JP2023014870A - ピストンブーツ及びディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熟練を要することなく、誤組み付けを防止できるピストンブーツを実現する。【解決手段】ピストンブーツ7を、キャリパボディ3に備えられた環状段部22に内嵌される大径嵌合部39と、ピストン4に外嵌される小径嵌合部40と、大径嵌合部39と小径嵌合部40とをつなぐ蛇腹部41とから構成する。大径嵌合部39には、軸方向一方側に向けて伸長した第1サイドリップ44と、軸方向他方側に向けて伸長した第2サイドリップ45とを設け、第1サイドリップ44と第2サイドリップ45との一方を、環状段部22を構成する環状側面24に弾性的に接触させ、第1サイドリップ44と第2サイドリップ45との他方をダミーリップとする。【選択図】図13

Description

本発明は、ピストンブーツ及びディスクブレーキ装置に関する。
自動車用のディスクブレーキ装置としては、フローティング型と対向ピストン型との2種類の構造が広く知られている。いずれの構造の場合にも、ディスクブレーキ装置は、1対のパッドを、車輪とともに回転するロータの側面に押し付けることで、自動車の制動を行う。このようなディスクブレーキ装置においては、パッドをロータに向けて押圧するためのピストンと、ピストンを嵌装したシリンダ孔との間に、異物が侵入するのを防止するために、ピストンブーツを設けることが従来から行われている。
図27及び図28は、特開2014-126193号公報(特許文献1)に記載された、従来構造のディスクブレーキ装置100を示している。
ディスクブレーキ装置100は、フローティング型のディスクブレーキ装置であり、サポート101と、キャリパボディ102と、ピストン103と、ピストンブーツ104と、インナ、アウタ両パッド105、106とを備える。
サポート101は、車輪とともに回転するロータ107の軸方向内側に隣接して配置され、車体を構成するナックルなどの懸架装置に固定される。なお、軸方向とは、特に断らない限り、ロータ107の軸方向をいう。ディスクブレーキ装置100を車体に取り付けた状態で、車体の幅方向外側を軸方向外側といい、車体の幅方向中央側を軸方向内側という。
キャリパボディ102は、軸方向外側部に二股状の爪部108を、軸方向内側部にシリンダ部109をそれぞれ有している。シリンダ部109は、軸方向外側に開口したシリンダ孔110を備えている。また、シリンダ部109は、シリンダ孔110の開口部の周囲に、シリンダ孔110よりも大きな内径を有する環状段部111を備えている。キャリパボディ102は、図示しない1対のピンを利用して、サポート101に対し軸方向に関する移動を可能に支持されている。
ピストン103は、有底円筒形状を有しており、軸方向に関する移動可能にシリンダ孔110に嵌装されている。
ピストンブーツ104は、環状段部111に内嵌されるとともに、ピストン103のうちでシリンダ孔110から突出した部分に外嵌され、シリンダ孔110とピストン103との間を密封する。
ピストンブーツ104は、環状段部111に内嵌される大径嵌合部112と、ピストン103に外嵌される小径嵌合部113と、大径嵌合部112と小径嵌合部113とをつなぐ蛇腹部114とを備える。
大径嵌合部112は、軸方向内側に向けて伸長したサイドリップ115を有する。サイドリップ115の先端部は、環状段部111の内面のうち、ロータ107に対向した環状側面116に弾性的に接触している。これにより、ピストンブーツ104による密封性能を高めている。
インナパッド105は、ロータ107の軸方向内側に配置されており、サポート101に対して軸方向に関する移動を可能に支持されている。これに対し、アウタパッド106は、ロータ107の軸方向外側に配置されており、キャリパボディ102を構成する爪部108の軸方向内側面に支持されている。
制動を行う際には、マスタシリンダからシリンダ孔110へと圧油を送り込み、ピストン103によりインナパッド105を、ロータ107の軸方向内側面に押し付ける。すると、この押し付け力の反作用としてキャリパボディ102が、サポート101に対して、図27の右側へと移動し、爪部108がアウタパッド106を、ロータ107の軸方向外側面に押し付ける。この結果、ロータ107が軸方向両側から強く挟持されて制動が行われる。
特開2014-126193号公報
特開2014-126193号公報に記載された従来構造のピストンブーツ104は、軸方向内側に向けて伸長するサイドリップ115のみを備えているため、組み付けに関して方向性がある。また、ピストンブーツ104の組み付け作業は、表面にグリースを塗布した状態で行われる場合が多い。このため、ピストンブーツ104の表裏の判別がつきにくく、ピストンブーツ104を、正規の向きとは逆向き(表裏反対)に組み付ける、誤組み付けが生じやすくなる。
誤組み付けが生じた場合、サイドリップ115は、環状側面116とは反対側へと伸長することになり、密封機能を発揮しないため、ピストンブーツ104による密封性能が不足する可能性がある。この結果、シリンダ孔110とピストン103との間に、ダストや水分などの異物が侵入する可能性がある。
このため、ピストンブーツの組み付け作業には、ピストンブーツの表裏を判別できるだけの熟練が必要になる。また、従来から、ピストンブーツの組み付け工程に、誤組み付けを防止するための検査工程を設けるなどの対策が取られており、ディスクブレーキ装置の製造コスト上昇の原因になる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、熟練を要することなく、誤組み付けを防止できるピストンブーツ、及び、このようなピストンブーツを備えたディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるピストンブーツは、ディスクブレーキ装置を構成するキャリパボディに備えられたシリンダ孔と、該シリンダ孔に嵌装されたピストンとの間を密封するためのものであり、大径嵌合部と、小径嵌合部と、蛇腹部と、を備える。
前記大径嵌合部は、前記キャリパボディのうちで前記シリンダ孔の開口部の周囲に位置する部分に備えられ、かつ、前記シリンダ孔よりも大きな内径を有する環状段部に内嵌される。
前記小径嵌合部は、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌される。
前記蛇腹部は、前記大径嵌合部と前記小径嵌合部とをつなぐ。
前記大径嵌合部は、軸方向一方側に向けて伸長した第1サイドリップと、軸方向他方側に向けて伸長した第2サイドリップとを有している。
また、前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記第1サイドリップと前記第2サイドリップとのうちの一方は、前記環状段部の内面のうちでロータと対向する環状側面に弾性的に接触し、かつ、前記第1サイドリップと前記第2サイドリップとのうちの他方は、相手部材に接触せず、密封機能を発揮しないダミーリップとなる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記第1サイドリップの断面形状と前記第2サイドリップの断面形状とを、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、線対称とすることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記大径嵌合部の外周面の断面輪郭形状を、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、線対称な形状とすることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記小径嵌合部の断面形状を、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、略線対称な形状とすることができる。
この場合には、前記小径嵌合部の断面形状を、前記蛇腹部から離れるほど先細りになった、くさび形とすることができる。
この場合にはさらに、前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記小径嵌合部を、先端部が前記ロータ側に向くように傾けた状態で、前記ピストンに外嵌することができる。
あるいは、前記小径嵌合部の断面形状を、略円形とすることができる。
この場合には、前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記小径嵌合部は、断面円弧形状のシール面を前記ピストンの外周面に対して接触させることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記第1サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の1つの第1リップ片から構成し、前記第2サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の1つの第2リップ片から構成することができる。
あるいは、前記第1サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の複数の第1リップ片を径方向に離隔して配置して構成し、前記第2サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の複数の第2リップ片を径方向に離隔して配置して構成することができる。
あるいは、前記第1サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい厚肉状の1つの第1リップ片から構成し、前記第2サイドリップを、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい厚肉状の1つの第2リップ片から構成することができる。
この場合には、前記第1リップ片及び前記第2リップ片のそれぞれの軸方向先端面の断面形状を、波形とすることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記大径嵌合部の内部に、円環形状を有する補強部材を備えることができる。
この場合には、前記補強部材を、金属製とすることもできるし、合成樹脂製とすることもできる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記補強部材を、軸方向一方側の端部と軸方向他方側側の端部とに、円周方向に関して交互に切り欠きが備えられたものとすることができる。
この場合には、前記切り欠きを、円周方向に関して等間隔に備えることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記大径嵌合部の表面に、前記補強部材にまで達する複数の小孔を備えることができる。
この場合には、前記小孔を、前記大径嵌合部の外周面に開口させることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記大径嵌合部の外周面の軸方向中間部に、径方向外側に突出した環状凸部を設けることができる。
この場合には、前記小孔を、前記環状凸部の外周面に開口させることができる。
本発明の一態様にかかるピストンブーツでは、前記大径嵌合部の外周面の軸方向両側部に、径方向外側に突出した環状凸部を設けることができる。
この場合には、前記小孔を、前記大径嵌合部の外周面のうち、1対の前記環状凸部の間部分に開口させることもできる。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置は、パッドと、キャリパボディと、ピストンと、ピストンブーツと、を備える。
前記キャリパボディは、ロータの軸方向に関して前記パッドに近い側に開口部が備えられたシリンダ孔、及び、前記シリンダ孔の前記開口部の周囲に配置されかつ前記シリンダ孔よりも大きな内径の環状段部をそれぞれ有する。
前記ピストンは、前記シリンダ孔に嵌装され、前記パッドを前記ロータに向けて押圧する。
前記ピストンブーツは、前記環状段部に内嵌されるとともに、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌され、前記シリンダ孔と前記ピストンとの間を密封する。
前記環状段部の内面は、前記ロータと対向する環状側面を含んで構成される。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記ピストンブーツを、本発明の一態様にかかるピストンブーツとすることができる。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記環状段部の内面を、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面とを含んで構成し、前記嵌合面を、軸方向中間部に径方向外側に向けて凹んだ環状凹部を有するものとすることができる。
そして、前記ピストンブーツとして、本発明の一態様にかかるピストンブーツのうち、前記大径嵌合部の外周面の軸方向中間部に、径方向外側に突出した環状凸部を有するものを使用し、前記環状凸部を、前記環状凹部に対して凹凸嵌合させることができる。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記環状段部の内面を、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面と、前記嵌合面よりも前記ロータに近い側に配置され、かつ、前記ロータの軸方向に関して前記嵌合面から離れるほど内径が大きくなった傾斜面とを含んで構成し、前記嵌合面を、軸方向中間部に径方向外側に向けて凹んだ環状凹部を有するものとすることができる。
そして、前記ピストンブーツとして、本発明の一態様にかかるピストンブーツのうち、前記大径嵌合部の外周面の軸方向両側部に、径方向外側に突出した環状凸部を有すものを使用し、1対の前記環状凸部のうち、前記ロータに近い側に配置された一方の環状凸部を、前記傾斜面に対して弾性的に押し付け、かつ、前記ロータから遠い側に配置された他方の環状凸部を、前記環状凹部に対して凹凸嵌合させることができる。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記環状段部の内面を、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面とを含んで構成し、前記ピストンブーツを、本発明の一態様にかかるピストンブーツのうち、前記小孔を前記大径嵌合部の外周面に開口したものを使用し、前記小孔の開口部を、前記嵌合面により塞ぐことができる。
本発明によれば、熟練を要することなく、誤組み付けを防止できるピストンブーツ、及び、該ピストンブーツを備えたディスクブレーキ装置を実現できる。
図1は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置を、軸方向外側から見た正面図である。 図2は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置を、軸方向内側から見た背面図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置を、図1の右側から見た側面図である。 図4は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置を、径方向内側(図2の下側)から見た底面図である。 図5は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置を、径方向内側かつ軸方向外側から見た斜視図である。 図6は、図5から1対のパッドを省略して示す図である。 図7は、実施の形態の第1例にかかるディスクブレーキ装置からサポート及び1対のパッドを省略して示す、図1のA-A線断面に相当する図である。 図8は、図6からサポートを省略して示す図である。 図9は、図7からピストンブーツを省略して示す図である。 図10は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツを示す、正面図(軸方向から見た図)である。 図11は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツを示す、側面図(径方向外側から見た図)である。 図12は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツを示す、斜視図である。 図13は、図10のB-B線断面図である。 図14は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツから補強部材を取り出し、径方向外側から見た拡大図である。 図15は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツを製造するために、図示しないキャビティ内に補強部材をピンにより支持した状態を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。 図16は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツを製造するために、図示しないキャビティ内に補強部材をピンにより支持した状態を示す斜視図である。 図17(A)は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツの第1の向きでの組み付け状態を示す断面図であり、図17(B)は、実施の形態の第1例にかかるピストンブーツの第2の向きでの組み付け状態を示す断面図である。 図18は、実施の形態の第2例を示す、図13に相当する図である。 図19は、実施の形態の第2例を示す、図17に相当する図である。 図20は、実施の形態の第3例を示す、図13に相当する図である。 図21は、実施の形態の第3例を示す、図17に相当する図である。 図22は、実施の形態の第4例を示す、図13に相当する図である。 図23は、実施の形態の第4例を示す、図17に相当する図である。 図24は、実施の形態の第5例にかかるピストンブーツの2例を示す断面図であり、(A)は、環状凸部を1つだけ備えるタイプのピストンブーツを示し、(B)は環状凸部を2つ備えるタイプのピストンブーツを示す。 図25は、実施の形態の第6例にかかるピストンブーツの2例を示す断面図であり、(A)は、環状凸部を1つだけ備えるタイプのピストンブーツを示し、(B)は環状凸部を2つ備えるタイプのピストンブーツを示す。 図26は、実施の形態の第7例にかかるピストンブーツの2例を示す断面図であり、(A)は、環状凸部を1つだけ備えるタイプのピストンブーツを示し、(B)は環状凸部を2つ備えるタイプのピストンブーツを示す。 図27は、従来構造のディスクブレーキ装置を示す断面図である。 図28は、図27の部分拡大図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1~図17を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7は、実質的に表裏のない断面形状を有しており、組み付け方向に関係なく、同程度の密封機能を発揮する。
以下、本例のピストンブーツ7の構造について詳しく説明する前に、図1~図9を用いて、ディスクブレーキ装置1の全体構造について説明する。次いで、図10~図16を用いて、ピストンブーツ7の自由状態での各部の構造及び製造方法を説明する。その後、図17を用いて、ピストンブーツ7を、第1の向きで組み付けた場合と、第1の向きとは逆向きの第2の向きで組み付けた場合について、それぞれ説明する。
ディスクブレーキ装置1に関する以下の説明において、軸方向、径方向及び周方向とは、特に断らない限り、車輪とともに回転する円板状のロータ8(図3参照)の軸方向、径方向及び周方向をいう。一方、ピストンブーツ7に関する説明において、軸方向、径方向及び周方向とは、特に断らない限り、ピストンブーツ7に関する各方向をいう。なお、ピストンブーツ7の組み付け状態で、ピストンブーツ7の軸方向とロータ8の軸方向とは互いに一致する。また、ディスクブレーキ装置1を車体に取り付けた状態で、車体の幅方向外側を軸方向外側といい、車体の幅方向内側を軸方向内側という。また、ディスクブレーキ装置1の周方向中央側を周方向内側といい、ディスクブレーキ装置1の周方向両側を周方向外側という。
〔ディスクブレーキ装置の構造説明〕
本例のディスクブレーキ装置1は、フローティング型のディスクブレーキ装置であり、サポート2と、キャリパボディ3と、ピストン4と、インナ、アウタ両パッド5、6と、ピストンブーツ7とを備える。
〈サポート〉
サポート2は、鋳鉄などの鉄系合金の鋳造品であり、ロータ8の軸方向内側に配置されたサポート基部9と、ロータ8の軸方向外側に配置された外側連結部10と、これらサポート基部9の周方向両外側の端部と外側連結部10の周方向両外側の端部とをそれぞれ軸方向に連結する1対の連結腕部11a、11bとを備えている。サポート2は、サポート基部9の径方向内側部に形成された複数(図示の例では2つ)の取付孔12を利用して、車体を構成する懸架装置に固定される。
〈キャリパボディ〉
キャリパボディ3は、アルミニウム系合金製又は鉄系合金製で、逆U字形状を有している。キャリパボディ3は、軸方向外側部に爪部13を有しており、軸方向内側部にシリンダ部14を有している。また、キャリパボディ3は、ロータ8の径方向外側に配置され、かつ、爪部13とシリンダ部14とを軸方向に連結するブリッジ部15を有している。
シリンダ部14は、シリンダ本体16と、該シリンダ本体16から周方向両外側にそれぞれ伸長した1対のシリンダ腕部17a、17bとを備えている。シリンダ本体16は、有底円筒形状を有しており、内側に略円柱状の空間であるシリンダ孔18を有している。シリンダ孔18は、軸方向外側には開口しているが、軸方向内側の開口は底部19によって塞がれている。
図7及び図9に示すように、シリンダ孔18は、内周面の軸方向中間部に、シール溝20を全周にわたり有している。シール溝20には、円環形状を有するピストンシール21が装着されている。ピストンシール21は、シリンダ孔18に導入される圧油(ブレーキオイル)が漏出するのを防止する役割と、制動力を解除した際に、ピストン4を軸方向内側へと戻す(ロールバックさせる)役割を有する。
シリンダ本体16は、シリンダ孔18の開口部の周囲に、シリンダ孔18よりも大きな内径を有する環状段部22を有している。環状段部22の内面は、ピストンブーツ7が内嵌される嵌合面23と、環状側面24と、傾斜面25とを含んで構成される。
嵌合面23は、円筒面状に構成されており、軸方向中間部に、径方向外側に向けて凹んだ環状凹部26を有する。シリンダ孔18の中心軸を含む仮想平面に関する環状凹部26の断面形状は、凹円弧形である。環状凹部26は、嵌合面23に内嵌されるピストンブーツ7の軸方向の位置決めを図るのに利用される。
環状側面24は、嵌合面23の軸方向内側に隣接配置されており、軸方向に関してロータ8と対向している。環状側面24は、シリンダ孔18の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。環状側面24の径方向内側の端部は、シリンダ孔18の開口縁部につながっている。
傾斜面25は、嵌合面23の軸方向外側に隣接配置されており、軸方向に関して嵌合面23から離れるほど内径が大きくなる方向に傾斜している。図示の例では、傾斜面25のシリンダ孔18の中心軸に対する傾斜角度は、20度程度である。
キャリパボディ3は、サポート2に対し軸方向に関する移動を可能に支持されている。このために、シリンダ部14を構成する1対のシリンダ腕部17a、17bに、それぞれガイドピン27a、27bの軸方向内側の端部を固定し、ガイドピン27a、27bの軸方向外側の端部乃至中間部を、サポート2に形成した1対の案内孔の内側に、軸方向に関する相対変位を可能に挿入している。また、ガイドピン27a、27bの外周面と案内孔の開口部との間に、ブーツ28a、28bを架け渡すように配置している。
〈ピストン〉
ピストン4は、たとえばS10CやS45Cなどの炭素鋼製又は樹脂製で、有底円筒状に構成されている。ピストン4は、シリンダ孔18の内側に、軸方向に関する移動を可能に嵌装されている。ピストン4は、円筒部29と、円筒部29の軸方向内側の開口部を塞いだ底板部30とからなる。
円筒部29の外周面は、段付き円筒面に構成されている。円筒部29は、外周面の軸方向外側の端部に小径部31を有し、外周面の軸方向中間部から内側の端部にわたる範囲に、小径部31よりも大きな外径を有する大径部32を有する。小径部31は、円筒部29の外周面のうちで、非制動時の状態においても、シリンダ孔18から軸方向外側に突出した部分に備えられている。小径部31と大径部32との間には、軸方向外側を向いた段差面33が備えられている。段差面33は、ピストン4の中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面である。
小径部31は、軸方向内側の半部に、ピストンブーツ7を外嵌するためのピストン凹部34を全周にわたり備えている。ピストン4の中心軸を含む仮想平面に関するピストン凹部34の断面形状は、矩形状である。
〈インナパッド及びアウタパッド〉
インナパッド5及びアウタパッド6は、ロータ8の軸方向両側に配置されている。具体的には、インナパッド5は、ロータ8の軸方向内側に配置されており、サポート基部9に対して軸方向に関する変位を可能に支持されている。また、アウタパッド6は、ロータ8の軸方向外側に配置されており、外側連結部10に対して軸方向に関する変位を可能に支持されている。
インナパッド5及びアウタパッド6のそれぞれは、ライニング(摩擦材)35と、該ライニング35の裏面を支持した金属製の裏板(プレッシャプレート)36とを備えている。
〈ピストンブーツ〉
ピストンブーツ7は、キャリパボディ3に備えられた環状段部22とピストン4の軸方向外側の端部との間に掛け渡すように取り付けられ、シリンダ孔18とピストン4との間を密封する。
〔ディスクブレーキ装置の動作説明〕
本例のディスクブレーキ装置1により制動を行うには、キャリパボディ3のシリンダ孔18にマスタシリンダから圧油を導入する。これにより、ピストン4を軸方向外側に向けて押し出す。そして、ピストン4によりインナパッド5を、ロータ8の軸方向内側面に押し付け、キャリパボディ3をサポート2に対して軸方向内側に移動させる。これにより、キャリパボディ3の爪部13を介して、アウタパッド6を、ロータ8の軸方向外側面に押し付ける。この結果、ロータ8が軸方向両側から強く挟持されて制動が行われる。
制動解除時には、キャリパボディ3のシリンダ孔18から圧油を排出する。これにより、ピストン4に外嵌したピストンシール21の弾性復元力によって、ピストン4をシリンダ孔18の奥側(軸方向内側)へと引き戻し(ロールバックし)、インナパッド5とロータ8の軸方向内側面との間のクリアランスを確保する。この結果、キャリパボディ3がサポート2に対して軸方向外側へとわずかに移動し、アウタパッド6とロータ8の軸方向外側面との間にもクリアランスが確保される。
〔ピストンブーツの詳細構造〕
以下、図10~図13を用いて、ディスクブレーキ装置1に組み付ける以前の自由状態での、ピストンブーツ7の各部の構造を説明する。また、以下の説明中、ピストンブーツ7の構成各部に関する断面形状は、ピストンブーツ7の中心線Oを含む仮想平面に関する断面形状をいう。
ピストンブーツ7は、ゴムや合成樹脂などの弾性材製のブーツ本体37と、ブーツ本体37に埋設された金属製又は樹脂製の補強部材38とにより構成されている。ピストンブーツ7は、モールド成形により、全体が円環状に一体的に構成されている。
〈ブーツ本体〉
ブーツ本体37は、環状段部22の嵌合面23に内嵌される大径嵌合部39と、ピストン4のピストン凹部34に外嵌される小径嵌合部40と、大径嵌合部39と小径嵌合部40とをつなぐ蛇腹部41とを有する。
ブーツ本体37の断面輪郭形状は、自由状態で、蛇腹部41を除き、ピストンブーツ7の中心線Oに対して直交し、かつ、大径嵌合部39の軸方向中央部を通る対称線αに関して、線対称な形状を有している。
《大径嵌合部》
大径嵌合部39は、ピストンブーツ7の径方向外側部に備えられており、内部に補強部材38を有する。大径嵌合部39は、全体が円環状に構成されており、略矩形の断面形状を有している。大径嵌合部39の断面輪郭形状は、外周面を含む全体が、前記対称線αに関して線対称な形状を有している。
大径嵌合部39は、外周面の軸方向中央部に、径方向外側に向けて突出した環状凸部42を全周にわたり有する。環状凸部42は、凸円弧形の断面形状を有する。
大径嵌合部39は、円周方向の複数個所(本例では8個所)に、径方向に伸長した小孔43を有する。小孔43は、円周方向に関して等間隔に備えられている。小孔43の径方向外側の端部は、大径嵌合部39の外周面のうち、軸方向中央部に備えられた環状凸部42の外周面に開口している。小孔43の径方向内側の端部は、大径嵌合部39の内部に備えられた補強部材38にまで達している。小孔43は、径方向内側に向かうほど軸方向他方側に向かう方向に傾斜している。小孔43は、後述するように、ピストンブーツ7をモールド成形により製造する際に、金型のキャビティ内に補強部材38を支持するピン58によって形成される痕跡孔である。
大径嵌合部39は、軸方向に関して一方側(図11及び図13の右側)に向けて伸長した第1サイドリップ44と、軸方向に関して他方側(図11及び図13の左側)に向けて伸長した第2サイドリップ45とを有する。すなわち、大径嵌合部39は、軸方向両側に向けて伸長した1対のサイドリップ44、45を備える。
第1サイドリップ44は、径方向厚さが軸方向長さの70%以下(図示の例では40%程度)の薄肉状で、かつ、円すい筒形状の1つの第1リップ片46からなる。第2サイドリップ45は、径方向厚さが軸方向長さの70%以下(図示の例では40%程度)の薄肉状で、かつ、円すい筒形状の1つの第2リップ片47からなる。
第1リップ片46は、大径嵌合部39の軸方向一方側の側面の径方向内側の端部に備えられている。第1リップ片46は、軸方向一方側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜している。これに対し、第2リップ片47は、大径嵌合部39の軸方向他方側の側面の径方向内側の端部に備えられている。第2リップ片47は、軸方向他方側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜している。
第1サイドリップ44の断面形状と第2サイドリップ45の断面形状とは、前記対称線αに関して線対称である。つまり、第1サイドリップ44を構成する第1リップ片46と、第2サイドリップ45を構成する第2リップ片47とは、同形かつ同大であり、軸方向に関する伸長方向のみが逆向きである。このため、第1リップ片46と第2リップ片47とは、軸方向長さ、径方向厚さ、外径及び内径などの各部の寸法が互いに等しい。
大径嵌合部39は、内周面の軸方向中央部が、蛇腹部41の径方向外側の端部に接続されている。大径嵌合部39と蛇腹部41とをつなぐ大径側接続部48は、前記対称線α上に存在する。
《小径嵌合部》
小径嵌合部40は、全体が円環状に構成されており、ピストンブーツ7の径方向内側部に備えられている。ピストンブーツ7の自由状態で、小径嵌合部40は、外周面の軸方向中央部が、蛇腹部41の径方向内側の端部に接続されている。小径嵌合部40と蛇腹部41とをつなぐ小径側接続部49は、前記対称線α上に存在する。
小径嵌合部40は、蛇腹部41から離れる、すなわち径方向内側に向かうほど、先細りになった、くさび形(等脚台形)の断面形状を有している。小径嵌合部40の断面形状は、径方向全体が、前記対称線αに関して線対称な形状を有している。小径嵌合部40は、径方向内側の端部に、先端面50を有している。また、小径嵌合部40は、軸方向一方側の側面に、テーパ状の第1シール面51を有しており、軸方向他方側の側面に、テーパ状の第2シール面52を有している。小径嵌合部40は、径方向中間部に、くびれ部53を有している。このため、第1シール面51及び第2シール面52のそれぞれは、くびれ部53により2分割されている。
《蛇腹部》
蛇腹部41は、伸縮可能に構成されており、大径嵌合部39と小径嵌合部40との相対変位を許容する。具体的には、大径嵌合部39に対する小径嵌合部40の移動を許容する。
蛇腹部41は、軸方向一方側に向かって凸状に屈曲する複数(図示の例では2つ)の第1屈曲部54a、54bと、軸方向他方側に向かって凸状に屈曲する複数(図示の例では2つ)の第2屈曲部55a、55bとを有する。第1屈曲部54a、54bと第2屈曲部55a、55bとは、径方向に関して交互に備えられている。本例では、径方向外側から径方向内側に向け、第2屈曲部55a、第1屈曲部54a、第2屈曲部55b、第1屈曲部54bの順に備えられている。
2つの第1屈曲部54a、54bのそれぞれの頂部の軸方向位置は、互いに略同じである。径方向内側に配置された第2屈曲部55bの頂部は、径方向外側に配置された第2屈曲部55aの頂部よりも少しだけ軸方向他方側に位置している。また、前記対称線αから第1屈曲部54a、54bの頂部までの軸方向距離と、前記対称線αからの第2屈曲部55a、55bの頂部までの軸方向距離とは、互いに略同じである。
〈補強部材〉
補強部材38は、金属製又は樹脂製で、全体として円環形状を有している。補強部材38は、略矩形状の断面形状を有している。補強部材38は、図14に示すように、軸方向一方側の端部と軸方向他方側の端部とに、円周方向に関して交互に切り欠き57を備えている。切り欠き57は、円周方向に関して等間隔に備えられている。切り欠き57は、大径嵌合部39に備えられた小孔43と、円周方向に関して同じ位置に配置されている。切り欠き57は、径方向視で、略三角形状を有する。切り欠き57は、後述するように、金型のキャビティ内に補強部材38を支持するために、ピン58の先端部を係止(掛止)させるのに利用する。
〔ピストンブーツの製造方法〕
本例のピストンブーツ7を製造するには、図15及び図16に示すように、複数本(図示の例では8本)のピン58を利用して、補強部材38を図示しないモールド成形用の金型のキャビティ内に支持する。具体的には、キャビティ内に放射状に配置されたピン58のそれぞれの先端部に、補強部材38の軸方向一方側の端部又は軸方向他方側の端部に備えられた切り欠き57を係止させることで、キャビティ内に補強部材38を支持する。そして、ブーツ本体37の材料となるゴムや合成樹脂などの弾性材を、キャビティ内に注入し固化させることで、ピストンブーツ7を製造する。このため、ピストンブーツ7を構成する大径嵌合部39には、ピン58の痕跡孔である小孔43が複数形成される。なお、ピストンブーツ7を製造する際に、ピン58を用いずに、キャビティ内に補強部材38を支持する構成を採用すれば、大径嵌合部39から小孔43を省略することができる。
本例のピストンブーツ7は、表面にグリースを塗布した状態で、キャリパボディ3の環状段部22とピストン4との間に掛け渡すように組み付けられる。ピストンブーツ7の組み付け作業は、環状段部22に内嵌する作業を行った後に、ピストン4に外嵌する作業を行うこともできるし、反対に、ピストン4に外嵌する作業を行った後に、環状段部22に内嵌する作業を行うこともできる。また、ピストンブーツ7の組み付け作業は、作業者が手作業により行うこともできるし、自動機を利用して、自動で行うこともできる。
〔ピストンブーツの第1の向きでの組み付け状態〕
本例のピストンブーツ7は、図17(A)に示すように、第1の向きでの組み付け状態で、第1サイドリップ44が備えられた軸方向一方側を、軸方向内側(反ロータ8側、図17(A)の右側)に向け、かつ、第2サイドリップ45が備えられた軸方向他方側を、軸方向外側(ロータ8側、図17(A)の左側)に向けて、キャリパボディ3の環状段部22とピストン4の軸方向外側の端部との間に掛け渡すように組み付けられる。
具体的には、大径嵌合部39の外周面を、環状段部22の内面を構成する嵌合面23に対して圧入により内嵌する。これにより、大径嵌合部39の外周面と嵌合面23との間を、全周にわたり密封する。また、大径嵌合部39の外周面に備えられた環状凸部42を、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させる。これにより、キャリパボディ3に対するピストンブーツ7の軸方向の位置決めを図る。また、小孔43の径方向外側の開口部を、嵌合面23によって塞ぐ。
また、第1サイドリップ44を構成する第1リップ片46の先端部を、環状段部22の内面を構成する環状側面24に対して、弾性的に締め代を持って接触させる。これにより、ピストンブーツ7と環状側面24との間を、全周にわたり密封する。図17(A)には、第1サイドリップ44の自由状態での形状を破線で示しており、第1サイドリップ44の弾性変形後の形状を実線で示している。
一方、第2サイドリップ45を構成する第2リップ片47は、ピストンブーツ7を第1の向きで組み付けた状態で、相手部材に接触せず、密封機能を発揮しないダミーリップ(予備リップ)となる。ただし、第2リップ片47は、インナパッド5の交換時に、インナパッド5を構成する裏板36の外周縁部から、蛇腹部41を保護する機能を発揮する。
小径嵌合部40を、ピストン4を構成する円筒部29の外周面に備えられたピストン凹部34に対して締り嵌めで外嵌する。本例では、小径嵌合部40は、先端部(先端面50)が軸方向外側(ロータ8側)に向くように傾いた(倒れた)状態で、ピストン4に外嵌される。そして、小径嵌合部40に備えられた第1シール面51を、ピストン凹部34の底面に対して全周にわたり接触させる。これにより、小径嵌合部40とピストン凹部34との間を、全周にわたり密封する。
〔ピストンブーツの第2の向きでの組み付け状態〕
次に、本例のピストンブーツ7を、第2の向きで組み付けた場合について、図17(B)を用いて説明する。なお、図17(B)は、ピストンブーツ7の向きは変えずに、ディスクブレーキ装置1の向きを、前記図17(A)に示した場合とは左右反対にした場合を示しているが、これは、ディスクブレーキ装置1の向きを変えずに、ピストンブーツ7の向きを逆向きに(表裏反対に)組み付けたのと同じ意味である。
本例のピストンブーツ7は、第2の向きでの組み付け状態で、第1サイドリップ44が備えられた軸方向一方側を、軸方向外側(ロータ8側、図17(B)の右側)に向け、かつ、第2サイドリップ45が備えられた軸方向他方側を、軸方向内側(反ロータ8側、図17(B)の左側)に向けて、キャリパボディ3の環状段部22とピストン4の軸方向外側の端部との間に掛け渡すように組み付けられる。
具体的には、大径嵌合部39の外周面を、環状段部22の内面を構成する嵌合面23に対して圧入により内嵌する。これにより、大径嵌合部39の外周面と嵌合面23との間を、全周にわたり密封する。また、大径嵌合部39の外周面に備えられた環状凸部42を、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させる。これにより、キャリパボディ3に対するピストンブーツ7の軸方向の位置決めを図る。また、小孔43の径方向外側の開口部を、嵌合面23(環状凹部26)によって塞ぐ。
また、第2サイドリップ45を構成する第2リップ片47の先端部を、環状段部22の内面を構成する環状側面24に対して、弾性的に締め代を持って接触させる。これにより、ピストンブーツ7と環状側面24との間を、全周にわたり密封する。
一方、第1サイドリップ44を構成する第1リップ片46は、ピストンブーツ7を第2の向きで組み付けた状態で、相手部材に接触せず、密封機能を発揮しないダミーリップとなる。ただし、第1リップ片46は、インナパッド5の交換時に、インナパッド5を構成する裏板36の外周縁部から、蛇腹部41を保護する機能を発揮する。
小径嵌合部40を、ピストン4を構成する円筒部29の外周面に備えられたピストン凹部34に対して締り嵌めで外嵌する。本例では、小径嵌合部40は、先端面50が軸方向外側(ロータ8側)を向くように傾いた(倒れた)状態で、ピストン4に外嵌される。そして、小径嵌合部40に備えられた第2シール面52を、ピストン凹部34の底面に対して全周にわたり接触させる。これにより、小径嵌合部40とピストン凹部34との間を、全周にわたり密封する。
以上のような本例のピストンブーツ7によれば、熟練を要することなく、誤組み付けを防止できる。
すなわち、本例のピストンブーツ7は、軸方向一方側に向けて伸長した第1サイドリップ44だけでなく、軸方向他方側に向けて伸長した第2サイドリップ45も備えている。このため、ピストンブーツ7を、表裏関係なく、すなわち軸方向の組み付け方向を気にすることなく組み付けた場合にも、第1サイドリップ44又は第2サイドリップ45のいずれかを、環状側面24に対して弾性的に接触させることができる。したがって、本例のピストンブーツ7によれば、組み付け方向に関係なく、密封性能を確保することができる。この結果、本例のピストンブーツ7によれば、熟練を要することなく、誤組み付けを防止できる。これにより、ピストンブーツ7の組み付け工程から、誤組み付けを防止するための検査工程を省略することも可能になり、ディスクブレーキ装置1の製造コストの低減を図ることもできる。
また、大径嵌合部39の外周面の軸方向中央部に備えられた環状凸部42を、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させることで、キャリパボディ3に対するピストンブーツ7の軸方向の位置決めを図ることができる。このため、第1サイドリップ44及び第2サイドリップ45の締め代を管理しやすくなる。したがって、ピストンブーツ7を第1の向きと第2の向きに組み付けた場合の、ピストンブーツ7の密封性能を同程度に規制しやすくなる。
本例では、ブーツ本体37の断面輪郭形状を、自由状態で、蛇腹部41を除き、前記対称線αに関して線対称な形状としているため、ピストンブーツ7を第1の向きで組み付けた場合と第2の向きで組み付けた場合とで、ピストンブーツ7が発揮する密封性能を同程度にすることができる。
具体的には、第1サイドリップ44の断面形状と第2サイドリップ45の断面形状とを、前記対称線αに関して線対称としているため、ピストンブーツ7の組み付け方向に関係なく、ピストンブーツ7と環状側面24との間の密封性能を同程度にすることができる。
また、大径嵌合部39の外周面の断面輪郭形状を、前記対称線αに関して線対称な形状としているため、ピストンブーツ7の組み付け方向に関係なく、大径嵌合部39と嵌合面23との間の密封性能を同程度にすることができる。
また、ピストンブーツ7を第1の向きと第2の向きとのいずれの向きに組み付けた場合にも、小孔43の開口部を、嵌合面23により塞ぐことができる。また、小孔43の開口部を、大径嵌合部39と嵌合面23との嵌合部(シール部)よりも軸方向内側に配置することができる。このため、小孔43を通じて、水分などの異物が補強部材38にまで達することを防止できる。
また、小径嵌合部40の断面形状を、前記対称線αに関して線対称な形状としているため、ピストンブーツ7の組み付け方向に関係なく、小径嵌合部40とピストン凹部34の底面との間の密封性能を同程度にすることができる。つまり、第1シール面51がピストン凹部34の底面に接触する場合における、締め代の大きさや接触範囲などの接触状態と、第2シール面52がピストン凹部34の底面に接触する場合における接触状態とを、同程度にすることができる。本例では、2つに分断された第1シール面51又は第2シール面52(くびれ部53を挟んだ両側部分)が、ピストン凹部34の底面に対してそれぞれ締め代を持って接触するため、十分な密封性能を確保することができる。
また、小径嵌合部40の断面形状を、蛇腹部41から離れるほど先細りになった、くさび形としているため、ピストンブーツ7の組み付け作業を自動機により行う場合に、ピストン4の先端部により小径嵌合部40を左右いずれの方向にも傾斜させる(90度回転させる)ことができる。このため、本例のピストンブーツ7によれば、自動機を利用して、第1の向きと第2の向きとのいずれの向きにも組み付けることができる。また、組み付け作業の向上も図れる。
さらに、補強部材38の軸方向両側の端部に切り欠き57を設けているため、補強部材38を金型のキャビティ内へ設置する際のセット方向の制限をなくすことができる。このため、ピストンブーツ7の製造コストの低減を図れる。また、切り欠きを備えない補強部材をキャビティ内に支持する場合に比べて、大径嵌合部39の軸方向寸法を必要以上に大きくしなくて済む。
なお、本例のピストンブーツ7を構成するブーツ本体37の断面輪郭形状は、蛇腹部41を除き、前記対称線αに関して線対称な形状を有しているが、本発明を実施する場合には、組み付け方向に関係なく密封性能を確保できる限り、非線対称とすることもできる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図18~図19を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7aは、小径嵌合部40aの構造のみが、実施の形態の第1例の構造とは異なる。
すなわち、本例のピストンブーツ7aを構成する小径嵌合部40aは、略円形の断面形状を有する。また、小径嵌合部40aの断面形状は、ピストンブーツ7aの中心線Oに対して直交し、かつ、大径嵌合部39の軸方向中央部を通る対称線αに関して、略線対称な形状を有している。小径嵌合部40aは、断面円弧形状のシール面59を有する。小径嵌合部40aは、ピストンブーツ7の自由状態で、径方向外側部の軸方向一方側部分が、蛇腹部41の径方向内側の端部に接続されている。
本例のピストンブーツ7aは、ピストンブーツ7aを第1の向きで組み付けた場合(図19(A)参照)と第2向きで組み付けた場合(図19(B)参照)との何れの場合にも、シール面59をピストン凹部34の底面に対して弾性的に接触させることができる。また、シール面59の断面形状を円弧形状としているため、ピストンブーツ7aを第1の向きで組み付けた場合と第2向きで組み付けた場合における、シール面59とピストン凹部34の底面との間の密封性能を同程度にすることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図20~図21を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7bは、大径嵌合部39aの構造のみが、実施の形態の第1例の構造とは異なる。
すなわち、本例のピストンブーツ7bを構成する大径嵌合部39aは、外周面の軸方向両側部に、径方向外側に突出した環状凸部42a、42bを有している。このため、小孔43の径方向外側の端部は、大径嵌合部39aの外周面のうち、1対の環状凸部42a、42b同士の間部分に開口している。ただし、大径嵌合部39aの外周面の断面輪郭形状は、ピストンブーツ7bの中心線Oに対して直交し、かつ、大径嵌合部39aの軸方向中央部を通る対称線αに関して線対称である。
本例のピストンブーツ7bは、図21(A)に示すように、第1の向きでの組み付け状態で、大径嵌合部39aの外周面を、環状段部22の内面を構成する嵌合面23に対して圧入により内嵌する。また、大径嵌合部39aの外周面に備えられた1対の環状凸部42a、42bのうち、軸方向一方側に配置された環状凸部42aを、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させ、軸方向他方側に配置された環状凸部42bを、環状段部22の内面を構成する傾斜面25に対して弾性的に押し付ける。また、小孔43の径方向外側の開口部を、嵌合面23によって塞ぐ。
一方、本例のピストンブーツ7bは、図21(B)に示すように、第2の向きでの組み付け状態で、大径嵌合部39aの外周面を、環状段部22の内面を構成する嵌合面23に対して圧入により内嵌する。また、大径嵌合部39aの外周面に備えられた1対の環状凸部42a、42bのうち、軸方向他方側に配置された環状凸部42bを、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させ、軸方向一方側に配置された環状凸部42aを、環状段部22の内面を構成する傾斜面25に対して弾性的に押し付ける。また、小孔43の径方向外側の開口部を、嵌合面23によって塞ぐ。
本例のピストンブーツ7bは、大径嵌合部39aの外周面の軸方向両側部に、環状凸部42a、42bを備えているが、1対の環状凸部42a、42bのうち、一方の環状凸部42a(42b)を、嵌合面23に備えられた環状凹部26に対して凹凸嵌合させ、他方の環状凸部42b(42a)を傾斜面25に対して弾性的に接触させることで、ピストンブーツ7bの組み付け方向に関係なく、大径嵌合部39aと環状段部22との間の密封性能を同程度にすることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図22~図23を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7cは、実施の形態の第2例の構造と実施の形態の第3例の構造とを組み合わせた構造を有している。
すなわち、本例のピストンブーツ7cは、外周面の軸方向両側部に環状凸部42a、42bを備えた大径嵌合部39aを有しており、かつ、略円形の断面形状の小径嵌合部40aを有している。
本例のピストンブーツ7cの場合にも、小径嵌合部40aに備えられたシール面59とピストン凹部34の底面との間の密封性能、及び、大径嵌合部39aと環状段部22との間の密封性能を、ピストンブーツ7cの組み付け方向に関係なく、同程度にすることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例~第3例と同じである。
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、図24を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7d、7eは、第1サイドリップ44a及び第2サイドリップ45aの構造を、これまでの実施の形態の各例の構造から変更している。
すなわち、第1サイドリップ44aは、複数(図示の例では2つ)の第1リップ片46からなる。第1リップ片46のそれぞれは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下(図示の例では40%程度)の薄肉状で、かつ、円すい筒形状に構成されている。複数の第1リップ片46は、径方向に離隔して配置されている。
第2サイドリップ45aは、複数(図示の例では2つ)の第2リップ片47からなる。第2リップ片47のそれぞれは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下(図示の例では40%程度)の薄肉状で、かつ、円すい筒形状に構成されている。複数の第2リップ片47は、径方向に離隔して配置されている。
また、本例の場合にも、第1サイドリップ44aと第2サイドリップ45aとは、ピストンブーツ7d、7eの中心線Oに対して直交し、かつ、大径嵌合部39(39a)の軸方向中央部を通る対称線α(図13等参照)に対して線対称な形状を有する。
本例の第1態様のピストンブーツ7dは、図24(A)に示すように、大径嵌合部39の外周面の軸方向中央部に環状凸部42を1つだけ有している。これに対し、本例の第2態様のピストンブーツ7eは、図24(B)に示すように、大径嵌合部39aの外周面の軸方向両側部に、環状凸部42a、42bを有している。
本例のピストンブーツ7d、7eはいずれも、第1サイドリップ44aを複数本の第1リップ片46から構成し、第2サイドリップ45aを複数本の第2リップ片47から構成しているため、密封性能のさらなる向上を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例~第4例と同じである。
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、図25を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7f、7gは、第1サイドリップ44b及び第2サイドリップ45bの構造を、これまでの実施の形態の各例の構造から変更している。
すなわち、第1サイドリップ44bは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい(図示の例では100%程度)の厚肉状で、かつ、円筒形状の1つの第1リップ片46aからなる。また、第2サイドリップ45bは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい(図示の例では100%程度)の厚肉状で、かつ、円筒形状の1つの第2リップ片47aからなる。
本例の第1態様のピストンブーツ7fは、図25(A)に示すように、大径嵌合部39の外周面の軸方向中央部に環状凸部42を1つだけ有している。これに対し、本例の第2態様のピストンブーツ7gは、図25(B)に示すように、大径嵌合部39aの外周面の軸方向両側部に、環状凸部42a、42bを有している。
本例では、第1サイドリップ44bを構成する第1リップ片46a、及び、第2サイドリップ45bを構成する第2リップ片47aを、実施の形態の第1例の構造に比べて厚肉にしているため、環状側面24に対する第1リップ片46a又は第2リップ片47aの摺接幅を大きくできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例~第4例と同じである。
[実施の形態の第7例]
実施の形態の第7例について、図26を用いて説明する。
本例のピストンブーツ7h、7iは、第1サイドリップ44c及び第2サイドリップ45cの構造を、これまでの実施の形態の各例の構造から変更している。
すなわち、第1サイドリップ44cは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい(図示の例では100%程度)の厚肉状で、かつ、円筒形状の1つの第1リップ片46bからなる。また、第2サイドリップ45cは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい(図示の例では100%程度)の厚肉状で、かつ、円筒形状の1つの第2リップ片47bからなる。
また、第1リップ片46b及び第2リップ片47bのそれぞれの軸方向先端面の断面形状は、波形である。このため、第1リップ片46b及び第2リップ片47bのそれぞれの軸方向先端面には、同心円状の環状突条と環状凹溝とが径方向に関して交互に配置されている。
本例の第1態様のピストンブーツ7hは、図26(A)に示すように、大径嵌合部39の外周面の軸方向中央部に環状凸部42を1つだけ有している。これに対し、本例の第2態様のピストンブーツ7iは、図26(B)に示すように、大径嵌合部39aの外周面の軸方向両側部に、環状凸部42a、42bを有している。
本例では、第1リップ片46b及び第2リップ片47bのそれぞれの軸方向先端面の断面形状を波形としているため、環状側面24に対する第1リップ片46b又は第2リップ片47bの接触部(シール部)の数を増やすことができる。このため、密封性能のさらなる向上を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例~第4例と同じである。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。
本発明は、実施の形態の各例に限定されない。たとえば、大径嵌合部及び小径嵌合部の形状は、適宜変更することができる。また、第1サイドリップ及び第2サイドリップを構成するリップ片の数及び形状等についても、適宜変更することができる。さらに、蛇腹部を構成する屈曲部の数についても、適宜変更することができる。また、大径嵌合部の内側に備えられた補強部材は、金属製に限らず、合成樹脂製とすることもできる。また、補強部材は省略することもできる。
本発明のピストンブーツは、フローティング型のディスクブレーキ装置に限らず、対向ピストン型のディスクブレーキ装置に適用することもできる。
1 ディスクブレーキ装置
2 サポート
3 キャリパボディ
4 ピストン
5 インナパッド
6 アウタパッド
7、7a~7i ピストンブーツ
8 ロータ
9 サポート基部
10 外側連結部
11a、11b 連結腕部
12 取付孔
13 爪部
14 シリンダ部
15 ブリッジ部
16 シリンダ本体
17a、17b シリンダ腕部
18 シリンダ孔
19 底部
20 シール溝
21 ピストンシール
22 環状段部
23 嵌合面
24 環状側面
25 傾斜面
26 環状凹部
27a、27b ガイドピン
28a、28b ブーツ
29 円筒部
30 底板部
31 小径部
32 大径部
33 段差面
34 ピストン凹部
35 ライニング
36 裏板
37 ブーツ本体
38 補強部材
39、39a 大径嵌合部
40、40a 小径嵌合部
41 蛇腹部
42、42a、42b 環状凸部
43 小孔
44、44a、44b、44c 第1サイドリップ
45、45a、45b、45c 第2サイドリップ
46、46a、46b 第1リップ片
47、47a、47b 第2リップ片
48 大径側接続部
49 小径側接続部
50 先端面
51 第1シール面
52 第2シール面
53 くびれ部
54a、54b 第1屈曲部
55a、55b 第2屈曲部
57 切り欠き
58 ピン
59 シール面
100 ディスクブレーキ装置
101 サポート
102 キャリパボディ
103 ピストン
104 ピストンブーツ
105 インナパッド
106 アウタパッド
107 ロータ
108 爪部
109 シリンダ部
110 シリンダ孔
111 環状段部
112 大径嵌合部
113 小径嵌合部
114 蛇腹部
115 サイドリップ
116 環状側面

Claims (27)

  1. ディスクブレーキ装置を構成するキャリパボディに備えられたシリンダ孔と、該シリンダ孔に嵌装されたピストンとの間を密封するためのピストンブーツであって、
    前記キャリパボディのうちで前記シリンダ孔の開口部の周囲に位置する部分に備えられ、かつ、前記シリンダ孔よりも大きな内径を有する環状段部に内嵌される、大径嵌合部と、
    前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌される、小径嵌合部と、
    前記大径嵌合部と前記小径嵌合部とをつなぐ蛇腹部と、を備え、
    前記大径嵌合部は、軸方向一方側に向けて伸長した第1サイドリップと、軸方向他方側に向けて伸長した第2サイドリップとを有し、
    前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記第1サイドリップと前記第2サイドリップとのうちの一方は、前記環状段部の内面のうちでロータと対向する環状側面に弾性的に接触し、かつ、前記第1サイドリップと前記第2サイドリップとのうちの他方は、相手部材に接触せず、密封機能を発揮しないダミーリップとなる、
    ピストンブーツ。
  2. 前記第1サイドリップの断面形状と前記第2サイドリップの断面形状とは、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、線対称である、請求項1に記載したピストンブーツ。
  3. 前記大径嵌合部の外周面の断面輪郭形状は、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、線対称な形状を有する、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  4. 前記小径嵌合部の断面形状は、前記ピストンブーツの中心線に対して直交し、かつ、前記大径嵌合部の軸方向中央部を通る対称線に関して、略線対称な形状を有する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  5. 前記小径嵌合部の断面形状は、前記蛇腹部から離れるほど先細りになった、くさび形である、請求項4に記載したピストンブーツ。
  6. 前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記小径嵌合部は、先端部が前記ロータ側に向くように傾いた状態で、前記ピストンに外嵌される、請求項5に記載したピストンブーツ。
  7. 前記小径嵌合部の断面形状は、略円形である、請求項4に記載したピストンブーツ。
  8. 前記ピストンブーツの組み付け状態で、前記小径嵌合部は、断面円弧形状のシール面を前記ピストンの外周面に対して接触させる、請求項7に記載したピストンブーツ。
  9. 前記第1サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の1つの第1リップ片からなり、
    前記第2サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の1つの第2リップ片からなる、
    請求項1~8のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  10. 前記第1サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の複数の第1リップ片を径方向に離隔して配置してなり、
    前記第2サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%以下である薄肉状の複数の第2リップ片を径方向に離隔して配置してなる、
    請求項1~8のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  11. 前記第1サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい厚肉状の1つの第1リップ片からなり、
    前記第2サイドリップは、径方向厚さが軸方向長さの70%よりも大きい厚肉状の1つの第2リップ片からなる、
    請求項1~8のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  12. 前記第1リップ片及び前記第2リップ片のそれぞれの軸方向先端面の断面形状が、波形である、請求項11に記載したピストンブーツ。
  13. 前記大径嵌合部の内部には、円環形状を有する補強部材が備えられている、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  14. 前記補強部材は、金属製である、請求項13に記載したピストンブーツ。
  15. 前記補強部材は、合成樹脂製である、請求項13に記載したピストンブーツ。
  16. 前記補強部材は、軸方向一方側の端部と軸方向他方側の端部とに、円周方向に関して交互に切り欠きが備えられている、請求項13~15のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  17. 前記切り欠きは、円周方向に関して等間隔に備えられている、請求項16に記載したピストンブーツ。
  18. 前記大径嵌合部の表面には、前記補強部材にまで達する複数の小孔が備えられている、請求項13~17のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  19. 前記小孔は、前記大径嵌合部の外周面に開口している、請求項18に記載したピストンブーツ。
  20. 前記大径嵌合部は、外周面の軸方向中間部に、径方向外側に突出した環状凸部を有する、請求項1~19のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  21. 前記小孔は、前記環状凸部の外周面に開口している、請求項19に従属する請求項20に記載したピストンブーツ。
  22. 前記大径嵌合部は、外周面の軸方向両側部に、径方向外側に突出した環状凸部を有する、請求項1~19のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツ。
  23. 前記小孔は、前記大径嵌合部の外周面のうち、1対の前記環状凸部の間部分に開口している、請求項19に従属する請求項22に記載したピストンブーツ。
  24. パッドと、
    ロータの軸方向に関して前記パッドに近い側に開口部が備えられたシリンダ孔、及び、前記シリンダ孔の前記開口部の周囲に配置されかつ前記シリンダ孔よりも大きな内径の環状段部をそれぞれ有する、キャリパボディと、
    前記シリンダ孔に嵌装され、前記パッドを前記ロータに向けて押圧する、ピストンと、
    前記環状段部に内嵌されるとともに、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌され、前記シリンダ孔と前記ピストンとの間を密封するピストンブーツと、を備え、
    前記環状段部の内面は、前記ロータと対向する環状側面を含み、
    前記ピストンブーツが、請求項1~23のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツである、ディスクブレーキ装置。
  25. パッドと、
    ロータの軸方向に関して前記パッドに近い側に開口部が備えられたシリンダ孔、及び、前記シリンダ孔の前記開口部の周囲に配置されかつ前記シリンダ孔よりも大きな内径の環状段部をそれぞれ有する、キャリパボディと、
    前記シリンダ孔に嵌装され、前記パッドを前記ロータに向けて押圧する、ピストンと、
    前記環状段部に内嵌されるとともに、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌され、前記シリンダ孔と前記ピストンとの間を密封するピストンブーツと、を備え、
    前記環状段部の内面は、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面とを含み、
    前記嵌合面は、軸方向中間部に径方向外側に向けて凹んだ環状凹部を有し、
    前記ピストンブーツが、請求項20又は請求項21に記載したピストンブーツであり、
    前記大径嵌合部は、外周面の軸方向中間部に備えられた前記環状凸部を、前記環状凹部に対して凹凸嵌合させている、
    ディスクブレーキ装置。
  26. パッドと、
    ロータの軸方向に関して前記パッドに近い側に開口部が備えられたシリンダ孔、及び、前記シリンダ孔の前記開口部の周囲に配置されかつ前記シリンダ孔よりも大きな内径の環状段部をそれぞれ有する、キャリパボディと、
    前記シリンダ孔に嵌装され、前記パッドを前記ロータに向けて押圧する、ピストンと、
    前記環状段部に内嵌されるとともに、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌され、前記シリンダ孔と前記ピストンとの間を密封するピストンブーツと、を備え、
    前記環状段部の内面は、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面と、前記嵌合面よりも前記ロータに近い側に配置され、かつ、前記ロータの軸方向に関して前記嵌合面から離れるほど内径が大きくなった傾斜面とを含み、
    前記嵌合面は、軸方向中間部に径方向外側に向けて凹んだ環状凹部を有し、
    前記ピストンブーツが、請求項22又は請求項23に記載したピストンブーツであり、
    前記大径嵌合部は、外周面に備えられた1対の前記環状凸部のうち、前記ロータに近い側に配置された一方の環状凸部を、前記傾斜面に対して弾性的に押し付け、かつ、前記ロータから遠い側に配置された他方の環状凸部を、前記環状凹部に対して凹凸嵌合させている、
    ディスクブレーキ装置。
  27. パッドと、
    ロータの軸方向に関して前記パッドに近い側に開口部が備えられたシリンダ孔、及び、前記シリンダ孔の前記開口部の周囲に配置されかつ前記シリンダ孔よりも大きな内径の環状段部をそれぞれ有する、キャリパボディと、
    前記シリンダ孔に嵌装され、前記パッドを前記ロータに向けて押圧する、ピストンと、
    前記環状段部に内嵌されるとともに、前記ピストンのうちで前記シリンダ孔から突出した部分に外嵌され、前記シリンダ孔と前記ピストンとの間を密封するピストンブーツと、を備え、
    前記環状段部の内面は、円筒面状の嵌合面と、前記ロータと対向する環状側面とを含み、
    前記ピストンブーツが、請求項19又は請求項19に従属する請求項20~23のうちのいずれか1項に記載したピストンブーツであり、
    前記大径嵌合部の外周面に開口した前記小孔の開口部は、前記嵌合面により塞がれている、
    ディスクブレーキ装置。
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