JP2022147691A - 加工状態推定方法及び加工状態推定システム - Google Patents

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賀生 若園
Yoshio Wakazono
智彦 今
Tomohiko Kon
大樹 間野
Daiki Mano
継頼 大花
Tsuguyori Ohana
英樹 岩井
Hideki Iwai
賢治 濱田
Kenji Hamada
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Abstract

Figure 2022147691000001
【課題】工作物の加工状態を精度良く推定することができる加工状態推定方法及び加工状態推定システムを提供すること。
【解決手段】加工状態推定システム1は、観測装置20及び推定演算装置30を備える。推定演算装置30は、観測装置20からAE信号Sを取得する信号取得部31と、AE信号Sの全体の実効値J1を算出する全体実効値演算部32と、AE信号Sの一部の周波数領域の実効値J2を算出する周波数領域実効値演算部33と、実効値J2を実効値J1で除することにより基準化して、加工状態と相関関係にある比率Kを算出する比率演算部34と、を有して、比率演算部34によって算出された比率と相関関係にある加工状態を推定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、加工状態推定方法及び加工状態推定システムに関する。
一般に、工作機械の工具を用いて工作物を加工する場合、工具の劣化が生じて加工精度の低下が生じる虞がある。従って、工具の劣化を管理し、工具の修正を適宜行うことにより、工作物の加工精度を維持することは極めて肝要である。このため、従来から、特許文献1及び特許文献2には、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッション(Acoustic Emission:AE)を表すアコースティックエミッション信号(以下、「AE信号」と称呼する。)を取得し、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する技術が開示されている。
特開2000-233369号公報 特開2020-69639号公報
上述した従来の技術によれば、工具による工作物の加工中に取得されるAE信号を取得し、取得したAE信号を解析することによって加工状態を推定することができる。これにより、推定される加工状態に基づいて工具を修正するタイミングを設定することが可能である。
ところで、上述した従来の技術においては、取得したAE信号には加工等に伴って発生する外乱等が重畳しており、加工状態の推定精度を十分に確保できない。工具を修正する場合、修正に要する時間や修正に要するコストが必要になるため、加工状態を推定する際の推定精度を向上させることは重要である。従って、AE信号を用いて加工状態を推定する場合には、取得したAE信号に含まれている加工状態との関連性の高い情報を用いて、加工状態の推定精度を向上させることが望まれる。
本発明は、関連性の高い情報を用いて加工状態を精度良く推定することができる加工状態推定方法及び加工状態推定システムを提供することを目的とする。
(加工状態推定方法)
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法は、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測し、観測されたAEを表すAE信号の一部の周波数領域の実効値を、AE信号の全体の実効値で除することにより基準化して、加工状態と相関関係にある比率を算出し、比率を用いて、比率と相関関係にある加工状態を推定する。
(加工状態推定システム)
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法は、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測する観測装置を有すると共に、観測装置から観測されたAEを表すAE信号を取得する信号取得部と、信号取得部によって取得されたAE信号の全体の実効値を算出する全体実効値演算部と、信号取得部によって取得されたAE信号の一部の周波数領域の実効値を算出する周波数領域実効値演算部と、周波数領域実効値演算部によって算出された実効値を、全体実効値演算部によって算出された実効値で除することにより基準化して、加工状態と相関関係にある比率を算出する比率演算部と、を有して、比率演算部によって算出された比率と相関関係にある加工状態を推定する推定演算装置と、を備える。
これらによれば、AE信号と一部の周波数領域のAE信号との比率を用いて、工具が工作物を加工した際の加工状態を精度良く推定することができる。又、加工状態推定システムは、推定された加工状態を用いて、工作物を加工する工作機械の工具の劣化状態も精度良く推定することができる。これにより、工作機械においては、良好な加工精度を維持することができると共に、適切なタイミングにおいて工具を修正することができる。
従って、工作機械の工具を過度に修正したり、修正が遅れたりすることを防止することができる。これにより、工具を修正するために要する修正時間を短縮することができると共に、工具を修正するためのコストを低減することができる。
加工状態推定システムの構成を示す図である。 図1の工作機械の一例である研削装置の構成を示す図である。 観測装置の配置を説明するための図である。 推定演算装置の機能ブロック構成を示す図である。 観測装置によって取得された信号波形を示す図である。 図4の全体実効値演算部によって演算された実効値と表面粗さとの関係を示す図である。 図4の比率演算部によって演算された比率と推定される表面粗さとの関係を示す図である。
(1.加工状態推定システムの適用対象の工作機械)
加工状態推定システムは、工作機械の工具によって工作物が加工された際の加工状態を推定する。工作物を加工する工作機械としては、切削加工を行う各種切削装置(例えば、歯車加工装置やマシニングセンタ等)、研削加工を行う各種研削装置(例えば、円筒研削盤やカム研削盤、平面研削盤等)を挙げることができる。
本例においては、工作機械として、粗研削、精研削、微研削、スパークアウト等の研削加工を経て工作物を研削する研削装置を例示する。ここで、研削装置によって研削加工される工作物としては、例えば、単純軸状部材や、クランクシャフト、カムシャフト、平板等を挙げることができる。尚、本例の工作物としては、後述するように、円筒研削盤によって断面円形の単純軸状部材が研削加工される場合を例示する。
(2.加工状態推定システム1の構成の概要)
次に、加工状態推定システム1の構成の概要について、図1を参照して説明する。加工状態推定システム1は、少なくとも1台の研削装置10と、観測装置20と、少なくとも1つの推定演算装置30とを備える。研削装置10は、1台を対象としても良いし、図1に示すように、複数台を対象としても良い。
本例の加工状態推定システム1は、複数台の研削装置10を備える場合を例示する。そして、本例の加工状態推定システム1は、各々の研削装置10に観測装置20が設けられると共に、研削装置10の各々に設けられた複数の推定演算装置30を備える場合を例に挙げる。尚、本例では、推定演算装置30は、各々の研削装置10に一対一で設けられて、所謂、エッジコンピュータとして機能し、高速演算処理を実現可能としている。
研削装置10は、粗研削、精研削、微研削、スパークアウト等の研削加工を経て工作物Wを研削加工する。研削装置10には、少なくとも、工作物Wの研削加工面W1の研削加工中に発生するAEを観測する観測装置20が設けられている。
観測装置20は、研削装置10が工作物Wの研削加工面W1の研削加工中に観測されるAE信号Sを取得する。このため、本例の観測装置20は、AE信号Sを検出するAEセンサ21を備える。そして、本例の観測装置20は、検出するAEセンサ21によって取得されたAE信号を推定演算装置30に出力する。
推定演算装置30は、観測装置20から出力されたAE信号Sについて、AE信号Sの一部の周波数領域の実効値を、AE信号Sの全体の実効値で除することによって基準化した指標値を算出する。ここで、本例における「一部の周波数領域」としては、AE信号Sの高周波数成分であり、例えば、1MHz以上の実効値を例示することができる。そして、推定演算装置30は、指標値、即ち、AE信号Sにおける高周波数成分の比率に基づいて、研削加工面W1の表面粗さを推定する。
(3.加工状態推定システム1の構成の詳細)
加工状態推定システム1の構成について、図1を参照して、より詳細に説明する。加工状態推定システム1は、複数台の研削装置10、各々の研削装置10に設けられた観測装置20、各々の研削装置10に設けられた推定演算装置30を備える。
研削装置10は、砥石Tを用いて工作物Wの研削加工面W1の研削加工を行う研削盤11と、研削盤11を制御する制御装置12とを主に備える。本例においては、研削盤11として、図2に示すように、砥石台トラバース型の円筒研削盤40を例に挙げる。
円筒研削盤40は、軸状部材である工作物Wの外周面即ち研削加工面W1を研削するための工作機械である。円筒研削盤40は、図2に示すように、主としてベッド41、主軸台42、心押台43、トラバースベース44、砥石台45、砥石車46(砥石T)、定寸装置47、及び、砥石車修正装置48を備える。
ベッド41は、設置面上に固定されている。主軸台42は、ベッド41の上面において、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の一端側(図2の左側)に設けられている。主軸台42は、工作物WをZ軸回りに回転可能に支持する。工作物Wは、主軸台42に設けられたモータ42aの駆動により回転される。
心押台43は、ベッド41の上面において、主軸台42に対してZ軸方向に対向する位置、即ち、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の他端側(図2の右側)に設けられている。これにより、工作物Wは、主軸台42及び心押台43によって回転可能に両端支持される。
トラバースベース44は、ベッド41の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。トラバースベース44は、ベッド41に設けられたモータ44aの駆動により移動する。砥石台45は、トラバースベース44の上面において、X軸方向に移動可能に設けられている。砥石台45は、トラバースベース44に設けられたモータ45aの駆動により移動する。砥石車46(工具T)は、砥石台45に回転可能に支持されている。砥石車46は、砥石台45に設けられたモータ46aの駆動により回転する。砥石車46は、複数の砥粒がボンド材により固定されて構成されている。
定寸装置47は、工作物Wの寸法(径)を測定する。定寸装置47は、ベッド41の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。定寸装置47は、ベッド41に設けられた送り機構47aによりZ軸方向の位置が制御される。
砥石車修正装置48は、砥石車46の形状を修正する。即ち、砥石車修正装置48は、砥石車46のツルーイングやドレッシングを行う装置である。ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削加工によって砥石車46に劣化、例えば、摩耗や摩滅、砥粒の脱落、或いは、砥粒の破砕等が生じた場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車46を成形する作業、偏摩耗による砥石車46の振れを取り除く作業である。ドレッシングは、砥石車46の目直し(目立て)作業であり、砥粒の突き出し量を調整する作業、砥粒の切れ刃を創成する作業である。つまり、ドレッシングは、目つぶれや、目詰まり、目こぼれ等を修正する作業であり、通常、ツルーイング後に行われる。
制御装置12は、CNC装置及びPLC装置等を含み、本例においては円筒研削盤40(研削盤11)に設けられる。制御装置12は、工作物Wの形状、加工条件、砥石車46(工具T)の形状、クーラントの供給タイミング情報等の作動指令データに基づいて生成されたNCプログラムに従い、円筒研削盤40における各モータ42a,44a,45a,46a等を制御する。即ち、制御装置12は、動作指令データが入力されることにより、動作指令データに基づいてNCプログラムを生成する。
これにより、制御装置12は、円筒研削盤40(研削盤11)の作動を制御して、工作物Wの研削加工面W1の研削加工を行う。ここで、制御装置12は、定寸装置47により測定される工作物Wの寸法(径)に基づいて、工作物Wの研削加工面W1が仕上形状となるまで研削加工を行う。このため、制御装置12が生成するNCプログラムは、研削加工内容、即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウト等に応じて生成される。
又、制御装置12は、ベッド41に設けられており、推定演算装置30と通信可能とされている(図1を参照)。これにより、本例の制御装置12は、砥石車46を修正するタイミングとして、推定演算装置30から出力される修正信号Rを取得したタイミングにおいて、各モータ42a,44a,45a,46a及び砥石車修正装置48等を制御することにより、砥石車46の修正(ツルーイング又は/及びドレッシング)を行う。ここで、本例の推定演算装置30は、後述するように、推定した研削加工面W1の加工状態即ち表面粗さに基づいて、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。
観測装置20は、図2及び図3に示すように、AEセンサ21を備える。本例において、AEセンサ21は、例えば、円筒研削盤40(研削盤11)の心押台43に設けられる。但し、AEセンサ21の設置場所は、心押台43に限られず、円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材(主軸台42や砥石台45等)に設けることも可能である。AEセンサ21は、円筒研削盤40(研削盤11)が工作物Wの研削加工面W1を研削加工している状態において観測可能なAE信号Sを所定のサンプリングレートによって取得する。これにより、観測装置20は、AEセンサ21によって取得されたAE信号Sを推定演算装置30に出力する。
推定演算装置30は、図4に示すように、信号取得部31、全体実効値演算部32、周波数領域実効値演算部33、比率演算部34、判定部35、出力部36を備える。
信号取得部31は、図5に示すように、AEセンサ21によって所定のサンプリングレートによって取得されたAE信号Sを取得する。尚、信号取得部31が取得する図5に示したAE信号Sは、フィルタ処理等が施されていない生波形であり、一連の研削加工工程、即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウトについて観察された波形である。
全体実効値演算部32は、信号取得部31によって取得されたAE信号S(図5に示す生波形)の全体、即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウトの全ての研削加工工程を経て得られたAE信号Sの信号時間の平均的な大きさ(強度)を表す実効値J1を算出する。尚、実効値J1は、周知の計算式に従い算出される値であり、rms(root mean square)値とも称される。ここで、実効値J1は、図6に示すように、例えば、粗さ計2によって実測された表面粗さSjが大きくなるにつれて、徐々に小さくなる傾向を有する。
周波数領域実効値演算部33は、信号取得部31によって取得されたAE信号Sのうちの高周波数領域における実効値J2を算出する。このため、周波数領域実効値演算部33は、フィルタ処理によって得られたAE信号Sの高周波数領域において、例えば、1MHzにおける実効値J2を算出する。
比率演算部34は、周波数領域実効値演算部33によって算出された高周波数領域(例えば、1MHz)の実効値J2を、全体実効値演算部32によって算出されたAE信号Sの全体の実効値J1で除することにより基準化された比率K(=J2/J1)を算出する。これにより、比率演算部34は、実効値J2を全体の実効値J1で除することにより、AE信号Sの評価における外乱等の影響を抑制する即ち基準化した比率Kを算出することができる。
ここで、比率Kと研削加工面W1の加工状態即ち推定される表面粗さSsとの相関関係は、図7に示すように、比率Kが大きくなるにつれて推定される表面粗さSsが大きくなる、即ち、研削加工面W1が粗くなる傾向を有し、比率Kが小さくなるにつれて推定される表面粗さSsが小さくなる、即ち、研削加工面W1が滑らかになる傾向を有する。換言すれば、比率Kが小さいうちは推定される表面粗さSsが小さくて砥石車46の劣化が進行しておらず、比率Kが大きくなるにつれて推定される表面粗さSsが大きくなって砥石車46の劣化が進む傾向を有する。
判定部35は、比率演算部34によって算出された比率K(即ち、推定された表面粗さSs)が、研削加工工程ごとに予め設定された基準値Kr以上であるか否かを判定する。尚、本例においては、基準値Krを用いて判定する場合を例示するが、例えば、比率Kの変化率を用いて判定することも可能である。
即ち、判定部35は、比率Kが基準値Kr以上であれば、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化が進んでおり、推定される研削加工面W1の表面粗さSsが大きくなって適切に研削加工することができない、つまり、修正が必要であると判定する。一方、判定部35は、比率Kが基準値Kr未満であれば、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化が進んでおらず、推定される研削加工面W1の表面粗さSsが小さく適切に研削加工することができる、つまり、修正が不要であると判定する。
出力部36は、判定部35による判定結果に応じて、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。即ち、出力部36は、判定部35によって砥石車46(工具T)の修正が必要であると判定された場合、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。又、出力部36は、判定部35によって砥石車46(工具T)の修正が不要であると判定された場合、修正信号Rを制御装置12に対して出力しない。
これにより、円筒研削盤40(研削盤11)の制御装置12においては、砥石車46(工具T)の劣化が進んだ場合、即ち、砥石車46(工具T)の修正が必要な場合には、図1に示すように、推定演算装置30から修正信号Rを取得する。そして、制御装置12は、砥石車修正装置48を制御して、砥石車46の修正を行う。即ち、砥石車修正装置48は、砥石車46に対して、ツルーイング又は/及びドレッシングを行う。これにより、適切なタイミングにより、且つ、適切な回数だけ、砥石車46の修正を行うことができる。従って、修正に要する時間を短縮することができると共に、修正に要するコストも低減できる。
以上の説明からも理解できるように、本例の加工状態推定システム1によれば、AE信号Sにおける高周波数領域の比率Kを用いて、工作物Wの研削加工面W1における加工状態である表面粗さSsを工作物Wの研削加工中にリアルタイムで精度良く推定することができる。そして、加工状態推定システム1は、推定された表面粗さSsを用いて、研削加工面W1を研削加工する研削装置10である円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化の進行具合、即ち、砥石車46(工具T)による加工状態を判定して、修正信号Rを出力することができる。
これにより、工作機械である研削装置10、具体的には、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46の状態を常に管理することができる。従って、研削装置10による工作物Wの研削加工精度を向上させることができる。
又、研削装置10の制御装置12は、修正信号Rを取得したタイミングにおいて、砥石車修正装置48を制御し、砥石車46をツルーイング又は/及びドレッシングして修正することができる。従って、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)を過度に修正したり、修正が遅れたりすることを防止することができる。これにより、砥石車46を修正するために要する修正時間を短縮することができると共に、砥石車46を修正するためのコストを低減することができる。
(5.別例)
上述した本例においては、加工状態推定システム1は、研削装置10が研削盤11としての円筒研削盤40を備えるようにした。そして、加工状態推定システム1は、円筒研削盤40によって研削加工される軸状部材である工作物Wの研削加工面W1の加工状態即ち表面粗さSsを推定するようにした。
又、上述した本例においては、加工状態推定システム1は、研削装置10によって工作物Wが研削加工された際の加工状態を推定するようにした。しかし、加工状態推定システム1は、切削装置によって工作物Wが切削加工された際の加工状態を推定することも可能である。
又、加工状態は、表面粗さに限定されない。加工状態推定システム1は、例えば、工具Tが工作物Wに接触することによって形成される形状(外形線や内形線、段差)等についても、推定演算装置30がAE信号Sを用いて加工状態として形状等を正確に推定することができる。
又、上述した本例においては、推定演算装置30は、推定した表面粗さSsに基づいて、工具Tを修正するための修正信号Rを出力するようにした。しかしながら、推定演算装置30は、推定した表面粗さSsに基づいて、工作機械が工具Tを用いて工作物Wを加工する加工条件を適正に変更するための信号を出力することもできる。これにより、工作機械においては、出力された信号を取得することにより、加工条件を適正に変更して工作物Wを精度良く加工することができる。
更に、上述した本例においては、観測装置20が工作機械である円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材である心押台43に設けられたAEセンサ21を備え、砥石車46(工具T)と工作物Wとが接触して工作物Wの研削加工面W1を研削加工する際に発生するAE信号Sを取得するようにした。そして、取得したAE信号Sを用いて、研削加工面W1の加工状態としての表面粗さSs、ひいては砥石車46(工具T)による加工状態を推定するようにした。
しかしながら、観測装置20が観測するAEとしては、心押台43を含む円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材から伝播するAE信号Sを取得することに限られるものではない。観測装置20は、例えば、円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材以外を介して取得したAE信号に基づいて、研削加工面W1の加工状態としての表面粗さSs、換言すれば、砥石車46(工具T)による加工状態を推定することも可能である。
1…加工状態推定システム、2…粗さ計、10…研削装置、11…研削盤、12…制御装置、20…観測装置、21…AEセンサ、30…推定演算装置、31…信号取得部、32…全体実効値演算部、33…周波数領域実効値演算部、34…比率演算部、35…判定部、36…出力部、40…円筒研削盤、41…ベッド、42…主軸台、42a…モータ、43…心押台、44…トラバースベース、44a…モータ、45…砥石台、45a…モータ、46…砥石車、46a…モータ、47…定寸装置、47a…送り機構、48…砥石車修正装置、49…クーラント装置、J1…実効値、J2…実効値、K…比率、Kr…基準値、R…修正信号、S…AE信号、T…工具、W…工作物、W1…研削加工面

Claims (5)

  1. 工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、前記工具が前記工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法であって、
    前記工具による前記工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッションを観測し、
    観測された前記アコースティックエミッションを表すアコースティックエミッション信号の一部の周波数領域の実効値を、前記アコースティックエミッション信号の全体の実効値で除することにより基準化して、前記加工状態と相関関係にある比率を算出し、
    前記比率を用いて、前記比率と相関関係にある前記加工状態を推定する、加工状態推定方法。
  2. 推定された前記加工状態に基づいて、前記工具を修正するタイミングを設定する、又は、前記工作機械が前記工具を用いて前記工作物を加工する加工条件を変更する、請求項1に記載の加工状態推定方法。
  3. 前記工作機械は、前記工具としての砥石を有し、前記砥石により前記工作物を研削加工する研削装置である、請求項1又は2に記載の加工状態推定方法。
  4. 前記加工状態は、表面粗さとして推定される、請求項1-3の何れか一項に記載の加工状態推定方法。
  5. 工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、前記工具が前記工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定システムであって、
    前記工具による前記工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッションを観測する観測装置を有すると共に、
    前記観測装置から観測された前記アコースティックエミッションを表すアコースティックエミッション信号を取得する信号取得部と、
    前記信号取得部によって取得された前記アコースティックエミッション信号の全体の実効値を算出する全体実効値演算部と、
    前記信号取得部によって取得された前記アコースティックエミッション信号の一部の周波数領域の実効値を算出する周波数領域実効値演算部と、
    前記周波数領域実効値演算部によって算出された実効値を、前記全体実効値演算部によって算出された実効値で除することにより基準化して、前記加工状態と相関関係にある比率を算出する比率演算部と、を有して、前記比率演算部によって算出された前記比率と相関関係にある前記加工状態を推定する推定演算装置と、
    を備えた、加工状態推定システム。
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