JP5102578B2 - 建物ユニット、ユニット式建物及びユニット式建物の施工方法 - Google Patents

建物ユニット、ユニット式建物及びユニット式建物の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物ユニット、ユニット式建物及びユニット式建物の施工方法に関するものである。
住宅等の建物には、複数の建物ユニットを互いに連結して構築されるユニット式建物がある。ユニット式建物では、工場で建物ユニットを製作することにより、建築現場において建物の建築作業の簡易化が図られている。建物ユニットには、上梁、下梁、及びそれら上梁と下梁とを連結する柱を含んで構成された枠体と、枠体に取り付けられた壁パネルとを有するものがある。例えば、特許文献1では、壁パネルは、その上端が上梁に固定されるとともに下端が下梁に固定されることで枠体に取り付けられている。
特開2006−35858号公報
しかしながら、建物ユニットに土間が形成されている場合に壁パネルが下梁に固定されていると、建築現場における作業の簡易化を図るといったユニット式建物のメリットが減殺されるおそれがある。例えば、土間を有するガレージがユニット式建物に設けられ、下梁が土間表面より下方に埋め込まれていると、壁パネルの下部は下梁とともに埋め込まれていることになる。この場合、建物ユニットの枠体への壁パネルの取り付け作業が建築現場にて行われることで壁パネルの埋め込みを回避することは可能となるが、その一方で、壁パネルの取り付け作業の分だけ建築現場での作業が増加することになる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、土間を有するユニット式建物の構築に際して建築現場における作業の簡易化を図ることができる建物ユニット、ユニット式建物及びユニット式建物の施工方法を提供することを目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.複数の柱(柱21)及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁(天井梁23)を含んで構成された枠体(ガレージユニット20aの枠体)を有し、複数組み合わされることでユニット式建物を構築する建物ユニットであって、
前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材(中間梁24)と、
上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材(壁体40)と、
を備えていることを特徴とする建物ユニット。
手段1によれば、上梁と略平行に延びる連結材が、隣接する柱において上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されている。このため、建物ユニット内に土間が設けられている場合、建物ユニットの下部が土間表面より下方に埋め込まれていても、連結材を土間表面の上方に露出させることが可能となる。
また、上端部が上梁に取り付けられるとともに下端部が連結材に取り付けられている壁材により、建物ユニットの壁が形成されている。この場合、壁材の上下方向の長さを、その下端部が建物ユニットの枠体の下部に届かない長さとしても、壁材が枠体に固定されることになり、建物ユニットの下部が土間表面より下方に埋め込まれていても、連結材を土間表面の上方に露出させることで壁材の埋め込みを回避することができる。したがって、枠体に壁材が取り付けられた壁付き建物ユニットをそのまま設置することが可能となり、土間を有するユニット式建物の構築に際して建築現場における作業の簡易化を図ることができる。
手段2.隣接する柱の下端部間を連結する下梁(床梁22)が設けられていることを特徴とする手段1に記載の建物ユニット。
手段2によれば、下梁により、隣接する柱の下端部間が連結されている。この場合、建物ユニットの枠体を上梁、下梁及び柱により略直方体に形成することが可能となり、これにより、枠体の強度が高められている。したがって、建築現場における作業の簡易化を図りつつ、工場から建築現場への建物ユニットの搬送時に、建物ユニットの枠体の変形を抑制することができる。
また、建物ユニットの枠体が上梁、下梁及び柱により形成され且つ枠体に壁材が固定されている構成において、手段1に記載したように壁材が柱の下端部に届かない場合は下梁への壁材の固定が困難になり、壁材の下部が固定されていなければ、搬送時に建物ユニットの壁材が変形するなどの不都合が発生するおそれがある。これに対して、下梁の上方に設けられた連結材に壁材の下部が固定されている場合は、前記不都合の発生を抑制することができる。
手段3.前記下梁は、前記建物ユニットが設置される場合に地中に埋設される埋設部であることを特徴とする手段2に記載の建物ユニット。
手段3によれば、建物ユニットが設置される場合に下梁は地中に埋設されるため、建物ユニットに、屋外の地表面と連続した面を有する土間を構築することが可能となる。したがって、建物ユニットに対する人や車両の出入りを容易なものとすることができる。
手段4.前記枠体の内側と外側とを仕切る仕切材(仕切板61)が、前記連結材の下方に突出するように該連結材に取り付けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれか1に記載の建物ユニット。
手段4によれば、仕切材により、連結材の下方にて建物ユニットの内側と外側とが仕切られているため、その仕切材の内側にコンクリート層が形成されることで建物ユニットに土間が構築されることになる。また、仕切材は連結材に取り付けられているため、単に建物ユニットが設置されるだけで、型枠の組み立てや解体を行うことなくコンクリートの打設を行うことが可能となる。故に、建築現場における土間の構築作業を容易なものとすることができる。
手段5.前記仕切材は、上下方向へ移動可能に前記連結材に取り付けられていることを特徴とする手段4に記載の建物ユニット。
手段5によれば、仕切材は上下方向への移動が可能であるため、構築するコンクリート層の厚さなどに応じて、連結材の下方に対する仕切材の突出度合いを適切に調節することができる。
手段6.前記仕切材は、上方位置で仮止めされていることを特徴とする手段5に記載の建物ユニット。
手段6によれば、仕切材、上方位置で仮止めされているため、その仮止めが解除されると仕切材は自重によって下方へ移動する。したがって、建物ユニットが設置された場合、単に仮止めを解除することで、その突出度合いがコンクリート層の厚さなどに応じたものとなる。これにより、コンクリート打設の準備作業をより一層容易なものとすることができる。なお、仕切材の仮止めは、ネジ等の固定手段により行われると良い。
手段7.前記仕切材は、断熱層を有することを特徴とする手段4乃至6のいずれか1に記載の建物ユニット。
手段7によれば、仕切材が断熱層を有するため、仕切材に型枠の役割を持たせつつ、壁材の下方において建物の断熱性を確保することができる。
手段8.前記壁材の下端又は前記連結材の外側に、防水シート(防水シート47)の上部が取り付けられていることを特徴とする手段1乃至7のいずれか1に記載の建物ユニット。
手段8によれば、防水シートにより、完成後も工事中においても壁材又は連結材の下方からの建物ユニット内への水の浸入が規制されている。この場合、建物ユニット内に土間が設けられていれば、壁材と土間との境界又は連結材と土間との境界を防水シートにより覆うことが可能となる。したがって、防水シート付きの建物ユニットを工場で製作することで建築現場における作業の簡易化を図りつつ、土間表面からの水の浸入を規制することができる。
手段9.前記壁材の下端又は前記連結材の外側に、前記壁材の表面を流れ落ちる水の屋内側への浸入を防止する水切部(水切部48)が取り付けられていることを特徴とする手段1乃至8のいずれか1に記載の建物ユニット。
手段9によれば、水切部により、壁材又は連結材の下方において、壁材の表面を流れ落ちる水の屋内側への浸入が規制されている。この場合、建物ユニット内に土間が設けられていれば、壁材と土間との境界又は連結材と土間との境界を水切部により覆うことが可能となる。したがって、水切部付きの建物ユニットを工場で製作することで建築現場における作業の簡易化を図りつつ、土間表面からの水の浸入を規制することができる。また、完成後には、ユニット式建物の遮音性を高めることができる。
手段10.複数の柱(柱21)及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁(天井梁23)を含んで構成された枠体(ガレージユニット20aの枠体)を備えた建物ユニット(建物ユニット20、ガレージユニット20a)が複数組み合わされ、
前記各建物ユニットのうち一部の建物ユニットが土間を有して構築されているユニット式建物であって、
前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材(中間梁24)が、前記土間の表面より上方に露出するとともに該土間の外周に沿って延びるように設けられており、
上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材(壁体40)が、前記土間の表面より上方に露出して設けられている、
ことを特徴とするユニット式建物。
手段10によれば、一部の建物ユニットが土間を有するユニット式建物において、連結材は土間の外周に沿って延びているため、連結材を利用して土間の周囲を囲むことが可能となる。この場合、連結材により囲まれた領域でのコンクリート層の構築を簡易な作業により実現することができる。すなわち、土間の構築作業を簡易なものとすることができる。
また、連結材が土間の表面より上方に露出しており、且つ連結材に取り付けられた壁材の下端部が土間の表面より上方に露出している。この場合、建物ユニットの設置作業が行われる際、枠体に壁材が取り付けられた壁付き建物ユニットをそのまま設置しても、壁材が地中に埋め込まれることが回避される。したがって、土間を有するユニット式建物の構築に際して建築現場における作業の簡易化を図ることができる。
なお、土間の周囲を囲む仕切材が連結材に取り付けられていると、単に建物ユニットを設置することでコンクリートの打設領域を形成することが可能となり、コンクリート層の構築をより一層簡易な作業により実現することができる。すなわち、土間の構築作業をより一層簡易なものとすることができる。
手段11.複数の柱(柱21)及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁(天井梁23)を含んで構成された枠体(ガレージユニット20aの枠体)を備えた建物ユニット(建物ユニット20、ガレージユニット20a)を工場で構築し、
前記工場で構築された建物ユニットを複数組み合わせて構成されるユニット式建物(ユニット式建物10)を建築現場で構築するユニット式建物の施工方法であって、
前記工場にて構築された前記建物ユニットは、前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材(中間梁24)と、上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材(壁体40)とを有しており、
前記ユニット式建物は、前記連結材が前記土間の表面より上方に露出するとともに該土間の外周に沿って延びるように、且つ前記壁材が前記土間の表面より上方に露出するように、前記建築現場にて構築されることを特徴とするユニット式建物の施工方法。
手段11によれば、ユニット式建物が構築される場合、工場では建物ユニットが構築され、建築現場では建物ユニットが複数組み合わせてユニット式建物が構築される。この場合、建物ユニットにおいて、連結材は、上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されおり、壁材は、上端部が上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられている。したがって、建築現場において、建物ユニットの下端部が土間の表面よりも下方となるようにその建物ユニットが設置されても、連結体を土間の表面より上方に露出させることで、壁材の土間への埋め込みを回避することができる。したがって、土間を有するユニットの構築に際して建築現場における作業の簡易化を図ることができる。
また、建築現場において、連結材が土間の外周に沿って延びた状態となるように建物ユニットが設置されることで、連結材を利用して土間の周囲を囲むことが可能となる。この場合、連結材により囲まれた領域でのコンクリート層の構築を簡易な作業により実現することができる。すなわち、土間の構築作業を簡易なものとすることができる。
なお、工場において、土間の周囲を囲む仕切材が連結材に取り付けられていると、単に建物ユニットを設置することでコンクリートの打設領域を形成することが可能となり、コンクリート層の構築をより一層簡易な作業により実現することができる。すなわち、土間の構築作業をより一層簡易なものとすることができる。
ちなみに、壁材が、壁面を形成する壁パネル(外壁パネル46、内壁パネル52)と、上梁及び連結材に固定される壁フレーム(外壁フレーム45、内壁フレーム51)とにより構成されていると、工場において、ビス等の固定手段を壁面に露出させることなく建物ユニットの枠体に壁材を取り付けることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ラーメンユニット工法にて構築された2階建てユニット式建物に具体化しており、そのユニット式建物10の概要を図1に示す。
図1に示すように、ユニット式建物10は、建物本体11と、その建物本体11の上方に配設される屋根12とにより構成されている。建物本体11の一階部分には、自動車等の車両14(図3参照)の入出庫が可能なガレージ15が設けられている。ガレージ15は、所謂インナガレージとなっており、建物本体11と一体的に構築されている。
建物本体11は、建物ユニット20が複数結合されることで構築されており、それら建物ユニット20には、ガレージ15を構成するガレージユニット20aが含まれている。ここで、ユニット式建物10は、高さ寸法が異なる複数種の建物ユニット20の組み合わせにより構築されていることがある。建物ユニット20としては、例えば、標準の高さ寸法(例えば、内部空間の有効高さが2400mm)を有する標準ユニットや、標準ユニットよりも大きい高さ寸法(例えば、内部空間の有効高さが2600mm)を有するハイユニットなどが用いられる。図1には、一階部分が複数のハイユニットにより構築され、二階部分が複数の標準ユニットにより構築されているユニット式建物10を図示しており、ガレージユニット20aはハイユニットの一種として一階部分に組み込まれている。
次に、ガレージユニット20aについて、図2を参照しつつ説明する。図2は、ガレージユニット20aにおける骨格(枠体)の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、ガレージユニット20aでは、その四隅に柱21が配され、各柱21の下端部及び上端部がそれぞれ4本の床梁22、天井梁23により連結されている。床梁22及び天井梁23は互いに略平行に延びている。そして、それら柱21、床梁22及び天井梁23により直方体状の枠体(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の鋼鉄材よりなり、床梁22及び天井梁23は断面コ字状の鋼鉄製長尺材よりなる。床梁22及び天井梁23は、コ字状断面の開口側をガレージユニット20aの水平方向の内側に向けて配置されている。また、床梁22と天井梁23との間には、隣接する2つの柱21を連結する中間梁24が設けられている。中間梁24は、鋼鉄材により断面略L字状の長尺状に形成されており、床梁22及び天井梁と略平行に延びている。
ガレージユニット20aの長辺部の相対する床梁22の間には、所定間隔で複数の床小梁25が架け渡されている。同じくガレージユニット20aの長辺部の相対する天井梁23の間には、所定間隔で複数の天井小梁26が架け渡されている。また、天井小梁26によって天井下地材が支持される。
また、ガレージユニット20aには、ガレージ15の外壁面を構成する外壁部41が設けられている。外壁部41は、壁体40(図4参照)の一部としてガレージユニット20aの枠体に取り付けられているが、便宜上、ここでは、外壁部41を図2に図示するとともに、外壁部41について説明する。
外壁部41は、複数の壁パネルにより形成されており、各パネルはビス等の固定手段により枠体に対して固定されるとともに互いに連結されている。この場合、外壁部41は、その上端部が天井梁23に固定されているとともにその下端部が中間梁24に固定されており、その下端部が中間梁24の下方に突出しないようになっている。なお、外壁部41は、その両側部が柱21に固定されていてもよい。
また、建物ユニット20の一種としてガレージユニット20aの構成について説明したが、ガレージユニット20a以外の建物ユニット20も、ガレージユニット20aと同様に、柱21、床梁22、天井梁23、床小梁25及び天井小梁26等により枠体が構成されており、枠体に外壁部41等の壁体40が取り付けられている。
次いで、ガレージユニット20aにおける壁体40の構成について、図3,図4を参照しつつ説明する。図3は、ガレージ15周辺の構成を説明するための説明図、図4は、ガレージユニット20aにおける屋外側部分の構成を拡大して示す構成図である。なお、便宜上、図3では壁体40(外壁部41)の図示を省略している。
図3に示すように、鉄骨により構成されている基礎31が建物本体11の下方に複数設けられている。基礎31は、水平方向に延びるようにして地中に埋め込まれている。なお、基礎31は、周知の鉄筋コンクリートにより構成されていてもよい。また、基礎31に加えて、それら基礎31を連結する地中梁が地中に埋め込まれていてもよい。
基礎31の上方には、ガレージユニット20aが複数設けられており、ガレージユニット20aはボルト等の固定手段により基礎31に固定されている。ガレージユニット20aは、その下部が地中に埋め込まれており、ガレージユニット20aの床梁22は、ガレージ床面35より上方へ露出しないようになっている。ガレージ15において、床梁22の上方にはコンクリート層36が構築されており、ガレージ床面35はコンクリート層36の表面により形成されている。ガレージ15では、コンクリート層36により土間が形成されていることになる。
なお、ガレージ床面35は、屋外における地表面GLと同じレベルになっており、ガレージユニット20aの下部が地中に埋め込まれているため、床梁22を切断することなく地表面GLとガレージ床面35とを連続した面として形成することが可能となっている。ちなみに、一階部分におけるガレージユニット20a以外の建物ユニット20では、地表面GLより高いレベルに床材等によって床面が形成されている。
中間梁24は、地表面GL及びガレージ床面35の上方に露出しており、図4(a)に示すように、中間梁24及び天井梁23には壁体40が取り付けられている。壁体40は、上下方向の寸法が天井梁23と中間梁24との間隔の寸法より若干大きくなっており、その下端が地表面GL及びガレージ床面35に届かないようになっている。換言すれば、壁体40は、その下端が床梁22に届かないようになっている。また、壁体40は、左右方向の寸法が、隣接する2つの柱21の間隔の寸法より小さくなっている。例えば、壁体40は、ガレージユニット20aの一側面に対して左右方向に複数並べて取り付けられている。
壁体40は、外壁部41と内壁部42とを有しており、外壁部41は、天井梁23及び中間梁24のそれぞれの屋外側に配設されている。より詳しくは、外壁部41は、枠状に形成された外壁フレーム45と、その外壁フレーム45の屋外側に固定された外壁パネル46とにより構成されており、天井梁23と中間梁24とに対して外壁フレーム45がビス止め等されることで、外壁部41がガレージユニット20aにおける枠体の屋外側に固定されている。特に、中間梁24には、上下方向に延びる板状の垂直部24aが形成されており、外壁フレーム45は垂直部24aの屋外側の側面に対して取り付けられている。
なお、外壁フレーム45は、天井梁23及び中間梁24に加えて柱21に対して固定されていてもよく、天井梁23と中間梁24との間に間柱が立設されている構成であればその間柱に対して固定されていてもよい。
外壁部41の下部において、外壁フレーム45の屋内側には、防水シート47が外壁パネル46の下端に沿って延びるように設けられており、防水シート47はその上部が中間梁24の屋外側に固定されている。防水シート47は、外壁フレーム45と中間梁24との間から地中まで延びており、中間梁24とコンクリート層36との境界を覆っている。これにより、仮に中間梁24とコンクリート層36との間に隙間が形成されていても、その隙間からの雨水等の浸入が抑制されている。なお、防水シート47は、中間梁24ではなく外壁フレーム45など壁体40の下端に取り付けられていてもよい。
また、外壁部41の下部において、外壁フレーム45の屋外側には、水切部48が外壁パネル46の下端に沿って伸びるように設けられており、水切部48はその上部が外壁フレーム45に固定されている。水切部48は、外壁パネル46の表面を流れ落ちる水がそのまま地表に落ちるように取り付けられている。これにより、仮に壁体40とコンクリート層36との間に隙間が形成されていても、その隙間からの雨水等の浸入が抑制されている。なお、水切部48は、外壁フレーム45ではなく中間梁24の屋外側に取り付けられていてもよい。
一方、内壁部42は、天井梁23及び中間梁24のそれぞれの屋内側に配設されている。より詳しくは、内壁部42は、枠状に形成された内壁フレーム51と、その内壁フレーム51の屋内側に固定された内壁パネル52とにより構成されており、天井梁23と中間梁24とに対して内壁フレーム51がビス止め等されることで、内壁部42がガレージユニット20aにおける枠体の屋内側に固定されている。特に、中間梁24には、垂直部24aの上端部から左右方向に延びる板状の水平部24bが形成されており、内壁フレーム51は水平部24bの上面に対して取り付けられている。
なお、内壁フレーム51は、天井梁23及び中間梁24に加えて柱21に対して固定されていてもよく、天井梁23と中間梁24との間に間柱が立設されている構成であればその間柱に対して固定されていてもよい。
内壁フレーム51の下部において、内壁フレーム51の屋内側には下部パネル53が内壁パネル52の下端に沿って延びるように設けられている。下部パネル53により、内壁パネル52とガレージ床面35との隙間が埋められており、壁体40の内部に埃等が入り込まないようになっている。
壁体40において、外壁部41と内壁部42との間には、外壁パネル46及び内壁パネル52の各板面に沿って断熱材55が配設されている。断熱材55は、防湿気密性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した防湿気密性袋56の中にグラスウール等の繊維系断熱材57を充填したものである。
また、中間梁24には、壁体40の下方にて屋外側と屋内側とを仕切る仕切板61が取り付けられている。仕切板61は、発泡系樹脂を用いた発泡系断熱材などにより板状に形成されている。仕切板61は、中間梁24に沿って延びており、その横方向の長さはガレージ15の側面の長さと略同等となっている。また、仕切板61は、その高さ寸法がコンクリート層36の高さ寸法より大きくなっており、少なくともその上部が中間梁24の垂直部24aと重なっている。仕切板61は、コンクリート層36の外周を囲むようにして、ガレージユニット20aにおける他の側面に設けられている。したがって、コンクリート層36の構築時には、型枠を組み立てることなくコンクリートの打設を行うことができるとともに、コンクリート層36が形成された後に型枠を解体する必要がない。したがって、コンクリート層36の構築が容易となる。但し、仕切板61は、コンクリート打設時におけるそのコンクリートの圧力に耐え得る強度を有するように構成されている。
さらに、仕切板61は、中間梁24に対して上下方向への移動が可能になっており、中間梁24から下方への突出寸法を、構築するコンクリート層36の高さ寸法に応じて調節することができる。図4(b)に示すように、中間梁24の垂直部24aには、屋内側に突出する突出部65が形成され、仕切板61には、突出部65を屋内側に挿通させる縦長状の貫通孔62が複数形成されている。この場合、貫通孔62の横方向の内径は突出部65の外形より大きくなっており、仕切板61は上方位置でネジ等の固定手段により仮止めされている。したがって、突出部65を貫通孔62内にて上下方向に移動可能としつつ、仮止めが解除されることで仕切板61はその自重によって下方位置へ移動するようになっている。
突出部65には、その先端部に引掛部66が形成されており、貫通孔62から突出部65が抜けないようになっている。したがって、構築するコンクリート層36の高さ寸法に応じて仕切板61の突出寸法を調節しつつ、コンクリートの打設時において中間梁24からの仕切板61の離脱が規制されている。これにより、仕切板61は型枠の役割を果たすことが可能となる。
ここで、ユニット式建物10の構築工程の概略について、図5を参照しつつ説明する。
図5において、(1)のように、ガレージユニット20a等の建物ユニット20が工場71で製作される。工場71では、下部が地中に埋め込まれるガレージユニット20aに対しても壁体40が取り付けられる。そして、(2)のように、工場71で製作されたガレージユニット20aは、トラック72等の搬送手段により建築現場に搬送される。
一方、建築現場では、ガレージユニット20aが搬送されるまでに、(3)のように、掘削作業が行われるとともに基礎31の設置作業が行われる。基礎31が設置された後、(4)のように、工場71から搬送されたガレージユニット20aの設置作業が行われるとともに、その他の建物ユニット20の設置作業等が行われることで、建物本体11が構築される。そして、(5)のように、埋め戻し作業が行われることで、基礎31やガレージユニット20aの下部が地中に埋め込まれるとともに、ユニット式建物10の周辺における地表面GLが形成される。また、埋め戻し作業が行われた後、コンクリートの打設作業が行われることで、コンクリート層36が構築されてガレージ床面35が形成される。その後、屋根12の設置作業等が行われることで、(6)のように、ユニット式建物10が完成する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
壁体40は、その上端部が天井梁23に固定されているとともにその下端部が中間梁24に固定されているため、ガレージユニット20aの床梁22が地中に埋め込まれている状態でも、壁体40の下部が地中に埋め込まれることが回避される。したがって、工場71にて壁体40が取り付けられた状態のガレージユニット20aを、下部を埋め込む状態でそのまま設置することができる。この場合、壁体40の埋め込みを回避するために壁体40が建築現場にてガレージユニット20aに取り付けられる構成に比べて、ガレージユニット20aの設置作業を容易なものとすることができる。故に、ガレージ床面35(土間)を有するガレージユニット20aを含むユニット式建物10の構築に際して、建築現場における作業の簡易化を図ることができる。
隣接する柱21に対して、上端部間が天井梁23により連結されているとともに下端部間が床梁22により連結されているため、ガレージユニット20aの枠体が直方体状に形成されており、ガレージユニット20aの強度が高められている。例えば、床梁22が設けられていない場合、天井梁23及び中間梁24により壁体40の保持を行うことができるが、搬送時等に、柱21が中間梁24の下方にて変形したりガレージユニット20aの枠体が歪んだりするおそれがある。これに対して、本実施形態では、床梁22を含めてガレージユニット20aの強度が高められているため、搬送時等におけるガレージユニット20aの変形や歪みを抑制することができる。
中間梁24に壁体40の下部が固定されているため、壁体40の下端が床梁22に届かない状態であっても、壁体40をその上下両端部にてガレージユニット20aの枠体に強固に固定することが可能となる。したがって、搬送時等に、前記枠体から壁体40が離脱したり、壁体40が変形したりするといった不都合の発生を抑制することができる。
ガレージユニット20aの下部が地中に埋め込まれていることで、床梁22が地表面GLから上方へ露出しないようになっているため、地表面GLとガレージ床面35とを同じレベルとしつつ、突出した床梁22を車両14に乗り越えさせる必要がない。したがって、ガレージ15内外に対するレベル調節を不要としつつ、ガレージ15に対して車両14を容易に入庫させることが可能となる。また、例えば、ガレージユニット20aの下部が地中に埋め込まれずに、床梁22の一部が切断及び除去されることで地表面GLとガレージ床面35とが連続した面とされている場合は、床梁22の一部の切断及び除去に起因してガレージユニット20aの強度が低下するおそれがある。さらに、この場合、搬送時にガレージユニット20aの枠体が変形し易くなるおそれがある。これらに対して、ガレージユニット20aの下部が地中に埋め込まれている場合は、ガレージユニット20aの強度低下を抑制しつつ、ガレージ15に対する車両14の入出庫を容易に行わせることができる。
コンクリート層36は仕切板61により囲まれているため、型枠の組み立て及び解体を行うことなくコンクリート層36を構築することができる。また、仕切板61は、中間梁24に対して上下方向への移動が可能になっているため、コンクリート層36の厚さや、中間梁24とガレージユニット20aの設置面との間隔に応じて、中間梁24からの仕切板61の突出寸法を調節することができる。さらに、仕切板61はその自重によって下方への移動が可能となっているため、単にガレージユニット20aを設置するだけで、仕切板61が前記設置面に当接するまで下方に移動することになる。したがって、作業者等は、仕切板61の突出寸法を調節することなく、コンクリートの打設作業を行うことが可能となる。以上の結果、ガレージ床面35を容易に形成することが可能となる。
仕切板61は、発泡系樹脂を用いた発泡系断熱材などにより板状に形成されているため、壁体40に加えてその壁体40の下方においても、ユニット式建物10の断熱性を確保することができる。
防水シート47の上部が中間梁24の屋外側に固定されているため、中間梁24とコンクリート層36との間からの水の浸入が抑制されている。この場合、防水シート47付きのガレージユニット20aを工場71で製作することで建築現場における作業の簡易化を図りつつ、ガレージ床面35上への水の浸入を規制することができる。
また、水切部48の上部が外壁部41の下部に固定されているため、壁体40とコンクリート層36との間からの水の浸入が抑制されている。この場合、水切部48付きのガレージユニット20aを工場71で製作することで建築現場における作業の簡易化を図りつつ、ガレージ床面35上への水の浸入を規制することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
・上記実施形態では、隣接する柱21の下端部を連結する床梁22が設けられていたが、床梁22は設けられていなくてもよい。この場合でも、中間梁24やその中間梁24と柱21との接続部分などに強度を持たせることでガレージユニット20aの強度低下を抑制することが可能となる。
・上記実施形態では、中間梁24が鋼鉄材により形成されているが、ポリカーボネート等の合成樹脂により形成されていてもよい。要は、ガレージユニット20aの枠体に対して壁体40の下部を固定することができればよい。
・上記実施形態では、中間梁24が断面略L字状に形成されているが、中間梁24は隣接する柱21の連結が可能であれば形状は断面略L字状でなくてもよい。
・上記実施形態では、仕切板61が断熱材により形成されているが、仕切板61は鋼鉄材により形成されていてもよく、合成樹脂により形成されていてもよい。要は、仕切板61が、コンクリート打設時におけるそのコンクリートの圧力に耐え得る強度を有していればよい。
・上記実施形態では、中間梁24の突出部65が仕切板61の貫通孔62内を上下方向に移動可能な構成としたが、中間梁24に対して仕切板61が上下方向に移動可能な構成であればこれに限らない。例えば、突出部65が仕切板61に形成されるとともに、貫通孔62が中間梁24の垂直部24に形成されていてもよい。この場合でも、構築するコンクリート層36の厚さ等に応じて、仕切板61の突出寸法を調節することが可能となる。
・上記実施形態では、仕切板61を、中間梁24に対して上下方向への移動が可能な構成としたが、中間梁24に対して移動不可に固定されている構成としてもよい。この場合でも、構築するコンクリート層36の厚さ等に合わせて、ガレージユニット20aの設置面と仕切板61との隙間を型枠等により埋めることで、コンクリートの打設を行うことが可能となる。
・上記実施形態では、下階(1階)部分の建物ユニット20の下部を全て地中に埋める場合について説明したが、ガレージユニット20a以外の居室部分を形成する建物ユニット20については地表面GLから立ち上がるように形成された基礎の上に設置するようにしてもよい。
・上記実施形態では、建築現場における作業の簡易化が図られる構成を、土間を有する建物ユニット20としてガレージユニット20aに適用した構成について説明したが、例えば、土間を有する店舗や事務所などのユニット式建物に適用してもよい。
ユニット式建物の概要を示す図。 ガレージユニットの構成を示す斜視図。 ガレージ周辺の構成を説明するための説明図。 ガレージユニットに置ける屋外側部分の構成と拡大して示す構成図。 ユニット式建物の構築工程の概略を示す図。
符号の説明
10…ユニット式建物、20…建物ユニット、20a…ガレージユニット、21…柱、22…床梁、23…天井梁、24…中間梁、40…壁体、45…外壁フレーム、46…外壁パネル、47…防水シート、48…水切部、51…内壁フレーム、52…内壁パネル、61…仕切板、62…貫通孔、65突出部、GL…地表面。

Claims (10)

  1. 複数の柱及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁を含んで構成された枠体を有し、複数組み合わされることでユニット式建物を構築する建物ユニットであって、
    前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材と、
    上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材と、
    前記連結材の下方に突出するように該連結材に取り付けられ、前記枠体の内側と外側とを仕切る仕切材と、
    を備えていることを特徴とする建物ユニット。
  2. 隣接する柱の下端部間を連結する下梁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物ユニット。
  3. 前記下梁は、前記建物ユニットが設置される場合に地中に埋設される埋設部であることを特徴とする請求項2に記載の建物ユニット。
  4. 前記仕切材は、上下方向へ移動可能に前記連結材に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の建物ユニット。
  5. 前記仕切材は、上方位置で仮止めされていることを特徴とする請求項に記載の建物ユニット。
  6. 前記仕切材は、断熱層を有することを特徴とする請求項1、4又は5に記載の建物ユニット。
  7. 前記壁材の下端又は前記連結材の外側に、防水シートの上部が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の建物ユニット。
  8. 前記壁材の下端又は前記連結材の外側に、前記壁材の表面を流れ落ちる水の屋内側への浸入を防止する水切部が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載の建物ユニット。
  9. 複数の柱及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁を含んで構成された枠体を備えた建物ユニットが複数組み合わされ、
    前記各建物ユニットのうち一部の建物ユニットが土間を有して構築されているユニット式建物であって、
    前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材が、前記土間の表面より上方に露出するとともに該土間の外周に沿って延びるように設けられており、
    上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材が、前記土間の表面より上方に露出して設けられており、
    前記枠体の内側と外側とを仕切る仕切材が、前記連結材の下方に突出して前記土間の表面より下方に配置されるとともに該土間の周囲を囲むように該連結材に取り付けられていることを特徴とするユニット式建物。
  10. 複数の柱及び隣接する柱の上端部間を連結する上梁を含んで構成された枠体を備えた建物ユニットを工場で構築し、
    前記工場で構築された建物ユニットを複数組み合わせて構成されるユニット式建物を建築現場で構築するユニット式建物の施工方法であって、
    前記工場にて構築された前記建物ユニットは、前記上梁と略平行に延びるとともに、隣接する柱において前記上梁よりも下方且つ柱の下端部より上方となる位置に連結されてなる連結材と、上端部が前記上梁に取り付けられるとともに下端部が前記連結材に取り付けられてなる壁材と、前記連結材の下方に突出するように該連結材に取り付けられ、前記枠体の内側と外側とを仕切る仕切材と、を有しており、
    前記ユニット式建物は、前記連結材が前記土間の表面より上方に露出するとともに該土間の外周に沿って延びるように、且つ前記壁材が前記土間の表面より上方に露出するように、更に前記仕切材の下端が前記土間の表面より下方に配置されるとともに該土間の周囲を囲むように、前記建築現場にて構築されることを特徴とするユニット式建物の施工方法。
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