JP2022147692A - 加工状態推定方法及び加工状態推定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】加工状態を精度良く推定することができる加工状態推定方法及び加工状態推定システムを提供すること。【解決手段】加工状態推定システム1は、観測装置20及び推定演算装置30を備える。推定演算装置30は、観測装置20からAE信号Sを取得する信号取得部31と、AE信号Sについて複数の周波数帯域の各々の実効値Jを算出する周波数帯域実効値演算部34と、実効値Jと加工状態との間の相関関係に基づいて、加工状態として表面粗さを推定する表面粗さ推定部36と、を有する。【選択図】図4
Description
本発明は、加工状態推定方法及び加工状態推定システムに関する。
一般に、工作機械の工具を用いて工作物を加工する場合、工具の劣化が生じて加工精度の低下が生じる虞がある。従って、工具の劣化を管理し、工具の修正を適宜行うことにより、工作物の加工精度を維持することは極めて肝要である。このため、従来から、特許文献1及び特許文献2には、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッション(Acoustic Emission:AE)を表すアコースティックエミッション信号(以下、「AE信号」と称呼する。)を取得し、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する技術が開示されている。
上述した従来の技術によれば、工具による工作物の加工中に取得されるAE信号を取得し、取得したAE信号を解析することによって加工状態を推定することができる。これにより、推定される加工状態に基づいて工具を修正するタイミングを設定することが可能である。
ところで、上述した従来の技術においては、取得したAE信号には加工等に伴って発生する外乱等が重畳しており、加工状態の推定精度を十分に確保できない。工具を修正する場合、修正に要する時間や修正に要するコストが必要になるため、加工状態を推定する際の推定精度を向上させることは重要である。従って、AE信号を用いて加工状態を推定する場合には、取得したAE信号に含まれている加工状態との関連性の高い情報を用いて、加工状態の推定精度を向上させることが望まれる。
本発明は、関連性の高い情報を用いて加工状態を精度良く推定することができる加工状態推定方法及び加工状態推定システムを提供することを目的とする。
(加工状態推定方法)
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法は、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測し、観測されたAEを表すAE信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出し、実効値と加工状態との間の相関関係に基づいて加工面の加工状態を推定する。
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法は、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測し、観測されたAEを表すAE信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出し、実効値と加工状態との間の相関関係に基づいて加工面の加工状態を推定する。
(加工状態推定システム)
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定システムは、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測する観測装置を有すると共に、観測装置から観測されたAEを表すAE信号を取得する信号取得部と、信号取得部によって取得されたAE信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出する実効値演算部と、実効値演算部によって算出された実効値と加工状態との間の相関関係に基づいて、加工状態を推定する推定部と、を有する推定演算装置と、を備える。
工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、工具が工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定システムは、工具による工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するAEを観測する観測装置を有すると共に、観測装置から観測されたAEを表すAE信号を取得する信号取得部と、信号取得部によって取得されたAE信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出する実効値演算部と、実効値演算部によって算出された実効値と加工状態との間の相関関係に基づいて、加工状態を推定する推定部と、を有する推定演算装置と、を備える。
これらによれば、AE信号の周波数帯域の実効値を用いて、工具が工作物を加工した際の加工状態を精度良く推定することができる。又、加工状態推定システムは、推定された加工状態を用いて、工作物を加工する工作機械の工具の劣化状態も精度良く推定することができる。これにより、工作機械においては、良好な加工精度を維持することができると共に、適切なタイミングにおいて工具を修正することができる。
従って、工作機械の工具を過度に修正したり、修正が遅れたりすることを防止することができる。これにより、工具を修正するために要する修正時間を短縮することができると共に、工具を修正するためのコストを低減することができる。
(1.加工状態推定システムの適用対象の工作機械)
加工状態推定システムは、工作機械の工具によって工作物が加工された際の加工状態を推定する。工作物を加工する工作機械としては、切削加工を行う各種切削装置(例えば、歯車加工装置やマシニングセンタ等)、研削加工を行う各種研削装置(例えば、円筒研削盤やカム研削盤、平面研削盤等)を挙げることができる。
加工状態推定システムは、工作機械の工具によって工作物が加工された際の加工状態を推定する。工作物を加工する工作機械としては、切削加工を行う各種切削装置(例えば、歯車加工装置やマシニングセンタ等)、研削加工を行う各種研削装置(例えば、円筒研削盤やカム研削盤、平面研削盤等)を挙げることができる。
本例においては、工作機械として、粗研削、精研削、微研削、スパークアウト等の研削加工を経て工作物を研削する研削装置を例示する。ここで、研削装置によって研削加工される工作物としては、例えば、単純軸状部材や、クランクシャフト、カムシャフト、平板等を挙げることができる。尚、本例の工作物としては、後述するように、円筒研削盤によって断面円形の単純軸状部材が研削加工される場合を例示する。
(2.加工状態推定システム1の構成の概要)
次に、加工状態推定システム1の構成の概要について、図1を参照して説明する。加工状態推定システム1は、少なくとも1台の研削装置10と、観測装置20と、少なくとも1つの推定演算装置30とを備える。研削装置10は、1台を対象としても良いし、図1に示すように、複数台を対象としても良い。
次に、加工状態推定システム1の構成の概要について、図1を参照して説明する。加工状態推定システム1は、少なくとも1台の研削装置10と、観測装置20と、少なくとも1つの推定演算装置30とを備える。研削装置10は、1台を対象としても良いし、図1に示すように、複数台を対象としても良い。
本例の加工状態推定システム1は、複数台の研削装置10を備える場合を例示する。そして、本例の加工状態推定システム1は、各々の研削装置10に観測装置20が設けられると共に、研削装置10の各々に設けられた複数の推定演算装置30を備える場合を例に挙げる。尚、本例では、推定演算装置30は、各々の研削装置10に一対一で設けられて、所謂、エッジコンピュータとして機能し、高速演算処理を実現可能としている。
研削装置10は、粗研削、精研削、微研削、スパークアウト等の研削加工を経て工作物Wを研削加工する。研削装置10には、少なくとも、工作物Wの研削加工面W1の研削加工中におけるAEを観測する観測装置20が設けられている。
観測装置20は、研削装置10が工作物Wの研削加工面W1の研削加工中に観測されるAE信号Sを取得する。このため、本例の観測装置20は、AE信号を検出するAEセンサ21を備える。そして、本例の観測装置20は、検出するAEセンサ21によって取得されたAE信号を推定演算装置30に出力する。
推定演算装置30は、観測装置20から出力されたAE信号Sについて、時間分割すると共に複数の周波数帯域に分割し、各々の周波数帯域における実効値を算出する。そして、推定演算装置30は、複数の周波数帯域における実効値を用いて各種統計演算量を算出し、各種統計演算量のうちから選定したパラメータを重回帰分析することにより、研削加工面W1の表面粗さを推定する。
ここで、推定演算装置30によって統計演算される各種統計演算量、即ち、重回帰分析に用いられるパラメータとしては、例えば、ピーク値、平均値、標準偏差、尖り度、歪度を例示することができる。更に、その他の各種統計演算量(パラメータ)としては、実効値(AE信号等の交流波形においては標準偏差に略等しい)、波高率(所謂クレストファクタであって、ピーク値を実効値で除した値)、波形率(実効値を平均値で除した値)を例示することができる。又、重回帰分析することによって得られる相関関係は、推定する研削加工面W1の表面粗さを目的変数とし、AE信号Sから得られる実効値及び実験的に予め粗さ計2により実測された表面粗さ(実粗さ値)を説明変数とした相関を表す。
(3.加工状態推定システム1の構成の詳細)
加工状態推定システム1の構成について、図1を参照して、より詳細に説明する。加工状態推定システム1は、複数台の研削装置10、各々の研削装置10に設けられた観測装置20、各々の研削装置10に設けられた推定演算装置30を備える。
加工状態推定システム1の構成について、図1を参照して、より詳細に説明する。加工状態推定システム1は、複数台の研削装置10、各々の研削装置10に設けられた観測装置20、各々の研削装置10に設けられた推定演算装置30を備える。
研削装置10は、砥石Tを用いて工作物Wの研削加工面W1の研削加工を行う研削盤11と、研削盤11を制御する制御装置12とを主に備える。本例においては、研削盤11として、図2に示すように、砥石台トラバース型の円筒研削盤40を例に挙げる。
円筒研削盤40は、軸状部材である工作物Wの外周面即ち研削加工面W1を研削するための工作機械である。円筒研削盤40は、図2に示すように、主としてベッド41、主軸台42、心押台43、トラバースベース44、砥石台45、砥石車46(砥石T)、定寸装置47、及び、砥石車修正装置48を備える。
ベッド41は、設置面上に固定されている。主軸台42は、ベッド41の上面において、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の一端側(図2の左側)に設けられている。主軸台42は、工作物WをZ軸回りに回転可能に支持する。工作物Wは、主軸台42に設けられたモータ42aの駆動により回転される。
心押台43は、ベッド41の上面において、主軸台42に対してZ軸方向に対向する位置、即ち、X軸方向の手前側(図2の下側)且つZ軸方向の他端側(図2の右側)に設けられている。これにより、工作物Wは、主軸台42及び心押台43によって回転可能に両端支持される。
トラバースベース44は、ベッド41の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。トラバースベース44は、ベッド41に設けられたモータ44aの駆動により移動する。砥石台45は、トラバースベース44の上面において、X軸方向に移動可能に設けられている。砥石台45は、トラバースベース44に設けられたモータ45aの駆動により移動する。砥石車46(工具T)は、砥石台45に回転可能に支持されている。砥石車46は、砥石台45に設けられたモータ46aの駆動により回転する。砥石車46は、複数の砥粒がボンド材により固定されて構成されている。
定寸装置47は、工作物Wの寸法(径)を測定する。定寸装置47は、ベッド41の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。定寸装置47は、ベッド41に設けられた送り機構47aによりZ軸方向の位置が制御される。
砥石車修正装置48は、砥石車46の形状を修正する。即ち、砥石車修正装置48は、砥石車46のツルーイングやドレッシングを行う装置である。ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削加工によって砥石車46に劣化、例えば、摩耗や摩滅、砥粒の脱落、或いは、砥粒の破砕等が生じた場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車46を成形する作業、偏摩耗による砥石車46の振れを取り除く作業である。ドレッシングは、砥石車46の目直し(目立て)作業であり、砥粒の突き出し量を調整する作業、砥粒の切れ刃を創成する作業である。つまり、ドレッシングは、目つぶれや、目詰まり、目こぼれ等を修正する作業であり、通常、ツルーイング後に行われる。
制御装置12は、CNC装置及びPLC装置等を含み、本例においては円筒研削盤40(研削盤11)に設けられる。制御装置12は、工作物Wの形状、加工条件、砥石車46(工具T)の形状、クーラントの供給タイミング情報等の作動指令データに基づいて生成されたNCプログラムに従い、円筒研削盤40における各モータ42a,44a,45a,46a等を制御する。即ち、制御装置12は、動作指令データが入力されることにより、動作指令データに基づいてNCプログラムを生成する。
これにより、制御装置12は、円筒研削盤40(研削盤11)の作動を制御して、工作物Wの研削加工面W1の研削加工を行う。ここで、制御装置12は、定寸装置47により測定される工作物Wの寸法(径)に基づいて、工作物Wの研削加工面W1が仕上形状となるまで研削加工を行う。このため、制御装置12が生成するNCプログラムは、研削加工内容、即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウト等に応じて生成される。
又、制御装置12は、ベッド41に設けられており、インターフェース13を介して推定演算装置30と通信可能とされている(図1を参照)。これにより、本例の制御装置12は、砥石車46を修正するタイミングとして、推定演算装置30から出力される修正信号Rを取得したタイミングにおいて、各モータ42a,44a,45a,46a及び砥石車修正装置48等を制御することにより、砥石車46の修正(ツルーイング又は/及びドレッシング)を行う。ここで、本例の推定演算装置30は、後述するように、推定した研削加工面W1の加工状態即ち表面粗さに基づいて、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。
観測装置20は、図2及び図3に示すように、AEセンサ21を備える。本例において、AEセンサ21は、例えば、円筒研削盤40(研削盤11)の心押台43に設けられる。但し、AEセンサ21の設置場所は、心押台43に限られず、円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材(主軸台42や砥石台45等)に設けることも可能である。AEセンサ21は、円筒研削盤40(研削盤11)が工作物Wの研削加工面W1を研削加工している状態において観測可能なAE信号Sを所定のサンプリングレートによって取得する。これにより、観測装置20は、AEセンサ21によって取得されたAE信号Sを推定演算装置30に出力する。
推定演算装置30は、図4に示すように、信号取得部31、信号分割部32、信号標準化部33、周波数帯域実効値演算部34、重回帰分析部35、表面粗さ推定部36、判定部37、出力部38を備える。
信号取得部31は、図5に示すように、AEセンサ21によって所定のサンプリングレートによって取得されたAE信号Sを取得する。尚、信号取得部31が取得する図5に示したAE信号は、フィルタ処理等が施されていない生波形であり、一連の研削加工工程、即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウトについて観察された波形である。
信号分割部32は、信号取得部31によって取得されたAE信号Sを所定の時間間隔で分割して、分割信号S1を生成する。
信号標準化部33は、信号分割部32によって生成された分割信号S1を標準化する。即ち、信号標準化部33は、例えば、平均「0」、分散「1」で分割信号S1を標準化する。尚、信号標準化部33は、例えば、X=(x-xa)/σにより表される式を用いて、分割信号S1を標準化することができる。
ここで、上記式中の「X」は標準化後の信号を表し、「x」は標準化前の信号を表し、「xa」は信号の平均値を表し、「σ」は信号の標準偏差を表す。このため、信号標準化部33は、分割信号S1について、少なくとも平均値及び標準偏差を含む各種統計演算量(例えば、ピーク値や、尖り度、歪度、波高率(=ピーク値/実効値)、波形率(=実効値/平均値)等)の統計演算を行うことができる。
周波数帯域実効値演算部34は、信号標準化部33によって標準化された分割信号S1について、複数の周波数帯域ごとの実効値Jを算出する。尚、実効値Jは、周知の計算式に従い算出され、信号時間(例えば、所定時間間隔)の平均的な大きさ(強度)を表す値であり、rms(root mean square)値とも称される。周波数帯域実効値演算部34は、分割信号S1を、例えば、数100kHz(好ましくは、100KHz前後)の周波数帯域ごとの実効値Jを算出する。又、周波数帯域実効値演算部34は、分割信号S1について周波数帯域ごとに算出した実効値Jの時間平均値Jaを算出する。
ここで、周波数帯域実効値演算部34により周波数帯域ごとに算出された実効値Jは、図6及び図7に示すように、例えば、実験的に粗さ計2によって実測された表面粗さSjと関連付けることができる。
即ち、図6及び図6の縦軸を拡大した図7に示す実効値Jの時間平均値Jaは、研削条件に紐付けられた表面粗さSjに対応して複数の周波数帯域ごとに算出される。そして、図中において黒丸で示す時間平均値Jaは低周波数帯域(例えば、300kHzから400kHz)における値を表し、黒四角で示す時間平均値Jaは高周波数帯域(例えば、1.1MHzから1.2MHz)における値を表す。尚、図6及び図7において、破線の丸で示す時間平均値Jaは、その他の周波数帯域の各々の値を表す。
重回帰分析部35は、周波数帯域実効値演算部34によって算出された時間平均値Ja(又は実効値J)及び実験的に実測された表面粗さSjを少なくとも含んで、重回帰分析を行う。具体的に、本例においては、重回帰分析部35は、時間平均値Ja(又は実効値J)について、AEセンサ21の対応周波数帯域で、重回帰分析を行う。例えば、重回帰分析部35は、AEセンサ21の対応周波数全域の各統計演算量(例えば、標準偏差や尖り度等)をパラメータとして重回帰分析を行い、例えば、粗さ計2によって実験的に予め測定された研削加工面W1の実粗さ値Sjの変化に対して得られたp値から良好な相関性を示すパラメータを選定する。次に、その選択されたパラメータを用いて重回帰分析を行い、研削加工後の表面粗さを推定する。
このため、本例の重回帰分析部35は、第一重回帰分析部351及び第二重回帰分析部352を備える。第一重回帰分析部351は、周波数帯域実効値演算部34によって算出された複数の周波数帯域の時間平均値Ja(又は、実効値J)と表面粗さSjとを少なくとも含む重回帰分析を各研削工程について行う。第二重回帰分析部352は、第一重回帰分析部351によって重回帰分析された全ての工程の分析結果に基づき、研削加工の研削能率Z’と、各種統計演算量(パラメータ)のp値に基づいて選定した周波数帯域の時間平均値Ja(又は実効値J)と表面粗さSjとを含む重回帰分析を行う。
ここで、重回帰分析部35(第一重回帰分析部351及び第二重回帰分析部352)は、表面粗さSjについて、予め設定された閾値Sjsにより規定される範囲、具体的には、Sj<SjsとSj≧Sjsとなる範囲に分けて、重回帰分析を行う。これにより、重回帰分析の精度を向上させる。
但し、第二重回帰分析部352は、p値に基づいて、周波数帯域(即ち、周波数帯域に対応するパラメータ)を特定することに限られない。例えば、第二重回帰分析部352は、経験上或いは実験的に把握された表面粗さSjの変化傾向と同一の傾向を有する周波数帯域を特定することも可能である。
表面粗さ推定部36は、重回帰分析部35(即ち、第一重回帰分析部351及び第二重回帰分析部352)による、周波数帯域間(低周波数帯域と高周波数帯域間)の相対的な関係に基づいた重回帰分析結果に基づいて、研削加工面W1の表面粗さSsを推定する。即ち、表面粗さ推定部36は、第二重回帰分析部352が重回帰分析を行って得られた相関関係、即ち、表面粗さSsを目的変数とし、少なくとも、時間平均値Ja(又は実効値J)及び実粗さ値である表面粗さSjを説明変数とする式を用いて、表面粗さSsを推定する。
ここで、表面粗さ推定部36によって推定された表面粗さSsの推定精度について、図8を用いて説明する。図8は、27個の評価サンプルについて、表面粗さ推定部36によって推定された表面粗さSs(白抜きの四角によって表す)と、粗さ計2によって実測された表面粗さSj(梨地の四角によって表す)との対比を示す。
尚、図8においては、評価サンプル1-4、評価サンプル5-20、評価サンプル21-27の3種類の研削能率における、面粗さ推定値と実測値とを例示する。図8からも明らかなように、表面粗さ推定部36によって推定された表面粗さSsは、表面粗さSj(実粗さ値)の大きさ及び変化傾向に対して精度良く一致する。
判定部37は、図4に示すように、推定された研削加工面W1の表面粗さSsが、研削加工工程(即ち、粗研削、精研削、微研削及びスパークアウト)ごとに研削加工面W1について予め設定された基準表面粗さSr以上であるか否かを判定する。即ち、判定部37は、表面粗さSsが基準表面粗さSr以上であれば、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化が進んでおり、研削加工面W1を適切に研削加工することができない、つまり、修正が必要であると判定する。一方、判定部37は、表面粗さSsが基準表面粗さSr未満であれば、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化が進んでおらず、研削加工面W1を適切に研削加工することができる、つまり、修正が不要であると判定する。
出力部38は、判定部37による判定結果に応じて、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。即ち、出力部38は、判定部37によって砥石車46(工具T)の修正が必要であると判定された場合、修正信号Rを制御装置12に対して出力する。又、出力部38は、判定部37によって砥石車46(工具T)の修正が不要であると判定された場合、修正信号Rを制御装置12に対して出力しない。
これにより、円筒研削盤40(研削盤11)の制御装置12においては、砥石車46(工具T)の劣化が進んだ場合、即ち、砥石車46(工具T)の修正が必要な場合には、図1に示すように、インターフェース13を介して推定演算装置30から修正信号Rを取得する。そして、制御装置12は、砥石車修正装置48を制御して、砥石車46の修正を行う。即ち、砥石車修正装置48は、砥石車46に対して、ツルーイング又は/及びドレッシングを行う。これにより、適切なタイミングにより、且つ、適切な回数だけ、砥石車46の修正を行うことができる。従って、修正に要する時間を短縮することができると共に、修正に要するコストも低減することができる。
以上の説明からも理解できるように、本例の加工状態推定システム1によれば、AE信号Sを複数の周波数帯域に弁別し、各周波数帯域における実効値Jを用いた統計的な演算を行うことにより、周波数帯域間の相対的な関係に基づいて工作物Wの研削加工面W1における加工状態である表面粗さSsを精度良く推定することができる。そして、加工状態推定システム1は、推定された表面粗さSsを用いて、研削加工面W1を研削加工する研削装置10である円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)の劣化の進行具合を判定して、修正信号Rを出力することができる。これにより、研削装置10の制御装置12は、修正信号Rを取得したタイミングにおいて、砥石車修正装置48を制御し、砥石車46をツルーイング又は/及びドレッシングして修正することができる。
従って、円筒研削盤40(研削盤11)の砥石車46(工具T)を過度に修正したり、修正が遅れたりすることを防止することができる。これにより、砥石車46を修正するために要する修正時間を短縮することができると共に、砥石車46を修正するためのコストを低減することができる。
(5.その他の別例)
上述した本例及び第一別例においては、加工状態推定システム1は、研削装置10が研削盤11としての円筒研削盤40を備えるようにした。そして、加工状態推定システム1は、円筒研削盤40によって研削加工される軸状部材である工作物Wの研削加工面W1の加工状態即ち表面粗さSsを推定するようにした。
上述した本例及び第一別例においては、加工状態推定システム1は、研削装置10が研削盤11としての円筒研削盤40を備えるようにした。そして、加工状態推定システム1は、円筒研削盤40によって研削加工される軸状部材である工作物Wの研削加工面W1の加工状態即ち表面粗さSsを推定するようにした。
又、上述した本例及び第一別例においては、加工状態推定システム1は、研削装置10によって研削加工される工作物Wの加工状態を推定するようにした。しかし、加工状態推定システム1は、切削装置によって切削加工される工作物Wの加工状態を推定することも可能である。
又、加工状態は、表面粗さに限定されない。加工状態推定システム1は、例えば、工具Tが工作物Wに接触することによって形成される形状(外形線や内形線、段差)等についても、推定演算装置30がAE信号Sを用いて加工状態として形状等を正確に推定することができる。
又、上述した本例においては、推定演算装置30は、推定した表面粗さSsに基づいて、工具Tを修正するための修正信号Rを出力するようにした。しかしながら、推定演算装置30は、推定した表面粗さSsに基づいて、工作機械が工具Tを用いて工作物Wを加工する加工条件を適正に変更するための信号を出力することもできる。これにより、工作機械においては、出力された信号を取得することにより、加工条件を適正に変更して工作物Wを精度良く加工することができる。
更に、上述した本例においては、観測装置20が工作機械である円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材である心押台43に設けられたAEセンサ21を備え、砥石車46(工具T)と工作物Wとが接触して工作物Wの研削加工面W1を研削加工する際に発生するAE信号Sを取得するようにした。そして、取得したAE信号Sを用いて、研削加工面W1の加工状態としての表面粗さSs、ひいては砥石車46(工具T)の加工状態を推定するようにした。
しかしながら、観測装置20が観測するAEとしては、心押台43を含む円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材から伝播するAE信号Sを取得することに限られるものではない。観測装置20は、例えば、円筒研削盤40(研削盤11)の構成部材以外を介して取得したAE信号に基づいて、研削加工面W1の加工状態としての表面粗さSs、換言すれば、砥石車46(工具T)による加工状態を推定することも可能である。
1…加工状態推定システム、2…粗さ計、10…研削装置、11…研削盤、12…制御装置、13…インターフェース、20…観測装置、21…AEセンサ、30…推定演算装置、31…信号取得部、32…信号分割部、33…信号標準化部、34…周波数帯域実効値演算部、35…重回帰分析部、351…第一重回帰分析部、352…第二重回帰分析部、36…推定部、37…判定部、38…出力部、40…円筒研削盤、41…ベッド、42…主軸台、42a…モータ、43…心押台、44…トラバースベース、44a…モータ、45…砥石台、45a…モータ、46…砥石車、46a…モータ、47…定寸装置、47a…送り機構、48…砥石車修正装置、49…クーラント装置、J…実効値、Ja…平均値、R…修正信号、S…AE信号、S1…分割信号、Sjs…閾値、T…工具、W…工作物、W1…研削加工面
Claims (7)
- 工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、前記工具が前記工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定方法であって、
前記工具による前記工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッションを観測し、
観測された前記アコースティックエミッションを表すアコースティックエミッション信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出し、
前記実効値と前記加工状態との間の相関関係に基づいて前記加工状態を推定する、加工状態推定方法。 - 前記アコースティックエミッション信号について統計演算することによって得られる前記周波数帯域ごとの前記実効値を含む統計演算量をパラメータとして用いた重回帰分析を行うことにより、前記相関関係を求めて前記加工状態を推定する、請求項1に記載の加工状態推定方法。
- 前記周波数帯域ごとに算出される前記統計演算量のうちから選択された前記統計演算量を前記パラメータとして用いて前記重回帰分析を行うことにより、前記相関関係を求めて前記加工状態を推定する、請求項2に記載の加工状態推定方法。
- 推定された前記加工面の加工状態に基づいて、前記工具を修正するタイミングを設定する、又は、前記工作機械が前記工具を用いて前記工作物を加工する加工条件を変更する、請求項1-3の何れか一項に記載の加工状態推定方法。
- 前記工作機械は、前記工具としての砥石を有し、前記砥石により前記工作物を研削加工する研削装置である、請求項1-4の何れか一項に記載の加工状態推定方法。
- 前記加工状態は、表面粗さとして推定される、請求項1-5の何れか一項に記載の加工状態推定方法。
- 工具によって工作物を加工する工作機械に適用され、前記工具が前記工作物を加工した際の加工状態を推定する加工状態推定システムであって、
前記工具による前記工作物の加工に伴い、周波数特性を有して発生するアコースティックエミッションを観測する観測装置を有すると共に、
前記観測装置から観測された前記アコースティックエミッションを表すアコースティックエミッション信号を取得する信号取得部と、
前記信号取得部によって取得された前記アコースティックエミッション信号について複数の周波数帯域の各々の実効値を算出する実効値演算部と、
前記実効値演算部によって算出された前記実効値と前記加工状態との間の相関関係に基づいて、前記加工状態を推定する推定部と、を有する推定演算装置と、
を備えた、加工状態推定システム。
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JP2021049052A JP2022147692A (ja) | 2021-03-23 | 2021-03-23 | 加工状態推定方法及び加工状態推定システム |
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2021
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