JP2022516510A - ウステキヌマブの生成方法 - Google Patents

ウステキヌマブの生成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022516510A
JP2022516510A JP2021538215A JP2021538215A JP2022516510A JP 2022516510 A JP2022516510 A JP 2022516510A JP 2021538215 A JP2021538215 A JP 2021538215A JP 2021538215 A JP2021538215 A JP 2021538215A JP 2022516510 A JP2022516510 A JP 2022516510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ustekinumab
glycans
cells
glycan
range
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021538215A
Other languages
English (en)
Inventor
ザン,ル
Original Assignee
モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド filed Critical モメンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
Publication of JP2022516510A publication Critical patent/JP2022516510A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/24Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against cytokines, lymphokines or interferons
    • C07K16/244Interleukins [IL]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/10Immunoglobulins specific features characterized by their source of isolation or production
    • C07K2317/14Specific host cells or culture conditions, e.g. components, pH or temperature
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/21Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin from primates, e.g. man
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/40Immunoglobulins specific features characterized by post-translational modification
    • C07K2317/41Glycosylation, sialylation, or fucosylation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/76Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブ生成物を製造する方法が記載される。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年12月31日出願の米国仮特許出願第62/786,821号の利益を主張するものである。
(配列表)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出済みであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている配列表を含む。上記ASCIIコピーは、2019年12月20日に作成され、名称はM0168PCT_SL.txtであり、サイズは6,036バイトである。
治療用抗体は、治療用生物学的製品の重要な分類である。抗体のグリコシル化及びグリカンの組成は、抗体活性及びエフェクター機能に影響を及ぼし得る。抗体生成物のグリカンプロファイルを制御するための改善された方法が依然として必要とされている。
本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを生成(例えば、製造)するためのプロセスレバーを提供する。本開示は、培養培地中のガラクトース濃度と培養の時間との間の関係を、培養物中のウステキヌマブの1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、ガラクトシル化)の標的レベルを制御するためのプロセスレバーとして使用することができるという洞察を提供する。本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベル(例えば、ガラクトシル化)の制御における、培養時間と培養培地中のガラクトース濃度との間の反比例関係を識別する。
特定の態様では、本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを製造する方法を提供する。このような方法は、ウステキヌマブ試験タンパク質(例えば、ウステキヌマブ原薬、例えば、ウステキヌマブ原薬の調製物、例えば、試験ウステキヌマブ原薬のバッチ)を提供(例えば、生成、発現(例えば、小規模又は大規模の細胞培養において)、及び/若しくは製造)、又は入手(第三者(例えば、契約上関係する第三者若しくは契約上無関係の(例えば、独立した)第三者を含む)から受領及び/若しくは購入)することを含み得る。
いくつかの例では、本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを含む医薬組成物を製造する方法であって、ガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を選択すること(ここで、ガラクトースのレベルと時間とは反比例している)、選択されたガラクトースのレベル及び時間を含む条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること、細胞の集団が発現したウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブの調製物を生成すること、及び調製物が1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを満たす場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブを含む医薬組成物を生成すること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0F、シアリル化グリカン、及びG2Fからなる群から選択されるグリカンの標的レベルである。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0Fの標的レベルである。
いくつかの例では、本開示は、G0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを含む医薬組成物を製造する方法であって、G0Fグリカンの標的レベルを選択すること、ガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を選択して、選択されたG0Fグリカンの標的レベルを提供すること(ここで、ガラクトースのレベルと時間とは反比例している)、選択されたガラクトースのレベル及び時間を含む条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること、細胞の集団が発現したウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブの調製物を生成すること、及び調製物がG0Fグリカンの標的レベルを満たす場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブを含む医薬組成物を生成すること、を含む、方法を提供する。
いくつかの例では、本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブ薬物製品を生成する方法であって、選択されたガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を含むパラメータによって特徴付けられる条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること(ここで、ガラクトースのレベルと時間は反比例している)、細胞が発現したウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブ調製物を生成すること、及びウステキヌマブ調製物が1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを満たす場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブ薬物製品を生成すること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0F、シアリル化グリカン、及びG2Fからなる群から選択されるグリカンの標的レベルである。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0Fの標的レベルである。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞の集団を培養することを含む。いくつかの実施形態では、哺乳類細胞は、CHO細胞、HEK 293細胞、線維肉腫HT 1080細胞、PER.C6細胞、CAP細胞、HKB-11細胞、HuH-7細胞、NS0細胞、及びSP 2/0細胞から選択される。
いくつかの実施形態では、提供される方法では、培養工程は、連続培養プロセスを使用して実施される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、灌流培養プロセス(例えば、交互タンジェンシャルフローフィルタ(ATF)ベースの灌流培養プロセス)を使用して実施される培養を含む。いくつかの特定の実施形態では、提供される方法は、灌流培養プロセスによって、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞(例えば、ウステキヌマブを発現するSP 2/0細胞)を培養することを含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、細胞培養の時間の時間範囲内の2回以上の時点で、細胞が発現したウステキヌマブを収集することを含む。
いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内である。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して25%~65%G0Fの範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベルを含み、細胞培養の時間は、7日~15日の範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベルと、16日~60日の範囲内である細胞培養の時間を含む。いくつかの特定の実施形態では、細胞培養の時間は、25日~42日の範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、G0Fグリカンの標的レベルを選択することを含む。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内である。いくつかの特定の実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内であり、方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベルと、7日~15日の範囲内である細胞培養の時間と、を含む。いくつかの特定の実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内であり、方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベルと、16日~60日の範囲内である細胞培養の時間と、を含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法では、選択されたガラクトースのレベルは、培養工程全体にわたって制御される(例えば、t=0から収集までの培養中制御される)。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、G0Fグリカンの標的レベルを測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの測定されたレベルが、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内(例えば全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内、例えば全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内)である場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化する工程を実施する。
本発明のこれら及び他の態様を、以下及び特許請求の範囲により詳細に説明する。
以下の図で構成される、本明細書に含まれる図面は、例示目的のためだけのものであり、限定するためのものではない。
様々な調製物及びウステキヌマブの供給源のグリカンプロファイルの比較を示す。G0Fグリカンの存在量を、左上のパネルに提供し、G1F-Aグリカンの存在量を、右上のパネルに提供し、G1F-Bグリカンの存在量を、左下のパネルに提供し、全シアリル化を、右下のパネルに提供する。黒丸は、米国(黒実円)及び欧州(影付き実円)からの基準タンパク質製品(reference protein product、「RPP」)を表す。各パネルの右端の部分における記号は、様々な体積で培養したウステキヌマブ試験調製物を表す。網掛け黒四角は3Lで培養したサンプルを表し、白四角は衛星培養(satellite culture)からのサンプルを表し、黒三角は100Lで培養したサンプルを表し、黒菱形は250Lで培養したサンプルを表す。各グリカンの相対存在量をそれぞれのパネルに表し、サンプルは、4つのグループに分類されて各パネルに表され、x軸に沿って左から右へ、90mg/mLの基準サンプルからのグループ1 RPP(左端)、90mg/mLの基準サンプルからのグループ2 RPP(左から2番目)、5mg/mLのRPP(左から3番目)、及びウステキヌマブ試験生成物(右端)である。 収集期間によるG0Fグリカンプロファイルのばらつきを示す。左端の列(白色)は、グループ1 RPPのG0Fの存在量を表し、左から2番目の列(黒色)は、グループ2 RPPのG0F存在量を表し、左から3番目の列は、7日~42日間培養したサンプルからのG0Fの平均存在量を表す。網掛けの列(左から4番目の列で始まり、右端の列まで続く)は、各々、7日(D7)~最長42日(D42、右端の列)の範囲内の指定の日数培養したサンプルからのG0F存在量を表す。 様々な培養条件間での主なグリカンプロファイル及び負荷変化(charge variants)の比較を示す。各パネルのx軸に沿って左から右へ、グループ1 RPP(左端)、グループ2 RPP、3L DSで培養したウステキヌマブ、100L DSで培養したウステキヌマブ、250L DSで培養したウステキヌマブ、NCM-2ウステキヌマブ調製物、及びNCM-1ウステキヌマブ調製物(右端)を表す。 様々な培養条件間での主なグリカンプロファイル及び負荷変化(charge variants)の比較を示す。各パネルのx軸に沿って左から右へ、グループ1 RPP(左端)、グループ2 RPP、3L DSで培養したウステキヌマブ、100L DSで培養したウステキヌマブ、250L DSで培養したウステキヌマブ、NCM-2ウステキヌマブ調製物、及びNCM-1ウステキヌマブ調製物(右端)を表す。
特定の定義
一般に、本明細書で使用される用語は、別途明確に示されない限り、その当該技術分野において理解されている意味に従う。特定の用語の明示的な定義を以下に提供する。本明細書全体を通して、特定の例におけるこれら及び他の用語の意味は、文脈から当業者に明らかになるであろう。
本発明をより容易に理解することができるようにするために、特定の用語を以下に最初に定義する。以下の用語及び他の用語の更なる定義は、明細書全体を通して記載される。
本明細書で使用するとき、用語「約」又は「およそ」は、対象となる1つ又は2つ以上の値に適用されるとき、指定の基準値に類似の値を指す。特定の実施形態では、用語「約」又は「およそ」は、指定の基準値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、それ以下に収まる値の範囲を指す。
用語「制御、制御される、制御する」は、本明細書で使用するとき、ウステキヌマブの1つ又は2つ以上のグリカン(例えばガラクトース、例えばG0F)の標的レベルの制御に関して本明細書で使用するとき、ウステキヌマブを生成するための1つ又は2つ以上の培養条件を選択、維持、及び/又は調整することを意味する。調整は、ウステキヌマブを生成するために1つ又は2つ以上の培養条件を増加又は減少させることを含み得る。本明細書で使用するとき、1つ又は2つ以上のグリカンの制御された標的レベルは、最小限の生成物ドリフトを有する1つ又は2つ以上のグリカンの所望のレベルを有するウステキヌマブの生成に関する。いくつかの実施形態では、G0Fの制御された標的レベルは、同じ生成ラン及び/又はバッチにおけるサンプル間で20%、15%、10%、又は5%以下しか変動しない。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを制御することにより、ウステキヌマブの生成における一貫性(例えば、バッチ間の一貫性、任意の特定の生成プロセスからのサンプル全体にわたる一貫性)を保証する。
本明細書で使用するとき、「グリカン」は、少なくとも1つの糖残基を含む化合物(例えば、単糖)を指す。グリカンは、糖残基のモノマー又はポリマーであってよく、直鎖状又は分枝状であってよい。「グリカン」は、天然糖残基(例えば、グルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、ヘキソース、アラビノース、リボース、キシロースなど)及び/又は修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース、ホスホマンノース、6’-スルホN-アセチルグルコサミンなど)を含み得る。グリカンという用語は、糖残基のホモポリマー及びヘテロポリマーを含む。用語「グリカン」はまた、複合糖質(例えば、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなど)のグリカン成分も包含する。この用語は、開裂された又はそうでなければ複合糖質から放出されたグリカンを含む遊離グリカンも包含する。
本明細書で使用するとき、「ガラクトシル化グリカン」は、少なくとも1つのガラクトース糖残基を含むグリカンを指す。いくつかの実施形態では、ガラクトシル化グリカンは、G1、G2、G1F、G2F、A1、及び/又はA2グリカンである。非ガラクトシル化グリカンは、G0F又はG0を含む。いくつかの実施形態では、ガラクトシル化グリカンの標的レベルは、ガラクトシル化グリカン(例えば、G2F)の存在及び/又は非ガラクトシル化グリカン(例えば、G0F)の標的レベルを指し得る。
用語「単離された」は、本明細書で使用するとき、(1)最初に生成されたときに付随していた成分の少なくとも一部から分離された、並びに/又は(2)ヒトの手によって設計、生成、調製、及び/若しくは製造された物質及び/又は実体を指す。単離された物質及び/又は実体は、それが最初に付随していた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超から分離され得る。いくつかの実施形態では、単離された剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超、純粋である。本明細書で使用するとき、物質は、他の成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者には理解されるように、物質は、例えば、1つ又は2つ以上の担体又は賦形剤(例えば、緩衝液、溶媒、水など)などの特定の他の成分と組み合わされた後も依然として「単離された」又は更には「純粋」とみなしてよく、このような実施形態では、このような担体又は賦形剤を含めずに、物質の単離率又は純度を計算する。一例を挙げると、いくつかの実施形態では、自然界で生じるポリペプチド又はポリヌクレオチドなどの生物学的ポリマーは、a)その起源又は由来源により、自然界における天然状態においてそれに付随している成分の一部又は全てと付随していない場合、b)自然界でそれを生成する種と同じ種の他のポリペプチドも核酸も実質的に含まない場合、c)自然界でそれを生成する種のものではない細胞又は他の発現系からの成分によって発現したか、又はそうでなければ付随している場合、「単離された」とみなされる。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、化学的に合成されたか又は自然界でそれを生成するものとは異なる細胞系で合成されたポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドであるとみなされる。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の精製技術に供されたポリペプチドは、a)自然界で付随している及び/又はb)最初に生成されたときに付随していた他の成分から分離されている限り、「単離された」ポリペプチドであるとみなすことができる。
本明細書で使用するとき、「プロセスレバー」は、抗体生成物における1つ又は2つ以上のグリカンの存在量を増加又は減少させるために制御することができる培養プロセスの要素(例えば、1つ又は2つ以上の培養条件)を指す。本開示は、培養培地中のガラクトース濃度と培養時間との間の特定の関係である新規プロセスレバーを提供する。本明細書に記載されるように、培養培地中のガラクトース濃度と培養培地中の培養の時間との間の反比例関係をプロセスレバーとして使用して、1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、ガラクトシル化)の標的レベルを有するウステキヌマブを生成することができる。いくつかの実施形態では、プロセスレバーは、ウステキヌマブの1つ又は2つ以上のグリカン(例えばガラクトシル化、例えばG0F)のレベル(例えば、ウステキヌマブの培養又は調製における1つ又は2つ以上のグリカンのレベル)を制御するための、選択されたガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を含む。
本明細書で使用するとき、「Fc領域のN-グリコシル化部位」は、グリカンがN結合するFc領域内のアミノ酸残基を指す。いくつかの特定の実施形態では、ウステキヌマブのN-グリコシル化部位は、重鎖の位置Asn299に位置する。
一般に、「タンパク質」は、本明細書で使用するとき、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結された少なくとも2つのアミノ酸の鎖)である。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含んでいてもよく(例えば、糖タンパク質であってもよく)、及び/又は他の方法で処理若しくは修飾されていてもよい。当業者であれば、「タンパク質」は、(シグナル配列を有する又は有さない)細胞によって生成される完全なポリペプチド鎖であってもよく、又はその機能部分であってもよいことを理解するであろう。当業者は、タンパク質が、時に、例えば1つ又は2つ以上のジスルフィド結合によって連結されているか又は他の手段によって会合している、1本を超えるポリペプチド鎖を含み得ることを更に理解するであろう。
本明細書で使用するとき、「回収する」とは、例えば、当該技術分野において既知の精製技術を使用して、例えば単離によって、剤又は実体が他の以前に付随していた成分を実質的に含まないようにするプロセスを指す。いくつかの実施形態では、剤又は実体は、天然源及び/又は細胞を含む源から回収される。
本明細書で使用するとき、「サンプル」は、別々に生成されたサンプルを指す。いくつかの実施形態では、別々のサンプルの評価は、(例えば、調製中の異なる時点における)同じ培養ランから又は異なる培養ラン(例えば、異なる培養ラウンド)からのサンプルの評価を含む。
「標的値又は標的レベル」とは、本明細書で使用するとき、ガラクトシル化グリカン及び/又はシアリル化グリカンなどの、1つ又は2つ以上の特定のグリカンの所定のレベルを指す。いくつかの実施形態では、標的値は、基準ウステキヌマブ製品における又は医薬品についての規格若しくはマスターバッチ記録に記載されている、ガラクトシル化グリカン(例えば、G0、G1、G2、G0F、G1F、G2F、又は組み合わせ)及び/又はシアリル化グリカン(例えば、モノシアリル化、ジシアリル化、又は組み合わせ)などの、1つ又は2つ以上の特定のグリカンのレベルである。いくつかの特定の実施形態では、標的値は、ウステキヌマブ製品中のG0Fグリカンのレベルである。
いくつかの実施形態では、標的値は、ウステキヌマブ調製物における1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、ガラクトシル化グリカン(例えば、ガラクトシル化グリカンの1つ又は2つ以上の種)及び/又はシアリル化グリカン(例えば、シアリル化グリカンの1つ又は2つ以上の種))の絶対レベル(例えば、モル数)を指す。いくつかの実施形態では、標的値は、ウステキヌマブ調製物におけるグリカンの合計レベルに対する、ウステキヌマブ調製物における1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、ガラクトシル化グリカン(例えば、ガラクトシル化グリカンの1つ又は2つ以上の種)及び/又はシアリル化グリカン(例えば、シアリル化グリカンの1つ又は2つ以上の種))のレベルを指す。いくつかの実施形態では、標的値は「パーセント」として表され、これは、ウステキヌマブ調製物におけるグリカン(例えば、Fcグリカン)の総モルに対する1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、Fcグリカン)のモル数を指す。いくつかの実施形態では、「パーセント」は、検出されたPNGase Fが放出したFcグリカンの総モルに対する1つ又は2つ以上のPNGase Fが放出したFcグリカンのモル数を指す。
用語「ウステキヌマブ調製物」は、本明細書で使用するとき、特定の生成方法に従って得られるウステキヌマブタンパク質の混合物を指す。ウステキヌマブ調製物中のウステキヌマブタンパク質は、ウステキヌマブの複数のコピー(すなわち、同じ又は実質的に同じアミノ酸配列を有する)を含むが、タンパク質に会合しているグリカンの混合物を含む。いくつかの例では、本明細書で提供される方法及び/又はシステムを使用して、ウステキヌマブ調製物を調製する。生成方法は、ウステキヌマブを発現する(又は関連するレベル若しくは関連する条件下でウステキヌマブを発現する)ように遺伝子操作された培養細胞を使用する組み換え体調製工程を含み得る。いくつかの実施形態では、生成方法は、(例えば、細胞を溶解し、遠心分離によりタンパク質成分をペレット化することによって)遺伝子操作された細胞の特定の成分からウステキヌマブを単離する単離工程を含み得る。いくつかの実施形態では、生成方法はまた、より早い工程で使用された他の細胞成分、例えば、他のタンパク質又は有機成分から(例えば、クロマトグラフィによって)ウステキヌマブを分離する精製工程を含み得る。これらの工程は非限定的であり、任意の数の追加の生成工程が含まれ得ることが理解されるであろう。異なる機会(例えば、異なるラン又は調製物)であるが、同じ生成方法によって、異なるウステキヌマブ調製物を調製することができる。代替的に、異なる生成方法によって、異なるウステキヌマブ調製物を調製することもできる。2つの生成方法は、何らか(例えば、発現ベクター、遺伝子操作された細胞型、培養条件、単離手順、精製条件など)が異なる場合がある。
特許、特許出願、論文、書籍、専門書、及びウェブページが挙げられるがこれらに限定されない、本出願に引用された全ての文献及び類似資料は、このような文献及び類似資料のフォーマットにかかわらず、その全体が参照により明示的に組み込まれる。定義された用語、用語の使用法、記載された技術などを含むがこれらに限定されないものについて、組み込まれた文献及び類似資料のうちの1つ又は2つ以上が本出願とは異なる又は矛盾する場合には、本出願が優先される。本明細書で使用される章の見出しは、構成上の目的のためだけのものであり、いかようにも、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
本開示は、少なくとも部分的に、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベル(例えばガラクトシル化、例えばG0Fグリカン)を有するウステキヌマブを生成するためのプロセスレバーの発見について説明する。抗体生成中のグリカン組成及びレベルの制御は、継続的な課題である。治療抗体のグリコシル化は、その安全性及び/又は有効性に影響を及ぼし得る。(Zhang et al.(2016)Drug Discovery Today 21(5):740-765)。したがって、ウステキヌマブの生成におけるグリカン組成の一貫性(例えば、バッチ間の一貫性、任意の特定の生成プロセスからのサンプル全体にわたる一貫性)を保証できることが重要である。ウステキヌマブ基準タンパク質製品(「RPP」)の特性評価中、ウステキヌマブRPPの2つの異なるグリカン集団を観察した。
本開示は、ウステキヌマブの製造中にグリカン組成を制御するためのレバーの開発について説明する。グリカンプロファイルが識別されている各RPPを含む、特定のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを生成するためのプロセスレバーが、本明細書に記載される。記載されているようなレバーを開発する過程で、本開示は、培養培地中のガラクトース濃度と培養の時間との間の関係を識別した。本開示は、培養培地中のガラクトース濃度と培養(例えば、連続培養)の時間との間の関係を、培養物中のウステキヌマブの1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、ガラクトシル化)の標的レベルを制御するためのプロセスレバーとして使用することができるという洞察を提供する。
本開示は更に、グリカンレベル(例えば、ガラクトシル化)を制御するために、ガラクトースレベルと時間(すなわち、培養期間)との間の関係が、反比例であるという洞察を提供する。グリカン組成を制御するための本開示の培養方法は、連続培養法(例えば、灌流培養)を含む。
ウステキヌマブ
本開示は、一部には、特定のグリカンプロファイルを有するウステキヌマブを製造、調製、制御、又は別の方法で作製するための方法及びプロセスを提供する。
ウステキヌマブは、IL-12及びIL-23の両方のp-40サブユニットに特異的に結合する抗体である。ウステキヌマブは、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、及び多発性硬化症を含む多数のヒト疾患において研究されている。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載のHCDR配列と3個以下のアミノ酸残基が異なる、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列と、配列番号2に記載のLCDR配列と3個以下のアミノ酸残基が異なるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列とを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載のHCDR配列と2個以下のアミノ酸残基又は1個以下のアミノ酸残基が異なる、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列と、配列番号2に記載のLCDR配列と2個以下のアミノ酸残基又は1個以下のアミノ酸残基が異なるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列とを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載の配列と3個以下のアミノ酸残基が異なる重鎖可変ドメインと、配列番号2に記載の配列と3個以下のアミノ酸残基が異なる軽鎖可変ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載の配列と5個以下のアミノ酸残基が異なる配列を含む重鎖と、配列番号2の配列と5個以下のアミノ酸残基が異なる配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列と、配列番号2に記載のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列とを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1に記載の重鎖可変ドメインと、配列番号2に記載される軽鎖可変ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブは、配列番号1の配列を含む重鎖及び/又は配列番号2の配列を含む軽鎖を含む。
配列番号:1-ウステキヌマブ重鎖配列(太字は可変ドメイン配列を示し、CDR配列には下線を付した)
Figure 2022516510000001
配列番号:2-ウステキヌマブ軽鎖配列(太字は可変ドメイン配列を示し、CDR配列には下線を付した)
Figure 2022516510000002
培養方法
いくつかの例では、本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを含む医薬組成物を製造する方法であって、ガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を選択すること(ここで、ガラクトースのレベルと時間とは反比例している)、選択されたガラクトースのレベル及び時間を含む条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること、細胞の集団が発現したウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブの調製物を生成すること、及び調製物が1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを満たす場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブを含む医薬組成物を生成すること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0F、シアリル化グリカン、及びG2Fからなる群から選択されるグリカンの標的レベルである。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0Fの標的レベルである。
いくつかの例では、本開示は、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブ薬物製品を生成する方法であって、選択されたガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を含むパラメータによって特徴付けられる条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること(ここで、ガラクトースのレベルと時間とは反比例している)、細胞が発現したウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブ調製物を生成すること、及びウステキヌマブ調製物が1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルを満たす場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブ薬物製品を生成すること、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0F、シアリル化グリカン、及びG2Fからなる群から選択されるグリカンの標的レベルである。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のグリカンの標的レベルは、G0Fの標的レベルである。
いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内である。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して25%~65%G0Fの範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベル及び7日~15日の範囲内である細胞培養の時間を含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベルと、16日~60日の範囲内である細胞培養の時間を含む。いくつかの特定の実施形態では、細胞培養の時間は、25日~42日の範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、更に、G0Fグリカンの標的レベルを選択することを含む。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内である。いくつかの特定の実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内であり、方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベルと、7日~15日の範囲内である細胞培養の時間と、を含む。いくつかの特定の実施形態では、G0Fグリカンの標的レベルは、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内であり、方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベルと、16日~60日の範囲内である細胞培養の時間と、を含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、G0Fグリカンの標的レベルを測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、G0Fグリカンの測定されたレベルが、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内(例えば全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内、例えば全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内)である場合、ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化する工程を実施する。
いくつかの実施形態では、標的グリカンレベルを有するウステキヌマブを製造及び/又は生成するための提供される方法は、シアリル化グリカン及び/又はG2Fグリカンの標的レベルを含む。下記表1に、シアリル化グリカン及び/又はG2Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブのための条件を提供する。
Figure 2022516510000003
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して15%~30%シアリル化グリカンの範囲内のシアリル化グリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して15%~30%シアリル化グリカンの範囲内のシアリル化グリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベル及び7日~15日の範囲内である細胞培養の時間を含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して5%~最大15%のシアリル化グリカンの範囲内のシアリル化グリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して5%~最大15%シアリル化グリカンの範囲内のG0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベル及び16日~60日の範囲内である細胞培養の時間を含む。いくつかの特定の実施形態では、細胞培養の時間は、25日~42日の範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して5%~10%G2Fの範囲内のG2Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して5%~10%G2Fの範囲内のG2Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、0mMの選択されたガラクトースのレベル及び7日~15日の範囲内である細胞培養の時間を含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、全グリカンに対して1%~最大5%G0Fの範囲内のG2Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブの製造及び/又は生成を目的とする。いくつかの実施形態では、全グリカンに対して1%~最大5%G2Fの範囲内のG2Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを実現するための方法は、15mM~30mMの範囲内の選択されたガラクトースのレベル及び16日~60日の範囲内である細胞培養の時間を含む。いくつかの特定の実施形態では、細胞培養の時間は、25日~42日の範囲内である。
いくつかの実施形態では、提供される方法では、選択されたガラクトースのレベルは、培養工程全体にわたって制御される(例えば、t=0から収集までの培養中制御される)。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞の集団を培養することを含む。いくつかの実施形態では、哺乳類細胞は、CHO細胞、HEK 293細胞、線維肉腫HT 1080細胞、PER.C6細胞、CAP細胞、HKB-11細胞、HuH-7細胞、NS0細胞、及びSP 2/0細胞から選択される。
いくつかの実施形態では、提供される方法では、培養工程は、連続培養プロセスを使用して実施される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、灌流培養プロセス(例えば、交互タンジェンシャルフローフィルタ(ATF)ベースの灌流培養プロセス)を使用して実施される培養を含む。いくつかの特定の実施形態では、提供される方法は、灌流培養プロセスによって、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞(例えば、ウステキヌマブを発現するSP 2/0細胞)を培養することを含む。
いくつかの実施形態では、提供される方法は、細胞培養の時間の時間範囲内の2回以上の時点で、細胞が発現したウステキヌマブを収集することを含む。
いくつかの実施形態では、標的値は、所定の医薬製品規格又は医薬調製物の品質管理基準、例えば、分析証明書(CofA)、試験証明書(CofT)、又はマスターバッチ記録である。いくつかの実施形態では、製品規格は、FDAラベル、医師の添付文書、USPモノグラフ、又はEPモノグラフの製品説明である。
一般に、本開示の細胞培養方法は、25℃~40℃の範囲内の温度かつ地上で遭遇する重力下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、細胞の集団を培養する提供される方法は、ウステキヌマブ生成物の発現に十分である。細胞培養培地は、一般に、適切なエネルギー源と、細胞周期を調節する化合物とを含む。一般に、培養培地は、例えば、当業者に既知のアミノ酸、ビタミン、無機塩、及びグルコースを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、6~8のpHを有する。動物細胞培養用の培地は、当該技術分野において十分に確立されており、具体的な目的及び/又は細胞型に対して当業者によってルーチン的に最適化される。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、連続細胞培養システム(例えば、灌流細胞培養システム)を介して細胞の集団を培養することを含む。いくつかの実施形態では、連続細胞培養システムは、バイオリアクタータンク及び細胞保持装置を含む。いくつかの実施形態では、連続細胞培養システムは、バイオリアクタータンク、細胞保持装置、培地供給、及びブリード廃棄物収集を含む。いくつかの実施形態では、連続細胞培養システムは、細胞の集団(例えばウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞の集団、例えばウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞からなる細胞の集団)及び細胞培養培地を含む。
いくつかの実施形態では、細胞保持装置は、連続遠心分離器、交互タンジェンシャルフローフィルタ(ATF)、タンジェンシャルフローメンブレンフィルタ(TFF)、動的フィルタ、スピンフィルタ、超音波及び誘電泳動セパレータ、若しくは重力沈降装置であるか、又はこれらを含む。いくつかの特定の実施形態では、細胞保持装置は、ATFであるか又はATFを含む。
いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、撹拌タンクバイオリアクター、細胞保持装置、培地供給、及びブリード廃棄物収集を含む。
いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステム(例えば、灌流バイオリアクターシステム)は、スパージャを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、ドリル穴スパージを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、オープンパイプスパージを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、焼結スパージャを含む。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1L~3000Lの範囲内の体積の細胞の集団(例えばウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞の集団、例えばウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞からなる細胞の集団)を培養することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、少なくとも25L、50L、100L、200L、250L、400L、500L、600L、800L、1000L、又は2000Lの体積の、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、約25L~約250Lの体積の、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された哺乳類細胞を培養することを含む。
グリカン評価
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブのグリカンを、任意の利用可能な好適な方法によって分析(例えば、測定)する。いくつかの例では、本明細書に記載のグリカン構造及び組成物は、例えば、1つ又は2つ以上の、酵素、クロマトグラフィ、質量分析(mass spectrometry、MS)、MSが続くクロマトグラフィ、電気泳動法、MSが続く電気泳動法、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)法、及びこれらの組み合わせによって分析される。例示的な酵素的方法は、1つ又は2つ以上のグリカン(例えば、1つ又は2つ以上の露出グリカン)を放出するのに十分な条件下及び時間で、ウステキヌマブ調製物を1つ又は2つ以上の酵素と接触させることを含む。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の酵素としては、PNGase Fが挙げられる。例示的なクロマトグラフィ方法としては、パルスアンペロメトリック検出を使用する強陰イオン交換クロマトグラフィ(Strong Anion Exchange chromatography using Pulsed Amperometric Detection、SAX-PAD)、液体クロマトグラフィ(liquid chromatography、LC)、高性能液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography、HPLC)、超高性能液体クロマトグラフィ(ultra performance liquid chromatography、UPLC)、薄層クロマトグラフィ(thin layer chromatography、TLC)、アミドカラムクロマトグラフィ、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な質量分析法(MS)としては、タンデムMS、LC-MS、LC-MS/MS、マトリックス支援型レーザー脱着イオン化質量分析法(matrix assisted laser desorption ionization mass spectrometry、MALDI-MS)、フーリエ変換質量分析法(Fourier transform mass spectrometry、FTMS)、質量分析によるイオンモビリティー分離(ion mobility separation with mass spectrometry、IMS-MS)、電子移動解離(electron transfer dissociation、ETD-MS)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な電気泳動法としては、キャピラリー電気泳動(capillary electrophoresis、CE)、CE-MS、ゲル電気泳動、アガロースゲル電気泳動、アクリルアミドゲル電気泳動、特定のグリカン構造を認識する抗体を使用するウエスタンブロッティングが続くSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-polyacrylamide gel electrophoresis、SDS-PAGE)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な核磁気共鳴(NMR)としては、一次元NMR(one-dimensional NMR、1D-NMR)、二次元NMR(two-dimensional NMR、2D-NMR)、相関分光磁気角度スピニングNMR(correlation spectroscopy magnetic-angle spinning NMR、COSY-NMR)、全相関分光NMR(total correlated spectroscopy NMR、TOCSY-NMR)、異核種単一量子コヒーレンスNMR(heteronuclear single-quantum coherence NMR、HSQC-NMR)、異核間多量子コヒーレンス(heteronuclear multiple quantum coherence、HMQC-NMR)、回転核オーバーハウザー効果分光NMR(rotational nuclear overhauser effect spectroscopy NMR、ROESY-NMR)、核オーバーハウザー効果分光法(nuclear overhauser effect spectroscopy、NOESY-NMR)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
細胞
ウステキヌマブを発現させるために使用することができる任意の宿主細胞を、本明細書に記載の方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、配列番号1に記載の重鎖可変ドメイン及び/又は配列番号2に記載の軽鎖可変ドメインを含む、ウステキヌマブ生成物をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、配列番号1の配列を含む重鎖及び/又は配列番号2の配列を含む軽鎖を含む、ウステキヌマブ生成物をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、配列番号1に記載のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列、並びに配列番号2に記載のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含むウステキヌマブ生成物をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、ヒト又は動物における治療的又は診断的使用のために、例えば、二次承認プロセスの下で承認されているタンパク質と同じ一次アミノ酸配列を有する、ウステキヌマブ生成物をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、承認された治療用又は診断用タンパク質と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20残基以下異なる、ウステキヌマブ生成物をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、承認された治療用又は診断用タンパク質と少なくとも90、95、98、99%又は100%の配列同一性を有するタンパク質をコードしている1つ又は2つ以上の核酸を含む。用語「同じ一次アミノ酸配列」、「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20残基以下異なる一次アミノ酸配列」、「少なくとも98%又はそれ以上の配列同一性を有する配列」、又は同様の用語は、一次アミノ酸配列間の同一性のレベルに関する。いくつかの実施形態では、タンパク質の調製物又は生成物は、アミノ酸変異体、例えば、末端残基、例えば、1つ又は2つの末端残基が異なる種を含む。このような場合のいくつかの実施形態では、比較される配列同一性は、比較される生成物の各々において、最も存在量の多い(例えば、最も存在量の多い活性)種の一次アミノ酸配列間の同一性である。いくつかの実施形態では、配列同一性は、ウステキヌマブ生成物を作製するために使用することができる核酸によってコードされているアミノ酸配列を指す。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、哺乳類細胞である。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、ネズミ科細胞である。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、マウス細胞株に由来する。ネズミ科(例えば、マウス)細胞株としては、例えば、マウス骨髄腫細胞株、例えば、NS0細胞及びSP 2/0細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブを発現するように遺伝子操作された細胞は、ヒト細胞株に由来する。ヒト細胞株としては、例えば、HEK 293:ヒト胚腎臓293;HT-1080:上皮様表現型を有する線維肉腫由来;PER.C6:アデノウイルスE1遺伝子のトランスフェクションを介して不死化されたヒト胚網膜細胞由来;CAP:アデノウイルス5型E1遺伝子を介して不死化されたヒト羊膜細胞由来;HKB-11:HEK293-S及びヒトB細胞株のポリエチレングリコール融合によって作製;及びHuH-7:ヒト肝細胞癌由来、が挙げられる。いくつかの特定の実施形態では、剪断感受性(shear-sensitive)細胞は、HEK 293細胞、線維肉腫HT 1080細胞、PER.C6細胞、CAP細胞、HKB-11細胞、及びHuH-7細胞から選択される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなウステキヌマブ生成物を発現する細胞の集団は、組み換え方法を用いて生成される。本明細書に記載の抗体剤などのポリペプチドをコードしている遺伝子などの遺伝子の組み換え発現は、ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含むことができる。ポリヌクレオチドが得られると、当該技術分野において既知の技術を使用して、組み換えDNA技術によって、ポリペプチドを生成するためのベクターを生成することができる。既知の方法を使用して、ポリペプチドをコードしている配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝的組み換えが挙げられる。
本明細書に記載のウステキヌマブ生成物が組み換え発現によって生成されると、精製するための当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィ)、遠心分離、示差溶解度、又はタンパク質を精製するための任意の他の標準的な技術によって精製することができる。例えば、プロテインAカラムなどの親和性カラムを適切に選択し、クロマトグラフィカラム、濾過、限外濾過、塩析、及び透析手順と組み合わせることによって、ウステキヌマブを単離及び精製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。更に、本明細書に記載されるように、ウステキヌマブ生成物を異種ポリペプチド配列に融合させて、精製を促進することができる。
医薬組成物
本明細書に記載される方法、システム、及び/又はプロセスのうちのいずれかを使用して生成又は製造されたウステキヌマブ生成物を、医薬組成物に組み込むことができる。このような医薬組成物は、疾患の予防及び/又は治療に有用であり得る。ウステキヌマブを含む医薬組成物は、当業者に既知の方法によって製剤化することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2000を参照されたい)。医薬組成物は、水又は別の医薬的に許容される液体中の滅菌溶液又は懸濁液を含む注射可能な製剤の形態で、非経口的に投与することができる。例えば、医薬組成物は、細胞生成物(例えば、組み換えタンパク質、例えば、糖タンパク質、例えば、抗体剤)を、滅菌水及び生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、矯味賦形剤、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤などの医薬的に許容されるビヒクル又は媒体と好適に組み合わせることによって製剤化し、続いて、一般的に認められている薬務に必要な単位用量形態で混合することができる。医薬調製物に含まれる活性成分の量は、指定の範囲内の好適な用量が提供されるような量である。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、安定剤/等張剤としてスクロースを含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、緩衝剤としてヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン)を含む。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、界面活性剤としてポリソルベート80を含む。いくつかの特定の実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン)、スクロース、及びポリソルベート80を含む。
いくつかの実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、非経口投与、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射用に製剤化される。いくつかの実施形態では、ウステキヌマブの調製物は、皮下投与用に製剤化される。
以下の実施例によって本開示を更に説明する。実施例は、例示目的のためだけに提供される。実施例は、いかようにも本開示の範囲又は内容を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1:ウステキヌマブ生成物のグリカン組成のシフトの識別
この実施例は、市販のウステキヌマブ基準タンパク質製品(「RPP」)のロット間でのグリカン組成の著しいシフトを識別する。具体的には、本実施例は、2つの別個のグリカンプロファイルに分かれる、市販のウステキヌマブのロット間のグリカン組成のばらつきを実証する。グリカン変異体のこれらの2つのグループは、本明細書では、G0Fグリカンの比較的高いレベルを特徴とする「グループ1」及びG0Fグリカンの比較的低いレベルを特徴とする「グループ2」と称される。
30個のロットのウステキヌマブRPPを分析した。これらの30個のロットのうち、28個のロットは90mg/mL調製物であり、2個のロットは5mg/mL調製物であった。28個のロットの90mg/mLのウステキヌマブRPPのうち、8個のこれらのロットは、グループ1のグリカンプロファイルを有すると識別され、20個のロットは、グループ2のグリカンプロファイルを有すると識別された。図1を参照。
グループ1及びグループ2のサンプルの主なグリカン種の各々の平均存在量の要約を、以下の表2に要約する。
Figure 2022516510000004
3L~250Lの範囲内の様々な体積で42日間5mMのガラクトースと共に(例えば、ATFベースの灌流培養プロセスによって)培養することによって作製されたウステキヌマブ試験生成物も分析した。これらのウステキヌマブ試験生成物のグリカン存在量は、図1の各パネルの右端のグループに示されている。ウステキヌマブ試験生成物のグリカンプロファイルは、グループ1及びグループ2のRPPの範囲内であった。したがって、本実施例は、市販のウステキヌマブRPPについてグリカンプロファイルの2つの別個のグループを識別し、同時培養条件によって、これら2つのグループの範囲内の中間グリカン存在量を有するウステキヌマブ試験生成物が得られることが実証された。
実施例2:培養時間がウステキヌマブのグリカン組成に影響を与える
本実施例は、収集回収のタイミングが、ウステキヌマブのグリカン組成を制御するための要素であることを実証する。図2に示されるように、全グリカンに対するG0Fグリカンの存在量は、一般に、培養期間と共に減少する。例えば、培養13日目に収集したウステキヌマブ調製物は、ほぼ50%の存在量のG0Fグリカンを有し、一方、34日以上培養した後に収集したサンプルは、全グリカン組成物に対して30%未満のG0Fグリカンを有していた。
興味深いことに、本開示は、培養期間(すなわち、収集までの時間)の減少が、G0Fレベルの増加と関連し、一方、培養期間(すなわち、収集までの時間)の増加が、G0Fレベルの低下と関連するという認識を与える。
したがって、この実施例は、培養時間の増加が、全グリカン組成物に対するG0Fグリカンの存在量を減少させることができ、更に、培養時間を変化させて、ウステキヌマブのグリカン組成を制御することができることを実証する。
実施例3:グループ1及びグループ2のグリカンプロファイルを有するウスタキマブ生成物の作製
本実施例は、ウステキヌマブのグリカンレベル(例えば、ガラクトシル化)を制御するためのプロセスレバーとして機能することができる、培養時間と培養培地中のガラクトース濃度との間の反比例関係を識別する。本実施例は、遺伝子操作されたグリカンプロファイルを有する不適合(non-conforming)材料(すなわち、不適合ウステキヌマブ調製物)の生成を実証する。具体的には、本実施例は、それぞれ実施例1に上記したようなグループ1 RPP及びグループ2 RPPと一致するグリカンプロファイルを有するように遺伝子操作されている、本明細書ではNCM-1及びNCM-2と称される2つの不適合ウステキヌマブ調製物の生成を実証する。
具体的には、15mMのガラクトースと共に(例えば、ATFベースの灌流培養プロセスによって)培養し、培養の16日目の前にウステキヌマブを収集(例えば、7日目~15日目の範囲内の時点で収集)することによって、NCM-1調製物を作製した。対照的に、ガラクトースを含まない培地(0mMのガラクトース)と共に(例えば、ATFベースの灌流培養プロセスによって)培養し、培養の25日目の後にウステキヌマブを収集(例えば、34日目~45日目の範囲内の時点で収集)することによって、NCM-2調製物を作製した。図3に示すように、G0F、G1FA、G1FB、G2F、全シアリル化、主、酸性及び塩基性のグリカンを含む、分析されたグリカン種の各々について、NCM-1グリカンプロファイルは、グループ1 RPPとよく相関しており、NCM-2グリカンプロファイルは、グループ2 RPPとよく相関していた。表3は、ガラクトース濃度及び培養時間のプロセスレバーを制御することによって遺伝子操作された各グリカンの例示的な標的範囲を提供する。
Figure 2022516510000005
したがって、本実施例は、ガラクトース濃度及び培養時間の反比例している要素を、グリカン組成を制御するためのプロセスレバーとして使用することができ、標的グリカンレベルを有する不適合ウステキヌマブ調製物を生成するために使用することができることを実証した。
等価物
本開示を、その詳細な説明と関連して記載してきたが、前述の説明は本発明の範囲を例示することを意図するものであって、添付の特許請求の範囲により定義される発明の範囲を限定することを意図するものではないと理解されたい。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。

Claims (12)

  1. G0Fグリカンの標的レベルを有するウステキヌマブを含む医薬組成物を製造する方法であって、
    (a)G0Fグリカンの標的レベルを選択すること、
    (b)ガラクトースのレベル及び細胞培養の時間を選択して、選択されたG0Fグリカンのレベルを提供すること(ここで、前記ガラクトースのレベルと前記時間とは反比例している)、
    (c)前記選択されたガラクトースのレベル及び時間を含む条件下で、ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団を培養すること、
    (d)前記細胞の集団によって発現されたウステキヌマブを収集し、それにより、ウステキヌマブの調製物を生成すること、及び
    (e)前記調製物が前記G0Fグリカンの標的レベルを満たす場合、前記ウステキヌマブ調製物を精製、濃縮、及び/又は製剤化して、ウステキヌマブを含む医薬組成物を生成すること
    を含む、前記方法。
  2. 前記培養が、灌流培養プロセスを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記G0Fグリカンの標的レベルが、全グリカンに対して20%~80%G0Fの範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記G0Fグリカンの標的レベルが、全グリカンに対して25%~65%G0Fの範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記G0Fグリカンの標的レベルが、全グリカンに対して20%~最大40%のG0Fの範囲内であり、前記選択されたガラクトースのレベルが、0mMであり、前記細胞培養の時間が、7日~15日の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記G0Fグリカンの標的レベルが、全グリカンに対して40%~80%G0Fの範囲内であり、前記選択されたガラクトースのレベルが、15mM~30mMの範囲内であり、前記細胞培養の時間が、16日~60日の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記細胞培養の時間が、25日~42日の範囲内である、請求項6に記載の方法。
  8. G0Fグリカンのレベルを測定することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ウステキヌマブを発現するように遺伝的に操作された細胞の集団が、哺乳類細胞である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記哺乳類細胞が、CHO細胞、HEK 293細胞、線維肉腫HT 1080細胞、PER.C6細胞、CAP細胞、HKB-11細胞、HuH-7細胞、NS0細胞、及びSP 2/0細胞から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記選択されたガラクトースのレベルが、t=0から収集までの培養中に制御される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記細胞によって発現された前記ウステキヌマブが、細胞培養のための時間の時間範囲内で2回以上収集される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
JP2021538215A 2018-12-31 2019-12-20 ウステキヌマブの生成方法 Pending JP2022516510A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862786821P 2018-12-31 2018-12-31
US62/786,821 2018-12-31
PCT/US2019/067916 WO2020142275A1 (en) 2018-12-31 2019-12-20 Methods of producing ustekinumab

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022516510A true JP2022516510A (ja) 2022-02-28

Family

ID=71407091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021538215A Pending JP2022516510A (ja) 2018-12-31 2019-12-20 ウステキヌマブの生成方法

Country Status (12)

Country Link
US (2) US20220033487A1 (ja)
EP (1) EP3906257A4 (ja)
JP (1) JP2022516510A (ja)
KR (1) KR20210131323A (ja)
CN (1) CN113474366A (ja)
AU (1) AU2019419372A1 (ja)
BR (1) BR112021012973A2 (ja)
CA (1) CA3125443A1 (ja)
EA (1) EA202191840A1 (ja)
IL (1) IL284374A (ja)
MX (1) MX2021008030A (ja)
WO (1) WO2020142275A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11719704B2 (en) 2015-12-30 2023-08-08 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Methods related to biologics
CN112852743B (zh) * 2021-01-25 2021-11-02 江苏荃信生物医药有限公司 用于生产乌司奴单抗的生物类似药的细胞株及生产方法
WO2024092203A1 (en) * 2022-10-28 2024-05-02 Amgen Inc. Compositions of anti-interleukin 12/interleukin 23 antibody

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102292640B (zh) * 2009-01-22 2014-07-02 动量制药公司 在来源于CHO细胞的糖蛋白产物中的含有半乳糖-α-1,3-半乳糖的N-聚糖
US20140271622A1 (en) * 2013-03-14 2014-09-18 Momenta Pharmaceuticals, Inc. Methods of cell culture
SI2970980T1 (sl) * 2013-03-15 2018-11-30 Janssen Biotech, Inc. Postopki izdelave za nadzor vsebnosti C-terminalnega lizina, galaktoze in sialične kisline v rekombinantnih proteinih
RU2642285C1 (ru) * 2014-01-29 2018-01-24 ЭлДжи КЕМ, ЛТД. Способ получения целевого антитела с модулированным галактозилированием (варианты) и способ модулирования галактозилирования целевого антитела (варианты) путем оптимизации культуральной среды
SG11201704351WA (en) * 2014-12-01 2017-06-29 Amgen Inc Process for manipulating the level of glycan content of a glycoprotein
CN105779394B (zh) * 2015-03-20 2020-03-24 广东东阳光药业有限公司 一种降低抗体酸性峰含量和改良抗体糖型的细胞培养方法
CA3022769A1 (en) * 2016-05-10 2017-11-16 Ares Trading S.A. Methods for modulating protein galactosylation profiles of recombinant proteins using peracetyl galactose
WO2018024770A1 (en) * 2016-08-03 2018-02-08 Formycon Ag Production of biosimilar ustekinumab in cho cells
WO2018224673A1 (en) * 2017-06-08 2018-12-13 Zaklady Farmaceutyczne Polpharma S.A. Improved methods of cell culture

Also Published As

Publication number Publication date
CA3125443A1 (en) 2020-07-09
CN113474366A (zh) 2021-10-01
EP3906257A4 (en) 2022-09-14
EA202191840A1 (ru) 2021-09-03
BR112021012973A2 (pt) 2021-09-14
US20220081479A1 (en) 2022-03-17
IL284374A (en) 2021-08-31
MX2021008030A (es) 2021-08-05
WO2020142275A1 (en) 2020-07-09
US20220033487A1 (en) 2022-02-03
AU2019419372A1 (en) 2021-07-08
KR20210131323A (ko) 2021-11-02
EP3906257A1 (en) 2021-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2022516510A (ja) ウステキヌマブの生成方法
JP5931255B2 (ja) 免疫グロブリン溶液を精製するための方法
CA2682735C (en) Multi-dimensional chromatographic methods for separating n-glycans
JP6807327B2 (ja) タンパク質製造
JP2023133559A (ja) タンパク質産物の等電性プロファイルをシフトさせる方法およびその使用
KR20150138273A (ko) 단백질의 피로­글루타민산 형성을 증가시키기 위한 방법
WO2015004679A1 (en) Improved process for production of monoclonal antibodies
US20220267413A1 (en) Methods For The Treatment Of Neurodegeneration
CN112566654A (zh) 抗原纯化方法
CN105368904A (zh) 一种免疫球蛋白g片段的制备方法及应用
KR20230065931A (ko) 나노항체 생성을 위한 신속 단일-단계 구배 방법 (rapid single-step gradient method for the generation of nanoantibodies)
Cruz et al. Process development of a recombinant antibody/interleukin-2 fusion protein expressed in protein-free medium by BHK cells
JP2012072091A (ja) 抗体の精製方法
EA046459B1 (ru) Способы получения устекинумаба
KR101847169B1 (ko) 지속형 에리트로포이에틴 함유 조성물
CN102453087A (zh) 一种单取代peg-epo的纯化及制备方法
KR20210056372A (ko) 연속 세포 배양 방법
KR20150084836A (ko) 벤조나아제 부재 하의 시나지스 분리 방법
EP2725104B1 (en) Method for preparing a polymeric protein composed of a monomeric protein produced by fusing a protein having immunoglobulin fold structure to a protein capable of serving as subunit structure
WO2023198450A1 (en) Methods for high recovery of a cell culture clarification product
JP2024147613A (ja) 連続細胞培養の方法
CN113754749A (zh) 一种微小隐孢子虫Gp40/15蛋白表位多肽及其腺病毒载体疫苗
WO2018025270A1 (en) Enriched modified vitamin d binding protein compositions and use thereof
KR20180026688A (ko) 지속형 에리트로포이에틴 함유 조성물
Tejwani Heterologous expression of rat ST6Gal-I in Pichia pastoris for structural and functional studies

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240109

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240409

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240610

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240709