以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
〔装置〕
図1に示すめっきシステム1は、所定のパスラインPLに沿って送られる鋼帯9にめっき処理を施すシステムである。例えばめっきシステム1は、めっきポット2と、複数のロール3と、ガスワイピング装置10,20と、付着量センサ30,40と、制御装置100とを有する。めっきポット2は、溶融亜鉛を含有する液状のめっき材を収容する。以下、めっきポット2が収容するめっき材を「めっき浴」ともいう。
複数のロール3は、めっきポット2内のめっき浴を通るパスラインPLに沿って並んでおり、鋼帯9をパスラインPLに沿わせる。複数のロール3のそれぞれは、パスラインPLに垂直に伸びている。鋼帯9は、各ロール3まわりに屈曲してパスラインPLに沿う。以下、パスラインPLに沿った鋼帯9の幅方向の一方側を「駆動側」といい、他方側を「作業側」という。複数のロール3のそれぞれは、駆動側において、鋼帯9をパスラインPLの下流側に送る方向に回転駆動される。
複数のロール3は、シンクロール4と、2つのサポートロール5,6とを含む。シンクロール4は、めっきポット2が収容するめっき浴内に位置する。シンクロール4においては、めっき浴内に進入した鋼帯9が下から上に折り返される。以下、鋼帯9のうちシンクロール4に接する面を「バック面9b」といい、その反対面を「フロント面9a」という。
サポートロール5は、めっきポット2が収容するめっき浴内において、シンクロール4の上方に位置する。サポートロール5は、シンクロール4を通過して上方に向かう鋼帯9のバック面9bに接する。サポートロール5において、鋼帯9は、上方へ向かいつつ、フロント方向(フロント面9aが面する方向)からバック方向(バック面9bが面する方向)に緩やかに折り返される。
サポートロール6は、めっきポット2が収容するめっき浴内において、サポートロール5の上方に位置する。サポートロール6は、サポートロール5を通過して上方に向かう鋼帯9のフロント面9aに接する。サポートロール6において、鋼帯9は、上方へ向かいつつ、バック方向からフロント方向に緩やかに折り返される。
サポートロール5,6の配置は一例であり、適宜変更可能である。例えば、バック面9bに接するサポートロール5がフロント面9aに接するサポートロール6よりも上に配置されていてもよい。
ガスワイピング装置10は、鋼帯9のフロント面9aにガスを吹き付けることで、フロント面9a上の余分なめっき材を除去する。ガスは、空気であってもよいし、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。例えばガスワイピング装置10は、ガスワイピングノズル11と、ガス供給部12と、ノズル変位装置13とを有する。ガスワイピングノズル11は、鋼帯9の幅方向に延びるスリット状の吐出口からフロント面9aに向かってガスを吐出する。ガス供給部12は、ガスワイピングノズル11にガスを供給する。
ノズル変位装置13は、フロント面9aに垂直な方向に沿ってガスワイピングノズル11を変位させるように構成されている。以下、ガスワイピング装置10の説明においては、フロント面9aに近づく変位を「前進」といい、フロント面9aから遠ざかる変位を「後退」という。ノズル変位装置13がガスワイピングノズル11を前進させると、ガスワイピングノズル11が吐出するガスの作用が強められるので、フロント面9aに対するめっき付着量が低下する。逆に、ノズル変位装置13がガスワイピングノズル11を後退させると、ガスワイピングノズル11が吐出するガスの作用が弱められるので、めっき付着量が上昇する。
ノズル変位装置13は、パスラインPLに平行な軸線まわりのガスワイピングノズル11の傾きを変更することを更に行うように構成されている。パスラインPLに平行な軸線まわりにガスワイピングノズル11を傾けることにより、駆動側におけるガスの作用と、作業側におけるガスの作用とに差を付け、駆動側及び作業側におけるめっき付着量のバランスを調節することができる。
例えば図2に示すように、ノズル変位装置13は、駆動側アクチュエータ14と、作業側アクチュエータ15とを有する。駆動側アクチュエータ14は、電動モータ又は油圧モータ等の駆動源により、ガスワイピングノズル11の駆動側端部を前進又は後退させる。作業側アクチュエータ15は、電動モータ又は油圧モータ等の駆動源により、ガスワイピングノズル11の作業側端部を前進又は後退させる。
駆動側アクチュエータ14によるガスワイピングノズル11の駆動側端部の変位方向と、作業側アクチュエータ15によるガスワイピングノズル11の作業側端部の変位方向とが同一である場合、ノズル変位装置13全体が前進又は後退する。駆動側アクチュエータ14によるガスワイピングノズル11の駆動側端部の変位と、作業側アクチュエータ15によるガスワイピングノズル11の作業側端部の変位とに差異がある場合、パスラインPLに平行な軸線まわりにノズル変位装置13が傾く。
図1に戻り、ガスワイピング装置20は、鋼帯9のバック面9bにガスを吹き付けることで、バック面9b上の余分なめっき材を除去する。ガスは、空気であってもよいし、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。ガスワイピング装置20は、ガスワイピング装置10と同様に構成される。例えばガスワイピング装置20は、ガスワイピングノズル21と、ガス供給部22と、ノズル変位装置23とを有する。ガスワイピングノズル21は、鋼帯9の幅方向に延びるスリット状の吐出口からバック面9bに向かってガスを吐出する。ガス供給部22は、ガスワイピングノズル21にガスを供給する。
ノズル変位装置23は、バック面9bに垂直な方向に沿ってガスワイピングノズル21を変位させるように構成されている。以下、ガスワイピング装置20の説明においては、バック面9bに近づく変位を「前進」といい、バック面9bから遠ざかる変位を「後退」という。
ノズル変位装置23は、パスラインPLに平行な軸線まわりのガスワイピングノズル21の傾きを変更することを更に行うように構成されている。例えば図2に示すように、ノズル変位装置23は、ノズル変位装置13と同様に駆動側アクチュエータ24と作業側アクチュエータ25とを有する。駆動側アクチュエータ24は、電動モータ又は油圧モータ等の駆動源により、ガスワイピングノズル21の駆動側端部を前進又は後退させる。作業側アクチュエータ25は、電動モータ又は油圧モータ等の駆動源により、ガスワイピングノズル21の作業側端部を前進又は後退させる。
以上においては、ガスワイピング装置10,20の構成の一例として、ガスワイピングノズル11,21の配置を変更することでめっき付着量を調節する構成を例示したが、めっき付着量の調節手法はこれに限られない。例えばガスワイピング装置10,20は、ガスワイピングノズル11,21からのガスの吐出圧力を変えることによってめっき付着量を調節するように構成されていてもよい。この場合、ガスワイピング装置10,20は、鋼帯9の幅方向に並ぶ複数のブロックごとに、ガスワイピングノズル11,21からのガスの吐出圧力を変更できるように構成されていてもよい。一例として、ガスワイピングノズル11,21の内部が、鋼帯9の幅方向に並ぶ複数のブロックに分かれており、ガス供給部12,22が複数のブロックごとにガスの供給圧力を調節できるように構成されていてもよい。
図1に戻り、付着量センサ30,40は、複数の測定箇所におけるめっき付着量を測定する。複数の測定箇所は、鋼帯9の幅方向に並ぶ3以上の測定箇所を含んでもよい。複数の測定箇所は、鋼帯9のフロント面9a(片面)において幅方向に並ぶ3以上のフロント側測定箇所(片側測定箇所)と、鋼帯9のバック面9b(裏面)において3以上のフロント測定箇所にそれぞれ対応する3以上のバック側測定箇所(裏側測定箇所)とを含んでもよい。例えば付着量センサ30は、3以上のフロント側測定箇所におけるめっき付着量を測定し、付着量センサ40は、3以上のバック側測定箇所におけるめっき付着量を測定する。
図2に示すように、付着量センサ30は、付着量センサ31,32,33を含む。付着量センサ31,32,33は、パスラインPLにおいてガスワイピング装置10よりも下流側に設けられており、フロント面9aのめっき付着量を測定する。例えば付着量センサ31は、フロント面9aにおける測定箇所P31に対向し、測定箇所P31におけるめっき付着量を測定する。付着量センサ32は、フロント面9aにおける測定箇所P32に対向し、測定箇所P32におけるめっき付着量を測定する。付着量センサ33は、フロント面9aにおける測定箇所P33に対向し、測定箇所P33におけるめっき付着量を測定する。測定箇所P31は、測定箇所P31,P32,P33の中で最も駆動側に位置しており、測定箇所P33は、測定箇所P31,P32,P33の中で最も作業側に位置しており、測定箇所P32は測定箇所P31,P33の中間に位置している。一例として、測定箇所P32は、鋼帯9の幅方向の中心に位置している。以下、付着量センサ31により検出されるめっき付着量を「駆動側付着量」といい、付着量センサ33により検出されるめっき付着量を「作業側付着量」といい、付着量センサ32により検出されるめっき付着量を「中央付着量」という。
付着量センサ40は、付着量センサ41,42,43を含む。付着量センサ41,42,43は、パスラインPLにおいてガスワイピング装置20よりも下流側に設けられており、バック面9bのめっき付着量を測定する。例えば付着量センサ41,42,43は、鋼帯9を挟んで付着量センサ31,32,33とそれぞれ対向している。例えば付着量センサ41は、バック面9bにおける測定箇所P41に対向し、測定箇所P41におけるめっき付着量を測定する。付着量センサ42は、バック面9bにおける測定箇所P42に対向し、測定箇所P42におけるめっき付着量を測定する。付着量センサ43は、バック面9bにおける測定箇所P43に対向し、測定箇所P43におけるめっき付着量を測定する。測定箇所P41は、測定箇所P41,P42,P43の中で最も駆動側に位置しており、測定箇所P43は、測定箇所P41,P42,P43の中で最も作業側に位置しており、測定箇所P42は測定箇所P41,P43の中間に位置している。一例として、測定箇所P42は、鋼帯9の幅方向の中心に位置している。以下、付着量センサ41により検出されるめっき付着量を「駆動側付着量」といい、付着量センサ43により検出されるめっき付着量を「作業側付着量」といい、付着量センサ42により検出されるめっき付着量を「中央付着量」という。
付着量センサ31,32,33,41,42,43は、めっき付着量を表す値として、フロント面9a,9b上に形成されためっき材の薄膜層の厚さを測定する。付着量センサ31,32,33,41,42,43の具体例としては、X線式の膜厚センサ等が挙げられる。
ロール変位装置50(反り矯正装置)は、バック面9bに垂直な方向にサポートロール5を変位させることで、鋼帯9の反り(パスラインPLに垂直な軸線まわりの反り)を矯正する。以下、ロール変位装置50の説明においては、バック面9bに近づく方向へのサポートロール5の変位を「前進」といい、バック面9bから遠ざかる方向へのサポートロール5の変位を「後退」という。
鋼帯9には、ロール3において折り返される際に、パスラインPLに垂直な軸線まわりの反りが生じる傾向がある。具体的には、鋼帯9の駆動側部分及び作業側部分に比較して、鋼帯9の中央部がロール3から遠ざかるように反りが生じる傾向がある。このため、シンクロール4及びサポートロール5は、フロント方向に凸の反りを鋼帯9に生じさせるように作用し、サポートロール6は、バック方向に凸の反りを鋼帯9に生じさせるように作用する。
ロール変位装置50がサポートロール5を前進又は後退させると、シンクロール4及びサポートロール5による作用と、サポートロール6による作用との関係が変化するので、鋼帯9の反りの程度が変わる。ロール変位装置50は、サポートロール5に代えてサポートロール6を変位させるように構成されていてもよく、サポートロール5,6の両方を変位させるように構成されていてもよい。
制御装置100は、めっき付着量の測定結果に基づいて、ガスワイピング装置10,20及びロール変位装置50を制御することを繰り返し実行する。鋼帯9のめっき処理においては、まず、めっきの付着量が所定の下限値(以下、これを「品質上の下限値」という。)以上であることが求められる。一方で、めっき材の無駄な付着を抑え、めっき材を節約することも求められる。そこで制御装置100は、めっき付着量の不足抑制と、めっき材の節約との両立を図るための制御サイクルを繰り返し実行する。
例えば制御装置100は、めっきポット2とガスワイピング装置10,20とを通過した鋼帯9の複数の測定箇所におけるめっき付着量の最小値が所定の下限値を下回った場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を上昇させることと、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値が所定の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることと、最大値と最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることを禁止することと、を実行するように構成されている。
これにより、めっき付着量の最小値を下限値以上に調整しつつ、めっき付着量の最大値を上限値以下に調整することができる。また、最大値と最小値との差が差分閾値よりも大きい場合、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることが禁止されるので、最大値を上限値以下に調整する制御に起因して最小値が下限値を下回ることを回避できる。従って、めっき付着量の不足抑制と、めっき材の節約との両立を図ることができる。
図2に示すように、制御装置100は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、ノズル位置制御部111と、ロール位置制御部112と、付着量取得部113と、下限制御部114と、上限制御部115と、差分監視部116と、差分制御部117と、反り評価部118と、反り制御部119とを有する。
ノズル位置制御部111は、ガスワイピングノズル11の駆動側端部と作業側端部との目標位置を指定するフロント側位置指令に応じて、ガスワイピングノズル11を変位させるようにガスワイピング装置10を制御する。例えばノズル位置制御部111は、フロント側位置指令に応じて、駆動側アクチュエータ14によりガスワイピングノズル11の駆動側端部を変位させ、作業側アクチュエータ15によりガスワイピングノズル11の作業側端部を変位させる。
また、ノズル位置制御部111は、ガスワイピングノズル21の駆動側端部と作業側端部との目標位置を指定するバック側位置指令に応じて、ガスワイピングノズル21を変位させるようにガスワイピング装置20を制御する。例えばノズル位置制御部111は、バック側位置指令に応じて、駆動側アクチュエータ24によりガスワイピングノズル21の駆動側端部を変位させ、作業側アクチュエータ25によりガスワイピングノズル21の作業側端部を変位させる。
ロール位置制御部112は、サポートロール5の目標位置を指定する位置指令に応じてサポートロール5を変位させるようにロール変位装置50を制御する。付着量取得部113は、付着量センサ30,40によるめっき付着量の検出結果を取得する。
下限制御部114は、めっきポット2とガスワイピング装置10,20とを通過した鋼帯9の複数の測定箇所におけるめっき付着量の最小値が所定の下限値(以下、「制御上の下限値」という。)を下回った場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を上昇させる。制御上の下限値は、上述した品質上の下限値よりも大きい値である。例えば制御上の下限値は、品質上の下限値に所定のマージンを加算した値である。
例えば下限制御部114は、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量の最小値(以下、「フロント側最小値」という。)が制御上の下限値を下回っている場合に、ガスワイピング装置10によりフロント面9a上のめっき付着量を上昇させる。例えば下限制御部114は、ガスワイピングノズル11を後退させるように上記フロント側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のフロント側位置指令に従ってガスワイピング装置10によりガスワイピングノズル11を後退させる。下限制御部114は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル11を後退させてもよい。
下限制御部114は、制御サイクルごとに、制御上の下限値とフロント側最小値との偏差(以下、「フロント側下限偏差」という。)に応じた後退量にてガスワイピングノズル11を後退させてもよい。この場合、下限制御部114は、フロント側下限偏差に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して後退量を算出してもよい。
また、下限制御部114は、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量の最小値(以下、「バック側最小値」という。)が制御上の下限値を下回っている場合に、ガスワイピング装置20によりバック面9b上のめっき付着量を上昇させる。例えば下限制御部114は、ガスワイピングノズル21を後退させるように上記バック側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のバック側位置指令に従ってガスワイピング装置20によりガスワイピングノズル21を後退させる(図3参照)。下限制御部114は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル21を後退させてもよい。
下限制御部114は、制御サイクルごとに、制御上の下限値とバック側最小値との偏差(以下、「バック側下限偏差」という。)に応じた後退量にてガスワイピングノズル21を後退させてもよい。この場合、下限制御部114は、バック側下限偏差に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して後退量を算出してもよい。
上限制御部115は、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値が所定の上限値(以下、「制御上の上限値」という。)を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させる。制御上の上限値は、複数の測定箇所におけるめっき付着量の実績値等に基づいて予め設定されている。
例えば上限制御部115は、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量の最大値(以下、「フロント側最大値」という。)が制御上の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10によりフロント面9a上のめっき付着量を低下させる。例えば上限制御部115は、ガスワイピングノズル11を前進させるように上記フロント側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のフロント側位置指令に従ってガスワイピング装置10によりガスワイピングノズル11を前進させる。上限制御部115は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル11を前進させてもよい。
上限制御部115は、制御サイクルごとに、フロント側最大値と制御上の上限値との偏差(以下、「フロント側上限偏差」という。)に応じた前進量にてガスワイピングノズル11を前進させてもよい。この場合、上限制御部115は、フロント側上限偏差に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して前進量を算出してもよい。
また、上限制御部115は、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量の最大値(以下、「バック側最大値」という。)が制御上の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置20によりバック面9b上のめっき付着量を低下させる。例えば上限制御部115は、ガスワイピングノズル21を前進させるように上記バック側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のバック側位置指令に従ってガスワイピング装置20によりガスワイピングノズル21を前進させる(図4参照)。上限制御部115は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル21を前進させてもよい。
上限制御部115は、制御サイクルごとに、バック側最大値と制御上の上限値との偏差(以下、「バック側上限偏差」という。)に応じた前進量にてガスワイピングノズル11を前進させてもよい。この場合、上限制御部115は、バック側上限偏差に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して前進量を算出してもよい。
差分監視部116は、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値と最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、上限制御部115がガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることを禁止する。差分閾値は、制御上の上限値及び制御上の下限値に基づいて予め設定されている。差分閾値は、制御上の上限値と制御上の下限値との差分以下である。
例えば差分監視部116は、フロント側最大値とフロント側最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、上限制御部115がガスワイピング装置10によりめっき付着量を低下させることを禁止する。また、差分監視部116は、バック側最大値とバック側最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、上限制御部115がガスワイピング装置20によりめっき付着量を低下させることを禁止する。
差分制御部117は、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値と最小値との差分が、上記差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20により最大値と最小値との差を縮小させる。例えば差分制御部117は、フロント側最大値とフロント側最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10によりフロント側最大値とフロント側最小値との差分を縮小させる。
例えば差分制御部117は、フロント側最大値とフロント側最小値との差分が差分閾値を上回っており、且つ駆動側付着量と作業側付着量との差分の絶対値が第2差分閾値を上回っている場合に、駆動側付着量と作業側付着量との差分を縮小させる。第2差分閾値は、差分閾値と共に予め設定されており、例えば上記差分閾値以下である。
例えば差分制御部117は、付着量センサ31により検出されためっき付着量が付着量センサ33により検出されためっき付着量よりも大きい場合に、ガスワイピングノズル11の駆動側端部の前進と、ガスワイピングノズル11の作業側端部の後退との少なくともいずれかを生じさせるように上記フロント側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のフロント側位置指令に従って、ガスワイピング装置10によりガスワイピングノズル11の駆動側端部を前進させることと、ガスワイピングノズル11の作業側端部を後退させることとの少なくともいずれかを実行する。
差分制御部117は、付着量センサ31により検出されためっき付着量が付着量センサ33により検出されためっき付着量よりも小さい場合に、ガスワイピングノズル11の駆動側端部の後退と、ガスワイピングノズル11の作業側端部の前進との少なくともいずれかを生じさせるように上記フロント側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のフロント側位置指令に従って、ガスワイピング装置10によりガスワイピングノズル11の駆動側端部を後退させることと、ガスワイピングノズル11の作業側端部を前進させることとの少なくともいずれかを実行する。
差分制御部117は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル11の駆動側端部及び作業側端部の少なくともいずれかを変位させてもよい。差分制御部117は、制御サイクルごとに、フロント側最大値とフロント側最小値との差分に応じた変位量にてガスワイピングノズル11の駆動側端部及び作業側端部の少なくともいずれかを変位させてもよい。この場合、差分制御部117は、フロント側最大値とフロント側最小値との差分に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して変位量を算出してもよい。
また、差分制御部117は、バック側最大値とバック側最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置20によりバック側最大値とバック側最小値との差分を縮小させる。
例えば差分制御部117は、バック側最大値とバック側最小値との差分が差分閾値を上回っており、且つ駆動側付着量と作業側付着量との差分の絶対値が第2差分閾値を上回っている場合に、駆動側付着量と作業側付着量との差分を縮小させる。
例えば差分制御部117は、付着量センサ41により検出されためっき付着量が付着量センサ43により検出されためっき付着量よりも大きい場合に、ガスワイピングノズル21の駆動側端部の前進と、ガスワイピングノズル21の作業側端部の後退との少なくともいずれかを生じさせるように上記バック側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のバック側位置指令に従って、ガスワイピング装置20によりガスワイピングノズル21の駆動側端部を前進させることと、ガスワイピングノズル21の作業側端部を後退させることとの少なくともいずれかを実行する(図5参照)。
差分制御部117は、付着量センサ41により検出されためっき付着量が付着量センサ43により検出されためっき付着量よりも小さい場合に、ガスワイピングノズル21の駆動側端部の後退と、ガスワイピングノズル21の作業側端部の前進との少なくともいずれかを生じさせるように上記バック側位置指令を変更する。これに応じノズル位置制御部111は、変更後のバック側位置指令に従ってガスワイピング装置20によりガスワイピングノズル21の駆動側端部を後退させることと、ガスワイピングノズル21の作業側端部を前進させる。
差分制御部117は、制御サイクルごとに、所定ピッチでガスワイピングノズル21の駆動側端部及び作業側端部の少なくともいずれかを変位させてもよい。差分制御部117は、制御サイクルごとに、バック側最大値とバック側最小値との差分に応じた変位量にてガスワイピングノズル21の駆動側端部及び作業側端部の少なくともいずれかを変位させてもよい。この場合、差分制御部117は、バック側最大値とバック側最小値との差分に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して変位量を算出してもよい。
反り評価部118は、3以上の測定箇所におけるめっき付着量に基づいて、鋼帯9の反りを評価する。反り評価部118は、3以上のフロント側測定箇所におけるめっき付着量と、3以上のバック側測定箇所におけるめっき付着量とに基づいて、鋼帯9の反りを評価してもよい。
一例として、反り評価部118は、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量と、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量とに基づいて、鋼帯9の反りを評価する。例えば反り評価部118は、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量に基づいてフロント面9aの反りを評価し、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量に基づいてバック面9bの反りを評価する。
例えば反り評価部118は、付着量センサ31,33により検出されためっき付着量の平均値と、付着量センサ32により検出されためっき付着量との差分をフロント面9aの反りの評価値(以下、「フロント側反り評価値」という。)として算出する。フロント側反り評価値が正の値である場合、フロント面9aはフロント方向に凸となるように沿っていると評価され(図6の(a)参照)、フロント側反り評価値が負の値である場合、フロント面9aはバック方向に凸となるように沿っていると評価される。
また、反り評価部118は、付着量センサ41,43により検出されためっき付着量の平均値と、付着量センサ42により検出されためっき付着量との差分をバック面9bの反りの評価値(以下、「バック側反り評価値」という。)として算出する。バック側反り評価値が正の値である場合、バック面9bはバック方向に凸となるように沿っていると評価され、バック側反り評価値が負の値である場合、バック面9bはフロント方向に凸となるように沿っていると評価される。
反り評価部118は、フロント側反り評価値と、バック側反り評価値とに基づいて、鋼帯9の反りを評価する。例えば反り評価部118は、フロント側反り評価値とバック側反り評価値との差分を反りの総合評価値として算出する。反りの総合評価値が正の値であることは、鋼帯9がフロント方向に凸となるように沿っていることを表し、反りの総合評価値が負の値であることは、鋼帯9がバック方向に凸となるように沿っていることを表す。
鋼帯9に反りが生じている場合、フロント面9a及びバック面9bのいずれか一方が凸状となり、他方が凹状となる。このため、フロント側反り評価値の符号と、バック側反り評価値との符号は互いに逆になることが予測される。例えば鋼帯9がフロント方向に凸となるように沿っている場合(図6の(a)参照)、フロント側反り評価値は正の値となり、バック側反り評価値は負の値となる。このため、反りの総合評価値の絶対値は、フロント側反り評価値及びバック側反り評価値のいずれの絶対値よりも大きくなる。フロント側反り評価値の符号と、バック側反り評価値の符号とが互いに一致する場合には、鋼帯9には反りが生じておらず、単にめっき付着量がばらついている可能性がある(図6の(b)参照)。このような場合、反りの総合評価値の絶対値は、フロント側反り評価値及びバック側反り評価値の少なくとも一方の絶対値よりも小さくなる。
反り制御部119は、反りの評価結果が所定レベルを上回っている場合に、ロール変位装置50によりめっきポット2内における鋼帯9の反りを縮小させる。例えば反り制御部119は、鋼帯9の反り方向がフロント方向に凸である場合、ロール変位装置50によりサポートロール5を前進させる(図7参照)。また、反り制御部119は、鋼帯9の反り方向がバック方向に凸である場合、ロール変位装置50によりサポートロール5を後退させる(図8参照)。
反り制御部119は、制御サイクルごとに、所定ピッチでサポートロール5のそれぞれを変位させてもよい。反り制御部119は、制御サイクルごとに、鋼帯9の反り評価値に応じた変位量にてサポートロール5を変位させてもよい。この場合、反り制御部119は、鋼帯9の反り評価値に比例(P)演算、比例・積分(PI)演算、又は比例・積分・微分(PID)演算等を施して変位量を算出してもよい。
図9は、制御装置100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図9に示すように、制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御装置100は、回路190を有する。回路190は、一つ又は複数のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。ストレージ193は、めっきポット2とガスワイピング装置10,20とを通過した鋼帯9の複数の測定箇所におけるめっき付着量の最小値が所定の下限値を下回った場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を上昇させることと、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値が所定の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることと、最大値と最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることを禁止することと、を実行させるプログラムを記憶している。例えばストレージ193は、上述した各機能ブロックを制御装置100に構成させるためのプログラムを記憶している。
メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、制御装置100の各機能ブロックを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に従って、ノズル変位装置13,23、付着量センサ30,31,32,33,40,41,42,43及びロール変位装置50との間で電気信号の入出力を行う。なお、制御装置100は、必ずしもプログラムにより各機能ブロックを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能ブロックは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
〔制御手順〕
続いて、制御方法の一例として、制御装置100が実行する付着量制御手順を例示する。この手順は、めっきポット2とガスワイピング装置10,20とを通過した鋼帯9の複数の測定箇所におけるめっき付着量の最小値が所定の下限値を下回った場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を上昇させることと、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値が所定の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることと、最大値と最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることを禁止することと、を含む。
また、この制御手順は、ガスワイピング装置10に対する制御手順と、ガスワイピング装置20に対する制御手順とを含む。ガスワイピング装置10に対する制御手順とガスワイピング装置20に対する制御手順とは同じなので、以下においてはガスワイピング装置10に対する制御手順を詳述し、ガスワイピング装置20に対する制御手順の説明は省略する。
図10に示すように、制御装置100は、まずステップS01,S02を実行する。ステップS01では、付着量取得部113が、付着量センサ30,40によるめっき付着量の検出結果を取得する。ステップS02では、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量の最小値(上記フロント側最小値)が上記制御上の下限値を下回っているか否かを下限制御部114が確認する。
ステップS02においてフロント側最小値が制御上の下限値を下回っていると判定した場合、制御装置100はステップS03を実行する。ステップS03では、下限制御部114が、ガスワイピング装置10によりフロント面9a上のめっき付着量を上昇させる。
ステップS02においてフロント側最小値が制御上の下限値を下回っていないと判定した場合、制御装置100はステップS04を実行する。ステップS04では、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量の最大値(上記フロント側最大値)が上記制御上の上限値を上回っているか否かを上限制御部115が確認する。
ステップS04においてフロント側最大値が制御上の上限値を上回っていると判定した場合、制御装置100はステップS05を実行する。ステップS05では、フロント側最大値とフロント側最小値との差分が上記差分閾値を下回っているか否かを差分監視部116が確認する。
ステップS05においてフロント側最大値とフロント側最小値との差分が差分閾値を下回っていると判定した場合、制御装置100はステップS06を実行する。ステップS06では、上限制御部115が、ガスワイピング装置10によりフロント面9a上のめっき付着量を低下させる。
ステップS05においてフロント側最大値とフロント側最小値との差分が差分閾値を上回っていると判定した場合、制御装置100はステップS08を実行する。ステップS04において、フロント側最大値が制御上の上限値を下回っていると判定した場合、制御装置100はステップS05,S06を実行することなくステップS08を実行する。ステップS08では、駆動側付着量と作業側付着量との差分の絶対値が上記第2差分閾値を上回っているか否かを差分監視部116が確認する。
ステップS08において駆動側付着量と作業側付着量との差分が第2差分閾値を上回っていると判定した場合、制御装置100はステップS09を実行する。ステップS09では、差分制御部117が、ガスワイピング装置10によりフロント側最大値とフロント側最小値との差分を縮小させる。ステップS09の具体的な処理手順については後述する。
このように、フロント側最大値とフロント側最小値との差分が上記差分閾値を下回っていないと判定した場合、上限制御部115がガスワイピング装置10によりフロント面9a上のめっき付着量を低下させることは禁止され、差分制御部117がガスワイピング装置10により当該差分を縮小させる。
ステップS08において駆動側付着量と作業側付着量との差分が第2差分閾値を上回っていないと判定した場合、制御装置100はステップS11,S12を実行する。ステップS11では、反り評価部118が、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量と、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量とに基づいて鋼帯9の反りを評価する。例えば反り評価部118は、上記反りの総合評価値を算出する。ステップS11の具体的な処理手順については後述する。ステップS12では、反り評価部118による反りの評価結果(例えば反りの総合評価値の絶対値)が所定レベルを上回っているか否かを反り制御部119が確認する。
ステップS12において反りの評価結果が所定レベルを上回っていると判定した場合、制御装置100はステップS13を実行する。ステップS13では、反り制御部119が、ロール変位装置50によりめっきポット2内における鋼帯9の反りを縮小させる。ステップS13の具体的な処理手順については後述する。
ステップS06,S09,S13の後、制御装置100は処理をステップS01に戻す。ステップS12において反りの評価結果が所定レベルを上回っていないと判定した場合、制御装置100は、ステップS06,S09,S13のいずれも実行することなく処理をステップS01に戻す。制御装置100は、以上の制御サイクルを繰り返す。
図11は、ステップS09において、差分を縮小する手順を例示するフローチャートである。図11に示すように、制御装置100は、まずステップS21を実行する。ステップS21では、駆動側のめっき付着量(付着量センサ31により検出されためっき付着量)が、作業側のめっき付着量(付着量センサ33により検出されためっき付着量)よりも大きいか否かを差分制御部117が確認する。
ステップS21において駆動側のめっき付着量が作業側のめっき付着量よりも大きいと判定した場合、制御装置100はステップS22を実行する。ステップS22では、差分制御部117が、ガスワイピング装置10により、ガスワイピングノズル11の駆動側端部を前進させることと、ガスワイピングノズル11の作業側端部を後退させることとの少なくともいずれかを実行する。
ステップS21において駆動側のめっき付着量が作業側のめっき付着量よりも大きくないと判定した場合、制御装置100はステップS23を実行する。ステップS23では、差分制御部117が、ガスワイピング装置10により、ガスワイピングノズル11の駆動側端部を後退させることと、ガスワイピングノズル11の作業側端部を前進させることとの少なくともいずれかを実行する。以上で差分を縮小する手順が完了する。
図12は、ステップS11において鋼帯9の反りを評価する手順を例示するフローチャートである。図12に示すように、制御装置100は、ステップS31,S32,S34を実行する。ステップS31では、反り評価部118が、付着量センサ31,32,33により検出されためっき付着量に基づいてフロント面9aの反りを評価する。例えば反り評価部118は、上記フロント側反り評価値を算出する。ステップS32では、反り評価部118が、付着量センサ41,42,43により検出されためっき付着量に基づいてバック面9bの反りを評価する。例えば反り評価部118は、上記バック側反り評価値を算出する。ステップS34では、反り評価部118が、フロント側反り評価値とバック側反り評価値との差を上記反りの総合評価値として算出する。
図13は、ステップS13において鋼帯9の反りを縮小する手順を例示するフローチャートである。図13に示すように、制御装置100は、まずステップS41を実行する。ステップS41では、鋼帯9の反りがフロント方向に凸であるか否か(例えば上記反りの総合評価値が正の値であるか否か)を反り制御部119が確認する。
ステップS41において鋼帯9の反りがフロント方向に凸であると判定した場合、制御装置100はステップS42を実行する。ステップS42では、反り制御部119がロール変位装置50によりサポートロール5を前進させる。
ステップS41において鋼帯9の反りがフロント方向に凸でないと判定した場合、制御装置100はステップS43を実行する。ステップS43では、反り制御部119がロール変位装置50によりサポートロール5を後退させる。以上で鋼帯9の反りを縮小させる手順が完了する。
上述した付着量の制御手順は適宜変更可能である。例えば図14に示すように、制御装置100は、ステップS04(フロント側最大値が制御上の上限値を上回っているか否かの確認)に先立って、ステップS05(フロント側最大値とフロント側最小値との差分が上記差分閾値を下回っているか否かの確認)を実行し、ステップS04はフロント側最大値とフロント側最小値との差分が上記差分閾値を下回っている場合に実行してもよい。
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、制御装置100は、溶融亜鉛を含有するめっき浴を収容するめっきポット2と、めっきポット2を通過した鋼帯9にガスを吹き付けてめっき付着量を調節するガスワイピング装置10,20とを通過した鋼帯9の複数の測定箇所におけるめっき付着量の最小値が所定の下限値を下回った場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を上昇させる下限制御部114と、複数の測定箇所におけるめっき付着量の最大値が所定の上限値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させる上限制御部115と、最大値と最小値との差分が差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることを禁止する差分監視部116と、を備える。
この制御装置100によれば、めっき付着量の最小値を下限値以上に調整しつつ、めっき付着量の最大値を上限値以下に調整することができる。また、最大値と最小値との差が差分閾値よりも大きい場合、ガスワイピング装置10,20によりめっき付着量を低下させることが禁止されるので、最大値を上限値以下に調整する制御に起因して最小値が下限値を下回ることが回避される。従って、めっき付着量の不足抑制と、めっき材の節約との両立を図ることができる。
制御装置100は、最大値と最小値との差分が、差分閾値を上回っている場合に、ガスワイピング装置10,20により最大値と最小値との差を縮小させる差分制御部117を更に備えていてもよい。この場合、めっき付着量の最大値と最小値との差が縮小させられた後に、最大値が上限値以下に調整されることとなる。従って、めっき付着量の不足抑制と、めっき材の節約との両立をより確実に図ることができる。
複数の測定箇所は、鋼帯9の幅方向に並ぶ3以上の測定箇所を含み、制御装置100は、3以上の測定箇所におけるめっき付着量に基づいて、鋼帯9の反りを評価する反り評価部118と、反りの評価結果が所定レベルを上回っている場合に、ロール変位装置50によりめっきポット2内における鋼帯9の反りを縮小させる反り制御部119と、を更に備えていてもよい。この場合、鋼帯9の反りに起因するめっき付着量のばらつきも抑制される。従って、めっき付着量の不足抑制と、めっき材の節約との両立をより確実に図ることができる。
複数の測定箇所は、鋼帯9のフロント面9aにおいて幅方向に並ぶ3以上の片側測定箇所と、バック面9bにおいて3以上の測定箇所にそれぞれ対応する3以上の裏側測定箇所とを含み、反り評価部118は、3以上の片側測定箇所におけるめっき付着量と、3以上の裏側測定箇所におけるめっき付着量とに基づいて、鋼帯9の反りを評価してもよい。この場合、鋼帯9の反りをより高い信頼性で評価し、鋼帯9の反りに起因するめっき付着量のばらつきをより確実に抑制することができる。
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。