JP4014386B2 - 対向ピストン型ディスクブレーキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の制動に使用する対向ピストン型ディスクブレーキの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の制動を行なう為に、ディスクブレーキが広く使用されている。ディスクブレーキによる制動時には、車輪と共に回転するロータを挟む状態で設けた1対のパッドを、ピストンによりこのロータの両側面に押し付ける。この様なディスクブレーキとして従来一般的には、懸架装置に対し固定で上記1対のパッドを変位自在に支持したサポートに対して、ピストンを内蔵したキャリパを変位自在に支持した、キャリパ浮動式のディスクブレーキが使用されていた。この様なキャリパ浮動式のディスクブレーキの場合には、上記ピストンは上記ロータの片側(自動車への組み付け状態で車体の幅方向中央側となるインナ側)にのみ設けている。
【0003】
これに対して、ロータの両側にピストンを設け、制動時にはこれら両ピストンにより1対のパッドをこのロータの両側面に押し付ける、対向ピストン型と呼ばれるディスクブレーキが、優れた制動力を得られる事から、高性能車を中心に、近年普及してきている。図8は、この様な対向ピストン型ディスクブレーキのうち、実開平5−27364号公報に記載されたものを示している。この対向ピストン型ディスクブレーキ1は、ロータ2を挟む位置にアウタ側ボディ3及びインナ側ボディ4から成るキャリパ5を設け、これら各ボディ3、4内にアウタシリンダ及びインナシリンダを、それぞれの開口部を上記ロータ2を介して互いに対向させた状態で設けている。そして、これらアウタシリンダ及びインナシリンダ内にアウタピストン及びインナピストンを、油密に、且つ上記ロータ2の軸方向に関する変位自在に嵌装している。又、上記アウタ側ボディ3にはアウタパッドを、上記インナ側ボディ4にはインナパッドを、それぞれ上記ロータ2の軸方向に変位自在に支持している。制動時には、上記アウタシリンダ及びインナシリンダ内に圧油を送り込み、上記アウタピストン及びインナピストンにより、上記アウタパッド及びインナパッドを、上記ロータ2の内外両側面に押し付ける。
【0004】
上述した様に構成され作用する対向ピストン型ディスクブレーキによる制動能力をより一層向上させる為に、ロータの有効半径、即ち、パッドのライニングが押し付けられる部分の半径を大きくすると共に、このパッドを押圧する為にキャリパに内蔵するシリンダの数を多くする事が考えられ、一部で実施されている。例えば、上記ロータの円周方向に関する上記キャリパの長さ寸法を大きくすると共に、アウタ側ボディとインナ側ボディとに4個ずつ、キャリパ全体で8個のシリンダ及びピストンを組み込む構造がある。
【0005】
この様にアウタ側とインナ側とに多くの(4個ずつの)ピストンを組み込む構造の場合、アウタ側のパッドとインナ側のパッドとをそれぞれ1枚ずつとすると、上記ロータの円周方向に関するこのパッドの長さ寸法が大きくなり過ぎる。この結果、制動時に於ける上記ロータの振れや熱変形に対する上記パッドの追従性が悪化し、制動時に発生する振動や騒音が大きくなり易くなる。この為に従来から、上記ピストンの数を増やした場合に、アウタ側のパッドとインナ側のパッドとをそれぞれ複数ずつに分割する事が行なわれている。この場合には、アウタ側ボディとインナ側ボディとに、それぞれ複数ずつ(4個所ずつ)のパッド保持部を設ける必要がある。この場合に於いて、図8に示す様に、互いに別体のアウタ側ボディ3とインナ側ボディ4とを結合して成るキャリパ5の場合には、これら両ボディ3、4にシリンダ及びパッド保持部を形成する作業が特に面倒になる事はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、精度並びに剛性の向上等を目的として、キャリパを一体型とした場合には、一体型のキャリパのアウタボディ部及びインナボディ部に、それぞれ複数ずつのシリンダ及びパッド保持部を形成する作業が面倒になり、得られる対向ピストン型ディスクブレーキのコストが嵩んでしまう。
本発明の対向ピストン型ディスクブレーキは、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の対向ピストン型ディスクブレーキは、キャリパと、アウタシリンダ及びインナシリンダと、複数のピストンと、複数のパッドとを備える。
このうちのキャリパは、一体に造られたアウタボディ部及びインナボディ部を有し、車輪と共に回転するロータを挟んで設けられている。
又、上記アウタシリンダ及びインナシリンダは、上記アウタボディ部及びインナボディ部に、互いに対向する状態で、それぞれ複数ずつ設けられている。
又、上記各ピストンは、上記各シリンダ内に、油密に且つ上記ロータの軸方向に関する変位自在に嵌装されている。
又、上記各パッドは、上記ロータの軸方向に関する変位を自在として支持されている。
【0008】
特に、本発明の対向ピストン型ディスクブレーキに於いては、上記キャリパとは別体でこのキャリパに対しねじ止め固定された複数のカートリッジを備える。これら各カートリッジには、このキャリパに固定した状態で上記各シリンダに整合する部分に、上記ロータの外径側に開口した凹部を形成している。そして、これら各凹部を、上記各パッドをこのロータの軸方向に摺動自在に内嵌支持する保持部としている。
更に、これら各保持部は、上記各カートリッジがそれぞれ単独で上記各パッドを上記ロータの軸方向に関する変位自在に支持可能としたものである。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、外径側係止溝と、内径側係止溝と、ダストブーツとを備えたものとする。このうちの外径側係止溝は、上記各カートリッジの一部で上記各保持部と上記各シリンダとの間部分の内周面に形成されたものとする。又、上記内径側係止溝は、上記各ピストンの先端部で上記各シリンダから突出した部分の外周面に形成されたものとする。更に、上記ダストブーツは、上記外径側係止溝と上記内径側係止溝とにそれぞれの両端部を係止した弾性材製のものとする。
更に好ましくは、請求項3に記載した様に、上記ダストブーツの外径側端部で上記外径側係止溝に係止する部分の軸方向片面に全周に亙って形成した突条を、上記キャリパのインナボディ部又はアウタボディ部に突き当てる。
【0009】
【作用】
上述の様に構成する本発明の対向ピストン型ディスクブレーキの場合、カートリッジに複数の保持部(凹部)を形成する作業を、このカートリッジをキャリパにねじ止め固定する以前に行なう事で、上記各保持部の形成作業を容易に行なえる。又、上記キャリパのアウタボディ部及びインナボディ部にそれぞれ複数ずつのアウタシリンダ及びインナシリンダを形成する作業を、上記カートリッジをねじ止め固定する以前に行なう事で、これら各シリンダの形成作業を、広いスペースを利用して、容易に行なえる。
又、請求項2に記載した好ましい構造によれば、シリンダ部とピストンとの摺動部への異物侵入防止を図る為のダストブーツを装着する為の外径側係止溝の形成作業を容易に行なえる。
更に、請求項3に記載した好ましい構造を採用すれば、上記キャリパのアウタボディ部及びインナボディ部とカートリッジの合わせ面を通じての上記摺動部への異物侵入防止を、面倒な加工を要する事なく、確実に行なえる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜7は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の対向ピストン型ディスクブレーキ1aを構成するキャリパ5aは、鉄系合金、或はアルミニウム合金等の金属材料を鋳造(ダイキャスト成形を含む)する事により、全体を一体に造ったもので、側面から見た形状が円弧形で、径方向から見た形状が矩形枠状である。この様なキャリパ5aは、それぞれ側面から見た形状が円弧形であるアウタボディ部6の円周方向両端部とインナボディ部7の円周方向両端部とを、それぞれ連結部8a、8bにより連結して成る。そして、これらアウタボディ部6とインナボディ部7と連結部8a、8bとにより四周を囲まれた部分を、ロータ2の一部を進入させる為の制動用空間9としている。
【0011】
上述の様なキャリパ5aのアウタボディ部6及びインナボディ部7には、それぞれアウタシリンダ10a、10bとインナシリンダ11a、11bとを、それぞれ4個所ずつ、合計8個所設けている。本例の場合、上記ロータ2の周方向に関して両端部に設けたアウタシリンダ10aとインナシリンダ11aとを比較的小径にし、同じく中央部に設けたアウタシリンダ10bとインナシリンダ11bとを比較的大径にしている。又、上記アウタボディ部6とインナボディ部7とで互いに対向する部分に形成したアウタシリンダ10a、10bとインナシリンダ11a、11bとは、互いに同径且つ同心にしている。
【0012】
この様なアウタシリンダ10a、10b及びインナシリンダ11a、11bには、それぞれアウタピストン12a、12b及びインナピストン13a、13bを油密に嵌装すると共に、各シリンダ10a、10b、11a、11bの奥部に圧油を給排自在としている。先ず、油密に嵌装する為に、これら各シリンダ10a、10b、11a、11bの内周面開口寄り部分に係止したシールリングを上記各ピストン12a、12b、13a、13bの外周面に摺接させている。又、上記各シリンダ10a、10b、11a、11bの奥部に圧油を給排する為に、上記アウタボディ部6及びインナボディ部7の内部に通油孔14a、14bを形成し、これら各通油孔14a、14bの中間部を、上記各シリンダ10a、10b、11a、11bの奥部に開口させている。車両への設置状態で上端部となる上記各通油孔14a、14bの一端部(図1〜3の右端部)はブリーダスクリュー15、15により塞ぎ、同じく下端部となる他端部(図1〜3の左端部)同士は連通管16により互いに連通させている。又、インナボディ部7の中間部に設けた給排口17を、このインナボディ部7内に設けた通油孔14bの中間部に通じさせている。車両への設置状態では、図1〜3に示した塞ぎ栓18を取り外して、上記給排口17にブレーキホースの端部を接続し、このブレーキホースから上記各シリンダ10a、10b、11a、11bへの圧油の給排を自在とする。
【0013】
又、前記キャリパ5aのアウタボディ部6及びインナボディ部7の、互いに対向する内側面には、このキャリパ5aとは別体のカートリッジ19、19を、ねじ止め固定している。これら各カートリッジ19、19は、それぞれ上記キャリパ5aと同じ金属材により、厚肉板状に形成している。上記各カートリッジ19、19は、それぞれの外側面(互いに反対側の面)を上記アウタボディ部6及びインナボディ部7の内側面に突き当てた状態で、それぞれ前記ロータ2の円周方向両端部で内径側、外径側2個所ずつ、合計4個所ずつを、ボルト20a、20bにより、上記アウタボディ部6及びインナボディ部7に対し結合固定している。
【0014】
上記各ボルト20a、20bのうち、上記ロータ2の外周縁よりも径方向内側に位置する内径側のボルト20a、20aは、上記アウタボディ部6及びインナボディ部7を挿通した状態で、上記各カートリッジ19、19に形成したねじ孔に螺合し、更に緊締している。これに対して、上記ロータ2の外周縁よりも径方向外側に位置する外径側のボルト20b、20bは、図6に示す様に、上記アウタボディ部6、インナボディ部7及び上記各カートリッジ19、19を挿通した状態で、スリーブ21に形成したねじ孔に螺合し、更に緊締している。上記各カートリッジ19、19は、この様に、それぞれの4隅部に螺合或は挿通したボルト20a、20bにより、上記キャリパ5aのアウタボディ部6及びインナボディ部7に対し固定している。上記外径側の4個所位置に設けた、合計4本のスリーブ21、21及び8本のボルト20b、20bは、上記アウタボディ部6及びインナボディ部7に対し上記各カートリッジ19、19を支持固定する他、これらアウタボディ部6とインナボディ部7との間隔が開く事を防止して、上記キャリパ5aの剛性を向上させる役目も果たす。
【0015】
上記各カートリッジ19、19には、それぞれ2枚ずつのパッド22a、22bを、上記ロータ2の軸方向(図1、5の表裏方向、図2、3、6の上下方向、図4の左右方向)の変位自在に支持している。この為に、上記各カートリッジ19、19の一部で前記アウタシリンダ10a、10b及びインナシリンダ11a、11bに整合する部分に、保持部23a、23bを、上記各カートリッジ19、19から凹む状態で形成している。言い換えれば、これら各保持部23a、23aは、上記ロータ2の外径側に開口した凹部としている。従って、これら各保持部23a、23aにより、上記各カートリッジ19、19がそれぞれ単独で、上記各パッド22a、22bを上記ロータ2の軸方向に関する変位自在に支持する。それぞれが裏板24a、24bの片面にライニング25a、25bを添着して成る、上記各パッド22a、22bは、それぞれの裏板24a、24bを上記各保持部23a、23bに摺動自在に内嵌する事により、上記各カートリッジ19、19に対し支持している。尚、上記各カートリッジ19、19毎に2枚ずつ支持するパッド22a、22bのうち、前記小径のアウタシリンダ及びインナシリンダ10a、11aに対向する部分に支持したパッド22a、22aは比較的小さいものとし、前記大径のアウタシリンダ及びインナシリンダ10b、11bに対向する部分に支持したパッド22b、22bは比較的大きいものとしている。
【0016】
又、図示の例では、上記各パッド22a、22bの裏板24a、24bの一部に、上記ロータ2の径方向外方に突出する突片26、26を形成し、これら各突片26、26に形成したガイド孔27、27に、ガイドピン28を挿通している。これら各ガイドピン28の両端部は、それぞれ前記アウタボディ部6及びインナボディ部7に対し支持している。上記各ガイドピン28を設ける事により、上記各パッド22a、22bが上記各保持部23a、23bの外径側開口部から抜け出る事を防止している。又、上記各ガイドピン28と上記各パッド22a、22bの裏板24a、24bの外周縁部との間に、板ばねであるアンチラトルスプリング29を設けて、上記各保持部23a、23b内で上記各パッド22a、22bががたつく事を防止している。
【0017】
更に、前記各カートリッジ19、19の外端部(互いに反対側の端部)で前記アウタシリンダ10a、10b及びインナシリンダ11a、11bに整合する部分に、それぞれ円孔30a、30bを形成して、これら各シリンダ10a、10b、11a、11bと上記各保持部23a、23bとを連通させている。そして、これら各シリンダ10a、10b、11a、11bに嵌装した、前記アウタ側、インナ側各ピストン12a、12b、13a、13bの先端部を、上記各円孔30a、30b内に位置させると共に、これら各ピストン12a、12b、13a、13bの先端面を、上記各パッド22a、22bを構成する各裏板24a、24bの裏面に突き当てている。
【0018】
そして、上記各円孔30a、30bの内周縁と上記ピストン12a、12b、13a、13bの先端部外周面との間に、それぞれゴムの如きエラストマー等の弾性材製のダストブーツ31a、31bを掛け渡している。この為に、上記各カートリッジ19、19の外側面の一部で上記各円孔30a、30bの内端側開口周縁部に係止段部32a、32bを形成している。上記各カートリッジ19、19を前記アウタ、インナ各ボディ部6、7に支持固定した状態で、上記各係止段部32a、32bのこれら各ボディ部6、7の内側面とにより3方を囲まれる部分が、上記各ダストブーツ31a、31bの外周縁部を係止する為の外径側係止溝となる。これに対して、上記各ピストン12a、12bの先端部で上記各シリンダ10a、10b、11a、11bから突出した部分の外周面に、上記各ダストブーツ31a、31bの内周縁部を係止する為の内径側係止溝33a、33bを形成している。
【0019】
上記各ダストブーツ31a、31bは、それぞれの外周縁部に形成した外径側係止部34a、34bを、上記各係止段部32a、32bを含んで構成する外径側係止溝に係止し、それぞれの内周縁部に形成した内径側係止部35a、35bを上記各内径側係止溝33a、33bに、それぞれ全周に亙って係止している。特に、上記各外径側係止部34a、34bの軸方向片面には、図7に示す様に、全周に亙って突条36a、36bを形成しており、これら各突条36a、36bを前記キャリパ5aのインナボディ部7又はアウタボディ部6の内側面に弾性的に突き当てている。尚、図7に示した2通りの構造のうち、(A)に示した第1例の構造は、上記外径側係止部34a、34bに添着した、金属製で断面L字形の補強リング37を、上記各係止段部32a、32bに嵌合固定したものである。これに対して(B)に示した第2例の構造は、これら各係止段部32a、32bを含んで構成する上記外径側係止溝の開口部の幅を凹部に比べて狭くして、軸方向に肉厚に形成した上記外径側係止部34a、34bを、上記外径側係止溝内に装着したものである。
【0020】
上述の様に構成する本発明の対向ピストン型ディスクブレーキは、図1に示す様に、上記キャリパ5aのインナボディ部7の内周面に設けた取付面38、38を、懸架装置に設けた取付部40に突き当て、このインナボディ部7を外径側から内径側に挿通した1対の取付ボルト39、39により、上記取付部40に結合固定する。
【0021】
制動を行なう場合には、前記給排口17から送り込んだ圧油を、前記各通油孔14a、14b、前記連通管16を介して、前記各シリンダ10a、10b、11a、11bに送り込む。この結果、これら各シリンダ10a、10b、11a、11b内に嵌装された前記各ピストン12a、12b、13a、13bがこれら各シリンダ10a、10b、11a、11bから押し出され、前記各パッド22a、22bを前記ロータ2の外径側側面に向け押し付ける。この結果、このロータ2の両側面と上記各パッド22a、22bを構成する前記各ライニング25a、25bとが摩擦し合って、制動を行なう。
【0022】
特に、本例の対向ピストン型ディスクブレーキ1aの場合には、上記各パッド22a、22bを支持する為に、前記キャリパ5aと別体のカートリッジ19、19を使用している。これら各カートリッジ19、19に前記各保持部23a、23bを形成する作業は、これら各カートリッジ19、19を上記キャリパ5aにねじ止め固定する以前に行なう事で容易に行なえる。又、このキャリパ5aを構成する前記アウタボディ部6及びインナボディ部7にそれぞれ複数ずつのアウタシリンダ10a、10b及びインナシリンダ11a、11bを形成する作業は、上記各カートリッジ19、19を上記キャリパ5aにねじ止め固定する以前に行なう事で、広いスペースを利用して、容易に行なえる。この為、各部の加工作業を容易にできて、コスト低減を図れる。
【0023】
又、図示の例の場合には、上記各シリンダ10a、10b、11a、11bと上記各ピストン12a、12b、13a、13bとの摺動部への異物侵入防止を図る為のダストブーツ31a、31bを装着する為の外径側係止溝の形成作業を容易に行なえる。即ち、上記各カートリッジ19、19を上記キャリパ5aに結合固定する以前に、前記各係止段部32a、32bを加工する事で、上記各カートリッジ19、19を上記キャリパ5aに結合固定すると同時に上記外径側係止溝を形成できる。従って、この外径側係止溝の形成作業の面からもコスト低減を図れる。
【0024】
更に図示の例の場合には、上記各ダストブーツ31a、31bの外径側係止部34a、34bに前記突条36a、36bを形成し、上記各カートリッジ19、19を上記キャリパ5aに結合固定するのに伴って上記各突条36a、36bを前記アウタボディ部6及びインナボディ部7の内側面に弾性的に突き当てている。この為、上記キャリパ5aのアウタボディ部6及びインナボディ部7と上記各カートリッジ19、19の合わせ面を通じての上記摺動部への異物侵入防止を、面倒な加工を要する事なく、確実に行なえる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、優れた制動能力を有する対向ピストン型ディスクブレーキのコスト低減を図って、自動車の制動能力の向上、延ては安全性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を、インナ側から見た状態で示す正面図。
【図2】一部を切断して図1の上方から見た図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】同B−B断面図。
【図5】図3のC−C断面図。
【図6】図2のD部拡大図。
【図7】ダストブーツ端部のシール構造の2例を示す、図4のE部拡大図。
【図8】従来から知られている対向ピストン型ディスクブレーキの1例を示す斜視図。
【符号の説明】
1、1a 対向ピストン型ディスクブレーキ
2 ロータ
3 アウタ側ボディ
4 インナ側ボディ
5、5a キャリパ
6 アウタボディ部
7 インナボディ部
8a、8b 連結部
9 制動用空間
10a、10b アウタシリンダ
11a、11b インナシリンダ
12a、12b アウタピストン
13a、13b インナピストン
14a、14b 通油孔
15 ブリーダスクリュー
16 連結管
17 給排口
18 塞ぎ栓
19 カートリッジ
20a、20b ボルト
21 スリーブ
22a、22b パッド
23a、23b 保持部
24a、24b 裏板
25a、25b ライニング
26 突片
27 ガイド孔
28 ガイドピン
29 アンチラトルスプリング
30a、30b 円孔
31a、31b ダストブーツ
32a、32b 係止段部
33a、33b 内径側係止溝
34a、34b 外径側係止部
35a、35b 内径側係止部
36a、36b 突条
37 補強リング
38 取付面
39 取付ボルト
40 取付部
Claims (3)
- 車輪と共に回転するロータを挟んで設けられ、一体に造られたアウタボディ部及びインナボディ部を有するキャリパと、これらアウタボディ部及びインナボディ部に、互いに対向する状態で設けられた、それぞれ複数ずつのアウタシリンダ及びインナシリンダと、これら各シリンダ内に油密に且つ上記ロータの軸方向に関する変位自在に嵌装された複数のピストンと、この軸方向に関する変位を自在として支持された複数のパッドとを備えた対向ピストン型ディスクブレーキに於いて、上記キャリパとは別体でこのキャリパに対しねじ止め固定された複数のカートリッジを備え、これら各カートリッジには、このキャリパに固定した状態で上記各シリンダに整合する部分に、上記ロータの外径側に開口した凹部を形成し、これら各凹部を、上記各パッドをこのロータの軸方向に摺動自在に内嵌支持する保持部としており、これら各保持部は、上記各カートリッジがそれぞれ単独で上記各パッドを上記ロータの軸方向に関する変位自在に支持可能としたものである事を特徴とする対向ピストン型ディスクブレーキ。
- 上記各カートリッジの一部で上記各保持部と上記各シリンダとの間部分の内周面に形成された外径側係止溝と、上記各ピストンの先端部でこれら各シリンダから突出した部分の外周面に形成された内径側係止溝と、この内径側係止溝と上記外径側係止溝とにそれぞれの両端部を係止した弾性材製のダストブーツとを備えた対向ピストン型ディスクブレーキ。
- 上記ダストブーツの外径側端部で上記外径側係止溝に係止する部分の軸方向片面に全周に亙って形成した突条を、上記キャリパのインナボディ部又はアウタボディ部に突き当てた、請求項2に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ。
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