JP2022150598A - 免震建物 - Google Patents

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昭彦 豊嶋
Akihiko Toyoshima
和夫 谷地畝
Kazuo Yachise
慎介 稲井
Shinsuke Inai
匠 中村
Takumi Nakamura
琢志 石田
Takushi Ishida
将紀 得能
Masaki Tokuno
貴博 柿沼
Takahiro Kakinuma
宏之 小阪
Hiroyuki Kosaka
純也 丸尾
Junya Maruo
一馬 吉江
Kazuma Yoshie
貴博 渡邉
Takahiro Watanabe
直樹 加藤
Naoki Kato
基規 三須
Motoki Misu
将太 川嶋
Shota Kawashima
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SWCC Corp
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Abstract

【課題】本発明は、浸水深さが免震機構22の高さを超えても、免震機構22への浸水を防ぐことができ、かつ、単純な構成により施工が容易な免震建物1を提供する。【解決手段】本発明に係る免震建物1は、基礎構造20から上方へ向かって延びる複数の下部止水壁24と、上部構造10から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁16と、を備える。下部止水壁24のそれぞれは、平面視で一つの免震機構22を囲み、かつ、上部構造10に対し間隔を隔てた位置に上端縁240を有する。上部止水壁16のそれぞれは、平面視で一つの下部止水壁24を囲み、かつ、上端縁240よりも低い位置に下端縁160を有する。上部構造10は、上部止水壁16の内側であって上端縁240よりも高い領域を気密に保持するように構成される。【選択図】図2

Description

本発明は、基礎構造と上部構造との間に免震機構を備えた免震建物に関する。
免震建物は、基礎構造と、基礎構造の上に配置された免震機構と、免震機構に支持された上部構造とを含み、免震機構によって地震等の水平方向の揺れが上部構造に伝わることを抑制する。
一般に、免震建物は、上部構造の側面と擁壁との間に上部構造の水平移動を許容するクリアランスが設けられている。そして、免震装置として積層ゴムを設置する免震ピットには排水設備が備えられ、水が入り込まないあるいは水がたまらない構造になっている。
ところが近年、異常気象にともなう浸水被害や土砂災害などが後を絶たず、たとえ排水設備を備えた免震ピットでも、工事中や供用開始後に豪雨や川の氾濫による水没や、土砂災害などによる土砂の埋設などにより水や土が浸入する恐れがある。
免震機構の防水構造としては、積層ゴム本体の外周を覆うように着脱可能に設けられる防水シートからなる防水被覆部等が提案されている(特許文献1)。
特開2018-71705号公報
しかしながら、特許文献1の発明は、特殊形状の防水シートからなる防水被覆部及び発泡プラスチック製のクッション材を免震機構の形状に合わせて製作する必要があり、未だに実用化されていない。
そこで、本発明は、浸水深さが免震機構の高さを超えても、免震機構への浸水を防ぐことができ、かつ、単純な構成により施工が容易な免震建物を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[1]本発明に係る免震建物の一態様は、
基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
前記基礎構造から上方へ向かって延びる複数の下部止水壁と、
前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁と、
を備え、
前記下部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記免震機構を囲み、かつ、前記上部構造に対し間隔を隔てた位置に上端縁を有し、
前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記下部止水壁を囲み、かつ、前記上端縁よりも低い位置に下端縁を有し、
前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記上端縁よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする。
[2]上記免震建物の一態様において、
前記下部止水壁は、前記基礎構造と一体に形成された鉄筋コンクリート造であり、
前記上部止水壁は、前記上部構造と一体に形成された鉄筋コンクリート造であることができる。
[3]上記免震建物の一態様において、
前記免震機構は、積層ゴム、すべり支承及び転がり支承の少なくともいずれか一つを含むことができる。
[4]本発明に係る免震建物の一態様は、
基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁と、
前記基礎構造の一部であって上方へ向かって延びる鉄筋コンクリート造の複数の下部フーチングと、
を備え、
前記免震機構のそれぞれは、前記下部フーチングの上に配置され、
前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記下部フーチングを囲み、かつ、前記下部フーチングの上端よりも低い位置に下端縁を有し、
前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記上端よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする。
[5]本発明に係る免震建物の一態様は、
基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁を備え、
前記免震機構は、水平方向における相対移動を可能とする相対移動部を有するすべり支承または転がり支承であり、
前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記相対移動部を囲み、かつ、前記相対移動部の下端よりも低い位置に下端縁を有し、
前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記下端よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする。
本発明に係る免震建物の一態様によれば、基礎構造と上部構造との間に浸水しても免震機構へ浸水することを防止できる。また、本発明に係る免震建物の一態様によれば、免震機構の周りに設けられる単純な構成により施工が容易である。
本実施形態に係る免震建物の正面図である。 本実施形態に係る免震建物の部分拡大断面図である。 図2におけるA-A断面図である。 地震時の免震建物の部分拡大図である。 免震ピットが冠水した状態を示す免震建物の部分拡大断面図である。 変形例1に係る免震建物の部分拡大図である。 変形例2に係る免震建物の部分拡大図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない
本実施形態に係る免震建物の一態様は、基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、前記基礎構造から上方へ向かって延びる複数の下部止水壁と、前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁と、を備え、前記下部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記免震機構を囲み、かつ、前記上部構造に対し間隔を隔てた位置に上端縁を有し、前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記下部止水壁を囲み、かつ、前記上端縁よりも低い位置に下端縁を有し、前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記上端縁よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする。
1.免震建物の概要
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る免震建物1について説明する。図1は、本実施形態に係る免震建物1の正面図である。なお、図1は、基礎構造20を断面で示す。
図1に示すように、免震建物1は、基礎構造20と、基礎構造20の上方にある上部構造10と、基礎構造20と上部構造10との間に複数の免震機構22と、を備える。免震建物1における基礎構造20と上部構造10との間の空間は、免震ピット30である。
上部構造10は、下端が免震機構22に支持された例えば地上6階建ての鉄骨構造の構造躯体を有する。上部構造10は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等であってもよい。上部構造10は、2階建て以上であることができ、特に高層ビルに適用可能である。上部構造10の外周面が側面12である。上部構造10は、免震層の直上層である1Fの下面14がフーチングを介して免震機構22に支持される。
基礎構造20は、上部構造10の下方にあって、地盤上に構築された構造物である。基礎構造20は、免震機構22を介して上部構造10の荷重を地盤に伝える。基礎構造20の下方には、例えば図示しない複数の杭を設けてもよいし、安定した地盤であれば基礎構造20を地盤上に直接構築してもよい。基礎構造20を構成する例えば梁及びスラブは、鉄筋コンクリート造である。基礎構造20のスラブ上に鉄筋コンクリート造のフーチングを介して免震機構22が固定される。基礎構造20の外周縁には上方へ向かって擁壁23が立ち上がり、擁壁23は擁壁23の外側にある土砂が免震ピット30内へ流入することを防止する。
擁壁23は、基礎構造20の一部であり、基礎構造20のスラブと一体に形成される。擁壁23は、鉄筋コンクリート造である。擁壁23は、上部構造10の側面12に対して少なくとも所定の間隔を隔てて形成される。擁壁23と側面12との第2間隔L2は、基礎構造20に対して上部構造10の水平方向Xへの移動が許容される距離であり、免震建物1において想定される地震に応じて設定される。
免震機構22は、免震建物1に対して複数設けられる。複数の免震機構22は、免震ピット30内の複数個所に相互に間隔を空けて設置される。免震機構22は、基礎構造20の上に下部フーチングを介して固定される。免震機構22は、上部構造10を支え、上部構造10に伝わる地震等の水平方向Xの揺れを低減させ、かつ、上部構造10の相対位置の変化を元に戻す力を付与する機構であり、いわゆるアイソレータである。免震機構22は、積層ゴム、すべり支承及び転がり支承の少なくともいずれか一つを含む。本実施形態では免震機構22は上端と下端がそれぞれ上部構造10と基礎構造20に固定された積層ゴムを用いた例について説明するが、特に、免震機構22は、水による影響が大きいと考えられるすべり支承であることができる。免震機構22は、減衰を付与するダンパーをさらに備えてもよい。
免震ピット30は、上部構造10、基礎構造20及び擁壁23に囲まれた空間である。本実施形態では免震ピット30が地下にある場合について説明するが、免震ピット30が地上にあってもよい。免震建物1が例えば倉庫である場合にはトラックバースの高さが1階の床スラブになるので、免震ピット30が地表とほぼ同じ高さに設けられる。その場合には、擁壁23の代わりに免震ピット30内を保護する保護壁を設けることができる。
免震ピット30は、擁壁23と側面12との間隔により外部と連通する。そのため、近年増えている大雨による河川氾濫で洪水が発生した場合に、この間隔から免震ピット30内へ水の浸入を許容する。免震ピット30が地表付近にある場合には、免震ピット30の周囲に低い壁を設けることで水の浸入を防ぐこともあるが、この低い壁を超える洪水であれば免震ピット30内へ水が浸入する。免震ピット30への水の浸入は、免震機構22の機能に影響を及ぼす恐れがある。例えば、すべり支承は冠水時にはその性能を発揮できなくなる可能性がある。また、水による免震機構22の劣化や変質の可能性もある。免震機構22への悪影響を考慮すれば、免震ピット30への水の浸入を防ぐことが望ましいが、少なくとも免震機構22への水のアクセスを防止することが望ましい。
そこで、本発明は、免震機構22ごとに止水壁を設けることで免震機構22への浸水を防止する。以下、止水壁について詳細に説明する。
2.止水壁
図1~図5を用いて、止水壁について説明する。図2は、本実施形態に係る免震建物1の部分拡大断面図であり、図3は、図2におけるA-A断面図であり、図4は地震時の免震建物1の部分拡大図であり、図5は、免震ピット30が冠水した状態を示す免震建物1の部分拡大断面図である。図5において、水32は網掛けで示す。
図1に示すように、免震建物1は、免震ピット30内に免震機構22の数に合わせて基礎構造20から上方へ向かって延びる複数の下部止水壁24と、上部構造10から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁16と、を備える。なお、免震建物1に設置された全ての免震機構22に下部止水壁24と上部止水壁16を設けなくてもよく、例えば浸水によって機能が低下しにくい種類の免震機構の周りには下部止水壁24と上部止水壁16を設けなくてもよい。
図2及び図3に示すように、下部止水壁24のそれぞれは、平面視(図3)で一つの免震機構22を囲み、かつ、上部構造10に対し間隔を隔てた位置に上端縁240を有する。本実施形態では下部止水壁24を平面視で四角形にしたが、これに限らず、免震ピット30の形状等に応じて例えば円形であってもよい。下部止水壁24の下端は基礎構造20の上面に接続する。下部止水壁24は、基礎構造20と一体に形成され、少なくとも水嵩が下部止水壁24の高さを超えるまで下部止水壁24の外側から内側へ水が浸み込むことを防止する。また、上端縁240が上部構造10に対して間隔を有することにより、免震機構22の機能すなわち基礎構造20に対する上部構造10の水平移動を阻害しない。
下部止水壁24は、基礎構造20の上面から一定の第1高さH1を有し、上端縁240は第1高さH1に沿って存在する。上端縁240は、後述する上部止水壁16との関係による所定の第1高さH1を有していれば、一定の高さでなくてもよい。
下部止水壁24は、全体に略同程度の厚さを有する。下部止水壁24の材質及び厚さは、防水性と免震ピット30が冠水した状態における水圧に耐えうる強度に基づいて設定される。下部止水壁24は、作業員が下部止水壁24の内側にアクセスするための開口と防水扉を備えていてもよい。
下部止水壁24は、例えば基礎構造20と一体に形成された鉄筋コンクリート造である。鉄筋コンクリート造の下部止水壁24は、基礎構造20のスラブと同時に構築することができるので、施工が容易である。また、鉄筋コンクリート造の下部止水壁24は、従来のような特殊な製品に頼ることなく現場施工が可能であり、低コストを実現できる。また、下部止水壁24は、例えば基礎構造20に固定された鉄板により形成してもよい。その場合、4枚の鉄板の端部同士を溶接して図3のような四角形の枠体に組み立てることにより実現でき、下部止水壁24が円環状であれば鋼管を利用してもよい。
上部止水壁16のそれぞれは、平面視(図3)で一つの下部止水壁24を囲み、かつ、下部止水壁24の上端縁240よりも低い位置に下端縁160を有する。上部止水壁16の平面視の外形は、下部止水壁24の外形に合わせて施工されることが好ましい。本実施形態では上部止水壁16は平面視で四角形であるが、例えば円形であってもよい。上部止水壁16の上端は、上部構造10の下面14に接続する。上部止水壁16は、上部構造10の下端にある床スラブ140と一体に形成される。
上部構造10は、上部止水壁16の内側であって上端縁240(第1高さH1)よりも高い領域を気密に保持するように構成される。上部構造10が気密に保持する領域は、上部止水壁16の内側であって、少なくとも上端縁240よりも高い領域であり、空気の圧縮による体積変化や水面の波等を考慮すれば下端縁160(第2高さH2)よりも高い領域であることが好ましい。上部構造10がこの領域を気密に保持することで、免震ピット30が浸水しても上部止水壁16の内側に内包される空気の圧力により少なくとも上端縁240を水が超えることを防止できる。具体的な構成としては、上部止水壁16は、その下端縁160より下における通気を除いて、上部止水壁16の内側から外側への空気の移動を妨げ、かつ、外側から内側への水の浸入も防止する。床スラブ140は、上部止水壁16の内側から床スラブ140の上への空気の移動を妨げる。上部止水壁16と床スラブ140との接続部分も同様に上部止水壁16の内側から外側への空気の移動を妨げる。この領域の気密の程度は、下端縁160まで水面が上昇する浸水時において、水が上端縁240を超えない程度に上部止水壁16の内側の空気の圧力を保持可能であればよい。なお、例えば浸水時に密閉できるのであれば、通常時に通気可能な開口部が上部止水壁16の内側に存在してもよい。下端縁160が上端縁240よりも低い位置にあることにより、免震ピット30が上端縁240を超える高さまで浸水しても水が上端縁240を超えない。下端縁160と上端縁240との高さの関係は、上部止水壁16に内包される空気の圧力により決定でき、免震ピット30が上端縁240を超える高さまで浸水しても水が上端縁240を超えない程度に下端縁160の高さが上端縁240よりも低い位置に設定される。
上部止水壁16の下端縁160は、基礎構造20と接触しない。下端縁160が基礎構造20の上面との間に間隔を有することにより、免震機構22の機能を阻害しない。上部止水壁16は、基礎構造20の上面から一定の第2高さH2の間隔を有する。ここで基礎構造20の上面は、免震機構22が設置された下部フーチングよりも低い位置にある例えばマットスラブの上面である。下端縁160は、第2高さH2よりも高くなければ一定の高さに形成されなくてもよい。第2高さH2は、第1高さH1よりも基礎構造20の上面からの高さが高い。そのため、図2に示すように下部止水壁24は、上部止水壁16と第1高さH1と第2高さH2との差分だけ高さ方向Yにおいて重複する。第2高さH2は、免震ピット30が冠水した状態でも上部止水壁16の内側の空気圧によって水が下部止水壁24を超えない程度に設定される。
上部止水壁16は、例えば上部構造10と一体に形成された鉄筋コンクリート造である。鉄筋コンクリート造の上部止水壁16は、床スラブ140と同時に構築することができ
るので、施工が容易である。また、鉄筋コンクリート造の上部止水壁16は、従来のような特殊な製品に頼ることなく現場施工が可能であり、低コストを実現できる。また、上部止水壁16は、例えば上部構造10に固定された鉄板により形成してもよい。その場合、4枚の鉄板の端部同士を溶接して図3のような四角形の枠体に組み立てることにより実現でき、上部止水壁16が円環状であれば鋼管を利用してもよい。
下部止水壁24の外側面と上部止水壁16の内側面との間は、所定の第1間隔L1を有する。第1間隔L1は、地震が発生する前の基準位置における下部止水壁24の外側面と上部止水壁16の内側面との水平方向X,Zにおける間隔である。第1間隔L1は、擁壁23と側面12との第2間隔L2(図1)と少なくとも同じ距離であることが好ましい。免震機構22による水平移動を下部止水壁24と上部止水壁16により妨げないためである。
図4に示すように、地震により水平方向X(図の左側)に基礎構造20が水平移動しても移動距離が第1間隔L1未満であれば下部止水壁24が上部止水壁16に衝突しない。また、第1間隔L1が第2間隔L2よりも大きい場合には、下部止水壁24が上部止水壁16に衝突する前に上部構造10の側面12が擁壁23に衝突するため、下部止水壁24及び上部止水壁16が破損するのを防止できる。
図5に示すように、免震建物1によれば、例えば洪水により河川から免震ピット30内に水32が侵入し、基礎構造20と上部構造10との間が浸水しても下部止水壁24を超えて免震機構22へ浸水することを防止できる。図5では免震ピット30が冠水しているが、下部止水壁24の内側へは水が入り込んでいない。水32は、上部止水壁16の内側と下部止水壁24の外側との間に入り込んで水面が第2高さH2を超えているが、上部止水壁16の内側の空気圧により水32の上昇を妨げ水面は第1高さH1には達しない。
免震建物1によれば、免震機構22の周りに設けられる2つの壁である、上部止水壁16と下部止水壁24という単純な構成を設けるだけであるため、施工が容易である。
3.変形例1
図6を用いて変形例1に係る免震建物1aについて説明する。図6は、変形例1に係る免震建物1aの部分拡大図である。なお、図2と同じ構成については、説明を省略する。
図6に示す免震建物1aは、基礎構造20と上部構造10との間に複数の免震機構220を備える。免震建物1aは、上部構造10から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁16aと、基礎構造20の一部であって上方へ向かって延びる鉄筋コンクリート造の複数の下部フーチング200と、を備える。
下部フーチング200は、基礎構造20の例えばコンクリート造のマットスラブより高く突出して形成され、免震機構220を設置する台座として機能する。免震機構220のそれぞれは、下部フーチング200の上に配置される。下部フーチング200に対向する上部構造10側には下面14から下方へ向かって突出する鉄筋コンクリート造の上部フーチング100が形成され、免震機構220が上部フーチング100と下部フーチング200との間に挟まれて配置される。
免震機構220は、上述の実施形態の免震機構22と同様に積層ゴムであってもよいが、本例では弾性すべり支承を用いた例について説明する。弾性すべり支承は、下部フーチング200の上面に固定されたすべり板222と、すべり板222の上に相対移動部223を介して設置された積層ゴム部224と、を備える。積層ゴム部224は上部フーチング100の下面に固定される。相対移動部223は、すべり板222の上面と積層ゴム部
224の下面とで構成され、双方の面には低摩擦係数を実現させる又は摩擦係数を低減させる例えばフッ素樹脂がコーティングされる。相対移動部223は、下側の部材と上側の部材とが水平方向X,Zに相対移動可能に構成される。免震機構220が転がり支承の場合には、相対移動部223がボールベアリングと転がり面で構成され、例えばリニアガイドとなる。
上部止水壁16aのそれぞれは、平面視で一つの下部フーチング200を囲み、かつ、下部フーチング200の上端よりも低い位置に下端縁160を有し、上部構造10は、上部止水壁16aの内側であって下部フーチング200の上端よりも高い領域を気密に保持する。上部構造10が気密に保持する領域は、上部止水壁16の内側であって、少なくとも下部フーチング200の上端よりも高い領域であり、空気の圧縮による体積変化や水面の波等を考慮すれば下端縁160よりも高い領域であることが好ましい。上部構造10がこの領域を気密に保持することで、免震ピット30が浸水しても上部止水壁16の内側に内包される空気の圧力により少なくとも下部フーチング200の上端を水が超えることを防止できる。そして、下部フーチング200の上端よりも低い位置に下端縁160があることにより、免震ピット30が浸水しても下部フーチング200の上にある免震機構220まで水が届かない。下端縁160の基礎構造20からの第2高さH2は、相対移動部223の基礎構造20からの第3高さH3よりも低い位置に設定され、かつ、上部止水壁16aに内包される空気の圧力により免震ピット30が下端縁160(第2高さH2)を超える高さまで浸水しても水が下部フーチング200の上まで届かない程度の位置に設定される。すべり支承や転がり支承においては特に相対移動部223の浸水を防止することが望ましいので、少なくとも相対移動部223が水に接しない高さに下端縁160が設定されることが好ましい。
上部止水壁16aは、上述の実施形態と同様に鉄筋コンクリート造であってもよいが、本例では上部フーチング100の側面に固定された鉄板で構成される。上部止水壁16aは、上部フーチング100が平面視で矩形状であれば4枚の鉄板の隣接する端部を溶接で固定して枠体に形成される。上部止水壁16aが円環状である場合には、上部止水壁16aは鋼管により構成してもよい。上部止水壁16aと下部フーチング200の側面との第3間隔L3は、擁壁23と側面12との第2間隔L2(図1)と同じ距離であるか、またはそれより長い距離であることが好ましい。
4.変形例2
図7を用いて変形例2に係る免震建物1bについて説明する。図7は、変形例2に係る免震建物1bの部分拡大図である。なお、図2及び図6と同じ構成については、説明を省略する。
図7に示す免震建物1bは、基礎構造20と上部構造10との間に複数の免震機構221を備える。免震建物1bは、上部構造10から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁16bを備える。
免震機構221のそれぞれは、下部フーチング200の上に配置される。免震機構221は、水平方向X,Zにおける相対移動を可能とする相対移動部223を有するすべり支承または転がり支承であり、本例では弾性すべり支承を用いた例について説明する。弾性すべり支承は、下部フーチング200の上面に固定された積層ゴム部224と、積層ゴム部224の上に相対移動部223を介して設置されたすべり板222と、を備える。すべり板222は上部フーチング100の下面に固定される。相対移動部223は、すべり板222の下面と積層ゴム部224の上面とで構成される。相対移動部223は、下側の部材と上側の部材とが水平方向X,Zに相対移動可能に構成される。免震機構221が転がり支承の場合には、相対移動部223がボールベアリングと転がり面で構成され、例えば
リニアガイドとなる。
上部止水壁16bのそれぞれは、平面視で一つの相対移動部223を囲み、かつ、相対移動部223の下端よりも低い位置に下端縁160を有し、上部構造10は、上部止水壁16bの内側であって相対移動部223の下端よりも高い領域を気密に保持する。上部構造10が気密に保持する領域は、上部止水壁16の内側であって、少なくとも相対移動部223の下端よりも高い領域であり、空気の圧縮による体積変化や水面の波等を考慮すれば下端縁160よりも高い領域であることが好ましい。上部構造10がこの領域を気密に保持することで、免震ピット30が浸水しても上部止水壁16の内側に内包される空気の圧力により少なくとも相対移動部223の下端を水が超えることを防止できる。本例では免震ピット30が浸水すると免震機構221の一部まで浸水することになるが、少なくとも相対移動部223が浸水しなければアイソレータとしての機能を発揮できる。そのため、相対移動部223が浸水しない高さまで上部止水壁16bが設けられる。下端縁160の基礎構造20からの第2高さH2は、相対移動部223の基礎構造20からの第3高さH3よりも低い位置に設定され、かつ、上部止水壁16bに内包される空気の圧力により免震ピット30が下部フーチング200を超える高さまで浸水しても水が相対移動部223まで届かない程度の位置に設定される。
上部止水壁16bと積層ゴム部224の側面との第4間隔L4は、擁壁23と側面12との第2間隔L2(図1)と同じ距離であるか、またはそれより長い距離であることが好ましい。
上記実施形態に係る免震建物1及び変形例に係る免震建物1a,1bは、既存の免震機構22,220,221を有する建物であってもよい。その場合には、上部止水壁16,16a,16b及び下部止水壁24を既存の免震機構22,220,221の周囲に後施工することで構築する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1,1a,1b…免震建物、10…上部構造、100…上部フーチング、12…側面、14…下面、140…床スラブ、16,16a,16b…上部止水壁、160…下端縁、20…基礎構造、22,220,221…免震機構、222…すべり板、223…相対移動部、224…積層ゴム部、23…擁壁、24…下部止水壁、240…上端縁、30…免震ピット、32…水、L1…第1間隔、L2…第2間隔、L3…第3間隔、L4…第4間隔、H1…第1高さ、H2…第2高さ、H3…第3高さ、X,Z…水平方向、Y…高さ方向

Claims (5)

  1. 基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
    前記基礎構造から上方へ向かって延びる複数の下部止水壁と、
    前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁と、
    を備え、
    前記下部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記免震機構を囲み、かつ、前記上部構造に対し間隔を隔てた位置に上端縁を有し、
    前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記下部止水壁を囲み、かつ、前記上端縁よりも低い位置に下端縁を有し、
    前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記上端縁よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする、免震建物。
  2. 請求項1において、
    前記下部止水壁は、前記基礎構造と一体に形成された鉄筋コンクリート造であり、
    前記上部止水壁は、前記上部構造と一体に形成された鉄筋コンクリート造であることを特徴とする、免震建物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記免震機構は、積層ゴム、すべり支承及び転がり支承の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする、免震建物。
  4. 基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
    前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁と、
    前記基礎構造の一部であって上方へ向かって延びる鉄筋コンクリート造の複数の下部フーチングと、
    を備え、
    前記免震機構のそれぞれは、前記下部フーチングの上に配置され、
    前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記下部フーチングを囲み、かつ、前記下部フーチングの上端よりも低い位置に下端縁を有し、
    前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記上端よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする、免震建物。
  5. 基礎構造と上部構造との間に複数の免震機構を備えた免震建物であって、
    前記上部構造から下方へ向かって延びる複数の上部止水壁を備え、
    前記免震機構は、水平方向における相対移動を可能とする相対移動部を有するすべり支承または転がり支承であり、
    前記上部止水壁のそれぞれは、平面視で一つの前記相対移動部を囲み、かつ、前記相対移動部の下端よりも低い位置に下端縁を有し、
    前記上部構造は、前記上部止水壁の内側であって前記下端よりも高い領域を気密に保持するように構成されることを特徴とする、免震建物。
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