JP2023004077A - 冷菓及びその製造方法 - Google Patents

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爽也華 田山
Sayaka Tayama
亮介 渡邊
Ryosuke Watanabe
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Abstract

【課題】固形分が少ない冷菓の食感を改善する。【解決手段】HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、固形分の含有量が40質量%以下であり、タンパク質の含有量が0.15質量%以下であり、オーバーランが10%以上である冷菓本体を備える、冷菓。【選択図】なし

Description

本発明は、冷菓及びその製造方法に関する。
固形分が少ない冷菓の食感を改善する方法として、フリージング工程で気泡を含有させる方法が知られている。
特許文献1の実施例には、気泡安定剤としてタンパク質類(ゼラチン又は卵白)及び増粘多糖類(ペクチン)を添加した原料液をフリージングして、オーバーランが70~110%、温度が-6℃の部分凍結物を得て、これをカップに充填し、-20℃で硬化して、ソフトな食感を有するシャーベットを製造した例が記載されている。
特許第3371063号公報
タンパク質は起泡性に寄与するが、アレルギー対策の点からは含有しない方が好ましい。
本発明者等の知見によれば、タンパク質を使用しなくても、部分凍結物の温度をより低くすることによって、部分凍結物のオーバーランを高めることはできる。
しかしながら、部分凍結物をモールド(成形型)に充填して硬化させるモールド法にあっては、部分凍結物の温度が低すぎると流動性が不充分となり、モールド内に空隙が発生して形状不良となる場合がある。
このような事情から、特にモールド法においては、固形分が少ない冷菓の食感を、タンパク質類を使用せずに改善することは容易でない。
本発明は、固形分が少ない冷菓の食感を改善することを課題とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、固形分の含有量が40質量%以下であり、タンパク質の含有量が0.15質量%以下であり、オーバーランが10%以上である冷菓本体を備える、冷菓。
[2] 前記冷菓本体が、さらに乳化剤(HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)を含む、[1]の冷菓。
[3] 前記冷菓本体が、さらに安定剤を含む、[1]又は[2]の冷菓。
[4] 前記冷菓本体に対して、脂肪の含有量が1質量%以下である、[1]~[3]のいずれかの冷菓。
[5] 前記冷菓本体の外側に一体的に設けられたシェル層を有する、[1]~[4]のいずれかの冷菓。
[6] HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、固形分の含有量が25~40質量%、タンパク質の含有量が0.15質量%以下である原料液を、フリージングして気泡を含む冷菓本体用部分凍結物を得て、前記冷菓本体用部分凍結物を充填し、硬化する、冷菓の製造方法。
[7] 前記冷菓本体用部分凍結物を、モールド内に充填し、硬化し、脱型する、[6]の冷菓の製造方法。
[8] 前記冷菓本体用部分凍結物を前記モールド内に充填する前に、前記モールド内にシェル層を形成する、[7]の冷菓の製造方法。
[9] 前記冷菓本体用部分凍結物の充填温度を-3.5~-3.0℃とする、[6]~[8]のいずれかの冷菓の製造方法。
[10] 前記冷菓本体用部分凍結物のオーバーランを10~100%とする、[6]~[9]のいずれかの冷菓の製造方法。
本発明によれば、固形分が少ない冷菓の食感を改善できる。
実施例、比較例の結果を示すグラフである。 実施例、比較例の結果を示すグラフである。
本明細書において以下の定義が適用される。
本発明における冷菓は、一般的な「冷菓」に分類されるもの、及びフローズンヨーグルトを含む。「冷菓」は、具体的には、アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)、氷菓を挙げることができる。
アイスクリーム類とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって乳固形分3.0%以上を含むもの(はっ酵乳を除く)をいう。アイスクリーム類は、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分類される。
一方、乳固形分3.0%未満のものは、前記アイスクリーム類ではなく、食品衛生法に基づく厚生省告示「食品、添加物等の規格基準」により、氷菓として規定されている。
また、フローズンヨーグルトは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令により、種類別「発酵乳」に分類される。発酵乳は「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」と定められ、成分規格は、「無脂乳固形分8.0%以上、乳酸菌数又は酵母数1000万/mL以上」と規定されている。フローズンヨーグルトは、凍結した発酵乳に該当する。
本発明における冷菓は、氷菓、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、フローズンヨーグルトのいずれであってもよい。氷菓が好ましい。
凍結点は、特に断りのない限り、液状にした試料を雰囲気温度-25℃で冷却しながら品温を経時的に測定し、液体が固体になる際の発熱反応により温度が下降しないポイント(凝固点)における温度である。
「モールド法で成形した」とは、モールド(成形型)内で硬化したことを意味する。
「硬化」とは、水分が凍結し流動性を失った状態になることを意味する。
「フリージング」とは、低温で撹拌しながら氷結晶を増加させる操作を意味する。
「部分凍結物」は、氷結晶を含み、流動性を有するものを意味する。
オーバーラン(以下、「OR」とも記載する。)は、空気を含有させる前の容量に対する、含有空気容量の百分率の値である。例えばオーバーランが100%の場合、空気を含有させる前と同容量の空気を含むことを意味する。
「~」で表される数値範囲は、特に断りのない限り、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
タンパク質の含有量(質量%)は、燃焼法により測定する。
脂肪の含有量(質量%)は、レーゼ・ゴットリーブ法により測定する。
固形分は、水分以外の成分である。固形分の含有量(質量%)は、常圧加熱乾燥法により測定された水分の含有量(質量%)から算出する(算出式:100-水分の含有量(質量%)=固形分の含有量)。
氷結晶の直径は、光学顕微鏡の観察画像における氷結晶の円相当径である。光学顕微鏡の視野内で確認した氷結晶の数、及び全ての氷結晶の面積を測定し、平均直径を求める。1つの視野内で確認される氷結晶の数が100未満である場合は、前記氷結晶の総数が100を超えるまで視野の数を増やす。
直径は、2×√(測定した面積/π)で算出する。
平均直径は、直径の算術平均である。
HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、親水性と親油性の程度を表す指標となるものであり、エステル系乳化剤のHLBはアトラス法により算出することができる。例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルのアトラス法によるHLBは、下記式から算出される。
HLB=20(1-S/A)
S:ポリグリセリン脂肪酸エステルのけん化価
A:ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の酸価
<冷菓>
以下、本発明の冷菓の好ましい実施形態として、モールド法で成形した冷菓本体を備える冷菓を説明するが、これに限らない。
本実施形態の冷菓は、モールド法で成形した冷菓本体を備える。
本実施形態の冷菓は、冷菓本体以外に、冷菓本体と一体化した他の可食部を有してもよい。他の可食部は、モールド法で成形した可食部(例えばシェル層)でもよく、モールド法を用いずに成形した可食部(例えばコーティング層)でもよい。
本実施形態の冷菓は、冷菓本体以外に、冷菓本体と一体化した非可食部(例えば、スティック)を有してもよい。
[第1の実施形態]
本実施形態の冷菓は、ブロック状に成形された冷菓本体と、冷菓本体に挿入されたスティックを有する、アイスバー形態の冷菓である。
スティックは、その一端部が冷菓本体に挿入され、他端部は把持部として冷菓本体から突き出ている。
冷菓本体は原料液の硬化物である。
冷菓本体は、HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、(A)成分ともいう。)を含む。(A)成分のHLBの下限値は10以上が好ましく、10.5以上がより好ましく、上限値は17以下が好ましく、16以下がより好ましい。また好適な範囲は10~17であり、10~16が好ましい。(A)成分として、HLBが異なるポリグリセリン脂肪酸エステルの2種以上を併用してもよい。
(A)成分のHLBが上記の範囲内であると、オーバーランを高める効果に優れる。
冷菓本体に対して、(A)成分の含有量の下限値は0.05質量%以上、0.06質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、0.09質量%以上、0.10質量%以上、0.11質量%以上、0.12質量%以上、0.13質量%以上、0.14質量%以上、又は0.15質量%以上が好ましく、上限値は1質量%以下、0.90質量%以下、0.80質量%以下、0.70質量%以下、0.60質量%以下、0.50質量%以下、0.40質量%以下、又は0.30質量%以下が好ましい。また好適な範囲は0.05~1質量%であり、0.10~0.5質量%が好ましく、0.15~0.3質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとオーバーランを高める効果に優れる。また、シュリンクを抑制する効果(以下、シュリンク耐性ともいう)にも優れる。シュリンクとは、保存中に冷菓本体の空気が抜けて収縮する現象を意味する。
(A)成分の含有量が上記範囲の上限値以下であると、良好な風味が得られやすい。
冷菓本体は、本発明の効果を損なわない範囲で、食品分野で公知の乳化剤((A)成分を除く)を含んでもよい。
乳化剤のHLBは8~18が好ましく、10~17がより好ましく、11~16がさらに好ましい。
乳化剤の具体例としては、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等が挙げられる。乳化剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。オーバーランをより高めやすい点でショ糖脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
(A)成分と乳化剤の合計に対して、(A)成分は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上、90質量%以上が特に好ましい。100質量%でもよい。
冷菓本体は、安定剤を含んでもよい。食品分野で公知の安定剤を使用できる。例えば、増粘多糖類(ローストビーンガム、グアーガム、カラギナン、キサンタンガム、タマリンドガム、カラヤガム、ペクチン、大豆多糖類グルコマンナン、微小繊維状セルロース、ジェランガム、タラガム、発酵セルロース、サイリウムシードガム、ウェランガム、アラビアガム、プルラン)、セルロース、こんにゃく粉、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、加工でん粉、及びキサンタンガムから選ばれる1種以上が好ましい。
冷菓本体が安定剤を含む場合、冷菓本体に対する安定剤の含有量は、0.2~0.8質量%が好ましく、0.3~0.75質量%がより好ましく、0.4~0.7質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であるとオーバーランをより高める効果に優れる。上限値以下であると、良好なフレーバーリリースが得られやすい点で好ましい。
冷菓本体は、甘味料を含むことが好ましい。食品分野で公知の甘味料を使用できる。例えば、上白糖、グラニュー糖、三温糖および黒砂糖などの砂糖;水あめ、粉飴、砂糖混合異性化糖、異性化糖、蔗糖型液糖、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、転化糖、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D-キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチロール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料;が挙げられる。甘味料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
冷菓本体は、果汁を含むことが好ましい。
冷菓本体の20℃におけるpHは2~7が好ましく、3~6がより好ましく、3.5~5がさらに好ましい。冷菓本体のpHは、硬化前の原料液のpHと同じであり、冷菓本体を融解して測定できる。
冷菓本体は、必要に応じて、食塩、酸味料、香料、着色料、酒類、その他の食品添加剤を含んでもよい。
冷菓本体に対して、タンパク質の含有量は0.15質量%以下であり、0.14質量%以下、0.13質量%以下、0.12質量%以下、0.11質量%以下、0.10質量%以下、0.09質量%以下、0.08質量%以下、0.07質量%以下、0.06質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。
特に、冷菓本体が果汁を含む場合、タンパク質の含有量が低い方が、果汁による風味向上効果に優れる。
タンパク質の具体例としては、野菜由来、果実由来、卵由来、大豆由来、乳由来のタンパク質が挙げられる。また、乳由来のタンパク質としてはカゼイン、ホエイが挙げられる。卵由来のタンパク質としては卵黄由来のタンパク質、卵白由来タンパク質が挙げられる。一般に、卵黄のタンパク質含有量は16.5g/100g、卵白のタンパク質含有量は10.5g/100g(いずれも日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)である。上記のタンパク質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、合計の含有量として、0.15質量%以下、0.14質量%以下、0.13質量%以下、0.12質量%以下、0.11質量%以下、0.10質量%以下、0.09質量%以下、0.08質量%以下、0.07質量%以下、0.06質量%以下とすることが好ましい。ゼロでもよい。
冷菓本体に対して、脂肪の含有量の上限値は1質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.4質量%以下が特に好ましく、下限値はゼロでもよく、0.05質量%以上でもよく、0.1質量%以上でもよい。また好適な範囲は0.05~1質量%であり、0.1~0.4質量%が好ましい。
脂肪の含有量が上記の上限値以下であると、冷菓本体の保存中にシュリンクが生じやすく、本発明を適用することによる効果が大きい。
冷菓本体に対して、固形分の含有量(以下、単に「固形分」ともいう。)の上限値は40質量%以下が好ましく、37質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、下限値は25質量%以上が好ましく、28質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また好適な範囲は25~40質量%であり、28~37質量%が好ましく、30~35質量%がより好ましい。固形分が上記範囲の下限値以上であるとやわらかな食感が得られやすく、上限値以下であると溶けにくい。
冷菓本体の凍結点は-3.5~-2.0℃が好ましく、-3.3~-2.5℃がより好ましく、-3.0~-2.8℃がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると溶けにくく、上限値以下であると噛み出しがやわらかい食感が得られやすい。
冷菓本体は、氷の破砕物を含まないことが好ましい。冷菓本体は、原料が均一に溶解又は分散した原料液が硬化した、均質な連続相からなることが好ましい。
冷菓本体の氷結晶の平均直径は、なめらかな食感に優れる点で、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
下限は特に限定されないが、冷涼感に優れる点からは、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましい。
冷菓本体のORの下限値は10%以上であり、15%以上が好ましく、19%以上がより好ましく、上限値は107%未満が好ましく、105%以下がより好ましく、102%以下がさらに好ましい。また好適な範囲は10~105%であり、10~102%が好ましく、15~102%がより好ましく、19~102%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると軟らかい食感が得られやすく、上限値以下であると流動性が良好でモールドに充填しやすい。またシュリンクが生じ難い。
本実施形態において、冷菓本体の外面は、モールドの内面に密着した状態で硬化したモールド密着面を有する。モールド密着面には、モールドの内面形状が転写されている。
[第2の実施形態]
本実施形態の冷菓が第1の実施形態と異なる点は、冷菓本体の外側に一体的に設けられたシェル層を有する点である。冷菓本体の外側にシェル層が一体的に設けられた態様としては、冷菓本体の全体がシェル層で覆われている態様、冷菓本体の一部がシェル層で覆われている態様が例示できる。
シェル層は、シェル用原料液の硬化物である。シェル層は、原料が均一に溶解又は分散したシェル用原料液が硬化した、均質な連続相からなることが好ましい。冷菓本体とシェル層との境界付近に、両者が混ざり合った領域が存在してもよい。
シェル層は甘味料を含むことが好ましい。さらに必要に応じて、乳化剤、安定剤、果汁、食塩、酸味料、香料、着色料、酒類、その他の食品添加剤を含んでもよい。各原料の具体例は、第1の実施形態と同様のものが挙げられる。
シェル層に対して、タンパク質の含有量は0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下が好ましい。ゼロでもよい。
シェル層に対して、脂肪の含有量は1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。ゼロでもよい。
シェル層の固形分は22~36質量%が好ましく、24~32質量%がより好ましく、26~30質量%がさらに好ましい。固形分が上記範囲の下限値以上であると噛み出しがやわらかい食感が得られやすく、上限値以下であると溶けにくい。
シェル層の凍結点は-3.3~-2.0℃が好ましく、-3.0~-2.2℃がより好ましく、-2.7~-2.4℃がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると溶けにくく、上限値以下であると噛みだしがやわらかい食感が得られやすい。
シェル層の凍結点は、冷菓本体の凍結点以上であることが好ましい。シェル層の凍結点から冷菓本体の凍結点を減じた差は、0℃以上が好ましく、0.2℃以上がより好ましく、0.4℃以上がさらに好ましい。
シェル層のORは10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、ゼロでもよい。上記上限値以下であると溶けにくく、アイスの潰れを防ぐ効果が高い。
本実施形態において、シェル層と冷菓本体の合計の質量に対して、冷菓本体は30~80質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましく、50~65質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると冷菓本体の食感を楽しむことができ、上限値以下であると、シェルを設けることによる冷菓の潰れ防止効果に優れる。
本実施形態において、シェル層の外面は、モールドの内面に密着した状態で硬化したモールド密着面を有する。モールド密着面には、モールドの内面形状が転写されている。
<製造方法>
[第1の実施形態]
上記第1の実施形態の冷菓は、以下の方法で製造できる。
本実施形態の製造方法は、原料液をフリージングして、気泡を含む冷菓本体用部分凍結物(以下、単に「部分凍結物」ともいう)を得て、得られた部分凍結物をモールド内に充填し、硬化し、脱型する工程を有する。
モールド内の部分凍結物にスティックを挿入した状態で硬化させることにより、アイスバー形態の冷菓が得られる。
冷菓本体の原料液と、冷菓本体用部分凍結物と、冷菓本体とは、質量基準の組成が同じである。冷菓本体用部分凍結物のORと、冷菓本体のORとは同じである。
原料液は、冷菓本体の全原料を水に(または温水)に添加し、混合して調製する。成分が変質しない範囲(例えば80℃以下)で加温してもよい。必要に応じて原料液をろ過、均質化してもよい。原料液は常法により加熱殺菌することが好ましい。
次にフリージング工程を行う。具体的には、原料液をフリーザーに供給し、撹拌しながら気泡を含有させ、部分凍結物を得る。原料液はフリーザー内で、原料液の凍結点より低温の冷媒と間接的に接触し、氷結晶を形成する。
フリーザーに供給する際の原料液の温度(供給温度)は、高すぎると冷却に時間を要するため、かかる不都合が生じない範囲が好ましい。例えば0~10℃が好ましく、0~5℃がより好ましい。
フリーザーから排出される部分凍結物の温度は、部分凍結物をモールド内に充填する際の充填温度と同じであることが好ましい。
次に、得られた部分凍結物をモールド内に充填する。
原料液の凍結点をT℃とするとき、充填温度は(T-0.5)℃~T℃が好ましく、(T-0.3)℃~T℃がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると部分凍結物の流動性が良好でモールドに充填しやすく、形状不良が生じ難い。上限値以下であると、粗大な氷結晶の形成を抑制でき、なめらかな食感に優れる。
次いで、モールド内の部分凍結物にスティックを挿入し、公知の方法で冷却して硬化させる。
硬化後、部分凍結物の硬化物(冷菓本体)をモールドから取り出し(脱型)して、冷菓を得る。
本実施形態によれば、後述の実施例に示されるように、原料液に(A)成分を含有させることにより、フリーザーから排出される部分凍結物の温度の低下を抑えつつ、ORを高めることができる。すなわち、部分凍結物の充填適性を損なわずにORを高めることができる。したがって、タンパク質を用いなくても、冷菓本体の形状不良を防止しつつ、食感を改善することができる。
また、原料液に(A)成分を含有させることにより、得られる冷菓本体のシュリンク耐性も向上できる。
[第2の実施形態]
上記第2の実施形態の冷菓は、以下の方法で製造できる。
本実施形態の製造方法が、前記第1の実施形態の製造方法と異なる点は、冷菓本体用部分凍結物をモールド内に充填する前に、モールド内にシェル層を形成する点である。
具体的には、モールドにシェル用原料液を充填し、モールドの内面に接するシェル用原料液を硬化した後、未硬化のシェル用原料液を除去してシェル層を形成する。
シェル用原料液は、冷菓本体の原料液と同様の方法で調製できる。
シェル用原料液とシェル層とは、質量基準の組成が同じである。
シェル用原料液をモールド内に充填する際の充填温度は、高すぎると冷却に時間を要し、低すぎると所望の厚みのシェル層を形成し難いため、これらの不都合が生じない範囲が好ましい。例えば、10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。下限値はシェル用原料液の凍結点より高い温度であればよい。
シェル用原料液が充填されたモールドの外面を、所定時間だけ冷却することによって、シェル用原料液のうちモールドの内面に接する部分のみを硬化させた後、未硬化のシェル用原料液を除去してシェル層を形成する。
例えば、モールドの外面を液体又は気体の冷媒と接触させて熱交換する方法で冷却する。冷媒の種類、冷媒の温度、冷媒の流速、冷媒との接触時間等によってシェル層の厚さを調整できる。
未硬化のシェル用原料液は、例えば吸引する方法で除去できる。
モールド内にシェル層を形成した後、前記第1の実施形態の製造方法と同様にして、冷菓本体用部分凍結物をモールド内(シェルの内方)に充填し、硬化し、脱型する。これにより、冷菓本体の外側にシェル層が一体化された冷菓が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<原料>
表1に示す原料は以下の通りである。
・ホエイパウダー:無脂乳固形分95質量%。
・蔗糖型液糖:固形分68質量%。
・水あめ:固形分65質量%。
・PGFE(1):ポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB=10.5。
・PGFE(2):ポリグリセリン脂肪酸エステル、HLB=4.6。
・SE:ショ糖脂肪酸エステル、HLB=11。
・MGFE:モノグリセリン脂肪酸エステル、HLB=3.4。
・安定剤:増粘多糖類の混合物、固形分92質量%。
・果汁:濃縮レモン透明果汁。
・香料:レモンフレーバー。
・着色料:粉末。
・溶解水:水。
[例1~8]
例1は参考例、例2~5は実施例、例6~8は比較例である。
表1に示す配合で原料液を調製した。
具体的には、まず、80℃に加温した溶解水と全原料とを混合し、液温85℃に昇温し、均質化した後、10℃に冷却して原料液を得た。均質化工程では、ホモミキサー(田島化学機械社製品名「ロボミックス」)を用い、5000rpmで5分間攪拌した後、均質機(三丸機械工業社製)に通液し、全圧5MPaで均質化した。
冷却した原料液は5時間エージングして、次のフリージングに用いた。
得られた原料液の固形分、タンパク質含有量、脂肪含有量、20℃におけるpHおよび凍結点を表1に示す。
得られた原料液を、バッチ式フリーザー(富繁産業社製、5Lアイスクリームフリーザー)に2kg供給し、ダッシャー回転数220rpmでフリージングして部分凍結物を調製した。フリーザーに供給する際の原料液の温度(供給温度)を表2に示す。
フリージングを開始すると、フリーザー内の部分凍結物の温度は漸次低下し、ORは漸次上昇する。
フリージング開始後、1分毎にフリージング内の部分凍結物をサンプリングし、取り出した直後の部分凍結物の温度(「部分凍結物温度t」又は単に「t」とも記載する)とORを測定した。結果を表2に示す。なお、表2にはフリージングを開始して2分後以降の測定結果を示す。
また表2には、各例の測定結果において、部分凍結物温度tが-3℃以上であるときのORを示す。
図1、2は、例1、2、7、8の結果を、横軸を経過時間とするグラフに表したものである。図1の縦軸はOR(単位:%)、図2の縦軸は部分凍結物温度t(単位:℃)である。
Figure 2023004077000001
Figure 2023004077000002
表1、2及び図1の結果に示されるように、原料液が、HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステル((A)成分)を含む例2~5は、短い経過時間でORが高くなりやすかった。
したがって、例2~5は、部分凍結物温度tの低下を抑えつつ、すなわち部分凍結物の流動性の低下を抑えつつ、ORを高めることができる。例えば、好適な充填温度が-3℃以上である場合、表2、図2の結果に示されるように、例2~5は、部分凍結物温度tが-3℃以上で取り得るORの値が高いため、冷菓本体の形状不良を防止しつつ食感を向上させるのに好適である。
具体的に、例2~5において、部分凍結物温度tが-3℃以上であるときに、ORがとり得る範囲の上限値は10%以上であった。
例2~5のなかでも、例2~4は例5に比べて、冷菓本体の風味に優れていた。
なお、例1はホエイパウダー(タンパク質)を含む参考例であるが、驚くべきことに、ホエイパウダーを含まない例2の方が、例1よりORを高める効果が高かった。
[例2-A~例2-F、例8-A]
例2において、フリージング時間(経過時間)を変更することによって、表3に示すOR及び部分凍結物温度tの冷菓本体用部分凍結物を得た。
例8において、フリージング時間(経過時間)を8分として、表3に示すOR及び部分凍結物温度tの冷菓本体用部分凍結物を得た。
得られた冷菓本体用部分凍結物を用い、下記の方法で冷菓本体の外側にシェル層を有する冷菓を製造し、下記の方法で体積変化率(%)を測定してシュリンク耐性を評価した。結果を表3に示す。
<シェル層を有する冷菓の製造方法(モールド法)>
表4に示す原料は以下の通りである。
・蔗糖型液糖:固形分68質量%。
・水あめ:固形分65質量%。
・安定剤:増粘多糖類の混合物、固形分91.4質量%。
・果汁:濃縮レモン透明果汁。
・香料:レモンフレーバー。
・着色料:粉末。
・溶解水:水。
表4に示す配合でシェル用原料液を調製した。
具体的には、まず、80℃に加温した溶解水と全原料とを混合し、液温85℃に昇温し、均質化した後、10℃に冷却してシェル用原料液を得た。得られたシェル用原料液の31gを、開口部が42mm×17mmの長方形で深さが127mmのモールド内へ充填し、このモールドを-35℃の不凍液に浸漬した。モールドの内面に接触している部分が約5mmの厚さに硬化した時点で、内部の未硬化のシェル用原料液を吸引して除去し、シェル層を形成した。
次いで、シェル層の内方に、上記で得た冷菓本体用部分凍結物の49gを充填し、-35℃に冷却して硬化させた。硬化物をモールドから取り出して、冷菓本体の外側にシェル層が一体化した冷菓を得た。
各例の冷菓において、冷菓本体の氷結晶の平均直径は50~300μmの範囲内であることを確認した。
<シュリンク耐性試験>
冷菓のシュリンク耐性を下記の方法で評価した。
予め冷菓の製品長を測定した。モールドに、製品長と同じ高さまで水を入れ、体積を算出した。
冷菓を、所定の温度サイクルに設定された恒温槽(ナガノサイエンス社製 エコナスCH43-15P)に3週間入れ、取り出した。恒温槽は6時間かけて-8℃から-18℃まで一定の降温速度で降温し、その後、6時間かけて-18℃から-8℃まで一定の昇温速度で昇温するように設定した。
取り出し後、冷菓を水に浸けて重量を測定し、体積に換算した。試験前後の体積差から、体積変化率(%)を算出した。下記の基準でシュリンク耐性を評価した。
(評価基準)
○:体積変化率が5%未満。
△:体積変化率が5%以上、10%未満。
×:体積変化率が10%以上。
Figure 2023004077000003
Figure 2023004077000004
表3の結果に示されるように、ORが高いとシュリンクが大きくなりやすい傾向があるが、(A)成分を含む例2の配合では、ORが107%未満までシュリンク耐性が「○」であった。
一方、(A)成分を含まない例8の配合では、ORが20%でもシュリンクが「△」となった。

Claims (10)

  1. HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、固形分の含有量が40質量%以下であり、タンパク質の含有量が0.15質量%以下であり、オーバーランが10%以上である冷菓本体を備える、冷菓。
  2. 前記冷菓本体が、さらに乳化剤(HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)を含む、請求項1に記載の冷菓。
  3. 前記冷菓本体が、さらに安定剤を含む、請求項1又は2に記載の冷菓。
  4. 前記冷菓本体に対して、脂肪の含有量が1質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷菓。
  5. 前記冷菓本体の外側に一体的に設けられたシェル層を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷菓。
  6. HLBが8~18のポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、固形分の含有量が25~40質量%、タンパク質の含有量が0.15質量%以下である原料液を、フリージングして気泡を含む冷菓本体用部分凍結物を得て、前記冷菓本体用部分凍結物を充填し、硬化する、冷菓の製造方法。
  7. 前記冷菓本体用部分凍結物を、モールド内に充填し、硬化し、脱型する、請求項6に記載の冷菓の製造方法。
  8. 前記冷菓本体用部分凍結物を前記モールド内に充填する前に、前記モールド内にシェル層を形成する、請求項7に記載の冷菓の製造方法。
  9. 前記冷菓本体用部分凍結物の充填温度を-3.5~-3.0℃とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の冷菓の製造方法。
  10. 前記冷菓本体用部分凍結物のオーバーランを10~100%とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の冷菓の製造方法。
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