以下、図面を参照しながら、本発明に係る被印刷物の回転機構を備えたプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
<第1実施形態>
まず第1実施形態に係るプリンタ10について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。図2は、本実施形態に係るプリンタの内部構成を示す斜視図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号X、Y、Zは、それぞれ副走査方向、主走査方向、高さ方向を示している。例えば主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差しており、ここでは直交している。副走査方向Xは、例えば前後方向である。高さ方向Zは上下方向である。本実施形態では、主走査方向Yは第1方向の一例であり、副走査方向Xは第2方向の一例である。ただし、これら方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は特に限定されない。プリンタ10は、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
本実施形態に係るプリンタ10は、後述の支持台50(図2参照)に支持された第1被印刷物5(図2参照)を印刷することが可能である。更に、プリンタ10は、後述の回転機構60(図3参照)を使用して、第2被印刷物6(図3参照)を印刷することも可能である。ここで、図2に示す第1被印刷物5は、少なくとも一部に平面を有するものである。第1被印刷物5は、例えば記録紙である。ただし、第1被印刷物5は、記録紙に限定されない。例えば第1被印刷物5には、PCV、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものが含まれる。また、第1被印刷物5は、例えばスマートフォンケースなどの立体物であってもよい。
図3に示す第2被印刷物6は、少なくとも一部の外周形状が円柱状の立体物である。ここで、第2被印刷物6の上記一部とは、回転機構60(詳しくは、後述の第1ローラ85および第2ローラ86(図6参照))と接する部分のことをいう。第2被印刷物6には、内部に空間を有する立体物、例えば円筒形状の立体物が含まれる。第2被印刷物6の種類は特に限定されないが、例えばビンやコップなどである。また、第2被印刷物6を形成する材料も特に限定されない。第2被印刷物6は、ガラス製であってもよいし、樹脂製であってもよいし、木製であってもよい。本実施形態では、第2被印刷物6は、本発明の「少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物」の一例である。
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体20を備えている。プリンタ本体20は、ベース部21(図2参照)と、ケース22と、カバー24とを備えている。図2に示すように、ベース部21は、板状の部材であり、プリンタ本体20の底部を構成するものである。ベース部21の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、平面視において矩形状の部材の前の左右両角を削った六角形形状である。ベース部21には、内壁26が設けられている。内壁26は、ベース部21から上方に延び、かつ、主走査方向Yに延びている。内壁26には、副走査方向Xに貫通する開口(図示せず)が形成されている。支持台50は、内壁26の上記開口を通過するように構成されている。
ケース22は、ベース部21の上に配置され、ベース部21に支持されている。ここでは、ケース22とベース部21とに囲まれた空間が存在し、当該空間において印刷が行われる。図1に示すように、ケース22の前部には、開口28が形成されている。カバー24は、開口28を開閉自在にケース22に支持されている。カバー24は、後端を軸に回転可能に構成されている。カバー24の上部には、窓29が設けられている。窓29は、透明または半透明の部材、例えばアクリル板によって形成されている。ユーザは、窓29を通じて、ケース22とベース部21に囲まれた内部の空間を視認することができる。
次に、プリンタ10の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール30と、キャリッジ42と、インクヘッド44と、ヘッド移動機構45と、支持台50と、支持台移動機構55とを備えている。ガイドレール30は主走査方向Yに延びている。本実施形態では、ガイドレール30は、内壁26の前面に支持されており、支持台50よりも上方に配置されている。
キャリッジ42は、ガイドレール30に摺動自在に係合している。キャリッジ42は、ガイドレール30に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド44は、その底面が下方に露出するように、キャリッジ42に設けられている。なお、インクヘッド44の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド44の数は3つである。3つのインクヘッド44は、主走査方向Yに並んで配置されている。図示は省略するが、インクヘッド44の底面には、インクが吐出される複数のノズルが形成されている。ここで、インクヘッド44から吐出されるインクは、いわゆる紫外線硬化インクである。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化が促進されるインクである。なお、図示は省略するが、キャリッジ42には、インクヘッド44から第1被印刷物5または第2被印刷物6に吐出されたインクに向かって、紫外線を照射する紫外線照射装置が設けられていてもよい。このことで、インクヘッド44から吐出されたインクの硬化がより促進される。
ヘッド移動機構45は、キャリッジ42およびインクヘッド44を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構45の構成は、特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構45は、左右のプーリ46、47と、無端状のベルト48と、ヘッドモータ49とを備えている。左のプーリ46は、ガイドレール30よりも左方に設けられ、右のプーリ47は、ガイドレール30よりも右方に設けられている。ベルト48は、左右のプーリ46、47に巻き掛けられている。キャリッジ42は、ベルト48に固定されている。ヘッドモータ49は、右のプーリ47に接続されている。ここでは、ヘッドモータ49が駆動して、右のプーリ47が回転することで、左右のプーリ46、47の間においてベルト48が走行する。このベルト48の走行に伴い、キャリッジ42およびインクヘッド44は、主走査方向Yに移動する。
支持台50は、第1被印刷物5を支持する。ここでは、第1被印刷物5は、支持台50に載置されており、支持台50上で第1被印刷物5に対する印刷が行われる。支持台50は、ガイドレール30、キャリッジ42およびインクヘッド44よりも下方に配置されている。支持台50の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。支持台50は、支持台移動機構55によって副走査方向Xに移動可能に構成されている。
支持台移動機構55は、上述のように、支持台50を副走査方向Xに移動させる機構である。なお、支持台移動機構55の構成は特に限定されない。本実施形態では、支持台移動機構55は、支持台50を支持する支持台キャリッジ56と、支持台キャリッジ56をスライド可能に支持し、副走査方向Xに延びた左右一対のスライドレール(図示せず)とを備えている。図示は省略するが、支持台移動機構55は、さらに上記スライドレールの前方および後方に設けられた前後一対のプーリと、前後一対のプーリに巻き掛けられたベルトとを備えている。このベルトに支持台キャリッジ56が固定されている。前後の一対のプーリには、フィードモータが接続されている。ここでは、フィードモータが駆動してベルトが走行することで、支持台キャリッジ56と共に支持台50が副走査方向Xに移動する。なお、詳しい説明は省略するが、支持台50には、支持台50を高さ方向Zに移動させる昇降機構が設けられている。すなわち、支持台50は、昇降可能に構成されている。
本実施形態では、第1被印刷物5に対して印刷を行うとき、図2に示すように、第1被印刷物5を支持台50に支持させる。そして、ヘッド移動機構45を作動させて、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させている間、インクヘッド44から第1被印刷物5に向かってインクを吐出させて、1ライン分の印刷を行う。1ライン分の印刷の後、第1被印刷物5を支持する支持台50を支持台移動機構55によって副走査方向Xに移動させる。その後、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させて次の1ライン分の印刷を行う。このように、1ライン分の印刷と、支持台50の副走査方向Xへの移動とを繰り返し行うことで、第1被印刷物5に印刷を行うことができる。
ところで、上述のように、本実施形態に係るプリンタ10は、支持台50に支持される第1被印刷物5の他に、少なくとも一部の外周形状が円柱形状の第2被印刷物6に対して印刷を行うことが可能である。
図3、図4、図5は、それぞれ回転機構60および支持台50の斜視図、平面図、正面図である。図6は、回転機構60のラック91とピニオン92が噛み合った状態を示す右側面図である。図3に示すように、本実施形態では、プリンタ10は、回転機構60を備えている。回転機構60は、第2被印刷物6の中心軸を中心に第2被印刷物6を回転させる機構である。この回転機構60を用いて第2被印刷物6を回転させながら、第2被印刷物6に対して印刷を行う。なお、図2では、回転機構60は取り外されているため、回転機構60の図示は省略されている。
ここでは、回転機構60は、支持台50における副走査方向Xへの直線移動の力を、第2被印刷物6の回転の力に変換することで、第2被印刷物6を回転させる。本実施形態では、支持台50を副走査方向Xに移動させる支持台移動機構55(図2参照)による駆動力を利用して、第2被印刷物6は回転される。ここでは、回転機構60は、いわゆるラックアンドピニオンの機構を採用している。
図3に示すように、回転機構60は、ベースユニット61と、フレーム70と、第1回転軸81と、第2回転軸82と、ラック91と、ピニオン92とを備えている。
図5に示すように、ベースユニット61は、プリンタ本体20に取り付け固定されるものである。なお、図4では、ベースユニット61の図示は省略されている。図5に示すように、ベースユニット61は、ベース板62と、ベースシャフト64と、摺動体66とを有している。ベース板62は、プリンタ本体20のベース部21に固定される。本実施形態では、ベース板62は、左ベース板62Lと、右ベース板62Rとを有している。図3に示すように、左ベース板62Lは、副走査方向Xに延びた板状の部材である。図示は省略するが、右ベース板62Rも、副走査方向Xに延びた板状の部材である。図5に示すように、左ベース板62Lは、支持台50の左方に配置されており、ベース部21に固定される。右ベース板62Rは、支持台50の右方に配置されており、ベース部21に固定される。
ベースシャフト64は、ベース板62に接続された高さ方向Zに延びた部材である。本実施形態では、ベースシャフト64は、左シャフト64Lと、右シャフト64Rとを有している。左シャフト64Lは、支持台50の左方に配置されており、左ベース板62Lに接続されている。左シャフト64Lは、左ベース板62Lから上方に延びている。なお、本実施形態では、図3に示すように、左シャフト64Lの数は2つであり、2つの左シャフト64Lは、副走査方向Xに並んで配置されている。ただし、左シャフト64Lの数は特に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
図5に示すように、右シャフト64Rは、支持台50の右方に配置されており、右ベース板62Rに接続されている。右シャフト64Rは、右ベース板62Rから上方に延びている。右シャフト64Rの数も特に限定されない。ここでは、図3に示すように、右シャフト64Rは、左シャフト64Lと同じ数であり、2つである。2つの右シャフト64Rは、副走査方向Xに並んで配置されている。
摺動体66は、フレーム70がベースシャフト64に対して摺動する際に、フレーム70の摺動をガイドするものである。摺動体66は、ベースシャフト64に摺動自在に挿入されている。摺動体66は、フレーム70に固定されている。本実施形態では、摺動体66は、フレーム70の下面に固定されているが、フレーム70の上面に固定されていてもよい。ここでは、フレーム70には、後述する挿入孔76(図3参照)が形成されている。挿入孔76には、ベースシャフト64が挿入される。摺動体66は、挿入孔76の周囲に位置するフレーム70の部分から下方に延びている。摺動体66は、高さ方向Zに延びたものである。例えばベースシャフト64の中心軸と、挿入孔76の中心軸とがずれる、言い換えると、ベースシャフト64の中心軸に対して、挿入孔76の中心軸が傾くと、ベースシャフト64に対してフレーム70が摺動し難くなる。摺動体66は、ベースシャフト64の中心軸と、挿入孔76の中心軸と合わせて、ベースシャフト64に対してフレーム70を摺動し易くするものである。例えばベースシャフト64に対してフレーム70のみが摺動する場合、ベースシャフト64に対して摺動する部材の高さ方向Zの長さが短くなる。その結果、ベースシャフト64の中心軸と、挿入孔76の中心軸とがずれ易くなり、フレーム70が摺動し難くなると考えられている。そこで、本実施形態では、フレーム70に摺動体66を固定することで、ベースシャフト64に対して摺動する部材の高さ方向Zの長さを長くすることができる。よって、ベースシャフト64の中心軸と、挿入孔76の中心軸とを合わせ易くすることができ、フレーム70がベースシャフト64に対して摺動し易くなる。本実施形態では、摺動体66は、左摺動体66Lと、右摺動体66Rとを有している。図5に示すように、左摺動体66Lは、支持台50の左方に配置され、左シャフト64Lに摺動可能に挿入される。右摺動体66Rは、支持台50の右方に配置され、右シャフト64Rに摺動可能に挿入される。
図3に示すように、フレーム70は、第1回転軸81および第2回転軸82を支持するものである。本実施形態では、フレーム70は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった枠である。図4に示すように、フレーム70の中央部分には、上下に貫通した支持開口75が形成されている。図5に示すように、フレーム70は、支持台50の上方に配置されている。図示は省略するが、フレーム70は、ガイドレール30、キャリッジ42およびインクヘッド44よりも下方に配置される。
フレーム70は、プリンタ本体20に対して着脱可能に設けられている。本実施形態では、フレーム70は、プリンタ本体20に固定されたベースユニット61に対して着脱可能に設けられており、ベースユニット61に支持されている。ここでは、図3に示すように、フレーム70は、ベースシャフト64に挿入されている。フレーム70には、摺動体66が固定されている。詳しくは、図4に示すように、フレーム70には、ベースシャフト64が挿入される挿入孔76が形成されている。挿入孔76は、フレーム70の左部に形成された左挿入孔76Lと、フレーム70の右部に形成された右挿入孔76Rとを有している。図3に示すように、左挿入孔76Lには、左シャフト64Lが挿入される。左挿入孔76Lの周囲に位置するフレーム70の部分には、下方に延びた左摺動体66Lが固定されている。左挿入孔76Lの数は、左シャフト64Lの数と同じ2つである。右挿入孔76Rには、右シャフト64Rが挿入される。右挿入孔76Rの周囲に位置するフレーム70の部分には、下方に延びた右摺動体66Rが固定されている。右挿入孔76Rの数は、右シャフト64Rの数と同じ2つである。
本実施形態では、フレーム70は、上下に重なる2つの部材から構成されており、ここでは上フレーム部材71と、上フレーム部材71と下方で重なる下フレーム部材72とから構成されている。ただし、フレーム70を構成する部材の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
図3に示すように、第1回転軸81および第2回転軸82は、第2被印刷物6を回転可能に支持するものである。本実施形態では、図6に示すように、第2被印刷物6は、第1回転軸81と第2回転軸82との間に配置され、第1回転軸81と第2回転軸82とを架け渡すように配置される。第2被印刷物6は、第1回転軸81および第2回転軸82に載置される。ここでは、支持台50の副走査方向Xへの移動によって、ラック91とピニオン92とが噛み合うことでピニオン92が回転して、第1回転軸81および第2回転軸82が回転することで、第2被印刷物6が回転する。図4に示すように、第1回転軸81および第2回転軸82は、それぞれ主走査方向Yに延びている。第1回転軸81と第2回転軸82は、所定の間隔で副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、第1回転軸81は、第2回転軸82の前方に配置されている。
図3に示すように、第1回転軸81および第2回転軸82は、支持台50の上方に配置されており、フレーム70に回転可能に支持されている。ここでは、第1回転軸81および第2回転軸82は、フレーム70の支持開口75に配置されている。第1回転軸81および第2回転軸82は、これらの両端部がフレーム70の上フレーム部材71と下フレーム部材72とに挟まれた状態で支持されている。本実施形態では、第1回転軸81と第2回転軸82との間隔は、第2被印刷物6の大きさなどに応じて適宜に変更可能である。ここでは、フレーム70に対する第1回転軸81の前後の位置、および、第2回転軸82の前後の位置を変更することで、第1回転軸81と第2回転軸82との間隔を変更することができる。
本実施形態では、第1回転軸81には、第1ローラ85が摺動可能に挿入されている。第2回転軸82には、第2ローラ86が摺動可能に挿入されている。図6に示すように、第1ローラ85および第2ローラ86は、第2被印刷物6と直接接触するものである。第1ローラ85および第2ローラ86は、支持台50とは接触していない。第1ローラ85の数、および、第2ローラ86の数は特に限定されず、図3に示すように、ここでは共に4つである。第1ローラ85および第2ローラ86は、それぞれ第1回転軸81および第2回転軸82に対して取り外し可能であり、これらの数は適宜に変更可能である。また、第1ローラ85同士の間隔、および、第2ローラ86同士の間隔も適宜に変更可能である。第1ローラ85および第2ローラ86を形成する材料は、特に限定されないが、弾性体、例えばゴムである。このことによって、第1回転軸81および第2回転軸82に対して、第2被印刷物6が滑り難くすることができる。
図3に示すように、ラック91は、副走査方向Xに延びたものであり、支持台50の上面に設けられている。本実施形態では、ラック91の副走査方向Xの長さは、支持台50の副走査方向Xと同じ長さである。ラック91は、支持台50の上面に直接固定されている。支持台50におけるラック91の位置および数は特に限定されない。本実施形態では、ラック91は、支持台50の左端部に設けられているが、支持台50の右端部に設けられてもよい。ラック91は、支持台50の左右両端部に設けられ、ラック91の数は2つであってもよい。ラック91の数は限定されるものではない。
図6に示すように、ラック91は、基部97と、ラック歯筋93とを有している。基部97は、副走査方向Xに延びたものであり、支持台50に載置されるものである。ラック歯筋93は、基部97の上面に形成され、副走査方向Xに並んで配置されている。本実施形態では、基部97とラック歯筋93とは、一体であるが、別体であってもよい。基部97およびラック歯筋93は、例えば樹脂製である。しかしながら、基部97およびラック歯筋93を形成する材料も特に限定されるものではない。ここでは、基部97の高さH11は、ラック歯筋93の高さH12よりも高い。ただし、基部97の高さH1と、ラック歯筋93の高さとの関係は、特に限定されない。
ピニオン92は、ラック91と噛み合う歯車である。ピニオン92は、第1回転軸81および第2回転軸82のうち少なくとも何れか一方に設けられている。本実施形態では、ピニオン92は、第1回転軸81および第2回転軸82の両方に設けられている。ただし、ピニオン92は、第1回転軸81および第2回転軸82の何れか一方のみに設けられてもよい。以下、第1回転軸81に設けられたピニオン92を第1ピニオン92aともいう。第2回転軸82に設けられたピニオン92を第2ピニオン92bともいう。
第1ピニオン92aは、第1回転軸81と共に回転するように構成されている。第2ピニオン92bは、第2回転軸82と共に回転するように構成されている。本実施形態では、ピニオン92は、ラック91の上方に配置されている。ここでは、図3に示すように、ピニオン92は、第1回転軸81の左端部、および、第2回転軸82の左端部に配置されている。図6に示すように、ピニオン92には、ラック91のラック歯筋93と噛み合うピニオン歯筋94が複数形成されている。複数のピニオン歯筋94は、ピニオン92の周面に形成されており、周方向に並んでいる。
図6では、ラック91およびピニオン92は、いわゆる平歯車である。平歯車とは、歯筋93、94が歯車の軸に対して平行な直線状のものである。ただし、ラック91およびピニオン92は、いわゆる、はすば歯車であってもよい。ラック91のラック歯筋93、および、ピニオン92のピニオン歯筋94は、はすば型であってもよい。はすば歯車は、歯筋93、94が歯車の軸に対して斜めに延びたものである。
本実施形態では、図3に示すように、回転機構60は、支持部材95を備えている。図5に示すように、支持部材95は、フレーム70と支持台50との間に配置されているものである。支持部材95は、フレーム70の自重がラック91とピニオン92とが噛み合っている部分に掛からないように、フレーム70の自重を受けて、フレーム70を所定の高さで維持させるものである。この所定の高さとは、ラック91とピニオン92とが適切に噛み合わせることができる程度の高さのことである。
本実施形態では、支持部材95の高さ方向Zの長さD11は、ラック91とピニオン92とが噛み合った状態の支持台50の上面からフレーム70の下面までの距離D12よりも大きい。すなわち、D11>D12である。ここで距離D12とは、フレーム70が支持部材95によって支持されていない状態、すなわち支持台50とフレーム70との間に支持部材95が配置されていないときにおける、支持台50の上面からフレーム70の下面までの高さ方向Zの距離である。ここでは、D11>D12であるが、長さD11と距離D12との差は、ラック91とピニオン92とが噛み合う程度の差である。本実施形態では、支持部材95がフレーム70と支持台50との間に配置されて、フレーム70を支持している状態において、ラック91とピニオン92との間には、隙間が形成されている。ラック91とピニオン92との間の隙間とは、ラック91のラック歯筋93の凸の部分と、ピニオン92のピニオン歯筋94の凹んだ部分との間の隙間、および、ラック歯筋93の凹んだ部分と、ピニオン歯筋94の凸の部分との間の隙間のことである。
支持部材95は、フレーム70を支持するものである。ここでは、支持部材95は、フレーム70の下フレーム部材72の短辺を構成する部位(ここでは副走査方向Xに延びる部位)の下面に固定されている。また、支持部材95は、支持台50にスライド可能に支持されるものである。支持台50が副走査方向Xに移動するとき、支持台50は支持部材95に対してスライドする。すなわち、支持台50が副走査方向Xに移動するとき、支持部材95の副走査方向Xの位置は変わらない。
本実施形態では、支持部材95に対して支持台50がスライドし易いように、支持部材95における支持台50と接触する面(ここでは下面)には、支持台50との摩擦力を低減させる処理が施されている。ここでは、支持部材95の下面には、テフロン(登録商標)で形成されたシートが設けられている。支持部材95の下面に設けられたシートは、ポリテトラフルオロエチレンで形成されたシートである。
支持部材95の形状は特に限定されるものではない。ここでは、支持部材95は、フレーム70の副走査方向Xと同じ長さを有する角材である。支持部材95を形成する材料も特に限定されないが、例えば支持部材95は金属製である。支持部材95の数も特に限定されないが、ここでは2つである。一方の支持部材95は、フレーム70の左端部であって、ラック91およびピニオン92よりも左方に配置されている。他方の支持部材95は、フレーム70の右端部であって、ラック91およびピニオン92よりも右方に配置されている。
本実施形態では、図6に示すように、第2被印刷物6の軸方向が主走査方向Yになるように、第2被印刷物6を第1回転軸81と第2回転軸82との間に載置する。第2被印刷物6の中心軸を中心に第2被印刷物6を回転させる際、まず支持台移動機構55(図5参照)を作動させることで、支持台50が副走査方向Xに移動する。このとき、支持台50と共にラック91も副走査方向Xに移動する。ラック91が副走査方向Xに移動することで、ラック91と噛み合っているピニオン92が回転する。ピニオン92(詳しくは、第1ピニオン92aおよび第2ピニオン92b)が回転することで、第1回転軸81および第2回転軸82は同じ方向に回転する。そして、第1回転軸81および第2回転軸82の回転に伴い、第1ローラ85および第2ローラ86が回転し、第1回転軸81および第2回転軸82に支持されている第2被印刷物6が回転する。
なお、本実施形態では、図6に示すように、支持台50およびラック91が矢印A11のように前方に移動すると、ピニオン92、第1回転軸81および第2回転軸82は、右側面視において、矢印A21のように時計回りに回転する。このとき、第2被印刷物6は、右側面視において、矢印A31のように反時計回りに回転する。一方、支持台50およびラック91が矢印A12のように後方に移動すると、ピニオン92、第1回転軸81および第2回転軸82は、右側面視において、矢印A22のように反時計回りに回転する。このとき、第2被印刷物6は、右側面視において、矢印A32のように時計回りに回転する。
本実施形態では、第2被印刷物6に対して印刷を行うときには、まずインクヘッド44をヘッド移動機構45によって主走査方向Yに移動させている間、インクヘッド44から第2被印刷物6に向かってインクを吐出させて、1ライン分の印刷を行う。この1ライン分の印刷は、第2被印刷物6の上面にされる。1ライン分の印刷の後、支持台移動機構55を作動させることで、第1回転軸81および第2回転軸82を回転させて、第2被印刷物6を所定の回転量、回転させる。その後、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させて次の1ライン分の印刷を第2被印刷物6の上面に行う。このように、1ライン分の印刷と、第2被印刷物6の回転とを繰り返し行うことで、第2被印刷物6に印刷を行うことができる。
以上、本実施形態では、図3に示すように、回転機構60は、主走査方向Yに延びた第1回転軸81および第2回転軸82と、フレーム70と、ラック91と、ピニオン92とを備えている。第2回転軸82は、副走査方向Xに第1回転軸81と並んで配置され、第1回転軸81と共に、少なくとも一部の外周形状が円柱状の第2被印刷物6を支持する。フレーム70は、第1回転軸81および第2回転軸82を回転可能に支持する。ラック91は、フレーム70に対して副走査方向Xに移動可能に構成された支持台50に設けられ、副走査方向Xに延びている。図6に示すように、ピニオン92は、第1回転軸81および第2回転軸82のうち少なくとも何れか一方の回転軸に設けられ、一方の回転軸と共に回転し、ラック91と噛み合う。
本実施形態では、上述のように、支持台50が副走査方向Xに移動すると共に、ラック91が移動する。ラック91はピニオン92と噛み合っているため、ラック91の移動に伴い、ピニオン92が回転する。ピニオン92の回転に伴い、第1回転軸81および第2回転軸82が回転し、第1回転軸81と第2回転軸82との間で支持された第2被印刷物6を回転させることができる。また、本実施形態では、いわゆるラックアンドピニオンの機構を用いることで、第1回転軸81および第2回転軸82(または第1ローラ85および第2ローラ86)を支持台50に接触させずにすることができるため、円滑に回転させることができる。このように、いわゆるラックアンドピニオンの機構を用いることで、支持台50の移動の力を、第2被印刷物6の回転の力に適切に変換させることができる。したがって、第1回転軸81および第2回転軸82(または第1ローラ85および第2ローラ86)を第2被印刷物6に対して滑り難くできるため、第2被印刷物6を円滑に回転させることができる。
本実施形態では、第1回転軸81および第2回転軸82の両方がフレーム70に対して回転可能に構成されている。ピニオン92は、第1回転軸81および第2回転軸82の両方に設けられている。このことによって、ラック91の副走査方向Xへの移動に伴い、第1回転軸81および第2回転軸82の両方を回転させることができ、第1回転軸81および第2回転軸82を駆動軸にすることができる。よって、第1回転軸81および第2回転軸82の両方の回転で、第2被印刷物6をより円滑に回転させることができる。
本実施形態では、ラック91およびピニオン92は、はすば歯車によって構成されていてもよい。言い換えると、ラック91のラック歯筋93、および、ピニオン92のピニオン歯筋94は、はすば型であってもよい。このことによって、ラック91とピニオン92との噛み合いをずれ難くすることができる。特に、主走査方向Yにおけるラック91とピニオン92との噛み合いをずれ難くすることができる。
本実施形態では、図5に示すように、回転機構60は、支持台50とフレーム70との間に配置された支持部材95を備えている。支持部材95の高さ方向Zの長さD11は、支持台50とフレーム70の間に支持部材95が設けられていないときのラック91とピニオン92とが噛み合った状態における、支持台50の上面とフレーム70の下面との間の距離D12よりも大きい。このことによって、フレーム70の自重は、支持部材95で受けることになり、ラック91とピニオン92との噛み合う部分には受けなくすることができる。よって、91とピニオン92とが噛み合う部分に、フレーム70の自重が掛からずに、ラック91に対してピニオン92を円滑に回転させ易くすることができる。なお、支持部材95の高さ方向Zの長さD11は、支持台50の上面とフレーム70の下面との間の距離D12と同じであってもよい。そのため、支持部材95の高さ方向Zの長さD11は、支持台50の上面とフレーム70の下面との間の距離D12以上であってもよい。
本実施形態では、図2に示すように、プリンタ10は、支持台50を支持するプリンタ本体20と、図3の回転機構60とを備えている。図5に示すように、回転機構60のフレーム70は、プリンタ本体20に対して着脱可能に設けられている。このことによって、第1被印刷物5を印刷するときには、フレーム70と共に、フレーム70に支持された第1回転軸81および第2回転軸82をプリンタ本体20から取り外し、図2に示すように、支持台50に第1被印刷物5を支持させて、第1被印刷物5に印刷することができる。一方、第2被印刷物6を印刷するときには、図5に示すように、フレーム70をプリンタ本体20に取り付け、フレーム70に支持された第1回転軸81と第2回転軸82との間に第2被印刷物6を支持させることで、第2被印刷物6に印刷することができる。このように、フレーム70をプリンタ本体20に対して着脱可能にすることで、1つのプリンタ10で、第1被印刷物5と第2被印刷物6の両方を印刷することができる。
本実施形態では、回転機構60は、プリンタ本体20に固定されるベースユニット61を備えている。フレーム70は、ベースユニット61に対して着脱可能に設けられる。ここでは、回転機構60の一構成部品であるベースユニット61をプリンタ本体20に固定している。そのため、フレーム70を取り付ける際には、プリンタ本体20に固定されたベースユニット61に取り付ければよい。よって、プリンタ本体20に対するフレーム70を取り付ける位置が分かり易い。
本実施形態では、支持台50は、昇降可能に構成されている。プリンタ本体20は、板状のベース部21を有している。ベースユニット61は、ベース板62と、ベースシャフト64と、摺動体66とを有している。ベース板62は、ベース部21に固定される。ベースシャフト64は、ベース板62から上方に延びている。摺動体66は、ベースシャフト64に摺動可能に挿入され、フレーム70に固定されている。例えば摺動体66が省略された場合、ベースシャフト64に対して摺動する部材は、フレーム70のみになり、ベースシャフト64に対して摺動する部材の高さ方向Zの長さが短くなる。その結果、ベースシャフト64の中心軸と、挿入孔76の中心軸とがずれ易くなり、フレーム70が摺動し難くなり得る。しかしながら、本実施形態では、フレーム70に摺動体66を固定することで、ベースシャフト64に対して摺動する部材の高さ方向Zの長さを長くすることができる。このことによって、ベースシャフト64の中心軸と、フレーム70の挿入孔76の中心軸とを合わせ易くすることができる。したがって、フレーム70がベースシャフト64に対して摺動し易くすることができる。
<第2実施形態>
次に第2実施形態に係るプリンタ10Aについて説明する。図7、図8は、それぞれ本実施形態に係るプリンタ10Aの回転機構60Aおよび支持台50の平面図、正面図である。図9は、本実施形態において、歯付きベルト91Aとプーリ92Aが噛み合った状態を示す右側面図である。
プリンタ10Aは、支持台50と、回転機構60Aとを備えている。本実施形態に係る支持台50は、第1実施形態に係る支持台50と同様の構成である。回転機構60Aは、ベースユニット61と、フレーム70と、第1回転軸81と、第2回転軸82と、歯付きベルト91Aと、プーリ92Aと、支持部材95Aとを備えている。ベースユニット61、フレーム70、第1回転軸81および第2回転軸82の構成は、第1実施形態と同じであるため、ここでの説明は省略する。以下、本実施形態に係る歯付きベルト91A、プーリ92Aおよび支持部材95Aについて詳しく説明する。
歯付きベルト91Aは、第1実施形態のラック91と同様の機能を有し、本発明のラックの一例である。図7に示すように、歯付きベルト91Aは、副走査方向Xに延びており、支持台50の上面に設けられている。本実施形態では、第1実施形態と同様に、歯付きベルト91Aは、支持台50の左端部および右端部のうちの何れ一方の端部(例えば支持台50の左端部)に設けられている。ただし、図7に示すように、歯付きベルト91Aは、支持台50の左端部および右端部の両部に設けられていてもよい。
図9に示すように、歯付きベルト91Aは、基部97Aと、歯筋93Aとを有している。基部97Aは、副走査方向Xに延びている。歯筋93Aは、基部97Aの上面に形成され、副走査方向Xに並んで配置されている。本実施形態では、基部97Aと歯筋93Aとは別体に形成されている。ただし、基部97Aと歯筋93Aとは一体的に形成されてもよい。ここでは、基部97Aは、例えばベルト状であり、厚みが比較的に薄いものである。基部97Aは、例えば可撓性を有する材料によって形成されており、例えば樹脂製である。歯筋93は、基部97Aの上面に取り付けられている。歯筋93を形成する材料も特に限定されないが、例えば歯筋93も樹脂製である。本実施形態では、歯筋93Aは比較的に薄いものが採用されており、第1実施形態のラック歯筋93(図6参照)よりも薄いものである。
本実施形態では、プーリ92Aは、第1実施形態のピニオン92と同様の機能を有し、本発明のピニオンの一例である。プーリ92Aは、歯付きベルト91Aと噛み合うものである。本実施形態では、プーリ92Aは、歯付きベルト91Aが設けられている支持台50の端部と同じ側の第1回転軸81および第2回転軸82の端部に設けられている。例えば、歯付きベルト91Aが支持台50の左端部に設けられている場合には、プーリ92Aは、第1回転軸81および第2回転軸82のそれぞれの左端部に設けられている。また、図7に示すように、歯付きベルト91Aが支持台50の左端部および右端部の両部に設けられている場合、プーリ92Aも第1回転軸81の左端部および右端部の両部に設けられ、かつ、第2回転軸82の左端部および右端部の両部に設けられている。図9に示すように、プーリ92Aには、歯付きベルト91Aの歯筋93Aと噛み合う歯筋94Aが複数形成されている。複数の歯筋94Aは、プーリ92Aの周面に形成されており、プーリ92Aの周方向に並んでいる。本実施形態では、歯筋94Aは比較的に薄いものが採用されており、第1実施形態のピニオン歯筋94(図6参照)よりも薄いものである。
本実施形態では、歯付きベルト91Aの副走査方向Xの長さL1は、支持台50の副走査方向Xの長さL2よりも長い。例えば歯付きベルト91Aの副走査方向Xの長さL1は、支持台50の副走査方向Xの長さL2の1.1倍~2.0倍、好ましくは1.1倍~1.5倍、更に好ましくは1.1倍~1.3倍である。なお、ここで支持台50の副走査方向Xの長さL2とは、支持台50における歯付きベルト91Aが設けられる面(ここでは上面)の副走査方向Xの長さのことである。本実施形態では、歯付きベルト91Aは、支持台50の前方に突出し、かつ、支持台50の後方に突出している。しかしながら、歯付きベルト91Aは、支持台50の前方および後方の何れか一方のみに突出していてもよい。
図10は、フレーム70の移動距離L4を示す概念図であり、回転機構60Aおよび支持台50の平面図である。本実施形態では、図10に示すように、歯付きベルト91Aに対するフレーム70の最後方の位置は、実線で示されたフレーム70の位置であり、歯付きベルト91Aの後端に、第2回転軸82が位置するようなフレーム70の位置(図10では、位置P1)である。歯付きベルト91Aに対するフレーム70の最前方の位置は、2点鎖線で示されたフレーム70の位置であり、歯付きベルト91Aの前端に、第1回転軸81が位置するようなフレーム70の位置(図10では、位置P2)である。ここでは、フレーム70は、歯付きベルト91Aとプーリ92Aとが噛み合った状態で、位置P1から位置P2の間を、図10の矢印のように移動することが可能である。
ここでは、第1回転軸81(詳しくは第1回転軸81の中心軸A81)と、第2回転軸82(詳しくは第2回転軸82の中心軸A82)との距離を軸間距離L3とする。歯付きベルト91Aとプーリ92Aとが噛み合った状態で、フレーム70が副走査方向Xに移動可能な最大距離を移動距離L4とする。この移動距離L4は、歯付きベルト91Aとプーリ92Aとが噛み合った状態における支持台50の副走査方向Xへの移動距離でもある。
ここで、フレーム70の移動距離L4は、歯付きベルト91Aの副走査方向Xの長さL1から軸間距離L3を引いた距離であり、L4=L1-L3となる。ここでは、軸間距離L3の分だけ、歯付きベルト91Aの長さL1と、プーリ92Aの長さ(例えば周方向の長さ)が長く設定されている。
なお、仮に第1実施形態のように、歯付きベルト91Aの長さL1が支持台50の長さL2と同じ場合には、フレーム70の移動距離L4は、支持台50の長さL2から軸間距離L3を引いた距離であり、L4=L2-L3となる。この場合、通常の印刷(ここでは支持台50に第1被印刷物5を直接支持させて第1被印刷物5に印刷する場合)に比べて、軸間距離L3の分だけ、第2被印刷物6の印刷時の支持台50の可動範囲が狭くなる。しかしながら、本実施形態では、軸間距離L3の分だけ、歯付きベルト91Aの長さL1と、プーリ92Aの長さ(例えば周方向の長さ)を長く設定することで、上記の通常の印刷と同様の可動範囲を確保することができる。
このように、歯付きベルト91Aの副走査方向Xの長さL1を、支持台50の副走査方向Xの長さL2よりも長くすることで、プーリ92Aが歯付きベルト91Aに噛み合った状態における支持台50の副走査方向Xへの移動距離L4を長くすることができる。このように支持台50の副走査方向Xへの移動距離L4を長くすることで、プーリ92Aの最大の回転量を多くすることができる。プーリ92Aの最大の回転量が多くなると、外径が比較的に大きい第2被印刷物6であっても、第2被印刷物6を360度回転させることができる。よって、外径が比較的に大きい第2被印刷物6であっても、第2被印刷物6の外周面全体に印刷を行うことができる。
本実施形態では、図8に示すように、支持部材95Aは、支持台50に取り付けられている。支持部材95Aは、フレーム70をスライド可能に支持している。本実施形態では、支持台50が副走査方向Xに移動するとき、支持部材95Aも副走査方向Xに移動し、支持部材95Aに対してフレーム70がスライドする。図7に示すように、支持部材95Aは、副走査方向Xに延びた棒状のものであり、横断面の形状が四角形状である。ここでは、支持部材95Aの副走査方向Xの長さL5は、支持台50の副走査方向Xの長さL2よりも長い。支持部材95Aの長さL5は、歯付きベルト91Aの長さL1と同じである。
本実施形態では、図8に示すように、支持部材95Aには、ステー96Aが設けられている。ステー96Aは、支持部材95Aと主走査方向Yに並んで配置され、図7に示すように、副走査方向Xに延びている。ステー96Aは、支持部材95Aと一体的に形成されているが、ステー96Aと支持部材95Aとは別体であってもよい。ステー96Aは、支持部材95Aよりも厚みが薄い。ここでは、ステー96Aの厚みとは、高さ方向Zの長さのことである。
本実施形態では、ステー96Aの上面には、歯付きベルト91Aが設けられている。すなわち、歯付きベルト91Aは、ステー96を介して支持台50に取り付けられている。なお、歯付きベルト91Aが支持台50の左端部および右端部のうちの何れか一方の端部に設けられている場合、歯付きベルト91Aが設けられていない側のステー96Aは省略されている。
本実施形態のように支持台50に支持部材95Aを取り付けた場合であっても、フレーム70の自重は、支持部材95Aで受けることになり、歯付きベルト91Aとプーリ92Aとの噛み合う部分には受けなくすることができる。よって、歯付きベルト91Aとプーリ92Aとが噛み合う部分に、フレーム70の自重が掛からずに、歯付きベルト91Aに対してプーリ92Aを円滑に回転させ易くすることができる。
上記各実施形態では、フレーム70は、第1回転軸81および第2回転軸82の両方を回転可能に支持していた。しかしながら、フレーム70は、第1回転軸81および第2回転軸82のうち少なくとも何れか一方の回転軸を回転可能に支持していればよく、例えば第1回転軸81および第2回転軸82のうちの一方の回転軸のみを回転可能に支持し、他方の回転軸を回転不可能に固定して支持してもよい。例えば第1回転軸81がフレーム70に回転可能に支持され、第2回転軸82がフレーム70に回転不可能に支持されているとする。この場合、第2回転軸82には、ピニオン92が設けられていなくてもよい。この場合、第2回転軸82に対して第2ローラ86が回転可能に設けられているとよい。このことで、第1回転軸81の回転によって第2被印刷物6が回転したとき、第2被印刷物6の回転に追従するように、第2ローラ86が第2回転軸82に対して回転する。そのため、第2被印刷物6を円滑に回転させることができる。