JP2023011275A - モールドパウダー - Google Patents

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Abstract

【課題】 カルシウムシリケート系結晶の晶出を抑制しつつ、Fを含有しなくても緩冷却効果を有する結晶を晶出し、鋼品質と操業安定性に優れたモールドパウダーを提供すること。【解決手段】 モールドパウダーは、Fの含有量は0.5質量%以下(0.0質量%を含む)であり、主成分としてCaOとSiO2を含み、CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)は0.65~0.83であり、B2O3の含有量は0.0~3.0質量%、Na2Oの含有量は10.0~30.0質量%、Li2Oの含有量は0.0~4.0質量%、MgOの含有量は0.0~2.0質量%、Al2O3の含有量は0.0~3.0質量%である。【選択図】 なし

Description

本開示は、鋼の連続鋳造に好適なモールドパウダーに関する。
鋼の連続鋳造プロセスでは、モールド内の溶鋼の表面にモールドパウダーが投入される。モールドパウダーは溶鋼からの熱を受けて溶融し(以下、溶融状態のモールドパウダーを「パウダースラグ」という)、溶鋼の表面を覆い、パウダースラグはモールドと凝固シェルの間隙に流れ込み、固化してスラグフィルムとなり、モールド下端から排出されて消費される。このプロセスにおけるモールドパウダーの主な役割は、(1)溶鋼の保温、(2)大気の遮断による溶鋼の酸化防止、(3)溶鋼から浮上する非金属介在物の捕捉による溶鋼の清浄化、(4)モールドと凝固シェルの間の潤滑、(5)凝固シェルからモールドへの抜熱の調整等である。
モールドパウダーの化学成分は、SiO、Al、CaO、NaO、F(フッ素)、C等を基本として、必要に応じてMgO、LiO、B,MnO等が添加される。モールドパウダーがFを含む場合、浸漬ノズルの溶損を助長したり、二次冷却帯で冷却水がスラグフィルムと接触するとFが溶出して酸性となり、二次冷却帯のロール等を溶損させたりすることがある。さらに、Fが溶出した冷却水を排出する際、環境汚染を引き起こすこともある。これらの理由からFを含まないモールドパウダーのニーズがある。
ここで、溶鋼中のC濃度が0.08~0.18%の中炭素鋼は、連続鋳造中に鋳片表面に縦割れが発生しやすい。鋳片縦割れの防止には、モールドと凝固シェルの間に流入したスラグフィルム中にカスピダイン(3CaO・2SiO・CaF)を晶出させ、凝固シェルからモールドへの抜熱速度を低下させて、凝固シェルを均一に緩冷却させることが有効である。しかし、カスピダインはFを含む。そこで、上記ニーズに従ってFを含まないモールドパウダーを使用すると、カスピダインのように凝固シェルを均一に緩冷却することができないため、鋳片縦割れを防止することができない。
そこで、特許文献1は、Fを含有しなくても緩冷却効果を有するNaO・2CaO・3SiOがスラグフィルム中に晶出するモールドパウダーを開示する。
特開2012-218042号公報
しかし、特許文献1に開示されるモールドパウダーには、鋳片縦割れの抑制効果が不十分な問題や、ブレークアウト(BO)予知のために測定しているモールド銅板温度の変動が大きく、BO予知の誤警報を起こし、また、実際にBOを起こし、生産性を阻害する問題がある。その理由として、高融点のカルシウムシリケート系結晶(例えば、CaO・SiOや2CaO・SiO等、基本組成がCaOとSiOからなる化合物)がスラグフィルム中に晶出しやすいこと、特に、主たる結晶であるNaO・2CaO・3SiOの晶出部でNaが消費されるため、その残部ではNaが不足し、カルシウムシリケート系結晶が晶出しやすくなることから、結晶相が不均一になりやすい。その結果、スラグフィルムは潤滑性や緩冷却効果の均一性が悪化するためと考えられる。
本開示は上記実状を鑑みてなされたものであり、カルシウムシリケート系結晶の晶出を抑制しつつ、Fを含有しなくても緩冷却効果を有する結晶を晶出し、鋼品質と操業安定性に優れたモールドパウダーを提供することを目的とする。
(1)本開示の一の態様は、
Fの含有量は0.5質量%以下(0.0質量%を含む)であり、
主成分としてCaOとSiOを含み、CaOのSiOに対する質量比(CaO/SiO)は0.65~0.83であり、
の含有量は0.0~3.0質量%、NaOの含有量は10.0~30.0質量%、LiOの含有量は0.0~4.0質量%、MgOの含有量は0.0~2.0質量%、Alの含有量は0.0~3.0質量%であることを特徴とするモールドパウダーに関する。
Fの含有量を0.5%以下に低減し、CaOのSiOに対する質量比(CaO/SiO)を0.65~0.83の範囲にすることにより、主としてNaO・2CaO・2SiOからなる結晶がスラグフィルム中に安定的に晶出しつつ、高融点のカルシウムシリケート系結晶の晶出が抑制される。さらに、Bの含有量を適正化することにより、カルシウムシリケート系結晶の晶出が抑制される。その理由は必ずしも明らかではないが、Bがスラグフィルム中でネットワークを形成してカルシウムシリケート系結晶のガラス化を促進することが考えられる。また、晶出するNaO・2CaO・2SiOからなる結晶は緩冷却効果を有することから、潤滑性を損なうことなく均一な緩冷却効果をスラグフィルムに与えることができる。その結果、鋳片縦割れを防止することができ、かつ、操業トラブルを発生することなく安定鋳造することができる。
(2)本開示の一の態様では、
1300℃における粘度が0.1~0.5Pa・sであり、結晶化温度が1100~1250℃であることが好ましい。これにより、パウダースラグの巻き込み欠陥が抑制され、パウダースラグのモールドと凝固シェルの間への流入量が適度に維持される。また、緩冷却効果が促進され、鋳片縦割れやモールド銅板温度の変動によるBO予知の誤警報が抑制される。さらに、凝固シェルの破断によるBOが抑制される。結果として連続鋳造が安定し、鋼品質を向上させることができる。
(3)本開示の一の態様のモールドパウダーは、C濃度が0.08~0.18%の中炭素鋼用であることが好ましい。溶鋼中のC濃度が0.08~0.18%の中炭素鋼は、鋳片表面に縦割れが発生しやすいが、本開示の一の態様のモールドパウダーを用いることにより、鋳片表面の縦割れを防止することができる。
(4)本開示の他の態様は、
スラグフィルム中に晶出する結晶が、主としてNaO・2CaO・2SiOからなり、カルシウムシリケート系結晶を含まないことを特徴とするモールドパウダーに関する。
カスピダインの融点が約1407℃であるのに対し、NaO・2CaO・3SiOの融点は1280℃と低い。低融点のNaO・2CaO・3SiOはスラグフィルム中の晶出が遅いため、緩冷却効果が得られにくく、鋳片縦割れを抑制できないと考えられる。さらに、偏析しやすく、NaO・2CaO・3SiO晶出の残部でカルシウムシリケート系結晶が晶出しやすくなると考えられる。一方、NaO・2CaO・2SiOは融点が1470℃とカスピダインの融点に近く、スラグフィルム中の晶出が速いため、偏析しにくく、NaO・2CaO・2SiO晶出の残部でカルシウムシリケート系結晶が晶出しにくくなると考えられる。その結果、スラグフィルム中に晶出する結晶が、主としてNaO・2CaO・2SiOからなり、カルシウムシリケート系結晶を含まないモールドパウダーは、潤滑性を損なうことなく、カスピダインを晶出するモールドパウダーと同等の均一な緩冷却効果が得られ、鋳片縦割れが起きにくく、優れた鋼品質と操業安定性が得られると考えられる。
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
本実施形態のモールドパウダーは、Fの含有量は0.5質量%以下(0.0質量%を含む)であり、主成分としてCaOとSiOを含み、CaOのSiOに対する質量比(CaO/SiO)は0.65~0.83であり、Bの含有量は0.0~3.0質量%、NaOの含有量は10.0~30.0質量%、LiOの含有量は0.0~4.0質量%、MgOの含有量は0.0~2.0質量%、Alの含有量は0.0~3.0質量%である。また、本実施形態のモールドパウダーは、スラグフィルム中に晶出する結晶が、主としてNaO・2CaO・2SiOからなり、カルシウムシリケート系結晶を含まない。
<F>
Fの含有量は不可避不純物に起因するものを含めて0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下である(0.0質量%を含む)。これにより、スラグフィルム中にNaO、CaO及びSiOで構成される結晶の晶出が促進されるとともに、Fによる設備の腐食や環境への悪影響が抑制される。
<CaO、SiO
モールドパウダーは主成分としてCaOとSiOを含む。CaOのSiOに対する質量比(CaO/SiO)は好ましくは0.65~0.83であり、より好ましくは0.70~0.80である。質量比(CaO/SiO)が0.65以上でスラグフィルム中に主としてNaO・2CaO・2SiOからなる結晶の晶出が促進され、高い緩冷却効果が得られる。一方、質量比(CaO/SiO)が0.83以下でダイカルシウムシリケートやゲーレナイト等といった高融点のカルシウムシリケート系結晶の晶出が抑制される。
主成分の原料としては、一般にモールドパウダーに用いられるものであれば特に制限はなく、CaO-SiO基材原料やシリカ原料を用いることができる。CaO-SiO基材原料としては、例えば、フライアッシュ、ポルトランドセメント、合成珪酸カルシウム、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、高炉スラグ、リンスラグ、ダイカルシウムシリケート、石灰石、生石灰等のセメント類等を用いることができる。シリカ原料としては、例えば、珪砂、珪藻土、ガラス粉、長石、珪石、パーライト、シリカフューム、シリカフラワー、フライアッシュ等を用いることができる。これらの原料を配合して質量比(CaO/SiO)を調整する。
<B
の含有量は0.0~3.0質量%であり、より好ましくは0.0~1.0質量%である。Bはモールドと凝固シェルの間へのパウダースラグの流入性を向上させ、モールドと凝固シェルの焼き付きを抑制する効果がある。また、スラグフィルム中の高融点のカルシウムシリケート系結晶の晶出が抑制され、潤滑性や緩冷却効果の均一性が適度に維持される。カルシウムシリケート系結晶の晶出が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、Bがスラグフィルム中でネットワークを形成してカルシウムシリケート系結晶のガラス化を促進することが考えられる。一方、Bの含有量が3.0質量%以下で溶鋼への拡散による鋼特性の変化が抑制される。また、パウダースラグの表面張力が適度に高く維持され、パウダースラグの巻き込み欠陥が抑制される。Bの含有量が過剰な場合はスラグフィルムのガラス化が促進され、十分な緩冷却効果が得られない。B原料としては、硼砂、コレマナイト、灰硼石、プリメルト処理した合成スラグ等を用いることができる。
<NaO>
NaOの含有量は、好ましくは10.0~30.0質量%であり、より好ましくは15.0~25.0質量%である。NaOの含有量が10.0質量%以上で、主としてNaO・2CaO・2SiOからなる結晶の晶出が促進され、高い緩冷却効果が得られる。一方、NaOの含有量が30.0質量%以下でパウダースラグの粘度が適度に維持され、パウダースラグの巻き込み欠陥や浸漬ノズルの溶損が抑制される。さらに、結晶化温度が適度に維持されるため、スラグフィルム中に主としてNaO・2CaO・2SiOからなる結晶の晶出が促進され、高い緩冷却効果が得られる。
<LiO>
高速鋳造等によりパウダースラグに高い流入性が要求される場合、NaO以外のアルカリ金属酸化物のLiOを添加してもよいが、その含有量は0.0~4.0質量%であり、好ましくは0.0~2.0質量%である。LiOの含有量が4.0質量%以下でパウダースラグの粘度や表面張力が適度に維持され、パウダースラグの巻き込み欠陥が抑制される。
<MgO>
MgOの含有量は好ましくは0.0~2.0質量%であり、より好ましくは0.0~1.0質量%である。MgOの含有量が2.0質量%以下でMgO含有結晶の晶出が抑制される。さらに、鋼中のAlとの反応によるスピネルの形成が抑制され、鋼中介在物の吸収能が適度に維持される。
<Al
Alの含有量は好ましくは0.0~3.0質量%であり、より好ましくは0.0~2.0質量%である。Alの含有量が3.0質量%以下で高融点のゲーレナイトの晶出が抑制され、NaO、CaO及びSiOで構成される結晶の晶出が促進されるため、溶融性や緩冷却効果の均一性が適度に維持される。
<MnO>
MnOの含有量は好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である(0.0質量%を含む)。MnOの含有量が1.0質量%以下で溶鋼との還元反応が抑制され、溶鋼へのドロップが抑制される。さらに、還元反応に伴う溶鋼への酸素供給が抑制され、溶鋼の表面張力が適度に維持される。
<炭素>
モールドパウダーの滓化速度を調整するために炭素を添加してもよい。炭素の含有量は好ましくは10.0質量%以下である。炭素添加量が多すぎると、モールドパウダーの溶融が遅くなり、溶融スラグ層厚みが確保できず、溶鋼とモールドが直接接触することによって拘束性BOの原因になるため好ましくない。炭素原料としては、グラファイト、カーボンブラックコークス粉、黒鉛等を用いることができる。
<その他の成分>
その他の成分として、軟化点、粘度及び結晶化温度を調整するためにフラックスを添加してもよい。フラックスとしては、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩を用いることができる。また、不可避不純物として微量のFe、TiO、Cr、P、S等を含んでもよい。
<粘度>
1300℃におけるモールドパウダー(パウダースラグ)の粘度は好ましくは0.1~0.5Pa・sであり、より好ましくは0.1~0.3Pa・sである。粘度が0.1Pa・s以上でパウダースラグの巻き込み欠陥が抑制される。また、粘度低減のためのLiO、NaOの添加を抑えることができるため、NaO・2CaO・2SiOからなる結晶が晶出しやすくなる。一方、粘度が0.5Pa・s以下でパウダースラグのモールドと凝固シェルの間への流入量が適度に維持され、潤滑が適切に維持され、焼き付き等操業面での重大なトラブルを防止することができる。
<結晶化温度>
モールドパウダーの結晶化温度は好ましくは1100~1250℃であり、より好ましくは1140℃~1230℃である。結晶化温度が1100℃以上で結晶化が促進され、緩冷却効果が促進されるため、鋳片縦割れやモールド銅板温度の変動が抑制される。結晶化温度が1250℃以下で結晶層の厚さが適度に維持されるため、パウダースラグの流入量が適度に維持され、凝固シェルの破断によるBOが抑制される。
<結晶>
スラグフィルム中に晶出する結晶は、主としてNaO・2CaO・2SiOからなる結晶であり、カルシウムシリケート系結晶を含まない。カスピダインの融点が約1407℃であるのに対し、NaO・2CaO・3SiOの融点は1280℃と低い。低融点のNaO・2CaO・3SiOはスラグフィルム中の晶出が遅いため、緩冷却効果が得られにくく、鋳片縦割れを十分抑制できないと考えられる。さらに、偏析しやすく、NaO・2CaO・3SiO晶出の残部でカルシウムシリケート系結晶が晶出しやすくなると考えられる。一方、NaO・2CaO・2SiOは融点が1470℃とカスピダインの融点に近く、スラグフィルム中の晶出が速いため、偏析しにくく、NaO・2CaO・2SiO晶出の残部でカルシウムシリケート系結晶が晶出しにくくなると考えられる。その結果、スラグフィルム中に晶出する結晶が、主としてNaO・2CaO・2SiOからなり、カルシウムシリケート系結晶を含まないモールドパウダーは、潤滑性を損なうことなく、カスピダインを晶出するモールドパウダーと同等の均一な緩冷却効果が得られ、鋳片縦割れが起きにくく、優れた鋼品質と操業安定性が得られると考えられる。
<モールドパウダーの形態、用途>
モールドパウダーの原料は、既述のものを含め、一般にモールドパウダーに用いられ、かつ、上記の組成や特性を満足するものであれば特に制限はなない。モールドパウダーの形態は、一般にモールドパウダーに用いられる形態であれば特に制限はなく、例えば、粉末、押し出し成形顆粒、中空スプレー顆粒、撹拌造粒等を用いることができる。また、本実施形態のモールドパウダーは、連続鋳造中に鋳片表面に縦割れが発生しやすい、溶鋼中のC濃度が0.08~0.18%の中炭素鋼用として特に好適である。
以下、本開示の実施例について詳細に説明する。
[実験方法]
モールド内の溶鋼の表面にモールドパウダーを投入し、連続鋳造を行った。いずれの試験もスラブモールド(モールドサイズ160×2155mm)を用いた連続鋳造設備で行った。鋼種はC:0.11%、Si:0.05%、Mn:0.75%、P:0.01%、S:0.01%、鋳造速度は0.90~1.10m/minとした。モールドパウダーの組成を表1に示す。組成の単位は質量%であるが、質量比(CaO/SiO)はCaOのSiOに対する質量比であり、他の質量%表示と区別するためにカッコ書きとした。
Figure 2023011275000001
実施例1~9は本開示の実施例である。比較例1はFの含有量が多い。比較例2は質量比(CaO/SiO)が大きく、比較例3は質量比(CaO/SiO)が小さい。比較例4はBの含有量が多い。比較例5はNaOの含有量が少なく、比較例6はNaOの含有量が多い。比較例7はLiOの含有量が多い。比較例8はMgOの含有量が多い。比較例9はAlの含有量が多い。
実施例及び比較例のモールドパウダーについて、以下の評価を行った。
<粘度>
モールドパウダーの粘度は球引き上げ法により測定した。即ち、1300℃のパウダースラグ中に直径10mmの白金球を吊り下げ、0.85cm/sの速度で引き上げた時の荷重から粘度を求めた。
<結晶化温度>
モールドパウダーの結晶化温度は示差熱法により測定した。即ち、約150gのモールドパウダーを加熱して溶融した後、4℃/minで降温しながらパウダースラグの温度を測定し、発熱開始時の温度を結晶化温度とした。
<結晶>
スラグフィルム中に晶出した結晶はX線回折法により測定した。検出された結晶のうち、NaO、CaO、SiO又はCaFで構成されるものと、それらの略称等を表2に示す。
Figure 2023011275000002
<鋳片縦割れ>
鋳片表面に縦割れが発生しなかった場合を良(〇)、長さ5cm未満の鋳片縦割れが発生した場合を可(△)、長さ5cm以上の鋳片縦割れが発生した場合を不可(×)と評価した。
<操業安定性>
モールド銅板温度が安定し、BO予知警報の発生率が1%未満の場合を良(〇)、銅板温度変動が大きく、BO予知警報の発生率が1%以上3%未満の場合を可(△)、3%超の場合を不可(×)と評価した。
[評価結果]
実施例及び比較例の評価結果を表3に示す。
Figure 2023011275000003
実施例1~9はいずれもスラグフィルム中に晶出する結晶が主としてNaO・2CaO・2SiO(NC)からなり、カルシウムシリケート系結晶を検出しなかった。そして、鋳片縦割れはなく、鋼品質は良好であり、また、BO予知警報はなく、操業安定性に優れていた。なお、「スラグフィルム中に晶出する結晶が主としてNaO・2CaO・2SiO(NC)からなり」とは、スラグフィルム中に晶出する結晶の中でNaO・2CaO・2SiO(NC)のX線回折が最も強かったことを意味する。
比較例1~9はスラグフィルム中に晶出する結晶がいずれも主としてNaO・2CaO・2SiO(NC)ではない。比較例1は鋳片縦割れの発生率が高かった。F含有量が多いため、晶出結晶がカスピダインとNaO・2CaO・2SiO(NC)の共晶となって結晶化温度が低下し、緩冷却効果が低下したと考えられる。比較例2はモールド銅板温度の変動が大きく、BO予知警報の発生率が高かった。質量比(CaO/SiO)が大きいため、CSが主たる晶出結晶となって結晶が不均一に晶出し、凝固シェルが不均一に形成されたと考えられる。比較例3は鋳片縦割れの発生率がやや高かった。質量比(CaO/SiO)が小さく、NaO・2CaO・3SiOが晶出したためと考えられる。比較例4は鋳片縦割れの発生率が高かった。B含有量が多いため、結晶化温度が低下し、緩冷却効果が低下したと考えられる。比較例5はBO予知警報の発生率がやや高かった。NaO含有量が少ないため、潤滑不足になったと考えられる。比較例6はモールド銅板温度の変動が大きく、BO予知警報の発生率が高かった。また、鋳片縦割れの発生率がやや高かった。NaO含有量が多いため、結晶化温度が高くなり、パウダーフィルム中の晶出結晶量が増大し、潤滑不足になったと考えられる。比較例7は鋳片縦割れの発生率が高かった。LiO含有量が多いため、結晶化温度が低下し、緩冷却効果が低下したと考えられる。比較例8はモールド銅板温度の変動が大きく、BO予知警報の発生率が高かった。また、鋳片縦割れの発生率がやや高かった。MgO含有量が多いため、結晶化温度が高くなり、CSが主たる結晶として晶出して結晶が不均一に発達し、鋳片縦割れが発生したと考えられる。また、パウダーフィルム中の晶出結晶量が増大し、潤滑不足になり、モールド銅板温度の変動が大きくなったと考えられる。比較例9はモールド銅板温度の変動がやや大きく、BO予知警報の発生率がやや高かった。Al含有量が多いためパウダースラグの粘度が高くなり、潤滑不足からモールド銅板温度の変動が大きくなったと考えられる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。

Claims (4)

  1. Fの含有量は0.5質量%以下(0.0質量%を含む)であり、
    主成分としてCaOとSiOを含み、CaOのSiOに対する質量比(CaO/SiO)は0.65~0.83であり、
    の含有量は0.0~3.0質量%、NaOの含有量は10.0~30.0質量%、LiOの含有量は0.0~4.0質量%、MgOの含有量は0.0~2.0質量%、Alの含有量は0.0~3.0質量%であることを特徴とするモールドパウダー。
  2. 請求項1に記載のモールドパウダーにおいて、
    1300℃における粘度が0.1~0.5Pa・sであり、結晶化温度が1100~1250℃であることを特徴とするモールドパウダー。
  3. 請求項1又は2に記載のモールドパウダーが、C濃度が0.08~0.18%の中炭素鋼用であることを特徴とするモールドパウダー。
  4. スラグフィルム中に晶出する結晶が、主としてNaO・2CaO・2SiOからなり、カルシウムシリケート系結晶を含まないことを特徴とするモールドパウダー。
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