等が挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、置換スチレン(クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン等)などが挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。
酸無水物基含有モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、上記カルボキシ基含有モノマーの酸無水物等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イミド基含有モノマーとしては、シクロへキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、イタコンイミド等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
アクリル系ポリマーがその他のモノマーを重合成分として含む場合、その他のモノマーの含有率は、その他のモノマーの合計がアクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。また、その他のモノマーの合計がアクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの総量のうち0.001質量%以上であることが好ましい。
アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーのみを重合成分とするものであってもよい。アクリル系モノマーのみを重合成分とするアクリル系ポリマーとしては、例えば、炭素数が6~14のアルキル(メタ)アクリレートのみを重合成分とするアクリル系ポリマー、炭素数が6~14のアルキル(メタ)アクリレートと水酸基含有(メタ)アクリレートのみを重合成分とするアクリル系ポリマー等が挙げられる。
アクリル系ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により得られる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、例えば20×10以上であってよく、30×10以上であることが好ましい。また、例えば90×10以下であってよく、80×10以下であることが好ましい。アクリル系ポリマーの重量平均分子量が上記範囲内であると、良好な粘着性能を示す粘着剤が得られる傾向にある。
アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体等であってもよい。生産性等の観点からは、通常はランダム共重合体であることが好ましい。
アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は-15℃以下であることが好ましく、-25℃以下であることがより好ましく、-40℃以下であることがさらに好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が-70℃以上であることが好ましい。アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、良好な粘着性能を示す粘着剤が形成される傾向にある。
本明細書においてアクリル系ポリマーのTgとは、アクリル系ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgと、当該モノマーの質量分率(質量基準の共重合割合)に基づいてフォックス(Fox)の式から求められる値をいう。従って、アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、アクリル系ポリマーの合成に使用するモノマーの種類、使用量比等を適宜変えることにより調整することができる。ここで、ホモポリマーのTgとしては、公知資料に記載(「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons,Inc、1989年))の値を採用するものとする。上記ホモポリマーのTgとして、具体的には以下の値を用いるものとする。
2-エチルヘキシルアクリレートのホモポリマー:-70℃
n-ブチルアクリレートのホモポリマー:-55℃
エチルアクリレートのホモポリマー:-22℃
メチルアクリレートのホモポリマー:8℃
メチルメタクリレートのホモポリマー:105℃
シクロヘキシルメタクリレートのホモポリマー:66℃
酢酸ビニルのホモポリマー:32℃
スチレンのホモポリマー:100℃
アクリル酸のホモポリマー:106℃
メタクリル酸のホモポリマー:130℃
「Polymer Handbook」に記載のないホモポリマーのTgとしては、下記の方法で測定される値を用いる。
温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、及び重合溶媒として酢酸エチル200質量部を投入し、窒素ガスを流通させながら室温(25℃)で1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温して10時間反応させる。次いで、室温(25℃)まで冷却し、固形分濃度が33質量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚み約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社)を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域-70℃~150℃、5℃/分の昇温速度でせん断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。
アクリル系ポリマーを合成する方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の、一般的に用いられる方法を適用できる。アクリル系ポリマーを含む溶剤型粘着剤組成物の調製しやすさの観点からは、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる有機溶媒(重合溶媒)は特に制限されず、トルエン、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。使用する有機溶媒は、1種単独でも2種以上であってもよい。
本明細書において溶剤型粘着剤組成物とは、有機溶媒中に粘着成分を含む形態の組成物を意味する。有機溶媒は特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。有機溶媒は、1種単独であっても2種以上であってもよい。溶剤型粘着剤組成物は、そのNV(非揮発分)が全体の30質量%~60質量%であることが好ましく、30質量%~50質量%であることがより好ましい。溶剤型粘着剤組成物の粘度は、3Pa・s~25Pa・sであることが好ましく、5Pa・s~15Pa・sであることがより好ましい。なお、上記粘度は、23℃の環境下で回転粘度計を用いて測定される値をいう。
アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーが架橋するように設計されていてもよい。アクリル系ポリマーを架橋させる具体的な方法としては、アクリル系ポリマーの重合成分中に架橋点となりうる官能基(水酸基、カルボキシ基等)を有するモノマーを含めることでアクリル系ポリマーに官能基を導入し、この官能基と反応して架橋構造を形成しうる化合物(架橋剤)をアクリル系ポリマーに添加して反応させる方法が挙げられる。
架橋剤は特に制限されず、アクリル系ポリマーの架橋に用いられる一般的な化合物から選択してもよい。例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられ、中でもエポキシ系架橋剤とイソシアネート系架橋剤が好ましい。使用される架橋剤は1種単独でも2種以上であってもよい。
エポキシ系架橋剤としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、1,2-エチレンジイソシアネート、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート化合物;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;などが挙げられる。
架橋剤の使用量は、例えば、アクリル系ポリマー100質量部に対して約0.01質量部~15質量部とすることができ、0.1質量部~10質量部(例えば、0.2質量部~2質量部)とすることが好ましい。かかる使用量で架橋剤を含む場合は、良好な粘着性能を示す粘着剤が得られる傾向にある。
アクリル系粘着剤は、必要に応じて各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、防腐剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
アクリル系粘着剤は、必要に応じて粘着性付与樹脂を含んでもよい。粘着性付与樹脂の種類は特に制限されず、ロジン系粘着性付与樹脂、テルペン系粘着性付与樹脂、炭化水素系粘着性付与樹脂、エポキシ系粘着性付与樹脂、ポリアミド系粘着性付与樹脂、エラストマー系粘着性付与樹脂、フェノール系粘着性付与樹脂、ケトン系粘着性付与樹脂等が挙げられる。アクリル系粘着剤に含まれる粘着性付与樹脂は、1種単独であっても2種以上であってもよい。
ロジン系粘着性付与樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;などが挙げられる。
ロジン誘導体としては、未変性ロジン又は変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(ロジンエステル);未変性ロジン又は変性ロジンを不飽和脂肪酸で変性したもの(不飽和脂肪酸変性ロジン);ロジンエステルを不飽和脂肪酸で変性したもの(不飽和脂肪酸変性ロジンエステル);未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン又は不飽和脂肪酸変性ロジンエステルにおけるカルボキシ基を還元処理したもの(ロジンアルコール);未変性ロジン、変性ロジン及び上述したロジン誘導体(特に、ロジンエステル)の金属塩;未変性ロジン、変性ロジン及び上述したロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;などが挙げられる。
テルペン系粘着性付与樹脂としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン系樹脂;これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン系樹脂;などが挙げられる。変性テルペン系樹脂としては、テルペン-フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等が挙げられる。
炭化水素系粘着性付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等が挙げられる。
脂肪族系炭化水素樹脂としては、炭素数が4~5程度のオレフィン及びジエンから選択される1種又は2種以上の脂肪族炭化水素の重合体等が挙げられる。オレフィンとしては、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン等が挙げられる。ジエンとしては、ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂の例としては、炭素原子数8~10程度のビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等が挙げられる。
脂肪族系環状炭化水素樹脂としては、いわゆる「C4石油留分」又は「C5石油留分」を環化二量体化した後に重合させた脂環式炭化水素系樹脂;環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体又はその水素添加物;芳香族系炭化水素樹脂又は脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂;などが挙げられる。
粘着性付与樹脂は、軟化点(軟化温度)が80℃以上(好ましくは100℃以上)であることが好ましい。このような粘着性付与樹脂を用いることで、より高性能な(例えば、接着性の高い)粘着剤が得られる傾向にある。粘着性付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されず、例えば200℃以下(好ましくは、180℃以下)とすることができる。なお、ここでいう粘着性付与樹脂の軟化点は、JIS K 5902:2006及びJIS K 2207:2006のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値とする。
粘着性付与樹脂の使用量は特に制限されず、目的とする粘着性能(接着力等)に応じて適宜設定することができる。例えば、固形分基準で、アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着性付与樹脂を10質量部~100質量部(好ましくは15質量部~80質量部、より好ましくは20質量部~60質量部)の割合で使用することが好ましい。
(2)シリコーン系粘着剤
本明細書においてシリコーン系粘着剤は、シリコーンポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のうちの主成分、すなわちポリマー成分全体の50質量%以上を占める成分)とする粘着剤を意味する。
シリコーン系粘着剤としては、付加反応型シリコーン系粘着剤、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤、縮合型シリコーン系粘着剤等が挙げられる。硬化反応に過酸化物を使用せず、分解物が発生しないという観点からは、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましい。
(付加反応型シリコーン系粘着剤)
付加反応型シリコーン系粘着剤とは、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基(ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等の1価の炭化水素基が挙げられ、中でもビニル基が特に好ましい。)を有する第1のポリジメチルシロキサンと1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンとを含む付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーンレジンとを含有するシリコーン系粘着剤である。
第1のポリジメチルシロキサン中におけるアルケニル基の含有率(シロキサン結合の数に対するアルケニル基の数の割合)は、0.01%~10%であることが好ましく、0.1%~5%であることがより好ましい。アルケニル基は、分子鎖の両末端に少なくとも存在することが好ましく、両末端と側鎖に存在することがより好ましい。第1のポリジメチルシロキサンの重合度(シロキサン結合の数)は、200~5,000であることが好ましく、500~3,000であることがより好ましい。
第1のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、20,000~1,300,000であることが好ましく、300,000~1,200,000であることがより好ましい。
本明細書においてポリマーの分子量(重量平均分子量及び数平均分子量)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
第2のポリジメチルシロキサン中におけるヒドロシリル基の含有量は、1分子中に2個~300個であることが好ましく、4個~200個であることがより好ましい。第2のポリジメチルシロキサンの重合度(シロキサン結合の数)は、50~2,000であることが好ましく、100~1,500であることがより好ましい。
付加反応型シリコーン樹脂において、第1のポリジメチルシロキサンと第2のポリジメチルシロキサンの比率は、例えば、第1のポリジメチルシロキサン100質量部に対する第2のポリジメチルシロキサンの配合比が0.01質量部~20質量部であることが好ましく、0.1質量部~10質量部であることがより好ましい。
第1のポリジメチルシロキサンに含まれるアルケニル基の含有量、第2のポリジメチルシロキサンに含まれるヒドロシリル基の含有量、及び第1のポリジメチルシロキサンに対する第2のポリジメチルシロキサンの配合比がそれぞれ上記の範囲内であると、第1のポリジメチルシロキサンと第2のポリジメチルシロキサンとの付加反応が良好に進む傾向にある。なお、第1のポリジメチルシロキサンは、ヒドロシリル基を有しないことが好ましく、第2のポリジメチルシロキサンは、アルケニル基を有しないことが好ましい。
シリコーンレジンは、シリコーン系粘着剤に粘着性を付与する役割を有する。本明細書においてシリコーンレジンとは、三次元網目構造を有するシリコーンを意味する。
シリコーンレジンとしては、例えば、一官能シロキサン単位[(CHSiO1/2]であるM単位と、四官能シロキサン単位[SiO4/2]であるQ単位とから構成さ
れるMQレジンが挙げられる。MQレジンにおいてM単位とQ単位のモル比(M単位/Q単位)は、0.6~1.7であることが好ましい。
付加反応型シリコーン系粘着剤において、付加反応型シリコーン樹脂100質量部に対するシリコーンレジンの配合比は、1質量部~30質量部であることが好ましく、3質量部~20質量部であることがより好ましく、5質量部~15質量部であることがさらに好ましい。シリコーンレジンの配合比がかかる範囲にあることで、付加反応型シリコーン系粘着剤の剥離性を望ましい範囲に調整することができる。
付加反応型シリコーン系粘着剤は、触媒を含有することが好ましい。触媒を含有することで、付加反応型シリコーン樹脂の硬化反応をより効率良く進行させることができる。触媒としては、第1のポリジメチルシロキサンと第2のポリジメチルシロキサンを付加反応させることができるものであれば特に限定されないが、中でも白金族金属を含む化合物が好ましい。白金族金属を含む化合物としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。
付加反応型シリコーン系粘着剤が触媒を含む場合、付加反応型シリコーン樹脂100質量部に対する触媒の配合量(触媒が白金族金属を含む化合物である場合は、白金族金属に相当する量)が0.0001質量部~0.1質量部であることが好ましく、0.001質量部~0.01質量部であることがより好ましい。
(過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤及び縮合型シリコーン系粘着剤)
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤は、一般に、オルガノポリシロキサンを過酸化物により硬化(架橋)させてシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。また、縮合型シリコーン系粘着剤は、一般に、末端にシラノール基又はアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサン間の脱水又は脱アルコール反応によりシリコーン系ポリマーを生成させる粘着剤である。
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤の場合、メチル基を少なくとも有するシリコーンゴムを用い、縮合型シリコーン系粘着剤の場合、末端にシラノール基又は加水分解性のアルコキシシリル基を有するシリコーンゴムを用いる。なお、シリコーンゴムにおけるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、通常、15万以上であり、好ましくは28万~100万であり、より好ましくは50万~90万である。
シリコーン系粘着剤は、ポリマー成分に加えて反応抑制剤、密着向上剤等の各種添加剤を含んでもよい。
シリコーン系粘着剤を用いて基材層上に粘着層を形成する方法は、特に制限されない。例えば、シリコーン系粘着剤を基材層上に付与し、必要に応じて乾燥し、硬化させることにより形成することができる。付与は、例えば、バーコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ナイフコーター等の塗工機を用いて行うことができる。
シリコーン系粘着剤が希釈剤を含む場合、希釈剤は特に制限されない。例えば、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。シリコーン系粘着剤に含まれる希釈剤は1種単独でも2種以上であってもよい。
シリコーン系粘着剤が付加反応型シリコーン粘着剤である場合、基材層上に付加反応型シリコーン粘着剤を付与した後に加熱して硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は80℃~180℃であることが好ましく、加熱時間は10秒~90秒程度であることが好ましい。
(3)ゴム系粘着剤
本明細書においてゴム系粘着剤は、ゴム系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤を意味する。ゴム系ポリマーは特に制限されず、天然ゴム系ポリマー(変性天然ゴム系ポリマーを含む)であっても合成ゴム系ポリマーであってもよい。合成ゴム系ポリマーとしては、ABA型又はAB型のブロック共重合体(Aは熱可塑性ブロックを示し、Bはラバーブロックを示す。スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)等が挙げられる)が挙げられる。ゴム系ポリマーは、天然ゴム系ポリマーと合成ゴム系ポリマーの組み合わせであってもよい。
ゴム系粘着剤が合成ゴム系ポリマーを含む場合、合成ゴム系ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)等が挙げられる。
ゴム系粘着剤が変性天然ゴム系ポリマーを含む場合、変性天然ゴム系ポリマーとしては、その50質量%以上(例えば60質量%以上)が天然ゴムに由来する構造部分であるものが好ましい。変性天然ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム系ポリマーに他のモノマーをグラフトさせたグラフト変性天然ゴム系ポリマー等が挙げられる。天然ゴム系ポリマーにグラフトさせるモノマーとしては、アクリル系モノマー(アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマー)、スチレン等が挙げられる。天然ゴム系ポリマーにグラフトさせるモノマーは、1種単独であっても2種以上であってもよい。
天然ゴム系ポリマーにグラフトさせるアクリル系モノマーとしては、アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、t-ブチルアクリレート等のアルキル基の炭素原子数が1~16であるアルキルアクリレート)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート等のアルキル基の炭素原子数が1~16であるアルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
変性天然ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム系ポリマーにグラフトさせるモノマーのうち50質量%以上がアクリル系モノマーであるもの(アクリル変性天然ゴム系ポリマー)が好ましい。
ゴム系粘着剤のベースポリマーが天然ゴム系ポリマーである場合、天然ゴム系ポリマーとしては、例えば、MS(1+4)100℃(L型ロータ使用、予熱1分、粘度測定時間4分、試験温度100℃)の測定条件におけるムーニー粘度が10~60程度であるものが好ましい。
他の一態様では、天然ゴム系ポリマーにメタクリル酸メチル(MMA)がグラフトしてなるアクリル変性天然ゴム系ポリマー(NR-MMAグラフト共重合体)が好ましい。かかるグラフト共重合体は、常法により製造することができ、市販品としても入手できる。
NR-MMAグラフト共重合体におけるMMAのグラフト率(天然ゴムに結合したMMAの質量/グラフト化に使用した天然ゴムの質量×100(%)により表され、通常はNR-MMAグラフト共重合体の製造に用いた天然ゴムとMMAとの質量比から算出される値と同等である)は、例えば1%~120%とすることができ、好ましくは5%~100%であり、より好ましくは10%~90%、さらに好ましくは30%~80%である。グラフト化率は、好ましくは50%~90%であり、より好ましくは60%~80%である。
グラフト化率が1%以上であると、粘着力が高くなりすぎるのが抑制され、グラフト化率が120%以下であると、SUS板等の被着体に対する粘着力が低くなりすぎるのが抑制される。NR-MMAグラフト共重合体の製造に用いるMMAは、その一部(例えば、天然ゴムにグラフトさせるモノマー全体の5質量%以下、典型的には3質量%以下)が他のモノマーに置き換えられていてもよい。
ゴム系粘着剤は、ベースポリマーに加えて他のポリマー(以下、副ポリマーともいう)を含んでもよい。副ポリマーとしては、公知のアクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等のベースポリマーとなり得るアクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、シリコーンポリマーなどが挙げられる。あるいは、上述したゴム系ポリマーのうちベースポリマー以外のものであってもよい。ゴム系粘着剤に含まれる副ポリマーは、1種単独でも2種以上であってもよい。ベースポリマーと副ポリマーの組み合わせとしては、ベースポリマーとしての天然ゴム系ポリマーと副ポリマーとしてのNR-MMAグラフト共重合体との組合せ、ベースポリマーとしてのNR-MMAグラフト共重合体と副ポリマーとしての天然ゴム系ポリマーとの組合せ等が挙げられる。
ゴム系粘着剤がベースポリマーと副ポリマーとを含む場合、副ポリマーは、ベースポリマー100質量部に対して100質量部以下の使用量(副ポリマーが2種以上である場合は、その合計)で用いられる。通常は、ベースポリマー100質量部に対する副ポリマーの使用量を70質量部以下とすることが適当であり、50質量部以下とすることが好ましい。ゴム系粘着剤は、副ポリマーを実質的に含まない(すなわち、ポリマー成分の実質的に100質量%がベースポリマーである)ものであってもよい。また、ゴム系ポリマー以外のポリマー成分を実質的に含有しないゴム系粘着剤(例えば、天然ゴム及び変性天然ゴム以外のポリマー成分を実質的に含有しないゴム系粘着剤)であってもよい。
ゴム系粘着剤は、ポリマー成分に加えて粘着性付与剤を含んでもよい。特に、ポリマー成分としてそれ自体の粘着性が低い天然ゴム系ポリマーを含む場合は、粘着性付与剤を含むことにより多くの種類の被着体に対して高い粘着性を示すことが可能となる。ゴム系粘着剤が粘着性付与剤を含む場合、粘着性付与剤としては、例えば、アクリル系粘着剤に含まれてよい粘着性付与樹脂として例示したものが挙げられる。
ゴム系粘着剤がポリマー成分と粘着性付与剤とを含む場合、粘着性付与剤の使用量(粘着性付与剤が2種以上である場合はその合計)は、例えば、ポリマー成分100質量部に対して20質量部~150質量部(好ましくは30質量部~100質量部)とすることができる。粘着性付与剤の使用量が20質量部以上であると、リードフレーム等の被着体に対する粘着力が充分に得られる傾向にある。一方、粘着性付与剤の使用量が150質量部以下であると、リードフレーム等の被着体に対する粘着力(特に、低温環境下における粘着力)が充分に得られる傾向にある。
ゴム系粘着剤を基材層上に付与する方法は、特に制限されない。例えば、適当な媒体中にゴム系粘着剤となる成分を溶解又は分散した粘着剤組成物を基材層に塗付して乾燥させることにより基材層上に直接粘着剤層を形成する方法、剥離性を有する表面上に形成した粘着剤層を基材層に転写する方法、等の公知の方法を適宜採用することができる。粘着剤組成物は、例えば、ポリマー成分と、典型的には粘着性付与剤と、必要に応じて用いられる他の成分と、上記媒体とを、常法により混合して調製することができる。
ゴム系粘着剤は、必要に応じて加硫促進剤を含んでもよい。加硫促進剤としては、ジチオカルバミン酸類(ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等)、チアゾール類(2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等)、グアニジン類(ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン等)、スルフェンアミド類(ベンゾチアジル-2-ジエチルスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等)、チウラム類(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、キサントゲン酸類(イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等)、アルデヒドアンモニア類(アセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメチレンテトラミン等)、アルデヒドアミン類(n-ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン等)、チオウレア類(ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等)などが用いられる。ゴム系粘着剤に含まれる加硫促進剤は、1種単独でも2種以上であってもよい。例えば、ジチオカルバミン酸類とチウラム類とを併用してもよい。加硫促進剤の使用量は、例えば、ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部~10質量部(好ましくは0.5質量部~5質量部)とすることができる。
ゴム系粘着剤は、必要に応じて架橋剤を含んでもよい。架橋剤としては、イソシアネート化合物、イオウ、含イオウ化合物、フェノール樹脂、有機金属化合物等が挙げられる。
架橋剤としてはイソシアネート化合物が好ましく、2官能以上のイソシアネート化合物がより好ましい。2官能以上のイソシアネート化合物としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;などが挙げられる。ゴム系粘着剤に含まれる架橋剤は、1種単独でも2種以上であってもよい。架橋剤の使用量(イソシアネート化合物の場合)は、ポリマー成分100質量部に対して0.3質量部~10質量部(例えば0.5質量部~5質量部)とすることが好ましい。
ゴム系粘着剤は、必要に応じて加硫促進助剤を含んでもよい。加硫促進助剤としては、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。加硫促進助剤を用いることで、加硫促進剤を活性にし、加硫効率を促進することができる。加硫促進助剤を含む場合、その使用量は、例えば、ポリマー成分100質量部に対して0.1質量部~10質量部(好ましくは0.5質量部~5質量部)とすることができる。
ゴム系粘着剤は、必要に応じて添加剤を含んでもよい。添加剤としては、軟化剤、難燃剤、帯電防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等)、酸化防止剤などが挙げられる。
(4)ウレタン系粘着剤
本明細書においてウレタン系粘着剤は、ウレタンポリマーをベースポリマーとする粘着剤を意味する。ウレタンポリマーとしては、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリマーが挙げられ、ポリオールと、過剰量のポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、「末端NCOプレポリマー」と称する)が好ましい。末端NCOプレポリマーは、各種のポリオールと、過剰量のポリイソシアネート化合物とを、例えば、OHとNCOの当量比(OHの数/NCOの数)が1/1.2~3.5となるように反応させることにより合成することができる。反応は、必要により適当な反応触媒(ジブチル錫ジラウレート等の有機錫系触媒、オクチル酸ビスマス等のビスマス系触媒、1,4-ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン等の三級アミン系触媒など)の存在下で、例えば、20℃~90℃(好ましくは60℃~90℃)で1時間~7時間の条件で行うことができる。
末端NCOプレポリマーにおける末端イソシアネート基(NCO)の含有量は、プレポリマーの貯蔵安定性及び硬化物の柔軟性の観点から、0.2質量%~15.0質量%であることが好ましく、0.5質量%~3.5質量%であることがより好ましい。末端NCOプレポリマーの数平均分子量は、通常、3,000~50,000であり、ハンドリングの観点から、4,000~30,000であることが好ましい。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールにプロピレンオキサイド又はプロピレンオキサイドと、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドと、を付加重合したポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらのオリゴグリコール類;ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール;ポリカプロラクトンポリオール;ポリエチレンアジペート等のポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール類;ヒマシ油等のヒドロキシ基を有する高級脂肪酸エステル類;ポリエーテルポリオール類又はポリエステルポリオール類にビニルモノマーをグラフト化したポリマーポリオール類;などが挙げられる。ウレタンポリマーの合成に用いるポリオールは、1種単独でも2種以上であってもよい。
ポリオールは、ポリマーであってもよい。ポリオールがポリマーである場合、その数平均分子量は、反応性、作業性の観点から、500~20,000であることが好ましく、1,000~20,000であることがより好ましい。
発泡抑制、作業性、硬化性及び物性の安定性の観点からは、とりわけ、後述する特定の硬化触媒と組み合わせた際にこれらの特性の優れたバランスが得られる観点から、ポリオールは、プロピレンオキサイドの付加物としてのポリオキシアルキレンポリオールであるか、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの付加物としてのポリオキシアルキレンポリオールであることが好ましい。実用性の観点からは、プロピレンオキサイドの付加物としてのポリオキシアルキレンポリオール(即ちポリプロピレンポリオール)がより好ましく、ポリプロピレングリコールがさらに好ましい。
ポリオールは、ロジンジオールであってもよい。ロジンジオールを使用することにより、粘着剤の粘着力がより優れたものになる。ロジンジオールは、分子内にロジン骨格と水酸基とを各々2個有するジオールである。
ロジンジオールとしては、ロジンと多価アルコールとを反応させて得られるロジンエステル、ロジンとビスフェノールAジグリシジルエーテル等との反応物などが挙げられる。
これらのロジンジオールは、従来から既知の方法によって製造できる。
ロジンジオールのなかでも、NCO末端プレポリマーとの相溶性の観点からは、ポリオキシアルキレン骨格を有するものが好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有するロジンジオールの市販品としては、パインクリスタルD-6011、KE-615-3、D-6250(いずれも荒川化学工業株式会社)等が挙げられる。
ロジンジオールは、他のポリオールと併用することが好ましい。他のポリオールとしては、ポリプロピレングリコールが好ましい。ロジンジオールと他のポリオールとを併用する場合、ロジンジオールの使用量は、硬化後の性状の観点から、ポリオール全量の50質量%以下であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましく、3質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
ポリオールは、多官能ポリオールであってもよい。例えば、4官能以上(好ましくは4官能~8官能)の多官能ポリオールを使用することで、粘着剤の硬化後の粘着力(ピール強度)がより優れたものになる。
多官能ポリオールとしては、テトラオール(ペンタエリスリトール、ジグリセリン等)、ペンタオール(トリグリセリン、ガラクトース等)、ヘキサオール(ジペンタエリスリトール、ソルビトール等)、ヘプタオール、オクタオール(トリペンタエリスリトール、ショ糖等)、これらの多官能ポリオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加したものなどが挙げられる。汎用性と効果の観点からは、ペンタエリスリトールのアルコキシド付加物が好ましい。これらの多官能ポリオールは従来から既知の方法によって製造でき、市販品としても入手できる。多官能ポリオールの市販品としては、EL-410NE(旭硝子株式会社)、POLYPL 4525(Perstorp Specialty Chemicals AB社)等が挙げられる。
多官能ポリオールは、ポリマーであってもよい。多官能ポリオールがポリマーである場合、その数平均分子量は、通常、100~2,000であり、性状及び反応性の観点からは、300~700であることが好ましい。
多官能ポリオールは、他のポリオールと併用することが好ましい。他のポリオールとしては、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコールとロジンジオールの組み合わせがより好ましい。多官能ポリオールを他のポリオールと併用する場合、多官能ポリオールの使用量は、硬化物(粘着体)の柔軟性の観点からは、多官能ポリオールの水酸基の数がポリオール全体の水酸基の数の60%以下となる量であることが好ましく、5%~20%となる量であることがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物は特に制限されず、芳香族、脂肪族又は脂環族に属する任意のものであってよい。具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、クルードTDI、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート化物、カルボジイミド化物、ビューレット化物等であってもよい。ウレタンポリマーの合成に用いるポリイソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上であってもよい。なかでも、プレポリマーの性状、硬化後の柔軟性、非黄変性及び安全性の観点からは、IPDIが好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、3官能以上(好適には3官能~6官能)の多官能ポリイソシアネートを含むことが好ましい。3官能以上の多官能ポリイソシアネートを使用することで、粘着剤の硬化後の粘着力(ピール強度)がより優れたものになる。
多官能ポリイソシアネートの市販品としては、コロネートHX(脂環族ポリイソシアネート、日本ポリウレタン工業株式会社)、タケネートD-170N(脂環族ポリイソシアネート、武田薬品株式会社)、スミジュールN-3500(脂肪族ポリイソシアネート、住化バイエルウレタン株式会社)、スミジュールN-3200(脂肪族ポリイソシアネート、住化バイエルウレタン株式会社)、デュラネート24A-100及びデュラネートE-405-80T(旭化成ケミカルズ株式会社)等が挙げられる。
多官能ポリイソシアネート化合物は、他のポリイソシアネート化合物と併用することが好ましい。他のポリイソシアネート化合物としては、IPDIが好ましい。多官能ポリイソシアネート化合物と他のポリイソシアネート化合物とを併用する場合、多官能ポリイソシアネート化合物の使用量は、反応後の性状の観点から、多官能ポリイソシアネート化合物のNCO基の数がポリイソシアネート化合物全体のNCO基の数の60%以下となる量であることが好ましく、5%~20%となる量であることがより好ましい。
末端NCOプレポリマーは、必要に応じて、ポリオールと、過剰量のポリイソシアネート化合物と、モノオールを反応させて得ることができる。この場合、粘着剤の硬化後の粘着力(ピール強度)がより優れたものになる。
モノオールとしては、ポリオキシアルキレン系モノオール、ポリエステルモノオール、ポリエーテル・エステルモノオール、高級飽和モノオール、エチレン性不飽和二重結合を有するモノオール等が挙げられる。モノオールを使用する場合は、1種単独でも2種以上であってもよい。
ポリオキシアルキレン系モノオールとしては、活性水素を1個含有するアルキル化合物等を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを開環付加重合させた、分子内に水酸基を1個含有する高分子量のポリオキシアルキレン系モノオールなどが挙げられる。
ポリエステルモノオールとしては、例えば、既知のポリエステルポリオールの末端水酸基のアルキル化変性物、モノヒドロキシ化合物を開始剤として環状ラクトン化合物を開環付加共重合反応又はエステル化反応させて得られるラクトン系ポリエステルモノオール、多価アルコールと、飽和脂肪酸又は(メタ)アクリル酸、桂皮酸若しくは炭素数10以上の高級不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のエチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸と、から得られるエステルモノオールなどが挙げられる。
ポリエーテル・エステルモノオールとしては、脂肪酸エステルモノオールに前記(モノ)アルキレンオキサイドを付加重合させた、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルモノオール等が挙げられる。
高級飽和モノオールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数10以上の直鎖状で一価の高級飽和アルコールなどが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノオールとしては、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール等の炭素数10以上の直鎖状で一価の高級不飽和アルコール、アリルアルコールなどが挙げられる。
なかでも、汎用及び安全性の観点から、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましくポリオキシプロピレンアルキルエーテルがより好ましい。
モノオールは、ポリマーであってもよい。モノオールがポリマーである場合、その数平均分子量は、例えば100~10,000であってよく、汎用性及びハンドリングの観点からは500~10,000であることが好ましい。
ポリマーであるモノオールの市販品としては、PML-S1004F(旭硝子株式会社)等が挙げられる。
ポリマーであるモノオールを使用する場合、その使用量は、硬化後の性能の観点から、ポリオール全量に対して5質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
ウレタン系粘着剤は、必要に応じて粘着性付与剤を含んでもよい。粘着性付与剤は、ウレタン系粘着剤に粘着性を付与することができるか、粘着性を向上させることができるものであれば特に限定されない。粘着性付与剤としては、例えば、アクリル系粘着剤に含まれてもよい粘着性付与樹脂として上述したものが挙げられる。
ウレタン系粘着剤が粘着性付与剤を含む場合、その含有量は、硬化後の物性と性能のバランスの観点から、粘着剤組成物全量の10質量%~60質量%であることが好ましく、10質量%~50質量%であることがより好ましい。
ウレタン系粘着剤は、必要に応じて反応性単官能化合物を含んでもよい。反応性単官能化合物を含むことで、粘着剤の硬化後の粘着力(ピール強度)がより優れたものになる。
反応性単官能化合物は、ウレタン反応において反応性を有する単官能化合物であって、粘着剤の硬化後の粘着力(ピール強度)を向上させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、末端NCOプレポリマーの合成に用いてもよいモノオールとして上述したモノオール、単官能イソシアネート化合物(モノオールとジイソシアネートの反応物等)、その他のウレタン反応が可能な単官能組成物(アミン、アミド、チオール、カルボン酸等)などが挙げられる。使用される反応性単官能化合物は、1種単独であっても2種以上であってもよい。安全性及び汎用性の観点からは、単官能イソシアネート化合物が好ましく、モノオールとジイソシアネートの反応物がより好ましい。モノオールとジイソシアネートの反応物としては、バイエル社の商品名「アディティブTI」等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤が反応性単官能化合物を含む場合、その使用量は、硬化後の性能の観点から、粘着剤全量の5質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
ウレタン系粘着剤は、必要に応じて添加剤を含んでもよい。添加剤としては、ウレタン触媒、可塑剤(アクリル酸エステル系可塑剤、フタル酸ジエステル類、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸ジエステル類、アルキレンジカルボン酸ジエステル類、アルキルベンゼン類等)、充填剤(重質炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、酸化チタン、バルーン、ビーズ等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類等)、難燃剤、揺変性付与剤(コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、ポリアマイドワックス、水添ひまし油等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等)、老化防止剤(ヒンダードフェノール類、メルカプタン類、スルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、チオアルデヒド類等)、密着剤(エポキシ化合物、シランカップリング剤等)、脱水剤などが挙げられる。
ウレタン触媒としては、DBU系触媒、アミン系触媒、有機カルボン酸金属塩、イミダゾール系触媒等が挙げられる。DBU系触媒としては、DBU[1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7]、DBUフェノール塩、DBUオクチル酸塩、DBUギ酸塩等が挙げられる。アミン系触媒としては、モノアミン(トリエチルアミン等)、ジアミン(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等)、トリアミン(テトラメチルグアニジン等)、環状アミン(トリエチレンジアミン等)、アルコールアミン(ジメチルアミノメタノール等)、エーテルアミン(ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等)などが挙げられる。有機カルボン酸金属塩としては、Sn系(ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等)、Pb系(オクチル酸鉛等)、Zn系(オクチル酸亜鉛等)などが挙げられる。イミダゾール系触媒としては、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤の作製方法は、特に制限されない。例えば、ウレタン系粘着剤に含まれるポリマー成分と、必要に応じて含まれる他の成分を混合することにより、一液型のウレタン系粘着剤として作製してもよい。ウレタン系粘着剤は実質的に溶媒を含まない無溶媒型の粘着剤であってもよい。ウレタン系粘着剤が実質的に溶媒を含まないと、粘着剤を熱により硬化させる際に、臭気、揮発性有機化合物(VOC)等の発生による環境汚染を抑制することができる。
粘着層は、必要に応じて、アンカリング向上剤、架橋促進剤、フィラー、着色剤等を含んでいてもよい。例えば、粘着層がフィラーを含むことにより、粘着層の外表面(導電層とは逆の面)が粗化されて電子部品からの剥離性が向上する等の効果が得られる。
フィラーの材質は特に制限されず、樹脂等の有機物質であっても、金属、金属酸化物等の無機物質であっても、有機物質と無機物質との組み合わせであってもよい。また、粘着層に含まれるフィラーは1種のみでも2種以上であってもよい。フィラーの体積平均粒子径は、特に制限されない。例えば、1μm~20μmの範囲から選択できる。本明細書においてフィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)である。
粘着層に含まれる粘着剤との親和性の観点からは、フィラーは樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂としては、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。成形後の半導体パッケージ表面への残渣を抑制する観点からは、アクリル樹脂が好ましい。
<半導体パッケージの製造方法>
本開示の半導体パッケージの製造方法は、上述した離型フィルムの粘着層が電子部品の表面の少なくとも一部に接触した状態で電子部品の周囲を封止する工程と、離型フィルムを電子部品から剥離する工程と、を備える半導体パッケージの製造方法である。
上述したように、本開示の離型フィルムは電子部品の表面(特に、ハンダボールのような凸部を有する面)に対する剥離性に優れている。したがって、離型フィルムを剥離する際に離型フィルムが凸部を有する部分に残存しにくく、電子部品の表面における凸部の状態が良好に維持される。
上記方法において使用される電子部品の種類は特に制限されない。例えば、半導体素子、コンデンサ、端子等が挙げられる。
上記方法において電子部品の周囲を封止する材料(封止材)の種類は特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含む樹脂組成物が挙げられる。
以下に、本実施形態の離型フィルムについて、実施例に基づき説明する。ただし、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
粘着剤A(100質量部)と、架橋剤A(17.4質量部)と、フィラー(3質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(34質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが100μmのPBTフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
<実施例2>
粘着剤A(100質量部)と、架橋剤A(17.4質量部)と、フィラー(3質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(34質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが100μmのPBTフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが5μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
<実施例3>
粘着剤B(100質量部)と、架橋剤B(10質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(44質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが75μmのPETフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
<比較例1>
粘着剤B(100質量部)と、架橋剤B(10質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(44質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが38μmのPETフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
<比較例2>
粘着剤B(100質量部)と、架橋剤B(10質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(275質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが38μmのPETフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが3μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
<比較例3>
粘着剤B(100質量部)と、架橋剤B(10質量部)と、トルエン:メチルエチルケトンの質量比が8:2の混合溶剤(275質量部)とを配合し、ディスパーで撹拌して、粘着層形成用組成物を調製した。この粘着層形成用組成物を、基材(厚みが75μmのPETフィルム)の一方の面の全面に、粘着層の厚みが3μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱して粘着層を形成し、離型フィルムを作製した。
離型フィルムの作製に使用した各材料の詳細は、下記のとおりである。
・粘着剤A:アクリル系粘着剤、商品名「FS-1208」、固形分45質量%、ライオン・スペシャル・ケミカルズ株式会社、メタクリル酸エステルの複数種の混合モノマーで構成
・粘着剤B:アクリル系粘着剤、商品名「S-43」、固形分24質量%、総研化学株式会社、ブチルアクリレート(BA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)の混合モノマーで構成
・架橋剤A:商品名「デュラネートE405-80T」、固形分80質量%、旭化成ケミカルズ株式会社、ポリイソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネート架橋剤(HMDI))、1分子中のイソシアネート基数:2個
・架橋剤B:商品名「コロネートHL」、固形分75質量%、東ソー株式会社、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物の75%酢酸エチル溶液、1分子中のイソシアネート基数:3個
・フィラー:架橋アクリル中分散粒子、商品名「MX-500」、体積平均粒子径5μm、総研化学株式会社
<評価試験>
作製した離型フィルムを用いて、ハンダボールを有する面に対する剥離性の評価を以下の試験により行った。
具体的には、半導体チップのハンダボール(チップ表面からの最大高さ:210μm)を有する面に離型フィルムの粘着層を貼り付けた状態で、封止材を用いてトランスファーモールドを行った後、離型フィルムを剥離した。
離型フィルムを剥離したときにハンダボールが50μm以上露出した状態であれば「可」とし、ハンダボールが50μm以上露出していない状態であれば「不可」として評価した。結果を表1に示す。
ハンダボールが50μm以上露出している状態とは、離型フィルムを剥離した面においてハンダボールの変形、粘着層の残存等が少なく、ハンダボールの先端が成型後の封止材の表面から50μm以上の高さで出ている状態のことを意味する。
Figure 2023017595000002
表1の結果に示すように、粘着層の厚み比率が4%~30%の範囲内であり、基材層の厚みが75μm以上である実施例の離型シートは、ハンダボールの露出が良好であった。
基材層の厚みが75μm未満である比較例1及び比較例2の離型シート、並びに基材層の厚みが75μm以上であるが粘着層の厚み比率が4%~30%の範囲外である比較例3の離型シートは、実施例に比べてハンダボールの露出が不充分であった。
10:粘着層、20:基材層、30:離型フィルム

Claims (5)

  1. 基材層と、粘着層とを備え、前記粘着層の厚みが前記基材層及び粘着層の合計厚みの4%~30%であり、前記基材層の厚みが75μm以上である、離型フィルム。
  2. 電子部品の凸部を有する面の少なくとも一部を露出させるための、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記粘着層はアクリル系粘着剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の離型フィルム。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の離型フィルムの前記粘着層が電子部品の表面の少なくとも一部に接触した状態で電子部品の周囲を封止する工程と、前記離型フィルムを前記電子部品から剥離する工程と、を備える半導体パッケージの製造方法。
  5. 前記電子部品の前記粘着層が接触する表面の少なくとも一部は凸部を有する、請求項4に記載の半導体パッケージの製造方法。
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