JP2022178898A - 切削装置及び治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンバランス検出器の回転角度センサーを簡単に検出位置に配置できる切削装置を提供する。
【解決手段】被加工物の切削加工に用いられる切削装置であって、被加工物を保持するチャックテーブルと、環状の切削ブレードを固定できるマウントが先端部に取り付けられたスピンドルと、マウントに固定された状態の切削ブレードの一部を覆うブレードカバーと、スピンドルの回転軸と、切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器と、を備え、アンバランス検出器は、スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出する回転角度センサーを含み、回転角度センサーは、ブレードカバーに取り付けられることでスピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に配置される。
【選択図】図8
【解決手段】被加工物の切削加工に用いられる切削装置であって、被加工物を保持するチャックテーブルと、環状の切削ブレードを固定できるマウントが先端部に取り付けられたスピンドルと、マウントに固定された状態の切削ブレードの一部を覆うブレードカバーと、スピンドルの回転軸と、切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器と、を備え、アンバランス検出器は、スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出する回転角度センサーを含み、回転角度センサーは、ブレードカバーに取り付けられることでスピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に配置される。
【選択図】図8
Description
本発明は、被加工物の切削加工に用いられる切削装置及びこの切削装置で使用される治具に関する。
携帯電話機やパーソナルコンピュータに代表される電子機器では、電子回路等のデバイスを備えるデバイスチップが必須の構成要素になっている。デバイスチップは、例えば、シリコン等の半導体材料でなるウェーハの表面側を分割予定ライン(ストリート)で複数の領域に区画し、各領域にデバイスを形成した後、この分割予定ラインに沿ってウェーハを分割することで得られる。
ウェーハに代表される板状の被加工物をデバイスチップ等の小片へと分割する際には、例えば、切削ブレードと呼ばれる環状の砥石(加工用の工具)をスピンドルに装着した切削装置が使用される。切削ブレードを高速に回転させて、純水等の液体を供給しながら分割予定ラインに沿って被加工物に切削ブレードを切り込ませることで、この被加工物を切削加工して複数の小片へと分割できる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、板状の被加工物を切削加工する際に用いられる上述の切削装置では、一般的に、スピンドルに固定されたブレードマウントが備える円柱状のボス部を切削ブレードの中央の穴に挿入することで、スピンドルに切削ブレードが装着される。そのため、切削ブレードの穴に対してボス部を挿入できるように、切削ブレードの穴の直径は、ボス部の直径よりも僅かに大きくなっている。
一方で、このような切削ブレードの穴にブレードマウントのボス部が挿入されると、切削ブレードとボス部との間に僅かな隙間ができる。これにより、切削ブレードの重心がスピンドルの回転軸(軸心)から僅かにずれて、スピンドルを高速に回転させる際に切削ブレードに振動が生じてしまうことがある。切削ブレードが振動すると、例えば、被加工物のチッピング等の不良も発生し易くなる。
この問題を解消するために、例えば、スピンドルの回転軸と、切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出できるアンバランス検出器を備えた切削装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。アンバランス検出器の検出結果に基づき各部の重量のバランスを調整することで、切削ブレードの振動を低減し、切削加工にかかる不良の発生を抑制できる。
上述のアンバランス検出器は、代表的には、スピンドルや切削ブレードの振動を検出する振動センサーと、スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出する回転角度センサーと、を含む。振動センサーは、例えば、スピンドルを収容するハウジング(スピンドルハウジング)の下部に取り付けられる。
一方で、回転角度センサーは、例えば、被加工物を保持するチャックテーブルの上面に対して任意の治具で取り付けられ、スピンドルの角度の変化を検出できる検出位置(代表的には、切削ブレードの正面側の位置)に回転角度センサーが配置されるように、オペレーターがチャックテーブルの位置を調整する。しかしながら、このような作業は煩雑であり、回転角度センサーをより簡単に検出位置に配置したいという要望があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンバランス検出器の回転角度センサーを簡単に検出位置に配置できる切削装置、及び、アンバランス検出器の回転角度センサーを簡単に検出位置に配置できる治具を提供することである。
本発明の一側面によれば、被加工物の切削加工に用いられる切削装置であって、該被加工物を保持するチャックテーブルと、環状の切削ブレードを固定できるマウントが先端部に取り付けられたスピンドルと、該マウントに固定された状態の該切削ブレードの一部を覆うブレードカバーと、該スピンドルの回転軸と、該切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器と、を備え、該アンバランス検出器は、該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出する回転角度センサーを含み、該回転角度センサーは、該ブレードカバーに取り付けられることで該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に配置される切削装置が提供される。
本発明の別の一側面によれば、切削装置が備えるスピンドルの回転軸と、該スピンドルの先端部に取り付けられたマウントに固定される環状の切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器の回転角度センサーを所定の位置に配置する際に用いられる治具であって、該マウントに固定された状態の該切削ブレードの一部を覆うブレードカバーに取り付けられる基部と、該回転角度センサーを保持する保持部と、該基部が該ブレードカバーに取り付けられた状態で、該保持部が該切削ブレードの径方向において該切削ブレードよりも外側に配置されるように該基部と該保持部とを接続する接続部と、を備え、該ブレードカバーに該基部が取り付けられることで、該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に該回転角度センサーが配置される治具が提供される。
好ましくは、該検出位置は、該切削ブレードを該マウントに固定する固定ナットの外周面に対峙する位置、該マウントとの間に該切削ブレードを挟み込む固定フランジの外周面に対峙する位置、又は該切削ブレードの外周面に対峙する位置である。
また、好ましくは、該接続部は、該保持部に保持された該回転角度センサーの位置を、該スピンドルの回転軸に平行な方向において調整できるように、該基部に対して該保持部を回転できる状態で接続する。
本発明の一側面にかかる切削装置及び別の一側面にかかる治具によれば、スピンドルや切削ブレードとの位置の関係が殆ど変化しないブレードカバーにアンバランス検出器の回転角度センサーが取り付けられる。そのため、スピンドルや切削ブレードとの位置の関係が変化するチャックテーブルやその他の構造物に対して回転角度センサーを取り付ける場合のような煩雑な調整の作業が不要になる。よって、アンバランス検出器の回転角度センサーを簡単に検出位置に配置できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる切削装置2の構造を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明で用いられるX軸方向(加工送り方向、前後方向)、Y軸方向(割り出し送り方向、左右方向)、及びZ軸方向(切込み送り方向、上下方向)は、互いに垂直であり、x軸方向、y軸方向、及びz軸方向は、互いに垂直である。
図1に示すように、切削装置2は、種々の構成要素を支持する基台4を備えている。基台4の上面の角部には、開口4aが形成されており、この開口4a内には、昇降機構(不図示)によって昇降するカセットテーブル6が配置されている。カセットテーブル6の上面には、板状の被加工物11を収容できるカセット8が載せられる。図1では、説明の便宜上、カセット8の輪郭のみが示されている。
被加工物11は、代表的には、シリコン(Si)等の半導体でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面(図1では、上面)側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)で複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイスが形成されている。
被加工物11の裏面(図1では下面)側には、被加工物11よりも径の大きいテープ(ダイシングテープ)13が貼付されている。また、テープ13の外周部分には、環状のフレーム15が被加工物11を囲むように固定されている。このように、被加工物11は、テープ13を介してフレーム15に支持された状態でカセット8に収容される。
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくても良い。
カセットテーブル6の側方には、X軸方向に長い開口4bが形成されている。開口4b内には、ボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)10が配置されている。このX軸移動機構10は、ボールねじに連結されるモーター等の回転駆動源(不図示)と、X軸移動テーブル(不図示)と、を含んでおり、このX軸移動テーブルをX軸方向に沿って移動させる。
X軸移動テーブルの上方は、テーブルカバー10aによって覆われている。また、テーブルカバー10aの前後には、X軸移動テーブル(テーブルカバー10a)の移動に応じて伸縮できる蛇腹状の防塵防滴カバー10bが取り付けられている。このX軸移動テーブルの上部には、被加工物11を保持するチャックテーブル12が、テーブルカバー10aから露出する態様で配置されている。
チャックテーブル12は、モーター等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル12は、上述したX軸移動機構10によって、X軸移動テーブルとともにX軸方向に移動する(加工送り)。
チャックテーブル12は、例えば、ステンレス鋼に代表される金属で形成された円盤状の枠体を含む。枠体の上面側には、平面視で円形状の凹部が形成されている。この凹部には、凹部の形状に対応した円盤状の保持板が嵌め込まれている。また、枠体の周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム15を固定するための4個のクランプ14が配置されている。
保持板は、例えば、セラミックス等の材料を用いて多孔質状に形成され、その上面が、被加工物11を保持する保持面12aとして機能する。なお、保持面12aは、保持板が凹部に嵌め込まれた状態で、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行になるように形成されている。
凹部の底には、流路(不図示)やバルブ(不図示)等を介して吸引源(不図示)が接続されている。そのため、バルブを開けば、流路等を通じて吸引源の負圧が保持面12aに作用する。吸引源としては、例えば、エアーの供給源とエジェクタとを組み合わせた真空ポンプ等を用いることができる。ただし、ロータリーポンプ等を吸引源としても良い。
開口4bの上方には、上述した被加工物11(フレーム15)をチャックテーブル12等へと搬送するための搬送ユニット(不図示)が配置されている。搬送ユニットで搬送された被加工物11は、例えば、表面側が上方に露出するようにチャックテーブル12の保持面12aに載せられる。
開口4bに隣接する位置には、片持ち梁状の支持構造16が配置されている。支持構造16の上部には、Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)18が設けられている。Y軸Z軸移動機構18は、支持構造16の正面(表面)に配置されY軸方向に対して概ね平行な一対のY軸ガイドレール20を備えている。
Y軸ガイドレール20には、Y軸Z軸移動機構18を構成するY軸移動プレート22がスライドできる態様で取り付けられている。Y軸移動プレート22の背面側(裏面側)には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール20に対して概ね平行なねじ軸24が、回転できる態様で連結されている。
ねじ軸24の一端部には、モーター等の回転駆動源(不図示)が接続されている。回転駆動源によってねじ軸24を回転させることで、Y軸移動プレート22はY軸ガイドレール20に沿って移動する。Y軸移動プレート22の正面(表面)には、Z軸方向に対して概ね平行な一対のZ軸ガイドレール26が設けられている。Z軸ガイドレール26には、Z軸移動プレート28がスライドできる態様で取り付けられている。
Z軸移動プレート28の背面側(裏面側)には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール26に対して概ね平行なねじ軸30が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸30の一端部には、モーター等の回転駆動源32が接続されている。回転駆動源32によってねじ軸30を回転させることで、Z軸移動プレート28はZ軸ガイドレール26に沿って移動する。
Z軸移動プレート28の下部には、切削ユニット34と撮像ユニット(カメラ)36とが固定されている。よって、Y軸移動プレート22をY軸ガイドレール20に沿って移動させれば、切削ユニット34及び撮像ユニット36は、Y軸方向に沿って移動し(割り出し送り)、Z軸移動プレート28をZ軸ガイドレール26に沿って移動させれば、切削ユニット34及び撮像ユニット36は、Z軸方向に沿って移動する(切り込み送り)。
開口4bに対して開口4aと反対側の位置には、開口4cが形成されている。開口4c内には、切削加工後の被加工物11等を洗浄するための洗浄ユニット38が配置されている。X軸移動機構10、搬送ユニット、Y軸Z軸移動機構18、切削ユニット34、撮像ユニット36、洗浄ユニット38等の構成要素には、制御ユニット(不図示)が接続されており、各構成要素の動作は、この制御ユニットによって制御される。
制御ユニットは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニットの機能が実現される。ただし、制御ユニットは、ハードウェアのみによって実現されても良い。
図2は、切削ユニット34の構造を模式的に示す分解斜視図である。切削ユニット34は、筒状のハウジング(スピンドルハウジング)40を備えている。ハウジング40には、回転軸(軸心)がY軸方向に対して概ね平行になるようにスピンドル42が収容されている。スピンドル42の先端部(一端側)は、ハウジング40の外部に露出している。スピンドル42の先端部の先端面には、ねじ穴42aが設けられている。また、スピンドル42の基端部(他端側)には、モーター等の回転駆動源(不図示)が接続されている。
このスピンドル42の先端部には、マウント(ブレードマウント)44を介して環状の切削ブレード46が固定される。マウント44は、切削ブレード46を支持する円盤状のフランジ部48と、フランジ部48の円形の表面(一方の面)48aの中央部から突出する円柱状のボス部50と、を含む。
このマウント44には、フランジ部48の中央部を表面48a側から裏面(他方の面)48b側に貫通するとともに、ボス部50の中央部を先端50a側から基端側(フランジ部48側)に貫通する穴44aが形成されている。フランジ部48の裏面48b側からスピンドル42の先端部が穴44aに挿入されることで、マウント44は、フランジ部48の裏面48b側からスピンドル42に取り付けられる。
穴44aの内側には、ねじ52の頭を受ける環状の受け部が設けられている。よって、ボス部50の先端50a側から穴44aにねじ52を挿入し、この穴44aを介してスピンドル42のねじ穴42aにねじ52を締め込めば、マウント44は、スピンドル42の先端部に固定される。
フランジ部48の表面48a側の外周部には、表面48aに対して垂直な方向に僅かに突出する環状の凸部48cが設けられている。凸部48cの先端面48dは、概ね平坦に形成されている。ボス部50の外周面50bの先端50a側の領域には、ねじ山が設けられている。
切削ブレード46は、例えば、アルミニウムに代表される金属等でなる円錐台状の基台54と、基台54の外周縁に沿って設けられた環状の切刃56と、を一体に備えた、いわゆるハブタイプの切削ブレードである。切削ブレード46の中央部(基台54の中央部)には、切削ブレード46(基台54)を厚さの方向に貫通する穴46aが設けられている。マウント44に対して切削ブレード46を装着する際には、この穴46aにボス部50が挿入される。穴46aの直径は、ボス部50の直径よりも僅かに大きくなっている。
基台54は、円錐台の側面に相当する湾曲面(第1面)54aと、円錐台の底面に相当し、湾曲面54aの概ね反対側に位置する平坦面(第2面)(不図示)と、を有する。マウント44に対して切削ブレード46を取り付ける際には、基台54の平坦面がフランジ部48の先端面48dに接触するように、穴46aにボス部50を挿入させる。切刃56は、例えば、ダイヤモンド等でなる砥粒がニッケル等の金属を含む結合剤によって固定された構造を有している。
マウント44に対して切削ブレード46を固定する際には、切削ブレード46の穴46aにボス部50が挿入された状態で、固定ナット58に設けられている円形の穴58aにボス部50を挿入させる。なお、穴58aの内周面には、ボス部50のねじ山に対応するねじ山が設けられている。
そして、ボス部50と固定ナット58とを相対的に回転させて、固定ナット58をボス部50に締め込む。これにより、固定ナット58が切削ブレード46の基台54の湾曲面54a側に接触し、切削ブレード46は、マウント44と固定ナット58とにより挟持される。つまり、切削ブレード46がマウント44に固定される。
図1に示すように、マウント44に固定された状態の切削ブレード46の周囲には、切削ブレード46の下端部を除く外周部(つまり、切削ブレード46の一部)を覆うブレードカバー60が配置されている。図3は、ブレードカバー60の構造を模式的に示す側面図であり、図4は、ブレードカバー60の構造を模式的に示す斜視図である。
ブレードカバー60は、ハウジング40に固定された固定部62と、固定部62に対して移動可能な可動部64と、を含む。図4に示すように、固定部62の切削ブレード46に対面する内壁面62aの下端部には、純水等の液体(切削液)を供給できる供給口62bが設けられている。この供給口62bには、配管(不図示)等を介して液体の供給源が接続され、供給口62bを通じて切削ブレード46に液体が供給される。
可動部64は、例えば、エアシリンダ等の移動機構(不図示)を介して固定部62に連結されており、この移動機構の動力によりX軸方向に沿ってスライドする。可動部64を固定部62に近付けた状態では、切削ブレード46の下端部を除く外周部がブレードカバー60に覆われる。一方で、可動部64を固定部62から遠ざけると、切削ブレード46の交換等の作業が容易になる。
可動部64は、ハウジング40側の第1部品66と、ハウジング40とは反対側の第2部品68と、を含む。第1部品66の下端部には、第1シャワーノズル70が設けられており、第2部品68の下端部には、第2シャワーノズル72が設けられている。切削ブレード46(切刃56)の下部は、第1シャワーノズル70と第2シャワーノズル72とによって挟まれる。
第1シャワーノズル70及び第2シャワーノズル72の基端側には、上述した液体の供給源が配管(不図示)等を介して接続される。第1シャワーノズル70及び第2シャワーノズル72の切削ブレード46と対面する位置には、複数のスリット(不図示)が形成されており、これら複数のスリットを通じて切削ブレード46及び被加工物11に液体が供給される。
第2部品68は、固定用のねじ74によって第1部品66に固定されている。よって、ねじ74を緩めて第1部品66に対する第2部品68の固定を解除することで、第1部品66から第2部品68を取り外すことができるようになる。本実施形態の切削装置2では、このように構成されるブレードカバー60に対して、スピンドル42の回転軸と、切削ブレード46の重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器76(図8参照)の回転角度センサー78(図8参照)が取り付けられる。
アンバランス検出器76は、回転角度センサー78に加えて、スピンドル42や切削ブレード46の振動を検出するための振動センサー(不図示)を備えており、上述した制御ユニットに接続されている。回転角度センサー78は、代表的には、ハイスピードカメラ等であり、スピンドル42の回転に伴い繰り返し変化する視野の状態から、スピンドル42の回転の周期や回転の角度等を検出する。
振動センサーは、例えば、圧電素子等で構成され、ハウジング40に取り付けられる。このように構成されるアンバランス検出器76は、回転角度センサー78で検出されるスピンドル42の回転の周期や回転の角度等と、振動センサーで検出されるスピンドル42や切削ブレード46の振動と、の相関関係から、スピンドル42の回転軸と、切削ブレード46の重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出する。
図5は、ブレードカバー60への回転角度センサー78の取り付けに使用される治具(取り付け治具)80の構造を模式的に示す斜視図である。この治具80は、ブレードカバー60の可動部64を構成する第1部品66から第2部品68を取り外した状態で、第1部品66に取り付けて使用される。
図5に示すように、治具80は、角柱状に形成された基部82を備えている。基部82の第1側面には、この基部82を第1側面から反対側の第2側面に向かう方向(y軸方向)に貫通する長穴82aが設けられている。なお、長穴82aの基部82の下面から上面へと向かう方向(z軸方向)に沿った長さは、長穴82aの基部82の背面から正面に向かう方向(x軸方向)に沿った長さよりも長い。
長穴82aには、ねじ84が挿入され、このねじ84によって、基部82は、ブレードカバー60の第1部品66に取り付けられる。長穴82a中のねじ84の位置(z軸方向の位置)を変更することで、ブレードカバー60(第1部品66)に対する基部82の位置(Z軸方向の位置)等を調整できる。
基部82の下面には、接続部86が設けられている。接続部86は、基部82に対して固定された板状の固定部86aと、固定部86aから背面側に突出する円柱状の軸部86bと、を含む。軸部86bの軸心は、x軸方向に対して概ね平行である。この軸部86bには、回転角度センサー78を保持できる保持部88が接続されている。
保持部88は、板状の軸受部と、軸受部の端に接続された角柱状の把持部と、を持つ第1部材90を含む。第1部材90の軸受部には、軸部86bを挿入できる穴90aが設けられており、第1部材90は、軸受部の穴90aに軸部86bを挿入されることで、接続部86に接続される。また、第1部材90は、軸受部の穴90aに軸部86bを挿入された状態で、軸部86bの軸心の周りに回転できる。
第1部材90の把持部には、この把持部と同様の角柱状に形成された第2部材92が固定されている。具体的には、第2部材92には、ねじ94を挿入できる穴92aが設けられており、第2部材92は、このねじ94によって第1部材90に固定される。第1部材90の把持部の第2部材92に対面する側面には、回転角度センサー78の形状に合う溝部90bが形成されている。
また、第2部材92の第1部材90の把持部に対面する側面には、回転角度センサー78の形状に合う溝部92bが形成されている。第1部材90の溝部90bと第2部材92の溝部92bとは、互いに向き合うように配置されており、回転角度センサー78は、溝部90bと溝部92bとによって規定される筒状の空間(隙間)に挿入されることで、保持部88に保持される。
図6は、ブレードカバー60に治具80を取り付けるために、ブレードカバー60の第2部品68が取り外される様子を模式的に示す斜視図であり、図7は、ブレードカバー60に治具80が取り付けられる様子を模式的に示す斜視図である。上述のように、固定用のねじ74を緩めて第1部品66に対する第2部品68の固定を解除することで、第1部品66から第2部品68を取り外すことができる。
図6に示すように、第1部品66から第2部品68を取り外すと、第1部品66の第2部品68側の側面66aに設けられているねじ穴66bが露出する。図7に示すように、このねじ穴66bにねじ84を挿入して締め込むことで、治具80の基部82をブレードカバー60に取り付けることができる。
治具80は、例えば、図5のx軸方向、y軸方向、及びz軸方向が、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に一致する向きでブレードカバー60に取り付けられる。これにより、治具80の保持部88は、切削ブレード46の径方向において切削ブレード46よりも外側に配置される。このように、接続部86は、基部82がブレードカバー60に取り付けられた状態で、保持部88が切削ブレード46の径方向において切削ブレード46よりも外側に配置されるように、基部82と保持部88とを接続している。
ブレードカバー60に対して治具80を取り付けた後には、この治具80にアンバランス検出器76の回転角度センサー78を保持させることで、スピンドル42の回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に回転角度センサー78を配置する。図8は、回転角度センサー78が検出位置に配置された状態を示す側面図であり、図9は、回転角度センサー78が検出位置に配置された状態を示す背面図である。
具体的には、まず、保持部88の溝部90bと溝部92bとにより規定される筒状の空間に回転角度センサー78を挿入する。なお、溝部90bと溝部92bとによる空間に回転角度センサー78を挿入した後には、ねじ94を十分に締め込んで、第1部材90と第2部材92との距離を狭めると良い。これにより、第1部材90と第2部材92とで回転角度センサー78を強く把持して確実に保持できる。
保持部88によって回転角度センサー78を保持した後には、例えば、保持部88を接続部86の軸部86bの周りに回転させて、保持部88に保持された回転角度センサー78の位置を、スピンドル42の回転軸に平行な方向において調整する。このように、接続部86は、保持部88に保持された回転角度センサー78の位置を、スピンドル42の回転軸に平行な方向において調整できるように、基部82に対して保持部88を回転できる状態で接続している。
このような手順により、回転角度センサー78を簡単に検出位置に配置できる。なお、本実施形態では、図8及び図9に示すように、切削ブレード46をマウント44に固定する固定ナット58の外周面に対峙する位置を、回転角度センサー78が配置される検出位置としているが、検出位置は、スピンドル42の回転に伴う角度の変化を適切に検出できる位置であれば良い。例えば、切削ブレード46(基台54又は切刃56)の外周面に対峙する位置を、検出位置としても良い。
以上のように、本実施形態にかかる切削装置2及び治具80によれば、スピンドル42や切削ブレード46との位置の関係が殆ど変化しないブレードカバー60にアンバランス検出器76の回転角度センサー78が取り付けられる。そのため、スピンドル42や切削ブレード46との位置の関係が変化するチャックテーブル12やその他の構造物に対して回転角度センサー78を取り付ける場合のような煩雑な調整の作業が不要になる。よって、アンバランス検出器76の回転角度センサー78を簡単に検出位置に配置できる。
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態では、治具80をブレードカバー60に取り付けてから、保持部88に回転角度センサー78を保持させているが、保持部88に回転角度センサー78が保持された状態で、治具80をブレードカバー60に取り付けても良い。
また、上述した実施形態では、保持部88を、第1部材90と第1部材90とで構成しているが、本発明の保持部は、少なくとも、回転角度センサー78を保持できるように構成されていれば良い。例えば、保持部を1つの部材だけで構成することもできる。
また、上述した実施形態では、基台54と、基台54の外周縁に沿って設けられた環状の切刃56と、を一体に備えた、いわゆるハブタイプの切削ブレード46を使用する切削装置2について説明しているが、本発明は、環状の切刃のみで構成される、いわゆるワッシャータイプの切削ブレードを使用する切削装置に対しても同様に適用され得る。
なお、このワッシャータイプの切削ブレードを使用する切削装置では、上述したマウント44に類似するマウントと、中央部に円形の穴が設けられている円盤状の固定フランジと、で挟み込むように切削ブレードが固定される。この場合には、マウントとの間に切削ブレードを挟み込む固定フランジの外周面に対峙する位置を、回転角度センサー78が配置される検出位置としても良い。
その他、上述した実施形態や変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
2 :切削装置
4 :基台
4a :開口
4b :開口
4c :開口
6 :カセットテーブル
8 :カセット
10 :X軸移動機構(加工送りユニット)
10a :テーブルカバー
10b :防塵防滴カバー
12 :チャックテーブル
12a :保持面
14 :クランプ
16 :支持構造
18 :Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)
20 :Y軸ガイドレール
22 :Y軸移動プレート
24 :ねじ軸
26 :Z軸ガイドレール
28 :Z軸移動プレート
30 :ねじ軸
32 :回転駆動源
34 :切削ユニット
36 :撮像ユニット(カメラ)
38 :洗浄ユニット
40 :ハウジング(スピンドルハウジング)
42 :スピンドル
42a :ねじ穴
44 :マウント(ブレードマウント)
44a :穴
46 :切削ブレード
46a :穴
48 :フランジ部
48a :表面(一方の面)
48b :裏面(他方の面)
48c :凸部
48d :先端面
50 :ボス部
50a :先端
50b :外周面
52 :ねじ
54 :基台
54a :湾曲面(第1面)
56 :切刃
58 :固定ナット
58a :穴
60 :ブレードカバー
62 :固定部
62a :内壁面
62b :供給口
64 :可動部
66 :第1部品
66a :側面
66b :ねじ穴
68 :第2部品
70 :第1シャワーノズル
72 :第2シャワーノズル
74 :ねじ
76 :アンバランス検出器
78 :回転角度センサー
80 :治具(取り付け治具)
82 :基部
82a :長穴
84 :ねじ
86 :接続部
86a :固定部
86b :軸部
88 :保持部
90 :第1部材
90a :穴
90b :溝部
92 :第2部材
92a :穴
92b :溝部
94 :ねじ
11 :被加工物
13 :テープ(ダイシングテープ)
15 :フレーム
4 :基台
4a :開口
4b :開口
4c :開口
6 :カセットテーブル
8 :カセット
10 :X軸移動機構(加工送りユニット)
10a :テーブルカバー
10b :防塵防滴カバー
12 :チャックテーブル
12a :保持面
14 :クランプ
16 :支持構造
18 :Y軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)
20 :Y軸ガイドレール
22 :Y軸移動プレート
24 :ねじ軸
26 :Z軸ガイドレール
28 :Z軸移動プレート
30 :ねじ軸
32 :回転駆動源
34 :切削ユニット
36 :撮像ユニット(カメラ)
38 :洗浄ユニット
40 :ハウジング(スピンドルハウジング)
42 :スピンドル
42a :ねじ穴
44 :マウント(ブレードマウント)
44a :穴
46 :切削ブレード
46a :穴
48 :フランジ部
48a :表面(一方の面)
48b :裏面(他方の面)
48c :凸部
48d :先端面
50 :ボス部
50a :先端
50b :外周面
52 :ねじ
54 :基台
54a :湾曲面(第1面)
56 :切刃
58 :固定ナット
58a :穴
60 :ブレードカバー
62 :固定部
62a :内壁面
62b :供給口
64 :可動部
66 :第1部品
66a :側面
66b :ねじ穴
68 :第2部品
70 :第1シャワーノズル
72 :第2シャワーノズル
74 :ねじ
76 :アンバランス検出器
78 :回転角度センサー
80 :治具(取り付け治具)
82 :基部
82a :長穴
84 :ねじ
86 :接続部
86a :固定部
86b :軸部
88 :保持部
90 :第1部材
90a :穴
90b :溝部
92 :第2部材
92a :穴
92b :溝部
94 :ねじ
11 :被加工物
13 :テープ(ダイシングテープ)
15 :フレーム
Claims (5)
- 被加工物の切削加工に用いられる切削装置であって、
該被加工物を保持するチャックテーブルと、
環状の切削ブレードを固定できるマウントが先端部に取り付けられたスピンドルと、
該マウントに固定された状態の該切削ブレードの一部を覆うブレードカバーと、
該スピンドルの回転軸と、該切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器と、を備え、
該アンバランス検出器は、該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出する回転角度センサーを含み、
該回転角度センサーは、該ブレードカバーに取り付けられることで該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に配置される切削装置。 - 該検出位置は、該切削ブレードを該マウントに固定する固定ナットの外周面に対峙する位置、該マウントとの間に該切削ブレードを挟み込む固定フランジの外周面に対峙する位置、又は該切削ブレードの外周面に対峙する位置である請求項1に記載の切削装置。
- 切削装置が備えるスピンドルの回転軸と、該スピンドルの先端部に取り付けられたマウントに固定される環状の切削ブレードの重心と、のずれに起因する回転時のアンバランスを検出するアンバランス検出器の回転角度センサーを所定の位置に配置する際に用いられる治具であって、
該マウントに固定された状態の該切削ブレードの一部を覆うブレードカバーに取り付けられる基部と、
該回転角度センサーを保持する保持部と、
該基部が該ブレードカバーに取り付けられた状態で、該保持部が該切削ブレードの径方向において該切削ブレードよりも外側に配置されるように該基部と該保持部とを接続する接続部と、を備え、
該ブレードカバーに該基部が取り付けられることで、該スピンドルの回転に伴う角度の変化を検出できる検出位置に該回転角度センサーが配置される治具。 - 該検出位置は、該切削ブレードを該マウントに固定する固定ナットの外周面に対峙する位置、該マウントとの間に該切削ブレードを挟み込む固定フランジの外周面に対峙する位置、又は該切削ブレードの外周面に対峙する位置である請求項3に記載の治具。
- 該接続部は、該保持部に保持された該回転角度センサーの位置を、該スピンドルの回転軸に平行な方向において調整できるように、該基部に対して該保持部を回転できる状態で接続する請求項3又は請求項4に記載の治具。
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JP2021086010A JP2022178898A (ja) | 2021-05-21 | 2021-05-21 | 切削装置及び治具 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021086010A JP2022178898A (ja) | 2021-05-21 | 2021-05-21 | 切削装置及び治具 |
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Family Applications (1)
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JP2021086010A Pending JP2022178898A (ja) | 2021-05-21 | 2021-05-21 | 切削装置及び治具 |
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JP (1) | JP2022178898A (ja) |
-
2021
- 2021-05-21 JP JP2021086010A patent/JP2022178898A/ja active Pending
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