JP7413109B2 - 研削加工不具合予知装置 - Google Patents

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本発明は、被削材が研削砥石により研削される研削加工において、表面粗さの悪化や形状崩れを予知する研削加工不具合予知装置に関するものである。
研削加工装置において被削材を研削砥石により研削加工中に砥粒の破砕や作用砥粒数が変化して、予測に反して被削材の表面粗さが悪化したり、形状崩れが発生したりする場合がある。このような場合には、研削加工中の被削材が不良品となることが避けられなかった。
これに対して、研削砥石に含まれる砥粒などの破砕に関連して発生する破砕振動を表すAE信号(acoustic emission signal:周波数がたとえば100kHz以上の超音波領域である振動波)を検出し、そのAE信号に基づいて研削焼け、目詰まり、砥石の切れ味、砥石周面状態などの研削工具の研削面状態を判定し或いは監視する装置が提案されている。
たとえば、特許文献1には、ビトリファイド研削砥石において発生する研削砥石側AE信号を検出するための研削砥石側AEセンサと、被削材において発生する被削材側AE信号を検出するための被削材側AEセンサと、前記研削砥石側AE信号および被削材側AE信号を周波数解析する周波数解析手段とを備え、その周波数解析手段によりそれぞれ周波数解析された研削砥石側AE信号および被削材側AE信号に基づいて、前記ビトリファイド研削砥石の研削面状態を判定することで、研削砥石の研削面状態の判定或いは評価の精度が充分に得られる研削面状態評価装置が提案されている。
上記従来の研削面状態評価装置では、ビトリファイド研削砥石に関して、研削砥石側AEセンサから出力される研削砥石側AE信号は、砥粒と無機結合材との界面剥離(100kHzから2MHz)、砥粒自体のクラック(100kHzから2MHz)、無機結合材自体のクラック(100kHzから2MHz)を表し、被削材側AEセンサから出力される被削材側AE信号は、被削材の塑性変形(100kHzから800kHz)、被削材の脆性破壊(200kHzから700kH)を表すとされており、それら研削砥石側AE信号および被削材側AE信号から周波数解析により得られた本来のAE信号がニューラルネットワークに入力されることで、たとえば研削砥石の研削焼けや表面状態が判定される。
特開2000-233369号公報
しかしながら、上記従来の研削面状態評価装置では、研削工具側AE信号が幅広い周波数帯、たとえば100kHzから2MHzの周波数帯で検出されるものであるため、研削工具側AE信号に含まれる複数種類の情報、たとえば砥粒自体の破砕および砥粒と被削材との接触による摩擦や弾性振動を、それぞれ独立して検出することができなかった。このため、それらを定量的に評価することができず、研削加工中に砥粒の破砕や作用砥粒数が変化して、予測に反して被削材の表面粗さが悪化したり、形状崩れが発生したりすることが予測できなかった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、研削加工中に被削材の表面粗さが悪化したり、形状崩れが発生したりすることが予測でき、研削歩留りを向上させることができる研削加工不具合予知装置を提供することにある。
本発明者は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、AEセンサから出力されるAE信号を高速且つ高分解能のAD変換器を用いてデジタル化した後、周波数解析(FFT)すると、パワースペクトラムのうち100kHzよりも低い周波数帯において、相対的に低周波数の第1周波数帯のピーク信号群と、第1周波数帯よりも相対的に高周波の第2周波数帯のピーク信号群とが、周波数軸上において明確に現れ、第1周波数帯のピーク信号群の第1信号強度、および、第1信号強度と第2周波数帯のピーク信号群の第2信号強度との信号強度比が、それぞれ研削加工中の表面粗さの悪化に先立って変化するという事実を見いだした。本発明は、斯かる知見に基づいて為されたものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは、(a)被削材を研削する砥粒を含む研削砥石による被削材の研削加工中の加工不具合を予測する研削加工不具合予知装置であって、前記研削加工中に前記研削砥石において発生するAE信号を検出するAEセンサと、前記AEセンサから出力されるAE信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器によりデジタル信号に変換されたAE信号を周波数解析してパワースペクトラムを得る周波数解析部と、前記周波数解析部により得られたパワースペクトラムのうちの100kHz以下の周波数領域において、第1周波数帯の第1信号強度の変化に基づいて、または、前記第1信号強度と第2周波数帯の第2信号強度との信号強度比の変化に基づいて、前記研削加工中の加工不具合の発生を予測する加工不具合予知部とを含むことにある。
本発明の研削加工不具合予知装置によれば、第1周波数帯の第1信号強度の変化に基づいて、または、前記第1信号強度と第2周波数帯の第2信号強度との信号強度比の変化に基づいて、前記研削加工中の加工不具合の発生を予測する加工不具合予知部を備えているので、研削加工中の表面粗さの悪化に先立って、被削材の研削加工中の加工不具合が予測される。これにより、研削加工中の被削材が不良品となることが低減されるので、研削歩留りが向上する。
ここで、好適には、前記研削加工不具合予知装置において、予め研削試験を行なって、前記研削加工中の研削不具合を予測するための不具合予知判定閾値を予め設定する判定閾値設定部を有し、前記加工不具合予知部は、前記信号強度比が前記判定閾値設定部により予め設定された前記不具合予知判定閾値を超えたことに基づいて前記加工不具合の発生を予測するものである。このように、前記信号強度比が前記判定閾値設定部により予め設定された前記不具合予知判定閾値を超えたことに基づいて前記研削加工中の加工不具合の発生が予測されるので、直ちに研削加工を停止することで、研削加工中の被削材が不良品となることが低減されるので、研削歩留りが向上する。
また、好適には、前記研削加工不具合予知装置において、前記第1周波数帯は、25から40kHzの周波数帯の少なくとも一部(たとえば第1周波数帯の中心周波数)を含む周波数帯であり、前記第2周波数帯は、45から65kHzの周波数帯の少なくとも一部(たとえば第2周波数帯の中心周波数)を含む周波数帯であることにある。このようにすれば、前記研削砥石の砥粒破砕に由来する第1周波数帯の第1信号強度、或いは、前記第1信号強度と前記研削砥石の砥粒と被削材の接触(擦れ)に由来する第2周波数帯の第2信号強度とを用いて、前記研削砥石による被削材の表面粗さの悪化を正確に予測することができる。
また、好適には、前記研削加工不具合予知装置において、前記第1周波数帯は、25から40kHzの周波数帯であり、前記第2周波数帯は、45から65kHzの周波数帯であることにある。このようにすれば、前記研削砥石の砥粒破砕に由来する第1周波数帯の第1信号強度、或いは、前記第1信号強度と前記研削砥石の砥粒と被削材の接触(擦れ)に由来する第2周波数帯の第2信号強度とを用いて、前記研削砥石による被削材の表面粗さの悪化を正確に予測することができる。
また、好適には、前記研削加工不具合予知装置において、前記A/D変換器のサンプリング周期は、10μ秒以下、好適には5μ秒以下、さらに好適には1μ秒以下である。このように、高い分解能を有するA/D変換器によれば、AE信号を周波数解析したパワースペクトラムの100kHz以下の領域から、前記研削砥石の砥粒破砕に由来する第1周波数帯の第1信号強度、および前記研削砥石の砥粒と被削材の接触(擦れ)に由来する第2周波数帯の第2信号強度が好適に得られる。
本発明の一実施例の研削加工不具合予知装置を備える研削加工装置の構成を説明する図である。 図1の研削加工装置による研削面状態における電着ホイールから得られるAE信号の発生メカニズムを説明する図である。 図1の研削面状態を示す第1信号強度SP1および第2信号強度SP2ならびに信号強度比SR(=SP1/SP2)を、図1の面状態表示装置に表示した表示例を示す図である。 CBNビトリファイド砥石を用いて被削材を研削したときに発生したAE波から得られたパワースペクトラムを示す図である。 CBN電着ホイールを用いて被削材を研削したときに発生したAE波から得られたパワースペクトラムを示す図である。 CBN電着ホイールを用いて繰り返し研削を行なったときに、第1周波数帯B1から得られる第1信号強度SP1、およびCBN電着ホイールの単位面積当たりの累積破砕砥粒数(粒/mm)の変化を示す折線グラフである。 CBN電着ホイールを用いて繰返し研削を行なったときに、第2周波数帯B2から得られる第2信号強度SP2およびCBN電着ホイールの砥粒の作用面積率(%)の変化を示すグラフである。 CBN電着ホイールを用いて繰り返し研削を行ったときに研削加工回数すなわちカット数に対して、研削加工された被削材の表面粗さRaおよび第1周波数帯B1の第1信号強度SP1の値の推移を示す図である。 CBN電着ホイールを用いて繰り返し研削を行ったときに研削加工毎すなわちカット毎に、CBN電着ホイールを駆動するモータの駆動電力波形と、第1周波数帯B1の第1信号強度SP1と、表面粗さRaとを示す図である。 図1の研削加工装置に備えられる演算制御装置による研削加工の不具合発生を予知する制御作動の要部を説明するフローチャートを示す図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の研削加工不具合予知装置10を備え、研削面評価装置としても機能する研削加工装置12の構成を説明する図である。図1において、研削加工装置12には、溶融アルミナ系砥粒、炭化珪素系砥粒、セラミックス砥粒などの一般砥粒や、CBN砥粒、ダイヤモンド砥粒などの超砥粒などを含む、ビトリファイド砥石、レジノイド砥石、メタルボンド砥石、電着ホイール等の研削砥石が用いられる。本実施例においては、研削砥石として、図1に示す研削ホイール14が用いられる。研削ホイール14は、円筒状或いはドラム状の金属コアすなわち本体18の外周面に固設された砥石部16を有しており、主軸駆動モータ62により回転駆動される回転軸に装着される。研削ホイール14は、たとえば80m/秒程度以上の比較的高い周速度で駆動され、たとえば柱状の被削材(ワーク)44の表面を研削する。
研削加工不具合予知装置10は、AEセンサ22と、プリアンプ24と、プリアンプ24により増幅されたAE信号SAEを所定の搬送波を用いて送信する送信回路26と、送信回路26から送信されたAE信号SAEを受信するためのアンテナ28を有する受信回路30と、バンドパスフィルタ32と、A/D変換器34と、演算制御装置36とを、備えている。AEセンサ22は、砥石部16に含まれる砥粒38の破砕時に発生し且つ砥石部16内を伝播するたとえば20kHz以上の超音波領域である極めて周波数の高い破砕振動(acoustic emission)を砥石部16の内周面から検出し、その破砕振動を表すアナログの電気信号であるAE信号SAEを出力する。プリアンプ24は、AEセンサ22から出力されたAE信号SAEを増幅する。バンドパスフィルタ32は、受信回路30により受信された搬送波を通過させる所定の通過周波数帯を備える。A/D変換器34は、搬送波から復調されたAE信号SAEをデジタル信号に変換する。演算制御装置36は、デジタル信号に変換されたAE信号SAEを処理する。
上記のAEセンサ22、プリアンプ24、および、送信回路26は、研削ホイール14の本体18内に設けられている。A/D変換器34は、高分解能を有し、たとえば10μ秒(マイクロ秒)以下のサンプリング周期、好適には5μ秒以下のサンプリング周期、さらに好適には1μ秒以下のサンプリング周期で、AE信号SAEをデジタル信号に変換する。A/D変換器34のサンプリング周期は、短くなるほど(高速となるほど)、砥粒破砕に由来する第1周波数帯B1および砥粒38と被削材44との接触に由来する第2周波数帯B2が明確となる。
研削ホイール14の砥石部16は、たとえば図2に示すように、砥粒38と、それら砥粒38を結合するニッケル等の金属メッキ40とから成るよく知られた電着ホイール組織から構成されており、被削材44との摺接によって、砥粒38自体のクラックCaすなわち破砕の発生に由来する第1周波数帯B1の振動、砥粒38および被削材44との接触すなわちこすれCbによって発生する摩擦振動或いは弾性振動に由来する第2周波数帯B2の振動が発生し、それらの振動を含む破砕振動すなわちAE波が、AEセンサ22によって検出される。
図1の演算制御装置36は、CPU、ROM、RAM、インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理することにより、研削面状態を判定するための、研削面状態を表す数値、グラフ、或いは図形などを算出し、研削面状態表示装置としても機能する面状態表示装置48から出力させるとともに、研削制御装置72へ送信する。
研削加工不具合予知装置10の演算制御装置36は、周波数解析部50、研削面状態出力部52、ドレッシング面状態出力部54、判定閾値設定部56、および加工不具合予知部58を機能的に備えている。周波数解析部50は、被削材44の研削加工中或いは研削ホイール14のドレッシング中において、A/D変換器34から入力されたAE信号SAEの周波数解析(FFT)を行なって、信号パワーを示す縦軸と周波数を示す横軸との二次元座標において、周波数成分の大きさを示す種々の信号パワーを周波数毎にピーク波形で周波数軸(横軸)上に示すパワースペクトラムを生成する。
研削面状態出力部52は、被削材44の研削加工中において、上記パワースペクトラムから、たとえば32.5kHzを中心部に含む予め設定された第1周波数帯B1、たとえば25から40kHzの第1周波数帯B1についての第1信号強度SP1、および、たとえば55kHzを中心部に含む予め設定された第2周波数帯B2、たとえば45から65kHzの第2周波数帯B2についての第2信号強度SP2と、信号強度比SR(=SP1/SP2)とをそれぞれ算出し、面状態表示装置48に出力する。図3は、面状態表示装置48が液晶画面或いは計器に表示されるレベルメータである場合の、被削材44の研削面状態を表す第1信号強度SP1、第2信号強度SP2、および信号強度比SRの表示例を示している。
ドレッシング面状態出力部54は、ロータリドレッサ46を用いた研削ホイール14のドレッシング中において、上記パワースペクトラムから、たとえば35kHzを中心部に含む予め設定された第1周波数帯B1についての第1信号強度SP1、および、たとえば55kHzを中心部に含む予め設定された第2周波数帯B2についての第2信号強度SP2をそれぞれ算出し、面状態表示装置48へ出力する。第1周波数帯B1は、たとえば25から40kHzの周波数帯である。第2周波数帯B2は、たとえば45から65kHzの周波数帯である。また、第1信号強度SP1および第2信号強度SP2は、たとえば各周波数における振幅(加速度)の実効値を周波数軸に対して積分した振動強度積分値である。
判定閾値設定部56は、たとえば後述する図8或いは図9に示すように、被削材44の研削加工中の第1信号強度SP1の変化、或いは、第1信号強度SP1と第2信号強度SP2との信号強度比SR(=SP1/SP2)の変化と、被削材44に発生する面粗度の荒れとの関係を、研削試験により求め、研削自動制御部74による研削加工に先立って、研削不具合の予知判定をするための不具合予知判定閾値TT1、TT2、ΔTT1、或いは、ΔTT2を予め決定し、設定(記憶)する。
また、加工不具合予知部58は、研削ホイール14を用いた被削材44の研削中において、研削面状態出力部52からの第1信号強度SP1、又は、第1信号強度SP1と第2信号強度SP2との信号強度比SR(=SP1/SP2)が、被削材44の面粗度の荒れに先立って変化する性質を利用して、第1信号強度SP1が不具合予知判定閾値TT1を、信号強度比SRが不具合予知判定閾値TT2を、第1信号強度SP1の単位時間当たりの変化幅ΔSP1が不具合予知判定閾値ΔTT1、または、信号強度比SRの単位時間当たりの変化幅ΔSRが不具合予知判定閾値ΔTT2を、超えたことに基づいて研削加工の不具合発生を予知判定し出力する。
不具合予知判定閾値TT1は、予め実験的に求められた第1信号強度SP1と被削材44に発生する面粗度の荒れとの関係に基づいて、研削加工の不具合を予測できるように予め設定される。同様に、不具合予知判定閾値TT2は、予め実験的に求められた信号強度比SRと被削材44に発生する面粗度の荒れとの関係に基づいて予め設定される。同様に、不具合予知判定閾値ΔTT1は、予め実験的に求められた第1信号強度SP1の単位時間当たりの変化幅ΔSP1と被削材44に発生する面粗度の荒れとの関係に基づいて予め設定される。同様に、不具合予知判定閾値ΔTT2は、予め実験的に求められた信号強度比SRの単位時間当たりの変化幅ΔSRと被削材44に発生する面粗度の荒れとの関係に基づいて予め設定される。
ここで、AEセンサ22によって検出されるAE波から高速且つ高分解能のA/D変換器34を用いてデジタル信号に変換されたAE信号SAEの周波数解析により得られるパワースペクトラムにおいて、第1周波数帯B1内のピーク波形信号群および第2周波数帯B2内のピーク波形信号群の発生要因について、本発明者が行なった研削試験を、以下に説明する。研削試験1は、研削ホイール14としてCBNビトリファイド砥石およびCBN電着ホイールを用いて被削材44を研削した時にそれぞれ得られるパワースペクトラムにおいて、ピーク波形信号群で構成される第1周波数帯B1および第2周波数帯B2の発生状態の検証試験である。
(研削試験1)
第1周波数帯B1および第2周波数帯B2の発生要因を確認するために、以下の研削条件1で、CBNビトリファイド砥石およびCBN電着ホイールによる研削、および、CBNビトリファイド砥石のドレッシングをおこなった。
研削条件1
研削工具: CBNビトリファイド砥石 CB 80N 200 V
直径400mm×厚み30mm
研削工具: CBN電着ホイール CB 80 P
直径400mm×厚み30mm
研削方式: 湿式プランジ研削
研削工具の周速度: 45m/sec(2122rpm)
被削材: SCM435(焼入)
直径50mm×厚み10mm
被削材の周速度: 0.45m/sec
切込み速度: R0.8mm/min
取り代: 切込量R1.04mm(加工前被削材径50mmφ)
研削代断面積で160mm相当
スパークアウト: 10rev.
研削油: SEC700(×50)
流量: 20L/min
ドレッシング工具: ロータリドレッサSD 40 Q 75 M
直径100mm×砥材層厚み1mm
ドレス周速度: Vw=45m/s,Vd=13.5m/s (Vd/Vw=0.3)
ドレスリード: 0.10mm/r.o.w.
ドレス切込量: R0.002mm/pass×10pass
※ドレッシング実施はCBNビトリファイド砥石のみ
図4および図5は、CBNビトリファイド砥石およびCBN電着ホイールが被削材SCM435(焼入)を研削したときに発生したAE波から得られたパワースペクトラムをそれぞれ示している。図5に示すCBN電着ホイールのパワースペクトラムでは、図4に示すCBNビトリファイド砥石のパワースペクトラムと同様に、25~40kHzの第1周波数帯B1と45~65kHzの第2周波数帯B2とが存在している。第1周波数帯B1のピーク波形信号群は、砥粒38の破砕に由来するものと考えられる。しかし、第2周波数帯B2のピーク波形信号群は、砥粒38が金属メッキ40(ニッケルめっき)で結合されているCBN電着ホイールでも発生しているため、ボンドの破砕に由来するものではないと考えられる。
図6は、CBN電着ホイールにより研削試験1の条件で繰り返し研削を行なったカット数(研削回数)を横軸とし、第1周波数帯B1についての第1信号強度SP1および単位面積当たりの累積破砕砥粒数(粒/mm)を縦軸とした二次元座標において、CBN電着ホイールの研削時に発生する第1周波数帯B1から得られる第1信号強度SP1、およびCBN電着ホイールの単位面積当たりの累積破砕砥粒数(粒/mm)の変化を示すグラフである。単位面積当たりの累積破砕砥粒数(粒/mm)は、CBN電着ホイールの研削面を撮像したSEM写真(10kv 0.5mm×50 2.4mm×1.8mm)から二段レプリカによる破砕砥粒定量化手法を用いて算出した。
図6において、CBN電着ホイールの研削面の累積破砕砥粒数は、カット数の増加と共に増加し、カット数が所定値(150カット)に到達した以降は、収束している。第1信号強度SP1はカット数が所定値(約150カット)に到達するまでは振動ピークが多発し、カット数が所定値(約150カット)に到達した以降は、振動ピークが収まり安定した。このことからも、第1周波数帯B1のピーク波形信号群は、砥粒38の破砕に由来するものと考えられる。
図7は、研削試験1の条件で繰り返し研削を行なったカット数(研削回数)を横軸とし、第2周波数帯B2についての第2信号強度SP2および砥粒38の作用面積率(%)を縦軸とした二次元座標において、CBN電着ホイールの研削時に発生する第2周波数帯B2から得られる第2信号強度SP2、およびCBN電着ホイールの砥粒38の作用面積率(%)の変化を示すグラフである。砥粒38の作用面積率(%)は、CBN電着ホイールの研削面を計測したレーザ顕微鏡の3D形状測定結果から最も突出し高さが高い砥粒38を検索し、その砥粒38の先端から10μmの範囲にある砥粒38の分断面積を算出し、その分断面積からその割合を算出した。
図7において、CBN電着ホイールの研削時に発生する第2周波数帯B2から得られる第2信号強度SP2、およびCBN電着ホイールの砥粒38の作用面積率(%)は、共に、カット数の増加に伴って増加し、カット数が所定値(約230カット)に到達した以降は、共に減少した後、その減少が停止する。このことから、第2周波数帯B2のピーク波形信号群は、砥粒38の被削材44に対する作用面積に比例しており、砥粒38と被削材44との接触(摺接)によって発生する摩擦振動或いは弾性振動に由来するものと考えられる。
図1に戻って、研削加工装置12は、研削ホイール14が取り付けられた図示しない主軸を回転駆動する主軸駆動モータ62と、円柱状の被削材44を回転駆動する被削材回転駆動モータ64と、研削ホイール14を円柱状の被削材44の外周面に押し当てるために被削材44を径方向に移動させる被削材移動モータ66と、ロータリドレッサ46を回転駆動するドレッシング工具回転駆動モータ68と、ロータリドレッサ46をその回転中心線C2方向に送るドレッシング工具送りモータ70と、研削制御装置72とを備えている。
研削制御装置72は、演算制御装置36と同様のマイクロコンピュータから構成されており、研削自動制御部74およびドレッシング制御部76を機能的に備えている。研削自動制御部74は、研削開始指令信号を受けると、予め設定された動作で研削ホイール14および被削材44をそれぞれ回転駆動しつつ相対移動させるように、主軸駆動モータ62、被削材回転駆動モータ64、および、被削材移動モータ66を制御して被削材44を研削し、所定の切込量での被削材44の研削が完了すると被削材44の回転を停止させるとともに原位置へ戻す。
演算制御装置36は、被削材44の研削加工の過程において、研削面状態出力部52から出力された実際の第1信号強度SP1、第2信号強度SP2、或いは信号強度比SR(=SP1/SP2)を、面状態表示装置48に表示させる。
本実施例においては、研削加工不具合予知装置10は、AEセンサ22と、A/D変換器34と、周波数解析部50と、研削面状態出力部52と、加工不具合予知部58とを、含むことにより構成される。AEセンサ22は、研削ホイール14のドレッシング中に発生するAE信号SAEを検出する。A/D変換器34は、AEセンサ22から出力されるAE信号SAEをデジタル信号に変換する。
周波数解析部50は、A/D変換器34によりデジタル信号に変換されたAE信号SAEを周波数解析してパワースペクトラムを得る。研削面状態出力部52は、周波数解析部50により得られたパワースペクトラムのうち、第1周波数帯B1の第1信号強度SP1、第2周波数帯B2の第2信号強度SP2、および信号強度比SR(=SP1/SP2)を逐次算出する。
加工不具合予知部58は、研削面状態出力部52により逐次算出された第1周波数帯B1の第1信号強度SP1、第2周波数帯B2の第2信号強度SP2、および信号強度比SR(=SP1/SP2)から、第1信号強度SP1が予め設定された不具合予知判定閾値TT1を超えたことに基づいて、またはその変化率すなわち単位時間当たりの変化幅ΔSP1が予め設定された不具合予知判定閾値ΔTT1を超えたことに基づいて、研削加工の不具合発生を予知判定し、研削加工不具合の予知を行なう。或いは、加工不具合予知部58は、信号強度比SRが予め設定された不具合予知判定閾値TT2を超えたことに基づいて、またはその変化率すなわち単位時間当たりの変化幅ΔSRが予め設定された不具合予知判定閾値ΔTT2を超えたことに基づいて、研削加工の不具合発生を予知判定し、研削加工不具合の予知を行なう。
ドレッシング制御部76は、研削加工不具合予知装置10によって研削加工不具合が予知されると、研削自動制御部74に研削を停止させるとともにドレッシングを開始させる。ドレッシング制御部76によるドレッシングでは、ロータリドレッサ46が、研削ホイール14の円柱状の砥石部16の外周面に予め設定された切込量で切り込まれ且つ研削ホイール14の回転中心線C1に沿って走査させ、走査回数が予め設定された所定数に到達するまで、この動作が繰り返し実行させられる。或いは、電着ホイール等のドレッシングによる目立て作業を前提としない研削ホイール14の場合は機械の動作を停止させ、警告を出して不具合が予知されたことを操作者に伝える。
図8は、研削加工回数すなわちカット数に対して、研削加工された被削材44の表面粗さRa(平均値、△印)および第1周波数帯B1の第1信号強度SP1(◆印)の推移を示している。カット数が0から150の間では第1周波数帯B1の第1信号強度SP1に多くのピークが見られる。これは電着ホイールにおける砥粒に内在するクラックCaを起点に多く破砕することにより発生する。150カットを超えると、第1信号強度SP1のピーク発生は収束している。本発明者は、第1信号強度SP1が収束した150カット以降で、カット数が170付近において第1信号強度SP1が急激に増加してから、その直後に表面粗さRa(μm)が急増(悪化)するという、表面粗さ悪化の予知現象を見出した。これにより、第1信号強度SP1の変化を判定するための不具合予知判定閾値TT1或いはΔTT1を予め設定し、第1信号強度SP1が不具合予知判定閾値TT1を超えたことに基づいて、或いは、第1信号強度SP1の変化幅が不具合予知判定閾値ΔTT1を超えたことに基づいて、研削加工の不具合予知が判定され得る。
また、図9は、カット毎に、研削ホイール14を駆動するモータの駆動電力波形と、表面粗さRa(△印)と、信号強度比SR(○印)とを示したものであるが、本発明者は、信号強度比SRが上昇してから、その直後に表面粗さRaの悪化と消費電力値(kW)の低下とが同時に発生するという、表面粗さ悪化の予知現象を見出した。これにより、信号強度比SRの変化を判定するための不具合予知判定閾値TT2或いはΔTT2を予め設定し、信号強度比SRが予め設定された不具合予知判定閾値TT2を超えたことに基づいて、または、信号強度比SRの変化幅が予め設定された不具合予知判定閾値ΔTT2を超えたことに基づいて、研削加工不具合の予知が行なわれ得る。そして、上記の予知がドレッシング開始加工条件とされることで、自動的にドレッシングが開始されることにより研削加工品質が好適に維持される。また、電着ホイール等のドレッシングによる目立て作業を前提としない研削ホイール14の場合は機械の動作を停止させ、警告を出して不具合が予知されたことを操作者に伝えることにより研削加工品質が好適に維持される。従来では、表面粗さRaが大きくなってからしか、ドレッシングを開始できなかった。
図10は、演算制御装置36による研削加工の不具合発生を予知する制御作動の要部を説明するフローチャートの例であり、所定の制御周期で繰り返し実行される。図10において、ステップS1(以下、ステップを省略する)では、不具合予知判定閾値TT2(或いはΔTT2)が設定済であるか否かが判断される。
S1の判断が肯定される場合は、S4以下が実行されるが、否定される場合は、S2において、予め行われた研削試験時において計測された(すなわち正常時の)AE信号SAEが周波数解析されることにより得られたパワースペクトラムからの、第1周波数帯B1の第1信号強度SP1と第2周波数帯B2の第2信号強度SP2との信号強度比SR(=SP1/SP2)が逐次算出される。
続くS3では、予め行われた研削試験時において表面粗さ悪化が発生したときの直前の信号強度比SRの変化に基づいて、その変化後の値よりも所定値小さい値が不具合予知判定閾値TT2として予め決定される。(或いは、上記信号強度比SRの変化幅よりも所定値小さい変化幅が不具合予知判定閾値ΔTT2として予め決定される。)
次に、研削自動制御部74に対応するS4では、研削ホイール14を用いた被削材44の研削加工が開始される。続いて、研削面状態出力部52に対応するS5、S6、S7、S8が実行される。S5では、研削加工の進行に伴ってAEセンサ22により検出され且つA/D変換器34によりデジタル信号に変換されたAE信号SAEが逐次読み込まれ、S6では、S5により読み込まれたAE信号SAEが逐次周波数解析され、S7では、信号強度比SRが逐次算出される。
そして、S8では、信号強度比SRを平滑化して安定した値が得られるように信号強度比SRの特定時間当たりの移動平均値が算出される。
次いで、加工不具合予知部58に対応するS9において、信号強度比SRの移動平均値が不具合予知判定閾値TT2を超えたか否かが判断される。(或いは、信号強度比SRの移動平均値の変化幅が不具合予知判定閾値ΔTT2を超えたか否かが判断される。)
S9の判断が否定された場合は、S10においてたとえば予め設定されて切込量が達成されて研削加工の完了条件が成立したことに基づいて研削加工の完了であるか否かが判断される。S10の判断が肯定されると、S11において研削加工が自動的に終了させられる。S10の判断が否定された場合は、S5以下が繰り返し実行される。
S9の判断が肯定された場合は、研削加工中に被削材44の表面粗さRaが悪化することが予知された場合であるので、S11において、表面粗さRaの悪化前に研削加工が終了させられる。
上述のように、本実施例の研削加工不具合予知装置10によれば、被削材44を研削する砥粒38を含む研削砥石14による被削材44の研削加工中の加工不具合を予測する研削加工不具合予知装置10であって、研削加工中に研削砥石14において発生するAE信号SAEを検出するAEセンサ22と、AEセンサ22から出力されるAE信号SAEをデジタル信号に変換するA/D変換器34と、A/D変換器34によりデジタル信号に変換されたAE信号SAEを周波数解析してパワースペクトラムを得る周波数解析部50と、周波数解析部50により得られたパワースペクトラムのうちの100kHz以下の周波数領域において、第1周波数帯B1の第1信号強度SP1の変化に基づいて、または、第1信号強度SP1と第2周波数帯B2の第2信号強度SP2との信号強度比SRの変化に基づいて、研削加工中の加工不具合の発生を予測する加工不具合予知部58とを備えているので、研削加工中の被削材44の表面粗さRaの悪化に先立って、被削材44の研削加工中の加工不具合が予測される。これにより、研削加工中の被削材44が不良品となることが低減されるので、研削歩留りが向上する。
また、本実施例の研削加工不具合予知装置10によれば、予め研削試験を行なって、前記研削加工中の研削不具合を判定するための不具合予知判定閾値TT1,TT2,ΔTT1,ΔTT2を予め設定する判定閾値設定部56を有し、加工不具合予知部58は、第1信号強度SP1または信号強度比SRが判定閾値設定部56により予め設定された不具合予知判定閾値TT1,TT2を超えたことに基づいて、或いは、第1信号強度SP1の変化値または信号強度比SRの変化値が判定閾値設定部56により予め設定された不具合予知判定閾値ΔTT1,ΔTT2を超えたことに基づいて、研削加工中の加工不具合の発生を予測するものである。このように、第1信号強度SP1または信号強度比SRが判定閾値設定部56により予め設定された不具合予知判定閾値TT1,TT2を超えたことに基づいて、或いは、第1信号強度SP1の変化値または信号強度比SRの変化値が判定閾値設定部56により予め設定された不具合予知判定閾値ΔTT1,ΔTT2を超えたことに基づいて、研削加工中の被削材44の加工不具合の発生が予測されるので、直ちに研削加工を停止することで、研削加工中の被削材44が不良品となることが低減されるので、研削歩留りが向上する。
また、本実施例の研削加工不具合予知装置10によれば、第1周波数帯B1は、25から40kHzの周波数帯の少なくとも一部(たとえば第1周波数帯B1の中心周波数)を含む周波数帯であり、第2周波数帯B2は、45から65kHzの周波数帯の少なくとも一部(たとえば第2周波数帯B2の中心周波数)を含む周波数帯である。このようにすれば、研削ホイール14の砥粒破砕に由来する第1周波数帯B1の第1信号強度SP1の変化、および、第1信号強度SP1と研削ホイール14の砥粒38と被削材44の接触に由来する第2周波数帯B2の第2信号強度SP2との信号強度比SRの変化に基づいて、研削ホイール14による被削材44の表面粗さRaの悪化を正確に予測することができる。
また、本実施例の研削加工不具合予知装置10によれば、第1周波数帯B1は、25から40kHzの周波数帯であり、第2周波数帯B2は、45から65kHzの周波数帯であることにある。このようにすれば、研削ホイール14の砥粒破砕に由来する第1周波数帯B1の第1信号強度SP1の変化に基づいて、または、第1信号強度SP1と研削ホイール14の砥粒38と被削材44の接触に由来する第2周波数帯B2の第2信号強度SP2との信号強度比SRの変化に基づいて、研削ホイール14による被削材44の表面粗さRaの悪化を正確に予測することができる。
また、本実施例の研削加工不具合予知装置10によれば、A/D変換器34のサンプリング周期は、10μ秒以下、好適には5μ秒以下、さらに好適には1μ秒以下である。このように、高い分解能を有するA/D変換器34によれば、AE信号SAEを周波数解析したパワースペクトラムのうちの100kHz以下の周波数領域から、研削ホイール14の砥粒破砕に由来する第1周波数帯B1の第1信号強度SP1の変化に基づいて、または、第1信号強度SP1と研削ホイール14の砥粒38と被削材44との接触により発生する摩擦振動或いは弾性振動に関連する第2周波数帯B2の第2信号強度SP2との信号強度比SRの変化が好適に得られる。
以上、本発明の一実施例を図面を用いて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例において、周波数解析部50によりAE信号SAEから生成されたパワースペクトラムの100kHz以下の領域から、砥粒破砕に由来する第1周波数帯B1の第1信号強度SP1と研削ホイール14の砥粒38と被削材44との接触により発生する摩擦振動或いは弾性振動に関連する第2周波数帯B2の第2信号強度SP2が用いられている。第1周波数帯B1としては25から40kHzが用いられ、第2周波数帯B2としては45から65kHzが用いられていた。しかし、パワースペクトラムのうちの砥粒破砕を主として表す周波数帯および研削ホイール14の砥粒38と被削材44の接触に由来する第2周波数帯を主として表す周波数帯が用いられればよいので、第1周波数帯B1としては、25から40kHzに含まれる周波数或いは周波数帯の一部を含む周波数帯の信号強度が用いられ、第1周波数帯B1よりも高周波数の第2周波数帯B2としては45から65kHzに含まれる周波数或いは周波数帯の一部を含む周波数帯の信号強度が用いられればよい。たとえば、第1周波数帯B1としては、25から40kHzの周波数帯の一部たとえば32.5kHzを中心部に含む相対的に狭い周波数帯が、第2周波数帯B2としては、45から65kHzの周波数帯の一部たとえば55kHzを中心部に含む相対的に狭い周波数帯が用いられてもよい。
前述の実施例では、AEセンサ22は研削ホイール14に内蔵されていたが、たとえば直方体状であるために被削材44が非回転状態で研削ホイール14によって研削される場合には、被削材44を支持する支持台に設けられていてもよい。
また、前述の実施例では、研削ホイール14として、本体18の外周面に電着砥石から成る砥石部16が固着された形式の電着ホイールが用いられていたが、その研削ホイール14に替えて、金属コアすなわち本体18を用いない一般砥石が用いられる場合には、AEセンサ22が内蔵されていれば、全体がビトリファイド砥石などから構成されていてもよい。また、全体がビトリファイド砥石から構成されている場合には、その一般砥石を主軸に固定するフランジと一般砥石との間に挟持されるスペーサ内に、AEセンサ22、プリアンプ24、送信回路26が設けられていてもよい。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
10:研削加工不具合予知装置
14:研削ホイール(研削砥石)
22:AEセンサ
34:A/D変換器
50:周波数解析部
56:判定閾値設定部
58:加工不具合予知部
B1:第1周波数帯
B2:第2周波数帯
SAE:AE信号
SP1:第1信号強度
SP2:第2信号強度
SR:信号強度比
TT1:不具合予知判定閾値
TT2:不具合予知判定閾値
ΔTT1:不具合予知判定閾値
ΔTT2:不具合予知判定閾値

Claims (5)

  1. 被削材を研削する砥粒を含む研削砥石による研削加工中の加工不具合を予測する研削加工不具合予知装置であって、
    前記研削加工中に前記研削砥石において発生するAE信号を検出するAEセンサと、
    前記AEセンサから出力されるAE信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
    前記A/D変換器によりデジタル信号に変換されたAE信号を周波数解析してパワースペクトラムを得る周波数解析部と、
    前記周波数解析部により得られたパワースペクトラムのうちの100kHz以下の周波数領域において、第1周波数帯の第1信号強度の変化に基づいて、または、前記第1信号強度と第2周波数帯の第2信号強度との信号強度比の変化に基づいて、前記研削加工中の加工不具合の発生を予測する加工不具合予知部とを含む
    ことを特徴とする研削加工不具合予知装置。
  2. 予め研削試験を行なって、前記研削加工中の研削不具合を予測するための不具合予知判定閾値を予め設定する判定閾値設定部を有し、
    前記加工不具合予知部は、前記信号強度比が前記判定閾値設定部により予め設定された前記不具合予知判定閾値を超えたことに基づいて前記加工不具合の発生を予測するものである
    ことを特徴とする請求項1の研削加工不具合予知装置。
  3. 前記第1周波数帯は、25から40kHzの周波数帯の少なくとも一部を含む周波数帯であり、前記第2周波数帯は、45から65kHzの周波数帯の少なくとも一部を含む周波数帯であることにある
    ことを特徴とする請求項1または2の研削加工不具合予知装置。
  4. 前記第1周波数帯は、25から40kHzの周波数帯であり、前記第2周波数帯は、45から65kHzの周波数帯である
    ことを特徴とする請求項3の研削加工不具合予知装置。
  5. 前記A/D変換器のサンプリング周期は、10μ秒以下である
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の研削加工不具合予知装置。
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