JP2022182420A - 連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を長時間鋳造する場合であっても、安定して高品質な鋳片を得ることが可能な連続鋳造用モールドパウダーを提供する。【解決手段】CaOとSiO2を主成分とし、質量比で、骨材としてのCを除いた成分を100%とした場合において、MnOの含有量が0.5%以下、Al2O3の含有量が10%以下、Na2OとLi2Oの合計含有量が6%以上15%以下、Fの含有量が10%以上24%以下、とされるとともに、〔CaO〕/〔SiO2〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされている。【選択図】なし

Description

本発明は、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に、鋳型内に供給される連続鋳造用モールドパウダー、および、この連続鋳造用モールドパウダーを用いた高Mn鋼の連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造を行う際には、鋳型内の溶鋼湯面上に連続鋳造用モールドパウダー(以下、「モールドパウダー」と記載する場合がある)が添加される。このモールドパウダーは、鋳型内の溶鋼表面において溶融して凝固殻と鋳型の間に流入する。そして、モールドパウダーは、凝固殻と鋳型との間でフィルム(パウダーフィルム)となり、一部は冷却されて固体(ガラス相や結晶相)を形成し、また、残りは融体のまま凝固殻と鋳型の間で潤滑作用を奏する。
ここで、連続鋳造時に、鋳片中にモールドパウダーが巻き込まれた場合には、その後の圧延工程等において表面疵等の欠陥の原因となる。このため、モールドパウダーの巻き込みを抑制する必要がある。
また、モールドパウダーの鋳型と凝固殻間への流入が阻害され、潤滑作用が損なわれた場合には、鋳型と凝固殻が焼き付き、鋳造後に鋳片表面の手入れが必要となる品質不良や最悪の場合にはブレークアウトの発生を招くおそれがあった。このため、モールドパウダーを鋳型壁と凝固殻の間に確実に流入させて、鋳型内において鋳片の凝固均一性を高めて、鋳型内での抜熱を安定的に制御することは非常に重要である。
また、Mnを含む鋼を連続鋳造する場合には、溶鋼中のMnとモールドパウダー中のSiOが反応し、モールドパウダー中のMnO濃度が高くなり、モールドパウダーがガラス化しやすくなる。すると、凝固殻から鋳型への抜熱が大きくなり、凝固殻の不均一凝固を助長し、縦割れ等の表面疵が発生するおそれがあった。
そこで、例えば特許文献1~3に示すように、Mn含有鋼を対象とした各種モールドパウダーが提案されている。
特開平11-254109号公報 特許第5637081号公報 特開2020-121320号公報
最近では、生産性向上の観点から、鋳造速度の高速化、および、連々鋳(多数のヒートを連続的に鋳込むこと:連続連続鋳造、略して連々鋳)回数の増加による鋳造時間の長時間化が図られており、モールドパウダーの流入性を確保し、凝固殻と鋳型との潤滑性を維持することが求められている。
ここで、上述の特許文献1~3のモールドパウダーを用いた場合、鋳型と凝固殻間へ流入した際に形成されるパウダーフィルムには、主にカスピディン(CaSi)を晶出させるように設計されている。
しかしながら、鋳造量が増加した場合には、溶鋼中のMnとモールドパウダー中のSiOとの反応がさらに進行し、モールドパウダー中のSiOが大きく減少する。するとモールドパウダーの塩基度が変化して、モールドパウダーにAlが含まれる場合には、パウダーフィルムにおいてカスピディン(CaSi)が生成せずに高融点のゲーレナイト(CaAlSiO)が生成し、モールドパウダーの鋳型と凝固殻間への流入および潤滑性が阻害され、抜熱が不均一となり、鋳片の割れが発生するおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を長時間鋳造する場合であっても、安定して高品質な鋳片を得ることが可能な連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、モールドパウダーが鋳型と凝固殻間へ流入した際に形成されるパウダーフィルムにおいて、CaFを晶出させることにより、モールドパウダー中のSiO量が減少した場合であっても、パウダーフィルムの組成に影響が少なく、安定して鋳造を行うことが可能となるとの知見を得た。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明に係る連続鋳造用モールドパウダーは、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に、鋳型内に供給される連続鋳造用モールドパウダーであって、CaOとSiOを主成分とし、質量比で、骨材としてのCを除いた成分を100%とした場合において、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10.0%以下、NaOとLiOの合計含有量が6.0%以上15.0%以下、Fの含有量が10.0%以上24.0%以下、とされるとともに、質量比で、CaO量を〔CaO〕、SiOの含有量を〔SiO〕とした場合に、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされていることを特徴とする。
ここで、各成分の含有量は、モールドパウダー中の金属元素の濃度から、その金属元素は全て酸化物として存在するとして酸化物に換算し、Fについては、モールドパウダー中のFの濃度の値をそのまま用い、これらの金属元素の酸化物への換算値とFの値との合計を100%とした濃度である。例えば、Si、Ca、Al、O、Fから成るモールドパウダーの場合、モールドパウダーの中のSi、Ca、Al、Fのそれぞれの濃度をそれぞれ%Si、%Ca、%Al、%Fとし、WSiO2、WCaO、WAl2O3、Wを以下とすると、
SiO2=%Si×MSiO2/MSi
CaO=%Ca×MCaO/MCa
Al2O3=%Al×MAl2O3/(MAl×2)
=%F
SiOの濃度は、WSiO2/(WSiO2+WCaO+WAl2O3+W)×100で表される。
CaOの濃度は、WCaO/(WSiO2+WCaO+WAl2O3+W)×100で表される。
Alの濃度は、WAl2O3/(WSiO2+WCaO+WAl2O3+W)×100で表される。
Fの濃度は、W/(WSiO2+WCaO+WAl2O3+W)×100で表される。
ここで、MSiO2、MCaO、MAl2O3はそれぞれ、SiO、CaO、Alの分子量、MSi、MCa、MAlはそれぞれSi、Ca、Alの原子量である。
本発明の連続鋳造用モールドパウダーにおいては、上述のような組成とされているので、パウダーフィルムにはCaFが晶出することになり、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に使用して、モールドパウダー中のMnO量が増加し、SiO量が低下しても、パウダーフィルムの組成が大きく影響されず、長時間安定して鋳造を行うことが可能となる。
また、質量比で、CaO量を〔CaO〕、SiOの含有量を〔SiO〕とした場合に、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされ、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10.0%以下、とされているので、モールドパウダー中のMnO量が増加し、SiO量が低下しても、塩基度を適切な範囲に維持することができ、凝固時に高融点のゲーレナイトが生成することを抑制でき、流入性や潤滑性を安定して向上させることが可能となる。
本発明に係る高Mn鋼の連続鋳造方法は、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する高Mn鋼の連続鋳造方法であって、上述の連続鋳造用モールドパウダーを鋳型内に供給することを特徴としている。
この構成の高Mn鋼の連続鋳造方法においては、上述の連続鋳造用モールドパウダーを鋳型内に供給しているので、パウダーフィルムにはCaFが晶出することになり、長時間鋳造してモールドパウダー中のSiO量が減少した場合であっても、パウダーフィルムに主として晶出する結晶相は変化することなく、長時間安定して鋳造を行うことが可能となる。
上述のように、本発明によれば、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を長時間鋳造する場合であっても、安定して高品質な鋳片を得ることが可能な連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態である連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーは、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に、鋳型内に供給されるものである。
本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーは、CaOとSiOを主成分とし、質量比で、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10.0%以下、NaOとLiOの合計含有量が6.0%以上15.0%以下、Fの含有量が10.0%以上24.0%以下、とされるとともに、質量比で、CaO量を〔CaO〕、SiOの含有量を〔SiO〕とした場合に、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内、とされている。
なお、本実施形態においては、CaOとSiOの合計含有量が、質量比で、50.0%以上とされている。
また、不可避不純物として、例えばS、FeO等を含むことがある。これら不可避不純物は質量比で1.5%以下に制限することが好ましい。
なお、本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーにおいては、凝固点が980℃以上1200℃以下とされていることが好ましい。
また、本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーにおいては、1300℃における粘度が0.6Pa・s以下であることが好ましい。
以下に、本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーの組成等について、上述のように規定した理由について説明する。
<〔CaO〕/〔SiO〕>
本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーにおいては、CaO量〔CaO〕とSiO量〔SiO〕の質量比〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度を0.50以上1.00以下に設定している。
ここで、本実施形態においては、塩基度:〔CaO〕/〔SiO〕を1.00以下とし、SiO量を確保しているので、溶鋼中のMnによりモールドパウダー中のSiOの比率が減少した場合であっても、高融点の結晶が生成することを抑制できる。
また、塩基度:〔CaO〕/〔SiO〕を0.50以上としているので、ガラス質のモールドパウダーとなることを抑制でき、凝固殻から鋳型への抜熱が抑えられ、鋳片の表面割れの発生を抑制することができる。
なお、〔CaO〕/〔SiO〕の下限は0.55とすることが好ましい。また、〔CaO〕/〔SiO〕の上限は0.95とすることが好ましい。
<MnOの含有量>
質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する場合、溶鋼中のMnとモールドパウダー中のSiOとが反応してMnOが生成する。モールドパウダーのMnOの含有量が増加すると、鋳型と凝固殻との間に生成するパウダーフィルムがガラス化しやすくなり、冷却が不均一となって鋳片表面に割れが生じやすくなる。
このため、本実施形態では、モールドパウダー中のMnOは不可避不純物分であり、その含有量の上限は0.5%である。
<Alの含有量>
モールドパウダーに含有されるAlが多いと、塩基度が高い状態ではゲーレナイトが生成しやすくなる。また、MgOと共存する状態ではMgAlOが生成しやすくなる。これらが生成することで、スラグリムが肥大化し、潤滑不良となり、鋳片の割れや焼き付きが生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、モールドパウダー中のAlの含有量を、質量比で10.0%以下としている。
なお、モールドパウダー中のAlの含有量の上限は8.5%とすることが好ましい。また、モールドパウダー中のAlの含有量の下限に特に制限はない。
さらに、上述のMgAlOの生成を抑制するためには、MgOの含有量の上限は7.0%とすることが好ましい。
<NaOとLiOの合計含有量>
モールドパウダーに含有されるNaOとLiOが少ない場合には、モールドパウダーの凝固点が高くなり、潤滑不良となって、鋳片の割れや焼き付きが生じるおそれがある。一方、モールドパウダーに含有されるNaOとLiOが多いと、鋳型と凝固殻との間に生成するパウダーフィルムがガラス化しやすくなり、冷却が不均一となって鋳片表面に割れが生じやすくなる。
そこで、本実施形態では、モールドパウダー中のNaOとLiOの合計含有量を、質量比で6.0%以上15.0%以下としている。凝固点を下げる効果やガラス化を促進する効果は、同一含有量では同等であり、NaOとLiOとのどちらか一方のみが含まれても構わない。
なお、NaOとLiOの合計含有量の上限は13.0%とすることが好ましい。また、NaOとLiOの合計含有量の下限は8.0%とすることが好ましい。
<Fの含有量>
モールドパウダーに含まれるFが少ない場合には、モールドパウダーの凝固点が高くなり、潤滑不良となって、鋳片の割れや焼き付きが生じるおそれがある。一方、モールドパウダーに含有されるFが多いと、浸漬ノズルの溶損が大きくなり、安定して鋳造を行うことができないおそれがある。また、NaFの揮発による組成変化が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、モールドパウダー中のFの含有量を10.0%以上24.0%以下としている。
なお、Fの含有量の上限は22.0%とすることが好ましい。また、Fの含有量の下限は12.0%とすることが好ましい。
<凝固点>
本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、凝固点を980℃以上とすることにより、凝固殻から鋳型への抜熱が必要以上に大きくなることを抑制でき、鋳片表面における割れや凹みの発生を抑制することができる。一方、凝固点を1200℃超とすることにより、潤滑不良となり、鋳片の割れや焼き付きが発生するおそれがある。
このため、本実施形態においては、連続鋳造用モールドパウダーの凝固点を980℃以上1200℃以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーの凝固点の上限は1180℃とすることがさらに好ましい。一方、本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーの凝固点の下限は1000℃とすることがさらに好ましい。
<粘度>
本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、1300℃における粘度が0.6Pa・s以下の場合には、モールドパウダーの流入性や潤滑性を十分に確保することができる。
このため、本実施形態においては、1300℃における粘度を0.6Pa・s以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーの1300℃における粘度の上限は0.4Pa・sとすることがさらに好ましい。一方、本実施形態の連続鋳造用モールドパウダーの1300℃における粘度の下限に特に制限はないが、モールドパウダーの過流入や巻き込みを懸念する場合には、1300℃における粘度の下限は0.1Pa・sとすることが好ましい。
そして、本実施形態である高Mn鋼の連続鋳造方法においては、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を対象とし、上述した本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーを用いる。凝固殻と鋳型の間に生成するパウダーフィルムにはCaFが晶出することになる。
なお、鋳型内の溶鋼の上に形成されるモールドパウダーの溶融層厚さが5mm以上20mm以下の範囲内となるように、モールドパウダーを添加することが好ましい。
以上のような構成とされた本実施形態である連続鋳造用モールドパウダーによれば、CaOとSiOを主成分とし、質量比で、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10.0%以下、NaOとLiOの合計含有量が6.0%以上15.0%以下、Fの含有量が10.0%以上24.0%以下、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされているので、パウダーフィルムにはCaFが晶出することになり、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に使用して、モールドパウダー中のMnO量が増加し、SiO量が低下しても、パウダーフィルムに主として晶出する結晶相は変化することなく、長時間安定して鋳造を行うことが可能となる。
また、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされ、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10.0%以下、とされているので、モールドパウダー中のMnO量が増加し、SiO量が低下しても、塩基度を適切な範囲に維持することができ、凝固時に高融点のゲーレナイトが生成することを抑制でき、流入性や潤滑性を安定して向上させることが可能となる。
そして、本実施形態である高Mn鋼の連続鋳造方法においては、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に、上述の連続鋳造用モールドパウダーを用いているので、パウダーフィルムにはCaFが晶出することになり、モールドパウダー中のMnO量が増加し、SiO量が低下しても、パウダーフィルムに主として晶出する結晶相は変化することなく、長時間安定して鋳造を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態である連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(実施例)
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
連続鋳造設備を用いて、表1に示す組成の高Mn鋼の連続鋳造を行った。なお、鋳造条件としては、鋳片厚さ250mm、鋳片幅1200mm、定常鋳造速度を1.2m/minとした。
このとき、鋳型内に添加する連続鋳造用モールドパウダーとして、表2に記載されたモールドパウダーを用いた。なお、本実施例では、表2に示す組成のモールドパウダー100%に対して、溶解速度調整用の骨材としてのCを質量比で3.0%添加した。
鋳造を最長4時間実施し、鋳片の表面欠陥(割れ)の有無を目視で確認した。評価結果を表2に示す。なお、表2においては、割れが確認されなかったものを「無」、割れが確認されたがスカーフで除去可能な場合を「微小」、割れが確認されたがスカーフで除去できない場合を「有」と標記した。
なお、各種連続鋳造用モールドパウダーの1300℃での粘度は、回転円筒法を用いて測定した。測定対象の連続鋳造用モールドパウダーを坩堝に装入し1400℃にて10~15分間予備溶解した後に、縦型管状炉(発熱体はSiC)に入れ、E型粘度計のローターを溶融パウダー中に浸漬し、1300℃で30分間安定させた後、ローターを回転させ粘性抵抗によるトルクを測定し粘度を求める。なおE型粘度計は事前に標準粘度液にて校正しておくことが重要である。
また、連続鋳造用モールドパウダーの凝固点は、回転粘度計にてパウダーを溶融した後の冷却過程で、5℃おきに粘度を測定し、粘度が大きく上昇した温度とした。
さらに、鋳造後に鋳型内から回収したパウダーフィルムについて、XRD測定を実施した。そして、最もピークが高かった結晶について表2に記載した。
Figure 2022182420000001
Figure 2022182420000002
比較例1においては、Alの含有量が22.0%、Fの含有量が6.5%と、いずれも本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用したが、スカーフで除去できない割れが発生した。また、パウダーフィルムの結晶はCaSiであった。
比較例2においては、Alの含有量が20.0%、Fの含有量が4.1%、NaOとLiOの合計含有量が3.0%と、いずれも本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用したが、鋳造中にスラグリムが肥大化したため、鋳造を中止した。また、パウダーフィルムの結晶はCaSiであった。
比較例3においては、Alの含有量が18.0%、Fの含有量が6.8%、NaOとLiOの合計含有量が5.5%、〔CaO〕/〔SiO〕が1.22と、いずれも本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用したが、鋳造中にスラグリムが肥大化したため、鋳造を中止した。また、パウダーフィルムの結晶はCaSiであった。
比較例4においては、Fの含有量が9.0%、〔CaO〕/〔SiO〕が0.45と、いずれも本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用したため、スカーフで除去できない割れが発生した。鋳造後に鋳型内から回収したパウダーフィルムのXRD測定で最もピークが高い結晶はCaFであったものの、主としてガラス質であり、凝固殻から鋳型への抜熱が不均一になったことが、スカーフで除去できない割れが発生した原因と考えられる。
比較例5においては、NaOとLiOの合計含有量が16.0%と、本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用したため、スカーフで除去できない割れが発生した。鋳造後に鋳型内から回収したパウダーフィルムのXRD測定で最もピークが高い結晶はCaFであったものの、主としてガラス質であり、凝固殻から鋳型への抜熱が不均一になったことがスカーフで除去できない割れが発生した原因と考えられる。
比較例6においては、Fの含有量が26.3%、〔CaO〕/〔SiO〕が1.40と、本発明の範囲を外れたモールドパウダーを使用した。鋳造後に鋳型内から回収したパウダーフィルムのXRD測定で最もピークが高い結晶はCaFであったが、Fの含有量が高いため、浸漬ノズルの溶損が激しく、鋳造を中止した。
これに対して、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内、MnOの含有量が0.5%以下、Alの含有量が10%未満、NaOとLiOの合計含有量が6.0%以上15.0%以下、Fの含有量が10.0%以上24.0%以下、とされた本発明例1~6においては、割れの発生が抑制されており、安定して鋳造を行うことができた。特に、本発明例1~3においては、割れの発生を防止することができた。また、これら本発明例1~6においては、いずれもパウダーフィルムの結晶はCaFであった。
以上のことから、本発明例によれば、質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を長時間鋳造する場合であっても、安定して高品質な鋳片を得ることが可能な連続鋳造用モールドパウダー、および、高Mn鋼の連続鋳造方法を提供可能であることが確認された。

Claims (2)

  1. 質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する際に、鋳型内に供給される連続鋳造用モールドパウダーであって、
    CaOとSiOを主成分とし、
    質量比で、骨材としてのCを除いた成分を100%とした場合において、
    MnOの含有量が0.5%以下、
    Alの含有量が10.0%以下、
    NaOとLiOの合計含有量が6.0%以上15.0%以下、
    Fの含有量が10.0%以上24.0%以下、
    とされるとともに、
    質量比で、CaO量を〔CaO〕、SiOの含有量を〔SiO〕とした場合に、〔CaO〕/〔SiO〕である塩基度が0.50以上1.00以下の範囲内とされていることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー。
  2. 質量比で、Mnを10%以上30%以下の範囲で含む高Mn鋼を連続鋳造する高Mn鋼の連続鋳造方法であって、
    請求項1に記載の連続鋳造用モールドパウダーを鋳型内に供給することを特徴とする高Mn鋼の連続鋳造方法。
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