JP4021033B2 - ディスクブレーキ用シール装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の制動に使用するディスクブレーキを構成するキャリパに設けたシリンダ孔の内周面と、このシリンダ孔に嵌装したピストンの外周面との摺動部に、塵芥や雨水等の異物が入り込むのを防止する為のディスクブレーキ用シール装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の制動を行なう為に、ディスクブレーキが広く使用されている。図11〜12は、この様なディスクブレーキの1例として、実開昭61−156734号公報に記載されたものを示している。この図11に示したディスクブレーキ1は、フローティングキャリパ型と呼ばれるもので、図示しない懸架装置に支持固定するサポート2にキャリパ3を、それぞれ1対ずつ設けたガイド孔4とガイドピン5との係合に基づき、次述するロータ6の軸方向(図11の左右方向)に亙る変位自在に支持している。車輪と共に回転するロータ6の両側に1対のブレーキパッド7、7を配置し、これら両ブレーキパッド7、7を上記サポート2に、上記ロータ6の軸方向に亙る変位自在に支持している。上記キャリパ3には1個のシリンダ孔8を、内側(車両への組み付け状態で幅方向中央寄りとなる側を言い、図11の左側)のブレーキパッド7に対向する状態で設けている。そして、このシリンダ孔8に油密に嵌装したピストン9の先端面を、上記内側のブレーキパッド7の裏面に突き当てている。これに対して、外側(車両への組み付け状態で幅方向外寄りとなる側を言い、図11の右側)のブレーキパッド7の裏面には、上記キャリパ3に設けたキャリパ爪10の内側面を当接させている。
【0003】
制動を行なう際には、上記キャリパ3に設けた給油ポート11を通じて、上記シリンダ孔8内に圧油を送り込み、上記ピストン9により上記内側のブレーキパッド7を、上記ロータ6の内側面に押し付ける。上記キャリパ3は、この押し付けに基づく力の反作用として、内方(図11の左方)に変位し、上記キャリパ爪10により外側のブレーキパッド7を上記ロータ6の外側面に押し付ける。この結果、上記1対のブレーキパッド7、7により上記ロータ6を両側から抑え付け、制動を行なわせる。
【0004】
上述の様に構成し作用するディスクブレーキ1は、車輪の近傍で、走行時に泥水等の異物がかかり易い部分に設ける。この様な異物が、上記シリンダ孔8の内周面とピストン9の外周面との摺動部に入り込むと、これら各周面及びこれら両周面同士の間に設けたシールリング12を傷付けたり、上記摺動部を錆び付かせたりして、ディスクブレーキ1の機能を損なわせる原因となる。この為従来から、上記キャリパ3とピストン9との間にシール装置13を設けて、上記摺動部に異物が入り込むのを防止している。
【0005】
この様なシール装置13を設ける為に、上記ピストン9の先端部(図11の右端部)で上記シリンダ孔8から突出した部分の外周面に、外径側が開口するピストン側係止溝14を、全周に亙って形成している。又、上記キャリパ3の一部で上記シリンダ孔8の内周面開口端部近傍に、内径側が開口するキャリパ側係止溝15を、全周に亙って形成している。そして、これらピストン側、キャリパ側、両係止溝14、15同士の間に、シールブーツ16を掛け渡している。このシールブーツ16は、ゴム、ビニル等のエラストマーの如き弾性材により、全体を円環状に形成したもので、内周縁部にピストン側係止部17を、外周縁部にキャリパ側係止部18を、それぞれ設けている。この様なシールブーツ16は、上記ピストン側係止部17を上記ピストン側係止溝14に、上記キャリパ側係止部18を上記キャリパ側係止溝15に、それぞれ係止する事により、上記キャリパ3とピストン9との間に掛け渡し、上記摺動部への異物進入防止を図っている。
【0006】
尚、図11〜12に示した従来構造の第1例のシール装置13の場合には、上記ピストン側係止部17は上記ピストン側係止溝14に、自身の弾性により係止している。即ち、上記ピストン側係止部17の自由状態での内径を、上記ピストン側係止溝14の溝底径よりも少し小さくして、上記ピストン側係止部17を上記ピストン側係止溝14に、しっかりと係止している。これに対して、上記キャリパ側係止溝15及びキャリパ側係止部18は、ディスクブレーキ1の組立完了時点では、上記ピストン9の外周面に対向させて、これらキャリパ側係止溝15とキャリパ側係止部18との係合が外れない様にしている。
【0007】
又、特開平8−93924号公報には、図13に示す様なシール装置13aが記載されている。このシール装置13aの場合には、ピストン9の先端部でシリンダ孔8から突出した部分の外周面に、係止段部19を、全周に亙って形成している。又、キャリパ3の一部でシリンダ孔8の開口周囲部分に、内径側が開口するキャリパ側係止溝15を、全周に亙って形成している。そして、これら係止段部19とキャリパ側係止溝15との間に、シールブーツ16aを掛け渡している。即ち、このシールブーツ16aの内周縁部に形成したピストン側係止部17を上記係止段部19に弾性的に外嵌すると共に、同じく外周縁部に形成したキャリパ側係止部18aを上記キャリパ側係止溝15に係止している。更に、このキャリパ側係止部18aの内周面に形成した係止溝20に抑えリング21を装着して、このキャリパ側係止部18aに、直径を拡げる方向の弾性を付与し、このキャリパ側係止部18aが上記キャリパ側係止溝15から抜け出る事を防止している。図13に示したシール装置13aは、この様な構成により、上記キャリパ3とピストン9との間に掛け渡し、上記摺動部への異物進入防止を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図11〜12に示した、従来構造の第1例のシール装置13の場合には、ディスクブレーキ1の組立を完了した後には、キャリパ側係止溝15とキャリパ側係止部18とが正しく係合しているか否かを目視により確認できない。これらキャリパ側係止溝15とキャリパ側係止部18とが正しく係合していない場合には、ディスクブレーキ1の作動不良の原因となる為、専用の検査装置を使用して、上記キャリパ側係止溝15とキャリパ側係止部18との係合状態を確認する必要があり、面倒である。
【0009】
又、図13に示した従来構造の第2例のシール装置13aの場合には、キャリパ側係止部18aの内周面に形成した係止溝20に、このキャリパ側係止部18aを含むシールブーツ16aとは別体に形成した抑えリング21を、キャリパ側係止溝15とキャリパ側係止部18aとの係合後に装着する必要がある。この為、上記シールブーツ16aの装着作業の自動化が難しく、上記シール装置13aを含むディスクブレーキの組立コストが嵩んでしまう。
【0010】
これに対して、実公昭61−36441号公報には、シールブーツの外周縁部に設けた係止部に弾性金属線をコイル状に巻回した芯材をモールドする事により、この係止部の剛性を高めた、シール装置に関する発明が記載されている。但し、この公報に記載されたシール装置は、二輪車用ブレーキのマスタシリンダに組み込む事を考慮したものである。即ち、上記公報に記載されたシール装置は、上記係止部を内嵌する部分を、単なる円筒面としていた。この為、この係止部の外周縁と相手面との嵌合部の断面形状が単なる直線状になり、ブーツシール部のシリンダ軸方向への位置決めが図りにくい。
本発明のディスクブレーキ用シール装置は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスクブレーキ用シール装置は、キャリパに形成したシリンダ孔に油密に嵌装したピストンを、このシリンダ孔内への圧油の供給に基づいて押し出す事により、ブレーキパッドをロータに向け押し付けて制動を行なうディスクブレーキに組み込み、上記キャリパと上記ピストンとの間をシールすべく、上記ピストンの先端部で上記シリンダ孔から突出した部分の外周面に全周に亙って、外径側が開口する状態で形成したピストン側係止溝と、上記キャリパの一部で上記シリンダ孔の開口周囲部分に全周に亙って、内径側が開口する状態で形成したキャリパ側係止溝と、弾性材製で全体を円環状に形成され、内周縁部にピストン側係止部を、外周縁部にキャリパ側係止部を、それぞれ設けたシールブーツとを備える。そして、上記ピストン側係止部を上記ピストン側係止溝に、上記キャリパ側係止部を上記キャリパ側係止溝に、それぞれ係止して成る。又、コイルばね状に巻回する事により形成され、直径を弾性的に拡縮自在な円環状の芯材を上記キャリパ側係止部の内側に、上記シールブーツの成形時にモールドしている。更に、上記キャリパの一部で上記キャリパ側係止溝に隣接し、このキャリパ側係止溝に上記キャリパ側係止部を係止する際にこのキャリパ側係止部の外周縁が摺接する部分に、上記キャリパ側係止溝から離れるに従って内径が大きくなるガイド面部を設けている
【0012】
【作用】
上述の様に構成する本発明のディスクブレーキ用シール装置によれば、キャリパ側係止溝とキャリパ側係止部とを係合させる作業の自動化が容易になり、しかもこれらキャリパ側係止溝とキャリパ側係止部との係合部のシール性を十分に確保できる。即ち、上記キャリパ側係止部の剛性は、芯材をモールドする事により十分に確保できるので、このキャリパ側係止部を機械により押して上記キャリパ側係止溝に係合させる事が可能になる。又、キャリパ側係止溝とキャリパ側係止部との係合部の断面は屈曲しており、このキャリパ側係止溝の内面と上記キャリパ側係止部の外面との接触部の圧力も、コイルばね状に巻回する事により形成され、直径を弾性的に拡縮自在な上記芯材の存在に基づいて十分に高くなる。この為、上記係合部に異物が勢い良くかかった場合でも、この異物が係合部を通過しにくくなって、シリンダ孔の内周面とピストンの外周面との摺動部への異物進入防止を有効に図れる。又、本発明の場合、上記キャリパ側係止部を上記キャリパ側係止溝に係合する場合に、ガイド面部とこのキャリパ側係止部とが摺接しつつ、このキャリパ側係止部の直径が弾性的に縮まる。この為、このキャリパ側係止部と上記キャリパ側係止溝とを係合させる作業を、より容易に行なえる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜6は、本発明の実施の形態の第1例を示している。先ず、本発明のシール装置13bを組み込んだディスクブレーキ1aの構造及び作用に就いて、図1により説明する。このディスクブレーキ1aは、対向4ピストン型と呼ばれるもので、インナ側(図1の右側)とアウタ側(図1の左側)とが一体に成形されたキャリパ3aに内蔵した、インナ側とアウタ側との2個ずつ、合計4個のピストン9、9により、上記キャリパ3aに支持した左右1対のブレーキパッド7、7を、ロータ6(図11参照、図1には省略)の両側面に押し付ける様にしている。この為に、上記キャリパ3aに設けた1個の給油ポート11から、上記各ピストン9、9を嵌装したシリンダ孔8、8内に、圧油を分配自在としている。
【0014】
制動時には、上記給油ポート11からの圧油の送り込みに伴って、上記各シリンダ孔8、8に油密に嵌装したピストン9、9を押し出し、上記両ブレーキパッド7、7を上記ロータ6の両側面に押し付ける。この様な対向4ピストン型のディスクブレーキ1aは、ブレーキペダルの踏み込みに応じて強力且つ安定した制動力を得られる為、スポーツカー等の高性能車を中心に使用される場合が多い。本発明のシール装置13bはこの様なディスクブレーキ1aに、上記シリンダ孔8、8及びピストン9、9の数に合わせて、4個所に設けている。
【0015】
次に、本発明のシール装置13bに就いて説明する。上記ピストン9の先端部で上記シリンダ孔8から突出した部分の外周面には、外径側が開口するピストン側係止溝14を、全周に亙って形成している。又、上記キャリパ3aの一部で上記シリンダ孔8の開口部を囲む位置には、このシリンダ孔8よりも大径の円筒面部22を、対向するシリンダ孔8と同心に形成している。そして、この円筒面部22の内周面に内径側が開口するキャリパ側係止溝15aを、全周に亙って形成している。このキャリパ側係止溝15aは、断面形状が円弧形の曲面溝である。
【0016】
上述の様なピストン側係止溝14とキャリパ側係止溝15aとの間には、シールブーツ16bを掛け渡している。このシールブーツ16bは、ゴム、ビニル等のエラストマーの如き、比較的軟質の弾性材により、全体を円環状に形成している。上記シールブーツ16bは、直径方向に亙る断面形状を屈曲させて成る蛇腹部23の内周縁部にピストン側係止部17を、外周縁部にキャリパ側係止部18bを、それぞれ設けて成る。これら両係止部17、18bのうち、上記ピストン側係止部17は前述した従来構造の場合と同様、上記ピストン側係止溝14に、このピストン側係止部17自身の弾性により係止している。
【0017】
これに対して上記キャリパ側係止部18bは上記キャリパ側係止溝15aに、キャリパ側係止部18b自身の弾性により係止している。本発明の場合には、キャリパ側係止溝15aとキャリパ側係止部18bとの係合強度を確保する為、このキャリパ側係止部18bの剛性を高めている。即ち、このキャリパ側係止部18bを、単に上記エラストマーの如き、比較的軟質の弾性材のみで構成した場合には、上記係合強度を確保する事が難しい。
【0018】
そこで、本発明の場合には、上記キャリパ側係止部18b内に芯材24を包埋する事により、このキャリパ側係止部18bの剛性を高めている。即ち、前記シールブーツ16bを形成する際に上記キャリパ側係止部18b内に、図5に示す様な芯材24をモールドしている。この芯材24は、上記シールブーツ16bを構成するエラストマー等の弾性材よりも硬い(剛性が高い)別種の弾性材である、ばね鋼等の金属線材を密着コイルばね状に巻回する事により、直径を弾性的に拡縮自在な円環状に形成して成る。この様な芯材24は、上記キャリパ側係止部18bの内径よりも少しだけ大きな内径と、このキャリパ側係止部18bの外径よりも小さな外径とを有する。従って、上記芯材24を上記キャリパ側係止部18bに、上記シールブーツ16bの成形時にモールドする事により包埋した状態では、このキャリパ側係止部18bの内外両周面は、上記エラストマー等の弾性材により覆われる。
【0019】
又、上記キャリパ側係止部18bの外周寄り部分で上記芯材24よりも直径方向外方部分は、上記エラストマー等の弾性材のみで構成される。従って、上記キャリパ側係止部18bの外径は、このキャリパ側係止部18bの外周面に加わる大きな力に基づき、弾性的に収縮自在である。即ち、この様な大きな力が加わった場合には、上記芯材24の直径が弾性的に縮まる他、上記キャリパ側係止部18bの外周寄り部分で上記芯材24よりも直径方向外方部分が弾性変形する事で、上記キャリパ側係止部18bの外径が弾性的に縮まる。本例の場合、このキャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分の断面形状を、蒲鉾形としている。即ち、図4に示す様に、キャリパ側係止部18bの外周面中央部に直線部25を形成すると共に、この直線部25の両端とキャリパ側係止部18bの軸方向両端面とを、四分円弧状の円弧部26、26により滑らかに連続させている。
【0020】
上述の様なシールブーツ16bを組み込んだ、本発明のディスクブレーキ用のシール装置13bによれば、前記キャリパ側係止溝15aとキャリパ側係止部18bとを係合させる作業の自動化が容易になる。即ち、このキャリパ側係止部18bは、外径を弾性的に収縮自在ではあるが、内部に包埋した芯材24の存在に基づき、十分な剛性を有する。この為、上記キャリパ側係止溝15aとキャリパ側係止部18bとを係合させる際に、このキャリパ側係止部18bを、組み付け装置のプッシャ等により上記キャリパ側係止溝15aに向けて押圧する事が可能になる。
【0021】
特に、図示の例では、前記キャリパ3aに設けた円筒面部22のうち、前記シリンダ孔8と反対側端部に、上記キャリパ側係止溝15aから離れるに従って内径が大きくなる、円すい凹面状のガイド面部27を設けている。又、上記円筒面部22の開口側端縁である、上記ガイド面部27の外端縁(図2、6〜10の右端縁)の内径D27は、上記キャリパ側係止部18bの自由状態での外径寸法d18b よりも大きく(D27>d18b )している。従って、上記キャリパ側係止部18bを上記キャリパ側係止溝15aに締め代を有して係合させるべく、図6に示す様に上記キャリパ側係止部18bを上記キャリパ側係止溝15aに向けて押し付ければ、上記ガイド面部27と上記キャリパ側係止部18bの外周縁とが摺接しつつ、上記キャリパ側係止部18bの直径が弾性的に縮まる。この為、上記キャリパ側係止溝15aとキャリパ側係止部18bとを係合させる作業を、より容易に行なえる様にできる。しかも、上記芯材24は、シールブーツ16b中に包埋されて一体として取り扱えるので、部品管理、組立作業が面倒になる事もない。又、上記キャリパ側係止溝15aとキャリパ側係止部18bとが係合している事は、目視により確認できる為、特別な検査装置を必要とせず、組立作業並びに組立設備の簡素化を図れる。又、自動車ディーラー等、小規模で熟練作業者がいない工場での分解、組立作業も可能になる。本発明のシール装置13bによれば、フローティング型キャリパはもとより、図1のキャリパ一体型の対向ピストン型ディスクブレーキに於ても、ピストンシールの組付性は格段と向上する。
【0022】
又、本発明のシール装置13bによれば、上記キャリパ側係止溝15aと上記キャリパ側係止部18bとの係合部のシール性を十分に確保できる。即ち、上記キャリパ側係止溝15aの内面の断面形状は円弧形であり、上記キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分の断面形状は蒲鉾形である。従って、上記キャリパ側係止部18bを上記キャリパ側係止溝15aに係合させた状態で、これらキャリパ側係止溝15aの内面とキャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分との係合部の断面は屈曲したものとなる。又、上記キャリパ側係止溝15aの内面と上記キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分との接触部の圧力も、上記芯材24の存在に基づいて十分に高くなる。この為、上記係合部に異物が勢い良くかかった場合でも、この異物が係合部を通過しにくくなって、前記シリンダ孔8の内周面と前記ピストン9の外周面との摺動部への異物進入防止を有効に図れる。
【0023】
更に、図示の実施例の場合には、上記キャリパ側係止溝15aの内面と上記キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分とが、それぞれ2個所位置で当接する為、上記係合部に一種のラビリンスシールが構成されて、より優れたシール効果を得られる。即ち、断面形状が単一円弧状である上記キャリパ側係止溝15aの内面と、断面形状が蒲鉾形である上記キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分とは、前記ピストン9の軸方向に離隔した2個所位置で弾性的に当接する。そして、この2個所位置の間部分で上記キャリパ側係止溝15aの内面と上記キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分との間には、隙間が形成されるか、形成されない場合でも当接圧が上記2個所位置に比べて低くなる。この為、上記係合部に、ラビリンス効果による優れたシール効果を発揮させる事ができる。
【0024】
次に、図7は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、シールブーツ16cの軸方向中間部外周面でキャリパ側係止部18bの近傍部分にシールリップ28を、全周に亙って形成している。そして、このキャリパ側係止部18bをキャリパ側係止溝15aに係止した状態で、上記シールリップ28によりガイド面部27を覆う様に構成している。この様に構成する本例の場合には、このガイド面部27に雨水等の異物が付着する事を防止して、このガイド面部27が錆びるのを防止できる。この為、ディスクブレーキの分解、修理等により、上記キャリパ側係止溝15aから上記キャリパ側係止部18bを取り外し、再びこのキャリパ側係止部18bを上記キャリパ側係止溝15aに係合させる際に、このキャリパ側係止部18bの外面を、上記ガイド面部27に付着した錆により傷付ける事を防止できる。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0025】
次に、図8は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、キャリパ側係止溝15aの断面形状を、曲率半径がR15a である円弧形にするだけでなく、キャリパ側係止部18cの外面外周側部分の断面形状を、曲率半径がD18c である円弧形にしている。そして、上記キャリパ側係止溝15aの断面形状の曲率半径R15a を、上記キャリパ側係止部18cの外面外周側部分の断面形状の曲率半径D18c よりも小さく(R15a <D18c )している。この様な本例の場合も、前述した第1例の場合と同様に、上記キャリパ側係止溝15aの内面と上記キャリパ側係止部18cの外面外周寄り部分とが2個所位置で当接する。この為、上記キャリパ側係止溝15aの内面と上記キャリパ側係止部18cの外面外周寄り部分との係合部に一種のラビリンスシールを構成して、優れたシール効果を得られる。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様である。
【0026】
次に、図9は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、キャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分の断面形状を、蒲鉾形とするだけでなく、キャリパ側係止溝15bの断面形状も、蒲鉾型にしている。即ち、図9に示す様に、キャリパ側係止溝15bの奥面中央部に直線部29を形成すると共に、この直線部29の両端と、それぞれがこの直線部29と垂直なキャリパ側係止溝15bの軸方向両端面とを、四分円弧状の円弧部30、30により滑らかに連続させている。又、上記キャリパ側係止部18bの自由状態での幅寸法W18b を、上記キャリパ側係止溝15bの幅寸法W15b よりも少し大きく(W18b >W15b )している。従って、本例の場合、上記キャリパ側係止溝15bに上記キャリパ側係止部18bを係止した状態では、このキャリパ側係止部18bの外面外周寄り部分が上記キャリパ側係止溝15bの内面に、全周に亙り隙間なく当接する。特に、本例の場合、上記キャリパ側係止溝15bの軸方向両端面部分と上記キャリパ側係止部18bの軸方向両端面部分との2個所位置が、この2個所位置の間部分に比べて強く当接する。従って、本例の場合も、上記係合部に、ラビリンス効果による優れたシール効果を発揮させる事ができる。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様である。
【0027】
次に、図10は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、キャリパ側係止部18dの外周面中央寄り部で互いに間隔をあけた2個所位置には、それぞれ上記外周面から直径方向外方に突出する突部31、31を、全周に亙り形成している。この様な本例の場合、上記キャリパ側係止部18dの外面外周寄り部分のうち、このキャリパ側係止部18dの軸方向両端部と上記各突部31、31の先端部との合計4個所位置が、キャリパ側係止溝15bの内面と当接する。この為、本例の場合には、上記キャリパ側係止部18dと上記キャリパ側係止溝15bとの係合部に、より優れたラビリンス効果によるシール効果を発揮させる事ができる。その他の構成及び作用は、上述した第4例の場合と同様である。
【0028】
【発明の効果】
本発明のディスクブレーキ用シール装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、シールブーツの組み付けの自動化により、組立コストの低減を図ると共に、このシールブーツとキャリパとの結合部のシール性確保によるディスクブレーキの耐久性並びに信頼性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシール装置の実施の形態の第1例を組み込んだディスクブレーキの1例を示す断面図。
【図2】図1のA部拡大断面図。
【図3】シールブーツを取り出して示す断面図。
【図4】図3のB部拡大断面図。
【図5】芯材を示しており、(A)は図3の側方から見た正面図、(B)は(A)の右方から見た側面図。
【図6】キャリパ側係止溝とキャリパ側係止部との係合させる以前の状態で示す部分断面図。
【図7】本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。
【図8】同第3例を示す部分断面図。
【図9】同第4例を示す部分断面図。
【図10】同第5例を示す部分断面図。
【図11】従来のシール装置の第1例を組み込んだディスクブレーキを示す部分切断面図。
【図12】図11のC部拡大図。
【図13】従来のシール装置の第2例を示す、図12と同様の図。
【符号の説明】
1、1a ディスクブレーキ
2 サポート
3、3a キャリパ
4 ガイド孔
5 ガイドピン
6 ロータ
7 ブレーキパッド
8 シリンダ孔
9 ピストン
10 キャリパ爪
11 給油ポート
12 シールリング
13、13a、13b シール装置
14 ピストン側係止溝
15、15a、15b キャリパ側係止溝
16、16a、16b、16c シールブーツ
17 ピストン側係止部
18、18a、18b、18c、18d キャリパ側係止部
19 係止段部
20 係止溝
21 抑えリング
22 円筒面部
23 蛇腹部
24 芯材
25 直線部
26 円弧部
27 ガイド面部
28 シールリップ
29 直線部
30 円弧部
31 突部

Claims (5)

  1. キャリパに形成したシリンダ孔に油密に嵌装したピストンを、このシリンダ孔内への圧油の供給に基づいて押し出す事により、ブレーキパッドをロータに向け押し付けて制動を行なうディスクブレーキに組み込み、上記キャリパと上記ピストンとの間をシールすべく、上記ピストンの先端部で上記シリンダ孔から突出した部分の外周面に全周に亙って、外径側が開口する状態で形成したピストン側係止溝と、上記キャリパの一部で上記シリンダ孔の開口周囲部分に全周に亙って、内径側が開口する状態で形成したキャリパ側係止溝と、弾性材製で全体を円環状に形成され、内周縁部にピストン側係止部を、外周縁部にキャリパ側係止部を、それぞれ設けたシールブーツとを備え、上記ピストン側係止部を上記ピストン側係止溝に、上記キャリパ側係止部を上記キャリパ側係止溝に、それぞれ係止して成り、コイルばね状に巻回する事により形成され、直径を弾性的に拡縮自在な円環状の芯材を上記キャリパ側係止部の内側に、上記シールブーツの成形時にモールドしており、上記キャリパの一部で上記キャリパ側係止溝に隣接し、このキャリパ側係止溝に上記キャリパ側係止部を係止する際にこのキャリパ側係止部の外周縁が摺接する部分に、上記キャリパ側係止溝から離れるに従って内径が大きくなるガイド面部を設けているディスクブレーキ用シール装置。
  2. ガイド面部の内径が最大となる部分の内径寸法をキャリパ側係止部の自由状態での外径寸法よりも大きくしている、請求項1に記載したディスクブレーキ用シール装置。
  3. シールブーツの中間部外周面でキャリパ側係止部の近傍部分にシールリップを、全周に亙って形成し、このキャリパ側係止部をキャリパ側係止溝に係止した状態で上記シールリップによりガイド面部を覆う、請求項1〜2に記載したディスクブレーキ用シール装置。
  4. キャリパ側係止溝を断面形状が円弧形の曲面溝とし、キャリパ側係止部を、外周面の断面形状が凸曲面である蒲鉾型若しくは略蒲鉾形とする事により、上記キャリパ側係止溝の内面と上記キャリパ側係止部の外周面とを、ピストンの軸方向に離隔した2個所以上の位置で弾性的に当接させている、請求項1〜3の何れかに記載したディスクブレーキ用シール装置。
  5. 芯材が、シールブーツを構成する弾性材よりも硬い別種の弾性材により、直径を弾性的に拡縮自在な円環状に形成したものである、請求項1〜4の何れかに記載したディスクブレーキ用シール装置。
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