JP5362298B2 - 地下構造体、ユニット式建物、地下室の施工方法 - Google Patents
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Description
この発明によれば、地下躯体の内側に配置した床パネル50および壁パネル51を互いに止水連結材を介して連結したことで、これらのパネルで囲まれた地下空間に対する止水性能を確保することができるとともに、各パネルの組み立てによって地下構造体が構築できるので、施工効率を向上させることができる。さらに、床パネル50および壁パネル51で下方および側方が密閉された箱状の地下構造体と、地下躯体の底版あるいは立上り壁22との間に底部止水材23Bを設けたことで、地下躯体内部に水が浸入したとしても、この水が床パネルの下側に入り込むことが防止でき、地下構造体に浮力が作用するなどの影響を受けないようにすることができる。
この構成によれば、地下室の内部空間側からボルト接合の連結作業を実施することで、作業性が良好にできるとともに、地下躯体と床パネル50や壁パネル51との間に作業用の空間を設ける必要がないことから、地下躯体内部の空間を有効に利用して地下室を設置することができる。
この構成によれば、床仕上げ材や壁仕上げ材により二重構造とすることで、断熱性や防湿性を高めることができ、地下室の居住性を良好にすることができる。さらに、床パネル50および壁パネル51の連結位置に取付部材を設け、この取付部材で下地材を支持することで、床パネル50や壁パネル51のパネル本体部(面状の部分)を貫通したり取付部を設けたりする必要がなく、パネル自体の止水性能を損ねることなく下地材を支持することができる。
この構成によれば、壁パネル51の倒れを防止して地下構造体の設置状態を安定させることができる。さらに、床パネル50および壁パネル51を組み立てて地下構造体を構築した後に、地上位置において上方から連結作業が実施できるので、作業スペースを確保しつつ良好な作業姿勢で作業することができ、作業効率をさらに向上させることができる。
この構成によれば、天井パネルによって上方が閉じた地下空間が形成でき、地下室の止水性能をさらに向上させることができるとともに、天井開口3を通じて地下室と地上の居室等とを連通させることで、地下室への出入り口が確保できる。そして、上部建物がユニット式建物の場合には、建物ユニットの床に床開口を形成しておき、天井開口3と連通させることで、地上空間との接続工事が容易に完了できる。
この発明によれば、前述と同様に、地下室の止水性能を向上させつつ、建物の施工効率を高めることができ、工期短縮および施工コストの低減を図ることができる。
この発明によれば、壁パネル51の設置前に床パネル50の外周端縁と地下躯体との間に底部止水材23Bを施工することで、壁パネル51の設置後では施工困難な底部止水材23Bを容易に施工することができ、良好な施工性で確実な止水工事を実施することができる。
図1は、本発明の実施形態である地下構造体を簡略化して示す断面図である。図2は基礎構造を示す縦断面図である。図3は、コーナー部分における壁パネルと壁パネルとの接合部分の拡大図である。図4は、壁パネルと下地材との取付部分の横断面図である。
また、一方の長辺下梁と他方の長辺下梁との間には、短辺下梁45の短辺方向に平行になるように、床小梁45Aが複数、所定の間隙を有して設けられている。さらに、一方の長辺上梁と他方の長辺上梁との間には、短辺上梁の短辺方向に平行になるように、天井小梁が複数、所定の間隙を有して設けられている。
地下室5Aの底面側のコーナーには、下方地盤からの浸水を防ぐための浸水防止材23Aが配置されている。この浸水防止材23Aの内側に床パネル50が配置され、この床パネル50に壁パネル51とが立設され、これらのパネル50、51が連結部材51Cで連結されている。壁パネル51の上端には連結部材51Cを介して天井パネルが配置されている。さらに壁パネル51の内側に内壁パネル53Cが配置されており、この内壁パネル53C同士は取付部7を介してそれぞれ連結されている。
また、床パネル50と床パネル50とはパネル平面対してそれぞれ垂直に設けられているそれぞれの立接面65の間に、止水効果のあるパッキン66を挟み、両端をボルト67およびナット68で固定することにより連結されている。
床パネル50の上面には、略平板形状の防蟻シート51Aが床パネル50に沿って設けられ、防蟻シート51Aの上面には、床パネル51Bと下地材52を水平に支持するための支持材51Dが設けられている。この床パネル51Bと、下地材52との端部にはそれぞれ内壁パネル53Cと、下地材53とがそれぞれ立接している。
立上り壁22の上端部には、建物ユニット4の底面が跨るように配設されている。具体的には、建物ユニット4の長辺下梁および短辺下梁45が立上り壁22の上に配置されている。
そして、2本の短辺下梁45のうち一方の外側面には、外壁材46Aが鉛直方向に延びて設けられている。外壁材46Aの内側には、外壁材46Aに沿って、内壁パネル46Bが設けられている。内壁パネル46Bは、床パネル45Cの端部にて支持されている。なお、短辺下梁45と床小梁45Aとの間、床小梁45Aと他の床小梁45Aとの間、および外壁材46Aと内壁パネル46Bとの間には、それぞれ断熱材が設けられている。
壁パネル51と下地材53とは、取付部7を介して連結されている。この取付部7は、左右対称の取付用の部材71と、取付用の部材71をそれぞれ下地材53に固定するためのビス72と、取付用の部材71を壁パネル51に固定するためのボルト73と、このボルトを固定するためのナット74およびワッシャ75と、壁パネル51および壁パネル51の間に挟まれているパッキン76で構成されている。
複数の天井パネル55は、それぞれの床パネルと同様の構造でありかつ建物ユニット4の床パネル45Cに対向して配置されている。隣り合う天井パネル55同士は連結部51Eで連結されている。天井パネル55と壁パネル51は連結部55Aで連結されている。
連結部55Aは、断面コ字状のコ字版81を介して立上り壁22、壁パネル51、および天井パネル55を連結させている。コ字板81と、壁パネル51および天井パネル55の間にはパッキン82が配置される。そして、コ字板81、パッキン82、壁パネル51、および天井パネル55を固定するために3箇所が固定される。なお、溜まった雨水等は、図示されない排水口から排水される。
現場において、深基礎2および浅基礎のコンクリートを打設する際には、まず、適宜配筋をしてから深基礎2の底版21のコンクリートを打設し、底版21の端部には、浸水防止材23Aを取り付ける。そして、底版21の端部に立ち上がるように、立上り壁22のコンクリートを打設する。このような手順でコンクリートを打設することで、立上り壁22の下端縁と底版21の上面との間には、打継ぎ23が形成される。打継ぎ23の内部には浸水防止材23Aが位置する。この打継ぎ23を覆うように、立上り壁22の外側面沿ってアスファルトシート24Aを連続して貼り付ける。
さらに、収納空間5内部、特にパネル接合の施工方法について説明する。底版21の上にそれぞれ床パネル50を配置し床パネル50同士を連結するための連結部51Eを介して連結する。さらに、底部止水材23Bを床パネル50と立上り壁22の間に配置し、さらに、底部止水材23Bと床パネル50との間にアングル材23C配置する。次に、床パネル50と壁パネル51を連結部材51Cを介して連結させ、さらに、壁パネル51設置後、コ字板81を立上り壁22に固定する。ここでコ字板81とボルト83はあらかじめ溶接されていることにより、天井パネル55を載置後、内側からナット84を締めることにより組み立てることができる。
床パネル50と壁パネル51との入り隅部分の施工について説明する。ここで用いられているL字板62とボルト63はあらかじめ溶接されていることにより内側からナット64を締めることにより組み立てることができる。また、建物ユニット4側の入り隅部分についても同様に施工することができる。また床パネル50と床パネル50との接合はそれぞれの立接面65の間にパッキン66を挟み、両側からボルト67およびナット68で締めることにより施工される。
次に、壁パネル51と壁パネル51のコーナー部分の施工方法について説明する。ここで用いられているボルト54CとL字板54Bはあらかじめ溶接されている。このL字板54Bと内壁パネル53Cとの間にパッキン54Aを挟む。内壁パネル53Cの収納空間5の内側方向からはワッシャ54Eを挟みこみナット54Dで内側から締めることにより施工する。
(1)壁パネル51の外周縁、底版21、および立上り壁22の下端部に底部止水材23Bを設けたから、立上り壁22と壁パネル51の間に雨水等が溜まっても、底部止水材23Bにより床パネル50の下に浸水することが防止できる。また、底部止水材23Bが上部に開口したコ字状の形状をしていることから床パネル50だけでなく、コンクリートの部分に対しても防水効果が高い。
さらに、底部止水材23Bは、折り曲げ可能なシート状であることから、壁パネル51と立上り壁22との間の施工寸法が設計寸法とずれていても、柔軟に対応することができる。
また、打継ぎ23を覆うように、底版21の外端面と立上り壁22の外側面とにアスファルトシート24Aを連続して張り付けるので、打継ぎ23部分からの浸水を確実に防止することができる。また、アスファルトシート24Aは、シート形状なので、立上り壁22の外側面および底版21の外端面の沿って容易に貼り付けられる。
また、深基礎2の構造により収納空間5が得られるから、敷地面積が限られた敷地の中で、土地を有効活用できるとともに建物の内部空間の居室などを広く確保することができる。
例えば、打継ぎ23の中央部分には、浸水防止材23Aを設ける構成を示したが、浸水防止材23Aの代わりに、塗布防水を施してもよい。また、浸水防止材23Aとともに、塗布防水を施してもよい。
さらに、底版21の上面と立上り壁22の下端縁との間に打継ぎ23が設けられる構成を示したが、例えば、打継ぎを設けることなく、底版21および立上り壁22を一体にコンクリート打ちにしてもよい。この場合、打継ぎが設けられないので、さらに止水性が向上する。
そして、収納空間5の高さは、1.4m程度に設定されている構成を示したが、これに限らず、空間高さが1.4mよりも大きく設けられていてもよい。この場合、空間高さが1.4m以上であると居住部として利用することも可能となる。
また、底版21の厚さ寸法は、20cm以上である構成を示したが、これに限らず、例えば、20cm未満でもよい。この場合、底版21上に適宜、アスファルトシートを設けてもよい。
さらに、建物自体はユニット式建物に限定されるものではなく、例えば在来工法や、パネル工法により施工される建物でもよい。また、壁パネル51に適宜防蟻シートを貼り付けてもよい。
さらに、底部止水材23Bは、本実施形態では断面コ字状のシートであるが、例えば角柱状のものでもよい。要するに床パネル50に雨水等が浸入しない構造であれば、その形状、材質は問わない。
Claims (7)
- 底版および立上り壁を有して地中に構築された地下躯体の内側に設けられる地下構造体であって、
前記底版の上側に設けられる複数の床パネルと、前記立上り壁の内側面に沿って設けられる複数の壁パネルとを備え、前記複数の床パネル同士、前記複数の壁パネル同士、および前記床パネルの外周縁と前記壁パネルの下端縁とが、互いに止水連結材を介して連結され、
前記壁パネルの下端縁と前記立上り壁の下端部との間には、シートを折り曲げて形成され上方に開口された断面コ字状の底部止水材が設けられていることを特徴とする地下構造体。 - 請求項1に記載の地下構造体において、
前記床パネル同士、前記壁パネル同士、および前記床パネルと前記壁パネルの下端縁とは、当該地下室の内部空間側からボルト接合で連結されていることを特徴とする地下構造体。 - 請求項1または請求項2に記載の地下構造体において、
前記床パネルの上側には、下地材を介して床仕上げ材が設けられ、前記壁パネルの内側には、下地材を介して壁仕上げ材が設けられ、前記下地材は、前記床パネルおよび壁パネルの連結位置に設けられた取付部材に支持されていることを特徴とする地下構造体。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の地下構造体において、
前記壁パネルの上端縁と前記立上り壁とは、連結材を介して連結されていることを特徴とする地下構造体。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の地下構造体において、
前記壁パネルの上端縁には天井パネルが連結され、この天井パネルで構成される天井には、天井開口が設けられていることを特徴とする地下構造体。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の地下構造体を備えた地下室と、この地下室の上側を覆って設置される建物ユニットとを備えて構成されることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の地下構造体を構築する地下室の施工方法であって、
前記底版の上側に前記床パネルを設置し、当該床パネルの外周端縁と前記立上り壁との間を前記底部止水材で止水し、前記床パネルに前記壁パネルを連結するとともに当該壁パネル同士を当該地下室の内部空間側からボルト接合で連結することを特徴とする地下室の施工方法。
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