JP7271983B2 - 熱変位量推定装置および研削盤 - Google Patents

熱変位量推定装置および研削盤 Download PDF

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Description

本発明は、熱変位量推定装置および研削盤関するものである。
特許文献1には、研削盤の構成部材の温度に基づいて熱変位量を推定することが記載されている。特許文献2には、熱変位量を推定することが記載されている。すなわち、工作機械の構成部材の温度データを入力データとし、且つ、構成部材の熱変位量の実測値を教師データとして、機械学習を行うことで、構成部材の熱変位量推定の計算式を算出する。そして、構成部材の温度データと計算式とに基づいて、熱変位量を推定する。
特開2017-19022号公報 特開2018-153901号公報
研削盤において、砥石車を支持する砥石台の位置は、研削盤の構成部材の熱変位のみならず、砥石車の摩耗によっても変化する。そのため、研削盤の構成部材の熱変位量の実測値の取得自体が、容易ではない。つまり、砥石車の摩耗量を把握できなければ、構成部材の温度と構成部材の熱変位量との関係を把握することができない。
本発明は、砥石車の摩耗量を把握することにより、研削盤の熱変位量を推定できる熱変位量推定装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、熱変位量推定装置を用いた研削盤を提供することを目的の他の一つとする。
(1.第一の熱変位量推定装置)
本発明の一態様の第一の熱変位量推定装置は、研削盤に適用され、前記研削盤に組み込まれた装置または前記研削盤とは別ユニットを構成する装置であり、前記研削盤の構成部材の熱変位量を推定する熱変位量推定装置であって、砥石車が工作物に接触している所定の基準状態において、前記砥石車を支持する砥石台の位置情報である砥石台位置情報を記憶する砥石台位置情報記憶部と、複数個の前記工作物の研削における前記砥石台位置情報の推移に基づいて、回帰式を算出する回帰式算出部と、前記回帰式に基づいて、前記複数個の前記工作物の研削に伴う前記砥石車の第一摩耗量の推移を算出する第一摩耗量推移算出部と、前記砥石台位置情報の推移および前記第一摩耗量の推移に基づいて、研削盤の構成部材の第一熱変位量を算出する第一熱変位量算出部とを備える。
砥石台位置情報の推移に基づいて回帰式が算出され、回帰式を用いて砥石車の第一摩耗量の推移が算出されている。このように、回帰式を用いることにより、砥石車の第一摩耗量の推移を算出することができる。第一摩耗量が算出されれば、砥石台位置情報の推移と第一摩耗量の推移とを用いることで、第一熱変位量を推定することができる。つまり、回帰式を用いることで、砥石台位置情報を、第一摩耗量と第一熱変位量とに分離することができる。
(2.第二の熱変位量推定装置)
第二の熱変位量推定装置は、上記の第一の熱変位量推定装置に加えて、さらに、前記研削盤の前記構成部材の温度を記憶する温度記憶部と、第一フェーズにおける前記第一熱変位量と前記温度記憶部に記憶された第一温度との関係を表す学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記第一フェーズの後である第二フェーズにおいて、前記温度記憶部に記憶された第二温度、および、前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルに基づいて、前記研削盤の前記構成部材の第二熱変位量を算出する第二熱変位量算出部とを備える。
このように、研削盤の構成部材の第二温度と学習モデルとを用いることにより、第二熱変位量を高精度に推定することができる。ここで、学習モデルは、予め構成部材の第一温度と第一熱変位量とに基づいたモデルである。なお、第一熱変位量は、第一の熱変位量推定装置により算出されている。
(3.第三の熱変位量推定装置)
第三の熱変位量推定装置は、上記の第一の熱変位量推定装置に加えて、さらに、前記研削盤の前記構成部材の温度を記憶する温度記憶部と、前記第一熱変位量と前記温度記憶部に記憶された第一温度とに基づいて、前記第一熱変位量と前記第一温度との関係を表す学習モデルを生成する学習モデル生成部とを備える。
これにより、第二の熱変位量推定装置における学習モデルを生成することができる。その結果、研削盤の構成部材の第二温度と学習モデルとを用いることにより、第二熱変位量を高精度に推定することができる。
(4.研削盤)
研削盤は、上述した第二の熱変位量推定装置と、前記第二熱変位量に基づいて、次の前記工作物の研削加工送り動作の開始位置を決定する開始位置決定部と、前記開始位置に基づいて、次の前記工作物の前記研削加工を開始する制御装置とを備える。
第二熱変位量推定装置により、研削盤の構成部材の第二熱変位量を高精度に推定することができる。そして、次の工作物の研削加工の開始位置は、第二熱変位量に基づいて決定されている。つまり、開始位置が、高精度に推定された第二熱変位量を用いて決定されている。従って、開始位置において、砥石車を工作物により接近させることができる。その結果、空研削時間を短縮することができ、サイクルタイムの短縮を図ることができる。
研削盤の平面図である。 1個の工作物を研削する研削サイクルにおける砥石台位置を示す図である。 図2と比較する図であって、粗研工程(Tstart~T3)における空研削の時間(ΔTc)を短くした状態を示す。 研削開始時(Tstart)における工作物と砥石車の位置を示し、(a)~(f)にて、砥石車の外径が異なる状態、熱変位量が異なる状態、補正量が異なる状態を示す。 第一例の熱変位量推定装置の構成を示す図である。 砥石台の位置情報の推移を示すグラフである。 砥石台の位置情報の推移において回帰式を示すグラフである。 砥石車の第一摩耗量の推移を示すグラフである。 砥石台の位置情報の推移を示し、第一摩耗量と第一熱変位量とに分離される状態を示すグラフである。 研削盤の構成部材の第一熱変位量の推移を示すグラフである。 第二例の熱変位量推定装置の構成を示す図である。 砥石台の位置情報の第一次推移を示すグラフである。 砥石台の位置情報の第一次推移をツルーイング量の分だけオフセットした状態である第二次推移を示すグラフである。 砥石台の位置情報の第二次推移において回帰式を示すグラフである。 砥石車の第一摩耗量の推移を示すグラフである。 砥石台の位置情報の第二次推移を示し、第一摩耗量と第一熱変位量とに分離される状態を示すグラフである。 研削盤の構成部材の第一熱変位量の推移を示すグラフである。
(1.研削盤1の構成)
研削盤1の構成について、図1を参照して説明する。研削盤1は、工作物Wを研削加工する。研削盤1は、円筒研削盤、カム研削盤等、種々の構成の研削盤を適用できる。本例においては、研削盤1は、砥石台トラバース型の円筒研削盤を例にあげる。ただし、研削盤1は、テーブルトラバース型の研削盤を適用することもできる。
研削盤1は、主として、ベッド11、主軸台12、心押台13、トラバースベース14、砥石台15、砥石車16、定寸装置17、砥石車修正装置18、および、制御装置19を備える。
ベッド11は、設置面上に固定されている。主軸台12は、ベッド11の上面に設けられ、工作物Wを工作物Wの中心軸線回り(Z軸回り)に回転可能に支持する。心押台13は、ベッド11の上面において、主軸台12に対向する位置に設けられている。そして、主軸台12および心押台13が、工作物Wを回転可能に両端支持する。工作物Wは、主軸台12に設けられたモータ12aの駆動により回転される。
トラバースベース14は、ベッド11の上面において、工作物Wの中心軸線方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。トラバースベース14は、ベッド11に設けられたモータ14aの駆動により移動する。砥石台15は、トラバースベース14の上面において、工作物Wに接近および離間する方向(X軸方向)に移動可能に設けられている。砥石台15は、トラバースベース14に設けられたモータ15aの駆動により移動する。
砥石車16は、円盤状に形成されており、砥石台15に回転可能に支持されている。砥石車16は、砥石台15に設けられたモータ16aの駆動により回転する。砥石車16は、複数の砥粒を結合材により固定されて構成されている。砥粒には、一般砥粒と超砥粒が存在する。一般砥粒としては、アルミナや炭化ケイ素などのセラミックス質の材料などが良く知られている。超砥粒は、ダイヤモンドやCBNである。定寸装置17は、ベッド11の上面に設けられ、工作物Wの外周面に接触可能な一対の接触子を備えており、工作物Wの加工部位の寸法(径)を計測する。
砥石車修正装置18は、砥石車16の表面状態を修正する。砥石車修正装置18は、砥石車16の修正として、ツルーイングとドレッシングの少なくとも一方を行う装置である。さらに、砥石車修正装置18は、砥石車16の寸法(径)を測定する機能も有する。
ここで、ツルーイングは、形直し作業であり、研削によって砥石車16が摩耗した場合に工作物Wの形状に合わせて砥石車16を成形する作業、片摩耗によって砥石車16の振れを取り除く作業等である。ドレッシングは、目直し(目立て)作業であり、砥粒の突き出し量を調整したり、砥粒の切れ刃を創成したりする作業である。ドレッシングは、目つぶれ、目詰まり、目こぼれ等を修正する作業であって、通常ツルーイング後に行われる。また、ツルーイングとドレッシングは、特段区別することなく実施される場合もある。
制御装置19は、NCプログラムおよびPLCの制御プログラムに基づいて、各駆動装置を制御する。NCプログラムは、工作物Wの形状、砥石車16の形状、加工条件、クーラント液の供給タイミング情報、砥石車16を修正するタイミング情報等に基づいて生成される。PLCの制御プログラムは、入力機器の指令信号のON/OFFに応じて出力機器を動作する。
すなわち、制御装置19は、NCプログラムおよびPLCの制御プログラムに基づいて各モータ12a,14a,15a,16a等を制御することにより工作物Wの研削を行う。特に、制御装置19は、定寸装置17により測定される工作物Wの径に基づいて、工作物Wが仕上げ形状となるまで研削を行う。また、制御装置19は、砥石車16の交換、修正(ツルーイング、ドレッシング)を実施する場合に、各モータ14a,15a,16a、および、砥石車修正装置18等を制御する。
(2.砥石台15の位置挙動の説明)
1個の研削加工を行う場合における砥石台15のX軸方向の位置(以下、単に「砥石台15の位置」と称する)の挙動について、図2を参照して説明する。まず、砥石台15は、早送り動作により、初期位置X1から工作物Wへ接近し、研削加工送り動作の開始位置Xstartまで移動させる。続いて、砥石台15は、開始位置Xstartから、研削加工送り動作を開始する。研削加工送り動作には、粗研を行うための粗研送り動作、精研を行うための精研送り動作、微研を行うための微研送り動作、スパークアウトを行うための送り停止動作が含まれる。
まず、粗研送り動作が、時刻Tstart2から開始し、工作物Wの外径が所定値に達した時T3に終了する。続いて、精研送り動作が、時刻T3から開始し、工作物Wの外径が所定値に達した時T4に終了する。続いて、微研送り動作が、時刻T4から開始し、工作物Wの外径が所定値に達した時にT5に終了する。続いて、時刻T5から時刻Tend6まで、スパークアウトを行う。スパークアウトの時には、砥石台15は、停止している。そして、研削加工送り動作を終了する。続いて、早送り動作により、砥石台15を初期位置X1まで退避させる。
ここで、粗研送り動作の開始時T1において、早送り動作により移動する砥石車16が工作物Wに接触しないように、開始位置Xstart2が決定されている。従って、粗研送り動作において、粗研が行われない空研削時間ΔTc1が存在し、その後に粗研が行われる。
図3は、空研削時間ΔTc11を短くした場合の砥石台15の位置の挙動を示す。図2および図3を比較すると、開始位置Xstart12を工作物Wに接近させることができれば、空研削時間ΔTc11を、時間ΔTc1よりも短くできる。ただし、早送り動作の終了時刻(開始時刻Tstart12)が、時刻Tstart2よりも遅くなる。
つまり、早送り動作の時間が長くなるのに対して、粗研送り動作の時間が短くなる。粗研送り動作は、早送り動作よりも送り速度が遅い。そのため、早送り動作が僅かに長くなったとしても、粗研送り動作が短くなる方が、研削サイクルタイム(T1~T7)は短くなる。従って、空研削時間ΔTc11を短くするために、開始位置Xstart12において、砥石車16を工作物Wにできるだけ接近させる方がよい。
図4の(a)、(b)、(c)、(d)を参照して、開始位置Xstart2における工作物Wと砥石車16との相対位置について説明する。図4の(a)に示すように、工作物Wと砥石車16の軸間距離は、Xd1となる。このとき、砥石車16の外径は、Dt1であるとする。工作物Wの外径は、研削前の素材径となる。工作物Wと砥石車16の離間距離は、Xs1となる。
図4の(b)には、研削盤1の構成部材の熱変位、例えば、ベッド11や砥石台15の熱変位によって、工作物Wと砥石車16の軸間距離が、Xd2になったとする。このときの熱変位量は、ΔXhとする。そうすると、工作物Wと砥石車16の離間距離は、Xs1よりも大きなXs2となる。
図4の(c)では、砥石車16の摩耗およびツルーイングにより、砥石車16の外径が小さくなり、Dt2となる。工作物Wと砥石車16の軸間距離は、(a)と同一のXd1であるとする。このとき、工作物Wと砥石車16の離間距離は、Xs1よりも大きなXs3となる。
図4の(d)では、研削盤1の構成部材の熱変位によって、工作物Wと砥石車16の軸間距離が、(b)と同一のXd2であるとする。熱変位量は、ΔXhであるとする。このとき、工作物Wと砥石車16の離間距離は、Xs1,Xs2,Xs3よりも大きなXs4となる。
つまり、砥石車16の摩耗およびツルーイング、並びに、研削盤1の構成部材の熱変位により、工作物Wと砥石車16の離間距離が変化する。従来は、砥石車16の摩耗量およびツルーイング量、研削盤1の構成部材の熱変位量Xhを余裕代として、一定の開始位置Xstart2が予め決定されていた。従って、砥石車16の外径の変化分、および、熱変位量Xhの分、空研削時間ΔTc1が長くなる。
そこで、図4の(b)における熱変位量Xhを把握することができれば、図4の(e)に示すように、開始位置Xstart12について、熱変位量Xhの分だけ砥石台15の位置の補正を行うことができる。その結果、開始位置Xstart12において、工作物Wと砥石車16の離間距離を、図4の(a)と同一のXs1とすることができる。
また、図4の(c)における砥石車16の外径の変化分(Dt1-Dt2)を把握することができれば、図4(f)に示すように、開始位置Xstart12について、外径の変化分(Dt1-Dt2)だけ砥石台15の位置を補正することができる。その結果、開始位置Xstart12において、工作物Wと砥石車16の離間距離を、図4の(a)と同一のXs1とすることができる。このとき、工作物Wと砥石車16の軸間距離は、Xd3となる。
図4の(d)における熱変位量Xhおよび砥石車16の外径の変化分(Dt1-Dt2)を把握することができれば、図4(g)に示すように、開始位置Xstart12について、(Xh+(Dt1-Dt2))だけ砥石台15の位置を補正することができる。その結果、開始位置Xstart12において、工作物Wと砥石車16の離間距離を、図4の(a)と同一のXs1とすることができる。このとき、工作物Wと砥石車16の軸間距離は、Xd3となる。
以上より、熱変位量Xh、および、砥石車16の外径Dt1,Dt2を把握することが必要となる。そこで、以下に、これらのパラメータを推定するための熱変位量推定装置2を説明する。
(3.第一例の熱変位量推定装置2の構成)
第一例の熱変位量推定装置2(以下、「推定装置」と称する)について、図5-図10を参照して説明する。推定装置2は、上述した研削盤1に適用される。推定装置2は、研削盤1に組み込まれた装置とすることもでき、研削盤1とは別ユニットとすることもできる。推定装置2は、研削盤1の構成部材の熱変位量のうち、特に工作物Wと砥石車16との相対移動方向の熱変位量を推定する。さらに、推定装置2は、砥石車16の外径Dt1,Dt2を推定することができる。
本例においては、推定装置2は、図5に示すように、定寸装置17、砥石台位置検出部21、および、温度センサ22を備える。定寸装置17は、上述したように、工作物Wの加工部位の寸法(径)を計測する。砥石台位置検出部21は、砥石台15のX軸方向の位置を検出する装置である。砥石台位置検出部21は、例えば、モータ15aに取り付けられたエンコーダ、トラバースベース14に取り付けられたリニアスケールなどである。温度センサ22は、研削盤1の構成部材に配置され、研削盤1の構成部材の温度を検出する。温度センサ22は、少なくとも、工作物Wと砥石車16の軸間距離の変動に影響を及ぼす構成部材の温度を検出する。例えば、温度センサ22は、ベッド11、トラバースベース14、砥石台15などに取り付けられている。
推定装置2は、図5に示すように、さらに、演算処理部30を備える。演算処理部30は、工作物Wの径、砥石台15の位置および研削盤1の構成部材の温度に基づいて、熱変位量Xhを推定する装置である。また、演算処理部30は、砥石車16の摩耗量Abrを推定する装置である。なお、推定装置2は、摩耗量ΔAbrの推定のみを行う摩耗量推定装置として機能させることもできる。
演算処理部30は、第一フェーズ(学習フェーズ)にて機能する以下の各部を備える。すなわち、演算処理部30は、第一砥石台位置情報記憶部31、回帰式算出部51、第一摩耗量推移算出部52、第一熱変位量算出部53、第一温度記憶部41、学習モデル生成部54および学習モデル記憶部55を備える。第一フェーズは、工作物Wの生産稼働中である。
第一砥石台位置情報記憶部31は、第一フェーズ(生産稼働中)にて、砥石台位置検出部21により検出された砥石台15の位置情報Xa1を記憶する。位置情報Xa1は、砥石台15が工作物Wに接触している所定の基準状態における砥石台15の位置情報である。
所定の基準状態とは、以下の複数の状態の中から選択可能である。基準状態の第一例は、1個の工作物Wの研削加工における研削加工完了時点(図3のTend16)において、砥石車16が工作物に接触している状態である。研削加工完了時点の場合には、砥石台15の位置情報Xa1に研削抵抗の影響が含まれにくいため、位置情報Xa1が安定した値となる。基準状態の第一例は、研削加工完了時点を検出するために、研削中において定寸装置17の検出値が所定値に達した時の状態である。
基準状態の第二例は、1個の工作物Wの研削加工における研削が定常状態であって、工作物Wの径が所定値となる時点において、砥石車16が工作物Wに接触している状態である。基準状態の第二例は、例えば、粗研での定常状態の時、精研での定常状態の時、微研での定常状態の時の何れでもよい。基準状態の第一例は、研削加工完了時点を検出するために、研削中において定寸装置17の検出値が所定値に達した時の状態である。
図6に示すように、第一砥石台位置情報記憶部31は、前回のツルーイング後から次回のツルーイングまでにおける位置情報Xa1を記憶する。つまり、第一砥石台位置情報記憶部31には、1回分のツルーイングインターバルにおける複数個の工作物Wの研削における位置情報Xa1の推移が記憶されている。つまり、当該複数個の工作物Wを研削する間に、砥石車16のツルーイングが行われていないことを意味する。
図6に示すように、位置情報Xa1は、波状に変化している。図6では、例えば、連続研削を3日間実施する場合を例示しており、昼夜の外気温が変化するため、熱変位量Xhが波状に変化している。さらに、図6において、位置情報Xa1は、全体的に増加傾向にある。この理由は、研削個数が増加するにつれて、砥石車16の摩耗量ΔAbrが増加しているためである。
回帰式算出部51は、第一砥石台位置情報記憶部31に記憶された位置情報Xa1の推移に基づいて、回帰式を算出する。つまり、回帰式算出部51は、1回分のツルーイングインターバルにおける複数個の工作物Wの研削における位置情報Xa1の推移に基づいて回帰式を算出する。回帰式は、工作物Wの研削個数と位置情報Xa1との関係を表す関係式であって、例えば一次式である。この場合の回帰式は、図7の実線にて示す。図7において、破線は、図6に示す位置情報Xa1の推移である。
この回帰式が、砥石車16の摩耗量の変化に相当する。そこで、第一摩耗量推移算出部52は、回帰式に基づいて、複数個の工作物Wの研削に伴う砥石車16の第一摩耗量Abr1の推移を算出する。砥石車16の第一摩耗量Abr1の推移は、図8に示すようになる。
ここで、図9に示すように、第一砥石台位置情報記憶部31に記憶されている位置情報Xa1の変化には、砥石車16の第一摩耗量Abr1の変化と研削盤1の構成部材の第一熱変位量Xh1とが含まれている。そこで、第一熱変位量算出部53は、位置情報Xa1の推移および第一摩耗量Abr1の推移に基づいて、研削盤1の構成部材の第一熱変位量Xh1を算出する。具体的には、第一熱変位量Xh1は、位置情報Xa1から、第一摩耗量Abr1を差し引いた値とする。第一熱変位量Xh1の推移は、図10に示すようになる。
このように、回帰式を用いることにより、砥石車16の第一摩耗量Abr1の推移を算出することができる。そして、第一摩耗量Abr1が算出されれば、砥石台15の位置情報Xa1の推移と第一摩耗量Abr1の推移とを用いることで、第一熱変位量Xh1を推定することができる。つまり、回帰式を用いることで、砥石台15の位置情報Xa1を、第一摩耗量Abr1と第一熱変位量Xh1とに分離することができる。
第一温度記憶部41は、第一フェーズ(生産稼働中)において、砥石台位置検出部21により検出された砥石台15の位置情報Xa1に対応するタイミングにて、温度センサ22により検出された第一温度Ta1を記憶する。つまり、第一温度Ta1と、第一砥石台位置情報記憶部31に記憶された位置情報Xa1とは、同一のタイミングに関する情報である。第一温度Ta1は、複数箇所の温度情報を含む。
学習モデル生成部54は、機械学習により、第一熱変位量Xh1と複数箇所の温度情報を含む第一温度Ta1との関係を表す学習モデル(学習済みモデル)を生成する。学習モデル生成部54は、例えば、少なくとも第一熱変位量Xh1および第一温度Ta1を学習データセットとし、第一熱変位量Xh1を目的変数とし、第一温度Ta1を説明変数とする教師有り機械学習により、学習モデルを生成する。
つまり、当該学習モデルは、複数箇所の温度情報を含む第一温度Ta1を入力データとした場合に、工作物Wと砥石車16の軸間距離に関する第一熱変位量Xh1を出力することができるモデルである。そして、学習モデルは、工作物Wの生産稼働中に取得した情報(第一熱変位量Xh1および第一温度Ta1)に基づいて、生成されたモデルである。生成された学習モデルは、学習モデル記憶部55に記憶される。なお、説明変数には、第一温度Ta1以外の情報を含むようにしてもよい。
演算処理部30は、図5に示すように、さらに、第一フェーズの後である第二フェーズ(推論フェーズ)にて機能する以下の各部を備える。すなわち、演算処理部30は、第二砥石台位置情報記憶部32、第二温度記憶部42、第二熱変位量算出部56および第二摩耗量算出部57を備える。第二フェーズは、各工作物Wの研削加工完了時点(図3のTend16)である。
第二砥石台位置情報記憶部32は、第二フェーズにて砥石台位置検出部21により検出された砥石台15の位置情報Xa2を記憶する。位置情報Xa2は、砥石車16が工作物Wに接触している所定の基準状態における砥石台15の位置情報である。ここでの基準状態は、位置情報Xa1における基準状態と同一状態である。位置情報Xa2は、工作物Wの研削加工完了時点(図3のTend16)における砥石台15のX軸方向の位置情報である。
第二温度記憶部42は、第二フェーズにおいて、砥石台位置検出部21により検出された砥石台15の位置情報Xa2に対応するタイミングにて、温度センサ22により検出された第二温度Ta2を記憶する。第二温度Ta2は、第一温度Ta1と同一箇所の温度である。
第二熱変位量算出部56は、第二温度Ta2および学習モデルに基づいて、研削盤1の構成部材の第二熱変位量Xh2を算出する。具体的には、第二熱変位量算出部56は、第二温度Ta2を入力データとして、学習モデルを用いることにより、第二熱変位量Xh2を出力することができる。第二熱変位量Xh2は、工作物Wの研削加工完了時点(図3のTend16)における熱変位量である。また、第二熱変位量Xh2は、熱変位が存在しない状態を基準とした場合の熱変位量である。このように、研削盤1の構成部材の第二温度Ta2と学習モデルとを用いることにより、第二熱変位量Xh2を高精度に推定することができる。
第二摩耗量算出部57は、前回の工作物Wの研削加工完了時点(図3のTend16)の砥石台15の位置情報Xa2、および、第二熱変位量Xh2に基づいて、砥石車16の第二摩耗量ΔAbr2を算出する。ここで、第二摩耗量ΔAbr2とは、前回の工作物Wの研削加工完了時点からの砥石車16の摩耗量である。つまり、第二摩耗量ΔAbr2は、今回の工作物Wの研削加工による砥石車16の摩耗量に相当する。第二摩耗量ΔAbr2は、例えば、式(1)により算出される。式(1)において、nは、工作物Wの研削個数である。
[数1]
ΔAbr2=(Xa2(n)-Xa2(n-1))-(Xh2(n)-Xh2(n-1)) ・・・(1)
ここで、上記のように、第二摩耗量ΔAbr2を今回の1個の工作物Wの研削加工による砥石車16の摩耗量とするのは、工作物Wの研削加工の都度、後述する研削加工の開始位置Xstartを補正する場合に適用される。研削加工の開始位置Xstartの補正を、1個の工作物Wの研削加工の都度ではなく、複数個の工作物Wの研削加工毎に行う場合には、第二摩耗量ΔAbr2は、前回補正したときからの砥石車16の摩耗量とすることになる。
推定装置2は、図5に示すように、さらに、開始位置決定部60を備える。開始位置決定部60は、第三フェーズ(利用フェーズ)にて機能する。第三フェーズは、第二フェーズにて推定された第二熱変位量Xh2および第二摩耗量ΔAbr2を利用するフェーズである。
開始位置決定部60は、次の工作物Wの研削加工送り動作の開始位置Xstart(n)を決定する。開始位置Xstart(n)は、n個目の工作物Wにおける開始位置である。開始位置決定部60は、第二熱変位量算出部56により算出された第二熱変位量Xh2、および、第二摩耗量算出部57により算出された第二摩耗量ΔAbr2に基づいて、開始位置Xstart(n)を決定する。
具体的には、開始位置Xstart(n)は、式(2)および式(3)に基づいて決定される。式(2)(3)において、Xstart(0)は、予め設定された開始位置の指令値である。ΔXstart(n)は、n個目の工作物Wの研削加工のときの開始位置の補正量である。
[数2]
Xstart(n)=Xstart(0)-ΔXstart(n) ・・・(2)
[数3]
ΔXstart(n)=ΔXstart(n-1)+(Xh2(n)-Xh2(n-1))+ΔAbr2(n) ・・・(3)
つまり、n個目の工作物Wの研削加工送り動作の開始位置Xstart(n)は、(n-1)個目の工作物Wの開始位置Xstart(n-1)を基準とした場合に、(n-1)個目の工作物Wの研削加工完了時点の第二熱変位量Xh2、および、前回の工作物Wの研削加工による砥石車16の第二摩耗量ΔAbr2が考慮されている。
そして、制御装置19が、決定された開始位置Xstart(n)に基づいて、次の工作物Wの研削加工送り動作を開始する。つまり、次の工作物Wの研削加工送り動作の開始位置が、開始位置決定部60により決定された開始位置Xstart(n)となる。従って、開始位置Xstart(n)において、予め設定された開始位置の指令値に比べて、砥石車16を工作物Wに、より接近させることができる。そして、空研削時間ΔTc11(図3に示す)を短縮することができ、結果として研削サイクルタイムの短縮を図ることができる。
(4.第一摩耗量の算出方法の他の例)
上記例においては、図7に示すように、1回分のツルーイングインターバルにおける複数個の工作物Wの研削における位置情報Xa1の推移に基づいて回帰式が算出され、回帰式に基づいて第一摩耗量Abr1が算出されている。上記例においては、位置情報Xa1は、所定の1種の基準状態における砥石台15の位置情報としている。
当該例の他に、以下のようにすることもできる。すなわち、所定の基準状態は、複数の基準状態を含むようにする。例えば、複数の基準状態の一つは、研削完了時点とし、他の一つは、研削が定常状態である状態とする。つまり、第一砥石台位置情報記憶部31は、複数の基準状態のそれぞれについての位置情報Xa1を記憶する。回帰式算出部51は、複数の基準状態のそれぞれについての位置情報Xa1の推移に基づいて、複数の回帰式を算出する。つまり、図7に示す回帰式が、複数個算出されることになる。
そして、第一摩耗量推移算出部52が、複数の回帰式に基づいて、第一摩耗量Abr1の推移を算出する。例えば、第一摩耗量Abr1の推移は、複数個の回帰式の平均などとすることができる。
(5.第二例の熱変位量推定装置3の構成)
第二例の熱変位量推定装置3(以下、「推定装置」と称する)について、図11-図17を参照して説明する。推定装置3において、推定装置2の構成と同一構成については、同一符号を付す。
推定装置3は、図11に示すように、定寸装置17、砥石台位置検出部21、温度センサ22、および、砥石車修正装置18を備える。砥石車修正装置18は、砥石車16の修正として、ツルーイングおよびドレッシングの少なくとも一方を行う装置である。
推定装置3は、さらに、演算処理部130を備える。演算処理部130は、上記の演算処理部30と同種の処理を行う。演算処理部130は、第一フェーズ(学習フェーズ)にて機能する以下の各部を備える。演算処理部130は、第一砥石台位置情報記憶部131、ツルーイング量算出部158、回帰式算出部151、第一摩耗量推移算出部52、第一熱変位量算出部53、第一温度記憶部41、学習モデル生成部54および学習モデル記憶部55を備える。第一フェーズは、工作物Wの生産稼働中である。
つまり、演算処理部130は、上記の演算処理部30に対して、第一砥石台位置情報記憶部131、ツルーイング量算出部158、および、回帰式算出部151が相違する。第一砥石台位置情報記憶部131は、第一フェーズにて、砥石台位置検出部21により検出された砥石台15の位置情報Xa1を記憶する。図12に示すように、第一砥石台位置情報記憶部131は、連続する複数回分のツルーイングインターバルにおける複数個の工作物Wの研削における位置情報Xa1を記憶する。図12においては、位置情報Xa1は、連続する3回分のツルーイングインターバルにおける複数個の工作物Wの研削における位置情報を示している。図12において、破線で示すタイミングにおいて、ツルーイングが行われている。従って、ツルーイングの前後において、位置情報Xa1は、ツルーイング量Tuに相当する分だけ、急激に変化している。
ツルーイング量算出部158は、砥石車修正装置18にて得られる情報に基づいて、ツルーイング量Tuを算出する。例えば、砥石車修正装置18は、砥石車16が検知ピンに接触したことを検知するAE(Acoustic Emission)センサを備える。そして、ツルーイング量算出部158は、ツルーイングを行う前に砥石車16を検知ピン(図示せず)に接触させて、AEセンサが検知したときの砥石台15の位置を取得する。さらに、ツルーイング量算出部158は、ツルーイングを行った後に砥石車16を検知ピンに接触させて、AEセンサが検知したときの砥石台15の位置を取得する。そして、ツルーイング量算出部158は、両者の差分を算出することで、ツルーイング量Tuを算出する。
回帰式算出部151は、第一砥石台位置情報記憶部131に記憶された位置情報Xa1の第一次推移を取得する。さらに、回帰式算出部151は、ツルーイング量算出部158により算出されたツルーイング量Tuを取得する。そして、回帰式算出部151は、位置情報Xa1の第一次推移におけるツルーイングの後の部分をツルーイング量Tuの分だけオフセットすることにより、ツルーイング量Tuを除外した位置情報Xa2の第二次推移を算出する。位置情報Xa2の第二次推移は、図13に示すとおりである。つまり、位置情報Xa2の第二次推移は、ツルーイングがなかったと仮定した場合の砥石台15の位置情報の推移となる。
そして、回帰式算出部151は、位置情報Xa2の第二次推移に基づいて、回帰式を算出する。回帰式は、工作物Wの研削個数と位置情報Xa2との関係を表す関係式であって、例えば一次式である。この場合の回帰式は、図14の実線にて示す。図14において、破線は、図13に示す位置情報Xa2の第二次推移である。
この回帰式が、砥石車16の摩耗量の変化に相当する。そこで、第一摩耗量推移算出部52は、回帰式に基づいて、複数個の工作物Wの研削に伴う砥石車16の第一摩耗量Abr1の推移を算出する。砥石車16の第一摩耗量Abr1の推移は、図15に示すようになる。第一例に比べて、第二例では、工作物Wの個数が多い。従って、第一摩耗量Abr1の推移をより高精度に算出することができる。
ここで、図16に示すように、ツルーイング量の分だけオフセットした位置情報Xa2の変化には、砥石車16の第一摩耗量Abr1の変化と研削盤1の構成部材の第一熱変位量Xh1とが含まれている。そこで、第一熱変位量算出部53は、位置情報Xa2の第二次推移および第一摩耗量Abr1の推移に基づいて、研削盤1の構成部材の第一熱変位量Xh1を算出する。具体的には、第一熱変位量Xh1は、位置情報Xa2から、第一摩耗量Abr1を差し引いた値とする。第一熱変位量Xh1の推移は、図17に示すようになる。そして、学習モデル生成部54が、第一熱変位量Xh1および第一温度Ta1に基づいて学習モデルを生成し、生成された学習モデルは学習モデル記憶部55に記憶される。
演算処理部130は、図11に示すように、さらに、第一フェーズの後である第二フェーズ(推論フェーズ)にて機能する以下の各部を備える。すなわち、演算処理部130は、第二砥石台位置情報記憶部32、第二温度記憶部42、第二熱変位量算出部56および第二摩耗量算出部57を備える。第二フェーズは、各工作物Wの研削加工完了時点(図3のTend16)である。各部は、第一例と同様である。
推定装置3は、図11に示すように、さらに、開始位置決定部160を備える。開始位置決定部160は、第三フェーズ(利用フェーズ)にて機能する。開始位置決定部160は、第二熱変位量算出部56により算出された第二熱変位量Xh2、第二摩耗量算出部57により算出された第二摩耗量ΔAbr2、および、ツルーイング量算出部158により算出されたツルーイング量Tuの合計値ΣTuに基づいて、開始位置Xstart(n)を決定する。具体的には、開始位置Xstart(n)は、式(4)および式(5)に基づいて決定される。
[数4]
Xstart(n)=Xstart(0)-ΔXstart(n)-ΣTu ・・・(4)
[数5]
ΔXstart(n)=ΔXstart(n-1)+(Xh2(n)-Xh2(n-1))+ΔAbr2(n) ・・・(5)
つまり、n個目の工作物Wの研削加工送り動作の開始位置Xstart(n)は、(n-1)個目の工作物Wの開始位置Xstart(n-1)を基準とした場合に、(n-1)個目の工作物Wの研削加工完了時点の第二熱変位量Xh2、前回の工作物Wの研削加工による砥石車16の第二摩耗量ΔAbr2、および、ツルーイング量Tuの合計値ΣTuが考慮されている。
そして、制御装置19が、決定された開始位置Xstart(n)に基づいて、次の工作物Wの研削加工送り動作を開始する。つまり、次の工作物Wの研削加工送り動作の開始位置が、開始位置決定部160により決定された開始位置Xstart(n)となる。従って、開始位置Xstart(n)において、予め設定された開始位置の指令値に比べて、砥石車16を工作物Wに、より接近させることができる。特に、学習モデルが、より多くの工作物Wについての情報を用いて生成されているため、より高精度な第二熱変位量Xh2を出力することができる。その結果、空研削時間ΔTc11(図3に示す)をより確実に短縮することができ、結果として研削サイクルタイムの短縮を図ることができる。
1:研削盤、2,3:熱変位量推定装置、11:ベッド(構成部材)、12:主軸台(構成部材)、12a,14a,15a,16a:各モータ、13:心押台(構成部材)、14:トラバースベース(構成部材)、15:砥石台(構成部材)、16:砥石車、17:定寸装置、18:砥石車修正装置、19:制御装置、21:砥石台位置検出部、22:温度センサ、30,130:演算処理部、31,131:第一砥石台位置情報記憶部、32:第二砥石台位置情報記憶部、41:第一温度記憶部、42:第二温度記憶部、51,151:回帰式算出部、52:第一摩耗量推移算出部、53:第一熱変位量算出部、54:学習モデル生成部、55:学習モデル記憶部、56:第二熱変位量算出部、57:第二摩耗量算出部、60,160:開始位置決定部、158 ツルーイング量算出部、Abr1:第一摩耗量、ΔAbr2:第二摩耗量、Ta1:第一温度、Ta2:第二温度、Tu:ツルーイング量、W:工作物、Xa1,Xa1:砥石台の位置情報、Xh1:第一熱変位量、Xh2:第二熱変位量、Xstart,Xstart2,Xstart12:研削加工送り動作の開始位置、ΔTc1,ΔTc11:空研削時間

Claims (13)

  1. 研削盤に適用され、前記研削盤に組み込まれた装置または前記研削盤とは別ユニットを構成する装置であり、前記研削盤の構成部材の熱変位量を推定する熱変位量推定装置であって、
    砥石車が工作物に接触している所定の基準状態において、前記砥石車を支持する砥石台の位置情報である砥石台位置情報を記憶する砥石台位置情報記憶部と、
    複数個の前記工作物の研削における前記砥石台位置情報の推移に基づいて、回帰式を算出する回帰式算出部と、
    前記回帰式に基づいて、前記複数個の前記工作物の研削に伴う前記砥石車の第一摩耗量の推移を算出する第一摩耗量推移算出部と、
    前記砥石台位置情報の推移および前記第一摩耗量の推移に基づいて、前記研削盤の前記構成部材の第一熱変位量を算出する第一熱変位量算出部と、
    を備える、熱変位量推定装置。
  2. 前記回帰式算出部は、1回分のツルーイングインターバルにおける前記複数個の前記工作物の研削における前記砥石台位置情報の推移に基づいて前記回帰式を算出する、請求項1に記載の熱変位量推定装置。
  3. 前記回帰式算出部は、
    連続する複数回分のツルーイングインターバルにおける前記複数個の前記工作物の研削における前記砥石台位置情報の第一次推移を取得し、
    ツルーイングにおける前記砥石車のツルーイング量を取得し、
    前記第一次推移における前記ツルーイングの後の部分を前記ツルーイング量の分だけオフセットすることにより、前記ツルーイング量を除外した第二次推移を算出し、
    前記第二次推移に基づいて前記回帰式を算出する、請求項1に記載の熱変位量推定装置。
  4. 前記熱変位量推定装置は、さらに、
    前記研削盤の前記構成部材の温度を記憶する温度記憶部と、
    第一フェーズにおける前記第一熱変位量と前記温度記憶部に記憶された第一温度との関係を表す学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
    前記第一フェーズの後である第二フェーズにおいて、前記温度記憶部に記憶された第二温度、および、前記学習モデル記憶部に記憶された前記学習モデルに基づいて、前記研削盤の前記構成部材の第二熱変位量を算出する第二熱変位量算出部と、
    を備える、請求項1-3の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  5. 前記学習モデル記憶部は、少なくとも前記第一熱変位量および前記第一温度を学習データセットとし、少なくとも前記第一温度を説明変数とし、少なくとも前記第一熱変位量を目的変数とする教師あり学習を用いて生成された前記学習モデルを記憶する、請求項4に記載の熱変位量推定装置。
  6. 前記熱変位量推定装置は、さらに、
    前記工作物の生産稼働中である前記第一フェーズにおける前記第一熱変位量および前記第一温度に基づいて前記学習モデルを生成する学習モデル生成部を備え、
    前記学習モデル記憶部は、前記学習モデル生成部により生成された前記学習モデルを記憶する、請求項4または5に記載の熱変位量推定装置。
  7. 前記所定の基準状態は、1個の前記工作物の研削加工における研削完了時点において、前記砥石車が前記工作物に接触している状態である、請求項1-6の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  8. 前記所定の基準状態は、1個の前記工作物の研削加工における研削が定常状態であって
    前記工作物の径が所定値となる時点において、前記砥石車が前記工作物に接触している状態である、請求項1-6の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  9. 前記所定の基準状態は、複数の基準状態を含み、
    前記砥石台位置情報記憶部は、前記複数の基準状態のそれぞれについての前記砥石台位置情報を記憶し、
    前記回帰式算出部は、前記複数の基準状態のそれぞれについての前記砥石台位置情報の推移に基づいて、複数の前記回帰式を算出し、
    前記第一摩耗量推移算出部は、前記複数の前記回帰式に基づいて、前記第一摩耗量の推移を算出する、請求項1-8の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  10. 前記所定の基準状態は、研削中において前記工作物の径を検出する定寸装置の検出値が所定値に達した時の状態である、請求項1-9の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  11. 前記熱変位量推定装置は、さらに、
    前記研削盤の前記構成部材の温度を記憶する温度記憶部と、
    前記第一熱変位量と前記温度記憶部に記憶された第一温度とに基づいて、前記第一熱変位量と前記第一温度との関係を表す学習モデルを生成する学習モデル生成部と、
    を備える、請求項1-3の何れか1項に記載の熱変位量推定装置。
  12. 請求項4-6のいずれか1項に記載の熱変位量推定装置と、
    前記第二熱変位量に基づいて、次の前記工作物の研削加工送り動作の開始位置を決定する開始位置決定部と、
    前記開始位置に基づいて、次の前記工作物の前記研削加工送り動作を開始する制御装置と、
    を備える、研削盤。
  13. 前記研削盤は、さらに、
    前記第二熱変位量と前回研削加工を完了した時点の前記砥石台位置情報とに基づいて、前記砥石車の第二摩耗量を算出する第二摩耗量算出部を備え、
    前記開始位置決定部は、前記第二熱変位量および前記第二摩耗量に基づいて、前記開始位置を決定する、請求項12に記載の研削盤。
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