以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るプリンタ10の内部構造を示す斜視図である。ここでは、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号X、Y、Zは、それぞれ副走査方向、主走査方向、高さ方向を示している。例えば主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、平面視において交差しており、ここでは直交している。副走査方向Xは、例えば前後方向である。高さ方向Zは上下方向である。本実施形態では、主走査方向Yは第2方向の一例であり、副走査方向Xは第1方向の一例である。ただし、これら方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、本発明、および、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は特に限定されない。プリンタ10は、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
本実施形態に係るプリンタ10は、後述の支持台50(図2参照)に支持された第1被印刷物5(図2参照)に印刷することが可能である。更に、プリンタ10は、後述の回転機構60(図3参照)を使用して、第2被印刷物6(図5参照)に印刷することも可能である。ここで、図2では、第1被印刷物5が支持台50に支持された状態が示されている。図2に示す第1被印刷物5は、少なくとも一部に主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平面を有するものである。第1被印刷物5は、例えば記録紙である。ただし、第1被印刷物5は、記録紙に限定されない。例えば第1被印刷物5には、PCV、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、金属板、ガラス板、木材板などの比較的に厚みを有するものが含まれる。また、第1被印刷物5は、例えばスマートフォンケースなどの立体物であってもよい。
図5に示す第2被印刷物6は、少なくとも一部の外周形状が円柱状の立体物である。ここで、第2被印刷物6の上記一部とは、回転機構60(詳しくは、後述の第1シャフト61および第2シャフト62(図5参照))と接する部分のことをいう。第2被印刷物6には、内部に空間を有する立体物、例えば円筒形状の立体物が含まれる。第2被印刷物6の種類は特に限定されないが、例えばビンやコップなどである。また、第2被印刷物6を形成する材料も特に限定されない。第2被印刷物6は、ガラス製であってもよいし、樹脂製であってもよいし、木製であってもよい。本実施形態では、第2被印刷物6は、本発明の「少なくとも一部の外周形状が円柱状の被印刷物」の一例である。
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体20を備えている。プリンタ本体20は、ベース部21(図2参照)と、ケース22と、カバー24とを備えている。図2に示すように、ベース部21は、板状の部材であり、プリンタ本体20の底部を構成している。ベース部21の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、平面視において矩形状の部材の前の左右両角を削った六角形状である。ベース部21の主走査方向Yの中央部分には、支持台50が設置される設置孔25が形成されている。この設置孔25は、主走査方向Yよりも副走査方向Xに長い矩形状である。
本実施形態では、プリンタ本体20は、ベース部21から立ち上った支持壁26および内壁27を有している。支持壁26は、副走査方向Xおよび高さ方向Zに広がったものである。ここでは、支持壁26は、支持台50の左方に配置された左支持壁26Lと、支持台50の右方に配置された右支持壁26Rとを有している。左支持壁26Lと右支持壁26Rは、設置孔25の縁に沿って配置されている。左支持壁26Lと右支持壁26Rとは、支持台50を挟んで対向しており、プリンタ本体20(詳しくはベース部21)に固定されている。
内壁27は、支持壁26よりも後方において、主走査方向Yおよび高さ方向Zに広がったものである。内壁27には、副走査方向Xに貫通する開口(図示せず)が形成されている。支持台50は、副走査方向Xに移動する際、内壁27の上記開口を通過可能に構成されている。
図1に示すケース22は、ベース部21の上に配置され、ベース部21に支持されている。ここでは、ケース22とベース部21とに囲まれた空間が存在し、当該空間において印刷が行われる。また、本実施形態では、ケース22とベース部21とに囲まれた空間に、支持壁26および内壁27が配置されている。図1に示すように、ケース22の前部には、開口28が形成されている。
カバー24は、開口28を開閉自在にケース22に支持されている。カバー24は、例えば後端を軸に回転可能に構成されている。カバー24の上部には、窓29が設けられている。窓29は、透明または半透明の部材、例えばアクリル板によって形成されている。ユーザは、窓29を通じて、ケース22とベース部21とに囲まれた内部の空間を視認することができる。
次に、プリンタ10の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール30と、キャリッジ42と、インクヘッド44と、ヘッド移動機構45と、支持台50と、支持台移動機構55とを備えている。ガイドレール30は主走査方向Yに延びている。ここでは、ガイドレール30は、内壁27の前面に支持されており、支持台50よりも上方に配置されている。また、ガイドレール30は、支持壁26よりも上方に配置されている。
キャリッジ42は、ガイドレール30に摺動自在に係合している。キャリッジ42は、ガイドレール30に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド44は、その底面が下方に露出するように、キャリッジ42に設けられている。なお、インクヘッド44の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド44の数は3つである。3つのインクヘッド44は、主走査方向Yに並んで配置されている。図示は省略するが、インクヘッド44の底面には、インクが吐出する複数のノズルが形成されている。
ここで、インクヘッド44から吐出されるインクは、いわゆる紫外線硬化型インクである。紫外線硬化型インクは、紫外線が照射されると硬化が促進されるインクである。なお、図示は省略するが、キャリッジ42には、インクヘッド44から第1被印刷物5または第2被印刷物6に吐出されたインクに向かって紫外線を照射する紫外線照射装置が設けられてもよい。紫外線照射装置は、インクヘッド44の左方または右方に設けられている。このことで、インクヘッド44から吐出されたインクは、紫外線照射装置から照射された紫外線によって硬化が促進される。
ヘッド移動機構45は、キャリッジ42およびインクヘッド44を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構45の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構45は、左右のプーリ46、47と、無端状のベルト48と、ヘッドモータ49とを備えている。左のプーリ46は、ガイドレール30の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ47は、ガイドレール30の右端部の周囲に設けられている。ベルト48は、左右のプーリ46、47に巻き掛けられている。ベルト48には、キャリッジ42が固定されている。ヘッドモータ49は、例えば右のプーリ47に接続されている。ここでは、ヘッドモータ49が駆動して右のプーリ47が回転することで、左右のプーリ46、47の間においてベルト48が走行する。このベルト48の走行に伴い、キャリッジ42およびインクヘッド44は、主走査方向Yに移動する。
支持台50は、第1被印刷物5および第2被印刷物6(図5参照)のうち何れかを選択的に支持する支持面51を有している。ここで、例えば支持面51が第2被印刷物6を支持するとは、支持面51に第2被印刷物6が直接載置されている場合の他、他の部材(例えば、後述の摩擦シート80(図4参照))を介して第2被印刷物6が間接的に載置されている場合も含むものとする。支持面51は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった面であり、支持台50の上面を構成している。第1被印刷物5および第2被印刷物6に対する印刷は、支持面51上で行われる。支持面51は、ガイドレール30、キャリッジ42およびインクヘッド44よりも下方に配置されている。ここでは、支持台50は、ベース部21に形成された設置孔25に設置されている。支持台50は、設置孔25内において、支持台移動機構55によって副走査方向Xに移動可能に構成されている。
支持台移動機構55は、上述のように、支持台50を副走査方向X(ここでは前後方向)に移動させる機構である。本実施形態では、支持台移動機構55は、移動機構の一例である。なお、支持台移動機構55の構成は特に限定されない。ここでは、支持台移動機構55は、支持台50を支持する支持台キャリッジ56と、支持台キャリッジ56をスライド可能に支持し、副走査方向Xに延びた左右一対のスライドレール(図示せず)とを備えている。図示は省略するが、支持台移動機構55は、更に上記スライドレールの前方および後方に設けられた前後一対のプーリと、前後一対のプーリに巻き掛けられたベルトとを備えている。このベルトには、支持台キャリッジ56が固定されている。前後一対のプーリのうちの何れかには、フィードモータが接続されている。ここでは、フィードモータが駆動してベルトが走行することで、支持台キャリッジ56と共に支持台50が副走査方向Xに移動する。
なお、詳しい説明は省略するが、支持台50には、支持台50を高さ方向Zに移動させる昇降機構が設けられている。すなわち支持台50は、昇降可能に構成されている。この昇降機構によって、支持面51に支持された第1被印刷物5または第2被印刷物6と、インクヘッド44の下面との間隔を調整することができる。
本実施形態では、第1被印刷物5に対して印刷を行うとき、図2に示すように、第1被印刷物5を支持台50の支持面51に支持させる。そして、ヘッド移動機構45を作動させて、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させている間、インクヘッド44から第1被印刷物5に向かってインクを吐出させて、1ライン分の印刷を行う。1ライン分の印刷の後、第1被印刷物5を支持する支持台50を、支持台移動機構55によって副走査方向Xに所定の距離、移動させる。その後、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させて次の1ライン分の印刷を行う。このように、1ライン分の印刷と、支持台50における副走査方向Xへの移動とを交互に繰り返し行うことで、第1被印刷物5に印刷を行うことができる。
ところで、上述のように、本実施形態に係るプリンタ10は、第1被印刷物5の他に、少なくとも一部の外周形状が円柱形状の第2被印刷物6に対して印刷を行うことが可能である。
図3は、回転機構60および支持台50の平面図である。図4は、回転機構60および支持台50の正面図である。図5は、図3のV-V断面における回転機構60および支持台50の断面図である。本実施形態では、図3~図5に示すように、プリンタ10は、回転機構60を備えている。回転機構60は、第2被印刷物6の中心軸A1を中心に第2被印刷物6を回転させる機構である。この回転機構60を用いて第2被印刷物6を支持面51上で回転させながら、第2被印刷物6に対して印刷を行う。ここでは、回転機構60は、支持台50における副走査方向Xへの直線移動の力を、第2被印刷物6の回転の力に変換することで、第2被印刷物6を回転させる。言い換えると、支持台50を副走査方向Xに移動させる支持台移動機構55(図2参照)による駆動力と、第2被印刷物6と支持面51との間の摩擦力とを利用して、第2被印刷物6を回転させる。ここで、第2被印刷物6と支持面51との間の摩擦力は、支持台50が副走査方向Xに移動するときに第2被印刷物6の副走査方向Xへの移動を規制することで発生するものである。
図3に示すように、回転機構60は、第1シャフト61と、第2シャフト62と、支持部材70と、摩擦シート80とを備えている。第1シャフト61および第2シャフト62は、支持台50が副走査方向Xに移動するとき、支持面51に支持された第2被印刷物6が支持台50と共に副走査方向Xに移動しないように、第2被印刷物6の副走査方向Xへの移動を規制するものである。第1シャフト61および第2シャフト62は、支持台50と平面視において重なる位置に配置されており、図5に示すように、支持面51の真上に配置されている。図3に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62は、それぞれ主走査方向Yに延びている。
本実施形態では、図5に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62は、第2被印刷物6を上から押し付けるものであり、第1シャフト61および第2シャフト62の自重によって、第2被印刷物6と支持面51との間に摩擦力を発生させるものであり、第2被印刷物6と接触するものである。ここでは、図3に示すように、第1シャフト61は、第2被印刷物6における副走査方向Xの中間(言い換えると、第2被印刷物6の中心軸A1)よりも副走査方向Xの一方側(ここでは前側)に配置されている。第1シャフト61は、第2被印刷物6と前側から接触する。第2シャフト62は、第2被印刷物6における副走査方向Xの中間よりも副走査方向Xの他方側(ここでは後側)に配置されている。第2シャフト62は、第2被印刷物6と後側から接触する。図5に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62は、第2被印刷物6の上部(ここでは、中心軸A1よりも上方に位置する第2被印刷物6の部分)と接触している。
本実施形態では、図3に示すように、第2シャフト62は、第1シャフト61の後方に配置されており、第1シャフト61と離間している。第1シャフト61と第2シャフト62は、第2被印刷物6の一部を挟むように配置されている。図5に示すように、第2被印刷物6は、高さ方向Zにおいて、第1シャフト61と支持面51によって挟まれ、かつ、第2シャフト62と支持面51によって挟まれている。
本実施形態では、図3に示すように、第1シャフト61の軸方向(ここでは主走査方向Y)の長さは、第2シャフト62の軸方向の長さと同じである。しかしながら、第1シャフト61は、第2シャフト62よりも軸方向に長くてもよいし、短くてもよい。第1シャフト61の横断面積は、第2シャフト62の横断面積と同じである。ただし、第1シャフト61の横断面積は、第2シャフト62の横断面積よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、本実施形態では、平面視において、支持面51に支持された第2被印刷物6の中心軸A1から第1シャフト61までの距離は、中心軸A1から第2シャフト62までの距離と同じである。しかしながら、中心軸A1から第1シャフト61までの距離は、中心軸A1から第2シャフト62までの距離よりも短くてもよいし、長くてもよい。本実施形態では、図5に示すように、第1シャフト61は、高さ方向Zにおいて第2シャフト62と同じ位置に配置されている。しかしながら、第1シャフト61は、第2シャフト62よりも高い位置に配置されていてもよいし、低い位置に配置されていてもよい。
支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62を支持するものである。支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62の副走査方向Xへの移動を規制するものである。ここでは、支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62を回転可能に支持する。本実施形態では、図4に示すように、支持部材70は、支持台50の左方および右方に配置されている。ここで、支持台50の左方に配置された支持部材70を左支持部材71Lと適宜いう。支持台50の右方に配置された支持部材70を右支持部材71Rと適宜いう。本実施形態では、支持部材70は、プリンタ本体20の支持壁26に固定されている。詳しくは、左支持部材71Lは左支持壁26Lの右面の上部に固定され、右支持部材71Rは右支持壁26Rの左面の上部に固定されている。
本実施形態では、左支持部材71Lの構成と、右支持部材71Rの構成は同じである。ここでは、図5に示すように、支持部材70は、副走査方向Xおよび高さ方向Zに広がった板状の部材である。支持部材70は、高さ方向Zよりも副走査方向Xに長い。
支持部材70には、支持溝73が形成されている。支持溝73には、第1シャフト61および第2シャフト62のうち何れか一方が選択的に入り込むことが可能である。本実施形態において、支持部材70が第1シャフト61および第2シャフト62を支持するとは、支持溝73の何れかに第1シャフト61および第2シャフト62が入り込んでいることをいう。ここでは、第1シャフト61および第2シャフト62は、支持溝73に入り込んでいることで、副走査方向Xへの移動が規制される。
ここで、1つの支持部材70(すなわち、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rのそれぞれ)に形成されている支持溝73の数は特に限定されない。1つの支持部材70には、3つ以上の支持溝73が形成されているとよい。本実施形態では、1つの支持部材70に形成されている支持溝73の数は、5つである。ここでは、5つの支持溝73は、副走査方向Xに並んで配置されている。本実施形態では、5つの支持溝73の間隔は、一部で異なっている。ただし、5つの支持溝73は、等間隔で配置されていてもよい。以下では、5つの支持溝73のうち、前から後ろに向かって順に、第1支持溝73a、第2支持溝73b、第3支持溝73c、第4支持溝73d、第5支持溝73eと適宜にいうことにする。
本実施形態では、支持溝73は、支持部材70の上面から下方に延びた溝であり、高さ方向Zに延びた溝である。ここで、第1支持溝73a~第5支持溝73eにおけるそれぞれの深さは同じであり、幅も同じである。ただし、第1支持溝73a~第5支持溝73eのうちの何れか一部または全部は、深さや幅が異なっていてもよい。本実施形態では、第1支持溝73a~第5支持溝73eのうち1つの支持溝73に、第1シャフト61が上下に摺動自在かつ回転可能に入り込む。第1支持溝73a~第5支持溝73eのうち他の1つの支持溝73に、第2シャフト62が上下に摺動自在かつ回転可能に入り込む。第1シャフト61および第2シャフト62は、第2被印刷物6が回転することで、支持溝73内において回転する。
本実施形態では、第2被印刷物6の大きさ(例えば第2被印刷物6の直径)に応じて、第1シャフト61と第2シャフト62との間隔(言い換えると、副走査方向Xの距離)を変更することが可能である。例えば第2被印刷物6が比較的に小さい(例えば直径が小さい)ものである場合、副走査方向Xに隣り合う支持溝73の一方に第1シャフト61を入れ込み、他方に第2シャフト62を入れ込む。例えば左支持部材71Lおよび右支持部材71Rのそれぞれの第2支持溝73bに第1シャフト61を入れ、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rのそれぞれの第3支持溝73cに第2シャフト62を入れる。例えば第2被印刷物6が比較的に大きい(例えば直径が大きい)ものである場合、間隔が空いた2つの支持溝73の一方に第1シャフト61を入れ込み、他方に第2シャフト62を入れ込む。例えば図3に示すように、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rにおける第2支持溝73bに第1シャフト61を入れ、第5支持溝73eに第2シャフト62を入れるとよい。また、第2被印刷物6が更に大きい(例えば更に直径が大きい)ものである場合、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rにおける第1支持溝73aに第1シャフト61を入れ、第5支持溝73eに第2シャフト62を入れるとよい。
本実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト62は、支持部材70から着脱可能に構成されている。そのため、図2に示すように、プリンタ10において、第1被印刷物5に対して印刷を行う場合、第1シャフト61および第2シャフト62は、支持部材70から取り外される。このことで、支持面51に支持された第1被印刷物5の上には、第1シャフト61および第2シャフト62が配置されずに、インクヘッド44が通過されることになる。なお、本実施形態では、支持部材70は、支持台50の左右両方に配置されているため、第1被印刷物5に対する印刷においてインクヘッド44からのインクの吐出を遮らない。そのため、第1被印刷物5に対する印刷を行う場合には、支持部材70は、プリンタ本体20の支持壁26に固定されたままであってもよい。もちろん、第1被印刷物5への印刷中、支持部材70は、支持壁26から取り外されてもよい。
図4に示すように、摩擦シート80は、支持台50の支持面51に配置されるものであり、支持面51と第2被印刷物6とに挟まれるシートである。摩擦シート80は、摩擦面81を有している。摩擦面81は、摩擦シート80の上面を構成している。摩擦面81に第2被印刷物6が直接載置される。摩擦面81は、支持面51よりも摩擦力が大きい。なお、摩擦シート80を形成する材料は、特に限定されない。ここでは、摩擦シート80は、例えばゴム製である。
本実施形態では、図5に示すように、第2被印刷物6が回転するとき、第1シャフト61および第2シャフト62も第2被印刷物6の回転に連動するように回転する。ここで、第1シャフト61と支持部材70との間の摩擦力は、第1の摩擦力P11である。第2シャフト62と支持部材70との間の摩擦力は、第2の摩擦力P12である。ここでは、第1の摩擦力P11と、第2の摩擦力P12は同じである。しかしながら、第1の摩擦力P11は、第2の摩擦力P12よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
ここでは、第2被印刷物6と支持面51との間の摩擦力は、第3の摩擦力P13である。本実施形態では、第3の摩擦力P13は、第2被印刷物6の外周面と、摩擦シート80の摩擦面81との摩擦力である。第3の摩擦力P13は、第1の摩擦力P11よりも大きい。また、第3の摩擦力P13は、第2の摩擦力P12よりも大きい。
本実施形態では、第2被印刷物6への印刷を行う際には、図3に示すように、第2被印刷物6の中心軸A1が主走査方向Yに延びるように第2被印刷物6を支持面51上に配置する。このとき、第2被印刷物6は、平面視において左支持部材71Lと右支持部材71Rとの間に配置される。また、図4に示すように、第2被印刷物6は、摩擦シート80に直接載置される。
第2被印刷物6が支持面51に支持されている状態で、次に、図5に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62を支持部材70に取り付ける。このとき、第1シャフト61が第2被印刷物6の中心軸A1よりも前側に配置されるように、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rのそれぞれの複数の支持溝73のうちの1つの支持溝73に第1シャフト61を入れ込む。このとき、第1シャフト61は、第2被印刷物6の上部に接触し、第1シャフト61の自重によって第2被印刷物6を押さえ付ける状態になる。また、第1シャフト61は、第2被印刷物6によって持ち上げられた状態になり、第2被印刷物6の大きさに応じて、支持溝73の底から離間した位置で留まっている。
第2シャフト62は、第2被印刷物6の中心軸A1よりも後側に配置されるように、左支持部材71Lおよび右支持部材71Rのそれぞれの複数の支持溝73のうちの1つの支持溝73に第2シャフト62を入れ込む。このとき、第2シャフト62も第2被印刷物6の上部に接触し、第2シャフト62の自重によって第2被印刷物6を押さえ付ける状態になる。また、第2シャフト62も、第2被印刷物6によって持ち上げられた状態になり、第2被印刷物6の大きさに応じて、支持溝73の底から離間した位置で留まっている。このようにして、第1シャフト61および第2シャフト62を配置した後、印刷が開始される。
第2被印刷物6の中心軸A1を中心に第2被印刷物6を回転させる際、まず支持台移動機構55(図4参照)を作動させることで、支持台50が副走査方向Xに移動する。このとき、支持台50と共に、支持面51に支持された第2被印刷物6も副走査方向Xに移動しようとする。しかしながら、第2被印刷物6は、第1シャフト61と第2シャフト62によって副走査方向Xで挟まれた状態になっている。そのため、第2被印刷物6は、第1シャフト61によって前方への移動が規制され、第2シャフト62によって後方への移動が規制される。このように、第2被印刷物6による副走査方向Xへの移動が規制されることで、支持台50の副走査方向Xへの移動に合わせて、第2被印刷物6は、第1シャフト61と第2シャフト62との間で回転する。
図5に示すように、例えば支持台50が矢印A11のように前方に移動すると、支持面51に支持された第2被印刷物6は、右側面視において、矢印A12のように時計回りに回転する。第2被印刷物6の回転に連動して、右側面視において、第1シャフト61は矢印A13のように反時計回りに回転し、第2シャフト62は矢印A14のように反時計回りに回転する。一方、支持台50が矢印A21のように後方に移動すると、支持面51に支持された第2被印刷物6は、右側面視において、矢印A22のように反時計回りに回転する。第2被印刷物6の回転に連動して、右側面視において、第1シャフト61は矢印A23のように時計回りに回転し、第2シャフト62は矢印A24のように時計回りに回転する。
本実施形態では、第2被印刷物6に対して印刷を行うときには、まずインクヘッド44をヘッド移動機構45(図2参照)によって主走査方向Yに移動させている間、インクヘッド44から第2被印刷物6に向かってインクを吐出させて、1ライン分の印刷を行う。この1ライン分の印刷は、第1シャフト61と第2シャフト62との間の第2被印刷物6の部分の上面に対して行われる。すなわち、インクヘッド44は、第1シャフト61と第2シャフト62との間の第2被印刷物6の部分の上面に向かってインクを吐出する。1ライン分の印刷の後、支持台移動機構55を作動させることで、支持台50を副走査方向Xに移動させて、第2被印刷物6を所定の回転量、回転させる。その後、インクヘッド44を主走査方向Yに移動させて次の1ライン分の印刷を第2被印刷物6の上面に行う。このように、1ライン分の印刷と、第2被印刷物6の回転とを繰り返し行うことで、第2被印刷物6に印刷を行うことができる。
以上、本実施形態では、図3および図4に示すように、プリンタ10は、支持台50と、支持台移動機構55と、回転機構60とを備えている。図4に示すように、支持台50は、少なくとも一部の外周形状が円柱状の第2被印刷物6を支持する支持面51を有している。支持台移動機構55は、支持台50を副走査方向Xに移動させる。回転機構60は、支持台50を副走査方向Xに移動させるときに、第2被印刷物6の副走査方向Xへの移動を規制し、支持面51に支持された第2被印刷物6と支持面51との間に摩擦力を発生させて、第2被印刷物6を回転させる。
本実施形態では、支持面51に支持された第2被印刷物6は、支持台50が副走査方向Xに移動しているときに、回転機構60によって副走査方向Xへの移動が規制される。そのため、支持面51と第2被印刷物6との間に摩擦力が発生するため、第2被印刷物6が回転する。よって、特許文献1に開示された印刷装置のように、被印刷物と可動部の自重によって第1回転軸とテーブルとを接触させる構成を利用せずに、支持面51と第2被印刷物6との摩擦力を利用して第2被印刷物6を回転させることができる。したがって、第2被印刷物6の重さに関わらず、第2被印刷物6を回転させて、第2被印刷物6の周面に対して印刷を行うことができる。
また本実施形態では、特許文献1に開示された印刷装置のように、被印刷物および可動部の自重を利用して第1回転軸をテーブルに接触させる構成を利用することなく、支持台50における副走査方向Xへの直線移動の力を、第2被印刷物6の回転の力に変換して、第2被印刷物6を回転させている。すなわち、支持台50を副走査方向Xに移動させる支持台移動機構55の駆動力を利用して、支持台50と第2被印刷物6との間の摩擦力によって、第2被印刷物6を回転させている。そのため、第2被印刷物6を回転させるための専用の駆動源を設ける必要がないため、構成を簡素化することができる。
本実施形態では、図3に示すように、回転機構60は、第1シャフト61と、第2シャフト62と、支持部材70とを備えている。第1シャフト61は、支持面51に支持された第2被印刷物6における副走査方向Xの中間(例えば中心軸A1)よりも副走査方向Xの一方側(ここでは前方側)に配置され、主走査方向Yに延びると共に、第2被印刷物6と前方から接触し、第1シャフト61の自重によって第2被印刷物6と支持面51との間に摩擦力を発生させる。第2シャフト62は、支持面51に支持された第2被印刷物6の中間よりも副走査方向Xの他方側(ここでは後方側)に配置され、主走査方向Yに延びると共に、第2被印刷物6と後方から接触し、第2シャフト62の自重によって第2被印刷物6と支持面51との間に摩擦力を発生させる。支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62の副走査方向Xへの移動を規制するように、第1シャフト61および第2シャフト62を支持する。
このことによって、支持面51に支持された第2被印刷物6の少なくとも一部は、第1シャフト61と第2シャフト62とに挟まれた状態で配置される。このような状態で、支持台50が副走査方向Xに移動すると、支持面51に支持された第2被印刷物6は、第2被印刷物6の重さに関わらず、第1シャフト61と第2シャフト62との自重によって上から押し付けられて、副走査方向Xへの移動が規制されると共に、第1シャフト61と第2シャフト62との間で回転することができる。よって、第2被印刷物6の重さに関わらず、第1シャフト61と第2シャフト62との間で第2被印刷物6を回転させて、第2被印刷物6の周面に対して印刷を行うことができる。
本実施形態では、図5に示すように、支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62の少なくとも一方(ここでは、第1シャフト61および第2シャフト62の両方)を回転可能に支持するように構成されている。このことによって、第2被印刷物6が回転するとき、第2被印刷物6の回転に追従して第1シャフト61および第2シャフト62も回転する。よって、第2被印刷物6と第1シャフト61との間、および、第2被印刷物6と第2シャフト62との間において、第2被印刷物6の回転方向に反する方向に掛かる力を小さくすることができる。したがって、第2被印刷物6を円滑に回転させることができる。
本実施形態では、支持部材70には、上面から下方に延び、第1シャフト61および第2シャフト62のうち何れか一方が上下に摺動可能に入り込む支持溝73が形成されている。このことによって、第1シャフト61および第2シャフト62は、第2被印刷物6によって持ち上がられた状態で、支持溝73において支持溝73の底から浮いて配置される。よって、第1シャフト61および第2シャフト62は、支持溝73によって副走査方向Xの移動が規制されつつ、自重で第2被印刷物6を上から押し付けることができる。
本実施形態では、図5に示すように、支持溝73は、副走査方向Xに沿って支持部材70に3つ以上(ここでは5つ)形成されている。このことによって、第1シャフト61および第2シャフト62を入れ込む支持溝73を、複数の支持溝73a~73eから選択することができる。よって、第1シャフト61および第2シャフト62が入り込む支持溝73の位置に応じて、第1シャフト61と第2シャフト62との間隔を調整することができる。したがって、第2被印刷物6の大きさ(例えば第2被印刷物6の直径)に応じて、第1シャフト61と第2シャフト62との間隔を調整することで、あらゆる大きさの第2被印刷物6を回転させながら印刷することができる。
本実施形態では、図3に示すように、支持部材70は、平面視において支持面51よりも主走査方向Yの一方および他方(ここでは左方および右方)の両方の位置においてプリンタ本体20(詳しくは支持壁26)に固定されている。第1シャフト61および第2シャフト62は、支持部材70に対して着脱可能に構成されている。このことによって、第1被印刷物6を印刷する場合には、図2に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62を支持部材70から取り外して、支持面51に第1被印刷物5を支持させて印刷することができる。また、支持部材70は、支持面51よりも左方および右方に配置されているため、支持部材70をプリンタ本体20に固定させた状態で、第1被印刷物5に対して印刷を行うことができる。
本実施形態では、図4に示すように、回転機構60は、第2被印刷物6と支持面51との間に配置された摩擦シート80を備えている。このことによって、例えば支持面51が滑らかな面であり、支持面51に対して第2被印刷物6が滑って回転し難い場合であっても、支持面51に摩擦シート80を配置し、摩擦シート80を介して第2被印刷物6を支持面51に支持させる。このことで、例えば支持面51が滑らかな面であっても、摩擦シート80によって第2被印刷物6を回転させ易くすることができる。
<他の実施形態>
上記実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト62の両方が、支持部材70に対して回転可能であった。しかしながら、支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62のうち少なくとも一方を回転可能に支持してもよい。支持部材70は、例えば第1シャフト61および第2シャフト62のうち一方のシャフトを回転可能に支持し、他方のシャフトを回転不可能に支持していてもよい。例えば第1シャフト61が支持部材70に対して回転可能に構成され、第2シャフト62が支持部材70に対して回転不可能に構成されているとする。この場合、第2シャフト62と第2被印刷物6との間の摩擦力は、第2被印刷物6と支持面51との間の摩擦力(第3の摩擦力P13(図5参照))よりも小さい。
このことによって、第2被印刷物6が回転するとき、第2シャフト62に対して第2被印刷物6が滑るように回転するため、第2被印刷物6を滑らかに回転させることができる。よって、支持部材70が、第1シャフト61および第2シャフト62のうち一方のシャフトを回転可能に支持し、他方のシャフトを回転不可能に支持している場合であっても、第2被印刷物6を回転させることができる。
また、支持部材70は、第1シャフト61および第2シャフト62の両方を回転不可能に支持してもよい。この場合、回転不可能に支持された第1シャフト61および第2シャフト62と、第2被印刷物6との間のそれぞれの摩擦力は、第2被印刷物6と支持面51との間の摩擦力(第3の摩擦力P13)よりも小さい。このことで、第2被印刷物6が回転するとき、第1シャフト61および第2シャフト62に対して第2被印刷物6が滑るように回転するため、第2被印刷物6を滑らかに回転させることができる。
上記実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト62を支持する支持部材70は、プリンタ本体20に固定され、第1シャフト61および第2シャフト62を第2被印刷物6に接触させた構成であった。さらに、上記実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト62の自重によって第2被印刷物6を支持面51に押さえ付けることで、支持台50の副走査方向Xへの移動の力を、第2被印刷物6の回転の力に変換する構成であった。しかしながら、上記の構成には限定されない。ここでは、支持面51と第2被印刷物6との間に摩擦力を発生させた状態で、支持台50の副走査方向Xへの移動に対して、第2被印刷物6の副走査方向Xへの移動が規制されるとよい。そのため、第1シャフト61および第2シャフト62を第2被印刷物6に接触させる場合のみではなく、第1シャフト61および第2シャフト62を一体構成したもの、例えば枠状の部材に変更してもよい。この場合、枠状の部材をプリンタ本体20に対して、高さ方向Zや副走査方向Xの位置が調整可能な状態で固定し、枠状の部材と第2被印刷物6とを接触させ、枠状の部材の自重によって第2被印刷物6を支持面51に押さえ付ける構成であってもよい。この場合であっても、支持台50が副走査方向Xに移動するときに、枠状の部材が第2被印刷物6の副走査方向Xへの移動を規制し、第2被印刷物6と支持面51との間に発生した摩擦力によって、第2被印刷物6を回転させることができる。