JP2022506106A - キャリア流体として水を用いる原子蛍光分光分析の方法及び装置 - Google Patents

キャリア流体として水を用いる原子蛍光分光分析の方法及び装置 Download PDF

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Abstract

分析化学の分野における原子蛍光分光分析に関する、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分光分析の方法及び装置を開示する。この方法では、水が塩酸及び還元剤の代わりにキャリア流体として通常のサンプリング及び送液のプロセスに使用され、水により試験溶液及び試薬が反応器に運ばれて反応が完了する。本発明では、水をキャリア流体として用いることでメモリー効果が効果的に克服され、一方で測定の感度及び精度が増大する。また、多量の高純度塩酸及び還元剤を省くことで分析コストが大幅に削減され、操作環境が顕著に改善する。本発明は、原子蛍光分光分析の改善を示す。【選択図】図1

Description

本発明は、分析化学の分野に属し、原子蛍光分析、特に既存の原子蛍光分析方法及び原子蛍光計の改良に関する。
原子蛍光分析は、微量元素As、Sb、Bi、Hg、Se等の判定に広く用いられている。基本原理は、酸性媒体(通常は塩酸)中の試験対象の元素のイオンが強還元剤(通常は水素化ホウ素カリウム又は水素化ホウ素ナトリウム)と反応し、多量の水素ガスを発生しながらガス状水素化物又はHg原子へと還元されることである。水素化物分子は、高温の水素炎中で基底状態の原子へと解離する。原子は、励起光源からの特定の周波数の放射によって高エネルギー状態に励起される。高いエネルギー準位は極めて不安定であるため、励起状態原子は、脱励起過程において光放射の形で固有波長の蛍光を発する。蛍光強度は、試験対象の元素の濃度と関連し、蛍光シグナルを検出器(通常は光電子増倍管)によって判定することで、試験対象の元素の濃度が得られる。
上記の原理に従って設計された原子蛍光分析装置(原子蛍光計、原子蛍光光度計とも呼ばれる)は、主に送液システム、蒸気発生システム(又は反応器と呼ばれる)、アトマイザー、励起光源及び判定システムという幾つかの部分を備える。試験溶液及び還元剤は、送液システムを介して送られ、キャリア液(キャリア流体とも呼ばれる)によって反応器に運ばれ、化学反応を起こしてガス状Hg原子又は水素化物分子及び水素(まとめて「蒸気」と称される)を生成し、これがキャリアガス(通常はアルゴン)下でアトマイザーに入る。
試験溶液及び試薬(還元剤)の運搬(carrying)には、キャリア液としてHCl及びNaBH(又はKBH)が常に用いられてきた。この技術には以下の欠点がある。送液システムには深刻なメモリー効果があり、特に高濃度のサンプルを測定した後に、ブランク溶液を用いて何度も洗浄するまでは次のサンプルを判定することができず、これには長い時間がかかり、送液システムの完全な交換が必要とされる場合もある。多量の酸性キャリア液の連続使用により操作環境が汚染されるだけでなく、機器が腐食する。同時に、運搬プロセスでは、高純度HCl及び高価な還元剤が多量に消費され、これによっても試験のコストが増加する。
本発明の目的は、原子蛍光分析における上述の問題を効果的に解決するために、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法及び分析装置を提供することである。
本発明の一態様は、サンプリング及び送液を行う工程と、反応器内で試験溶液と試薬とを反応させる工程と、試験元素(複数の場合もある)を原子化する工程と、蛍光を判定する工程とを含む、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法を提供する。その特徴は、サンプリング及び送液のプロセスにおいて、キャリア流体としてHCl及び還元剤の代わりに水が使用され、水により試験溶液及び試薬が反応器に運ばれて反応が完了することであり、試薬は還元剤である。
具体的には、サンプリング及び送液のプロセスでは、最初にサンプリングを行い、すなわち或る特定の酸性度を有する試験溶液及び或る特定の濃度を有する試薬を同時に導入し、その後に送液を行う、すなわちキャリア流体として純水を用いて試験溶液及び試薬を反応器に運ぶ。
上記のサンプリング時間は、4秒~5秒であり、送液から判定の完了までの時間は、8秒~10秒である。
前記試験溶液の酸性度は、前記試験対象の元素と関連する。該試験溶液の酸性度を塩酸によって調整する。該試験溶液中の塩酸の濃度範囲は、4%~10%であり、試験対象の一般的な試験元素溶液の濃度と酸性度との関係が表1に示される。
Figure 2022506106000002
本発明の別の態様は、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置であって、送液システム、反応器、アトマイザー、励起光源、及び検出器等を備え、前記送液システムが、
サンプル入口チューブを介して前記反応器に接続される、試験対象のサンプル溶液を収容する試験溶液ボトルと、
試薬入口チューブを介して前記反応器に接続される、還元剤を収容するのに使用される試薬ボトルと、
水ボトル出口が2つの水入口チューブを介して前記サンプル入口チューブの入口及び前記試薬入口チューブの入口に接続され、切替器が前記水入口チューブから前記サンプル入口チューブ又は前記試薬入口チューブへの水の吸入を制御するように構成される、純水を収容する水ボトルと、
を備え、前記送液システムがキャリア酸の注入のための支持装置を備えないことを特徴とする、原子蛍光分析装置に関する。
上記の装置に基づき、本発明は、以下の工程を含む、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法を更に提供する:
工程1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及びNaBH溶液の調製。標準溶液又はサンプル溶液を試験溶液ボトルに入れ、還元剤として使用されるNaBH溶液を試薬ボトルに入れ、純水を水ボトルに入れる;
工程2.標準曲線を作成する:
1)サンプリング:サンプル入口チューブを標準ブランク溶液が入った試験溶液ボトルの入口に接続し、試薬入口チューブを前記試薬ボトルの入口に接続する;
2)送液:前記水ボトル内の前記純水が前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブに入るように、切替器をオンにして、前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブと前記水入口チューブとを接続し、前記標準ブランク溶液及びNaBH溶液をそれぞれ運び、前記反応器に押し出す;
3)判定:前記反応器、前記アトマイザー及び前記励起光源を作動させ、前記検出器によってブランク蛍光値を得る;
4)異なる濃度の前記一連の標準溶液が入った前記試験溶液ボトルを低濃度から高濃度の順に交換し、工程1)~3)を繰り返し、各標準溶液の蛍光値を順次判定して得る;
5)蛍光値-濃度標準曲線を描画する;
工程3.サンプルの判定:前記サンプル溶液が入った前記試験溶液ボトルを交換し、工程2の1)~3)を繰り返し、前記サンプル溶液の対応する蛍光値を判定して得て、前記蛍光値-濃度標準曲線によって前記サンプル溶液中の前記試験対象の元素(複数の場合もある)の濃度を得る。
ここで、工程1)のサンプリング時間は、4秒~5秒であり、工程2)の送液から工程3)の検出器によって蛍光値が得られるまでの時間は、8秒~10秒である。
キャリア流体として水を用いる上記の原子蛍光分析装置に基づき、本発明は、キャリア流体として水を用いる簡略化された原子蛍光分析装置を更に提供する。この簡略化された装置において、前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブは、どちらも液体入口キャピラリーチューブであり、前記水ボトルは、2つの水カップに変更される。一方の水カップは、洗浄用の水に使用され、もう一方は、キャリア流体用の水に使用される。前記2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を2つの水のカップに交互に挿入することができる。
具体的には、2つの液体入口キャピラリーチューブは、蠕動ポンプを介して前記反応器に接続され、該蠕動ポンプは、前記液体入口キャピラリーチューブ内の前記試験溶液、試薬、及びキャリア流体用の水の送出速度及び送出容量を制御する。
この簡略化された装置に基づき、本発明は、以下の操作を含む、キャリア流体として水を用いる適合した原子蛍光分析方法も提供する:
操作1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及びNaBH溶液を必要に応じて調製し、純水の2つのカップを準備する;
操作2.原子蛍光計を始動し、該原子蛍光計を必要とされる作動状態に調整する;
操作3.標準曲線を作成する:
A1)サンプリング:2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を、それぞれサンプリングのために標準ブランク溶液及びNaBH溶液に挿入し、4秒~5秒後に蠕動ポンプを停止させる;
A2)差し替え:前記2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を取り出し、洗浄のために洗浄水のカップに入れた後、もう一方のカップ内のキャリア流体用の水に移し、前記蠕動ポンプを再始動する;
A3)キャリア流体の判定:前記標準ブランク溶液及びNaBH溶液が、それぞれ前記キャリア流体によって前記反応器に運ばれ、前記検出器によってブランク蛍光値が得られる;
A4)前記標準ブランク溶液を、低濃度から高濃度の順に異なる濃度の一連の標準溶液に交換し、A1)~A3)を繰り返し、各標準溶液の蛍光値を順次判定して得る;
A5)蛍光値-濃度標準曲線を描画する;
操作4.サンプルの判定:前記標準ブランク溶液を前記サンプル溶液に交換し、操作A1)~A3)に従って該サンプル溶液の蛍光値を判定して得て、前記蛍光値-濃度標準曲線から前記サンプル溶液中の前記試験対象の元素の濃度を得て、関連パラメーターを入力し、前記サンプル中の判定される前記元素の含有量を算出する。
上記の操作3において、サンプリング/遅延/差し替え/判定の時間は、それぞれ4秒~5秒/0秒/2秒~3秒/8秒~10秒であり、該遅延はサンプリング後の操作であり、すなわち、A1)のサンプリング時間は4秒~5秒であり、遅延時間は0秒であり、A2)の差し替え時間は2秒~3秒であり、A3)のキャリア流体の判定時間は8秒~10秒である。
上記の解決策を採用することで、本発明は、原子蛍光分析のプロセスにおいて水をキャリア流体として独創的に使用し、キャリア流体としてのHCl及びNaBHの使用の30年にわたる歴史を終わらせる。キャリア流体としてHCl及び還元剤の代わりに水を使用する送液技術を原子蛍光分析に適用することで、試験溶液中のマイクロスケール又は微量のAs、Sb、Bi、Pb、Se、Cd、Hg等を判定することができるだけでなく、原子蛍光分析において水をキャリア流体として使用することが不可能であるという共通の理解の技術的偏見が克服されることが実施例において証明された。同時に、キャリア流体としてのHCl及びNaBHとは異なり、超純水は試験対象の成分を含有せず、送液プロセス中に試験溶液又は還元剤といかなる化学反応も起こさず、多量の気泡(酸及び還元剤によって生成する水素に起因する)を流路の管壁に付着させるため、全ての送液流路を最も十分に洗い流すことができる。したがって、キャリア流体として水を用いる原子蛍光計では、メモリー効果を効果的に克服し、判定の感度及び精度を改善し、多量の高純度HCl及び還元剤NaBHを節約することで分析コストを大幅に削減し、操作環境も顕著に改善する。
図面と実施形態とを組み合わせることで、本発明を以下に詳細に説明する。
キャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析装置の構造の概略図である。 キャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析装置における簡略化された送液システム及び送液の概略図である。 実施例1においてキャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析方法によって判定したCdのピーク曲線(A、蛍光値-時間)及び標準曲線(B、蛍光値-濃度)を示す図である。 実施例2においてキャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析方法によって同時に判定したHg/Asのピーク曲線(A、蛍光値-時間)並びに混合溶液のHg及びAsの標準曲線(B、蛍光値-濃度)を示す図である。 実施例3においてキャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析方法によって判定した関連ウラン鉱石中のHgのピーク曲線(A、蛍光値-時間)及び標準曲線(B、蛍光値-濃度)を示す図である。
本発明は、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法及び分析装置を開示する。従来の原子蛍光分析装置は、送液システム、反応器、アトマイザー、励起光源及び検出器を備える(図1を参照されたい)。送液システムにより、試験溶液及び還元剤(試薬)がそれぞれ反応器に導入される。このプロセスでは、塩酸及び還元剤をそれぞれキャリア流体として使用する。
本発明の設計思想は、流体を反応器に運ぶ従来の原子蛍光分析のプロセスにおいてキャリア流体としてHCl及び還元剤(試薬)の代わりに水を使用することである。試験溶液及び試薬が液体入口キャピラリーチューブからそれぞれのサンプル貯蔵リングに投入された後、純水が両方のキャピラリーチューブによりキャリア流体として使用され、それぞれのサンプル貯蔵リング内の試験溶液及び試薬が水キャリア下で反応器に押し出されて反応する。同時に、送液システムのパイプラインがキャリア流体として使用される純水によって洗浄される。
上記の設計思想に基づき、図1に示されるように、主に送液システム、反応器、アトマイザー、励起光源、検出器等を備える、キャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析装置の概略構造図を示す。送液システムは、試験溶液(サンプル溶液)及び還元剤を送るために使用される。試験溶液及び還元剤は、反応器内で化学反応を起こし、ガス状原子又は水素化物分子及び水素(混合ガスと呼ばれる)を生成する。アトマイザーは、水素化物分子を原子へと解離させるために使用され、励起光源及び検出器は、それぞれ蛍光の励起及び蛍光シグナルの収集に使用され、得られる蛍光シグナル値から算出される、得られる判定結果を報告する。本発明の送液システムは、サンプル入口チューブを介して反応器に接続される、試験対象のサンプル溶液を収容する試験溶液ボトル;試薬入口チューブを介して反応器に接続される、還元剤を収容する試薬ボトル;出口が2つの水入口チューブを介してサンプル入口チューブの入口及び試薬入口チューブの入口に接続され、切替器が水入口チューブからサンプル入口チューブ又は試薬入口チューブへの水の吸入を制御するように構成される、純水を収容する水ボトルを備える。この送液システムの独自の設計は、送液システムが塩酸の注入のための支持装置を備えないことであり、これにより既知の送液システムとは明らかに区別され、著しく異なる。この送液システムは、反応器、アトマイザー、励起光源及び検出器を備える従来の原子蛍光計と共に、キャリア流体として水を用いる本発明の原子蛍光分析装置を構成する。
上記の設計思想によると、本発明の原子蛍光分析方法では、送液システムの作動プロセスにおいて最初に或る特定の酸性度を有する試験溶液及び或る特定の濃度を有する試薬が同時に導入され(サンプリング)、その後に試験溶液及び試薬が、それぞれキャリア流体としての純水によって反応のために反応器に運ばれる(送液)。反応後に蒸気を原子化するためにアトマイザーが使用され、次いで蛍光を励起し、試験元素の蛍光シグナルを得るために励起光源及び検出器が使用され(判定)、試験溶液中の試験元素の濃度が算出される。送液プロセスでは、塩酸をキャリア流体としては全く使用しない代わりに、純水をキャリア流体として使用するが、このことは既知の送液システムとは著しく異なり、従来の想像を超えている。
本発明の方法によって判定される主要元素の濃度範囲と酸性度(HCl)との関係は、上記表1に示されている。
本発明の方法によって主要元素を判定する場合の還元剤NaBH(又はKBH)の濃度を表2に示す。
Figure 2022506106000003
具体的には、図1に示す装置と組み合わせた、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法の具体的な工程は、以下の通りであり得る:
工程1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及び還元剤(NaBH溶液を例にとる)の調製:標準溶液及びサンプル溶液をそれぞれ試験溶液ボトルに入れ、NaBH溶液を試薬ボトルに入れ、純水を水ボトルに入れる。
工程2.標準曲線の作成:1)サンプル入口チューブを標準ブランク溶液(試験対象の元素の濃度が0である酸性溶液)が入った試験溶液ボトルの入口に接続し、試薬入口チューブを試薬ボトルの入口に接続し、サンプリングする(サンプリング時間は4秒~5秒である);2)サンプル入口チューブ及び試薬入口チューブを、それぞれ水入口チューブと接続するように切り替え、キャリア流体として水をサンプル入口チューブ及び試薬入口チューブに吸引し、純水を介して標準ブランク溶液及び試薬を反応器に運ぶ;3)反応器、アトマイザー及び励起光源を作動させ、検出器によりブランク蛍光値を記録して判定を完了する(キャリア流体から判定の完了までの時間は8秒~10秒である);4)異なる濃度の一連の標準溶液が入った試験溶液ボトルを低濃度から高濃度の順に交換し、工程1)~3)を繰り返し、各標準溶液の対応する蛍光値を順次判定して得る;5)蛍光値-濃度標準曲線を描画する。
工程3.サンプルの判定:前記サンプル溶液が入った前記試験溶液ボトルを交換し、工程2の工程1)~3)を繰り返し、前記サンプル溶液の対応する蛍光値を判定して得て、前記蛍光値-濃度標準曲線によって換算された前記サンプル溶液中の前記試験対象の判定される元素の濃度値を得る。
図2は、本発明によって提供される、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置における簡略化された送液システム構成である。簡略化された送液システムは、試験対象のサンプル溶液を収容する試験溶液ボトル及び還元剤を収容する試薬ボトル(試験溶液ボトル及び試薬ボトルは、それぞれ液体入口キャピラリーチューブを介して反応器に接続される)、純水を収容する2つの水ボトル(一方(水カップ1)が2つのキャピラリーチューブを洗浄するための洗浄水を含み、もう一方(水カップ2)がキャリア流体としての運搬用の水を含む)を備える。蠕動ポンプを原子蛍光分析の送液プロセスに使用することができる。試験溶液及び試薬は、それぞれ蠕動ポンプの作用下で2つのキャピラリーチューブによりサンプル貯蔵リングに投入され(「サンプリング」と呼ばれる)、次いで、2つのキャピラリーチューブの液体入口ヘッド端(自由端)が、外壁に付着した溶液の洗浄のために水カップ1の洗浄水に挿入され(図2の点線を参照されたい)、次いで、2つのキャピラリーチューブの液体入口ヘッド端が水カップ2に挿入される(図2の二点鎖線(dash-dotted line)を参照されたい、「差し替え(replacing insertion)」と呼ばれる)。それぞれのサンプル貯蔵リング内の試験溶液及び試薬は、キャリア水によって反応器に押し出される。同様に、化学反応によって生成する分子蒸気がアトマイザーに入り、原子化され、励起光源の放射によって励起する。その結果生成する蛍光シグナルを判定し(「判定」と呼ばれる)、試験溶液中の試験対象の元素の濃度を得る。
本発明によって提供される簡略化された送液システムを原子蛍光分析に用いる場合、試験溶液及び試薬をサンプリングした後、2つの液体入口キャピラリーチューブのヘッド端を、外壁に付着し得る溶液の洗浄のために即座に水カップ1に入れ、次いで水カップ2に入れる。サンプリングされた溶液は、判定の終了まで水によって運ばれる。具体的な操作は、以下の通りであり得る:
A1)サンプリング:2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を、それぞれサンプリングのために試験溶液(ブランク溶液、標準溶液又はサンプル溶液)及び試薬(NaBH)溶液に挿入し、4秒~5秒後に蠕動ポンプの動作を停止させる;
A2)差し替え:2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を取り出し、洗浄のために洗浄水の水カップ1に入れた後、水カップ2内のキャリア流体用の水に移し、蠕動ポンプを再始動する;
A3)キャリア流体の判定:試験溶液及び試薬が、それぞれキャリア流体水によって反応器に運ばれた後、試験溶液の蛍光シグナルが機器によって判定される。
この操作における時間制御は、サンプリング/遅延/差し替え/判定:4~5/0/2~3/8~10(秒)である。すなわち、試験溶液及び試薬を吸引するA1)(すなわち、サンプリング)の時間は4秒~5秒であり、サンプリング後に操作が遅延し、遅延の時間は通常0秒であり、キャピラリーヘッド端を試験溶液及び試薬から取り出し、初めに水カップ1内の洗浄水に入れ、続いて水カップ2内のキャリア流体水に移し、すなわち、A2)の差し替え時間は概して2秒~3秒である。水カップ2内のキャリア水が、判定の終了までサンプル貯蔵リング内の試験溶液及び試薬を押し出し、すなわち、A3)のキャリア流体の判定時間は8秒~10秒であり、その間に元素の蛍光シグナルが判定される。
原子蛍光分析及び判定のために原子蛍光計を支持する上記の簡略化された送液システムを使用する具体的な操作は、以下の通りである:
操作1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及び還元剤(NaBH溶液)を必要に応じて調製する。次いで、純水の2つのカップをサンプルパンに設置する。
操作2.原子蛍光計の電源を入れる;デスクトップシステムの設定ページでシングルチャネル又はデュアルチャネルを選択する;試験に必要とされる条件を確認し、試験対象の元素の光源を点灯し、5分~10分間ウォームアップする。Arガスシリンダーバルブを開く;Arガス圧を0.3MPaに調整し、アトマイザーの排気装置を開く。
操作3.標準曲線の作成:
1)サンプリング:2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を、それぞれ標準ブランク溶液及びNaBH溶液に挿入する;デスクトップの標準ページの「ブランク」をクリックする;送液システムが自動的にサンプリングプログラムを実行し、4秒~5秒のサンプリング後に蠕動ポンプの動作を停止させる;
2)2つのキャピラリーヘッド端を即座に取り出し、洗浄のために水カップ1の洗浄水に入れた後、水カップ2の純水に移し(差し替え時間は2秒~3秒である)、蠕動ポンプを再始動する;
3)試験溶液及び試薬が、それぞれ水カップ2内のキャリア水によって反応器に運ばれる;標準ブランク溶液の蛍光シグナルが機器によって判定され、ブランク蛍光値を記録する(キャリア流体から判定の終了までの時間は8秒~10秒である);
4)ブランクの蛍光シグナルが安定した後、標準ブランク溶液を一連の標準溶液に交換する;1)~3)のプロセスを繰り返し、低濃度から高濃度までの一連の標準溶液の蛍光シグナルを判定し、蛍光値を記録する;蛍光シグナルのピーク値の曲線(蛍光値-時間)が同期的に作成される;
5)標準溶液の濃度をデスクトップシステムに入力し、各濃度の標準溶液の判定された蛍光値の平均を取り、蛍光値-濃度標準曲線を作成する。
操作4.サンプルの判定:試験溶液ボトルに挿入された液体入口キャピラリーチューブのヘッド端を清浄水で洗浄した後、初めにサンプルブランクをデスクトップシステムのサンプル試験ページで安定するまで判定し、標準ブランク溶液をサンプル溶液に交換する;操作3の1)~3)に従って各サンプル溶液の蛍光シグナルを順に判定する;サンプルの蛍光値を用いて、蛍光値-濃度標準曲線からサンプル溶液中の試験元素の濃度を得て、関連パラメーターを入力し、サンプル中の試験した元素の含有量を算出する。
上記の方法では単一元素又は2つの元素を同時に判定することができる。複数の元素を測定する場合、異なる濃度の異なる元素の標準混合溶液を調製し、対応する元素の標準曲線を作成する。上記の工程及び操作に従ってサンプル中の試験対象の各元素の含有量を判定する。本発明を以下で具体的な実施例と組み合わせて更に説明するが、実施例に挙げられる内容は、本発明を限定するものではない。実施例における濃度「%」は、質量百分率濃度として表される。
試験例1:Cd分析
試験サンプル:米、大豆
カドミウム標準曲線の作成:
初めに10ng/mlカドミウム標準溶液を調製した。次いで、この標準溶液0ml、0.5ml、1.0ml、1.5ml、2.0ml及び2.5mlを、それぞれ50ml容プラスチック定量ボトルに取り、各プラスチック定量ボトルに4mlの50%濃度のHCl溶液及び5mlの5%濃度のチオ尿素を添加し、得られる溶液を水で目盛りまで希釈し、Cd濃度が0ng/ml、0.1ng/ml、0.2ng/ml、0.3ng/ml、0.4ng/ml及び0.5ng/mlの一連の標準溶液を得た。振盪後に、操作手順に従ってブランク及び一連の標準溶液の蛍光シグナルを判定し、標準曲線を作成する(図3のパネルBを参照されたい)。図3のパネルAにCdのピーク曲線を示す。
試験溶液の調製及び判定:
米粉又は大豆粉のサンプル(約0.1g~0.2g)を秤量し、50ml容プラスチック定量ボトルに入れ、これに4mlの50%HCl及び5mlの5%チオ尿素を添加した。5分~10分間振盪した後、得られるプラスチック定量ボトル内の溶液を水で目盛りまで希釈した。次いで、サンプル溶液を表3の容量に従って調製した。操作プロセスに従い、サンプル溶液を試験溶液として使用してサンプル溶液の蛍光シグナルを判定し、Cdの濃度を標準曲線から得て、サンプル中の含有量に換算した。食品サンプル中のCdの判定結果を表3に示した。
Figure 2022506106000004
表3のデータから、HCl濃度が4%であり、試験サンプルを前処理しない場合であっても、水キャリア流体を使用する原子蛍光分析を用いることで、米及び他の食品中のカドミウムを迅速に判定し得ることが分かる。サンプル重量に大きな差がある並行判定値は、ほぼ同じであり、判定されるサンプル中のCd含有量は、推奨値と一致する。
この判定操作では、サンプルは消化処理を必要とせず、キャリア流体としての塩酸も必要ではなく、純水(18.2MΩ)のみが消費される。判定プロセスに費やされる時間は、従来の方法と比較して約50%短縮される。NaBH溶液は、反応に関与するためにしか使用する必要がなく、従来の判定と比較して75%超節約される。表3のサンプルを左から右の順に試験する。高濃度の溶液がその後の判定に影響を与えないことが分かる。キャリア流体として水を用いる方法がメモリー効果を排除することが示される。
試験例2:Hg/Asの同時判定
試験サンプル:土壌
土壌中のAsの含有量はHgよりもはるかに高いため、既存の原子蛍光計では、かかるサンプル中のHg及びAsを同時に判定することができなかった。本実施例では、本発明の装置を用いて同じサンプル中のHg及びAsの同時判定を実現する。
標準曲線の作成:
500ng/ml As及び10ng/ml Hgを含有する混合標準溶液を予め調製した。この標準溶液0ml、1ml、2ml、3ml、4ml及び5mlを、それぞれ50ml容プラスチック定量ボトルに取り、プラスチック定量ボトルの各々に5mlの5%Vc-5%チオ尿素溶液及び10mlの50%濃度のHClを添加し、得られる溶液を水で目盛りまで希釈して、番号0~5の一連の標準溶液を得た。標準溶液中のHg濃度シーケンスは0ng/ml、0.2ng/ml、0.4ng/ml、0.6ng/ml、0.8ng/ml及び1.0ng/mlであり、As濃度シーケンスは0ng/ml、10ng/ml、20ng/ml、30ng/ml、40ng/ml及び50ng/mlである。
デュアルチャネルパターンを選択し、ブランク及び一連の標準溶液中のHg及びAsの蛍光シグナルを上記の操作プロセスに従って同時に判定し、混合標準溶液のHg及びAsの標準曲線をそれぞれ作成する。図4のパネルAは、Hg/Asのピーク曲線であり、図4のパネルBは、混合標準溶液中のHg及びAsの標準曲線である(標準曲線のシグナルをスペクトル面積に基づいて算出し、ブランク面積を差し引いた)。
試験溶液の調製及び判定:
土壌サンプル(約0.1g~0.2g)をサンプル重量(G)に応じて秤量し、50ml容テトラフルオロエチレンサンプルチューブに入れ、これに50%王水を添加し、得られる溶液を水浴上で沸騰させて1時間分解した後、水によって50ml容プラスチック定量ボトルに移した。このプラスチック定量ボトルに、5mlの5%Vc-5%チオ尿素溶液及び10mlの50%濃度のHClを添加し、得られる溶液を水によって目盛りまで希釈した。十分に振盪し、サンプル溶液を試験溶液として使用してHg及びAsの蛍光シグナルを同時に判定し、それぞれの標準曲線に従って対応する元素の濃度を得て、サンプル中の各々の含有量を算出する。結果を表4に示した。
Figure 2022506106000005
上記表4のデータから、本発明の方法及び装置が土壌中のHg及びAsを同時に判定することの難しさを解決することが示される。同時に、6つのサンプル(標準サンプル)のHg含有量が大きく異なることが分かる。表4によると、サンプルを上から下の順に判定及び算出したが、結果が推奨含有量値と一致し、本発明の方法を用いた判定がHgの重大なメモリー効果を排除することが示された。
本実施例では、2つの元素が試験溶液中に共存している。送出システムは、1つの試験溶液の送出を完了するだけでよい。二元素検出器は、判定を一度で完了することができる。この判定操作では、キャリア流体として水が使用され、塩酸は必要でない。反応に関与するNaBH溶液は100ml~250mlしか必要とされず、判定プロセス全体の時間及びコストが大幅に削減される。
試験例3:関連ウラン鉱石中のHgの分析
試験サンプル:関連ウラン鉱物
本実施例では、図1に示される、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置を使用する(送液システムは図2に示される)。
水銀標準曲線の作成:
初めに50ng/ml Hgの水銀標準溶液を調製した。この標準溶液0ml、1ml、2ml、3ml、4ml及び5mlを、それぞれ50ml容プラスチック定量ボトルに取り、プラスチック定量ボトルの各々に、5mlの50%濃度のHClを添加し、得られる溶液を水によって目盛りまで希釈した。得られる一連の標準溶液中のHg濃度は、0ng/ml、1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、4ng/ml及び5ng/mlである。操作プロセスに従い、ブランク及び一連の標準溶液の蛍光シグナルを判定する。Hgのピーク曲線を図5のパネルAに示すが、ガウス分布と同様のシグナルスペクトルが得られる。標準溶液の蛍光シグナルに基づいて蛍光シグナル-濃度標準曲線を作成する(図5のパネルBを参照されたい)。
同じサンプルを秤量し(約0.1g~0.2g)、それぞれ50ml容テトラフルオロエチレンサンプルチューブに入れる。このテトラフルオロエチレンサンプルチューブの各々に50%王水を添加し、得られる溶液を水浴上で沸騰させて1時間分解した後、水によって50ml容遠心分離チューブに移した。これに5mlの50%濃度のHClを添加し、得られる溶液を水によって目盛りまで希釈した。十分に振盪し、操作プロセスに従い、サンプル溶液を試験溶液として使用してサンプル溶液の蛍光シグナルを判定する。標準溶液の5ng/mlという高いHg濃度を考慮して、サンプル入口キャピラリーチューブをサンプル溶液に挿入する前に清浄水によって洗浄し、キャピラリーチューブ内の残留水銀を完全に除去することができる。標準曲線からHg濃度を得て、サンプル中のHg含有量に換算する。サンプル中のHgの判定結果を表5に示した。
Figure 2022506106000006
表5のデータから、サンプル重量(G)が大きく異なり、HCl濃度が5%である場合に、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析により鉱石中のHgの含有量を迅速に判定し得ることが分かる。判定された並行サンプル中のHg含有量は、ほぼ同じであり、これは多くの研究所の比較結果と一致している。この判定操作では、サンプルを消化する必要がなく、キャリア流体としての塩酸も必要とされず、純水(18.2MΩ)のみが消費され、判定プロセスに費やされる時間は、従来の方法と比較して約50%短縮される。NaBH溶液は、反応に関与するためにしか使用する必要がなく、従来の判定と比較して75%超節約される。表中のサンプル重量はランダムである。溶液中の水銀の濃度は高いか又は低いが、判定を完了することができ、一貫性のある結果を得ることができることが分かる。キャリア流体としての水の使用によりメモリー効果が排除されることが分かる。高濃度の標準溶液を判定した後であっても、送液システムがキャリア水によって洗浄されるため、他の濃度のサンプル溶液の判定に影響はない。
表6に水銀の検出限界及び再現性データを挙げる。これにより本発明の方法及び装置が良好な検出安定性を有することが示される。
Figure 2022506106000007
本発明は、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法及び装置を提供する。従来の送液プロセスにおいて、キャリア流体としての塩酸及び還元剤を水に置き換えることで、試験溶液及び還元剤が水によって反応器に運ばれて反応が完了する。これによりメモリー効果が効果的に克服され、判定の感度及び精度が改善し、多量の高純度塩酸及び還元剤が節約され、分析コストが大幅に削減され、操作環境が顕著に改善するため、産業用途に適している。

Claims (11)

  1. キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法であって、サンプリング及び送液を行うことと、試験溶液と試薬とを反応器内で反応させることと、試験対象の元素を原子化することと、蛍光を判定することとを含み、従来のサンプリング及び送液のプロセスにおいて水をキャリア流体として使用することで、前記試験溶液及び前記試薬が水によって前記反応器に運ばれて反応が完了し、前記試薬が還元剤である、原子蛍光分析方法。
  2. 前記サンプリング及び送液のプロセスが、最初にサンプリングした後に送液を行うことであり、最初のサンプリングが、或る特定の酸性度を有する前記試験溶液及び或る特定の濃度を有する前記試薬をそれぞれ導入することであり、その後の送液が、キャリア流体として純水を用いて前記試験溶液及び前記試薬を前記反応器に運ぶことである、請求項1に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法。
  3. サンプリング時間が4秒~5秒であり、送液から判定の完了までの時間が8秒~10秒である、請求項2に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法。
  4. 前記試験溶液の酸性度が前記試験対象の元素と関連し、該試験溶液の酸性度を塩酸によって調整し、該試験溶液中の塩酸の濃度範囲が4%~10%であり、試験対象の一般的な元素の濃度と酸性度との関係が表1に示される、請求項3に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法。
  5. キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置であって、送液システムと、反応器と、アトマイザーと、励起光源と、検出器とを備え、前記送液システムが、
    サンプル入口チューブを介して前記反応器に接続される、試験対象のサンプル溶液を収容する試験溶液ボトルと、
    試薬入口チューブを介して前記反応器に接続される、還元剤を収容する試薬ボトルと、
    水ボトル出口が2つの水入口チューブを介して前記サンプル入口チューブの入口及び前記試薬入口チューブの入口に接続され、切替器が前記水入口チューブから前記サンプル入口チューブ又は前記試薬入口チューブへの水の吸入を制御するように構成される、純水を収容する水ボトルと、
    を備え、前記送液システムがキャリア酸の送出及び注入のための支持装置を備えない、原子蛍光分析装置。
  6. 前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブがどちらも液体入口キャピラリーチューブであり、前記水ボトルが2つの水カップに変更され、一方の水カップが洗浄用の水に使用され、もう一方がキャリア流体用の水に使用され、前記2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を2つの水のカップに交互に挿入することができる、請求項5に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置。
  7. 前記2つの液体入口キャピラリーチューブが蠕動ポンプを介して前記反応器に接続され、該蠕動ポンプが前記液体入口キャピラリーチューブ内の前記試験溶液、試薬、及びキャリア流体用の水の送出速度及び送出容量を制御する、請求項6に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析装置。
  8. 以下の工程を含む、請求項5に記載の装置を使用する、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法:
    工程1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及び試薬溶液を調製し、該サンプル溶液を試験溶液ボトルに入れ、該試薬溶液を試薬ボトルに入れ、純水を水ボトルに入れる;
    工程2.標準曲線を作成する:
    1)サンプリング:サンプル入口チューブを標準ブランク溶液が入った試験溶液ボトルの入口に接続し、試薬入口チューブを前記試薬ボトルの入口に接続する;
    2)送液:前記水ボトル内の前記純水が前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブに入るように、切替器をオンにして、前記サンプル入口チューブ及び前記試薬入口チューブと前記水入口チューブとを接続し、前記標準ブランク溶液及び前記試薬溶液をそれぞれ運び、前記反応器に押し出す;
    3)判定:前記反応器、前記アトマイザー及び前記励起光源を作動させ、前記検出器によってブランク蛍光値を得る;
    4)異なる濃度の前記一連の標準溶液が入った前記試験溶液ボトルを低濃度から高濃度の順に交換し、工程1)~3)を繰り返し、各標準溶液の蛍光値を順次判定して得る;
    5)蛍光値-濃度標準曲線を描画する;
    工程3.サンプルの判定:前記サンプル溶液が入った前記試験溶液ボトルを交換し、工程2の1)~3)を繰り返し、前記サンプル溶液の対応する蛍光値を判定して得て、前記蛍光値-濃度標準曲線によって前記サンプル溶液中の前記試験対象の元素の濃度を得る。
  9. 工程1)のサンプリング時間が4秒~5秒であり、工程2)の送液から工程3)の検出器によって蛍光値が得られるまでの時間が8秒~10秒である、請求項8に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法。
  10. 以下の操作を含む、請求項6又は7に記載の装置を使用する、キャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法:
    操作1.異なる濃度の試験対象の元素を含む一連の標準溶液、サンプル溶液及び試薬溶液を必要に応じて調製し、純水の2つのカップを準備する;
    操作2.原子蛍光計を始動し、該原子蛍光計を必要とされる作動状態に調整する;
    操作3.標準曲線を作成する:
    A1)サンプリング:2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を、それぞれサンプリングのために標準ブランク溶液及び前記試薬溶液に挿入し、4秒~5秒後に蠕動ポンプを停止させる;
    A2)差し替え:前記2つの液体入口キャピラリーチューブの液体入口ヘッド端を取り出し、洗浄のために洗浄水のカップに入れた後、もう一方のカップ内のキャリア流体用の水に移し、前記蠕動ポンプを再始動する;
    A3)キャリア流体の判定:前記標準ブランク溶液及び前記試薬溶液が、それぞれ前記キャリア流体によって前記反応器に運ばれ、前記検出器によってブランク蛍光値が得られる;
    A4)前記標準ブランク溶液を、低濃度から高濃度の順に異なる濃度の一連の標準溶液に交換し、A1)~A3)を繰り返し、各標準溶液の蛍光値を順次判定して得る;
    A5)蛍光値-濃度標準曲線を描画する;
    操作4.サンプルの判定:前記標準ブランク溶液を前記サンプル溶液に交換し、操作A1)~A3)に従って該サンプル溶液の蛍光値を判定して得て、前記蛍光値-濃度標準曲線から前記サンプル溶液中の前記試験対象の元素の濃度を得て、関連パラメーターを入力し、前記サンプル中の判定される前記元素の含有量を算出する。
  11. サンプリング/遅延/差し替え/判定の時間が、それぞれ4秒~5秒/0秒/2秒~3秒/8秒~10秒であり、該遅延はサンプリング後の操作であり、すなわち、A1)のサンプリング時間は4秒~5秒であり、遅延時間は0秒であり、A2)の差し替え時間は2秒~3秒であり、A3)のキャリア流体の判定時間は8秒~10秒である、請求項10に記載のキャリア流体として水を用いる原子蛍光分析方法。
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