JP2023015665A - 防護柵 - Google Patents
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Abstract
Description
この種の防護柵において、特許文献1,2には隣り合う全ての支柱aの頭部間に鋼管製の上弦材bを連結して掛け渡すことが開示されている(図8(A))。
特許文献3には隣り合う全ての支柱aの頭部間にロープ製の上弦材cを連結して掛け渡すことが開示されている(図8(B))。
<1>高価な鋼管製の上弦材bを多数本使用するため、防護柵の全体コストが嵩む。
<2>鋼管製の上弦材bが重量物であるため、上弦材bの現場搬入性、取扱性および組立性が悪い。
<3>防護柵の全スパンにおいて、スパン単位で受撃荷重Wを受け止められるように設計している。具体的には、ロープ径を太くする等してスパン単位で設置する防護ネットdの強度を高めている。
防護ネットdの強度を高めることは、防護柵のコスト高の要因となるだけでなく、ロープ重量が重たくなって施工性が悪くなる。
<1>複数のロープ製の上弦材cを経由して端末支柱a1へ伝えられた受撃荷重Wは、端末支柱a1の単体の強度および端末支柱a1に連結した端末控えロープeで支持される。
そのため、端末支柱a1を中間支柱a2と比べて断面寸法を大きくして高強度に形成するだけでなく、端末控えロープeを連結するアンカーfもアンカー耐力の高いものを使用しなければならない。
本発明の他の形態において、前記剛枠構造体を1スパンの区間に形成してもよいし、前記剛枠構造体を連続した複数スパンに亘って形成してもよい。
本発明の他の形態において、前記防護ネットが複数の横ロープからなり、前記横横ロープの両端部近くが緩衝装置を介して端部支柱に摺動可能に取り付けてある。
本発明の他の形態において、前記上弦杆が独立した金属製の管体または棒体であり、前記上弦索が独立した金属製または繊維製のロープ材である。
本発明の他の形態において、前記防護柵が落石用防護柵と雪崩予防柵の兼用である。
<1>剛構造の上弦杆と柔構造の上弦索を使い分けすることで、防護柵に連続性を持たせて剛枠構造体と柔枠構造体を形成することができる。
<2>端末支柱と中間支柱の頭部間に必要最低数の上弦杆を架設することで、高耐力で、かつ運動エネルギー吸収性能の大きな剛枠構造体を構築することができる。
<3>防護柵の一部に作用した衝撃力や防護柵の全体に作用する荷重を、端末支柱の単体に支持させる構造ではなく、端末支柱より剛性の大きい剛枠構造体に分散して支持させることができるので、防護柵の防護性能を高めることができる。
<4>全スパンに上弦杆を架設した防護柵と比較して、重たい上弦杆の使用本数を大幅に削減できるので、防護柵の施工性がよくなるだけでなく、資材コストも大幅に削減できる。
<5>全スパンに上弦索を架設した防護柵と比較して、端末支柱と該端末支柱に隣接した中間支柱の荷重負担を軽減できるので、剛枠構造体を構成する支柱の断面寸法を小さくすることができる。
図1を参照して落石用防護柵と雪崩予防用防護柵を兼用する防護柵10について説明する。
本発明が前提とする防護柵10は、間隔を隔てて斜面に立設した複数の支柱20(中間支柱20a、端末支柱20b)と、隣り合う支柱20の間に配置した防護ネット30を有する。
支柱20は中間支柱20aと端末支柱20bからなり、公知の形鋼や鋼管等の鋼材、コンクリート柱、鋼管とコンクリートを複合した充填鋼管を適用できる。
支柱20の立設形態は、支柱20の下部をコンクリート基礎等に傾倒不能に立設してもよいし、現地地盤に直接建て込んで立設してもよい。
また図示を省略するが、各支柱20の頭部を山側アンカーに連結した山側控えロープに支持させてもよい。この場合、山側控えロープの一部に緩衝装置を介装してもよい。
本発明では剛構造の上弦杆25と柔構造の上弦索28を使い分けして設置する。
上弦杆25は防護柵10の左右両側部に位置する支柱20a,20bの頭部間に架設する独立した金属製の管体または棒体である。
上弦杆25は隣り合う支柱20a,20b間に架設可能な全長を有する。
上弦杆25は隣り合う支柱20a,20bの頭部間の荷重伝達部材としての機能と支柱間隔保持機能を有するだけでなく、後述する剛枠構造体11を形成するために機能する。
上弦索28は隣り合う中間支柱20aの頭部間に架設する独立した金属製または繊維製のロープ材である。
上弦索28は隣り合う中間支柱20a間の荷重伝達部材としての機能と支柱間隔保持機能を有していると共に、後述する柔枠構造体12を形成するために機能する。
各上弦索28の両端は中間支柱20aに直接連結してあり、緩衝装置は介装していない。
防護柵10の左右両側部に門型を呈する剛枠構造体11を設ける。
本発明における「剛枠」とは剛性の高い構造体を意味する。
剛枠構造体11は端末支柱20bと、端末支柱20bの近くに位置する単数または複数の中間支柱20aと、これらの支柱20a,20bの頭部間に掛け渡した剛構造の上弦杆25とを具備する。
端末支柱20bと端末支柱20bに隣り合う中間支柱20aとの頭部間では、剛構造の上弦杆25を通じて荷重伝達が可能である。
支柱20a,20bと上弦索28の設置本数を選択することで、剛枠構造体11の耐力(剛性)を調整することができる。
剛枠構造体11を構成する支柱20a,20bと上弦杆25の数に比例して、剛枠構造体11全体としての荷重の分散性能と荷重の吸収性能が高くなる。
剛枠構造体11に位置する複数の支柱20a,20bは荷重に対して協働して抵抗するので、各支柱20a,20bの断面寸法を小さくして低強度にすることが可能である。
防護柵10の剛枠構造体11の形成区間を除いた区間に亘って門型を呈する柔枠構造体12を設ける。
本発明における「柔枠」とは、「剛枠構造体11」と比較して剛性が低い構造体を意味する。
柔枠構造体12は、複数の中間支柱20aと、中間支柱20aの頭部間に掛け渡した柔構造の上弦索28とを具備する。
柔枠構造体12における柔構造の上弦索28が隣り合う中間支柱20a間で荷重を伝達する部材として機能することで、複数の中間支柱20aを柔構造とする。
柔枠構造体12の区間において、上弦杆25を使用せずに柔構造の上弦索28を使用するようにしたのは、資材(上弦材)の重量を軽くして運搬性と取扱性を改善すると共に、資材(上弦材)コストを削減するためである。
防護柵10の両端部に位置する剛枠構造体11,40の形成スパンを除いた残り全てのスパンが柔枠構造体12となる。
柔枠構造体12の形成区間において、剛枠構造体11は介在しない。
剛枠構造体11と柔枠構造体12の境界部に位置する中間支柱20aの頭部には、剛構造の上弦杆25と柔構造の上弦索28の一端がそれぞれ連結していて、剛枠構造体11と柔枠構造体12との間における荷重の伝達が可能である。
防護ネット30は隣り合う複数の支柱20の上下間に取り付けたロープ製のネットである。防護ネット30の上下辺は支柱20の上下部に取り付けてある。
複数の横ロープ31は複数の支柱20に跨って横架可能な全長を有するロープ材であり、中間支柱20aの山側に所定の間隔を隔てて多段的に取り付けてある。
図4を参照して説明すると、各横ロープ31の端部近くには緩衝装置35が取り付けてあって、緩衝装置35を介して各横ロープ31の端部近くが端末支柱20bに連結してある。
横ロープ31のスリップを許容するため、各横ロープ31には緩衝装置35から外部へ延出した範囲に適宜の長さの余長部31aを形成している。
緩衝装置35は横ロープ31の一定以上の張力が作用すると、横ロープ31の摺動を許容し、横ロープ31の摺動抵抗により衝撃エネルギーを吸収する。
支圧板37の板面には複数の孔が開設してあり、これらの孔を通じて支圧板37に横ロープ31と連結ボルト38が挿通可能である。
図1等に示したネット材33は菱形金網等の金属製網材または繊維製網体であり、横ロープ31の配置間隔と比べて小さな網目を有する。
ネット材33は必須の構成資材ではなく、省略する場合もある。
落石用防護柵および雪崩予防用防護柵としての作用について説明する。
防護柵10を構成する柔枠構造体12の阻止面の一部に落石の荷重W1が作用した場合について説明する。
受撃時における剛枠構造体11による衝撃の吸収作用について説明する。
<1.1>横ロープを通じた荷重伝達
衝撃力は防護ネット30を構成する横ロープ31を通じて剛枠構造体11を構成する端部支柱20bに対して縦断方向Xへ向けた張力として伝えられる。
端部支柱20bへ伝えられた張力は、上弦杆25を通じて隣り合う中間支柱20aへ伝えられ、剛枠構造体11の両支柱20a,20bに対して伝えられる。
両支柱20a,20bへ伝えられた張力が、支柱20a,20bの合算した剛性を超えると、支柱20a,20bが一体となって縦断方向Xへ向けて撓み変形または曲げ変形をする際の変形抵抗により衝撃エネルギーが吸収される。
このように、剛枠構造体11の構成する支柱20a,20bの本数と上弦杆25の設置本数を選択することで、支柱頭部の変形量を含めた防護柵全体の変形性能をコントロールすることが可能である。
また受撃時に端末支柱20bが縦断方向Xに向けて変形するが、このときの変形量は、全スパンに柔構造の上弦材(上索索)を設けた防護柵と比べて小さくできる。
受撃時における柔枠構造体12による衝撃の吸収作用について説明する。
柔枠構造体12の阻止面の一部に衝撃が作用すると、受撃スパンに位置する中間支柱20a,20aの頭部が外側(縦断方向Xへ向けて互いに離間する方向)へ向けて変形しようとする。
受撃スパンに位置する中間支柱20a,20aの頭部間に上弦索28が設けられているので、上弦索28が受撃スパンに位置する中間支柱20a,20aの外側へ向けた撓み変形を抑制する。
そのため、受撃スパンに位置する2本の中間支柱20a,20aで荷重を分担して衝撃を吸収することができる。
スパン単位で防護ネット30を取り付けた場合には、受撃スパンに位置する中間支柱20a,20aの頭部が内側(縦断方向Xへ向けて互いに接近する方向)へ向けて変形力が発生する場合がある。
このような場合であっても、受撃スパンに隣り合う各上弦索28の張力が増し、上弦索28を通じて張力が他の中間支柱20aへ連鎖的に伝達される。
剛枠構造体11に伝えられた張力は上弦杆25を通じて複数の支柱20a,20bによって支持して吸収される。
支柱20a,20bの変形抵抗だけでなく、防護ネット30が斜面端側へ変形することで衝撃吸収材が吸収される。
特に、全スパンに剛構造の上弦材(上索杆)を設けた防護柵と比べて、剛枠構造体11に位置する端末支柱20bの縦断方向Xに向けた変形が大きくなるので、防護ネット30に作用する張力を低減できる。
防護柵10の阻止面の全面に土砂や積雪等の面的な荷重W2が作用した場合場合について説明する。
防護柵10の阻止面に土砂や積雪等の面的な荷重W2が作用した場合、柔枠構造体12および剛枠構造体11にを構成する中間支柱20a、端末支柱20bおよび防護ネット30には均等に荷重が作用する。
柔枠構造物を構成する中間支柱20aの撓み変形や、防護ネット30による撓み変形等によって防護柵10の阻止面に作用する面的な荷重W2が吸収される。
阻止面に作用した面的な面的な荷重W2は最終的に防護ネット30を通じて端末支柱20bに伝えられる。
端末支柱20bに伝達された面的な荷重W2は、上弦杆25を通じて隣り合う剛枠構造体11の中間支柱20aに伝達され、剛枠構造体11に位置する複数の支柱20a,20bが一体となって抵抗する。
11・・・・・防護柵の剛枠構造体
12・・・・・防護柵の柔枠構造体
20・・・・・支柱
20a・・・・中間支柱
20b・・・・端末支柱
21・・・・・支柱のフック
25・・・・・上弦杆
28・・・・・上弦索
30・・・・・防護ネット
31・・・・・横ロープ
31a・・・・横ロープの余長部
36・・・・・把持手段
37・・・・・支圧板
38・・・・・連結ボルト
本発明の他の形態において、前記剛枠構造体を1スパンの区間に形成してもよいし、前記剛枠構造体を連続した複数スパンに亘って形成してもよい。
本発明の他の形態において、前記防護ネットが複数の横ロープからなり、前記横ロープの両端部近くが緩衝装置を介して端部支柱に摺動可能に取り付けてある。
本発明の他の形態において、前記上弦杆が独立した金属製の管体または棒体であり、前記上弦索が独立した金属製または繊維製のロープ材である。
本発明の他の形態において、前記防護柵が落石用防護柵と雪崩予防柵の兼用である。
Claims (6)
- 所定の間隔を隔てて立設した複数の中間支柱および端末支柱と、前記中間支柱および端末支柱の間に掛け渡した防護ネットとを有する防護柵であって、
防護柵の左右両側部に形成する構造体であって、端末支柱と該端末支柱に隣り合う単数または複数の中間支柱と、該端末支柱と中間支柱の頭部間に架設した剛構造の上弦杆とにより構成する剛枠構造体と、
前記剛枠構造体の間に位置する構造体であって、複数の中間支柱と、該中間支柱の頭部間にスパン単位で架設した柔構造の上弦索とにより構成する柔枠構造体からなり、
中間支柱の頭部に連結した剛構造の上弦杆および柔構造の上弦索を通じて前記剛枠構造体と柔枠構造体との間で荷重を伝達可能に構成したことを特徴とする、
防護柵。 - 前記剛枠構造体を1スパンの区間に形成したことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 前記剛枠構造体を連続した複数スパンに亘って形成したことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 前記防護ネットが複数の横ロープからなり、前記横横ロープの両端部近くが緩衝装置を介して端部支柱に摺動可能に取り付けてあることを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 前記上弦杆が独立した金属製の管体または棒体であり、前記上弦索が独立した金属製または繊維製のロープ材であることを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 前記防護柵が落石用防護柵と雪崩予防柵の兼用であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載の防護柵。
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